JP4573016B2 - 電線ドラム用パレット - Google Patents
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【発明に属する技術分野】
この発明は、複数の電線ドラムを運搬したり保管したりするために用いる電線ドラム用パレットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に配電線用ケーブル等を巻付け収容する電線ドラムは木製が主流であり、図7に示した電線ドラム1のように、両側のツバ板2間を橋渡しするように全周に短冊状の板である小割板3が貼られている構造のものと、図8に示した電線ドラム5のように、小割板のないタイプに大別される。
従来、この種の電線ドラム1、5を保管場に保管する場合、電線ドラム1、5を直接段積みして(積み上げて)保管するか、あるいは段積みせずにすべてを地上に置いて保管していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電線ドラムを段積みして保管する場合、図7の電線ドラム1のように小割板3があるものでは、図9のように地面上に置かれた電線ドラム1の上に直接電線ドラム1を重ねて置くことが容易であり、上下の電線ドラム1同士が前後に多少ずれても安定感があり特に問題はない。
しかし、図8の電線ドラム5のように小割板がないものでは、図10、図11に示すように、電線ドラム5を重ねるとき、下の電線ドラム5と上に乗せる電線ドラム5のツバ板2を相互にしっかり合わせなければならない(図11のA部参照)。
通常このようなドラム積み作業はフォークリフトを使用するが、かなりベテランでも2つの電線ドラム5のツバ板2相互をぴったり合わせて重ねることは難しく、作業時間もかなりかかってしまうという問題がある。
また、仮にうまくツバ板2同士を合わせて電線ドラム5を積み上げたとしても、荷を受けるのがツバ板2のわずかな幅(厚み)だけとなるので、安定性に欠け、地震等の振動で崩れる危険性が大きい、という問題がある。
【0004】
このため、小割板なしの電線ドラム5の場合は、荷崩れの危険性を考慮して段積みせず、すべて地上に保管することがあるが、この場合、非常に大きな保管スペースが必要となるという問題がある。
【0005】
また、電線ドラム5における左右のツバ板2の間隔が異なるサイズ違いの電線ドラム5の場合、それらを段積みすることができないという問題もある。
【0006】
また、複数の電線ドラム5を同時に運搬移動する場合、図12のようにフォークリフトのフォーク(荷役腕)6の奥行き方向に、フォーク6の長さ分だけ電線ドラム5を乗せることとなるが、フォークの長さが短い場合は、2個以上の電線ドラムを同時に運搬移動することができない。
【0007】
また、狭い保管スペースを有効に活用するためには、小割板1を付けた電線ドラム1を用い、これを段積みするしかないが、小割板1はリサイクルできないため産業廃棄物を大量に排出する結果となるという問題がある。
【0008】
また、小割板1がない電線ドラム5をフォークリフトで直接持ち上げるとき、誤ってフォーク6が電線ドラム5のツバ板2にかからなかった場合、ドラムに巻付け収容されている電線を傷つけてしまうことがあるという問題もある。
【0009】
また、地面に置かれた電線ドラムは、転がらないようにするため歯止めを掛けなければならない。歯止めの掛け方が悪いと荷崩れを起す恐れがある、という欠点がある。また、歯止めは一般的に木製の角材が用いられており、森林伐採という環境破壊の一因にもなっている。
【0010】
本発明は上記従来の問題を解消するためになされたもので、小割板なしの電線ドラムの場合でも容易に安定な段積み等の保管をすることができ、また、左右ツバ板間隔の異なるサイズ違いの電線ドラム同士でも段積み保管することができ、また、フォークリフトで複数の電線ドラムを同時に運搬移動することが容易であり、また、ドラムに巻付け収容されている電線を傷つける恐れのない電線ドラム用パレットを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1の発明は、2つの電線ドラムを載置する電線ドラム用パレットであって、
上面から見て矩形状をなす上下2つの枠体(14)が、間隔部材(15)で間隔をあけて相互に固定され、前記上側の枠体の上面及び下側の枠体の下面にそれぞれ、電線ドラムを受ける互いに間隔(H)を置いた平行な2本の丸棒(12)からなるドラム受け(16)を2組み備えるとともに、ドラム受けの長手方向の前後面に、前記間隔部材により上下枠体間の空間として形成される荷役腕(6)用の差込口(13)を備え、前記枠体は、前記差込口に挿入した荷役腕が、前記ドラム受けの2本の丸棒で支持された電線ドラムの底面に接触しないように上側の枠体の下面に接触して当該電線ドラム用パレットを持ち上げることができる厚みを有することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に本発明の一実施形態の電線ドラム用パレット11を示す。この電線ドラム用パレット(以下単にパレットという)11は、2つの電線ドラムを載置する電線ドラム用パレットであって、上面から見て矩形状をなす上下2つの枠体14が、間隔部材15で間隔をあけて相互に固定され、前記上側の枠体14の上面及び下側の枠体14の下面にそれぞれ、電線ドラムを受ける互いに間隔H)を置いた平行な2本の丸棒12からなるドラム受け16を2組み備えるとともに、ドラム受け16の長手方向の前後面に、前記間隔部材15により上下枠体14間の空間として形成される荷役腕(例えばフォークリフトのフォーク)用の差込口13を備え、前記枠体14は、前記差込口13に挿入した荷役腕6が、前記ドラム受け16の2本の丸棒12で支持された電線ドラムの底面に接触しないように上側の枠体14の下面に接触して当該電線ドラム用パレット11を持ち上げることができる厚みを有する構成である。
【0015】
このパレット11の前記2本の丸棒(丸パイプを含む)12からなる2組のドラム受け16は、矩形状の前記枠体14の長辺側の対向する二辺間にそれぞれ架け渡している。このパレット11では、右側の2本および左側の2本の丸棒12、つまり2組のドラム受け16がそれぞれ電線ドラムを1個ずつ受けるので、2個の電線ドラムの載置が可能である。この場合、パレット11のドラム収納部分の大きさ(枠体14の短辺長さおよびドラム受け12の長さ)をドラム幅(左右のツバ板間の間隔)に対してある程度余裕をもった設計とする。
実施形態では間隔部材15を左右の短辺部と中央との3箇所に配置しており、左右の短辺部の間隔部材15は枠体14の短辺と等しい長さを持ち、中央の間隔部材15は短柱状のものである。前記差込口13は、上下の枠体14間の隙間の、中央の間隔部材15の両側部分として形成されている。このように、間隔部材15は、上下の枠体14をフォークリフトのフォークを差し込むのに適した間隔に保持するものであり、実施形態の構成に限らず、例えばすべてを短柱状ないしブロック状のものとしてもよい。
【0016】
パレット11の各部材の材質は、載置する電線ドラムのサイズや重量によって適宜選択するとよいが、金属あるいはプラスチック等を用いることができる。金属の場合は安価な鋼、プラスチックの場合は安価なポリエチレン等が適切である。また、図示例では枠体14の部材や間隔部材15を角管ないし角材で示したが、丸管ないし丸材で構成する等、任意である。
【0017】
上記パレット11を用いて小割板なしの電線ドラム5の保管や運搬を行なう作業を図2〜図4等を参照して説明すると、まず、各パレット11に2個の電線ドラム5を載せる。この場合、各パレット11の右側の2本の丸棒12からなるドラム受け16および左側の2本の丸棒12からなるドラム受け16にそれぞれ電線ドラム5を置くと、2本の丸棒12が電線ドラム5の荷重をしっかりとかつ安定に受ける。そして、この2個の電線ドラム5を載せたパレット11の差込口13にフォークリフトのフォーク6を差し込んで作業を行なう。
【0018】
電線ドラム5の段積みを行なう場合、図2の下側部分に示すように、まず、2つの電線ドラム5を載せたパレット11を保管場の地面に置く。次いで、この地面に置いたパレット11上の2個の電線ドラム5の上に、同じく2個の電線ドラム5を載せたパレット11を載せると、図3に示すように、電線ドラム5の段積みが行なわれる。なお、下段側の電線ドラム5の上にまずパレット11だけを載せ、次いでそのパレット11上に2個の電線ドラム5を1つずつ載せるという手順で行なうことも可能である。
このように電線ドラム5の段積み保管にパレット11を用いると、従来方式のような電線ドラム5のツバ板2同士をぴったり合わせる、という作業の煩わしさがなくなり、段積み作業を容易にかつ能率的に行うことが可能となる。
【0019】
また、段積みされた上側のパレット11は、その下面の左右部それぞれ2本の丸棒12からなるドラム受け16が下側の各電線ドラム5のツバ板2の上部に被さるように載るので、安定した状態で下側の電線ドラム5の上に載る。このように、パレット11の上面および下面それぞれが電線ドラム5のツバ板2をしっかり受けるので、安定して2段以上の段積みを行なうことが可能となる。
また、電線ドラム5を受けるドラム受け16が丸棒12からなるので、電線ドラム5をパレット11に載せるとき、電線ドラム5がパレット11に対して多少傾いていても、ドラム自重により電線ドラム5のツバ板2にドラム受け16が食い込むことなく、滑って理想状態に納まるという効果もある。なお、「理想状態」とは、ドラム受け16が、電線ドラム5のツバ板2を片側2点、両側4点でしっかり支えて、ガタツキが生じない状態を指すが、これにより、安定感も大幅に向上する。
さらに、電線ドラム5の幅(2枚のツバ板2間の間隔)よりドラム受け16の長さを長くしているため、上下の電線ドラム5の位置がドラム受け16の長手方向(ドラム幅方向)に互いに多少ずれていても、段積みに問題は生じない。
【0020】
また、電線ドラム5における左右のツバ板2の間隔が異なるサイズ違いの電線ドラム5の場合でも、それらを段積みすることが可能となる。
【0021】
また、パレット11上に電線ドラム5を載せたままパレット11を移動させることが可能であることから、例えば図1のパレット11の場合、少なくとも2個の電線ドラム5を同時に運搬することができ、作業能率が向上する。
仮に、フォーク長が長ければ、奥行き方向に2個のパレット11を同時に載せられるため、その場合は同時に、2×2=4個の電線ドラム5を運搬移動可能になる。
【0022】
また、パレット11に載せた電線ドラム5を例えば図4に示すように3段に積み上げることもでき、場合によりさらに多段に積み上げることもできる。したがって、電線ドラム保管場の一層の省スペースを図ることができる。
【0023】
図5に参考例としての電線ドラム用パレット11を示す。このパレット11は、枠体14の長辺をさらに長くし、かつ2本の丸棒12からなるドラム受け16を3組設けて、3個の電線ドラム5を同時に載せる構造としている。
なお、配電線用ケーブルの電線ドラムは直径0.5m〜1.5m程度が一般的であるが、そのような電線ドラムの移動、保管を行なう場合、通常のフォークリフトの性能から同時に移動できるドラムの数は2個が限界となるケースが多い。
【0024】
図6も参考例としての電線ドラム用パレットを示す。この電線ドラム用パレット21は、パレット本体24の上下両面が、電線ドラム5を面で受けて荷重を支える荷置き面であり、この上下両面に、電線ドラム5の転動を規制するための、互いに平行な2本の棒状体22からなる転動規制部材25を例えば2組み固定した構造である。23はフォーク6を挿入する差込口である。
【0025】
本発明の電線ドラム用パレットは、上述のように、小割板なしの電線ドラム5に適用して好適であるが、小割板有りの電線ドラム1の保管や移動に用いることも当然可能である。
【0026】
【発明の効果】
本発明の電線ドラム用パレットによれば、電線ドラムを段積みして保管する場合、下段側の電線ドラムに載せたパレット上に上段側の電線ドラムが載る形で電線ドラムの段積みが行なわれるので、従来の保管方式と異なり、電線ドラムのツバ板同士を合わせるという作業の煩わしさがなくなり、段積み作業を容易にかつ能率的に行うことが可能となる。
【0027】
また、段積みされたパレットは、その上面および下面それぞれが電線ドラムのツバ板をしっかり受けるので、荷崩れの恐れなく安定して2段以上の段積みを行なうことが可能となる。
【0028】
また、電線ドラムを受けるドラム受けを丸棒としているので、電線ドラムをパレットに載せるとき、電線ドラムがパレットに対して多少傾いていても、ドラム自重により電線ドラムのツバ板にドラム受けが食い込むことなく、滑って理想状態に納まる。これにより、安定感も大幅に向上する。
【0029】
上記のように電線ドラムを荷崩れの恐れなく安定して段積みできるので、すべて地上に置いて、非常に大きな保管スペースを必要とするという問題は解消され、電線ドラム保管場の省スペースが図られる。
【0030】
電線ドラムの段積みはパレットに載せて行なうので、電線ドラムにおける左右のツバ板の間隔が異なるサイズ違いの電線ドラムの場合でも、それらを段積みすることが可能となる。
【0031】
1つのパレットに複数の電線ドラムを載せることができるので、複数の電線ドラムを同時に運搬移動することが可能となり、保管、移動の作業能率が向上する。
【0032】
リサイクルができず産業廃棄物となる小割板を用いる必要がないので、産業廃棄物の大量排出という問題を解消できる。
【0033】
また、フォークリフトのフォークで直接電線ドラムを持ち上げることがないので、フォークで電線ドラムに巻かれた電線を誤って傷つけてしまうという問題も生じない。
【0034】
また、従来方式で地面に置かれた電線ドラムの転動防止用に用いる歯止めは一般的に木製の角材であるが、この木製の歯止めが不用なので、森林伐採という環境破壊を避けるためにも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の電線ドラム用パレットを示す斜視図である。
【図2】図1の電線ドラム用パレットに電線ドラムを載せて、フォークリフトで段積みする作業を説明するもので、電線ドラムが段積みされる直前の状態を示す斜視図である。
【図3】図2に続く電線ドラムの段積みを完了した状態を示す斜視図である。
【図4】電線ドラムを3段に段積みした状態を示す斜視図である。
【図5】参考例としての3個の電線ドラムを載せる電線ドラム用パレットを示す斜視図である。
【図6】参考例としての電線ドラム用パレットを示すもので、電線ドラムを載せた電線ドラム用パレットを示す斜視図である。
【図7】一般に使用されている、小割板有りの電線ドラムを示す斜視図である。
【図8】一般に使用されている、小割板無しの電線ドラムを示す斜視図であり、本発明の電線ドラム用パレットを適用するのに好適な電線ドラムである。
【図9】図7の小割板有りの電線ドラムを従来方式で段積みした状態を示す斜視図である。
【図10】図8の小割板無しの電線ドラムを従来方式で段積みした状態を示す斜視図である。
【図11】図10のように小割板無しの電線ドラムを段積みする際の問題点を説明する図である。
【図12】従来方式を説明するもので、フォークリフトのフォークに2つの電線ドラムを載せた状態を示す図である。
Claims (1)
- 2つの電線ドラムを載置する電線ドラム用パレットであって、
上面から見て矩形状をなす上下2つの枠体(14)が、間隔部材(15)で間隔をあけて相互に固定され、前記上側の枠体の上面及び下側の枠体の下面にそれぞれ、電線ドラムを受ける互いに間隔(H)を置いた平行な2本の丸棒(12)からなるドラム受け(16)を2組み備えるとともに、各ドラム受けの長手方向の前後面にそれぞれ、前記間隔部材により上下枠体間の空間として形成される荷役腕(6)用の差込口(13)を備え、前記枠体は、前記差込口に挿入した荷役腕が、各ドラム受けの2本の丸棒で支持された電線ドラムの底面に接触しないように上側の枠体の下面に接触して当該電線ドラム用パレットを持ち上げることができる厚みを有することを特徴とする電線ドラム用パレット。
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