JP4571303B2 - フローティング装着領域を有する再配置可能なパウチ - Google Patents

フローティング装着領域を有する再配置可能なパウチ Download PDF

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Description

【0001】
発明の背景
本発明はパウチおよび取付けウェハを互いに接着結合するオストミー・システムに関し、より詳細には、パウチを取付けウェハから引き離す時に、該取付けウェハに加わるパウチ剥離力、即ち、引き離し力を取付けウェハの下側に位置する腹部領域から実質的に遮断できるオストミー・システムに関する。
【0002】
米国特許出願第08/609,318号に開示されているような接着結合式オストミー・システムは、身体側取付けウェハへ接着して固定された面板を含むパウチを有する。剥離および再シールが可能な接着結合装置により、オストミー・システムは、身体側取付けウェハに対するパウチの再配置を可能にする。従って、パウチを取付けウェハへ接着して固定した後、必要に応じて、取付けウェハ上でのパウチの最適な配置を実現するために、パウチを取り外し、かつ、再固定することが可能である。
【0003】
パウチを身体側取付けウェハへ接着して固定した後、パウチの再配置または取り外しを容易にするために、親指および人差し指の間などで把持する指把持可能なタブがパウチの面板上に設けられている。パウチの取り外し中に、該パウチが面板上のタブで把持された際、引き離し力、即ち、剥離力はタブを通じて伝達され、これによって、パウチの面板はパウチ・エンベロープのストレッチを最小限に抑制する。その結果、パウチを最適に調整するための、取付けウェハ上における該パウチの取り外しおよび再配置が可能となる。
【0004】
しかし、パウチの引き離し力は、ほとんど取付けウェハ上で耐えられ、取付けウェハの下側に位置する腹部領域において、使用者はこれを感じる。下側に位置する腹部領域はストレスに敏感なことが多いので、パウチを取付けウェハから離間させる引き離し力、即ち、分離力は使用者に不快感を与え得る。
【0005】
従って、取付けウェハの下側に位置する腹部領域に加わるストレスを最小限に抑制するために、パウチを取付けウェハから離間させるパウチ引き離し力を、取付けウェハ上で遮断できる接着結合式オストミー・システムを提供することが望ましい。
【0006】
発明の目的および概要
本発明の数ある目的のなかからは、パウチを再配置できる外形の小さい新たな接着結合式オストミー・システムと、パウチ面板が接着面を有し、身体側取付けウェハが接着性のない装着領域面を有する外形の小さい新たな接着結合式オストミー・システムと、取付けウェハの装着領域面の一部は、該装着領域面の残りの部分が腹部領域に対して移動不能な時に、腹部領域に対して接近する方向および離間する方向にそれぞれ自由に屈曲可能である外形の小さい新たな接着結合式オストミー・システムと、身体側取付けウェハを腹部領域へ結合した際、該身体側取付けウェハが指で把持できる装着領域面を有する外形の小さい新たな接着結合式オストミー・システムと、身体側取付けウェハへ接着して取り付けるパウチを有するとともに、パウチ面板を取付けウェハから取り外す際に、取付けウェハを把持できる外形の小さい新たなオストミー・システムと、取付けウェハの下側に位置する腹部領域に加わるストレスおよび歪みを最小限に抑制するために、オストミー・パウチを取付けウェハから分離する新たな方法とを提供することが挙げられる。
【0007】
本発明の他の目的および特徴は、以下の説明において部分的に明らかになるとともに、部分的に指摘する。
【0008】
本発明に基づき、オストミー・システムはパウチおよび取付けウェハを有し、これらのパウチおよび取付けウェハは互いに接着結合されているが、パウチを再配置するために、必要に応じて互いに簡単に分離できる。
【0009】
手を使ってアクセスできるタブがパウチの面板に設けられており、指で把持できる部分が取付けウェハに設けられている。従って、パウチおよび面板タブを取付けウェハから剥離する時、即ち、引き離す時に、前記の指で把持できる取付けウェハの部分を保持できる。
【0010】
オストミー・システムの接着結合手段は再シール可能な接着剤および剥離可能なフィルムを有し、このうちの一方はパウチ面板上に設けられ、他方は身体側取付けウェハ上に設けられている。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、再シール可能な接着剤はパウチ面板上に設けられており、剥離可能なフィルムは身体側取付けウェハ上に設けられている。
【0012】
取付けウェハ上の剥離可能なフィルムは、パウチの接着面板を装着する装着領域を画定している。取付けウェハを身体表面へ固定した際、剥離可能なフィルムの第1部分は身体表面に対して移動不能であり、剥離可能なフィルムの第2部分は身体表面から離間する方向へ屈曲可能である。剥離可能なフィルムの屈曲可能な部分は指で把持できる大きさに形成されており、フローティング装着領域とも呼ばれる。
【0013】
パウチ面板のターゲット領域を画定するために、目視のための見やすい境界表示線が装着領域に設けられている。更に、境界表示線は取付けウェハに対するパウチ面板の心合せ(alignment)を容易にする。
【0014】
パウチを取付けウェハから剥離する時、即ち、引き離す時に、拘束力を取付けウェハ上に加える目的で、使用者が取付けウェハを把持して保持することを、取付けウェハの指で把持できる部分は可能にする。取付けウェハの下側に位置する腹部領域における使用者のストレスまたは歪みの感覚に応じて、使用者が取付けウェハへ加える拘束力をパウチ剥離力、即ち、パウチ引き離し力と同じ大きさであって、かつ、逆方向に作用するように形成できる。
【0015】
従って、パウチ剥離力、即ち、パウチ引き離し力を、取付けウェハの下側に位置する腹部領域から遮断することを補助するように、取付けウェハのフローティング装着領域部分を把持できる。
【0016】
本発明の2つの実施形態では、取付けウェハ上の剥離可能なフィルム装着領域は、装着領域フィルムの2つの別々のセクションから形成されている。一方の装着領域セクションは他方の装着領域セクションよりも大きく、かつ、この小さい方の装着領域セクションに重なっている。
【0017】
本発明の1つの実施形態では、大きい方の装着領域セクションは、小さい方の装着領域セクションに直接接触し、かつ、小さい方の装着領域セクションの延長部を形成している。大きい方の装着領域セクションはフローティング装着領域を有する。
【0018】
本発明の別の実施形態では、大きい方の装着領域セクションは小さい方の装着領域セクションに直接接触していない。従って、大きい方の装着領域セクションと小さい方の装着領域セクションとの間に橋わたしを形成するために、遷移(transitional)装着領域セクションが使用される。
【0019】
本発明は、接着結合されたパウチを、取付けウェハ上で再配置することを可能にするために、該パウチを取付けウェハから分離する方法を、更に含む。本発明の方法は、取付けウェハのための剥離可能なフィルムからなる装着面を提供する工程と、取付けウェハを身体表面へ固定した際に、身体表面に対して接近する方向および離間する方向にそれぞれ屈曲可能となるように、装着面の一部を形成する工程とを含む。本発明の方法は、パウチの分離中に、パウチを取付けウェハから引き離す際に、装着領域の屈曲可能な部分を指で把持することを可能にする大きさに、該屈曲可能な部分を形成する工程を更に含む。
【0020】
従って、本発明は以下に詳述する構造および方法を含み、本発明の範囲は請求の範囲に開示する。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明の1つの実施形態に基づくオストミー・システムを符号10で一般的に示す。
【0022】
図1において、オストミー・システム10はパウチ12および身体側取付けウェハ14を有し、これらは互いに分離された状態で図示されている。身体側取付けウェハ14は、瘻120のための開口16を有し、かつ、瘻120に対して心合せした状態で腹部表面100へ接着して固定されている。
【0023】
オストミー・パウチを製造する技術分野で知られている技術に基づいて形成された可撓性を有する熱可塑性材料からなる既知のエンベロープ(パウチ・エンベロープ)18によって、拡張可能なオストミー・パウチ12は形成されている。パウチの材料はガスおよび水を通さない。
【0024】
パウチ・エンベロープ18は、腹部表面100から離れる側に向けられた前壁20(図2参照)と、腹部表面100に面する側に向けられた後壁22(図1参照)とを有する。
【0025】
図6において、パウチ12の後壁22は、前壁20と同じ材料からなる内側層24と、有孔ポリエチレン・フロッキングからなる外側層26とを有する。外側層26はパウチ12および腹部表面100の間の快適な面接触を提供する。図6に示すように、内側層24および外側層26は心合せした排泄物入口開口30をそれぞれ有する。パウチ12の前壁20および後壁22は周縁熱溶接部34(図1および図6参照)によって互いに結合されている。
【0026】
パウチ・エンベロープ18は、両側に丸い角を有する頂部36(図1参照)と、互いに実質的に平行に延びて且つ互いに対向する2つの側部38,40と、これら2つの側部38,40に連なる湾曲した底部42とを更に有する。従って、後壁22の排泄物入口開口30を通じてアクセスできる排泄物回収チャンバ46(図6参照)を、パウチ・エンベロープ18は画定している。
【0027】
排泄物入口開口30は、約[1+(3/4)]インチ(約44.45mm)の直径を有し、かつ、パウチ・エンベロープの底部42よりも頂部36に近い位置に配置されている。
【0028】
更に、パウチ12は排泄物入口開口30に接するほぼ環状の接着面板50を有する。接着面板50の内径部はパウチ12の排泄物入口開口30に心合せし、かつ、該排泄物入口開口30とほぼ同じ大きさを有する。分かり易くするために、接着面板50の内径部は符号30によっても示されている。接着面板50はパウチ12の後壁22へ環状熱溶接部または接着によって結合されている。接着面板50は取り扱い可能なタブ(取り扱いタブ)54を有する。取り扱い可能なタブ54は約1インチ(約25.4mm)の幅(図1参照)を有し、かつ、垂直から約50度〜60度の角度をなして接着面板50の外径部56から外側へ約1/2インチ(約12.7mm)延びている。内径部30および外径部56の間に位置する接着面板50の表面部分は、面板接着領域と称される。
【0029】
接着面板50は再シール可能なフォーム・テープ60から形成することが好ましく、この例としては、ミネソタ州ミネアポリスに所在する3M社が製造するNo.9776フォーム・メディカル・テープ・オン・ライナー(Foam Medical Tape On Liner)が挙げられる。面板接着領域に位置する低アレルギー誘発性のアクリル酸塩感圧接着剤(接着面)62(図6参照)と、該接着剤62を通常は被覆しているシリコーン剥離紙(図示せず)とを有する約0.08mmの厚さの独立気泡ポリエチレン・フォーム支持体を、再シール可能なフォーム・テープ60は有する。接着面板50は約[1+(3/4)]インチ(約44.45mm)の内径と、約[3+(3/8)]インチ(約85.73mm)の外径とを有する。
【0030】
接着面板50の上記タブ54はフィルム層66(図1参照)を有し、該フィルム層66はタブ54のアクリル接着剤(接着面)62へラミネートされている。図7に示すように、タブ54を複数の指の間で把持した際に、該タブ54の取り扱いを円滑にし、かつ、該タブ54を補強するために、接着性のない外面を有する約0.010〜0.080インチ(約0.25〜2.03mm)の厚さの可撓性を備えた可塑性ポリ塩化ビニル・シート材料からフィルム層66を形成することが好ましい。
【0031】
図6に最も明確に示すように、手によるタブ54の把持および取り扱いを行うために、該タブ54へのアクセスを更に確実にすべく、パウチ12の後壁22に面するタブ54の裏面68は接着性がなく、かつ、パウチ壁22へ結合されていない。
【0032】
タブ54の取り扱いまたは把持は、図7に示すようにパウチを取り外す時、即ち、パウチを分離する時に、使用者が接着面板50を取付けウェハ14から剥離することを可能にする。接着面板50を身体側取付けウェハ14から取り外す時、剥離力はパウチ12の壁20,22よりも、むしろタブ54および面板領域を通じて伝達される。
【0033】
図3〜図6に示すように、身体側取付けウェハ14は、ほぼ円形をなす層およびほぼ矩形をなす層を積層した積層体である。取付けウェハ14は約3/4インチ〜[1+(1/4)]インチ(約19.05mm〜31.75mm)の直径を備えた中心開口16を有する。
【0034】
図4および図5に示すように、身体側取付けウェハ14は、腹部へ当接させる環状接着ディスク(腹部接着ディスク)70を有する。環状接着ディスク70の一方の側面はシリコーン剥離紙からなる剥離可能な層72によって被覆されており、環状接着ディスク70の他方の側面は、好ましくはポリエチレン・フィルムからなる第1装着領域フィルム層とも称される剥離不能なプラスチック・フィルム層(装着領域、第2セクション)74によって被覆されている。これら2つの層72,74は環状接着ディスク70と内径および外径が実質的に同じである。環状接着ディスク70は約0.030〜0.080インチ(約0.76mm〜2.03mm)の厚さの親水コロイド接着剤から形成することが好ましく、この親水コロイド接着剤の例としては、ニューヨーク州ニューヨークに所在するブリストル−マイヤーズ・スクイブ(Bristol-Myers Squibb)社がStomahesiveまたはDurahesiveの商標名で販売しているものが挙げられる。
【0035】
身体側取付けウェハ14は、内径部77を有するほぼ矩形のファブリック・カラー76を更に含む。ファブリック・カラー76は、第1装着領域フィルム層74と向い合う接着剤コーティング78(図5参照)と、接着性のない軟質有孔裏面80とを有するファッソン材料(Fasson material)から形成することが好ましい。ファブリック・カラー76の接着面(接着剤コーティング)78に対するシリコーン剥離カラー(剥離紙)82は、両側の取り扱いエッジ部(取り扱いセグメント88,90と中央セクション92とをそれぞれ画定する予め形成された切れ目84,86(図5参照)を有する。理解を容易にするために、符号88、符号90および符号92は、下側に位置するファブリック・カラー76の表面(接着剤コーティング)78上の対応する接着セグメントおよびセクションを定義するためにも使用する。この構成では、ファブリック・カラー76の接着面(接着剤コーティング)78の環状部分“t”(図4参照)は、第1装着領域フィルム層74へ接着される。
【0036】
図4および図5に示すように、第2装着領域フィルム層とも称されるほぼ矩形のプラスチック・フィルム層(装着領域、又は第1セクション)102は、第1装着領域フィルム層74およびファブリック・カラー76にそれぞれ結合されている。第2装着領域フィルム層102はポリエチレンから形成することが好ましく、かつ、3M MSX−1198クリアPEリリース・フィルム(3M MSX-1198 Clear PE Release Film)の名称でミネソタ州ミネアポリスに所在する3M社が製造しているタイプのものであり得る。
【0037】
第2装着領域フィルム層102は厚さが約12ミルであり、かつ、約[1+(1/2)]インチ(約38.1mm)の内径の内径部106と、約[3+(3/4)]インチ(約95.25mm)の幅(互いに対向する2つの平坦な側面間で計測)とを有する。露出した装着面104は内径部106と、層102の外周との間に画定されている。見やすい濃い境界表示線(第2境界表示線)114が、内径部106に隣接した層102上に設けられ、別の見やすい濃い境界表示線(第1境界表示線)116が、層102の外周に隣接した層102上に設けられている。これらの境界表示線114,116は層102の裏面に設けることが好ましいが、図面では、分かり易くすることを目的として、装着面104上に描かれている。
【0038】
第2装着領域フィルム層102の内径部106上または内径部106付近において、第2装着領域フィルム層102は、第1装着領域フィルム層74へ環状超音波溶接部107によって結合されており、該環状超音波溶接部107は約[1+(1/2)]インチ(約38.1mm)の内径と、約[1+(3/4)]インチ(約44.45mm)の外径とを有する。ファブリック・カラー76の内径部77上または内径部77付近において、第2装着領域フィルム層102は、ファブリック・カラー76へ環状超音波溶接部108によって更に結合されており、該環状超音波溶接部108は約[2+(1/8)]インチ(約53.98mm)の内径と、約[2+(3/8)]インチ(約60.33mm)の外径とを有する。
【0039】
この構成では、第2装着領域フィルム層102は、第1装着領域フィルム層74が提供する装着面の放射方向延長部を形成している。環状超音波溶接部108を越えて徹底的に(radically)延びる第2装着領域フィルム層102の部分は、ファブリック・カラー76へ固定されずに自由に動くようになっており、従って、フローティング装着領域(フローティング装着領域部分)110と呼ばれる。
【0040】
図4に最も明確に示すように、腹部表面100へ固定すべく組み立てられた取付けウェハ14は、シリコーン剥離紙72および第1装着領域フィルム層74の間に挟まれた接着剤層(接着ディスク)70を有する。組み立てられた身体側取付けウェハ14は、第1装着領域フィルム層74の周縁領域へ固定されたファブリック・カラー76を更に有する。ファブリック・カラー76は第1装着領域フィルム層74の周縁を越えて放射方向に延びている。第1装着領域フィルム層74を越えて放射方向に延びているファブリック・カラー76の接着面(接着剤コーティング)78は、シリコーン剥離カー82によって被覆されている。
【0041】
組み立てられた取付けウェハ14は、前記のように第1装着領域フィルム層74およびファブリック・カラー76にそれぞれ固定された第2装着領域フィルム層102を更に有する。
【0042】
オストミー・システム10を使用する場合、身体側取付けウェハ14は、パウチ12と結合される前に腹部表面100へ最初に結合される。従って、シリコーン剥離紙72を環状接着ディスク70から取り外し、シリコーン剥離カラー82の中央セクション92をファブリック・カラー76から取り外す。シリコーン剥離カラー82は、ファブリック・カラー76の両側にそれぞれ位置する取り扱いエッジ部88,90上に一時的に残される。次いで、身体側取付けウェハ開口16を瘻120に心合せして配置するために、取付けウェハ14を取り扱いエッジ部88,90によって取り扱い可能である。環状接着ディスク70と、ファブリック・カラー76の露出した中央セクション92とによって、身体側取付けウェハ14を腹部表面100へ固定する。次いで、取り扱いエッジ部88,90上に残されたシリコーン剥離カラー82の下側の接着剤を露出させ、かつ、腹部表面100へのファブリック・カラー76の固定を完了するために、取り扱いエッジ部88,90上に残されたシリコーン剥離カラー82を除去する。従って、取付けウェハ・コンポーネント70,84の周縁を越えて延出するファブリック・カラー76の部分が腹部表面100へ取り付けられ、これによって、該ファブリック・カラー76の部分は環状接着ディスク70の周縁および第1装着領域フィルム層74の周縁を被覆する。
【0043】
パウチ12は、身体側取付けウェハ14を腹部表面100へ固定した状態で、身体側取付けウェハ14に固定可能である。接着面62を露出するために、パウチ12の接着板50を保護しているシリコーン剥離紙(図示せず)を取り外す。身体側取付けウェハ14の第1装着領域フィルム層74および第2装着領域フィルム層102に対する接着面板50の取り扱いを円滑にするように、接着面板50はタブ54において把持可能である。タブ54は、取付けウェハ14および瘻120に対するパウチ排泄物入口開口30の心合せを容易にする。更に、第2装着領域フィルム層102の内周および外周にそれぞれ設けられた見やすい境界表示線114,116(図1、図3および図5参照)は、この心合せを容易にする。
【0044】
パウチ12を接着面板50を介して取付けウェハ14へ固定した後、パウチ12を取付けウェハ14に対して調整すること、即ち、再配置することが望ましい。接着板50を身体側取付けウェハ14の剥離可能な第1装着領域フィルム層74および第2装着領域フィルム層102から剥離するために、図7に示すように接着面板50のタブ54は手を使って把持すべく該タブ54へのアクセスが可能である。剥離可能という第1,2装着領域フィルム層74,102の長所は、取付けウェハ14からの接着面板50の取り外しを容易にする。
【0045】
接着面板50上のパウチ引き離し力、即ち、剥離力は、取付けウェハ14と、その下側に位置する腹部領域とに対してそれぞれ加えられる。下側に位置する腹部領域はパウチを取り外す際のストレスおよび歪みに敏感なので、腹部領域におけるこのようなストレスおよび歪みを最小限に抑制することが望ましい。この剥離プロセス中に、第2装着領域フィルム層102の結合されていない装着領域部分、即ち、フローティング装着領域110を把持することによって、パウチ引き離し力を取付けウェハ14の下側に位置する腹部領域から実質的に遮断できる。
【0046】
取付けウェハ14をフローティング装着領域110において指124,126で把持することは、タブ54を把持する指128,130から加わるパウチ剥離力と同じ大きさであって、かつ逆方向に作用する力を取付けウェハ14へ加えることを補助する。従って、パウチの剥離中に、使用者がストレスまたは歪みを腹部領域で感じ始めた場合、使用者は取付けウェハ14に加わる拘束力を増大または減少させ得る。
【0047】
パウチ剥離力に対抗するのに必要な拘束力の方向を変更するために、使用者はフローティング装着領域110を手で取り扱うことも可能である。これにより、下側に位置する腹部領域はパウチ剥離力から実質的に遮断される。この結果、下側に位置する腹部領域へパウチ剥離中に加わるストレスおよび歪みを、実質的に最小限に抑制できる。
【0048】
次いで、身体側取付けウェハ14の第1装着領域フィルム層74および第2装着領域フィルム層102に対する接着板50の再固定を、前記の方法に類似する方法で行う。再シール可能という接着面62の長所は、取付けウェハ14に対する接着面板50の再固定を容易にする。
【0049】
図10および図11において、本発明の別の実施形態に基づくオストミー・システムを符号140で示す。オストミー・システム140はパウチ12と同一のパウチ142と、取付けウェハ144とを有する。取付けウェハ144(図8および図9参照)は、シリコーン剥離紙72および第1装着領域フィルム層74の間に挟まれた接着ディスク70と、第1装着領域フィルム層74へ接着されたファブリック・カラー76と、ファブリック・カラー76へ結合された第2装着領域フィルム層150を有するシリコーン剥離カラー82と、第1装着領域フィルム層74および第2装着領域フィルム層150へそれぞれ結合された安全フィルム152とを有する。
【0050】
第2装着領域フィルム層150は取付けウェハ14の第2装着領域フィルム層102の材料と同じ材料からなり、かつ、約[3+(3/4)]インチ(約95.25mm)×約[3+(3/4)]インチ(約95.25mm)の幅(互いに対向する2つの平坦な側面間で計測)を有するほぼ矩形である。約18ミルの厚さと、ファブリック・カラー76の内径部77に心合せし、かつ、該内径部77と同じ大きさの内径部156とを有する点において、第2装着領域フィルム層150は取付けウェハ14の対応する層102とは異なっている。
【0051】
取付けウェハ14上に設けられた境界表示線114,116と同じ目的で、見やすい境界表示線158,159が第2装着領域フィルム層150の内径部156付近および外周付近にそれぞれ設けられている。
【0052】
第2装着領域フィルム層150の内径部156上または内径部156付近において、第2装着領域フィルム層150は、第1装着領域フィルム層74へ環状超音波溶接部160(図9参照)によって結合されており、該環状超音波溶接部160は約[2+(1/8)]インチ(約53.98mm)の内径と、約[2+(3/8)]インチ(約60.33mm)の外径とを有する。この構成では、第2装着領域フィルム層150は、第1装着領域フィルム層74が提供する装着面の放射方向延長部を形成している。環状超音波溶接部160を越えて放射方向に延びている第2装着領域フィルム層150の部分162は、ファブリック・カラー76へ固定されずに自由に動くようになっており、従って、フローティング装着領域162と呼ばれる。
【0053】
安全フィルム152はプラスチック材料からなるリングであり、該リングは第1装着領域フィルム層74の材料と同じ材料から形成することが好ましい。安全フィルム152は約[1+(3/4)]インチ(約44.45mm)の内径と、約[2+(3/8)]インチ(約60.33mm)の外径と、約2ミルの厚さとを有する。安全フィルム152の内径部および外径部の上またはその付近にそれぞれ設けられた超音波溶接部(図示せず)は、安全フィルム152を第1装着領域フィルム層74および第2装着領域フィルム層150へそれぞれ結合し、これによって、安全フィルム152はファブリック・カラー76の内径部77および第2装着領域フィルム層150の内径部156をそれぞれ被覆する。従って、安全フィルム152は第1装着領域フィルム層74および第2装着領域フィルム層150の間の遷移装着面(a transitional landing surface)を提供している。
【0054】
オストミー・システム140を使用する場合、オストミー・システム10に関連して説明した方法に類似する方法で、身体側取付けウェハ144を腹部表面100へ結合し、パウチ142を取付けウェハ144へ結合する。
【0055】
図10に示すように、接着面板50の再シール可能な接着剤(接着面)62に対する剥離可能な面を提供する第1装着領域フィルム層74、第2装着領域フィルム層150および安全フィルム152に対して、接着面板50の接着面62は接触している。
【0056】
取付けウェハ144からの接着面板50の剥離、即ち、引き離しは、オストミー・システム10に関連して説明した方法に類似する方法で行われる。従って、図11に示すように、接着面板50をタブ54において把持し、取付けウェハ144をフローティング装着領域162において把持する。これにより、オストミー・システム10に関連して説明したように、取付けウェハ144をフローティング装着領域162において指124,126で把持することは、指128,130からタブ54上へ加わるパウチ剥離力と同じ大きさであって、かつ、逆方向に作用する拘束力を取付けウェハ144へ加えることを補助する。
【0057】
前記の説明から明らかな本発明の幾つかの効果には、フローティング装着領域を有する取付けウェハを含む再配置可能な外形の小さいオストミー・システムが含まれる。別の効果としては、パウチ取り外し中に、パウチ剥離力を取付けウェハの下側に位置する腹部領域から遮断することを補助するために、パウチ面板の取り扱い可能なタブ部と、身体側取付けウェハの取り扱い可能な部分とを手を使って把持できる点が挙げられる。別の効果としては、取付けウェハ上でのパウチ面板の心合せを容易にするために、境界表示線が取付けウェハ上に設けられている点が挙げられる。
【0058】
本発明の各目的が達成され、かつ、他の効果的な結果が得られたことを、前記の開示内容から理解できる。
【0059】
本発明の範囲から逸脱することなく前記の構造および方法の様々な変更が可能なので、前記の説明または添付図面に開示する全ての事柄は、本発明を例示するものとして解釈すべきであって、限定的な意味で解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 オストミー・パウチを身体側取付けウェハに対して接着して取り付ける前の状態の本発明の1つの実施形態に基づくオストミー・システムの簡単な斜視図である。
【図2】 オストミー・パウチを身体側取付けウェハへ接着して固定した後の状態のオストミー・システムの簡単な斜視図である。
【図3】 オストミー・システムの身体側取付けウェハの平面図である。
【図4】 図3の4−4線における断面図である。
【図5】 オストミー・システムの身体側取付けウェハの展開斜視図である。
【図6】 瘻に対して心合せした状態で腹部上に配置されたオストミー・システムの断面図である。
【図7】 図6に類似した図であり、身体側取付けウェハから取り外し中のオストミー・パウチを示している。
【図8】 本発明の別の実施形態に基づくオストミー・システムの身体側取付けウェハの平面図である。
【図9】 図8の9−9線における断面図である。
【図10】 瘻に対して心合せした状態で腹部上に配置されたオストミー・パウチに結合した取付けウェハの断面図である。
【図11】 図10に類似した図であり、身体側取付けウェハから取り外し中のオストミー・パウチを示している。
複数の図面において、同じ符号は同じ部材を示す。

Claims (23)

  1. a)瘻(120)を通過した身体排泄物を回収するための排泄物回収チャンバ(46)を画定する可撓性プラスチック材料からなるパウチ・エンベロープ(18)と、前記瘻(120)から前記回収チャンバ(46)への排泄物の通過を可能にする目的で、前記瘻(120)の周囲に配置するために、前記エンベロープ(18)内に形成された排泄物入口開口(30)と、身体側取付けウェハ(14)へ結合するために、前記排泄物入口開口(30)に位置する前記エンベロープ(18)上に配置された可撓性を有する環状接着面板(50)とを有するオストミー・パウチ(12)と、
    b)瘻(120)の周囲の身体表面へ結合可能な前記身体側取付けウェハ(14)とを備え、
    前記身体側取付けウェハ(14)は、瘻(120)のための開口(16)と、前記接面板(50)に剥離可能に結合するために、前記取付けウェハの前面に配置された装着領域(74,102)とを有し、該装着領域(74,102)は、前記取付けウェハ(14)を前記身体表面へ固定した際に、瘻(120)の周囲の身体表面に対して移動不能な第1装着領域フィルム層(74)と、前記取付けウェハ(14)を前記身体表面へ固定した際に、前記身体表面から離間する方向に屈曲可能な第2装着領域フィルム層(102)とを有する、オストミー・システムであって、
    記接面板(50)の外周部の少なくとも一部分は、前記第2装着領域フィルム層(102)に対する非接着領域(66)として構成されている、オストミー・システム。
  2. 前記第2装着領域フィルム層(102)は露出したフローティング装着領域(110)を有し、前記パウチ(12)を前記取付けウェハ(14)との結合位置から取り外す際に、前記取付けウェハ(14)を前記露出したフローティング装着領域(110)において手で把持することができるようにした、請求項1に記載のオストミー・システム。
  3. 前記露出したフローティング装着領域(110)は所定の周縁を有し、前記露出したフローティング装着領域(110)上に位置する前記装着領域(102)の実質的に全ての周縁が、前記身体表面から離間する方向に屈曲可能である、請求項2に記載のオストミー・システム。
  4. 前記所定の周縁は丸い角を有するほぼ矩形をなしており、前記装着領域(74,102)の前記屈曲可能な第2装着領域フィルム層(102)は、該周縁から前記露出したフローティング装着領域(110)の内に位置するほぼ円形の境界線まで内側に向かって延びている、請求項3に記載のオストミー・システム。
  5. 前記装着領域(102,74)は、内周および外周をそれぞれ備えた第1および第2の別々のセクション(102,74)を有し、前記第1セクション(102)が前記第2セクション(74)の外周に重なり、かつ、前記露出したフローティング装着領域(110)が前記第1セクション(102)の外周上に位置するように、前記第1セクション(102)および第2セクション(74)は大きさがそれぞれ設定されている、請求項2に記載のオストミー・システム。
  6. 目視のための第1境界表示線(116)が、前記露出したフローティング装着領域(110)に隣接した前記装着領域(102)上に設けられている、請求項5に記載のオストミー・システム。
  7. 前記第2セクション(74)の前記内周は前記第1セクション(102)の前記内周よりも小さく、目視のための第2境界表示線(114)が前記第2セクション(74)の内周と、前記第1セクション(102)の外周との間に位置する前記装着領域(102)上に設けられている、請求項6に記載のオストミー・システム。
  8. 前記目視のための第2境界表示線(114)が、前記第1セクション(102)の内周に隣接した前記装着領域(102)上に設けられている、請求項7に記載のオストミー・システム。
  9. 前記装着領域(74,102)の前記第セクション(102)は、前記装着領域(74,102)の前記第セクション(74)を超えて放射方向に延びており、前記取付けウェハ(14)は、前記装着領域(74,102)の第1セクション(102)および第2セクション(74)の間に挟まれたファブリック・カラー(76)を更に有し、該ファブリック・カラー(76)は前記装着領域(74,102)の第1セクション(102)および第2セクション(74)を超えて放射方向に延びている、請求項5に記載のオストミー・システム。
  10. 前記装着領域(74,102)の前記屈曲可能な第2装着領域フィルム層(102)は、前記ファブリック・カラー(76)に面している、請求項9に記載のオストミー・システム。
  11. 前記ファブリック・カラー(76)は、前記装着領域(74,102)の前記露出したフローティング装着領域(110)を超えて延びている外周を有する、請求項10に記載のオストミー・システム。
  12. 前記接着面板(50)はほぼ円形の周縁を有し、前記瘻(120)の周囲における前記接着面板(50)の取り扱いおよび配置を容易にするために、取り扱いタブ(54)が前記ほぼ円形の周縁から延出しており、
    前記非接着領域(66)が取り扱いタブ(54)に設けられている、請求項1に記載のオストミー・システム。
  13. オストミー・パウチ(12)へ結合するための身体側取付けウェハ(14)であって、
    瘻(120)の周囲の身体表面へ結合可能であり、瘻(120)のための開口(16)と、オストミー・パウチ(12)の環状接着面板(50)に剥離可能に結合するために、前記取付けウェハ(14)の前面に配置された装着領域(74,102)とを有し、該装着領域(74,102)は、前記取付けウェハ(14)を前記身体表面へ固定した際に、瘻(120)の周囲の身体表面に対して移動不能な第1装着領域フィルム層(74)と、前記取付けウェハ(14)を前記身体表面へ固定した際に、前記身体表面から離間する方向に屈曲可能な第2装着領域フィルム層(102)とを有する、身体側取付けウェハにして、
    記接面板(50)の外周部の少なくとも一部分は、前記第2装着領域フィルム層(102)に対する非接着領域(66)として構成されている前記オストミー・パウチ(12)に適用される、身体側取付けウェハ。
  14. 前記第2装着領域フィルム層(102)は露出したフローティング装着領域(110)を有し、前記オストミー・パウチ(12)を前記取付けウェハ(14)との結合位置から取り外す際に、前記取付けウェハ(14)を前記露出したフローティング装着領域(110)において手で把持することができるようにした、請求項13に記載の身体側取付けウェハ。
  15. 前記露出したフローティング装着領域(110)は所定の周縁を有し、前記露出したフローティング装着領域(110)上に位置する前記装着領域(102)の実質的に全ての周縁が、前記身体表面から離間する方向に屈曲可能である、請求項14に記載の身体側取付けウェハ。
  16. 前記所定の周縁は丸い角を有するほぼ矩形をなしており、前記装着領域(74,102)の前記屈曲可能な第2装着領域フィルム層(102)は、該周縁から前記露出したフローティング装着領域(110)の内に位置するほぼ円形の境界線まで内側に向かって延びている、請求項15に記載の身体側取付けウェハ。
  17. 前記装着領域(102,74)は、内周および外周をそれぞれ備えた第1および第2の別々のセクション(102,74)を有し、前記第1セクション(102)が前記第2セクション(74)の外周に重なり、かつ、前記露出したフローティング装着領域(110)が前記第1セクション(102)の外周上に位置するように、前記第1セクション(102)および第2セクション(74)は大きさがそれぞれ設定されている、請求項14に記載のオストミー・システム。
  18. 目視のための第1境界表示線(116)が、前記露出したフローティング装着領域(110)に隣接した前記装着領域(102)上に設けられている、請求項17に記載のオストミー・システム。
  19. 前記第2セクション(74)の前記内周は前記第1セクション(102)の前記内周よりも小さく、目視のための第2境界表示線(114)が前記第2セクション(74)の内周と、前記第1セクション(102)の外周との間に位置する前記装着領域(102)上に設けられている、請求項18に記載のオストミー・システム。
  20. 前記目視のための第2境界表示線(114)が、前記第1セクション(102)の内周に隣接した前記装着領域(102)上に設けられている、請求項19に記載のオストミー・システム。
  21. 前記装着領域(74,102)の前記第セクション(102)は、前記装着領域(74,102)の前記第セクション(74)を超えて放射方向に延びており、前記取付けウェハ(14)は、前記装着領域(74,102)の第1セクション(102)および第2セクション(74)の間に挟まれたファブリック・カラー(76)を更に有し、該ファブリック・カラー(76)は前記装着領域(74,102)の第1セクション(102)および第2セクション(74)を超えて放射方向に延びている、請求項17に記載のオストミー・システム。
  22. 前記装着領域(74,102)の前記屈曲可能な第2装着領域フィルム層(102)は、前記ファブリック・カラー(76)に面している、請求項21に記載のオストミー・システム。
  23. 前記ファブリック・カラー(76)は、前記装着領域(74,102)の前記露出したフローティング装着領域(110)を超えて延びている外周を有する、請求項22に記載のオストミー・システム。
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