JP4570760B2 - 接触センサ及び接触検出装置並びに接触検出装置が取り付けられたロボット - Google Patents

接触センサ及び接触検出装置並びに接触検出装置が取り付けられたロボット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、本発明は外部の接触を検出する接触センサに係り、特に、広範囲にわたって外部からの接触を検出する接触センサ及び接触検出装置並びに接触検出装置が取り付けられたロボットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、接触を感知する接触センサは、ひとつのセンサに対して、電源用のケーブル2本、信号伝送用のケーブル2本を供給する必要がある(接地を共通とすれば3本/センサ)。
このようなパワー系及び信号系のケーブルを個々に接続する必要のあるセンサを例えばロボット等の表面に多数配置すると、その配線数は膨大なものになり、また、ロボットが運動する際のケーブルの屈曲の繰り返しによる断線、絶縁被覆と線材の摺動によるノイズの発生、ケーブルとセンサの電気的接続の劣化、センサ交換の際の手間がかかる等といった様々な問題があった。
【0003】
上述したような問題に対して、例えば、弾性体に埋め込んだコイルを共振回路を構成するインダクタンスとすることで、この弾性体が変形した際のインダクタンスの変化を、共振周波数の変化として取り出して外力を検出するというセンサが提案されている。(Mitsuhiro Hakozaki et.al."Telemetric Reobot Skin "Proceedigns of the1999 IEEE International Conference on Robotics & AutomatiON,May 1999 pp.957-961参照)。
このセンサによれば、個々のセンサにケーブルを接続する必要が無いため、上述した問題点を解決することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したインダクタンスの変化により外力を検出するセンサを、多数個のセンサ群に応用した場合には、この共振周波数の変化とセンサの位置情報に直接の関連がないため、圧力の加わった位置の検出ができないという問題があった。
また、外形の変形により、近接したセンサ間の距離が変化した場合には、センサに接続されたコイル間の結合係数が変化するため、これによる共振周波数変化も考慮する必要があるなどの問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ロボットの接触センサ等のように、限られた空間に多数のセンサを配置し、これらのセンサを効率的に駆動し、且つ該接触センサからの信号を効率的に収集するための接触センサ及び接触検出装置並びに接触検出装置が取り付けられたロボットを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、電磁界エネルギーをセンサ駆動用の電力として供給するための共振回路と、前記共振回路の誘導起電力から電力を生成する電力生成手段と、前記電力生成手段に接続され、外部から規定以上の力が加わった場合に、オンする第1のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子がオンされた場合に、電磁界の変化によって接触を通知する接触通知手段と、前記センサ固有のデータが格納されている記憶手段とを具備し、前記接触通知手段は、前記第1のスイッチング素子(実施形態におけるスイッチSW1)がオンされた場合に、前記記憶手段から前記データを読み出し、前記読み出したデータに基づく信号を出力するデータ出力手段と、前記データ出力手段から出力される信号に基づいて駆動される第2のスイッチング素子(実施形態におけるFET15)と、前記共振回路(コンデンサC1及びコイルL1で構成される)に並列に設けられ、前記第2のスイッチング素子によって、前記共振回路に接続、非接続状態となる抵抗器(実施形態における負荷抵抗16)とを具備することを特徴とする。
なお、上述の第1のスイッチング素子は、ノーマリーオフの場合には外力が加わることによりオン状態となり、反対にノーマリーオンの場合には外力が加わることによりオフ状態となることとする。
上記構成によれば、電磁界エネルギーをセンサ駆動用の電力として供給するためのコイルとコンデンサなどから構成される共振回路、またはアンテナを接続するとともに、少なくともひとつの入力端子を設け、この端子に入力があった際に始めてデータを送信するようにする。これにより、外部から接触があった時のみデータを送出するので、伝送路のトラフィックを低減することができる。
【0007】
さらに、上記構成によれば、記憶手段から読み出したデータに基づいて、抵抗器を前記共振回路に接続、非接続状態とすることで、共振回路のインピーダンスを変化させ、この変化によって接触を容易に通知することが可能となる。
【0008】
また、上記記載の接触センサは、前記第1のスイッチング素子が、オン時に接続する端子を複数有し、前記第1のスイッチング素子は、外部から加えられる力に応じて接続先の前記端子を変更し、前記記憶手段には、前記第1のスイッチング素子の接続状態に応じてそれぞれのデータが格納され、前記データ出力手段は、現時点での前記第1のスイッチング手段の接続状態に応じて該当するデータを前記記憶手段から読み出して、出力することを特徴とする。
上記構成によれば、外部から加えられている力に応じて第1のスイッチング素子が接続する入力端子の組み合わせを変更する。そして、データ出力手段は、その接続状態に応じて、送信するデータを変更できるようにするので、接触センサからより詳細な接触の情報を送ることができる。
【0009】
また、本発明の接触検出装置は、前記接触センサが分散して配置されている接触センサ群と、各前記接触センサ群に対して電磁界エネルギーを供給するとともに、前記接触センサ群からの信号を受信して読み取る読取装置(リーダー2)とからなる接触検出装置において、前記読取装置は、前記接触センサ群を構成する前記接触センサの前記共振回路の共振周波数である電磁界を出力するアンテナと、前記アンテナのインピーダンスの変化から、各前記接触センサから送信されたデータを読み取るデータ処理手段とを具備することを特徴とする。
上記構成によれば、広範囲にわたって外部からの接触を検出することが可能となる。
【0010】
また、上記接触検出装置において、前記読取装置のアンテナは、同軸ケーブルに接続された複数の小型ループアンテナからなり、該小型ループアンテナは、それぞれの前記接触センサに対し、該接触センサが駆動するのに適した電磁界を同一強度で供給できる位置に設けられていることが好ましい。
また、上記接触検出装置において、前記読取装置のアンテナは、全ての前記接触センサに沿って配置され、各前記接触センサに非接触で設けられた平行2線路のアンテナであり、漏洩磁界によって、前記接触センサに対して均等な電磁界を供給することが好ましい。
【0011】
このように、本発明では分散して配置されたセンサ群に沿って、平行2線路や同軸ケーブルといった、基本的に2本の導体からなる伝送路を配置し、平行2線路からの漏洩電事界または同軸ケーブルに並列に接続された小型のアンテナ群から、電磁界としてセンサ群の駆動に必要な電力を供給すると同時に、この伝送路をセンサからのデジタル信号を伝達する伝送路として兼用する。これにより、従来必要とされていた膨大な配線を置き換えることが可能である。
【0012】
また、上記接触検出装置の前記接触センサ群の各接触センサにおいて、前記記憶手段には、該接触センサ固有のデータが格納され、前記データ出力手段は、前記第1のスイッチング手段の状態に応じて、前記データを読み出して出力し、前記読取装置の前記データ処理手段は、前記接触センサ群を構成するそれぞれの接触センサに対応する固有のデータを保持しており、前記接触センサからデータを受信した場合に、受信したデータと前記保持しているデータとを比較して、データ送信先の接触センサを特定することを特徴とする。
上記構成によれば、接触センサ群のいずれかの接触センサからデータを受信した場合に、どの接触センサからのデータであるかを瞬時に識別でき、その接触センサが設けられている位置と照らし合わせることにより、どの箇所に外部からの接触があったかを速やかに認識することができる。
【0013】
また、上記接触検出センサの前記接触センサ群の各接触センサにおいて、前記データ出力手段は、予め設定されている当該接触センサ固有の期間毎に、前記第1のスイッチング素子の状態に応じたデータを前記記憶手段から読み出して出力することを特徴とする。
上記構成によれば、複数の接触センサから同時にデータが送信された場合でも、次回のデータ送信のタイミングにおいて、どの接触センサからの送信データであるかを認識することが可能となる。
【0014】
また、本発明は、前記接触検出装置が取り付けられたロボットにおいて、前記接触検出装置からの信号に基づいて前記ロボットの各部を制御することを特徴とするロボットである。
上記構成によれば、接触センサに対する電源供給線、グランド線、データ送信線等の接続を必要とせず、無線により外部からの接触を検出することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
図1に本発明の一実施形態による接触センサの構成を示す。同図において、符号1は接触を検知する接触センサ、符号2は磁界を発生し、接触センサ1から送信されるデータを読み取るリーダーである。
接触センサ1はコイルL1及びコンデンサC1からなるLC共振回路と、LC共振回路で発生した誘導起電力を電源として動作する半導体チップ11とから構成されている。
【0016】
上記半導体チップ11において、符号RF1、RF2は半導体チップ11とLC共振回路とを接続する接続端子、符号12はLC共振回路で発生した誘導起電力を自己の動作電力に変換する電源回路、符号13はデータを格納するメモリ、符号14はメモリ13に格納されているデータに基づいてパルス信号を発生するデータ送信回路、符号15はコンデンサC1と並列に接続され、データ送信回路14から出力されるパルス信号によって駆動される第2のスイッチング素子としてのFETである。符号16は、FET15とコンデンサC1の間に直列に接続された負荷抵抗である。また、電源回路12の出力端子Vddとデータ送信回路14の入力端子Sns1は第1のスイッチング素子としてのスイッチSW1を介して接続される。
【0017】
一方、リーダー2において、符号21は磁界を形成するとともに、接触センサ1からのデータを受信するアンテナ(コイル)、符号22は、アンテナ21で受信した接触センサ11からのデータを復調して取り出すデータ処理装置である。
ここで、アンテナ21は接触センサ1のLC共振回路の共振周波数に相当する高周波磁界を常時発信している。
【0018】
次に、図2に上述の接触センサ1の外観図を示す。この図において、図1と対応する各部には同一の符号が付されている。触覚部30は、例えば針金やピアノ線等からなり、この触覚部30とスイッチSW1(図1参照)との接続部にはスプリング(図示略)が設けられ、触覚部30に加えられる力に伴って収縮する。
触覚部30に加えられる力が規定以上となり、スプリングが収縮してその先に接続されている機械的なマイクロスイッチであるスイッチSW1がONになる構成となっている。
また、コイルL1は図に示すように接触センサ1の基板上に印刷配線されている。
【0019】
次に、上述した接触センサ1及びリーダー2の基本動作、即ち接触をどのように検出するのかを具体的に説明する。
なお、以下の説明において、接触センサ1は任意の場所に取り付けられており、またリーダー2は、自らが発している磁界を接触センサ1が十分な強度で受信できる位置に設置されていることとする。
【0020】
まず、触覚部30(図2)に所定以上の力が加わることにより、図1に示したマイクロスイッチSW1がONすると、入力端子Sns1に電源端子Vddから電力が供給される。これにより、制御回路14はメモリ13にアクセスし、所定のエリアに格納されているデータを読み出し、このデータに基づいて一定のデータレートでFET15を駆動する(ON/OFFさせる)。なお、このデータのビットコーディングは、マンチェスタ符号、ミラー符号など各種のものから選択することが可能である。
【0021】
FET15がON/OFFすることにより、LC共振回路に並列に接続された負荷抵抗16が接続・非接続状態となり、LC共振回路のQ(Q=R√(C/L))が大きく変化する。接触センサ1のコイルL1とリーダー2のアンテナ(コイル)21との間には、それぞれ相互インダクタンスが発生する結果、このQの変化はコイル21のインピーダンス変化として検出される。データ処理装置22は、このインピーダンス変化を振幅変調信号として取り出すことにより、接触センサ1から送信されてきたデータを受信することができる。この結果、データ処理装置22は接触センサ1に何かが接触したことを検知する。
上述したように、本実施形態ではリーダー2が接触センサ1から送信されてきたデータを読み取ることにより、接触を検出することができる。
なお、本実施形態において、スイッチSW1の通常状態をオフ状態(ノーマリーオフ)とし、外部からの接触があった際にスイッチSW1がオンされることにより、接触センサ1はデータを送信して接触があったことをリーダー2へ通知するが、反対に、スイッチSW1の通常状態をオン状態(ノーマリーオン)とし、外部から接触があった際にスイッチSW1をオフ状態とすることによってリーダー2へのデータ送信を断絶させ、これにより外部の接触をリーダー2へ通知するような構成とすることも可能である。
【0022】
次に、上述した本発明の第1の実施形態による接触センサを複数有し、広範囲にわたって外部からの接触を検出する本発明の接触検出装置について説明する。
【0023】
上述した本発明の接触センサ1を用いて広範囲にわたって外部からの接触を検出しようとすると、接触検出範囲に任意に接触センサ1を分散して配置しなければならないため、リーダー2は常にこれら全ての接触センサ1へ対して、当該接触センサ1が駆動可能となる電磁界を供給する必要がある。このため、それら各々の接触センサ1へ所定の磁界を供給するために、大変大きなアンテナ21を設けるか、あるいは、アンテナ21の高周波出力を上げなければならない。
【0024】
しかしながら、リーダー2のアンテナ21を大きくすると、一つの接触センサ1からの送信データの強度は相対的に弱くなるため、信号のS/N比が悪化し、データの検出が困難になってしまうという問題が生じてしまう。また、リーダー2の高周波出力を上げると、他の制御系やアナログ系の回路に対してノイズや異常電圧を誘起してしまい、システムの動作を不安定にするという問題が生じてしまう。また、リーダー2のアンテナ21が発する磁界強度は、遠方にいくほど弱くなるため、遠方に敷設されている接触センサ1からのデータを読み取ることが困難になるという問題が生じてしまう。
【0025】
そこで、これらの問題点を解消すべく、本発明の接触検出装置においては、リーダー2のアンテナ21を次のような構成とすることで上述の問題点を解決した。
図3に、本発明の第1の実施形態による接触検出装置の全体構成図を示し、図4に、図3に示したリーダー2におけるアンテナ21の接触センサ1近傍の拡大図を示す。
【0026】
図3に示すように、第1の実施形態における接触検出装置では、まず同軸ケーブル31を接触センサ1に沿って這わせ、その終端(データ処理装置22と反対側の終端)には、データ処理装置22の送信側から見たインピーダンスをデータ処理装置22のインピーダンスに一致させるための可変終端抵抗32を取り付ける。
各接触センサ1が配置された近傍においては、図4に示すようにT型のBNCコネクタ42を取り付け、その先に小型のループアンテナ31を取り付けることにより、局部的に磁界を発生させ、接触センサ1との電波的な結合を得る。
【0027】
また、上述の同軸ケーブルに代わって、図5に示すように平行2線路を使用することも可能である。この場合、平行2線路からの漏れ磁束と接触センサ1が結合することで、接触センサ1への電力供給、及び信号の受信が可能となる。なお、図6に、この平行2線路を使用した場合の断面図を示す。
【0028】
上述したように、アンテナ21を構成することにより、磁界を局部的に発生させることができるため、大きなアンテナ(コイル)を使う場合に比べて、信号強度を強くでき、また同軸ケーブルを延長させることにより、通信距離にも実質的に制限がないという利点が得られる。
加えて、上記構成からなるアンテナを使用することにより、各接触センサ1に同強度の磁界を供給することができ、また接触センサ1からのデータ受信も同様に可能となる。これにより、広範囲に渡る接触の検出が容易に実現できる。更に、接触センサ1の増設にも柔軟に対応することができる。
【0029】
次に、本発明の接触検出装置の動作について図3を参照して説明する。
【0030】
図3において、今、64個の接触センサ1が任意に配置されているとする。これら各接触センサ1には、データ処理装置22に近い位置から順に、接触センサNo.1、No.2、・・・、No.64という識別番号が付してあり、各接触センサ1の半導体チップ11内のメモリ13には、接触センサ固有のデータ、例えば、接触センサNo.1であれば”0000 0040 0080”、接触センサNo.64であれば”003F 007F 00BF”といったデータが格納されているとする。
更に、各接触センサ1には、それぞれ異なる休止時間が設定されている。この休止時間とは、一回のデータ転送が終了した後に、再度データ転送を行うまでの期間である。上記データは16進表記で表わされており、各接触センサ1のデータ転送速度は80kbpsとする。即ち、16bitのデータは約200μsecで送信を完了することとなる。図7にメモリ13に格納されているデータの一例を示す。
【0031】
上記構成からなる接触検出装置において、接触センサNo.5及びNo.40の触覚部30に同時に約1秒間程度、外部から接触があった場合について以下、具体的に説明する。
まず、外力が加わることによりそれぞれのスイッチSW1がオンされ、これにより、入力端子Sns1に電源端子Vddの電圧が印加される。かかる動作により、No.5のデータ送信回路14は、データ”0004 0044 0084”(図7参照)を、接触センサNo.40のデータ送信回路14は、データ”0027 0067 00A7”(図7参照)をそれぞれメモリ13から読み出し、このデータに基づきFET15を駆動する。これにより、リーダー2のデータ処理装置22へ接触センサNo.5とNo.40からその接触センサ固有のデータが略同時に送信される。
【0032】
続いて、接触センサNo.5のデータ送信回路14は、予め設定されている休止時間100msecの休止の後、再度スイッチSW1の状態を確認する。ここで、スイッチSW1はいまだオン状態であるので、データ送信回路14は再度データを送出する。
同様に、接触センサNo.40のデータ送信回路14は、予め設定されている休止時間89msecの後、再度スイッチSW1の状態を確認する。接触センサNo.40のスイッチSW1も引き続きオン状態であるので、データ送信回路14は再度データを送出する。これにより、リーダー2のデータ処理装置22へ接触センサNo.5及びNo.40から、再びデータが送信される。このように、各接触センサは、データ送信後、予め設定されている休止時間データ転送を中止し、その後、再度スイッチSW1の状態を確認して、そのSW1の状態に応じたデータをメモリ13から読み出して出力する。この動作は、スイッチSW1がオフ状態となるまで、即ち入力端子Sns1に電圧が検出されなくなるまで繰り返し行われる。
【0033】
次に、図8に上述の一連の動作によってリーダー2のデータ処理装置22が受信した信号波形を示す。なお、ここでは、第1の受信信号〜第4の受信信号を示した。
図8において、t1は第1回目にデータを受信した時刻、t2は第2回目にデータを受信した時刻、t3は第3回目にデータを受信した時刻、t4は第4回目にデータを受信した時刻である。
【0034】
この図から分かるように、第1回目に受信した信号と、第2回目に受信した信号においては、No.5の接触センサとNo.40の接触センサとから略同時にデータ送信が行われたため、この二つのパケットが衝突してしまい、データ処理装置22はデータを正しく読み取ることが不可能である。しかしながら、接触センサNo.5の休止時間が100msec(図7参照)であるのに対して、接触センサNo.40の休止時間が89msec(図7参照)であることから、第3の受信信号及び、第4の受信信号においては、いずれの信号とも衝突していないため、データ処理装置22はこれらの信号を正確に認識することが可能となる。
【0035】
なお、データ処理装置22内の記憶部(図示略)には、各接触センサと該接触センサから送信されてくるデータとが対応づけられて格納されている。したがって、データ処理装置22は、受信したデータを復調し、復調した16進表記のデータ“0005”、“0027”を記憶部に格納されているデータと比較することによって、データ送信元の接触センサが、No.5及びNo.40であることを認識することができる。
【0036】
なお、データ送信の休止時間は、各半導体チップ内部の発振器のCR発振器でダウンカウンタを動作させ、これが0になることで判断することができ、また、ダウンカウンタの値を適当に操作することで、ここのチップの休止時間を容易に調節し、ばらつきを持たせることができる。また、本実施形態において、データのピットコーディングはマンチェスター符号である。
【0037】
また、本実施形態においては、伝送される信号にエラーチェック符号などは付け加えなかったが必要に応じて、CRC符号などのエラー検出符号や、エラー訂正符号などを付加することもできる。
【0038】
また、本実施形態においては、スイッチSW1が接触する端子として、入力端子Sns1を設けたが、更に複数の入力端子Sns2、Sns3・・・を設け、この入力端子Sns2、Sns3・・・に対応するデータをメモリ13内の所定のエリアにそれぞれ格納しておく。そして、触覚部30に加えられる外力によって、スイッチSW1によって接続される入力端子を変化させることにより、リーダー2には、現在その箇所に加えられている外力まで詳細に検出することが可能となる。なお、複数の上記入力端子に印加される電圧を組合せることにより、外力の大きさを検出することとしても良い。
なお、それぞれのメモリ13に格納されるデータ、休止時間は、上記記載に限定されず、設計上適宜変更できるものとする。
【0039】
また、上記実施形態においては、入力端子(Sns1、Sns2・・・・)に電圧が印加された場合にのみ、リーダー2へデータを転送するため、データの伝送頻度を最小限におさえることができる。これにより、伝送路のトラフィックを低減させることが可能となる。
【0040】
次に、上述した本発明の第2の実施形態による接触検出装置の応用として、接触検出装置を適用したロボットについて図9を参照して説明する。
図9において、符号71は当該ロボットの上腕にあたる筐体、符号72は前腕にあたる筐体である。筐体71は台座73に固定されており、その台座73には接触センサ1に電力を供給するためのデータ処理装置22(図1参照)が設けられている。このデータ処理装置22には同軸ケーブルが接続され、これが筐体71、72の内部を通過し、筐体71、72のジョイント部である肱の部分では、筐体の外部に取り出されている。筐体71、筐体72にはそれぞれ12個の接触センサ1が略等間隔で取り付けられ、図4あるいは図5に示した形状のアンテナ(コイル)41、51によって接触センサ1に電力が供給されている。筐体71、72の表面には接触センサ1の触覚部30が突出しており、外力を検知するような構成となっている。
【0041】
それぞれの接触センサ1は16bitのメモリ13を持っており、筐体71に取り付けられた接触センサ1のそれぞれのメモリ13には、最初の8bitに”&H01”が、続く8bitには図中で左上→右上→右下→左下の順で、”&H00〜&H0B”のシリアル番号が書き込まれている。また、筐体72に取り付けられた接触センサ1のそれぞれのメモリ13には、最初の8bitに”&H02”が、続く8bitには図中で左上→右上→右下→左下の順で、”&H00〜&H0B”のシリアル番号が書き込まれている。
【0042】
上記構成からなるロボットにおいて、筐体71、筐体72に外部から接触があると、外力が加わった接触センサ1のSW1がONし、図1に示した電源端子Vddと入力端子Sns1が接続される。これにより、データ送信回路14はメモリ13に格納されているデータを読み出して、このデータに基づいてFET15を駆動する。かかる動作による接触センサ1のQの変動は、アンテナ21のインダクタンスの変化として台座74に設けられているデータ処理装置22に伝達される。データ処理装置22は、アンテナ21のインダクタンスの変化を読み取ることにより、どの接触センサからのデータであるかを認識し、接触を検知した接触センサの情報を台座73に設けられている筐体制御用の制御装置74へ出力する。制御装置74は、データ処理装置22から受信したデータに基づいて、その時点で最適と思われるシーケンスによりロボットアームを緊急停止する。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の接触センサによれば、電磁界エネルギーをセンサ駆動用の電力として供給するためのコイルとコンデンサなどから構成される共振回路、またはアンテナを接続するとともに、少なくともひとつの入力端子を設け、この端子に入力があった際に始めてデータを送信するようにする。これにより、外部から接触があった時のみデータを送出するので、伝送路のトラフィックを低減することができる。また、無線によって接触があったことを伝達することができるため、従来問題になっていたケーブルの屈曲の繰り返しによる断線、絶縁被覆と線材の摺動によるノイズの発生、ケーブルとセンサの電気的接続の劣化、センサ交換の際の手間がかかる等といった様々な問題を解消することができる。
【0044】
また、本発明の接触センサによれば、記憶手段から読み出したデータに基づいて、抵抗器を前記共振回路に接続、非接続状態とすることにより、共振回路のインピーダンスを変化させる。このように、本発明では、抵抗を接続、非接続状態とすることによって簡単にインピーダンスを変化させるので、複雑な装置などを必要としない。この結果、コスト低減を図ることができるという効果が得られる。
【0045】
また、本発明の接触センサによれば、外部から加えられている力に応じて第1のスイッチング素子が接続する入力端子の組み合わせを変更する。そして、データ出力手段は、その接続状態に応じて、送信するデータを変更できるようにするので、接触センサからより詳細な接触の情報を送ることができ、高精度な接触検出を行うことが可能となるという効果が得られる。
【0046】
また、本発明の接触検出装置によれば、分散して配置されたセンサ群に沿って、平行2線路や同軸ケーブルといった、基本的に2本の導体からなる伝送路を配置し、平行2線路からの漏洩電事界または同軸ケーブルに並列に接続された小型のアンテナ群から、電磁界としてセンサ群の駆動に必要な電力を供給すると同時に、この伝送路をセンサからのデジタル信号を伝達する伝送路として兼用する。
これにより、従来必要とされていた膨大な配線を置き換えることが可能である。
これにより、ケーブルの屈曲の繰り返しによる断線、絶縁被覆と線材の摺動によるノイズの発生、ケーブルとセンサの電気的接続の劣化、センサ交換の際の手間がかかる等といった様々な問題を解消することができる。
【0047】
また、本発明の接触検出装置によれば、接触センサ群の各接触センサは、その記憶手段に、接触センサ固有のデータが格納され、データ出力手段は、第1のスイッチング手段の状態に応じて、データを読み出して出力しするため、接触センサ群のいずれかの接触センサからデータを受信した場合に、どの接触センサからのデータであるかを瞬時に識別することができるという効果が得られる。
【0048】
また、本発明の接触検出装置によれば、複数の接触センサから同時にデータが送信された場合でも、次回のデータ送信のタイミングにおいて、どの接触センサからの送信データであるかを認識することが可能であるので、検出精度が高い接触検出装置を実現することができる。
【0049】
また、本発明のロボットによれば、無線によって接触を検出することができるので、複雑な配線を必要とせず、従来問題になっていたケーブルの屈曲の繰り返しによる断線、絶縁被覆と線材の摺動によるノイズの発生、ケーブルとセンサの電気的接続の劣化、センサ交換の際の手間がかかる等といった様々な問題を解消することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の接触センサの構成を示すブロック図である。
【図2】 同実施形態における接触センサの外観図である。
【図3】 本発明の接触検出装置のリーダーの形態を示す図である。
【図4】 本発明の接触検出装置におけるリーダーのアンテナ構成の一例を示す図である。
【図5】 本発明の接触検出装置におけるリーダーのアンテナ構成の一例を示す図である。
【図6】 図5に示したアンテナの断面図である。
【図7】 本発明の接触検出装置において、各接触センサのメモリに格納されているデータの一例を示した図である。
【図8】 本発明の接触検出装置において、同時に複数の接触センサからデータが送信された場合、データ処理装置によって受信された信号波形を示す図である。
【図9】 本発明の接触検出装置を取り付けたロボットの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 接触センサ
2 リーダー(読取装置)
11 半導体チップ
12 電源回路(電力生成手段)
13 メモリ(記憶手段)
14 データ送信回路(データ出力手段)
15 FET(第2のスイッチング素子)
16 負荷抵抗(抵抗器)
21 アンテナ
22 データ処理装置(データ処理手段)
30 触覚部
31 同軸ケーブル
41 ループアンテナ
42 T型分岐
71、72 筐体
73 台座
74 コントローラ
Vdd 電源端子
Sns1 入力端子
SW1 スイッチ(第1のスイッチング素子)
C1 コンデンサ
L1 コイル

Claims (8)

  1. 電磁界エネルギーをセンサ駆動用の電力として供給するための共振回路と、
    前記共振回路の誘導起電力から電力を生成する電力生成手段と、
    前記電力生成手段に接続され、外部から規定以上の力が加わった場合に、オンする第1のスイッチング素子と、
    前記第1のスイッチング素子がオンされた場合に、電磁界の変化によって接触を通知する接触通知手段と、
    センサ固有のデータが格納されている記憶手段と、
    を具備し、
    前記接触通知手段は、
    前記第1のスイッチング素子がオンされた場合に、前記記憶手段から前記データを読み出し、前記読み出したデータに基づく信号を出力するデータ出力手段と、
    前記データ出力手段から出力される信号に基づいて駆動される第2のスイッチング素子と、
    前記共振回路に並列に設けられ、前記第2のスイッチング素子によって、前記共振回路に接続、非接続状態となる抵抗器と、
    を具備することを特徴とする接触センサ。
  2. 前記第1のスイッチング素子が、オン時に接続する端子を複数有し、
    前記第1のスイッチング素子は、外部から加えられる力に応じて接続先の前記端子を変更し、
    前記記憶手段には、前記第1のスイッチング素子の接続状態に応じてそれぞれのデータが格納され、
    前記データ出力手段は、現時点での前記第1のスイッチング手段の接続状態に応じて該当するデータを前記記憶手段から読み出して、出力することを特徴とする請求項1に記載の接触センサ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の接触センサが分散されて配置されている接触センサ群と、各前記接触センサ群に対して電磁界エネルギーを供給するとともに、前記接触センサ群からの信号を受信して読み取る読取装置とからなる接触検出装置において、
    前記読取装置は、
    前記接触センサ群を構成する前記接触センサの前記共振回路の共振周波数である電磁界を出力するアンテナと、
    前記アンテナのインピーダンスの変化から、各前記接触センサから送信されたデータを読み取るデータ処理手段と、
    を具備することを特徴とする接触検出装置。
  4. 前記読取装置のアンテナは、
    同軸ケーブルに接続された複数の小型ループアンテナからなり、該小型ループアンテナは、それぞれの前記接触センサに対し、該接触センサが駆動するのに適した電磁界を供給できる位置に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の接触検出装置。
  5. 前記読取装置のアンテナは、
    全ての前記接触センサに沿って配置され、各前記接触センサに非接触で設けられた平行2線路のアンテナであり、漏洩磁界によって、前記接触センサに対して均等な電磁界を供給することを特徴とする請求項3に記載の接触検出装置。
  6. 前記接触センサ群の各接触センサにおいて、
    前記記憶手段には、該接触センサ固有のデータが格納され、
    前記データ出力手段は、前記第1のスイッチング手段の状態に応じて、前記データを読み出して出力し、
    前記読取装置の前記データ処理手段は、前記接触センサ群を構成するそれぞれの接触センサに対応する固有のデータを保持しており、前記接触センサからデータを受信した場合に、受信したデータと前記保持しているデータとを比較して、データ送信先の接触センサを特定する
    ことを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかの項に記載の接触検出装置。
  7. 前記接触センサ群の各接触センサにおいて、前記データ出力手段は、予め設定されている当該接触センサ固有の期間毎に、前記第1のスイッチング素子の状態に応じたデータを前記記憶手段から読み出して出力することを特徴とする請求項3〜請求項6のいずれかの項に記載の接触検出装置。
  8. 請求項3〜請求項7のいずれかの項に記載の接触検出装置が取り付けられたロボットにおいて、
    前記接触検出装置からの信号に基づいて前記ロボットの各部を制御することを特徴とするロボット。
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