JP4569797B2 - ボルト・ナットの結合・分離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮機やタービンなどの隣り合う回転部材同士をボルト、ナットで結合、分離するためのナット駆動工具に係り、特に航空機エンジンの圧縮機やタービンなどの狭隘な場所に設けられて隣り合う回転部材同士をボルト、ナットで結合、分離するナット駆動工具に関するものある。
【0002】
【従来の技術】
航空機エンジンの圧縮機やタービンなどの回転部材同士をボルト、ナットで結合、分離するには、通常、ラチェットレンチ(汎用工具)を使用して手動によりナットを締め付けて結合したり、締め付けを緩めて分離したりしている。
【0003】
図4はラチェットレンチ(汎用工具)の側面図で、航空機エンジンのタービンの回転部材同士をボルト・ナットで結合している状態を示している。図5はラチェットレンチの拡大斜視図である。図において、aはラチェットレンチである。bはラチェットレンチaの把持部である。cおよびdは内部がナット28と外嵌するソケットで、ラチェットレンチaの両端部に設けられている。27はボルトである。
【0004】
30は航空機エンジンのタービンである。31はタービン30の外側ケースである。32はタービン30の第4段タービンブレードで、一端にディスク33を他端にシュラウド34を有している。33aはディスク33のフランジ、33bはボルト孔である。35は第3段タービンブレードで、一端にディスク36を他端にシュラウド37を有している。36aはディスク36のフランジ、36bはボルト孔である。38は第4段タービンブレード32と第3段タービンブレード35の中間に設けられたノズルである。42はディスク33、36の組立用スタンド(治具)である。
【0005】
たとえば、第4段ディスク33と第3段ディスク36とをボルト27、ナット28で結合する場合、隣り合う第4段ディスク33のフランジ33aと第3段ディスク36のフランジ36a同士を当接し、フランジ33aの孔33bとフランジ36aの孔36bにボルト27を嵌入するとともに、ラチェットレンチaのソケットc、dのいずれか一方にナット28を内嵌し、狭隘な場所(結合部)に挿入してボルト27にナット28を嵌め込みラチェットレンチaの後端を把持して手動により揺動してナット28を締め付けて固定する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のラチェットレンチを把持して手動によりナットをボルトに締め付けて結合したり、締め付けを緩めて分離したりする場合、通常、ナットの結合部はタービンや圧縮機などの回転体内部の奥まった狭隘な場所にあるため、レンチの揺動範囲が大幅に制限されるため作業能率が悪く、多くの組立作業時間を必要とする。
【0007】
本発明は、従来技術のかかる問題点に鑑み案出されたもので、作業位置(結合部)が回転体内部の奥まった狭隘な場所にあっても、ボルト、ナットの結合、分離作業を容易に行うことができるので、組立作業時間を短縮して作業能率の向上を図ることができるナット駆動工具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のナット駆動工具は、トルクドライバに取り付けて使用するL字形状のナット駆動工具であって、工具底辺の本体フレームの先端には外周にギヤを有し内部がナットと外嵌するソケットが設けられ、工具の垂辺は内部に伝動軸を有する円筒状の伝動フレームに形成され、上記伝動軸とソケットとはギヤトレインによって連結され、ギヤトレインは伝動フレームに固着された本体フレームにより被覆され、伝動軸の基端はトルクドライバの先端の回転体に接続され、円筒状の伝動フレームの基端はトルクドライバに取り付けられているものである。
【0009】
次に、本発明の作用を説明する。航空機エンジンのタービンの隣り合うディスク同士をボルト、ナットで結合する場合、工具の本体フレーム先端のソケットにナットを内嵌し、本体フレームの先端を奥まった狭隘な場所に挿入してナットをボルトに嵌め込みトルクドライバの回転体を回転してソケットを回転させ、ナットを締め付けて固定する。ボルト、ナットを分離する場合は、トルクドライバによりナットを緩めて、上記結合する手順とはほぼ反対の手順で分離する。
【0010】
したがって、本体フレームを揺動する必要がないので、作業位置が奥まった狭隘な場所にあっても容易にボルトにナットを締め付けて固定することができるので、組立作業時間を短縮して作業能率の向上を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態にについて図面を参照して説明する。図1は本発明のナット駆動工具の図で、(A)は側面断面図であり、(B)は(A)のA−A矢視図である。図2は本発明のナット駆動工具の側面図で、ナット駆動工具を用いてタービンのディスク同士をボルト、ナットで結合している状態を示している。図3は図2の一部拡大図である。なお、図4で説明した部材と同じ部材については、同じ符号を付して説明する。図において、1はナット駆動工具である。ナット駆動工具1は、底辺の本体フレーム6と垂辺の円筒状の伝動フレーム3によりL字形状をしている。2はナット駆動工具1を取り付けるトルクドライバである。トルクドライバ2は電動式で本体内にモータ43および電池44を収納している。45はトルクドライバ2の把持部である。2aはモータ43の軸の先端に連結した回転体である。2bは回転体2a先端の中心に穿設した孔である。なお、電池44に替えて電気コードにより給電して使用するようにしてもよい。
【0012】
ナット駆動工具1底辺の本体フレーム6は、上部フレーム6aと下部フレーム6bの2個のフレームで構成されていてボルト24、25により一体に固着されている。本体フレーム6の先端には外周にギヤを有し内部がナット28と外嵌するソケット17が設けられている。本体フレーム6の基端には駆動ギヤ8を外嵌した伝動軸5が設けられている。伝動軸5とソケット17とはギヤトレイン8Aによって連結されている。伝動軸5の先端5bには駆動ギヤ8が外嵌されており、駆動ギヤ8とソケット17との間には軸10に外嵌したアイドルギヤ9、9aと軸12に外嵌したアイドルギヤ11、11aと軸14に外嵌したアイドルギヤ13と軸16に外嵌したアイドルギヤ15が配設されてそれらがギヤトレイン8Aを構成しており、回転数を多段で数分の1に減速している。伝動軸5の後端5aは回転体2aの先端の孔2bに嵌入して固定されている。本体フレーム6の両端は半円形をしているので、狭隘な場所であっても円滑に出し入れすることができる。
【0013】
伝動フレーム3は、円筒状で、かつ、基端が拡径しており、その基端はトルクドライバ2の先端に設けられた基板4にトラスねじ26で固着されている。7は伝動フレーム3と上部フレーム6aの孔6cとの連結部に設けたベアリングホルダ7である。7aはベアリングホルダ7内に設けたボールベアリングであり、7bは下部フレーム6bに設けたボールベアリングである。ボールベアリング7a、7bにより伝動軸5の先端5bを支持している。20、21、22、は、軸10、軸12、軸14の両端に設けたスラスト受け板である。23はベアリングホルダ7に設けたスペーサであり、23aはベアリングホルダ7bに設けたスペーサである。
【0014】
次に、本実施形態の作用を説明する。航空機エンジンのタービン30の隣り合うディスク33、36同士をボルト28、ナット27で結合する場合、工具1の本体フレーム6先端のソケット17にナット28を内嵌し、本体フレーム6の先端を奥まった狭隘な場所に挿入してナット28をボルト27に嵌め込みトルクドライバ2の回転体2aを回転してソケット17を回転させ、ナット28を締め付けて固定する。ボルト27、ナット28を分離する場合は、トルクドライバ2によりナット28を緩めて、上記結合する手順とはほぼ反対の手順で分離する。
【0015】
したがって、本体フレーム6を揺動させる必要がないので、揺動のためのスペースが不要であり、作業位置が奥まった狭隘な場所にあっても容易にボルト27にナット28を締め付けて固定することができるので、組立作業時間を短縮して作業能率の向上を図ることができる。
【0016】
本発明は以上説明した実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。たとえば、上記ギヤトレインはギヤを互い違いに噛合したステップ型について説明したが、ギヤを真っ直ぐに噛合したストレート型であってもよい。また、航空機エンジンのタービンの例について説明したが、圧縮機であってもよい。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のナット駆動工具は、作業位置(結合部)が回転体内部の奥まった狭隘な場所であっても作業を容易に行うことができるので、作動範囲を拡大するとともに、組立作業時間を短縮して作業能率の向上を図ることができるなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のナット駆動工具の図で、(A)は側面断面図であり、(B)は(A)のA−A矢視図である。
【図2】本発明のナット駆動工具の側面図で、ナット駆動工具を用いてタービンのディスク同士をボルト、ナットで結合している状態を示している。
【図3】図2の一部拡大図である。
【図4】従来のラチェットレンチの側面図で、ラチェットレンチを用いてタービンのディスク同士をボルト、ナットで結合している状態を示している。
【図5】ラチェットレンチの拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 ナット駆動工具
2 トルクドライバ
2a 回転体
3 伝動フレーム
4 基板
5 伝動軸
6 本体フレーム
7 ベアリングホルダ
7a、7b、18、19 ボールベアリング
8 駆動ギア
8A ギヤトレイン
9、9a、11、11a、13、15 アイドルギア
10、12、14、16 軸
17 ソケット
30 タービン
31 外側ケース
32 第4段タービンブレード
35 第3段タービンブレード
33、36 ディスク
Claims (1)
- ディスクが水平になるように組立用スタンド(42)上に載置された航空エンジン(30)のディスク同士を締結するボルト・ナット(27、28)の結合・分離方法であって、上部に、横に延びた把持部(45)を有するトルクドライバ(2)の下端にL字形状のナット駆動工具(1)を取り付け、工具底辺の本体フレーム(6)の先端には外周にギヤを有し、内部がナット(28)と外嵌するソケット(17)が設けられ、工具の垂辺は内部に伝動軸(5)を有する円筒状の伝動フレーム(3)に形成され、上記伝動軸(5)とソケット(17)とはギヤトレイン(8A)によって連結され、ギヤトレイン(8A)は伝動フレーム(3)に固着された本体フレーム(6)により被覆され、伝動軸(5)の基端はトルクドライバ(2)の先端の回転体(2a)に接続され、円筒状の伝動フレーム(3)の基端はトルクドライバ(2)に取り付けられており、工具底辺の本体フレーム(6)に設けられたソケット(17)は上方に向かって開口しており、ナット(28)をエンジンに取り付けるときには、ナット(28)をソケット(17)上に載置して本体フレーム(6)を水平状態にして狭い隙間に挿入し、トルクドライバ(2)を駆動してナット(28)をボルト(27)下端に螺合させ、ナット(28)をエンジンから取り外すときにはボルト(27)に螺合したナット(28)にソケット(17)を外嵌させトルクドライバ(2)を駆動してナット(28)をボルト(27)から外し、ナット(28)をソケット(17)上に載置したまま水平に取り出すようになっていることを特徴とするボルト・ナットの結合・分離方法。
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