JP4567105B2 - 創傷治癒における真皮鞘組織 - Google Patents
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Description
皮膚は、身体の外表を覆い、様々な身体開口部で身体と消化管及び他の管の粘膜とを合併する、極めて複雑な器官である。皮膚は、身体からの水分喪失防止のような多様な機能を有するが、主として、物理的因子、化学的因子及び細菌因子が深部組織に及ぼす作用に対する保護障壁の役割をする。皮膚は弾性があり、手掌、足底及び耳のような2、3の領域を除き、下にある組織に緩く結びついている。皮膚の厚さは、眼瞼上の0.5mm(0.02インチ)から手掌及び足底上の4mm(0.17インチ)以上まで、様々である。
皮膚は、2層からなり(皮膚の薄片による解剖学的断面図を図解する図1を参照されたい)、比較的薄い(0.1mm)外層は表皮又は角質と呼ばれ、細胞数個の厚さであり、表面から絶えず剥離し、下の方から胚芽層と呼ばれる基底細胞層と置き換わる、外側の死細胞の角質層を有する。表皮は、細胞群の95%以上を構成するケラチノサイトで主として構成され、残りは、ランゲルハンス細胞やメラニン細胞のような樹状細胞を含む。皮膚は、本質的に細胞性かつ非脈管性であって、コラーゲン層及びケラチノサイト基底層の下の他のタンパク質を除き、細胞外基質は少ない。基底層のケラチノサイトは、絶えず分裂しており、その後、娘細胞は外に向かって移動し、そこで分化期間を経て、結局は、表面から剥離する。皮膚の内層は真皮と呼ばれ、コラーゲン細胞外物質の網様構造、弾性線維、血管及び神経で構成される。その中には、関連した皮脂腺を含む毛包(ひとまとめにして、毛包皮脂腺単位として知られている)及び汗腺が含まれる。表皮と真皮との界面は、極めて不規則であり、一連の乳頭、すなわち、指様突起(finger like projection)からなる。この界面に沿った基底表皮細胞の下に、特殊化した細胞外基質が、基底膜と呼ばれる異なる構造に組織されている。
哺乳類毛線維は、皮膚表面のすぐ下にある毛包として知られる組織の小さい栓の生成物である。前述の毛包の遠位部分は、皮膚の表皮と外部から直接続いている。毛包は、小さいものの、同心的シリーズに配置された、認識できるほど異なる層の高度に組織された系を含む。活性な毛包は、真皮、皮下組織(結合組織の緩やかな層)及び脂肪層を通って下に伸びる。
活性な毛包の基底には、表皮基質として知られる表皮細胞の逆さのカップに入っている真皮乳頭体として知られる多数の真皮細胞(図1を参照されたい)からなる、毛球がある。毛包のタイプと関係なく、毛線維は、数層の補完的な表皮層と共に、この表皮基質のまさにその基底で、生長力のある表皮細胞によって産生される。一番下の真皮鞘は乳頭基底茎と接触しており、そこから、真皮は組織の薄い外皮として毛基質の全ての表皮層を囲むように外側に湾曲しており、その後、毛包の長さに合った管又は袖のように続く。真皮鞘は、ほかには、結合組織鞘として知られる。
発生中の羽や毛包のような皮膚付属器は、皮膚の2層、すなわち、表皮と真皮の間の相互作用に依存する。胚の発生では、これらの層の間の逐次的情報交換によって、複雑な一連の形態生成過程が支えられ、成熟した毛包構造の形成が最高に達する。しかし、成熟に続いて、また一般の皮膚真皮細胞及び表皮細胞と対照的に、ある一定の毛包細胞群は、胚型の、誘導的で相互に作用する生合成的挙動を保持する。これらの性質は、周期的に増殖する非常に動的な毛包の性質に由来するようであり、その際に、繰り返される組織リモデリングは、胚の発生に極めて重大であり、また任意の形の組織再構成に望ましいため、高度の相互に作用する真皮−表皮情報伝達を必要とする。
毛線維は、活性な毛包の基底で、非常に高速で(ヒト頭皮毛包では1日に0.4mm、ラット鼻毛又はヒゲでは1日に1.5mmまで)増殖し、これは、毛包表皮における細胞増殖は、成熟組織で最も速いものの中に数えられることを意味する(1)。
毛包の最も動的な領域は、深く埋め込まれた終末球であり、そこでは局所的な真皮−表皮の相互作用が活性な線維成長を推進する。この同一領域は、毛線維又は付属器の、増殖期と退行期の間の明確な変化に関与する、発生的変化及び組織リモデリングにも重要である。活動における重要な役割を担うものとして、真皮乳頭体は、初期の生長力のある表皮細胞源からの毛線維形成を特徴づける複雑な分化プログラムを調整するようである(2-5)。一番下の真皮鞘は、乳頭基底茎より下で起始し、そこから外側及び上方に湾曲して、組織の薄いカップとして、表皮毛基質層の全てを外部から取り囲む(図1を参照されたい)。2層の間に挟まれて真皮鞘のすぐ内側にある表皮外側毛根鞘と同様、毛包の長さに合った管状配置として続く真皮鞘は、硝子膜と呼ばれる特殊化した基底膜である。外側毛根鞘は、下方毛包の表皮単層より少し多く形成するが、表面近くで次第に厚くなる。
草分け的研究で、終末球が切断されていたラットヒゲ毛包が、線維成長に必要なきわめて重要な要素の全てを再生することが証明された(6)。単離された真皮乳頭体は、in vivoで再移植したとき、完全に新しい毛包を誘導することができる点で、特に強力な相互に作用する能力を有することも証明された(2)。その後の実験で、ラットで発見されたことが更に裏付けられ(4,7-9)、マウス(10,11)、ヒツジ(12)を含む他種の乳頭が、同様の相互に作用する能力を有することが確認された。ヒト顔(13)及び液窩(14)の毛包が切断後、その場(in situ)で再生すること、ならびに、囓歯類宿主に移植されたヒト単離毛包(15)も、切断後、再生することが報告されている。さらなるin vitro試験で、ヒト毛包組織及び細胞は、囓歯類同等物でみられた、高度に特殊化した相互に作用する性質を示すことが強く示唆された(16)。
個々の解剖学的成分及び皮膚の細胞小集団は、それらの中での生化学的相互作用及びそれらの間における生化学的相互作用については確立されているが、制御機構は、その大部分が、推測の域を出ず、真剣な研究が残されている。
傷害、火傷、疾病又は大きな潰瘍によって、広範な領域の破壊が起こる。剥離された領域全体の皮膚の再生は、健常な損傷を受けていない皮膚の周縁及び基礎をなす付属器が残存しているとき、これらからの細胞増殖によって自然に起こる。創傷治癒の結果として自然に発生する具体的な臨床状の問題は、肥厚性瘢痕であり、新しいコラーゲン産生とコラーゲン破壊との均衡が釣り合っておらず、創傷を新しい表皮で覆うことが阻害される恐れのある瘢痕組織の過剰生産が認められる。これは、かなりよくみられることであるが、通常は鎮静する。しかし、悪化してケロイド瘢痕(成長し続ける細胞外基質塊)が生じる場合もある。
臨床的に軽微であればステロイドで治療することができるが、さらに重篤な場合は、治療することが極めて難しく、多くの場合、外科手術が行われる。しかし、剥離した又は損傷を受けた皮膚の面積が大きく、全層であれば、損傷を受けた領域の完全な被膜は、全層又は一部のいずれかの皮膚の切片を身体の離れた部分(ドナー部位)から剥離し、皮膚のむけた表面(レシピエント部位)に適用する、皮膚移植片の使用によって促進される。
一般に、移植片は、同一個体の身体から移植された皮膚(自家移植片)から採取されることに留意すべきである。成功した移植片では、先ず、損傷を受けた領域からにじみ出ている血清によって、次に、下にある組織から移植片への毛細管侵入によって、移植片に栄養分を与える。
移植片が移植された部位に関連した免疫原性によって、移植片の生存が影響を受けることは、長い間認められてきた。極端な一例として、メスは、主としてオス特異的(H−Y)抗原に対する反応のため、オス組織に極めて非寛容である(17)。皮膚は、これに関して、支持不足又は寛容不足である点で悪名高い(18,19)。
皮膚の生理学及び形態学を研究するための生育可能モデル及び/又は医用移植手技に使用することができる生育可能モデルを創ろうとして、多数のアプローチが追随した。
皮膚創傷モデルには、普通タイプの真皮支持体が4種類以上ある。
a)天然コラーゲン(細胞要素を除去するために処理され、次に再細胞化される真皮)、
b)コラーゲンゲル又は格子(lattices)(抽出されたコラーゲンから作られ、次に再構成される)、及び
c)再建されたコラーゲンと多くの細胞外基質生成物との極めて複雑な混合物(マウス腫瘍やサメのヒレと同様に多種多用な起源)。
d)バイオマトリックスで成長させ、細胞外基質を接着し、それ自身の細胞外基質を産生する、新生児又は幼若ドナーの皮膚線維芽細胞(したがって、低免疫原性)。これを、「生きた皮膚」として細胞型で、又は細胞により産生された細胞外基質を使用した細胞を含まない状態のいずれかで移植する。
これらの方法論は全て、普通の皮膚線維芽細胞、及び非生産モデル、又は正常な皮膚構造を本当に代表する代替品を使用する。さらに、これらの方法論は、非常に多くの時間を必要とし、準備に極めて多くの費用がかかる。
創傷治癒又は攣縮は、生理学的にも心理学的にも痛みを伴うことがある経過である。瘢痕形成は、形成異常や変形を来すことがあり、瘢痕組織形成の結果として、taughtness及び/又は癒着が、周囲の及び/又は下にある組織への損傷及び/又は部分的弾性及び/又は感覚の喪失を引き起こす場合がある。ヒトでは、全層の創傷/火傷/傷害/外傷と関連した問題の多くは、正常な厚さの真皮が回復せず、瘢痕領域に陥没及び/又は鋸歯状態が生じる恐れがあることである。ウサギの背中から大きい2cmの皮膚全層パッチを除去し、その部位が、ほんの2週間で、ほとんど見えない線である瘢痕に縮小することによって例証されるように、多くの動物は、ヒトより「緩い」皮膚を有し、より大きい収縮能力を備えている。したがって、収縮を助け/増進すると、瘢痕形成領域のサイズを縮小することが可能である。さらに、毛包密度が低い、すなわち、大きい活性毛包が少ない身体の他の部分の創傷治癒速度と比較して、ヒト頭皮の創傷治癒は速いという周知の現象は、筋線維芽細胞と同様、創傷収縮を助ける利用可能な真皮鞘細胞が多いことに起因するというのが、発明者らの考えである。この考えは、頭皮皮膚の迅速な治癒性は、この領域における大きい脈管構造に原因があるという一般的な見識に反する。
創傷攣縮は、皮膚が治癒する経過の非常に重要な部分であり、筋線維芽細胞と呼ばれる一過性の細胞群が、収縮によって損傷部位の閉鎖を遂行すると考えられる。筋線維芽細胞の正確な起源は同定されていないが、前述の細胞は、α平滑筋平滑筋アクチンの発現を特徴とする。毎年、合衆国のみで、200万人以上の人々が重篤な火傷を経験し、その多くは移植片を必要とするため、創傷治癒を改善するための発明には、直接的な利益及び広い用途がある。
人工皮膚移植片に対する幾つかの実験的アプローチが試みられ、たとえば、毛包間皮膚の培養で上皮シートを増殖させ、後日、ドナーに移植片を戻したが、この方法は、生命を維持したものの、シートが傷つきやすく、移動しにくいため、多くの場合、不満足であった。また、補完的な真皮が含まれていなかったので、正常な全層真皮が回復しないため、真皮の鋸歯状態が移植片部位に残った。これらのアプローチは単純なため、in vitroの研究用の皮膚モデルを十分に代表するものではなく、移植に関しては、患者自身の皮膚を回復することができたが、せいぜい、カバーの役割を果たすにすぎない。
コラーゲンゲル(皮膚線維芽細胞を含む又は含まない)で培養された皮膚基底細胞及び外側毛根鞘表皮細胞、又は、同じ究極的な目的を持つ、その他の天然又は合成の真皮代替物を使用した代替アプローチが試みられたが、これらのアプローチの多くも、通常は、生存又は正常な皮膚に似せることができないことに関連した個々の制限があった。従来技術のアプローチのうち、真皮成分と組み合わせた外側根表皮鞘細胞が、創傷患者に最善の結果をもたらしたことが強調されている。したがって、複雑な補完的な生化学的構成に要求される必需品であるが、現在のin vitro皮膚モデルは、以下の点で欠陥がある。
1)その表皮成分は、正常な分化を受けない、
2)基底膜と呼ばれる、皮膚の正常な生合成的真皮−表皮関門(一種の生物学的フィルターであり、メッセージプロセッサーである)が発生しない、
3)毛包や汗腺のような構成要素が欠けている、
4)もろく、取り扱いにくく、維持することができない、
5)組織空間を満たすことができないため、形成異常を防止することができない、
6)感染を予防しないか、あるいは生きた組織又は有効な組織を回復しないので、不撓性の非機能的瘢痕を生じることがある。
したがって、忠実なin vitro系に関して、また皮膚置換用の材料として、このモデル/代替物は欠陥がある。
この分野の最近の論文は、高水準の「生着」を促進する表皮移植片に適した適当なバッキング材料を試み、あるいは、発見するために、さらに多くの研究が切に必要なことを強調している。我々は、従来技術の失敗は、主として、皮膚全層を喪失したときに、表皮細胞が接着するための都合のよい創傷床真皮が欠如していることに起因すると提唱する。我々は、真皮鞘細胞が、この役割の天然の候補であり、成功する組織操作は、この職務に適した細胞を使用したときに起こるに過ぎないと考える。
全ての細胞タイプの中で最も重要なものは、各生物学的系の起源となるのもの、すなわち幹細胞である。幹細胞は、さらに分化された子孫細胞群を精力的に維持し、補給するからであり、また、幹細胞は、特殊化するにつれて、特徴のある機能を発揮するためである。さらに、この幹細胞は、その分布、挙動、及びそれらを規定する可能性のある因子に関して、一番理解されていない細胞である。かなりの数の純粋な未刺激、未分化の、初期幹細胞を成体器官から提供できれば、我々の細胞生物学の基本的理解に幅広い影響を与え、治療がさらに進歩するための積極的で有望なアプローチをもたらす見込みがある。
運良く、我々は毛包について研究し、創傷治癒を助け、増進する最も有利な方法に使用することができる、免疫寛容及び幹細胞特異的細胞潜在能力を備えた特異的な細胞群を同定した。
我々は、単純な形態の毛包細胞(群)が、以前には実証されなかった基底膜形成及び付属器特異的表皮分化を来す真皮−表皮組み合わせを提供すること(非常に基本的な培養条件で)、及びこれらの毛包細胞が、現在まで皮膚モデル系から欠けていたある重要な特徴を容易に示すことができることを発見した。毛包細胞に創傷治癒の適用候補としての素因を与える天然の性質としては、創傷筋線維芽細胞に似ていること、幹細胞型特性を示すこと、独特な胚型細胞外基質を産生すること、及びすばらしい再生能力及び誘導能力を示すことなどが挙げられる。
したがって、少なくとも3つの重要な領域(基底膜形成、天然に補完的な真皮上の正常な表皮分化、皮膚付属器の組込み)で、我々は、現在利用できる皮膚移植片代替物及びin vitro皮膚モデルに、即座に改良を加えることができる。したがって、特定の単離した組織又は細胞タイプ、すなわち、真皮鞘組織及び/又はそれに由来する細胞群を使用し、それらを再建された移植片又は移植片複合材を組込むことによって、従来技術に関する問題の多くを克服する、さらに適切な皮膚代替物を作ることができる。
したがって、本発明の目的は、自己由来の細胞/組織及び/又はそれらの性質を使用した、新規な創傷治癒システムを提供することである。
本発明のさらなる目的は、非自己由来の細胞/組織及び/又はそれらの性質を使用した、新規な創傷治癒システムを提供することである。
本発明のさらなる目的は、多様な潜在的用途がある、すなわち、急性及び/又は慢性及び/又は軽微な及び/又は重度の創傷治癒状況で使用される創傷治癒システムを提供することである。
本発明の第1の態様によれば、創傷治癒システム用の真皮鞘組織であるか、及び/又はそれに由来する細胞が提供される。
本発明の好ましい実施形態で、前述の真皮鞘組織及び/又は前述の細胞は、毛包の選択された部分、理想的には、その下方3分の1に由来し、さらに理想的には前述の毛包付近の環状に連なった細胞、理想的には内側にある環状に連なった細胞に由来し、最も理想的には前述の組織/細胞は、平滑筋アクチン陽性である。
本発明の好ましい実施形態で、前述の組織及びそれに由来する前述の細胞に、毛包由来の少なくとも1種の他の細胞タイプを提供するか又は組み合わせ、最も理想的には、真皮乳頭体を含む組織又はそれに由来する細胞組織と組み合わせる。この組合せは、我々の実験で、真皮乳頭体組織又はそれに由来する細胞が、創傷の閉鎖及び瘢痕組織の縮小を助けることが証明されているため、好都合である。
本発明のさらなる好ましい実施形態で、真皮鞘組織及び/又はそれに由来する細胞を組込んだ適当な基質材料、及び/又は、該組織及び/又は該細胞を中に埋め込んだ適当な基質材料、及び/又は、該組織及び/又は該細胞に関連した適当な基質材料、及び/又は、接着した適当な基質材料を含む創傷治癒システムが提供される。理想的には、前述の基質材料は天然コラーゲン、又は再構成されたコラーゲン又は再建されたコラーゲンと多くの細胞外基質生成物又は当業者に周知の任意の他の適当な基質材料との極めて複雑な混合物から構築されたコラーゲンゲル又は格子を含むものである。これらの基質材料の選択は、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
本発のさらに好ましい実施形態で、ウェブ材料及び適当な基質材料を含み、その材料の少なくとも1つが、真皮鞘組織及び/又はそれに由来する細胞を組込んだ及び/又は中に埋め込んだ及び/又は関連した及び/又は接着した、外科用包帯材が提供される。理想的には前述の外科用包帯材は定型的なものである。この選択は、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
本発明のさらなる好ましい実施形態で、真皮鞘組織及び/又はそれに由来する細胞用に適した担体を含む治療用組成物が提供される。理想的には、前述の担体は、抗菌性及び/又は殺菌性を有するように処方することができ、さらに理想的には成長促進用添加物及び/又は局所麻酔薬をさらに含む。理想的には、前述の治療用組成物は、適当な担体溶液、ゲル、クリーム又は皮膚軟化剤に懸濁した真皮鞘細胞の形で局所適用するように改変することが可能であり、あるいは、前述の組成物は、注射で投与するように、したがって、担体溶液を含むように、改変することが可能であり、あるいはさらに、前述の担体を、プラスター又は包帯等々に組込むこと、及び/又は、プラスター又は包帯等々中に埋め込むこと、及び/又は、プラスター又は包帯等々に関連させること、及び/又は、プラスター又は包帯等々に接着することが可能である。
本発明のさらなる好ましい実施形態で、真皮鞘組織及び/又はそれに由来する細胞を組込んだ移植に適した基質材料、及び/又は、該組織及び/又は該細胞中に埋め込んだ移植に適した基質材料、及び/又は、該組織及び/又は該細胞に関連した移植に適した基質材料、及び/又は、該組織及び/又は該細胞に接着した移植に適した基質材料が提供される。
本発明の第2の態様によれば、真皮置換を必要とする皮膚傷害の治療に使用するための再建された移植片用の真皮鞘組織及び/又はそれに由来する細胞が提供される。
本発明のさらなる好ましい実施形態で、前述の組織及び/又は細胞に、少なくとも1種の他の細胞タイプをさらに提供するか又は組み合わせ、前述の細胞タイプは毛包に由来し、理想的には真皮乳頭体組織及び/又はそれに由来する細胞を含む。
本発明のさらなる好ましい実施形態で、理想的には、及び場合に応じて、皮膚に由来する少なくとも1種の他の細胞群と組合せて、in vitroモデル製作に使用するための真皮鞘組織及び/又はそれに由来する細胞が提供される。
本発明の第3の態様によれば、急性及び/又は慢性及び/又は軽微な及び/又は重度の創傷治癒及び/又は軟骨組織修復及び/又は骨修復及び/又は筋肉修復及び/又は結合組織修復及び/又は血管修復の治療に使用するための本明細書に前述した創傷治癒システムが提供される。
本発明の第4の態様によれば、保護用の細胞/被膜層を提供するために改変した真皮鞘組織及び/又は細胞が提供され、前述の細胞/被膜層被膜の層は、患者/レシピエントに同種移植される器官上又は器官付近に適当に配置される。本発明のこの態様で、真皮鞘組織及び/又はそれに由来する細胞の免疫保護性が活用される。
上述の本発明の態様のいずれでも、前述の真皮鞘組織は自己に由来してもよく、さらに好ましくは非自己に由来してもよい。
要するに、この組織及び/又はそれに由来する細胞は、創傷収縮、創傷真皮置換(創傷の部位によって様々な真皮タイプの置換を含む)、創傷強度及び状態の亢進、補完的表皮の成長、瘢痕環の縮小に関与することが証明されているため、真皮鞘組織及び/又はそれに由来する細胞には、創傷治癒及び/又は創傷モデルで果たす重要な役割があると、発明者らは考える。事実、この組織タイプ及び/又は真皮乳頭体細胞との組合せは、無瘢痕創傷治癒を招来することができ、さらに、この組織タイプは、低温で長期間保存することができ、なおかつ、前述の性質を保持することができ、したがって、創傷治癒治療剤及び創傷細胞モデルを用意に製造して、将来的な使用のために保存することができる。さらに、この組織及び/又はそれに由来する細胞は、極端なストレスを受けている培養中に長期存在することができ、したがって、この種の創傷治癒治療剤及び/又は創傷細胞モデルは、その生命力、保存に関する別の都合のよい利点、及びその後の適用において、頑丈である。
次に、以下の図に関連した例として、本発明の実施形態を説明する。
図1は、皮膚のスライドによる解剖学的断面図を表す線図である。
図2は、手順を表す線図である。
図3は、図2eに星印(*)で印をつけて示した、男性頭皮毛包終末球から顕微解剖した単離した真皮乳頭体(P)及び鞘(S)組織の画像的証拠を表す図である。
図4は、小さいシリコンゴムカラーで保護した、男性真皮鞘を移植された女性皮膚創傷のすぐ近くで産生された2つの毛線維の画像的証拠を表す図である。
図5は、シリコンカラー(及びプラスター付属装置)を外した後の、図4の画像的証拠を表す図である。
図6は、アルシアンブルー−陽性染色乳頭(P)を表す、誘導された毛包の終末球領域を通る組織学的切片の図である。
図7は、Y染色体特異的DNAプローブとin situハイブリダイゼーションした後、ジゴキシゲニン標識によってわかる、陽性に染色した、誘導された毛包の下部の画像的証拠を表す図である。
図8は、図7のネガティブコントロールの役割をし、ジゴキシゲニン結合したY染色体プローブで全く染色されない女性の皮膚を表す組織切片の画像的証拠を表す図である。
図9は、Y染色体特異的DNAプローブとin situハイブリダイゼーションした後、緑色発蛍光団マーカーでわかる、陽性に染色した、誘導された毛包の下部の画像的証拠を表す図である。
図10は、図9のポジティブコントロールの役割をする組織切片の画像的証拠を表す図である。
図11は、長期[24日]移植片の側面の高拡大倍率の画像的証拠を表す図である。
図12は、異なる間葉細胞に分化することができる真皮鞘細胞の画像的証拠を表す図である。
(A)長期培養した(1年以上)ヒト真皮鞘細胞。
(B)筋芽細胞(筋肉様)様式で融合したとみられる真皮鞘細胞。
(C)真皮鞘細胞培養中の筋管様構造。
(D)脂肪細胞(脂肪産生)細胞。
(E)軟骨細胞(軟骨組織タイプの)細胞。
(F)無機物産生骨前駆細胞−フォン・コッサ(Von Kossa)染色。
(G)α平滑筋アクチンについて免疫組織化学的に標識された真皮鞘細胞。
(H)平滑筋ミオシンについて陽性に染色されたヒト真皮鞘細胞。
(I)デスミンについて陽性に標識された真皮鞘細胞。
図13は、損傷を受けていない組織と別種の主な標識細胞群から離れた真皮鞘細胞が、損傷を受けていない組織の単離毛包を取り囲んだ、創傷周縁の皮膚の画像的証拠を表す図である。
実験的アプローチ
組織分離
頭皮皮膚の小さいパッチ(約1.5cm2)を雑に剃り、その後、引く抜くことができるように若干の線維を露出したままにしておいた。その領域を消毒剤溶液で拭き、アドレナリンにリグノカインを加えた麻酔注射を局所投与してから、毛包の方向に適した角度で、直径6mmのパンチ生検材料を採取した。逆生検材料から、露出した毛包の最も近位の先端(長さの5分の1下)を、解剖顕微鏡(Zeiss)下で切断し、4℃の最小必須培地(Gibco)1滴に移した。横に切断した毛包から毛線維を引き抜いた後、生検材料を本来の頭皮皮膚部位に戻し、治癒させた。この最初の手順は、約20〜25分間続いた。手順の線図を示す図2(a、a1、b、b1及びc)を参照されたい。
最も外部の終末球真皮層を逆さにし、表皮基質(未分化の組織を含む)をこすり落して捨てた(図2d)。基底茎切断によって単離された真皮乳頭(図2e)を、新鮮な培地にプールした(図2h)。次いで、薄い外側の結合組織の被膜を鞘真皮片からそぎ、同様に、新鮮な培地にプールした(図2g及び2i)。図3は、図2に(*)で印をつけて示した、男性の頭皮毛包終末球から顕微解剖した単離真皮乳頭体(P)及び鞘(S)組織顕解剖の画像的証拠を表す図である。
移植
この手術は、実質的に知覚できないほど侵襲性が少なく、したがって、局所麻酔前処理は必要がないと考えられた。このため、麻酔薬が、移植すべき少量の傷つきやすい真皮に悪影響を及ぼしかねないという恐れがなくなった。
女性のレシピエントの前腕内側に、外科用メスの先端で、小さく浅い創傷を作り、非常に細い(No.5)時計職人用ピンセットの先端を使用し僅かに広げた(図2j)。少量の血液又は体液が浸出した場合(数少ない)、滅菌脱脂綿ボールを使用して、これを吸収した。2組の手術を実施した。
第1に、終末球を生検材料から除去してから約10時間後に、毛包12個に由来する真皮鞘組織を2つの創傷部位に移植した(それぞれ6個ずつ)。第2に、生検の約20時間後に、真皮鞘11片を1つの創傷部位に移植し、真皮乳頭9個を第2の創傷部位に移植し、乳頭2個(ピンセットにくっついため、別々に移植しなおさなければならなかった)を第3の創傷部位に移植した。全ての場合に、ピンセット端の皮膚に材料を速やかに挿入できるように、できる限り少量の体液中に材料を採取して、創傷部位に直接移した。最初は、創傷を治療せず、露出したままにしておいた。移植した部位から現れる毛線維が見えたとき、(3〜4週間後)、縁付きの小さいシリコーンリングをその上に置き、剥脱から保護するための警戒手段として、外科用テープを使用して固定した。小さいシリコーンゴムカラーで保護した、男性真皮鞘を移植された女性皮膚創傷のすぐ近くで産生された2つの毛線維の画像的証拠を表す図である図4、及びシリコーンカラー(及びプラスター付属装置)を外した後の、図4の画像的証拠を表す図である図5を参照されたい。
鞘組織移植から77日後に、第1組の創傷部位2個の生検を、1片の長円形の皮膚として一緒に実施し、直ちに、用時調製したpH7.3の4%パラホルムアルデヒドで固定した。第2組の創傷(最初の創傷の3ヶ月後に作った)を同様に治療し、術後42日に、2つの小さい(4mm)パンチ生検材料として除去した(母斑の隣に置くことによって、より精確に位置が特定される)。詳細な外側の観察結果、及び男性ドナーの頭皮及びレシピエント女性の腕皮膚部位の写真記録を、一定間隔で実施した。
発蛍光団標識Y染色体プローブ[Imagenetics]
スペクトル緑色発蛍光団標識調査プローブ(Imagenetics)は、高度に繰り返されるヒトサテライトDNA由来の染色体特異的配列で構成されていた。組織切片の標的DNAを、70℃の70%ホルムアミド/2×SSCで10分間変性させた。その間に、SpectrumCEPハイブリダイゼーション緩衝液(硫酸デキストラン、ホルムアミド、SSC、pH7.0)7μl、SpectrumCEPプローブ(Tris−EDTA緩衝液中の発蛍光団標識調査プローブ及びブロッキングDNA)1μl及び5×ブロッキング溶液(上に詳述した通り)2μlを含むプローブ混合物を調製し、遠心分離して(1〜3秒)、75℃の水浴中で5分間加熱し、次いで、氷上に置いた。変性したスライドを70%、85%及び100%エタノールで洗浄し(各1分)、次いで風乾した。45℃に加熱した各スライドに、プローブ混合物10μlを載せ、次いで、シラン処理したカバーガラスを載せ、この縁をシールしてから、42℃の湿気の多い箱の中でスライドを18時間インキュベートした。ハイブリダイゼーション後、カバーガラスを外した後、50%ホルムアミド/2×SSC中で3×10分、2×SSC中で10分、及び2×SSC/0.1%NP−40中で5分、スライドを洗浄した(全て、Denhardts溶液、50μg/ml超音波処理サケ精子DNA、1%粉ミルク、及び0.1%Tween−20を含有し、全て45℃)。スライドを暗所で風乾し、ヨウ化プロピジウム対比染色剤(Imagenetics)10μl及びカバーガラスをそれぞれに加えた。
ジゴキシゲニン標識Y染色体プローブ[Boehringer Mannheim]
各スライドに、ホルムアミド10μl[最終体積の50%]、4×ハイブリダイゼーション溶液5μl、プローブ[50ng]2.5μl、8×ブロッキング溶液2.5μlからなるハイブリダイゼーション混合物20μlを載せた。この混合物をシラン処理したカバーガラスで覆い、シールし、次いで、オーブン内で予め加温ておいたガラス板上、72℃で5〜>10分変性させてから、37℃の湿ったチャンバ内で一晩インキュベートした。スライドを、2×SSC中で5分間3回洗浄してから、1×ブロッキング溶液(上述の通り)及び1%Boehringerキットブロッカー試薬を含有するTBS 50ml中で30分間洗浄した(両者とも37℃)。
検出を促進するために、スライドを、TBS 50ml及び1%キットブロッカー試薬を含有する抗ジゴキシゲニンアルカリホスファターゼ複合体[200μg/ml]50μlに37℃で30分間移し、次いで、TBS中に溶解した0.2%Tween20中、室温で3×10分洗浄した。使用する直前に、NBT4.5μl、X−リン酸塩3.5μl及びレバミソール(Sigma)0.24mgをTris/NaCl/MgCl2緩衝液に加えた。
切片の数及びサイズに適した量を加え、ホイルで覆って加湿した箱の中で、スライドを、ダークブルー/紫色が現れるまで、室温でインキュベートした。反応を止めるために、スライドを、10mM Tris−Cl/1mM Na2 EDTA(pH8.0)中、室温で5分間すすいだ。
ヨウ化プロピジウムで対比染色する切片を、TBS 50ml+ヨウ化プロピジウム5μl[1mg/ml]中又は類似した濃度のアクリフラビンイエロー中、暗所、室温で5分間インキュベートし、流水中で2〜3分間洗浄し、次いで、暗所で風乾させた。最後に、この切片を、カバーガラスの下の抗退色溶液20μlに入れ、その縁をマニキュア液でシールした。
創傷収縮及び創傷閉鎖実験
コラーゲンゲル収縮実験
特定のヒト成人細胞群を、適当な組織(25〜45際の男性及び女性ドナーにおける先の手術の廃品)の精密な顕微解剖で単離し、これを使用して、体外培養生長による細胞培養を開始した。類似したアプローチを使用して、異年齢の囓歯類細胞も樹立した(以下に詳述する)。初代培養(ヒト及びラット)を、開始後約2〜3週間に継代し、実験は全て、その後、約2〜4週に、第2代又は第3代細胞のいずれかを用いて実施した。
成体ラット尾腱から1型コラーゲン溶液を調製した。(20,21)。簡単に記載すると、U.V./エタノール滅菌した尾腱1gを、4℃の滅菌0.5M酢酸300ml中で48時間攪拌した。このようにして得られた溶液を、次には数層の滅菌ガーゼを通して濾過し、2500gで3時間、遠心分離し、蒸留水に対して24時間透析してから、さらに遠心分離した。このコラーゲン溶液と、その体積の10分の1の10倍濃縮したMEM及びこの体積の約半分の4.4%NaHCO3とを混合し、最終pHを7.3にすることによって、コラーゲンゲル(37℃に設定)を調製した。各個体群を同じ密度(コラーゲンゲルml当たり105細胞)で播種し、その1.5mlを、37℃の各35mmペトリ皿に入れ(95%空気/5%CO2)てセットし、MEM約0.5mlで覆った(時刻=0と考える)。各細胞タイプについて、20〜24個の離れたコラーゲンゲルの直径を、4〜6時間毎に、5日間、記録した。ゲルが収縮すると、さらに培地を少量加えた。
皮膚の切り口の「癒着」を調査するために、実験をさらに実施した。細長いヒト皮膚片に、その長さの四分の3を横切って垂直に、又は表皮の真下で水平にまっすぐのいずれかの、標準化された切断を行った。その切断面を皮膚線維芽細胞、真皮乳頭体、真皮鞘又は平滑筋細胞のいずれかと一緒に押しつけ(ゴム製のスクレーパで集めて、生育可能細胞の「粘着性の」塊にしておいた)、その後、その間に挟んだ。非常に密集したペトリ皿の細胞は、より粘着性のある細胞堆積物を産生するため、数が少ないものよりはるかに優れた供給源である。皮膚片は全て、37℃、湿気の多い大気中、永久的に湿った表面上であるが、決して培地に浮かんだり、培地中に沈んだりしない非液環境で培養した。
真皮鞘組織の保存
真皮鞘組織/細胞の低温保存、さらに、優先的生存能を有する幹細胞タイプの特徴を強調するために、真皮鞘組織/細胞を悪条件下におくこと。
ヒト皮膚試料(すぐ上に詳述した通り)を清浄にし、適当に顕微解剖して、(a)3mm2の全皮膚(b)単離された毛包、(c)鞘真皮の薄い層とORS表皮の薄い層との間に挟まれた硝子膜のフラグメント、及び(d)真皮鞘細胞の初代培養(上述の通りに調製した)を提供した。以上の4レベルの組織複雑物を、6つの異なる形の悪条件に供した(それぞれ、血清、及び/又はグルコース及びグリセロールを含んで又は含まずに繰り返される):(i)4℃での長期低温保存、(ii)−20℃’で凍結/解凍周期を繰り返す、(iii)DMSO中、−80℃で凍結/解凍保存を繰り返す。
結果
鞘移植
真皮鞘組織が移植されたすべての部位が、表在性皮膚病変を代表すると思われる方式で急速に治癒した。部位が乾燥するにつれて、細かく幅の狭い痂皮が形成して次の2〜3週間でなくなり、非常にかすかな創傷が残ったが、10日目ぐらいまでに、ほとんど知覚できなくなった。創傷内又は創傷付近の炎症反応の体外兆候も、部位の肉体的知覚もなかった。腕皮膚の局所軟毛よりも黒ずんでおり、長さの割に不釣合いに丈夫であった線維の先端は、真皮鞘の導入後24日目に、はじめて確認された。移植後33日目に、最初の線維のすぐそばに、2番目の、非常に繊細な、色素沈着していない線維が出現していることが確認された。治癒部位のすぐ近くの皮膚表面の下に、色素沈着した物質の非常に明るい斑点も見えた。さらに、大きい線維の基底のすぐ後ろの皮膚の表面下に、物質の黒っぽい線も見えた。(図4及び図5を参照されたい)。これは、ほぼ確実に、露出された毛の長さの続きを表し、また、その毛を産生する毛包が浅く、局所毛包を基準にして異常な角度及び方向に埋め込まれていることがわかった。線維は、次の2〜3週間で質量及び長さが増加したが、これは、もっと明らかに頑丈な色素沈着した線維で顕著であり、したがって、形態学的に局所毛と異なる(図4及び図5参照)。この、より繊細な白い線維は、乾燥した細胞の薄い層(又は嚢)で覆われていたが、それ以外は、成長の程度や全般的な外観が隣接する非誘導毛に非常に似ていた。第2組の手術の21日後に(第1組の手術の3ヶ月後に開始した)、線維(また、局所毛より黒ずんでおり、かつ丈夫であった)が、鞘移植部位にみられた。さらに3週間経つと、この堅固に色素沈着した毛はより肉太になり、さらに曲がった。42日に、この部位の生検を行った。
鞘移植部位の組織学的試験で、終末タイプの線維を外側に産生した2つの大きい毛包は、特徴的成分を全て具有することが確認された。たとえば、大きい卵形の(アルシアンブルー陽性)真皮乳頭(図6、説明文P)は、色素沈着した表皮基質で覆われており、毛包特有の同心組織層も、横断切片に明らかに見られた。しかし、これらの毛包は、サイズが大きいこと、皮膚内の成長が浅いこと、皮膚表面を基準にして異常な方向角をもつことに関して、局所軟毛個体群と全くことなる。このような独立した、対照をなす特徴から、大きい付属器が誘導されたことが示唆される。
特筆すべきことは、移植された材料が、免疫保護部位に全く移植されなかったことである。
さらに小さい毛包も、実験後創傷部位の中又は付近で、任意の位置及び配置で確認され、それらも新たに形成され得るが、形態学的基準のみに基づいて、その状況を解釈することはできない。
in situハイブリダイゼーションによって例証される免疫寛容を裏付ける証拠
陽性(Y染色体特異的DNAプローブとin situハイブリダイゼーションした後、ジゴキシゲニン標識によってわかる、陽性に染色した、誘導された毛包の下部の画像的証拠を表す図7を参照)及び陰性(図7のネガティブコントロールの役割をし、ジゴキシゲニン結合したY染色体プローブで全く染色されない女性の皮膚を表す組織切片の画像的証拠を表す図8を参照)は、両者とも、共に適当に染色されたプロトコール基本的方法論の正当性を確認するための対照である。
第1組の実験用組織切片で、Y染色体に特異的DNAプローブは、創傷部位の小さめの毛包ならびに、予想通りに誘導された大きめの毛包の両者を幾つか認識した。事実、男性由来の細胞を示すためのジゴキシゲニン又はスペクトル緑色発蛍光団のいずれかで可視化したとき、小さめの毛包の最下領域のみ(せいぜい終末球領域)が、プローブで繰り返し陽性に染色された(図7と図8を比較されたい)。不運にも、組織の形態学的解明は、個々の細胞レベル又は組織層レベルでプローブ分布を分析するには不十分であった。しかし、発蛍光団と(図9と図10との比較を参照)ジゴキシゲニン(図7と図8との比較を参照図)で標識したプローブが、毛包組織のほぼ同じ領域を陽性として認識したことによって、結果が補強されると考えた。
真皮鞘細胞が長期置換皮膚真皮を提供できることを裏付ける実験的証拠
真皮鞘細胞を毛包由来の表皮細胞と結合しなおして、移植片を周囲の皮膚細胞から分離したチャンバ内で、動物に移植した。真皮鞘細胞は、細胞密度が一様で、コラーゲン形成異常の兆候がない非常にすぐれた真皮を形成した。真皮鞘細胞は、表皮と相互に作用して、厚い表皮の被膜も産生した。真皮鞘と表皮との間に、完全で正常な基底膜が形成された。移植片を取り囲むチャンバを取り外す場合、移植片の外側に蓄積した白色、黒色の細胞浸潤物塊は、新しい皮膚部位に侵入しないようである。長期[24日]移植片の側面の高拡大倍率の画像的証拠を表す図11を参照されたい。左側の黒っぽい稠密な白血球浸潤物の列は、移植片部位に侵入していなかった。真皮では、コラーゲン束が組織され、真皮細胞が規則的に分布し、完全で正常な基底膜が明白である。
真皮鞘細胞幹細胞潜在能を裏付ける実験的証拠
図12(A-1)は、異なる間葉細胞に分化することができる、したがって、幹細胞潜在能力を有する真皮鞘細胞の画像的証拠を表す図である。これらの細胞は、筋管、脂肪細胞、軟骨細胞、無機物産生骨細胞に分化できることがわかる。さらに意外な証拠としては、95〜105才の範囲の個人から得られた毛包組織は、生存可能であり、細胞培養開始の生産起源の役割を果たせることが確認された。このデータは、幹細胞が分化して再生する能力は、生涯一定であるという仮説を裏付けるものである(22)。
さらに、少なくとも4つの異なる表現型を示す潜在能力は、事前に悪条件に曝露されたにも関わらず、繰り返される初代真皮鞘細胞の凍結及び解凍、及びその後のクローニングによって変化しなかった。
毛包真皮鞘系潜在能を裏付ける実験的証拠
筋肉筋管
小さい紡錘形の細胞の小集団が、単独でも様々な融合状態でも認められ(規定通りに調製された培養でもよく見られる)、その一部は、長い枝分かれした多核筋管様構造を形成していた。
これらの細胞の一部はミオシン、デスミン及び/又はα平滑筋アクチンモノクローナル抗体で染色された。[過去には、自発的律動的収縮(すなわち、我々のペトリ皿内での、このような筋肉前駆体タイプの細胞の長期間の収縮)が観察されるという、意外な出来事もあった]。
脂肪細胞
これらの細胞は、特有の多小胞性の外観、及び、その小胞内に入っている物質がスダンIVで染色されたこと、したがって飽和中性脂肪であることを示したことによって同定された。
軟骨細胞
コンドロイチン及び硫酸ケラタンプロテオグリカン類、及び多くの細胞間の陰窩(lacunae)と思われる細胞周囲のpH1.0のアルシアンブルー陽性物質を含む、丸い細胞の蓄積として見られる−{興味深いことに、ラット真皮鞘細胞を、顕微解剖した耳軟骨とin vitroで混合すると、類似した細胞挙動が見られる}。これは、移植した真皮鞘細胞が、通常は不活性な耳軟骨組織において過形成を刺激するようにみえる、我々のin vivoでの観察結果と関連していると考えられる。
無機物産生骨細胞
これらの細胞は、基質が鉱化されているように見え、フォン・コッサ法で処理した後、硫酸カルシウムに関して陽性に染色される集合物の形成によって同定された。
真皮鞘細胞培養で、さらなる特有の細胞タイプも確認された(興味深い樹状個体群を含む)が、今のところまだ、十分に明らかにされていない。
皮膚創傷における線維芽細胞の代替物としての真皮鞘細胞を裏付ける実験的証拠
蛍光染料(DiI)標識した真皮鞘細胞及び線維芽細胞を、コラーゲンゲルの状態で、皮膚創傷に移植した。この真皮鞘細胞は、皮膚細胞に匹敵する10日以上生存し、宿主皮膚にさらに侵入することが認められた。真皮鞘細胞は、移動したり、創傷そのものから離れた正常な皮膚に自身を組み込んだりすることができることも示した(真皮鞘細胞が、損傷を受けていない組織から離れた単離毛包を取り囲んだ様子を示す創傷周縁の皮膚の画像的証拠を表す図13を参照されたい)。
創傷攣縮を裏付ける証拠
創傷攣縮は、皮膚が治癒する経過の非常に重要な部分であり、筋線維芽細胞と呼ばれる一過性の細胞群が、収縮によって損傷部位の閉鎖を行うと考えられる。筋線維芽細胞の正確な起源は、現在まで、まだ同定されていないが、α平滑筋アクチンを発現することを特徴とする。
我々は、3種の異なる年齢のラット及びヒト成人の異なる皮膚部位に由来する毛包真皮細胞と非毛包真皮細胞が、コラーゲンゲル格子を収縮する能力を比較する研究を実施した。ヒト成人細胞タイプは、4つの異なる身体部位に由来する皮膚線維芽細胞であり、具体的には、平滑筋細胞、頭皮毛包、真皮乳頭体及び、下、中及び上の毛包真皮鞘細胞であった。囓歯類細胞は、生まれたばかり、14日齢、及び成体動物の、4つの異なる身体部位[耳、mystacial、背面、脚の肉肢]の皮膚線維芽細胞、大動脈平滑筋細胞、及び鼻毛毛包真皮乳頭体及び鞘細胞に由来するものであった。
結果から、毛包由来の真皮細胞タイプは全て、平滑筋細胞、又は身体の任意の領域の皮膚線維芽細胞のいずれよりもはるかに(ほぼ2倍)、ゲルを収縮できることがわかった。成体ラット鼻毛由来の真皮細胞の収縮能は、生まれたばかりのラット皮膚線維芽細胞及び平滑筋細胞と同様であった。しかし、任意の1つの年齢群で、毛包由来の細胞は、皮膚線維芽細胞又は平滑筋細胞(非常によく似た挙動を示す)のいずれよりも、常に収縮性があった。
調査した4つの細胞タイプの中で、真皮鞘細胞が、「癒着」経過の最も有能なプロモーターであった。垂直に切断しても、水平に切断しても、真皮鞘細胞のみが、損傷を受けた皮膚の2つの縁部分の間に安定した結合を形成した。上に在る表皮が連続していたため、外見的にはギャップが明白でなかったので、時には、切断面を一緒にシールしたように見えることもあった。真皮乳頭体細胞は、真皮鞘よりもはるかに有効ではなかった(恐らく3番目に良い)が、細胞を全く含まない対照より優れていた。組織を再連合する能力を有する平滑筋細胞は、細胞を創傷に誘導しないのも同然のように見えたが、皮膚線維芽細胞は、「粘着」を事実上妨害すると思われた。
この研究はin vitroで実施したが、毛包由来の真皮細胞が、in vivoで、創傷治癒経過を促進できる性質を裏付けるものである。
真皮鞘組織の保存
我々の研究で、真皮鞘組織及び/又はそれに由来する細胞は、低温で長期保存することができ、適当な条件に供すると、成長することが証明された。このことは、創傷治癒治療剤の保存、詳細には、移植片又はそれから作られた「生きた皮膚」の保存において、明らかに重要な意味を持つ。
さらに、我々の研究で、真皮鞘細胞は、極端なストレスを受けている培養中で長期間存続できることも、証明された。このことも、この組織タイプに由来する創傷治癒治療剤にとって関する重要な意味をもち、組織タイプが適当に頑丈であり、幹細胞特有の耐久性及び生存能力を示すことに役立つ。
要するに、真皮鞘組織及び/又はそれに由来する細胞は、創傷治癒用の組織タイプに備わっていることが望まれる有利な性質を有するばかりでなく、製造及び長期保存に関して組織の使用を推進する性質も併せ持つ。
参考文献
Claims (18)
- 真皮鞘組織を含んでなる創傷治癒のための医薬。
- 前記真皮鞘組織が、毛包の下方3分の1の部分に由来する請求項1に記載の医薬。
- 前記真皮鞘組織が、毛包付近の環状に連なった細胞に由来する請求項1又は2のいずれか一に記載の医薬。
- 前記環状に連なった細胞が、毛包の真皮又は間葉領域に対して内側にある環状に連なった細胞である請求項3に記載の医薬。
- 前記真皮鞘組織が、α平滑筋アクチンに関して陽性に染色されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の医薬。
- 前記真皮鞘組織に、真皮乳頭又はそれに由来する細胞を提供するか、または組み合わせる請求項1〜5のいずれか一に記載の医薬。
- 前記医薬が適当な基質材料を含む請求項1〜6のいずれか一に記載の医薬。
- 前記基質材料が、天然コラーゲン、又は、再構成されたコラーゲンから構成されたコラーゲンゲル又は格子、又は、再構成されたコラーゲンの極めて複雑な混合物を含む請求項7に記載の医薬。
- 前記医薬が、前記基質が適用される材料のウェブをさらに含み、前記真皮鞘組織を含む前記基質が前記ウェブに組み込まれるか、又は、前記ウェブの中に埋め込まれるか、又は、前記ウェブに関連するか、又は、前記ウェブに接着される請求項7又は8に記載の医薬。
- 前記医薬が、外科用包帯材を含む請求項9に記載の医薬。
- 前記医薬が、治療用組成物を含む請求項1〜9のいずれか一に記載の医薬。
- 前記医薬が、少なくとも1種の選択された治療剤をさらに含む請求項10又は11に記載の医薬。
- 前記選択された治療剤が、抗菌性又は殺菌性を有する請求項12に記載の医薬。
- 前記治療剤が、麻酔性を有する請求項12に記載の医薬。
- 前記治療用組成物が、局所適用に合うように改変された請求項11〜14のいずれか一に記載の医薬。
- 前記治療用組成物が、注射による投与に合うように改変された請求項11〜14のいずれか一に記載の医薬。
- 前記治療用組成物が、プラスター又は包帯に組み込まれるか、又は、プラスター又は包帯中に埋め込まれるか、又は、プラスター又は包帯に関連するか、又は、プラスター又は包帯に接着される請求項11〜16のいずれか一に記載の医薬。
- 請求項1〜17のいずれか一に記載の医薬を組込んだ適当な基質材料、及び/又は、該医薬中に埋め込んだ適当な基質材料、及び/又は、該医薬に関連した適当な基質材料、及び/又は、該医薬と接着した適当な基質材料を含む外科用包帯剤。
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