JP4454844B2 - 真皮鞘組織から成る遺伝子治療媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、遺伝子治療/ワクチン開発に限定されないが、特に遺伝子治療/ワクチン開発において、真皮鞘組織および/またはそれから得られる細胞および/またはこれらおよびその他の細胞集団を含む毛包部分の使用法に関する。
【0002】
現在までのところ、構築されるヒト遺伝子治療ベクターは典型的にはウイルスに由来する(1)。こうしたベクターは、自然にヒト細胞を感染させることにより細胞を容易に貫通することができるので、外来DNAのフラグメントを標的細胞集団に組込むことができるというのが原理的な説明である。もっとも広範に研究されているウイルスはアデノウイルス、レトロウイルス、パルボウイルス、ヘルペスウイルス科のウイルスである。レトロウイルスを例外として、元来ヒトから分離されたウイルスに全て由来する。ほとんどすべての例で、ex vivo とin vivoの両方の作業において使用されるベクターは、遺伝子送達システムとして機能を果たすというよりも、遺伝子機能を研究するために元来作り出されたウイルス突然変異体に由来するものであった。
【0003】
アデノウイルスは、株が容易に高い力価に成長するので、確かに人気があるが、これらの株には随伴する数多くの問題がある。例えば、細胞培養において複製不能であるウイルスは、そうしたベクターで治療を受けている患者で組織損傷と呼吸器疾患を引き起こすことが知られている(2)。
【0004】
ヘルペスウイルスベクターの開発は今日までのところ、広く知られているヒト病原体単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus; HSV)の誘導体に集中してきた。このウイルスを使用するに当たっての長所は、このウイルスが全ヘルペスウイルスのうちで一番徹底的に研究されていることである。ウイルスゲノムの配列は決定されており、十分特徴付けられたウイルス突然変異体の範囲が広く、また転写制御プロセスがよく分かっている。しかし、このウイルスに関する短所は、この突然変異ウイルスを高い力価を有する株として産生することが困難であり、またいくつかの例では認容できない復帰突然変異の頻度を有することである。さらに、その人工の大多数で先天性の免疫反応が存在することがHSVベクターに関する問題となりうる。すなわち、免疫学的に競合する部位に送達される場合には、HSVベクターはヒトアデノウイルスから得られたベクターと同じ問題に遭遇することが考えられる。
【0005】
付け加えると、さらに最近では、天然の特定な細胞集団が遺伝子治療送達システムとして研究されてきたが、しかしこうしたシステムは現在までのところ自己由来細胞のみを用いており、また結果的にその細胞が由来する個々の疾患の状態に限られている。こうしたシステムは免疫学的なしっぺ返しに悩み、またとくに勇気付けられるような結果も生み出せず、こうしたシステムでは種内および/または種間での治療の可能性も提供されていない。
【0006】
このように、効率的に、また免疫学的に特別な遺伝子送達をヒト細胞に行うことが可能な媒体があれば、例えば、異なったさまざまな器官の腫瘍へのヒトサプレッサー遺伝子の正確なコピーの送達および/または特異的な免疫性を誘導するワクチン送達媒体としてヒト遺伝子治療において広範に使用されることであろう。
【0007】
皮膚は身体の外部表面を覆う高度に複合的な器官であり、また栄養管や他の管の粘膜とさまざまな身体開口部で併合される。身体から水分喪失を防ぐなどの複数の機能を有しているが、より深部の組織上での物理的、化学的また細菌の病因子の作用に対する保護的な障壁として主に機能を発揮している。皮膚は弾力性があり、掌、足の裏、耳などの数カ所を例外として、皮膚はその下にある組織に緩やかに付着している。皮膚は厚さが瞼で0.5mm(0.02インチ)から掌や足の裏で4mm(0.17インチ)かそれ以上までとさまざまである。
【0008】
皮膚は、2つの層から成っており(皮膚の薄い切片による解剖学的横断面図を図示する図1を参照されたい)、外側層は比較的薄く(0.1mm)、表皮と呼ばれており、数細胞の厚さで、常に表面から脱皮している死細胞の外部角質層を有しており、また角質胚芽層(germinativum)と呼ばれる細胞の基底層によって下から取り替えられる。表皮は細胞集団の95%以上を作り上げるケラチノサイトから主に成っており、残りの部分にはランゲルハンス細胞やメラノサイトなどの樹状突起細胞が含まれている。ケラチノサイトの基底層の下にあるコラーゲンや他のタンパク質の層を除くと、細胞外基質はほとんどないので、本質的に細胞性であり、非血管性のものである。基底層のケラノサイトは常に細胞分裂しており、またその結果、娘細胞が外側に移動するが、それが分化の期間に行われ、最終的には表面から剥がれ落ちる。皮膚の内側層は真皮と呼ばれ、またコラーゲン性細胞外物質、弾性線維、血管や神経のネットワークから成る。その中に含まれているのは、皮脂腺(毛包皮脂腺単位として集合的に知られている)を伴う毛包と汗腺である。表皮と真皮の間の境界面は極端に不規則なものであり、また指状突起鉗合の連続あるいは指状突起から成る。この境界面に沿って基底表皮細胞の下には、分化された細胞外基質が基底膜と呼ばれる明瞭な構造の中に組織化される。
【0009】
哺乳動物の毛の線維は、毛包として知られる円筒形に配置された、小さいが複合的な組織の産物である。毛包は皮膚の表面の下にある角度をもって存在しており、遠位のたいていの表皮は、毛包が外側に開いている箇所で皮膚の毛包間表皮と直接的に連続している。小さいが、毛包は同心円状に連続的に配置された異なった層を認識可能に高度に組織化したシステムから成る。活動的な毛包は真皮、皮下組織(結合組織の緩やかな1つの層)、脂肪層を通過して下に伸びていく。
【0010】
活動的な毛包の基底部には、真皮毛乳頭として知られている真皮細胞の体部から成り、表皮基質として知られている、表皮細胞の転倒した杯状構造の中に含まれている毛球が存在する(図1に参照されたい)。毛包の型にかかわらず、いくつかの支持表皮層と一緒に、毛の線維はこの表皮基質のちょうど基底部の箇所で胚芽性表皮細胞によって産生される。最下層の皮膚鞘は毛乳頭基底部茎と隣接しており、そこから組織の薄い覆いとしての毛基質の表皮層のすべての周囲に外側に曲がり、またその後、毛包の長さの分、管あるいは袖として連続する。皮膚鞘はその他に、結合組織鞘として知られる。
【0011】
羽毛や毛包などの皮膚付属器の発生は、皮膚の2つの層である表皮と真皮の間の相互作用に拠る。胚発生の間では、これらの層の間で続けて起こる情報交換が、成人の毛包構造の形成で完結する形態学的なプロセスの複合的な連続を支えている。しかし、その後の成熟期では、一般的な皮膚表皮や表皮細胞とは対照的に、ある種の毛包細胞集団は胚タイプの誘導性、相互性、生合成的な行動を保持している。これらの特性は、周期的に産生する毛包の非常にダイナミックな性質から得られる可能性が強く、毛包では胚発生期には生命力が強く、また組織再構築のいずれの形態においても望ましいと考えられる程度に、繰り返し行われる組織リモデリングには真皮−表皮の高いレベルの相互作用的コミュニケーションが必要である。
【0012】
毛線維は非常に急速なスピードで活動的な毛包の基底部で産生される(ヒト頭皮毛包では0.4mm/日で、またラットの鼻毛あるいはひげでは1.5mm/日まで)。これは、毛包表皮での細胞増殖が、成人の組織の中ではもっとも速いものの部類にランクされることを意味している(3)。
【0013】
毛包のもっともダイナミックな領域は深く埋め込まれた毛球端部であり、そこでは局所的な真皮−表皮の相互作用が活動的な線維成長を駆りたてる。この同じ領域はまた、毛線維又は付属器の成長期と退縮期の間の正確な変換に関わる発生上の変化ならびに組織リモデリングにとっては中心的な存在である。活動期には鍵となる役割を果たすものとして、真皮毛乳頭は、初代胚表皮細胞原型由来の毛包形成を特徴付ける分化のプログラムをうまく調整していると考えられる(4〜7)。最下層の真皮鞘は毛乳頭基底部茎の下から始まり、そこから組織の薄い杯状構造として表皮性毛基質のすべての層を外側から包むように外側にまた上方に曲がっていく(図1を参照されたい)。真皮鞘は、2つの層の間で真皮鞘のすぐ内側にある表皮性外毛根鞘が連続しているように、毛包の長さの分、管状配置として連続する、硝子状膜といわれる分化した基底膜である。外毛根鞘は下方の毛包にある表皮単層よりも少量で構成されているが、より表層に近くなればなるほど、次第に厚くなる。
【0014】
個々の解剖的な構成要素と皮膚の細胞のサブ集団がよく確定されているにもかかわらず、それらの内部/間で起こる生化学的な相互作用と制御メカニズムは大部分、考察と徹底的な研究調査の対象として残っている。
【0015】
すべての細胞型に関して一番重要なことは、あらゆる生物学的なシステムの源にある細胞の型は幹細胞であるということである。幹細胞は強い生命力をもってさらに分化した子孫の集団を維持、補充しており、また幹細胞がそれぞれ分化して、特徴のある機能を発達させているからというのがその理由である。しかし、幹細胞はそれによって定義されると考えられる幹細胞の分布、行動、要因という点ではまだ分かっていないことが多い細胞なのである。成人の器官由来の、純粋で、刺激を受けておらず、分化していない初代幹細胞の有意な数を供給する能力によって、細胞生物学に関して我々が基本的に理解していることに対して広範なインパクトが与えられる可能性があり、また将来の治療の進歩に肯定的で有望なアプローチ方法が産み出されると考えられる。
【0016】
思わぬ発見によって、我々は毛包を研究し、また免疫的に特別な特定の細胞集団を同定し、また遺伝子治療における細胞送達システムとして非常に利点があるものとして使用できる幹細胞特異的ポテンシャルを確認した。
【0017】
我々は、男性毛包由来の真皮鞘細胞を女性受容者に植え付けても、典型的な免疫反応とその後に起こると予想される拒絶反応につながることはないことを発見した。同じヒト宿主と供与者による移植の一連のセットの後も、第2のセットの拒絶反応が予想されたときも、同じ観察結果が真実であることが判明した。この結果から、真皮鞘細胞が特別な免疫状態の一定形態を有することが分かっている。我々の組織相互作用/誘導に関する数々の研究により、異なる種の付属物から得られた細胞が相互作用することができ、また複合的な形態形成を可能にする適当なレベルでコミュニケーションできることがはっきりと証明された。これが事例となって、真皮鞘組織および/またはそれから得られた細胞が、種間および種内治療送達の両方に対する媒体として遺伝子治療において非常に重要な細胞集団の典型となる。さらに、さまざまな表現型に分化する真皮鞘組織および/またはそれから得られた細胞の能力がさらに有意に遺伝子治療に貢献しており、複数ならびに異なった組織/細胞部位において寛容されるだけではなく、送達の部位によって複数の組織型に分化することによってさらに効果的で貫通もする、こうした細胞を媒体手段として使用することに特徴がある。さらに、遺伝子治療の適用についての候補として、毛包細胞が前もって処理される天然の特質には以下のものが含まれる。すなわち、ら旋状になった筋線維芽細胞に類似していること。初代筋系統を特徴付けるものを含む幹細胞型の性質を毛包細胞が示すことであり、他の細胞と融合する能力があるので、確かに毛包誘導筋幹細胞はとくに遺伝子治療適用に適している。その上さらに、真皮鞘細胞は平滑筋細胞の特性の多くを有しているので、平滑筋の構成物として血管の中に組込まれることにより血管関連治療において付加的なポテンシャルを有する。ユニークな胚型の細胞外基質の産生、また強い影響を与えるような再生と誘導能力を示すという事実があることである。
【0018】
したがって、本発明の目的の1つは毛包誘導細胞/組織および/またはそれらの特性を用いる新しい遺伝子治療システムを提供することである。
本発明のさらにもう1つの目的は、毛包誘導細胞/組織および/あるいはそれらの特性を用いる種間あるいは種内遺伝子治療を提供することである。
【0019】
本発明のさらにもう1つの目的は、複数ポテンシャル組込みと分化特性を有する遺伝子治療媒体を提供することである。
本発明の第一の態様によると、遺伝子治療において使用するための真皮鞘組織および/またはそれから得られた細胞および/または毛包に典型的に密接な関連性を有する細胞が提供される。
【0020】
本発明のさらなる態様によると、少なくとも1つの選択された遺伝子またはその機能的なフラグメントを真皮鞘組織および/またはそれから得られた細胞および/または毛包に典型的に密接な関連性を有する細胞を含む標的部位に送達するための遺伝子治療媒体が提供される。
【0021】
本明細書におけるその機能的なフラグメントに関しては、対応するタンパク質、または活性を有するか効果的なその部分の発現のために提供される遺伝子部分を含むことが考えられている。
【0022】
本明細書における毛包に典型的に密接な関連性を有する細胞に関しては、機能的および/または局在的に関連する細胞および/または毛包内に含まれる細胞を含むことが考えられている。
【0023】
本発明の好適な実施態様では、上記の真皮鞘組織および/または上記それから得られた細胞および/または上記毛包に典型的に密接な関連性を有する細胞は、理想的にはそこから下方1/3にある毛包の選択された部分から得られるものであり、またさらにもっと理想的には毛包組織/細胞の組合せのセグメントあるいはリングから得られるものである。
【0024】
本発明のさらにもう1つの好適な実施態様では、理想的には組換え技術を使用して、少なくとも1つの選択された遺伝子をそこに置くことができる、少なくとも1つの挿入部位を含めるように、上記の遺伝子治療媒体が適当に遺伝子工学的に処理される。当業者であれば、この挿入部位の準備ができれば、所望される局所に選択された遺伝子を運ぶことがその遺伝子治療では可能であることは分かるはずである。さらに好適には、上記遺伝子の発現が対応するタンパク質産物の生成を行う結果となるように上記選択された遺伝子は上記遺伝子治療媒体に機能的に挿入される。当業者であれば、遺伝子治療媒体の目的を顧慮して、またそのため癒され、治療され、緩和されるべき状態についての性質を顧慮して挿入される遺伝子の性質が選択されることが分かるはずである。さらに、上記遺伝子治療媒体には、複数の遺伝子を運ぶことを考慮して複数の挿入部位が供給され、類似性がある、ないしは異なった性質の複数タンパク質の送達が準備される。各例においては、挿入するための上記選択された遺伝子は、遺伝子治療媒体のゲノムの正確な発現を用意するため、遺伝子治療のゲノムに読み枠を合わせて(in frame)挿入されるよう、配置される。
【0025】
本発明のさらにもう1つの好適な実施態様では、上記遺伝子治療媒体は、調整可能な、ないしは誘導可能な、ないしは構成プロモーターに操作可能に連結される少なくとも1つの選択された遺伝子あるいはそれから得られた機能的なフラグメントを含む。
【0026】
本発明のさらにもう1つの態様では、本発明の遺伝子治療媒体を形質転換あるいはトランスフェクションするためにベクターが提供されるが、そこでは上記ベクターは、少なくとも1つの選択された遺伝子をそこに置くことができる、少なくとも1つの挿入部位、また一旦ベクターが上記の組織および/またはそれから得られた細胞を感染させるか貫通すると、上記選択された遺伝子の発現を確実に起こすためのその他の発現制御エレメントもまた提供される。
【0027】
本発明のさらにもう1つの好適な実施態様では、本発明による遺伝子治療のための適当なキャリアーを含むが、理想的には上記キャリアーは抗細菌特性および/または抗敗血症特性を有するように製剤することができ、またさらに理想的には成長促進添加物および/または局所麻酔剤が含まれる。理想的には上記治療的な組成は、適当なキャリアー溶液/ゲル/クリーム/軟化剤の中に懸濁されている真皮鞘細胞の形態で局所的に適用されることが適応されることであろう。すなわち、代替としては、注射によって投与され、またそのためキャリアー溶液から成る。さらに、代替的には、上記キャリアーはプラスターないしは絆創膏などに組込まれ、および/またはそれに埋め込まれ、および/またはそれに結合し、および/またはそれに付着する。
【0028】
本発明のさらなる態様によると、異種遺伝子物質を収容するために適当に適応されて、またin vivoに少なくとも1つの分化組織型を提供するために選択的に分化する能力を有している細胞および/または組織である、真皮鞘組織および/またはそれから得られる細胞および/またはの毛包に典型的に密接な関連性を有する細胞および/または組織から成る任意の部位に、選択された遺伝子ないしはそれから得られた機能的なフラグメントを、上記遺伝子治療媒体が送達する際に使用するためのポテンシャル遺伝子治療媒体が提供される。
【0029】
当業者には明らかであるが、これら細胞に多分化能が与えられると、移植の部位がある程度までは、これらの細胞がそれに沿って発達する分化経路を決定することになる。したがって、移植の部位はこれら細胞の表現型の性質を決定し、またそのため少なくとも1つの選択された遺伝子を送達するだけでなく分化した組織を供給することができるという利点が付け加えられることも遺伝子治療媒体によって提供されることの1つである。この特徴は、個人が組織損傷を受け、例えば、何らかの型の続発する創傷ないしは続発性虚血症ないしは血管損傷ないしは器官あるいは組織の少なくとも一部を除去する場合には、とくに重要である。
【0030】
したがって、利点のあることとしては、本発明の遺伝子治療媒体が、移植の目的で適当に培養される、および/または絆創膏などの創傷治療材料の上に適当に含浸させる、あるいは生体適合材料の中に供給される、あるいは置換血管の上に塗沫されることなどがみられることであろう。
【0031】
遺伝子治療媒体が創傷治療に関連して使用されるものである場合には、上記真皮鞘組織および/または上記それから得られた細胞および/または毛包に典型的に密接な関連性を有する細胞は、毛包由来の少なくとも1つの他の適当な細胞型を供給するか、ないしはそれと組み合せる。我々の実験では、真皮毛乳頭組織ないしはそれから得られた細胞が創傷の閉鎖においてまた創傷組織の減少において助けとなることが示されているので、この組合せは好ましいとされている。
【0032】
本発明のさらにもう1つの好適な実施態様では、本発明による遺伝子治療媒体に組込まれる、および/または埋め込まれる、および/または結合されるおよび/または付着される適当な基質物質から成る創傷治療システムが提供される。理想的には、上記基質物質は当業者には公知の未変性コラーゲンないしはコラーゲン性ゲルないしは再構成されたコラーゲンから構築される格子、ないしは再構築されたコラーゲンの高度に複合的な混合物、数多くの細胞外基質産物ないしは何らかの他の適当な基質物質を含むが、その選択については本発明の請求範囲を限定することは意図していない。
【0033】
本発明のさらにもう1つの好適な実施態様では、ウェブ材料や適当な基質物質から成る外科用包帯が提供されるが、それら物質の少なくとも1つは本発明による遺伝子治療媒体に組込まれ、および/またはそれに結合され、および/またはそれに付着されるが、理想的には上記外科用包帯は通常のものであり、その選択は本発明の請求範囲を限定することは意図されていない。
【0034】
本発明のさらにもう1つの態様によると、急性および/または慢性および/または軽症および/または重症な創傷治療、および/または軟骨修復、および/または骨修復、および/または筋修復、および/または結合組織修復、血管修復についての治療に使用するためにここより前に説明されているように創傷治療システムが提供される。
【0035】
要約すると、真皮鞘組織、および/またはそれから得られる細胞および/または毛包に典型的に密接な関連性を有する細胞は、この組織および/またはそれから得られる細胞,および/または毛包に典型的に密接な関連を有する細胞が以下のことを行うという理由から、遺伝子治療において重要な役割を有していると我々は考える。すなわち、
i)免疫的に特別であることを示していること、
ii)障害を受けた組織部位の内部にそれらの細胞を組み込む、また宿主細胞と直接的に融合させる能力を示していること、
iii)それらの細胞がその後にも分化を続けることができる分化細胞系統であるという観点から、多分化能を示していること、
iv)異なった身体部位の内部に出現する、また異なった種内で生存し、また相互作用するという両方の点からみて相互作用のある柔軟性を示していること、
v) 寿命が長く、一般的な耐性を示しており、例えば、低温で長期間貯えることができ、また前述の特性を維持することができること、
vi) ほとんどの遺伝子治療は成人向けを目指しており、そのため有利な点としては、成人起源であることであり、本発明の遺伝子治療は真性の胚性由来細胞を利用する潜在的なリスクなしに胚型細胞の特性の利点を提供すること、
vii)幹細胞の比較的豊富な沈着物を示すこと、
viii)治療を促進し、それによって創傷を減少させ、また線維−脂肪沈着物蓄積を遅延させること、
ix)鞘細胞が毛乳頭細胞(8、9)に成る途中で基底膜を通過して移動するとき下方の毛包再生においてみられるように、金属プロテイナーゼの大量産生のため、基底膜を通過する能力を有する。したがってこれらの細胞は送達の部位から離れた身体の部分にも到達する潜在的な能力を有する。
【0036】
したがって、本発明は信頼性をもって製造され、また将来の使用のために貯蓄することができる遺伝子送達システムを提供する。さらに、この組織および/またはそれから得られる細胞は極端なストレス下での培養においても長い時間にわたって生存することができ、またしたがって性質上確立された遺伝子治療送達システムを提供し、貯蔵という観点からみたもう1つの利点であるその後の適用ももらたす。
【0037】
本発明の実施態様の1つは、以下の図を参照することによってのみ、例としてここに説明される。すなわち、
図1は皮膚の切片標本によって解剖学的な横断面の線図の説明図を示す。すなわち、
A 毛幹、
B 皮膚の毛包間表皮、
C 一般的な毛包間表皮、
D 皮脂腺、
E 表皮性外毛根鞘(黒く塗りつぶした箇所として示されている)、
F 真皮鞘(鎖線1)、
G 表皮性内毛根鞘(線維の周囲の薄い層)、
H 真皮毛乳頭(中央の洋ナシの形のもの)、
I 成長力のある表皮細胞(毛乳頭基底部の周囲にきっちりと巻いた襟を形成する)
である。
【0038】
図2は手順の略図を示す。
A.男性の頭皮
A1 創傷が治り、上部毛包部分が再生されて生検前の状態に回復する
B.パンチ生検を採取される
B1 頭皮上で取り替えられるパンチ生検
C.切断された毛球端部
D.切り離された毛球端部
E.さまざまな組織構成物を提供する
F.分離された毛乳頭
G.分離された鞘
H.貯留された真皮毛乳頭
I.貯留された真皮鞘
J.女性の前腕に移植された鞘と毛乳頭
K.男性の組織が毛包新生を誘導した箇所を示す女性の腕
【0039】
図3は、男性頭皮毛包毛球端部から顕微解剖され、分離された真皮毛乳頭(P)と鞘(S)組織の証拠写真を示している。図2eに示すように、星印(*)で印されている。
【0040】
図4は、小さなシリコンゴム襟によって保護されている、男性真皮鞘を移植した女性の皮膚の創傷のすぐ近くで作り出された2本の毛線維の証拠写真を示している。
【0041】
図5は、図4のシリコン襟(とプラスター貼付)が取り除かれた後の証拠写真を示している。
【0042】
図6は、アルシアンブルー陽性染色毛乳頭(P)を露にした誘導された毛包の毛球端部領域を切り出した組織学的切片標本の証拠写真を示している。
図7は、ジゴキシゲニン標識により実現した、Y染色体特異的DNAプローブによるin situハイブリッド形成法施行後に陽性に染色したものをみることができる誘導された毛包の下方部分の証拠写真を示している。
【0043】
図8は、図7に対するネガティブコントロールとしてその役割を果たす組織切片標本の証拠写真であり、またジゴキシゲニン連鎖Y染色体プローブによってはまったく染色されない女性の皮膚を示している。
【0044】
図9は、グリーン蛍光体マーカーにより実現した、Y染色体特異的DNAプローブによるin situハイブリッド形成法施行後に陽性に染色された誘導された毛包の下方部分の証拠写真を示している。
【0045】
図10は、図9に対するポジティブコントロールとしてその役割を果たす組織切片標本の証拠写真を示している。
図11は、長期 [24日間] 移植片の側面高倍率拡大視野の証拠写真を示している。
【0046】
図12は、異なった間葉細胞に分化する真皮鞘細胞の能力の証拠写真を示している。
(A)長期培養した(1年以上)ヒト真皮鞘細胞
(B)筋芽細胞(筋肉様)の中に融合するようにみえる真皮鞘細胞
(C)真皮鞘細胞培養における筋管様構造
(D)脂肪(脂肪産生)細胞
(E)軟骨細胞(軟骨型)
(F)鉱物産生骨前駆体細胞−フォン・コッサ染色法で判別
(G)α平滑筋アクチンに対して免疫組織化学的に標識化された真皮鞘細胞
(H)平滑筋ミオシンについて陽性に染色されたヒト真皮鞘細胞
(I) デスミンに対して陽性に標識化された真皮鞘細胞
【0047】
図13は、創傷の周辺にある皮膚、また損傷を受けていない組織において離れて存在している標識化細胞の主要なグループからは離れて存在している、損傷を受けていない組織にある分離された毛包の1つを真皮鞘細胞が取り囲んだ箇所の皮膚の証拠写真を示している。
【0048】
図14は、真皮鞘細胞を形質転換させるためのeGFP構築物を略図的に示している。
【0049】
図15は、eGFP遺伝子をベクターの中に挿入する方法を略図的に示している。
図16は、増強グリーン蛍光タンパク質eGFPを含む構築物と構成プロモーターを有するトランスフェクションされた真皮鞘細胞の証拠写真を示している。
【0050】
実験的なアプローチ方法
組織分離
男性頭皮皮膚の小さなパッチ(約1.5cm2)部分が、その後の引き抜きを可能にするように露出させた線維を残して、粗く剃られる。その区域は防腐用溶液で拭かれ、また毛包方向に適当な角度で6mm直径のパンチ生検を採取する前にリグノカイン(lignocaine)にアドレナリンを加えた麻酔薬が局所的に注射された。露出した毛包のもっとも近位の先端(全長の下1/5)は反転させた生検から解剖用顕微鏡(Zeiss)下で切断され、また4°Cの最小必須培地(Gibco)の個々の点滴剤に移動させる。離断された毛包から毛線維を引き抜いた後、その生検はその元の頭皮皮膚部位に戻され、治るまでそのまま放置する。この最初の手順は約20〜25分間続いた。手順の線図を示す図2(a、a1、b、b1、c)を参照のこと。
【0051】
一番外側にある毛球端部真皮層は、表皮基質(未分化組織を含む)を引っ掻いて剥ぎ取り、破棄することができるように反転された(図2d)。基底部茎切断(図2c)によって分離された真皮毛乳頭は新鮮な培地に貯留された(図2h)。結合組織の薄い外側の覆いはその後、同様に新鮮な培地に貯留される前に真皮鞘の切片から細かく切り取られた(図2gと図2i)。図3は、図2eに星印(*)で印を付けられて示されているように、男性頭皮毛包毛球端部から顕微解剖された分離真皮毛乳頭(P)と鞘(S)組織の証拠写真を示している。
【0052】
移植
これらの手術は実質的には気が付かれないほど最小限に侵襲的なものであり、そのため局所麻酔の術前処理の何らかの形態をとることが必要であるとは思われなかった。このことはまた、移植される予定になっていた脆弱な少量の真皮に麻酔薬が悪影響を与える可能性を回避した。
【0053】
メスの刃の先端で小さな、浅い創傷が女性受容者の前腕内側に作られ、また非常に細い(5番)時計工鉗子の先端を使用して少し広げられた(図2j)。血液あるいは体液が少量滲み出たいくつかの例では、小さな滅菌用綿毛棒を使用してそれを吸収した。2セットの手術が行われた。
【0054】
まず最初に、12個の毛包由来の真皮鞘組織が、毛球端部が生検から除去された後およそ10時間で2箇所の創傷部位(それぞれに6個ずつ)に移植された。第2回目の移植には、生検後約20時間で1箇所の創傷部位に真皮鞘の11個を移植、第2の箇所に9個の真皮毛乳頭を移植し、また第3の箇所に2個の毛乳頭(鉗子に突き刺さり、別に再度移植せざるを得なかった)を移植することが含まれていた。すべての例で、材料は可能な限り少量の体液として収集され、またその後に直接的に創傷部位に移されたので、鉗子の端部の上に載せて皮膚に素早く挿入することができた。創傷は当初、未治療、覆いもしないでそのまま放置した。毛線維が移植部位から現れてみえたときには(3〜4週間後)、剥奪に対して保護するための確実な対策として、縁のある小さなシリコンリングがそれらの上に置かれ、また外科用テープを使用して固定されたが、それについては、小さなシリコンゴム襟によって保護されている、男性の真皮鞘を移植された女性の皮膚の創傷のすぐ近くで作り出された2本の毛線維の証拠写真を示す図4、および図4のシリコン襟(とプラスター貼付)が除去された後の証拠写真を示す図5を参照されたい。
【0055】
2箇所の創傷部位の最初のセットでは、鞘組織移植後に77日で、楕円形の皮膚の単一切片として一緒に生検が採取され、pH 7.3で新鮮に作成された4%パラホルマルデヒドにて即座に固定された。創傷の第2のセット(最初の後3ヶ月で作成された)は同様に治療され、2箇所の小さな(4mm)パンチ生検(生検が有毛母斑の隣りに位置付けされることによってさらに正確に位置取りがなされるようになる)として術後42日で除去された。男性供与者の頭皮と女性受容者の腕の皮膚部位についての詳細な外からの観察結果と写真記録は一定の間隔を置いて作成された。
【0056】
蛍光体標識化Y染色体プローブ [Imagenetics]
スペクトルグリーン蛍光体標識化計数プローブ(Imagenetics)は、高頻度に繰り返されるヒトサテライトDNA由来の染色体特異的な配列から成る。組織切片の中にある標的DNAは10分間70℃で70%ホルムアミド/2×SSCで変性した。一方、プローブ混合物は、7μl SpectrumCEPハイブリッド形成緩衝液(硫酸デキストラン、ホルムアミド、SSC、pH 7.0)、1μl SpectrumCEPプローブ(蛍光体標識化計数プローブとTris-EDTA緩衝液におけるブロッキングDNA)、5×ブロッキング溶液の2μl(×切片標本数)を含むように作成された。このプローブ混合物は、遠心分離して(1〜3秒)、75℃の水浴中で5分間熱され、またその後氷の上に置かれた。変性された切片標本は70%、85%、100%エタノール(それぞれで1分間)において洗浄され、その後空気乾燥された。各々の切片標本は、45℃に熱せられ、プローブ混合物10μl、またその後18時間42℃でモイストチャンバーの中で切片標本をインキュベートする前に両端で密封されたシラン化カバーグラスを被せられた。ハイブリッド形成施行後、カバーグラスを除去した後、その切片標本は、10分間、50%ホルムアミド/2×SSCにて3回洗浄し、10分間2×SSCにて洗浄し、および5分間2×SSC/0.1% NP-40にて洗浄した。すべてデンハルト溶液、50μl/mlの超音波破砕されたサケ精子DNA、1%ミルク粉末と0.1% Tween-20を含み、またすべて45℃で洗浄された。切片標本は暗所で空気乾燥することができ、またその後、プロピディウムヨード化物対比染色(Imagenetics)の10μlが付加され、カバーグラスが各々に被せられた。
【0057】
ジゴキシゲニン標識化 Y 染色体プローブ [Boehringer Mannheim]
各々の切片標本は、10μlのホルムアミド[最終容積の50%]、5μl の4×ハイブリッド形成溶液、2.5μlのプローブ [50 ng]、2.5μlの8×ブロッキング溶液からなるハイブリダイゼーション混合液20μlを添加された。混合液はシラン化カバーグラスによって覆われ、密封され、またその後37℃で一夜モイストチャンバーの中でインキュベーションする前にオーブンの中で前もって暖めておいたガラス板上で72℃で5〜>10分間で変性させた。その切片標本は1×ブロッキング溶液(上述のように)を含む50ml TBSにて、および1%ベーリンガーキットブロッキング試薬にて30分間、両方とも37℃で洗浄する前に5分間3回2×SSCにて洗浄された。検出を促進するため、その切片標本は50ml TBSと37℃で30分間1%キットブロッキング試薬を含む50μl抗ジゴキシゲニンアルカリフォスファターゼ複合体 [200μg/ml] の中に移され、またその後切片標本は室温でTBSの中に入れた0.2% Tween 20にて10分間3回洗浄された。使用直前に、NBT 4.5μl、Xリン酸エステルとレバミソール0.24mg(Sigma)が1ml Tris/NaCl/MgCl2緩衝液に加えられた。切片の数と寸法に対して適当な容量が付加され、またその切片標本は、暗青/紫色になるまでホイルで覆ったモイストチャンバーの中で室温でインキュベートされた。反応を停止するため、その切片標本は10 mM Tris−CI/1mM Na2 EDTA、pH8.0にて室温で5分間洗浄された。
【0058】
プロピディウムヨード化物によって対比染色される切片を、暗所で室温で5分間、50mlのTBS + 5μlプロピディウムヨード化物 [1mg/ml] にてインキュベートするか、あるいは2〜3分間流水下で洗浄し、また暗所での空気乾燥を可能にするアクリフラビン黄色の同様の濃度にてインキュベートする。最後に、その切片は、カバーガラスを被せて20μl抗変退色溶液にて取り付けて、爪用バーニッシュにより両端で密封された。
【0059】
ラット鼻毛毛包から培養された真皮鞘細胞のトランスフェクション
鼻毛毛包から培養されたラット真皮鞘細胞は以下の手順により、リポフェクタミンを使用してトランスフェクションされた。ウェル当たり1〜3×105の細胞が2mlの適当な完全増殖培地に接種され、また6つのウェル、あるいは35mm組織培養プレートに平板培養された。細胞はその後、その細胞が50〜80%周密になるまでCO2インキュベーターの中で37℃でインキュベートされた。この手順は通常18〜24時間続いた。以下の溶液は各トランスフェクション毎に作成され、溶液Aは100μg無血清培地の中に希釈したDNA 1〜2μgを含んでおり、典型的にはOPTI-MEMRでは血清培地を減らした(GIBCO BRL CAT. NO. 31985)。溶液Bには各トランスフェクション毎に100μlの無血清培地の中に希釈した2〜2.5μlリポフェクタミン試薬が含まれている。その後、溶液AとBは穏やかに混合され、またDNAリポソーム複合体が形成されるのを可能とするように15〜45分間室温でインキュベートされた。さらに、無血清培地はその複合体を含む各試験管に加えられ、また細胞はCO2インキュベート器の中で37℃で2〜24時間の間複合体と一緒にインキュベートされた。インキュベートに続いて、通常の2倍の血清濃度を含む増殖培地の1mlがトランスフェクションの混合物を除去せずに加えられた。その培地は、トランスフェクションの開始後に18〜24時間で新鮮な完全培地に取り替えられた。細胞はトランスフェクションの開始後24〜42時間遺伝子活性に関しては活性であった。
【0060】
ベクターへの eGFP 遺伝子の挿入
eGFP遺伝子は、複数の結合部位領域でHindIIIとNotIを使用してClontechベクター(GenBank受入番号U55761、カタログ番号6086-1)から切り出されたものであった(図15)。eGFP遺伝子は、その後、図15に概要されているようにその方法によりHindIIIとNotIを使用してP cmv構成プロモーターのすぐ後の部位でInvitrogenベクター(pcDNA1/Amp; 4.8kb)の中でクローニングされ、そのため最終的な構築物は図14に示されているとおりのものである。
【0061】
真皮鞘組織の貯蔵
真皮鞘組織 / 細胞の冷温貯蔵:さらに、優先的生存に対する能力を含めた、幹細胞型の特性に焦点を当てるために相反する条件に真皮鞘組織 / 細胞を適応させる。
ヒト皮膚サンプル(上に直接に詳細に述べたように)は、(a)皮膚全体の3mm2部分、(b)分離毛包、(c)真皮鞘の薄い層と表皮性外毛根鞘の間で挟まれている硝子膜のフラグメント、(d)真皮鞘細胞の初代培養(上述のように作成)を提供するために洗浄され、また適切に顕微解剖された。組織複合体のこれらの4つのレベルの各々はその後相反する条件の6つの異なった形態に従った(各々が血清、および/または、グルコースとグリセロールを伴い、また伴わずに反復された)。(i)4℃で冷温貯蔵が延長された、(ii)−20℃で冷凍/解凍サイクルを繰り返した、(iii)DMSOにて−80℃で冷凍/解凍のサイクルを繰り返した。
【0062】
成績
鞘移植
真皮鞘組織を移植された部位のすべてが急速に、また表面近くに位置している皮膚病変部の典型と思われるような具合に治癒した。微細な、幅の狭い痂皮が乾燥した部位のように形成され、またその後次の数日間で消失し、非常に微かな創傷を残したが、約10日目にはそれはほとんど気がつかない程度のものとなった。創傷の中あるいは周囲に何らかの炎症反応の外部兆候はなく、またその部位の何らかの物理的な認知もなかった。腕の皮膚の局所軟毛のいずれよりもその長さの割に暗色で不釣合いな程頑丈であった線維の先端には、真皮鞘が導入された後24日目に初めて気づいた。移植後33日目で、第2本目の、さらに非常に微細で色素沈着していない線維が最初のもののすぐ傍らに出現したのがみられた。色素沈着材料を非常に軽く一面に斑点をつけたものもまた、皮膚の表面の下に、治癒した部位のすぐ近くにみえた。さらに、材料の暗色の線が、より大きな線維の基底部の後ろで直に皮膚の下にみることができた(図4と5を参照のこと)。これは、連続性をもった毛の露出部分の全長をほぼ間違いなく示しており、またそれを産生する毛包が浅く、また局所の毛包と比較して通常ではない角度と方向性をもって埋め込まれていたことが示された。両方の線維が次の数週間にわたって量と全長で増加した。このことは明らかにさらに丈夫になった色素沈着した線維においてより顕著であり、したがって形態学的に局所的な毛とは判別された(図4と5を参照のこと)。より細くて白い線維は乾燥した細胞の薄い層(あるいは嚢)によって覆われていたが、そうでない場合も、隣接する非誘導毛と高さと一般的な外見においては非常に似ていた。手術の第2のセット後21日で(最初のものの後3ヶ月で開始された)1本の線維(局所的な毛よりも再びさらに暗色でまた丈夫になっていた)が鞘移植部位でみられた。さらに、3週間という同様の時間経過にわたり、実質的に色素沈着毛は厚くなり、またさらに曲がってきていた。その部位は42日目に生検を採取された。
【0063】
鞘移植部位の組織学的検査により、硬毛型線維を外部に産生した2個の大きめの毛包は特性のある構成物のすべてを有していたことが判明した。例えば、大きな卵形の(アルシアンブルー陽性)真皮毛乳頭(図6、凡例P)は色素沈着した表皮基質が上に重なっており、また毛包に典型的な同心円状の組織層もまた横断面図に明瞭にみることができる。しかし、これら毛包は寸法が非常に大きく、皮膚内の成長の深さが浅く、皮膚表面に平行する方向性を有する通常みられない角度であるという観点からして局所の軟毛集団とは非常に異なっていた。こうした独立していて、また対照的な特徴から、より大きな付属器が誘導されたことが強く示唆された。
【0064】
特記すべきことは、移植材料が免疫的に保護されている部位に移植されたことである。
さらに、小さい方の毛包もまた、実験的な創傷部位の中と周囲の無作為な位置と配置という点で注意を引いた。その小さい方の毛包もまた、新しく形成された可能性がある一方で、その小さい方の毛包の状況は形態学的な基準のみに基づいては解釈することができなかった。
【0065】
In situ ハイブリッド形成により説明されているように、免疫的に特別であるということを支持する証拠
陽性(ジゴキシゲニン標識により実現した、Y染色体特異的DNAプローブによるIn situハイブリッド形成後に陽性染色をみることができる誘導毛包の下方部分の証拠写真を示す図7を参照のこと)の対照と陰性(図7に対するネガティブコントロールとして役割を果たす組織切片の証拠写真を示し、またジゴキシゲニン連鎖プローブによってはまったく染色されていない女性の皮膚を示す図8を参照のこと)の対照の両方とも、プロトコルとなっている基本的な方法論の価値を確認するため、適当に染色された。
【0066】
実験的な組織切片の第1のセットでは、両方のY染色体特異的DNAプローブにより、どちらかといえばより予想通りに誘導された大きな毛包だけではなく、創傷部位での小さな毛包のいくつかを認識することができた。小さな毛包の一番下方の領域だけは、事実、ジゴキシゲニンあるいはスペクトルグリーン蛍光体のいずれかにより男性起源の細胞であることを示すために視覚化されたようには、毛球端部領域より以上に染色されたということはほとんどなかったので、プローブにより陽性に繰り返し染色された(図7と8を比較のこと)。不運にも、その組織の形態学的な分解能が個々の細胞のレベル、あるいは組織層のレベルにおいてもプローブ分布を解釈するには十分ではなかった。にもかかわらず、蛍光体(図10と比較して図9を参照)とジゴキシゲニン(図7と比較して図8を参照)標識化した両方のプローブとも、毛包組織のほとんど同一の領域を陽性として認識したが、これは本成績を補強するものであると考えられた。
【0067】
長期置換皮膚真皮を提供する真皮鞘細胞の能力を支持する実験的な証拠
真皮鞘細胞は、毛包由来の表皮細胞とを再結合させて、また動物上に、それを取り巻く皮膚細胞と移植片を分けた区画内に移植された。
真皮鞘細胞は、均一な細胞密度があって、異常コラーゲン形成の兆候をみせない非常に良好な真皮を形成した。真皮鞘細胞はまた、厚い表皮の覆いを産生する表皮と相互作用していた。完全ならびに正常基底膜が真皮鞘と表皮の間に形成された。移植片を取り囲む区画が除去された箇所に、移植片の外側に作り上げられた白血球浸潤部位は新しい部位に入っていくようにはみえない。長期間 [24日間] 移植片の側面の高倍率拡大視野を示す図11を参照のこと。左側にある暗色で密度の高い白血球浸潤部位の線は移植部位の中には侵食しなかった。真皮ではコラーゲン束は構造化され、真皮細胞は規則的に分布し、また完全および正常基底膜は明瞭である。
【0068】
真皮鞘細胞幹細胞ポテンシャルを支持する実験的な証拠
図12(A−I)は、異なった間葉細胞に分化する真皮鞘細胞の能力、すなわち幹細胞のポテンシャルの証拠写真を示している。これらの細胞では筋管、脂肪細胞、軟骨細胞、鉱物産生骨細胞に分化可能であることをみることができる。さらに驚くべき証拠としては、95〜105歳年齢の範囲にいる個人から得た毛包組織が含まれており、細胞培養開始に関する産生源として役割を果たすことに現実味があり、また可能であることが見出された。このデータは幹細胞の分化能力についての仮説を支持し、またその再現性は生涯を通じて一定なものとして残る(10)。さらに、初代真皮鞘細胞に繰り返し凍結と解凍とその後のクローニングを行ったが、初代真皮鞘細胞が相反する条件に前もって曝されたのにもかかわらず、少なくとも4つの異なった表現型をみせる初代真皮鞘細胞のポテンシャルを変えることはなかった。
【0069】
真皮鞘多型潜在性筋肉筋管を支持する実験的証拠
小さな紡錘形細胞のサブ集団は、いくつかは長い分枝、多核性筋管様構造を形成しており、単独、またさまざまな融合状態の両方で観察された(ルーチンに作成された培養において通常みることもまたできるように)。これらの細胞の一部はミオシン、デスミン、および/またはα平滑筋アクチン単クローン性抗体によって陽性に染色された。[過去に数少ない場合があったが、そのときには、我々は、ペトリ皿でこうした筋前駆体型の細胞の長い集合体の自発的なリズム性のある拍動、すなわち、収縮を観察した]。
【0070】
脂肪細胞
これらの細胞は、それらのはっきりとした多数の小胞形成の外観によって同定され、またそれら小胞内に含まれている物質がスダンIVによって赤色に染色され、またしたがって、飽和中性脂質であることを示した。
【0071】
軟骨細胞
多くの細胞の間にあるコンドロイチン、ケラタン硫酸プロテオグリカン、表皮内間隙であると考えられる、細胞周辺のpH1.0アルシアンブルー陽性物質を伴う円形細胞の蓄積としてみられる−{興味深いことに、ラット真皮鞘細胞をin vitroで顕微解剖された耳軟骨と混ぜ合せるときに、同様な細胞の行動が観察される}。このことはまた、in vivoでの我々の観察に関連している可能性があると思われるが、そのときには移植された真皮鞘細胞が正常に不活性な耳軟骨において過形成を刺激するようにみえる。
【0072】
鉱物産生骨細胞
これらの細胞は基質が鉱化され、またフォン・コッサ法により処理された後、リン酸カルシウムについて陽性に染色されるようにみえる、これらの細胞の集合体の形成により同定された。
さらに、はっきりとした細胞型がまた、我々の真皮鞘細胞培養(興味深い樹状突起集団を含む)において観察されたが、これらはいまだに不正確に定義されたままである。
【0073】
皮膚創傷における線維芽細胞の代替物としての真皮鞘細胞を支持する実験的な証拠
蛍光染料(DiI)で標識化された真皮鞘細胞と線維芽細胞はコラーゲン性ゲルの中にある皮膚の創傷に移植され、真皮鞘細胞は10日間にわたって皮膚細胞と匹敵するほど生存し、また宿主の皮膚にさらに通り抜けるのが観察された。真皮鞘細胞はまた、その創傷自体からは離れている正常皮膚の中に遊走し、またそれら自体を正常な皮膚の中に組込むことができることを示した(創傷の周辺にあり、また真皮鞘細胞が非損傷組織の中にある離れて存在している分離された毛包を取り囲んでいた箇所の皮膚の証拠写真を示す図13を参照のこと)。
【0074】
真皮鞘組織の貯蔵
我々の研究調査では、真皮鞘組織および/またはそれから得られた細胞は低温で長期間貯蔵することができ、またさらにその上、適当な条件に適った場合には、増殖することができることが示された。このことは明らかに、創傷治療療法の貯蔵に関して、またとくに、移植片の貯蔵ないしは移植片から作成される「生きている皮膚」に関して、潜在的な重要性を有している。
【0075】
さらに、我々の研究調査ではまた、真皮鞘細胞が極端なストレスという条件下での培養において長期間持続できることが示された。これによって、真皮鞘細胞が好ましくも頑丈であり、また真皮鞘細胞が幹細胞の特性である耐性と生育能力を示すことが強調され、この組織から得られた創傷治癒治療法に関して潜在的な重要性を有していることが分かる。
【0076】
トランスフェクションされた真皮鞘細胞を支持する証拠
図14に描かれている増強グリーン蛍光タンパク質e−GFPを含む構築物を使用して図15に概要されている方法によって得られた。真皮鞘細胞の2セットは2つの別々の機会にトランスフェクションされ、また36時間でGFPを視覚的に発現させることが示された(図16を参照のこと)。その構築物を含んだ細胞はその細胞の蛍光によって同定された。トランスフェクション率は理に適っていて高く、細胞の20%近くになった。さらに、細胞は2週間以上の間グリーンのままで残った。同じ部位あるいは異なった部位かのいずれかに、ヒト/他の種に戻された場合には、その細胞はin vivoで生存するであろうというのが我々の仮定である。
【0077】
要約すると、真皮鞘組織および/またはそれから得られた細胞および/または毛包に典型的に密接な関連性を有する細胞は、遺伝子治療システムにおいて見出すことを所望されると考えられる、利点のある特性をすべて有しているだけでなく、それらはまた、製造および長期の貯蔵という点でその組織および/またはそれから得られた細胞の使用を容易にする特性もまた有している。
【0078】
参考文献
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2. Mulligan R.C. (1993). 「遺伝子治療の基礎科学」(The Basic Science of Gene Therapy.) Science 260: 926-932.
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4.『ウールと毛髪の生物学』(G.E. Rogers, P.J. Reis, K.A. Ward, R.C. Marshall編)の中のOliver R. F. & Jahoda C. A. B. (1989).の執筆部分 「真皮毛乳頭と毛髪成長維持」(The dermal papilla and maintenance of hair growth. In The biology of wool and hair.)、pp.51-67, Cambridge: Cambridge University Press刊.
5. Reynolds, A. J. and Jahoda, C. A. B. (1991a). 「毛の分子および構造生物学」の中の「毛包細胞の誘導特性」(Inductive properties of hair follicle cells. In The Molecular and Structural Biology of Hair.)、Proc. N.Y. Acad. Sci. 624, 226-242.
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10.J. A. Buckwater & V. M. Goldberg編『筋肉骨格柔組織老齢化の可動性へのインパクト』(Musculoskeletal soft-tissue ageing impact on mobility.)の中の第7章pp79-87、Haynesworth, S. E., Goldberg, V. M. & Caplan, A. L. (1993). 執筆部分「骨格の老齢化の原因としての間葉幹細胞数減少」(Diminution of the number of mesenchymal stem cells as a cause for skeletal ageing.)

Claims (34)

  1. 組換え技術によって遺伝子操作された単離真皮鞘組織および/またはそれから得られる細胞を含む遺伝子治療において使用するための移植材料
  2. 少なくとも1つの選択された遺伝子またはその機能的なフラグメントを、遺伝子操作されている真皮鞘組織および/またはそれから得られる細胞を含む標的部位に送達するための遺伝子治療媒体。
  3. 前記組織または細胞が、毛包の下方部分から得られる請求項1に記載の移植材料または請求項2に記載の遺伝子治療媒体。
  4. 前記組織または細胞が、前記毛包の下方1/3から得られる請求項3に記載の移植材料または遺伝子治療媒体。
  5. 少なくとも1つの選択された遺伝子を置くことができる少なくとも1つの挿入部位を含むように、組換え技術によって適切に遺伝子操作された請求項2〜4のいずれか一に記載の遺伝子治療媒体。
  6. 前記選択された遺伝子の発現の結果、対応するタンパク質産物が供給されるように、前記選択された遺伝子が前記遺伝子治療媒体の中に機能的に挿入される請求項2〜5のいずれか一に記載の遺伝子治療媒体。
  7. 複数の遺伝子を運び、複数のタンパク質を送達するために複数の挿入部位を有する請求項2〜6のいずれか一に記載の遺伝子治療媒体。
  8. 前記複数のタンパク質が、互いに同じ性質を有する請求項7に記載の遺伝子治療媒体。
  9. 前記複数のタンパク質が、互いに異なる性質を有する請求項7に記載の遺伝子治療媒体。
  10. 前記選択された遺伝子が正確に発現するように、挿入用の前記選択された遺伝子が、遺伝子治療媒体のゲノムに読み枠を合わせて挿入されるべく配置される請求項2〜9のいずれか一に記載の遺伝子治療媒体。
  11. 前記選択された遺伝子が、調節可能なプロモーターに操作可能に連結される請求項2〜10のいずれか一に記載の遺伝子治療媒体。
  12. 前記選択された遺伝子が、誘導可能なプロモーターに操作可能に連結される請求項2〜10のいずれか一に記載の遺伝子治療媒体。
  13. 前記選択された遺伝子が、構成的プロモーターに操作可能に連結される請求項2〜10のいずれか一に記載の遺伝子治療媒体。
  14. 適当なキャリアーと請求項2〜13のいずれか一に記載される遺伝子治療媒体とを含んでなる治療用組成物。
  15. 前記組成物が、抗細菌特性を有するように製剤される請求項14に記載の治療用組成物。
  16. 前記組成物が、抗敗血症特性を有するように製剤される請求項14または15に記載の治療用組成物。
  17. 前記組成物が、成長促進添加剤を含むように製剤される請求項14〜16のいずれか一に記載の治療用組成物。
  18. 前記組成物が、少なくとも1つの麻酔薬を含む請求項14〜17のいずれか一に記載の治療用組成物。
  19. 前記組成物が、適当なキャリアー溶液、ゲル、クリームまたは軟化剤の中に供給される真皮鞘細胞の形態で、局所的に適用されるのに適する請求項14〜18のいずれか一に記載の治療用組成物。
  20. 前記組成物が、注射により投与でき、キャリアー溶液を含む請求項14〜18のいずれか一に記載の治療用組成物。
  21. 前記キャリアーが、プラスターないしは絆創膏に組込まれ、および/またはそれに埋め込まれ、および/またはそれと結合され、および/またはそれに付着している請求項14〜20のいずれか一に記載の治療用組成物を含んでなる治療器具。
  22. 選択された遺伝子またはその機能的フラグメントを任意の部位に送達する際に使用するための遺伝子治療媒体であって、前記遺伝子治療媒体は、真皮鞘組織および/またはそれから得られた細胞を含み、その組織および/または細胞が異種遺伝子物質を収容でき、またin vivoで少なくとも1つの分化した組織型を供給するために選択的に分化する能力を有することを特徴とする遺伝子治療媒体。
  23. 創傷治療システムとして供給される請求項2〜13および22のいずれか一に記載の遺伝子治療媒体。
  24. 請求項2〜13および22のいずれか一に記載される遺伝子治療媒体に組込まれ、および/またはそれに埋め込まれ、および/またはそれに結合され、および/またはそれに付着している適当な基質物質を含む創傷治療システム。
  25. 前記基質物質が、未変性コラーゲンを含んでなる請求項24に記載の創傷治療システム。
  26. 前記基質物質が、コラーゲン性ゲルないしは再構成コラーゲンから構築された格子、ないしは再構築コラーゲンの高度に複合的な混合物を含む請求項24または25に記載の創傷治療システム。
  27. 前記基質物質が、細胞外基質産物を含む請求項24〜26のいずれか一に記載の創傷治療システム。
  28. 外科用包帯を含む請求項24〜27のいずれか一に記載の創傷治療システム。
  29. 急性および/または慢性および/または軽症および/または重症の創傷治療に使用するための請求項24〜28のいずれか一に記載の創傷治療システム。
  30. 軟骨修復および/または骨修復および/または筋肉修復、および/または結合組織修復および/または血管修復の治療に使用するための請求項24〜29のいずれか一に記載の創傷治療システム。
  31. 前記システムが、毛包由来の複数の細胞型を含む請求項24〜30のいずれか一に記載の創傷治療システム。
  32. 前記細胞型の1つが、前記真皮鞘組織および/またはそれから得られる細胞に加えて、真皮毛乳頭組織を含む請求項31に記載の創傷治療システム。
  33. 前記組成物が、毛包由来の複数の細胞型を含む請求項14〜20のいずれか一に記載の治療用組成物。
  34. 前記細胞型の1つが、前記真皮鞘組織および/またはそれから得られる細胞に加えて、真皮毛乳頭組織を含む請求項32に記載の治療用組成物。
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