本発明に係る検眼装置の好適な実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本実施形態の検眼装置2の外観側面図を表し、図2はその外観斜視図である。図3〜図8は、検眼装置2が備える光学系の構成を表し、図9、図10は検眼装置2の制御系の構成を表している。図11〜図15は、検眼装置2によるクロスシリンダテストにおいて用いられるデータを表している。図16は、クロスシリンダテスト用の視標であるクロスシリンダテストチャートを表している。
[装置構成]
本実施形態の検眼装置2は、図1に示すように、高さを上下に調節可能な検眼テーブル1上に配置されて使用される。被検者4は、検眼テーブル1とともに設けられた検眼椅子3に着席した状態で検査を行うようになっている。
また、検眼テーブル1上には、図2に示すように支柱64sが立設されており、この支柱64sの上端部には液晶モニタ64qが設けられている。
検眼装置2は、図1及び図2に示すように、台座部5aと、この台座部5a上に配設された駆動機構ボックス5bと、後述する測定光学系を内蔵する左右一対の光学ヘッド部5l、5rと、検査時に被検者4の顔を固定配置させるための顔受け装置6とを有している。光学ヘッド部5l、5rは、それぞれ支柱5p、5qによって支持されており、駆動機構ボックス5bによりそれぞれ独立に3次元的に駆動される。光学ヘッド部5l、5rの前面には、それぞれ液晶モニタ64l、64rが設けられている。この液晶モニタ64l、64rには、検査中における被検眼の前眼部像や眼底反射像などが表示される。検者やアシスタントは、液晶モニタ64l、64rに表示された前眼部像を見ることで、検査が適正に行われているかどうか確認できる。
顔受け装置6には、左右一対の支柱6a、6bと、支柱6a、6bの上端を接続する部材により支持された額当て6cと、この額当て6cの下方に配設された顎受け6dとが設けられている。額当て6cは、検査時に被検者4の額が当接される部材であり、額に対する密着性を高めるために円弧状に形成されており、かつ、前後方向にその位置を調節できるようになっている。また、顎受け6dは、検査時に被検者4の顎が載置される部材であり、左右一対のノブ6eを操作することで、その位置を上下方向に調節できるようになっている。被検者4は、顎を顎受け6dに載せつつ、額を額当て6cに当接させることによりその顔の位置を固定させて検査に臨む。
駆動機構ボックス5bには、支柱5p、5qに支持された光学ヘッド部5l、5rをそれぞれ独立に3次元的に駆動するXYZ駆動機構が内蔵されている。このXYZ駆動機構は、図示は省略するが、例えばパルスモータや送りネジなどを用いた公知の構成を有している。
更に、駆動機構ボックス5b内には、光学ヘッド部5l、5rをそれぞれ独立に水平方向に回転駆動させる回転駆動機構が設けられている。この回転駆動機構は、例えば、パルスモータの回転駆動力をギヤを介して各支柱5p、5qに伝達することで光学ヘッド部5l、5rを回転させる。それにより、光学ヘッド部5l、5rが、被検者4の左右眼の眼球回旋点を中心にそれぞれ逆方向に回転されるようになっている。
光学ヘッド部5l、5rには、図3〜図7に示すような光学系が格納されている。光学ヘッド部5l、5rは、その光学系を動作させることで、被検者4の両眼の他覚屈折測定及び自覚屈折測定を実行するように構成されている。
台座部5aには、ジョイスティックレバー(単にレバーと呼ぶことがある)6hが設けられている。このレバー6hの上部にはボタン6gが設けられている。被検者4は、レバー6hとボタン6gとを適宜操作することにより検査を行う。
〔光学系の構成〕
光学ヘッド部5l、5rに格納された測定光学系の構成について詳細に説明する。まず、被検者4の左眼の測定を行う光学ヘッド部5lには、図3〜図5に示すように、前眼部撮影光学系30Lと、XYアライメント光学系31Lと、視標投影光学系32Lと、屈折力測定光学系33Lとが設けられている。また、被検者4の右眼の測定を行う光学ヘッド部5rには、図3、図6、図7に示すように、前眼部撮影光学系30Rと、XYアライメント光学系31Rと、視標投影光学系32Rと、屈折力測定光学系33Rとが設けられている。光学ヘッド部5lの測定光学系と光学ヘッド部5rの測定光学系とは左右対称に構成されている。以下、特に指摘しない限り、左眼測定用の光学ヘッド部5lの測定光学系について説明することとする。
光学ヘッド部5l内に設けられた前眼部撮影光学系30Lは、前眼部照明光学系34と撮影光学系35とを含んで構成されている。
前眼部照明光学系34は、図4、図5に示すように、被検者4の左眼(被検眼EL)の前眼部を照明するための光源36と、この光源36から出射された光束の断面領域を制限する絞り36aと、この絞り36aを通過した光束を被検眼ELの前眼部に投影する投影レンズ37とを備えている。
また、撮影光学系35は、前眼部照明光学系34により照明された被検眼ELの前眼部からの反射光が入射されるプリズムPと、このプリズムPの反射面にて反射された光束が入射される対物レンズ38と、ダイクロイックミラー39と、絞り40と、ダイクロイックミラー41と、リレーレンズ42、43と、ダイクロイックミラー44と、CCD46の受光面に光束を結像させるCCDレンズ45とを備えている。
XYアライメント光学系31Lは、被検眼ELに対する光学ヘッド部5lの光学系のXY方向のアライメントを行うための光学系であり、アライメント用の光束を被検眼ELに投射するアライメント照明光学系47と、その反射光を受光するアライメント受光光学系としての撮影光学系35とを含んで構成されている。ここで、被検者4から見て左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とする。また、被検者4から見て検眼装置2の奥行き方向をZ方向とする。
アライメント照明光学系47は、図3、図4に示すように、XY方向のアライメント用の光束を出射する照明光源48と、アライメント視標としての絞り49と、リレーレンズ50と、ダイクロイックミラー41と、絞り40と、ダイクロイックミラー39と、対物レンズ38と、プリズムPとを備えている。
視標投影光学系32Lは、検眼用の各種の視標(チャート)を表示する液晶表示器53と、この液晶表示器53からの光を反射するハーフミラー54と、コリメータレンズ55と、斜位検査においてプリズム度数及びプリズム基底方向を調整するためのロータリープリズム55A、55Bと、反射ミラー56と、被検眼ELを固視雲霧するときなどに用いられる移動レンズ57と、リレーレンズ58、58′と、クロスシリンダテストにより被検眼ELの乱視度数及び乱視軸角度を調整するためのバリアブルクロスシリンダレンズ(VCCレンズ)59と、反射ミラー60と、ダイクロイックミラー61、39と、対物レンズ38と、プリズムPとを備えている。
液晶表示器53には、風景チャートからなる固視標、視力検査用のランドルト環等の視力チャート、クロスシリンダテストチャートS(図16参照)、乱視検査用の放射チャート、斜位検査用の十字チャート、レッドグリーンテストチャートなどの視標が選択的に表示される。なお、この液晶表示器53に代えて、複数の視標が形成されたターレット盤を後方から照明して視標を提示する公知の視標提示手段を用いてもよい。
ロータリープリズム55A、55Bは、パルスモータ等の駆動によってそれぞれ独立に回転される。ロータリープリズム55A、55Bが互いに逆方向に回転されるとプリズム度数が連続的に変更され、同じ方向に一体的に回転されるとプリズム基底方向が連続的に変更される。
VCCレンズ59は、図8に示すように、凸状の面(正の度数)を有する円柱レンズ59Aと、凹状の面(負の度数)を有する円柱レンズ59Bとを含んで構成される。円柱レンズ59A、59Bは、パルスモータ等の駆動装置により駆動され、視標投影光学系32Lの光軸を中心としてそれぞれ独立に回動される。円柱レンズ59A、59Bが互いに逆方向に回転されると乱視度数が変更され、同じ方向に一体的に回転されると乱視軸角度が変更される。
特に、VCCレンズ59は、クロスシリンダテストの各段階において、所定の乱視度数を発生した状態で乱視軸角度を反転させる(正度数の軸方向と負度数の軸方向とを互いに切り換える)ことにより、クロスシリンダテストチャートS(図16参照)の一対の投影像を形成する。この一対の投影像は、交互に切り換えられながら被検眼EL、ERに投影される。被検者は、その一対の投影像の見え具合を比較して、どちらの投影像の方が明瞭に視認できるかをレバー6h等を操作して応答入力する。
移動レンズ57は、パルスモータ等の駆動装置により駆動されて、視標投影光学系32Lの光軸方向に移動されることにより、被検眼ELに付加される球面度を変更する。例えば、被検眼ELの屈折力に応じた移動量だけ移動レンズ57を光軸方向に移動させることにより、被検眼ELに対する固視雲霧を行う。
図5に示すように、視標投影光学系32Lのハーフミラー54の透過方向には、融像視標投影光学系32L′が設けられている。この融像視標投影光学系32L′は、照明光を出射するLED53Aと、コリメータレンズ53Bと、融像枠チャート53Dと、全反射ミラー53Eとを含んで構成されている。融像枠チャート53Dは、例えば、正方形状の透過窓(融像枠)が形成された遮光部材により構成される。また、コリメータレンズ53Bには拡散面が設けられており、LED53Aからの光を拡散して融像枠チャート53Dを一様に照明するようになっている。
なお、本実施形態では、視標投影光学系32Lから独立した融像視標投影光学系32L′を設けているが、液晶表示器53に融像枠を表示させるようにしてもよい。
屈折力測定光学系33Lは、図5に示すように、他覚測定用の光束を被検眼ELに投影する測定光束投影光学系62と、その投影光の被検眼ELからの反射光を受光する測定光束受光光学系63とを備えている。
測定光束投影光学系62は、赤外LED等の測定用光源64と、コリメータレンズ65と、円錐プリズム66と、リング視標67と、リレーレンズ68と、リング状絞り69と、中央に透孔70aが形成された穴あきプリズム70と、ダイクロイックミラー61、39と、対物レンズ38と、プリズムPとを含んで構成されている。
また、測定光束受光光学系63は、被検眼ELの眼底Efからの反射光が入射されるプリズムPと、対物レンズ38と、ダイクロイックミラー39、61と、穴あきプリズム70の透孔70aと、反射ミラー71と、リレーレンズ72と、移動レンズ73と、反射ミラー74と、ダイクロイックミラー44と、CCDレンズ45と、CCD46とを含んで構成されている。
本実施形態の検眼装置2は、後述の制御系の制御により、被検眼EL、ERに対する光学ヘッド部5l、5rの光学系のアライメント、他覚式検眼測定、自覚式検眼測定、両眼バランステストなどを自動的に実行するようになっている。自覚式検眼測定においては、他覚式検眼測定にて得られた値(他覚値)が利用される。特に、自覚式検眼測定のうちのクロスシリンダテストにおいては、他覚式検眼測定にて得られた乱視度数及び乱視軸角度が利用される。
〔制御系の構成及び処理内容〕
次に、図9〜図15を参照しながら、本実施形態の検眼装置2の制御系の構成及び本実施形態の処理内容について説明する。図9に示すブロック図は、検眼装置2の制御系の主要部分の概略構成を表し、図10に示すブロック図は、本発明に係る処理を実行する制御系の部分の概略構成を表している。また、図11〜図15は、クロスシリンダテストの実行において使用されるクロスシリンダテスト用データを表している。
検眼装置2の制御系は、図9に示すように、装置各部を制御する制御部80を中心に構成されている。この制御部80は、例えば検眼装置2の台座部5a内に格納されており、後述するような処理の制御プログラムを含む検眼用のコンピュータプログラムを記憶したROM等の不揮発性記憶装置と、このコンピュータプログラムを実行するCPU等の演算制御用プロセッサとを含んで構成されている。特に、制御部80は、クロスシリンダテストにおける各種制御を行う「制御手段」を構成する。
検眼装置2にはコンピュータ装置(図示せず)が接続されている。このコンピュータ装置は、検眼装置2のコンソールとして用いられるとともに、検眼装置2による検査結果を蓄積して管理するために用いられる。なお、このコンピュータ装置のCPUや記憶装置を制御部80として構成することも可能である。
制御部80は、各光学ヘッド部5l、5rの動作制御を行う。具体的には、制御部80は、左の光学ヘッド部5lをXYZ方向に3次元的に駆動するXYZ駆動機構81Lと、この光学ヘッド部5lを水平方向に回転駆動する回転駆動機構82Lとをそれぞれ制御する。同様に、制御部80は、右の光学ヘッド部5rをXYZ方向に3次元的に駆動するXYZ駆動機構81Rと、この光学ヘッド部5rを水平方向に回転駆動する回転駆動機構82Rとをそれぞれ制御する。
また、制御部80は、光学ヘッド部5l、5rに格納された光学系の動作を制御する。例えば、液晶表示器53の表示制御、移動レンズ57を光軸方向に駆動する移動レンズ駆動部83L、83Rの動作制御、視標投影光学系32L、32Rの光軸を中心にVCCレンズ59を回転駆動するVCCレンズ駆動部84L、84Rの動作制御、光軸を中心にロータリープリズム55A、55Bを回転駆動するプリズム駆動部85L、85Rなどの動作制御などを実行する。
更に、制御部80は、液晶モニタ64q(図2参照)の表示制御や、音声出力部86の出力制御などを行う。ここで、音声出力部86は、検眼を自動的に進めるための音声ナビゲーション等の音声情報を出力する。
制御部80は、以上のような制御の他に、光源36、照明光源48、LED53Aなどの点灯/消灯動作の制御、CCD46により撮影された画像に対する画像処理など、検眼装置2のあらゆる動作制御やデータ処理を実行する。
図10は、図9に示した制御系の一部分の詳細を表すブロック図であり、本発明に特徴的な処理を実行するための構成を表している。ジョイスティックレバー6hとボタン6gとは、クロスシリンダテストチャートSの一対の投影像の見え具合の比較結果を入力するために操作される操作手段110を構成する。
制御部80には、記憶手段100、初期値設定手段101、誤差設定手段102、判定手段103、光学ヘッド部制御手段104及び出力制御手段105が設けられている。
初期値設定手段101、誤差設定手段102及び判定手段103の動作については後述する。光学ヘッド部制御手段104は、光学ヘッド部5l、5rの各部(特に液晶表示器53、VCCレンズ駆動機構84L、84R)の制御を行う。出力制御手段105は、液晶モニタ64qによる表示出力の制御と、音声出力部86による音声出力の制御とに加え、液晶モニタ64l、64rによる表示出力の制御などを行う。
記憶手段100は、ROM等の不揮発性記憶装置によって構成され、被検眼EL、ERの検査結果(特に、乱視度数及び乱視軸角度の他覚値)や、図11〜図15に示すクロスシリンダテスト用データを含む各種の検眼用データや、検眼用制御プログラムなどをあらかじめ記憶している。
図11に示すクロスシリンダテスト用データは、被検眼EL、ERに対するクロスシリンダテストにおいて最初の段階で適用する乱視軸角度の値(初期値)を設定するために参照される情報である。以下、このデータを初期値設定用データと呼ぶこととする。
この初期値設定用データには、乱視度数の他覚値に対応する、乱視軸角度の他覚値からの角度シフト量が含まれている。より具体的には、乱視度数の他覚値が−0.25ディオプタ(D)であるときの角度シフト量は40°とされ、乱視度数の他覚値が−0.50Dであるときの角度シフト量は30°とされ、乱視度数の他覚値が−0.75〜1.00Dであるときの角度シフト量は25°とされ、乱視度数の他覚値が−1.25Dであるときの角度シフト量は20°とされ、乱視度数の他覚値が−1.50〜2.00Dであるときの角度シフト量は15°とされ、乱視度数の他覚値が−2.25〜3.75Dであるときの角度シフト量は10°とされ、乱視度数の他覚値が−4.00〜7.00Dであるときの角度シフト量は5°とされ、乱視度数の他覚値が−7.25〜8.00Dであるときの角度シフト量を3°とされている。
図11の初期値設定用データに定義された乱視度数毎の角度シフト量は、クロスシリンダテストチャートSの一対の投影像の一方を明瞭に視認させ、他方をぼやけた状態で視認させるような値に設定されている。例えば、乱視度数−0.25Dの弱い乱視の場合、被検眼の乱視軸角度から40°程度シフトさせたときに、一方の投影像は明瞭に視認され、他方はぼやけた状態で視認される。また、乱視度数−8.00Dの強い乱視の場合には、被検眼の乱視度数から3°程度シフトさせた状態でも、一方の投影像は明瞭に視認され、他方はぼやけた状態で視認される。なお、近年の他覚式検眼は測定の確度が高いこと、更に、被検眼の真の乱視軸角度はクロスシリンダテスト前には不明であることを勘案し、本実施形態では、乱視軸角度の他覚値からのシフト量を初期値の設定に用いる。
ここで、初期値設定用データを用いた、クロスシリンダテストの初期値の設定処理について説明する。この初期値設定処理は、制御部80の初期値設定手段101により実行される。初期値設定手段101は、事前に測定された被検眼EL、ERの乱視度数の他覚値に対応する乱視軸角度のシフト量を、図11の初期値設定用データから取得する。そして、被検眼EL、ERの乱視軸角度の他覚値を、取得されたシフト量だけ変位させた角度をクロスシリンダテストの初期値とする。
例えば、被検眼の乱視度数の他覚値が−0.25Dで、乱視軸角度の他覚値が30°である場合、初期値設定用データを参照すると、乱視軸角度の他覚値に対応する角度シフト量は40°である。乱視軸角度の他覚値30°をシフト量40°だけ変位させると角度70°が得られる。この角度70°がクロスシリンダテストの初期値とされる。
図12に示すクロスシリンダテスト用データは、被検眼EL、ERに対するクロスシリンダテストにおいて許容される誤差(許容誤差)、すなわち、乱視軸角度測定における測定誤差の許容範囲を設定するために参照される情報である。以下、このデータを許容誤差設定用データと呼ぶこととする。
この許容誤差設定用データには、乱視度数の他覚値に対応する、乱視軸角度測定における許容誤差が含まれている。より具体的には、乱視度数の他覚値が−0.25Dであるときの許容誤差は15°とされ、乱視度数の他覚値が−0.50Dであるときの許容誤差は10°とされ、乱視度数の他覚値が−0.75〜1.25Dであるときの許容誤差は5°とされ、乱視度数の他覚値が−1.50〜2.25Dであるときの許容誤差は3°とされ、乱視度数の他覚値が−2.50〜8.00Dであるときの許容誤差は1°とされている。
図12の許容誤差設定用データに定義された乱視度数毎の許容誤差は、乱視度数の他覚値に対して十分な精度で乱視軸角度を測定できると想定される誤差範囲となるように設定されている。より詳しく説明すると、この許容誤差の値は、次の2つの条件を満たすように設定されている。(条件1)被検眼EL、ERの乱視度数及び乱視軸角度の他覚値を、矯正レンズにより補正した状態から乱視軸角度を変位させると残余乱視が発生するが、その残余乱視が−0.25D(第1の所定範囲)内となる。(条件2)乱視度数及び乱視軸角度の他覚値と矯正レンズの乱視度数及び乱視軸角度とを合成すると球面度数が変位するが、その球面度数の変位量が−0.25D(第2の所定範囲)未満となる。なお、第1の所定範囲及び第2の所定範囲は、それぞれ適宜に設定することができるが、上記の条件1、2を満たすような許容誤差を用いることにより、乱視度数の他覚値に応じた適当な許容誤差、すなわち、測定精度が高すぎず、かつ、低すぎないような許容誤差を設定することができると思われる。
ここで、許容誤差設定用データを用いた、クロスシリンダテストの許容誤差の設定処理について説明する。この誤差設定処理は、制御部80の誤差設定手段102により実行される。誤差設定手段102は、事前に測定された被検眼EL、ERの乱視度数の他覚値に対応する許容誤差を、図12の許容誤差設定用データから取得し、当該被検眼EL、ERの乱視軸角度測定における許容誤差として設定する。
例えば、被検眼の乱視度数の他覚値が−0.25Dである場合、誤差設定用データを参照すると、乱視軸角度の他覚値に対応する角度シフト量は15°であるので、この角度15°をクロスシリンダテストにおける乱視軸角度測定の許容誤差に設定する。当該被検眼に対する乱視軸角度測定は、最終的な測定値がこの許容誤差以内の精度となるように実施される。
次に、図13〜図15に示すクロスシリンダテスト用データについて説明する。これらの図に示すデータは、乱視度数の他覚値に応じた乱視軸角度の決定プロセスを模式的に表している。以下、このデータを軸角度決定プロセスデータと呼ぶこととする(プロセスデータと略称することもある)。このプロセスデータは、VCCレンズ59の乱視軸角度をどのような順序でどのような値に変更させながら被検眼EL、ERの乱視軸角度を追い込んで最終的に決定するかのプロセスを表す。
図13(A)に示すプロセスデータは、乱視度数の他覚値が−0.25〜−0.50Dであるときに選択的に適用される。図13(B)に示すプロセスデータは、乱視度数の他覚値が−0.75〜−1.25Dであるときに選択的に適用される。図14(A)に示すプロセスデータは、乱視度数の他覚値が−1.50〜−2.25Dであるときに選択的に適用される。図14(B)に示すプロセスデータは、乱視度数の他覚値が−2.50〜−7.00Dであるときに選択的に適用される。図15に示すプロセスデータは、乱視度数の他覚値が−7.25〜−8.00Dであるときに選択的に適用される。このプロセスデータの選択は、判定手段103が行う。
これら各図に示す各軸角度決定プロセスでは、上段において乱視軸角度の他覚値からのシフト量を示し、下段においてクロスシリンダテストによる乱視軸測定の段階(検査ステップ)を示している。上段の角度シフト量の数値「0」は乱視軸角度の他覚値を示し、それ以外の数値は当該他覚値からのシフト量を示している。一方、下段の数値(マル1、マル2、・・・・)は、クロスシリンダテストによる乱視軸角度測定の段階を示している。更に、下段の各数値の横の矢印は、その数値の軸角度が適用されるときに許容されるレバー6h又はボタン6gからの入力内容を表している。より詳細には、右方向(左方向)を指す矢印はレバー6hの右(左)への傾倒を表し、上方向の矢印はボタン6gの押下を表す。
また、上段の数値のうち点線で囲まれたものは、下段に示す段階にしたがって被検者4が入力したときの、被検眼EL、ERの乱視軸角度の測定結果を表している。すなわち、下段に示す複数の段階は、被検眼EL、ERの測定結果が、点線で囲まれた乱視軸角度に決定されるために必要なプロセスを表したものである。
制御部80の判定手段103は、乱視軸角度測定の各段階におけるレバー6h等からの入力内容を軸角度決定プロセスデータと比較する。入力内容がプロセスデータに示す矢印方向と同じ場合、判定手段103は「OK」と判定し、光学ヘッド部制御手段104に信号を送る。この信号を受けた光学ヘッド部制御手段104は、VCCレンズ駆動機構84Lを制御し、VCCレンズ59を次の段階の乱視軸角度に変更する。一方、レバー6h等からの入力内容がプロセスデータに示す矢印方向と異なる場合、判定手段103は「エラー」と判定し、出力制御手段105に信号を送信する。信号を受けた出力制御手段105は、後述のようなエラー出力処理を実行させる。
以上の処理の具体例を説明する。図13(A)中の(i)の軸角度決定プロセスでは、最初の段階(テスト段階マル1)において、乱視軸角度の他覚値から40°シフトされた乱視軸角度を適用する。このシフト量40°は、乱視度数の他覚値が−0.25Dのときに設定されるシフト量(図11参照)である。なお、乱視度数の他覚値が−0.50Dのときのシフト量は30°であるが、本実施形態では、−0.25Dの場合と同じシフト量40°を適用する。
最初の段階においては、シフト量40°の乱視軸角度を適用した状態でのクロスシリンダテストチャートSの見え具合を被検者4に確認させた後、光学ヘッド部制御手段104によりVCCレンズ59の正負の軸角度が反転され、その状態での見え具合を確認させる。必要があれば、この2つの状態を交互に提示する。そして、どちらの状態の見え具合が明瞭であるかを入力させるための音声ナビゲーションを出力させる。例えば、シフト量40°の状態の見え具合の方が明瞭である場合にはレバー6hを左に傾倒させ、反転された状態の見え具合の方が明瞭であればレバー6hが右に傾倒させ、双方の見え具合が同等であればボタン6gを押下させるように促す音声ナビゲーションを出力させる。
レバー6h又はボタン6gによる入力操作がなされると、判定手段103が、その入力内容を図13(A)(i)のプロセスデータと比較する。ここで、最初の段階の矢印は右方向である。レバー6hが右方向に傾倒された場合、判定手段103は「OK」と判定し、VCCレンズ59の乱視軸角度を次の段階(マル2:第2段階)のシフト量(−20°)に変更させ、次の段階の検査に移行する。一方、レバー6hが左に傾倒された場合、又は、ボタン6gが押下された場合、判定手段103は「エラー」と判定し、エラー出力処理を実行させる。
このとき、エラー出力処理として、例えば次のような処理を適用できる。(1)「もう一度入力してください」等のメッセージを出力して被検者4に再入力させる、(2)クロスシリンダテストをスキップする(乱視度数及び乱視軸角度の他覚値を最終的な検査結果とする)、(3)液晶モニタ64q及び/又は音声出力部86によりエラー判定を検査アシスタントに報知し、被検者4に操作方法等を教える、(4)従来のような練習画面を液晶モニタ64q(又は液晶モニタ64l、64r)に表示させ、被検者4に練習させる。
なお、液晶モニタ64qと音声出力部86は、判断手段103によりエラーと判定されたことを報知する報知手段120を構成する。また、液晶モニタ64qは、練習画面を表示する表示手段を構成する。
ここで、最初の段階においてエラーと判定された場合、被検者4は、クロスシリンダテストの内容やレバー6h等の操作方法を理解していないことを意味すると考えられる。すなわち、最初の段階において提示されるクロスシリンダテストチャートSの一対の投影像は、前述のように、一方の投影像は明瞭に視認され、他方はぼやけた状態で視認されるようになっている。図13(A)(i)のケースでは、最初に提示されるシフト量40°のときの投影像はぼやけた状態で視認され、乱視軸が反転されたときの投影像は明瞭に視認されるはずである。よって、シフト量40°のときの方が明瞭である(レバー6hを左に傾倒)、又は、双方が同等に明瞭である(ボタン6gを押下)と入力された場合には、当該被検者4は、クロスシリンダテスト自体を理解していないか、又は、入力操作の方法を理解していないかのいずれかであると考えられる。
逆に、最初の段階においてエラーと判定されなかった場合、つまりOKと判定された場合には、クロスシリンダテストの内容や入力操作方法を被検者4が理解しているものと考えることができる。このように、本実施形態におけるクロスシリンダテストの最初の段階、つまり初期値が適用された状態での検査は、従来は検査前に実施していた練習画面による検査内容や操作方法の理解のための練習に相当するものと考えることができる。
最初の段階が「OK」だった場合、VCCレンズ59の乱視軸角度が、他覚値から−20°だけシフトされた値に変更され、第2段階の検査に移行する。この第2段階のシフト量は、図13(A)(i)から分かるように、許容誤差の倍のシフト量を逆の方向(±が逆)に適用した値とされる。例えば、乱視軸角度の他覚値が30°である場合、最初の段階の乱視軸角度(初期値)は30°+40°=70°とされ、第2段階では30°−20°=10°とされる。
第2段階では、シフト量−20°の乱視軸角度を適用した状態でのクロスシリンダテストチャートSの見え具合を被検者4に確認させた後、VCCレンズ59の正負の軸角度を反転させて、その状態での見え具合を確認させ、どちらの見え具合がより明瞭であるかをレバー6h等により入力させる。
第2段階におけるレバー6h等による入力内容が「左」の場合、図13(A)(i)の第2段階(マル2)の矢印と同じ方向であるので、判定手段103は「OK」と判定し、VCCレンズ59の乱視軸角度を第3段階(マル3)のシフト量20°に対応する角度に変更して次の段階の検査に移行する。
一方、第2段階における入力内容が「右」又は「上(同等)」の場合、判定手段103はエラー判定を下し、エラー出力処理に移行する。エラー出力処理としては、例えば、前述した処理のいずれかを適用できる。
第3段階についても同様に実施される。第3段階から第4段階(最後の段階)に移行するとき、光学ヘッド部制御手段104は、VCCレンズ駆動機構84L、84Rを制御して、VCCレンズ59の乱視度数をそれ以前の段階における乱視度数よりも小さな値に変更することが望ましい。例えば、最後の段階の前までの乱視度数は±0.50Dとされ、最後の段階における乱視度数は±0.25Dとされる。このように最後の段階におけるVCCレンズ59の乱視度数を小さくすると、クロスシリンダテストチャートSの投影像のぼやけ具合が減少されるので、被検者4は投影像をより明瞭に視認できる。したがって、前段階までの乱視度数をそのまま用いるときと比べて、最後の段階における応答の曖昧さが低減される。すなわち、被検眼の乱視軸角度の真値からある程度外れていれば、±0.50Dのクロスシリンダレンズは、2つの投影像の差を大きく見せるために有効であるが、真値付近においては、2つの投影像の差が僅かとなり、ただぼやけ具合の大きな2つの投影像を比較させることになるため、相応しくない。真値付近においては、ぼやけ具合のより小さい±0.25Dのクロスシリンダレンズを用いる方が良い。
第4段階において判定手段103が「OK」と判定した場合、図13(A)(i)の上段の点線で囲まれた値「0」を測定結果として採用する。この測定結果の測定誤差は、誤差設定手段102により設定された、乱視度数の他覚値−0.25、−0.50Dに対応する許容誤差15°、10°の双方を満足するものである(図12参照)。
図13〜図15に示す他の決定プロセスは、図13(A)(i)と同様に実行される。図13(A)の(ii)〜(iv)の決定プロセスによれば、図12に示す乱視度数の他覚値−0.25、−0.50Dに対応する許容誤差15°、10°の双方を満足する測定結果が得られる。また、図13(B)の各決定プロセスによれば、図12に示す乱視度数の他覚値−0.75〜−1.25Dに対応する許容誤差5°を満足する測定結果が得られる。また、図14(A)の各決定プロセスによれば、図12に示す乱視度数の他覚値−1.50〜−2.25Dに対応する許容誤差3°を満足する測定結果が得られる。また、図14(B)、図15の各決定プロセスによれば、図12に示す乱視度数の他覚値−2.50〜−8.00Dに対応する許容誤差1°を満足する測定結果が得られる。なお、図14(B)、図15の決定プロセスは、後述のように1°刻みで乱視軸角度を決定するものであるが、図示を簡略化してある。
なお、図13(A)(iv)の決定プロセスについては、次のようなファクタが加味されている。当該決定プロセスは、乱視軸角度の他覚値から40°シフトした値を測定結果として採用する場合のものである。近年、他覚式検眼測定に用いられるオートレフラクトメータ等の他覚式検眼装置の測定精度は向上されており、測定誤差は例えば10°程度となっている。そこで、図13(A)(iv)の決定プロセスでは、他覚式検眼測定の測定結果を信頼し、第3段階のシフト量20°において「左」と判断された場合に、他覚値「0」での見え具合を一度確認させるようになっている(第4段階)。そして、他覚値「0」においても「左」と判断された場合には、被検者4の判断を尊重し、被検眼EL、ERの乱視軸角度の他覚値からのシフト量は20°よりも大きいものと推定して検査を行うようになっている。
ここで、図13〜図15に示した決定プロセスは、本実施形態の検眼装置2が備える決定プロセスの一部である。乱視軸角度の他覚値をAとすると、検眼装置2には、乱視度数の他覚値が−0.25〜−0.50Dの場合において、例えば、A+0°、A+10°、A−10°、A+20°、A−20°、A+30°、A−30°、A+40°、A−40°、A+50°、A−50°のそれぞれを測定結果とするための決定プロセスが少なくとも1つずつ含まれている。また、乱視度数の他覚値が−0.75〜−1.25Dの場合において、例えば、A+0°、A+5°、A−5°、A+10°、A−10°、A+15°、A−15°、A+20°、A−20°、A+25°、A−25°のそれぞれを測定結果とするための決定プロセスが少なくとも1つずつ含まれている。また、乱視度数の他覚値が−1.50〜−2.25Dの場合において、例えば、A+0°、A+3°、A−3°、A+6°、A−6°、A+9°、A−9°、A+12°、A−12°、A+15°、A−15°のそれぞれを測定結果とするための決定プロセスが少なくとも1つずつ含まれている。また、乱視度数の他覚値が−2.50〜−7.00Dの場合において、例えば、A+0°、A+1°、A−1°、A+2°、A−2°、A+3°、A−3°、A+4°、A−4°、A+5°、A−5°、A+6°、A−6°、A+7°、A−7°、A+8°、A−8°、A+9°、A−9°のそれぞれを測定結果とするための決定プロセスが少なくとも1つずつ含まれている。また、乱視度数の他覚値が−7.25〜−8.00Dの場合において、例えば、A+0°、A+1°、A−1°、A+2°、A−2°、A+3°、A−3°、A+4°、A−4°、A+5°、A−5°、A+6°、A−6°、A+7°、A−7°、A+8°、A−8°、A+9°、A−9°のそれぞれを測定結果とするための決定プロセスが少なくとも1つずつ含まれている。
[作用効果]
本実施形態の検眼装置2により奏される作用効果について説明する。
まず、検眼装置2によれば、実際のクロスシリンダテストの最初の段階において、クロスシリンダテストチャートSの一対の投影像の一方を明瞭に視認させ、他方をぼやけた状態で視認させるようにVCCレンズ59の乱視軸角度の初期値が設定されて、クロスシリンダテストを実施するように構成されている。したがって、この最初の段階においてクロスシリンダテストの内容の理解や操作方法を練習することができるので、検査前にクロスシリンダテストの練習を行う必要がなく、そのために時間を消費する必要がない。それにより、検査時間全体の短縮化を図ることが可能である。
また、このように練習と検査とを一体的に実施するように構成されているので、練習において一旦理解したテスト内容や操作方法を忘れてしまうことがない。したがって、クロスシリンダテストを円滑に実施でき、検査時間の短縮が図られる。
なお、エラー判定に対応して練習画面を表示させる構成を採用すると、テスト内容や操作方法を理解していない被検者に対しては練習を実施して理解を促進させることができる一方で、それらを理解している被検者に対しては練習画面を一切用いることなく円滑にクロスシリンダテストを遂行でき、検査時間を短縮させることができる。
また、検眼装置2によれば、被検眼の乱視度数に応じた許容誤差の軸角度決定プロセスが選択されるので、必要以上の精度で乱視軸角度測定を行うことがない。したがって、クロスシリンダテストを従来よりも迅速に行うことができ、検査時間を短縮させることが可能となる。
また、乱視軸角度測定の最後の段階において、VCCレンズ59の乱視度数が、それ以前の段階よりも小さな値に変更されるので、最後の段階における被検者の応答の曖昧さを低減させることができ、検査時間の短縮を図ることができる。なお、このように最後の段階においてより小さな乱視度数を適用すると、比較すべき一対の投影像のぼやけ具合が小さくなるので、投影像がより明瞭に見える状態で検査が終了となり、被検者は、従来に比べてよりすっきりとした感覚で検査を終了することができる。それにより、検査に基づき作成されたメガネレンズに対する不信感の防止を図ることができる。
また、乱視軸角度の他覚値から被検者による応答内容が離れる方向に進んでいく場合(例えば図13(A)(iv)の場合)に、他覚値による見え具合を一度確認するように構成されているので、応答が間違っているときにはそれを修正することができる。一方、応答内容が正当と判断される場合には、被検者の応答を尊重して検査を続行することができる。
[変形例]
以上の実施形態では、両眼同時の他覚検眼測定機能と、画像や音声のナビゲーションによる被検者単独による自覚検眼測定機能とを備えた検眼装置について説明したが、本発明に係る検眼装置は、これに限定されるものではない。例えば、被検眼の眼前に光学素子を選択的に配置するタイプの検眼装置(例えば、特開2002−253503号公報の自覚式検眼装置の検眼ユニットなど)などについても、本発明に係る構成を搭載することができる。
また、上記実施形態では、クロスシリンダテストチャートSの一対の投影像を形成するためにバリアブルクロスシリンダレンズ(VCCレンズ)を用いているが、レンズ自体の裏表を反転させるタイプのクロスシリンダレンズを使用してもよい。ただし、その場合には、乱視度数を変更するための光学部材(円柱レンズ等)を追加的に設ける必要があるなど、光学系の構成が複雑になるため、バリアブルクロスシリンダレンズを使用することが望ましいと考えられる。
また、操作手段としては、ジョイスティックレバー6hやボタン6g以外にも、コントロールパネルやトラックボールなど、任意の入力デバイスを用いることが可能である。
また、エラー判定の報知や練習画面の表示を行う表示手段としては、検眼テーブル1上に立設された液晶モニタ64q以外にも、光学ヘッド部5l、5r前面の液晶モニタ64l、64rや、図示しないコンピュータ装置のモニタや、光学ヘッド部5l、5r内の液晶表示器53などを用いることができる。
また、上記実施形態においては、初期値設定用データ、許容誤差設定用データ及び軸角度決定プロセスデータは、乱視度数の他覚値が−0.25〜8.00Dの範囲で設定されているが、その他の範囲の他覚値に対して設定するようにしてもよい。また、これらのデータは0.25Dステップで設定されているが、それに限定されるものではない。更に、初期値設定用データにおいて、例えば乱視度数の他覚値が−0.25Dの場合と−0.50Dの場合のように、複数の他覚値に同じ角度シフト量が設定されているが、1つ1つの他覚値に対してシフト量を設定してもよい。これは許容誤差設定用データや軸角度決定プロセスデータについても同様である。
また、上記実施形態では、乱視軸角度測定の最後の段階において、それより前の段階よりも小さな乱視度数に変更するように構成されているが、乱視度数の変更は最後の段階には限定されない。すなわち、乱視軸角度測定の所定の段階以降におけるクロスシリンダレンズの乱視度数を、この所定の段階よりも前の段階における乱視度数よりも小さな値に変更することができる。この「所定の段階」は、乱視軸角度測定の段階が進行して、被検眼の乱視軸角度の真値に近づいた段階とされることが望ましい。
以上に詳述した構成は、本発明に係る検眼装置を実施するための一構成例にすぎないものである。したがって、本発明の要旨の範囲内において各種の変形を施すことが可能であることはいうまでもない。