上記特許文献1に示す循環式の床下収納装置は、レール設置作業等の大がかりな作業が必要であるため、施工作業が面倒であるという問題があった。更にリフォーム等により後付けで床下収納装置を施工しようとしても、床下の狭い空間内で、レールを設置するには無理があり、場合によっては床板を取り外す等の面倒な作業も伴って、リフォーム等の後付けで施工することが困難であるという問題もあった。
また特許文献2に示す床下収納装置は、上記と同様、面倒なレール敷設作業を必要とするものであるため、施工作業が面倒であり、リフォーム等の後付けで施工することも困難であった。そればかりか、同文献の床下収納装置は、所定数の台車を連結一体化して特定の形状に組み立てるものであるため、台車数が特定され、台車数を変更することが実質的に不可能である。このため需要等に合わせて、最適な収納容量を確保することができず、また施工後においては、収納容量を増加させたくとも、台車数を増加させることができず、施工後の収納容量変更に対処できないという問題があった。しかも、同文献の床下収納装置は、全体形状も特定されているため、床下空間の形状に適切に合わせることが困難であり、例えば装置回りに無駄なスペースが生じて、スペースの有効利用を図ることができないという問題も抱えている。
特許文献3に示す床下収納装置は、レールを敷設しない、いわゆる無軌道循環式のものであり、レール設置作業は不要となる。しかしながら、同文献の床下収納装置は、上記特許文献2と同様、所定数の台車を特定の形状に組み立てるものであるため、需要に合わせて最適な収納容量を確保することが困難であるとともに、施工後の収容量変更に十分対処できないという問題を有している。更に上記特許文献2と同様、装置回りに無駄なスペースが生じ易く、スペースの有効利用を図れないという問題も依然として解消することはできなかった。
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、需要に合わせて最適な収納容量を確保できる上、施工後に収納容量を簡単に変更でき、更にスペースの有効利用を図ることができるとともに、新築時にはもちろん、リフォームによって後付けでも簡単に組付施工することができる床下収納装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、床下設置面上に複数の床支持部材が立設された床下空間に、物品の収納保管用として設置される床下収納装置であって、床下設置面上に面方向に走行自在に設置され、かつ1本以上の床支持部材を内側に位置させた環状経路に沿って並んで配置される複数の台車と、隣り合う台車の各間を水平方向に沿って揺動自在に、かつ着脱自在に連結する複数の連結手段と、前記環状経路の内側に位置する床支持部材に設けられ、かつ外周縁部が前記台車の内側縁に接触可能な支点板とを備え、前記複数の台車が、前記支点板の外周縁部に沿って案内されつつ、前記環状経路に沿って循環走行されるよう構成されてなるものを要旨としている。
この発明の床下収納装置においては、床支持部材に設けた支点板を内側にして、環状に複数の台車を揺動自在に連結するとともに、複数の台車を支点板の外周縁部に案内させつつ、環状経路に沿って循環走行させるものであるため、レールを敷設せずに、台車をスムーズに循環させることができる。このため、面倒なレール敷設作業を省略でき、その分、施工作業を簡単に行うことができるとともに、リフォーム時等においても、後付けで簡単に施工することができる。
また台車の設置数を任意に設定できて、物品収納容量を自在に設定できるため、使用者の要望等、需要に応じて、最適な収納容量を確保することができる。しかも、台車の連結形状(走行路形状)も任意に設定できるため、床下空間に合わせて、適切な走行路形状を形成することができ、床下空間内に無駄なスペースが形成されず、スペースの有効利用を図ることができる。
また施工後においても、台車、連結手段、支点板等の構成部品を適宜追加したり、取り除いたりするだけで簡単に、台車の連結数を変更できて、物品収納容量を増減させることができるため、施工後における収納容量の変更にも確実に対処することができる。
一方、本発明において、前記連結手段は、隣り合う台車間に架橋状に配置され、かつ両端が各台車にそれぞれ回転自在に連結された連結リンクにより構成されてなるものを採用するのが好ましい。
すなわちこの場合には、台車の走行力が後続の台車に順次スムーズに伝達されるため、台車を安定した状態で循環走行させることができる。
本発明において、前記支点板が1つ設けられ、その支点板の周囲4箇所に前記台車がそれぞれ配置され、隣り合う台車のうち先行の台車が後続の台車に対し直角に配置されてなる構成を採用することができる。
この構成は、本発明における基本形態であり、この形態から様々の形態に発展させることができる。
本発明においては、前記複数の台車における連結リンク両端の各回転支持部が、前記支点板の中心位置から等距離に設定されてなる構成を採用するのが良い。
すなわちこの構成を採用する場合には、台車をバランス良く安定した状態で循環走行させることができる。
本発明においては、前記複数の台車における連結リンク両端の各回転支持部が、前記支点板回りの周方向に沿って等間隔おきに配置されてなる構成を採用するのが望ましい。
すなわちこの構成を採用する場合には、台車を、一層バランス良く安定した状態で循環走行させることができる。
本発明において、前記台車はその外周縁部に、内側辺と、前側辺と、後側辺と、内側辺及び前側辺間に設けられた前斜辺と、内側辺及び後側辺間に設けられた後斜辺とを有し、隣り合う台車のうち先行の台車の後斜辺が、後続の台車の前斜辺に対向配置されてなる構成を採用するのが、より好ましい。
すなわちこの構成を採用する場合、台車のサイズを大きく設定でき、物品の収納効率を向上させることができる。
本発明においては、前記支点板が2つ以上設けられるとともに、前記複数の台車が各支点板を経由して環状に配置され、前記台車が2つの支点板間を走行する部分では、隣り合う台車のうち先行の台車が後続の台車に対し直列に配置されるとともに、前記台車が支点板の外周縁部に沿って走行する部分では、隣り合う台車のうち先行の台車が後方の台車に対し直角に配置されるよう構成されてなるものを採用することができる。
この構成は、本発明における発展形態の一例である。
本発明においては、隣り合う台車間の揺動許容範囲が、略90°に制限されてなる構成を採用するのが、より望ましい。
すなわちこの場合には、台車走行時に、台車が過度に揺動するのを防止でき、台車をスムーズに循環走行させることができる。
本発明においては、前記連結リンクの回転許容範囲が制限されることにより、隣り合う台車間の揺動許容範囲が制限されてなる構成を採用するのが、一層好ましい。
すなわちこの場合には、台車走行時に、台車が過度に揺動するのを確実に防止することができる。
本発明においては、前記複数の台車における連結リンク両端の各回転支持部が、前記台車が2つの支点板間を走行する部分では、直列に配置されるとともに、前記台車が支点板の外周縁部に沿って走行する部分では、前記支点板の中心位置から等距離に配置されるよう構成されてなるものを採用するのが、一層望ましい。
すなわちこの場合には、台車を、よりバランス良く安定した状態で循環走行させることができる。
本発明においては、前記複数の台車における連結リンク両端の各回転支持部が、環状経路に沿って等間隔おきに配置されてなる構成を採用するのが、より一層好ましい。
すなわちこの構成を採用する場合には、台車を、より一層バランス良く安定した状態で循環走行させることができる。
本発明においては、前記複数の台車における連結リンク両端の各回転支持部が、環状経路に沿って等間隔おきに配置されるとともに、前記連結リンクの長さが、隣り合う床支持部材間の距離に対し1/2に設定されてなる構成を採用するのが、より一層好ましい。
すなわちこの構成を採用する場合には、床支持部材間の距離に制約されることなく、所望の複数の床支持部材の回りに、複数の台車を安定した状態に連結して配置することができる。
本発明において、前記台車はその外周縁部に、内側辺と、前側辺と、後側辺と、内側辺及び前側辺間に設けられた前斜辺と、内側辺及び後側辺間に設けられた後斜辺とを有し、前記台車が2つの支点板間を走行する部分では、隣り合う台車のうち先行の台車の後側辺が、後続の台車の前側辺に対向配置されるとともに、前記台車が支点板の外周縁部に沿って走行する部分では、先行の台車の後斜辺が、後続の台車の前斜辺に対向配置されてなる構成を採用するのが、なお好ましい。
すなわちこの構成を採用する場合には、台車のサイズを十分大きく確保でき、収納効率を一層向上させることができる。
本発明においては、前記台車はその外周縁部に、内側辺と、外側辺と、前側辺と、後側辺と、内側辺及び前側辺間に設けられた前斜辺と、内側辺及び後側辺間に設けられた後斜辺とを有する平面視略六角形状に形成され、前記台車における外側辺と内側辺とが平行に配置されるとともに、前側辺と後側辺とが平行に配置され、前斜辺及び後斜辺が内側辺に対し略135°の内角に設定されてなる構成を採用するのが、なお一層好ましい。
すなわちこの構成を採用する場合には、台車のサイズを十分大きく確保でき、収納効率を更に向上させることができる。
本発明においては、前記台車における前側辺と前斜辺との間に円弧状の曲成部が形成されるとともに、後側辺と後斜辺との間に円弧状の曲成部が形成されてなる構成を採用するのが、なお望ましい。
すなわちこの構成を採用する場合には、台車の揺動動作をスムーズに行うことができ、台車を、よりスムーズに循環走行させることができる。
本発明において、前記支点板は、床下支持部材にその軸心回りに回転自在に取り付けられ、前記台車の循環走行に伴って回転するよう構成されてなるものを採用するのが、一段と好ましい。
すなわちこの場合には、台車における支点板回りの移動に追従して、支点板が回転するため、台車が支点板回りをスムーズに走行し、走行安定性を向上させることができる。
本発明において、前記支点板の外周縁部が、前記台車の内側辺に係合可能に構成されてなるものが、一段と望ましい。
すなわちこの場合には、台車が支点板と同調して回転することにより、台車が摩擦抵抗なく支点板回りを走行するため、走行安定性をより一層向上させることができる。
本発明においては、前記台車の進行方向長さ(前後寸法)が、隣り合う床支持部材間の距離と等しく設定されてなる構成を採用するのが、更に好ましい。
すなわちこの構成を採用する場合には、床支持部材間の距離と台車のサイズとの寸法関係に制約されることなく、自由に施工することができる。
本発明においては、前記台車上に載置される物品収納箱を、更に備える構成を採用するのが良い。
すなわちこの構成を採用する場合には、収納箱によって物品を保管することができるため、収納物品を整理し易い上、保護することもできる。
この発明の床下収納装置によれば、需要に合わせて最適な収納容量を確保できる上、施工後に収納容量を簡単に変更でき、更にスペースの有効利用を図ることができるとともに、新築時にはもちろん、リフォームによって後付けでも簡単に組付施工することができる。
図1ないし図3はこの発明の実施形態である床下収納装置を示す図である。これらの図に示すように、この床下収納装置が適用される床構造は、基準面としての床下設置面(1)上に多数の支持脚(2)が縦横に等間隔おきに立設状態に固定されるとともに、各支持脚(2)によって複数の床下地パネル(3)が水平面内において面状配置に支持されている。更に床下地パネル(3)上に床パネル(4)が敷設されて、仕上げ床(5)が形成されている。また、仕上げ床(5)の所定位置には、物品出し入れ用の開口部(5a)が形成されている。なお言うまでもなくこの開口部(5a)には、開閉自在な蓋板(図示省略)が設けられている。
このような二重床構造に適用される本実施形態の床下収納装置は、図1ないし図3に示す4連形状や、後に説明する他の多数の形状のいずれの形状にも組み立てることができる上、各形状間での変更も簡単に行うことができる。
まず本実施形態の床下収納装置を4連形状に基づいて説明すると、図1ないし図4に示すように、本実施形態の床下収納装置は、所定の支持脚(2)の周囲4箇所に配置される4台の台車(10)と、隣り合う台車(10)間を連結する4本の棒状の連結リンク(30)と、上記所定の支持脚(2)に回転自在に取り付けられる1枚の回転支点板(40)とを基本的な構成要素として備えている。そして支持脚(2)の軸心を支点にして、各台車(40)が環状に旋回走行されるとともに、その走行に伴って回転支点板(40)が回転されるよう構成されている。
なお、本実施形態において、台板(20)は、時計回り及び反時計回りの双方向に循環させることができるが、以下の説明では、発明の理解を容易にするため、時計回り及び反時計回りのいずれか一方向を進行方向とし、その進行方向を基準に、前方や後方等の方向を特定するものとする。
台車(10)は、台板(20)と、台板(20)の裏面側に設けられ、かつ台板(20)を床下設置面(1)に沿って二次元方向に走行自在に支持する複数のキャスター(19)とを有している。
台板(20)は、平面視において六角形状に形成されており、内側辺(21)、外側辺(22)、前後両側辺(23)(23)、前後両斜辺(25)(25)とを有している。内外両側辺(21)(22)は互いに平行に配置されるとともに、前後両側辺(23)(23)は互いに平行に配置され、更に前後両斜辺(25)(25)は、内外両側辺(21)(22)及び前後両側辺(23)(23)に対しそれぞれ45°の傾斜角度に設定されている。還元すれば、内側辺(21)及び前後両斜辺(25)(25)の内角と、前後両斜辺(25)(25)及び前後両側辺(23)(23)間の内角とは、共に135°に設定されるととともに、外側辺(22)及び前後両側辺(23)(23)間の内角は90°に設定されている。
更に台板(20)における前後両側辺(23)(23)と前後両斜辺(25)(25)との間には、その間を滑らかに接続する円弧状の曲成部(27)(27)が設けられている。なおこの曲成部(27)(27)は、後述するように、連結リンク(30)の両端軸支持部(31)を中心とする円弧線に沿って形成されている。
本実施形態において、台板(20)は、針葉樹合板からなり、前後寸法が、隣り合う支持脚(2)の間隔(スパン)と等しく、918mmに設定されている。更に台板(20)の板厚は、24mmに設定されている。
キャスター(19)としては、ボールベアリング入りウレタン製の車輪を備え、車輪径50mm、取付高さ65mmのものが用いられている。
このキャスター(19)が、台板裏面の4箇所に取り付けられている。
回転支点板(40)は、平面視正方形の針葉樹合板によって構成されている。回転支点板(40)の各辺の長さは、上記台車(10)の内側辺(21)の長さと等しく、300mm程度に設定されるとともに、回転支点板(40)の厚さは、24mmに設定されている。
この回転支点板(40)は、支点板受部材(41)を介して支持脚(2)(2)にその軸心回りに回転自在に取り付けられている。
ここで、回転支点板(40)は、支持脚(2)にあらかじめ取り付けておいても良いし、後付けで取り付けるようにしても良い。後付けで取り付ける場合には、回転支点板(40)を2つ以上の分割片により構成し、その分割片を支持脚(2)に外側から囲うように組み付けて一体化して、所定の形状に形成されるようにしたものを用いれば良い。
なお回転支点板(40)は、いわゆる板形状のものに限られず、外枠が正方形等の所定形状に形成されたフレーム形状のものであっても良い。
この回転支点板(40)の周囲四辺を囲うように配置される4台の台車(10)は、その各内側辺(21)が回転支点板(40)の周囲四辺にそれぞれ当接して配置されるとともに、隣り合う台車(10)間において前斜辺(25)が後斜辺(25)にそれぞれ当接して配置される。
台車(10)の台板裏面側には、棒状の固定リンク(18)が前後方向に沿って配置された状態でそれぞれ固定されており、各固定リンク(18)の端部同士が上記連結リンク(30)を介して連結されている。すなわち、連結リンク(30)の前端が、先行(前側)の台車(10)における固定リンク(18)の後端に、垂直軸回り(水平面内)に回転自在に連結されるとともに、連結リンク(30)の後端が、後続(後側)の台車(10)における固定リンク(18)の前端に、垂直軸回りに回転自在に連結される。こうして、4台の台車(10)が回転支点板(40)回りに配置された状態で互いに連結されて、4連形状の状態に固定される。このとき、台車(10)は、回転支点板(40)の中心を支点にして、水平面内を旋回するように回転走行できるよう構成されるとともに、各台車(10)の内側辺(21)が回転支点板(40)の外側辺に係合されることにより、台車(10)の回転に同調して、回転支点板(40)が回転するよう構成されている。
ここで本実施形態においては、連結リンク(30)は鋼製の棒材からなり、その長さ寸法は、支持脚スパンに対し、半分の459mmに設定されている。
更に連結リンク(30)は、固定リンク(18)の連結リンク取付位置間の距離と等しく設定されて、連結リンク(30)及び固定リンク(18)によって、正八角形が形成されている。つまり連結リンク(30)の両端における各軸支持部(31)は、周方向に沿って等間隔おきに配置されるとともに、回転支点板(40)の中心から等距離に配置されている。従って、各台車(10)が回転走行する際に、台車(10)間において走行力が順次無理なく伝達されて、各台車(10)が周方向に沿ってバランス良くスムーズに安定走行されるものである。
この4連形状の床下収納装置においては、いずれかの台車(10)に対応する位置に、仕上げ床(5)の開口部(5a)が配置されている。そして手動操作によって、旋回走行(循環走行)させて、所望の台車(10)を仕上げ床(5)の開口部(5a)に対応する位置に配置する。その後、開口部(5a)を介して、所望の台車(10)に対し物品を出し入れするものである。
ところで、本実施形態の床下収納装置において、上記4連形状では、隣り合う台車(10)間の揺動動作が規制されるものの、単に2台の台車(10)を1本の連結リンク(30)により連結しただけの状態では、両台車(10)間の揺動動作が許容される。このため、一方の台車(10)が、他方の台車(10)に対し、直列に配置される直列状態と、直角に配置される直角状態との間で揺動自在に構成されている。このとき、直列状態においては、隣り合う台車(10)間において前側辺(23)が後側辺(23)に当接されるとともに、直角状態においては、隣り合う台車(10)間において前斜辺(25)が後斜辺(25)が当接される。
また本実施形態では、連結リンク(30)の台車(10)に対する回転許容範囲がそれぞれ45°の範囲内に制限されることにより、両台車(10)間の揺動許容範囲が、直列状態と直角状態との間の90°の範囲に制限されている。すなわち台車(10)の台板裏面側における連結リンク(30)の揺動方向両側には、外側及び内側の揺動規制片(35a)(35b)が固定されている。そして連結リンク(30)が外側に揺動した際には、連結リンク(30)が外側の揺動規制片(35a)に係止することにより、それ以上外側に揺動するのが防止されるとともに、内側に揺動した際には、連結リンク(30)が内側の揺動規制片(35b)に係止することにより、それ以上内側に揺動するのが防止される。なお連結リンク(30)が外側揺動規制片(35a)に係止した状態では、連結リンク(30)は、台板(20)の前後両側辺(23)(23)に対し直交配置されるとともに、内側揺動規制片(35b)に係止した状態では、連結リンク(30)は、両側斜辺(25)(25)に対し直交配置されるよう構成されている。
一方、本実施形態においては、上記4連形状以外にも、6連形状や8連形状等、他の形状に組み立てることができる。
例えば図5及び図6に示すように6連形状に組み立てる場合には、隣り合う2本の支持脚(2)(2)にそれぞれ回転支点板(40)(40)を、上記と同様に回転自在に取り付ける。更に2枚の回転支点板(40)(40)を内側に位置させるように、6台の台車(10)を長円ないしは長方形の環状に並べて配置し、その状態で、隣り合う台車(10)間を上記と同様に連結リンク(30)を介して連結するものである。
この6連形状において、図6(a)に示す初期状態においては、片側3台の台車(10)が、一方の回転支点板(40)の回りに配置されて、その3台の台車(10)の内側辺(21)が、一方の回転支点板(40)の周囲三辺に当接されている。更に残り3台の台車(10)が、他方の回転支点板(40)の回りに配置されて、その3台の台車(10)の内側辺(21)が、他方の回転支点板(40)の周囲三辺に当接されている。更にこの状態において、回転支点板(40)の外周部分では、隣り合う台車(10)が直角状態に配置されるとともに、2枚の回転支点板(40)(40)間の部分では、隣り合う台車(10)が直列状態に配置されている。
また、仕上げ床(5)には、いずれか一つの台車(10)に対応する位置に開口部(5a)が形成されている。
以上の構成の床下収納装置においては、手動操作によって、複数の台車(10)が長円環状経路に沿って循環走行されるものである。例えば図6(a)に示す初期状態から台車(10)を手で持って進行方向に移動させると、各台車(10)が環状経路に沿って循環走行される。このとき各台車(10)が、2枚の回転支点板(40)(40)の間の部分から、例えば一方の回転支点板(40)の外周部分へと移動する際には、各台車(10)がその後続の台車(10)に対し内側に順次揺動することにより、直列状態から直角状態に順次移行しつつ、各台車(10)の内側辺(21)が一方の回転支点板(40)の一側辺に順次当接していく。こうして隣り合う台車(10)が直角状態で一方の回転支点板(40)の回りを回転するとともに、この台車(10)の軸回り走行に追従して回転支点板(40)がその中心を支点に回転する。また各台車(10)が、一方の回転支点板(40)の外周部分から、2枚の回転支点板(40)(40)の間の部分に移行する際には、各台車(10)がその後続の台車(10)に対し外側に順次揺動することにより、直角状態から直列状態に順次移行する。こうして、2枚の回転支点板(40)(40)の間の部分では、隣り合う台車(10)が直列状態で走行する。
この床下収納装置を使用する場合には、台車(10)を循環させて所望の台車(10)を仕上げ床(5)の開口部(5a)に対応する位置に配置する。そして、その開口部(5a)を介して所望の台車(10)に対し物品を出し入れするものである。
なお本実施形態においては、図5に示すように、台車(10)上に物品収納箱(60)を配置して、その箱(60)内に物品を収納保管するようにしても良い。
このように本実施形態においては、4連形状のように台車(10)を4台連結したり、6連形状のように6台連結して組み立てることができる。更に4連形状及び6連形状間の変更も簡単に行うことができる。すなわち、4連形状から6連形状に変更する場合には、2台の台車(10)、2本の連結リンク(30)及び1枚の回転支点板(40)を追加して、6台の台車(10)を適宜連結すれば良い。逆に6連形状から4連形状に変更する場合には、2台の台車(10)、2本の連結リンク(30)及び1枚の回転支点板(40)を取り除いて、4台の台車(10)を適宜連結すれば良い。
一方、本実施形態において、他の形状としては、例えば図7に示す長8連形状や、図8に示す正8連形状等を例示することができる。
図7に示す長8連形状では、並んで配置される3本の支持脚(2)の外周を循環するように台車(10)が連結されるものである。すなわち3本の支持脚(2)のうち、両端に配置される2本の支持脚(2)に回転支点板(40)がそれぞれ取り付けられるとともに、その2枚の回転支点板(40)の外側に掛け渡すように、8台の台車(10)を長円環状に配置した状態で隣り合う台車(10)間が連結リンク(30)を介して連結されるものである。
また図8に示す正8連形状では、縦横に並んで配置される4本の支持脚(2)に回転支点板(40)がそれぞれ取り付けられるとともに、その4枚の回転支点板(40)の外側に掛け渡すように、8台の台車(10)が四角環状に配置された状態で隣り合う台車(10)間が連結リンク(30)を介してそれぞれ連結されるものである。
以上のように、本実施形態の床下収納装置においては、所定の支持脚(2)に回転支点板(40)を設けるとともに、その回転支点板(40)を内側に位置させるように環状に連結した複数の台車(10)を、回転支点板(40)の外周に沿って移動させつつ、循環走行させるようにしているため、台車(10)を走行させるためのレールが必要なく、その分、施工作業を簡単に行うことができる。しかも、レールの敷設作業等の大がかりな作業が必要でないため、リフォーム時等においても、後付けで簡単に施工することができる。
また、台車(10)の連結数を任意に設定できて、物品収納容量を自在に設定できるため、使用者の要望等、需要に応じて、最適な収納容量を確保することができる。更に台車(10)の連結形状(走行路形状)も任意に設定できるため、床下空間に合わせて、適切な走行路形状を形成することができ、床下空間内に無駄なスペースが形成されず、スペースの有効利用を図ることができる。
また施工後においても、台車(10)や回転支点板(40)等の構成部品を追加したり、取り除いたりするだけで簡単に、台車(10)の連結数を変更できて、物品収納容量を増減させることができるため、施工後における収納容量の変更にも確実に対処でき、商品価値を格段に向上させることができる。
特に本実施形態においては、連結リンク(30)の長さを、支持脚(2)のスパンに対し1/2に設定した上で、台車(10)の前後寸法(進行方向長さ)を、支持脚(2)のスパンに一致させているため、支持脚スパンと台車サイズとの寸法関係に制約されることなく、台車(10)の連結数や連結形状を設定することができ、台車(10)のサイズを十分大きく確保でき、施工に関して柔軟性が増し、商品価値をより一層向上させることができる。
図9はこの発明の第1変形例である床下収納装置が適用された床構造の回転支点板周辺を示す断面図である。同図に示すようにこの床下収納装置においては、台車(10)をハンドル(70)の回転操作によって循環走行させるものである。すなわち台車(10)の支点となる所定の支持脚(2)に、上記実施形態と同様に、正方形の回転支点板(40)が回転自在に取り付けられるとともに、この回転支点板(40)と一体に回転できるように、回転支点板(40)の上面に第1歯車(71)が固定されている。
また支持脚(2)の側方には、ブラケット(77)を介して垂直配置に中間回転軸(75)がその軸心回りに回転自在に取り付けられる。中間回転軸(75)の下端には、上記第1歯車(71)に噛合する第2歯車(72)が固定されるとともに、上端には第3歯車(73)が固定されている。
中間回転軸(75)の上端側方における仕上げ床(5)の開口縁部には、垂直配置に短寸の入力回転軸(76)がその軸心回りに回転自在に取り付けられている。入力回転軸(76)の下端には、上記第3歯車(73)に噛合する第4歯車(74)が固定されている。
また入力回転軸(76)の上端には、操作用ハンドル(78)の先端が着脱自在に取り付けられており、操作用ハンドル(78)を回転操作することにより、その回転操作力が、歯車(71)〜(74)及び回転軸(75)(76)により伝達されて、回転支点板(40)が回転するよう構成されている。
その他の構成は、上記実施形態と同様であるため、同一部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
この床下収納装置においては、ハンドル操作によって回転支点板(40)が回転駆動されると、回転支点板(40)の外側辺に接触係合された台車(10)が順次送り出されて、台車(10)が所定の環状経路を循環走行するものである。
図10はこの発明の第2変形例である床下収納装置が適用された床構造の回転支点板周辺を示す断面図である。同図に示すようにこの床下収納装置は、台車(10)を電動モータ(80)によって循環走行させるものである。すなわち所定の回転支点板(40)には、上記と同様に第1歯車(71)が固定されている。
また支持脚(2)の側方には、ブラケット(87)を介して下向きに電動モータ(80)が固定されている。モータ(80)の回転軸先端には、上記第1歯車(71)と噛合する第2歯車(72)が固定されている。そしてモータ(80)の駆動によって、歯車(71)(72)が回転して、回転支点板(40)が回転するよう構成されている。
またこの床下収納装置には、モータ(80)の駆動を制御する制御手段が設けられるとともに、その制御手段に、台車走行に関する指令を入力するための操作パネル(図示省略)等の入力手段が設けられている。
そして使用者が、操作パネルを介して制御手段に走行指令を与えると、モータ(80)が駆動して回転支点板(40)が回転して、上記と同様に、台車(10)が循環走行される一方、操作パネルを介して制御手段に走行停止指令を与えると、モータ(80)の駆動が停止して、台車(10)の循環走行が停止するものである。
その他の構成は、上記実施形態と同様である。
ここで参考までに、本実施形態の床下構造に関する細部の構成について説明する。まず床下設置面(1)は、ベタ基礎又はコンクリート、モルタル仕上げ等により、台車(10)が走行し得るように平坦に形成されたものを好適に採用することができる。また床下設置面(1)の下地が、凹凸を有するものや土の場合には、コンクリートやモルタルにより平坦に仕上げたり、敷き板を敷いて平坦面に仕上げて、床下設置面(1)として構成するのが良い。なお敷き板は、2枚以上に分割されていても良く、その場合には隣り合う敷き板間を相じゃくり接合等により接合しておくのが良い。
支持脚(2)や束等の床支持部材は、その材質が特に限定されるものではなく、金属製、プラスチック製、木質製のもの等、いずれのものでも使用することができる。例えば金属製やプラスチック製の支持脚は、脚柱部が断面円形に形成されるものが多いため、脚柱部に回転支点板(40)を回転自在に取り付けることが容易であるが、木製のものでは、断面方形状のものが多いため、脚柱部に回転支点板(40)を取り付ける場合には、脚柱部の外周に円筒部材を取り付けて、その円筒部材に回転支点板(40)を取り付けるようにすれば良い。
回転支点板(40)は、その材質が特に限定されるものではなく、木質製、金属製、プラスチック製のもの等、いずれのものでも使用することができる。また回転支点板(40)の形状も特に限定されるものではないが、台車(10)と同調させて回転させる場合には、正方形等の多角形により構成するのが好ましい。更に台車(10)と同調させない場合には、円形のものにより構成して、外周端縁に沿って台車(10)を滑らせるように移動させるのが良い。
回転支点板(40)の厚さは、特に限定されるものではなく、台車(10)における台板(20)の厚さに対し半分から同程度に設定するのが良い。上記実施形態のように正方形のものを使用する場合には、回転支点板(40)の一辺の長さは、台板(20)の内側辺(21)の長さと等しく設定するのが良い。具体的に、回転支点板(40)としては、厚さが15〜30mm、一辺の長さが200〜300mmの正方形のものや、直径が200〜300mmの円形のもの等を好適に用いることができる。
回転支点板(40)を支持脚(30)に回転自在に取り付ける場合には、回転をスムーズに行えるように、回転支点板(40)における支持脚挿通孔を支持脚(30)よりも若干大きめに形成するのが良い。ただし、この挿通孔を大きく形成し過ぎると、偏心等が生じるため好ましくない。
台車(10)の台板(20)は、その材質が特に限定されるものではなく、例えば木質製や合成樹脂製のもの等を好適に用いることができる。
台車(10)の裏面に取り付けられるキャスター(19)の数は、走行時の安定性や取付手間を考慮すると、3〜6個に設定するのが良く、より好ましくは上記実施形態のように4個程度に設定するのが良い。キャスター(19)の取付位置は、走行時の安定性を考慮すると、前後対称位置に取り付けるのが良い。更にキャスター(19)は、旋回した際に、平面視において台板(20)の外周からはみ出さない位置に取り付けて、隣り合う台車間において、キャスター同士が干渉しないように調整するのが良い。
キャスター(19)の材質は、車輪部がナイロン、ウレタン等の合成樹脂製のもので、取付部が金属製のものが一般に用いられる。更にキャスター(19)としては、旋回や回転をスムーズに行えるように、車輪部及び取付部間の軸支持部、車軸及び車輪間の軸支持部にボールベアリング等のベアリングが介装されたものを用いるのが良い。
キャスター(19)における車輪の大きさは、特に限定されるものではないが、直径が30〜100mm、より好ましくは50〜75mmのものを用いるのが良い。すなわち車輪径が大き過ぎる場合には、台板の高さが高くなり、その分、収納スペースが小さくなり、逆に車輪径が小さ過ぎる場合には、特に高重量の物品を搭載した状態での走行安定性が低下して、台車(10)をスムーズに走行させることが困難になる恐れがある。
連結リンク(30)は、その材質が特に限定されるものではなく、金属製、合成樹脂製、木質製のものや、これらの複合部材からなるものを好適に用いることができる。
連結リンク(30)は、台板(20)の裏面側及び表面側のいずれに取り付けても良いが、表面側に取り付けると台板(20)上に物品を搭載する際の妨げになる恐れがあるため、裏面側に取り付けるのが望ましい。もっとも連結リンク(30)を台車(10)の表面に取り付ける場合、収納スペースが小さくなるが、台車表面に複数の突起部材を取り付けて、連結リンク(30)の回転を妨げずに、搭載物品を支持するようにしても良く、更には突起部材の上に物品搭載用の板状体等を配置するようにしても良い。また台板(20)における連結リンク(30)の可動する範囲を切り欠いても良い。
連結リンク(30)の長さは、特に限定されるものではないが、支持脚スパンの1/n倍(nは偶数)、最適には1/2に設定することにより、台車(10)をスムーズに循環走行させることができる。
また、必要に応じて台車(10)に載置される物品収納箱(60)は、形状、材質等が特に限定されるものではない。例えば木質製、樹脂製、紙製、金属製、これらの複合材からなるものや、立方体形状、直方体形状、多角柱形状、円柱形状、楕円柱形状、これらの複合形状のもの等を好適に用いることができる。
物品収納箱(60)の大きさも特に限定されるものではないが、台車(10)上からはみ出さない程度のものを用いるのが良い。
物品収納箱(60)は、台車(10)に単に載置するだけでも良いが、台車(10)にビス、釘、接着剤、両面テープ等により固定するようにしても良い。更に台車(10)に載置する場合には、載置部外周の所要箇所に凸部を形成したり、載置部全域を凹部に形成して、位置決めできるよう構成しても良い。
なお上記実施形態においては、台車が4〜8台連結される場合を例に挙げて説明したが、本発明においては、台車の連結数は特に限定されるものではない。
更に直列状態及び直角状態にかかわらず、隣り合う台車間は、必ずしも接触させる必要はなく、隣り合う台車間に隙間を形成するようにしても良い。
また台車の形状も、特に限定されるものではなく、例えば、三角形や四角形等の多角形状はもちろん、円形、楕円形、長円形等の形状に形成しても良い。
また上記実施形態においては、台車に対し、前側連結リンクの後端と、後側連結リンクの前端とが異なる位置に取り付けられているが、本発明においては、台車に対し、前側連結リンクの後端と、後側連結リンクの前端とが同じ位置に取り付けられていても良い。更に台車間を、連結リンクを用いずに、軸部材や蝶番等を用いて揺動自在に連結するようにしても良い。