JP4565126B2 - 窯業系建材の廃材を利用した水硬性材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一般住宅や各種建築物等の構築,補修,解体等に際して発生する廃材、例えば住宅等の窯業系外装材や瓦等の廃材を主原料として、その再利用を実現する窯業系建材の廃材を利用した水硬性材料の製造方法等に関するものである。
一般住宅やその他建築物の構築や補修,解体等に際して発生する窯業系建材の廃材は、多くの場合に埋め立て処理されるが、埋め立て地の減少とともに処理費が高騰するため、テリアルリサイクルが考えられはじめている。例えば、粉砕して焼成処理を施すことによりセメント鉱物(セメントクリンカを含む。以下同じ。)を生成させて、水硬性材料として再利用することが考えられる。
このような建材の廃材を利用した水硬性材料としては、例えば、特許文献1にも示されているように、コンクリート廃材を含む建設廃材焼却物やポルトランドセメント、カルシウム化合物を配合した水硬性組成物や、或いは、特許文献2にも示されているように、ALC建築廃材を600〜1500℃で加熱処理することにより、酸化カルシウムとトバモライトの一部が分解した珪酸カルシウム系鉱物を含んでなる水硬性珪酸カルシウム系原料などが知られている。
ところが、特許文献1に示される水硬性組成物は、あくまでもポルトランドセメントの配合を前提とするものに過ぎず、廃材の有効利用が充分に達成され難いという問題があった。
さらに、特許文献2に示される水硬性珪酸カルシウム系原料においては、ALC建築廃材の材質や発生環境等に応じて、加熱処理により製造された原料に含まれる酸化カルシウムや珪酸カルシウム系鉱物の含有量にばらつきが生じるおそれがあることから、安定した強度発現が実現され難いという問題を内在していたのである。
また、過去に生産された一般住宅等の瓦や外装材には、多量のアスベストが用いられている場合がある。そのような窯業系建材の廃材では、セメント鉱物を生成させて水硬性材料として再利用することが一層難しいという問題があった。即ち、アスベストはマグネシウムを多量に含んだ鉱物繊維であり、セメント化においても、主原料である窯業系建材に対して各種補助成分等を混合する際にアスベストの均一分散性が重要となってくる。また、廃材中のアスベストの含有量が過剰であると、水硬性材料中に化合物となっていないフリーの酸化マグネシウム(f−MgO)が残ることにより、得られる水硬性材料の機能を損ねる可能性もある。
特開平11−263659号公報 特開2001−199750号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、窯業系建材の廃材の特性を巧みに利用することにより、常温下での強度が効果的に確保され得て、例えば窯業系製品の原料として用いた場合に、取り扱い性が向上され得ると共に、窯業系製品における最終的な強度が有利に発揮され得る新規な水硬性材料の製造方法等を提供することにある。
また、本発明は、アスベストを比較的に多く含有する瓦や建築外装材等の廃材でも、アスベストが効率的にセメント成分として取り込まれて、得られる水硬性材料において優れた機能性や硬化性能を得ることの出来る、水硬性材料の製造方法等を提供することも、目的とする。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、上述の課題を解決するために、本発明者は、窯業系建材の廃材の再利用について多くの実験と検討を加えた結果、窯業系建材の廃材に含まれる化学成分の種類および含有量に着目して該窯業系建材の廃材に特定の処理を加えることにより、常温下でのセメント強度に寄与するセメント鉱物としてのアリットが効果的に生成され得るという特徴的な事実を新たに見い出し得たのであり、かかる知見に基づいて、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させるに至ったのである。
ここにおいて、本発明の第一の態様は、アスベストを含有する窯業系建材の廃材を主原料とし、該主原料に対してカルシウムを含む補助成分を添加して、これら主原料や補助成分を含む混合物におけるCaO/SiO 2 のモル比を2.5〜4.0とすると共に、該混合物における該アスベストの量を2.7重量%以下に調整する準備工程と、前記混合物を、前記アスベスト中の結晶水が分離する温度に加熱する仮焼成工程と、前記混合物を粉砕することにより、前記結晶水が分離した前記アスベストに応力を供給して粉砕する粉砕工程と、前記混合物を1300〜1400℃で焼成して前記主原料と前記補助成分を反応させる焼成工程とを含むことにより、アリットを含有して常温で硬化する水硬性材料を得ると共に、前記アスベストを該水硬性材料の原料として利用する水硬性材料の製造方法を、特徴とする。
このような本発明方法に従えば、廃材に含まれるカルシウムやシリカ、鉄、その他の化学成分が目的とする水硬性材料のセメント成分として有効利用されると共に、カルシウムを含む補助成分を主原料に添加することにより、主原料と補助成分の焼成反応が調整されて、セメント強度に寄与するセメント鉱物としてのアリット(3CaO・SiO2 等)が良好に生成するのであり、以て、常温下での硬化によって実用的な強度が充分に発揮されることとなり、窯業系製品等の製造が容易となる。
なお、本発明において、「アリット」は、一般にC3 Sで表されるが、良く知られているように、理想型である3CaO・SiO2 の他、公知のセメントにも含有されている形態である各種固溶体を含む概念であり、例えばAl2 3 、Mg2 3 を含む固溶体等であっても良い。具体的には、工業的に扱われているアリットは、54CaO・MgO・Al2 3 ・16SiO2 であり、セメントにも含有されるこの固溶体も、当然に、本発明のアリットに含まれるものである。
また、本態様においては、窯業系建材の廃材に骨材等の他に適当な増量剤や補強剤等の不純物が含まれていることから、その再利用に際して環境性等が問題となるおそれがあるが、本発明方法に従うことにより、これら不純物が消失され、或いは補助成分の添加作用と相俟って、別の有用な物質に形を変えることもあることから、環境への悪影響が有利に解消され得る。
なお、窯業系建材の廃材(主原料)に対してカルシウムを含む補助成分を添加する調整方法としては、例えば、予め廃材に含まれる各種の成分を測定した後に適量の補助成分を添加したり、或いは本発明方法に従って製造された水硬性材料の強度等を測定評価することによって得られた実験データに基づいて、各種窯業系建材の廃材に補助成分を添加すること等により、実現され得る。また、本態様における常温は、加熱をしないで室内または室外で通常得ることのできる温度をいい、一般に20±15℃とされる。
また、本態様では、主原料と補助成分は、焼成に先立って十分に混練することが望ましく、例えば、湿式または乾式でそのまま混合したり、或いはボールミル等の混合機械を使用して粉砕しつつ混合することも可能である。特に、これら主原料と補助成分は、混合物の段階で細かな粉末状とされることが望ましく、それによって、焼成処理に際して、窯業系建材の廃材におけるシリカ等を含む各種成分と補助成分との反応性が向上されて、水硬性の更なる向上と安定化が図られ得ると共に、窯業系製品の製造に際して、水を加えた常温下での強度が効果的に発揮され得るのである。
さらに、本態様では、一般に、混合物を焼成処理することによってセメントクリンカが生成することとなり、該セメントクリンカをそのまま水硬性材料として市場に提供することも可能であるが、新規の窯業系製品の製造に際して粉砕等の処理を加えられることなく容易に用いられ得るように、また、取扱いや搬送作業等を容易に行うことが出来るように、破砕および粉砕処理して市場に提供されることが望ましく、更に、石膏や適当な補助剤、増量剤等を適宜に添加することも可能である。
また、これら窯業系建材の廃材と補助成分を粉砕した後の混合物における粒子の比表面積は、特に限定されるものでないが、上述の如き理由等を考慮して3000〜5000cm2 /gが望ましい。
また、補助成分に含まれるカルシウムとしては、例えば酸化カルシウムや水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等を採用することが可能であり、或いはカキ貝殻等の貝殻屑からなるカルシウム成分を含む廃棄物を単独で用いても良く、更に、該廃棄物をカルシウム成分を含む他の材料と組み合わせて採用することも可能である。また、ダスティング、C3 A量の減量調整にも効果があるとされる鉄を補助成分として追加しても良い。
ここにおいて、本態様では、補助成分のカルシウム成分として、好適には炭酸カルシウム、より好適には水酸化カルシウム、より一層好適には酸化カルシウムが採用されることにより、アリットがより効率良く生成することが本発明者等によって確認されている。
また、本態様においては、従来のセメント生成に際して必要と考えられていた工業的製造温度としての1450℃以上の高温での焼成処理に比して、1300〜1400℃という低温度での焼成処理が採用されることから、焼却炉等の設備が簡略化されると共にエネルギコストも削減されることとなり、低コスト化が実現され得る。
さらに、本態様では、窯業系建材の廃材に補助成分を添加して、これら廃材や補助成分を含む混合物におけるCaO/SiO2 のモル比を2.5〜4.0に設定することにより、焼成処理後の水硬性材料におけるアリット含有量が効果的に確保され得る。即ち、CaO/SiO2 のモル比が小さくなり過ぎると、窯業系建材の廃材に含まれるシリカ(SiO2 )に対してカルシウムが不足することとなり、アリットが有効に生成しない。また、CaO/SiO2 のモル比が大きくなり過ぎると、焼成処理に際して廃材中のSiO2 と反応しないCaOが多くなり、その結果、水硬性材料中にf−CaO(フリーライム)として残存することから、例えばかかる水硬性材料を建材の材料等に用いた場合に、フリーライムが常温で炭酸ガスと反応してCaCO3 となり、基材収縮等が発生して寸法精度が有効に確保され難くなる。
それ故、本態様に従えば、混合物におけるCaO/SiO2 のモル比が当該範囲に含まれるように補助成分を添加、調整することにより、一般のセメント生成にあって、低温度領域とされる1300〜1400℃の焼成処理によっても、アリットが良好に生成するのであり、以て、実用的な初期強度がより一層有利に発揮され得るのである。
また、本態様に従って製造された塊状の水硬性材料においては、1450℃以上の高温で焼成処理して得られた塊状物(セメントクリンカ)に比して、低硬度であることから、焼成処理後に破砕、粉砕処理して粉状材料とするに際しても、処理が容易で、設備コストも抑えられるという利点がある。
さらに、本態様においては、焼成処理を施す前の窯業系建材の廃材または混合物に仮焼処理として、例えば500〜800℃の温度で加熱処理を施すことにより、窯業系建材の廃材に含まれる不純物が効率よく除去されることとなり、混合物の焼成過程における窯業系建材の廃材と補助成分の反応性が向上されることから、アリットが良好に生成されて、目的とする水硬性能の更なる向上が図られ得る。
なお、窯業系建材の廃材に含まれる不純物としては、例えばパルプ等の有機系材料の他に、後述する第の態様に係る有機質包装材等が挙げられる。これら不純物は、仮焼処理によって、炭素となり酸化して炭酸ガスになると推考される。更に、仮焼処理を施すことにより、窯業系建材の廃材の脱炭酸作用も達成されて、反応における不純物が効率よく除去され得るものと推考される。また、仮焼時間は、処理設備の大きさや処理能力、廃材の材質や量等にもよるが、好適には30〜180分、より好適には90分〜180分とされる。
また、本態様では、前述の仮焼処理による不純物の除去効果等に加えて、特にアスベストを含む窯業系建材の廃材の焼成処理に際して格別の効果を得ることが出来る。即ち、アスベスト中のSiO2 がアリットの主成分の一つであるCaOと固溶してアリットの組成に利用されると共に、アスベスト中のMgOが固溶体の一部のCaOと置換されて置換固溶体を形成し、更に、アスベスト中のFe2 3 がC4 AFとして水硬性材料に取り込まれる。
その結果、アスベストの構造が有利に破壊されて無害化され得るのであり、しかも、アスベストの主成分の一部がアリットの組成に利用されることから、環境保全と原料の有効活用に伴うコスト削減化が両立して高度に達成され得るのである。
また、本態様にあっては、水硬性材料における急結(偽凝結)作用を起こすC3 Aが減少されると共に、Fe2 3 やMgOには焼成処理における液相反応の温度低下および固溶反応を促進させる作用があることから、水硬性材料の硬化特性がより一層安定され得るという利点がある。
更にまた、本態様では、特に限定されるものでないが、本発明者等によりアスベストの一種であるクリソタイルを焼成処理して粉末X線回折(XRD)およびSEM観察により分析した結果、700℃程度で結晶水脱離による構造破壊が起こり、1200℃ではガラス化することが確認された。これらの結果により、本態様では、アスベストが固溶体形成反応の材料としてカルシウム等と反応して他成分になるものと推考される。
また、本態様では、前記補助成分を添加した後、前記アスベスト中の結晶水が分離する温度に加熱することで仮焼成を施すと共に、該アスベストを粉砕する応力を供給し、次いで前記焼成処理を施すようにされている
このような本態様では、アスベスト中のSiO2 とMgOが一層効率的に消費されて水硬性材料中に取り込まれることとなる。
すなわち、アスベストはSiO2 とMgOとH2 Oの結合体であり、窯業系建材の廃材からなる主原料に対してカルシウムを含む補助成分を添加して混合する際にも、その成分の偏りを、避けることが難しい。また、かかる窯業系建材を微粉砕してから混合する場合においても、アスベストの粉塵が有毒となることから、取り扱いが困難になると考えられる。そこにおいて、本態様に従えば、主原料たる窯業系建材に補助成分としてのカルシウムを添加してから、アスベスト中の結晶水が分解せしめられることから、アスベストが結合水を失って効率的に繊維を破砕することが出来るのであり、これにより、その後の焼成による固溶反応をより効率的に生ぜしめ得て、アスベスト含有廃材を主原料とする場合でも良好な機能や硬化性能を有する水硬性材料を得ることが可能となるのである。
より詳しくは、本態様に従って水硬性材料を製造するに際しては、主原料であるアスベスト含有廃材に対して炭酸カルシウム等の補助成分を加えて混合した後、700℃以上で仮焼成し、その後に粉砕の応力を加えて混合することが望ましい。先ず、アスベスト含有廃材に炭酸カルシウム等を適正比で混合し、700℃以上で仮焼成を行うが、より好適には1000℃位に設定される。時間は10分以上が好ましく、より好適には30分程度とされる。このような仮焼成処理により、アスベストは結合水を失い、シェア(剪断応力を生ぜしめる外力)を加えると繊維が容易に砕ける状態となる。
なお、炭酸カルシウム等の補助成分を添加する前に、アスベスト含有廃材を単体で仮焼成を行ってもよいが、本態様の如く、炭酸カルシウム等のカルシウム源からなる補助成分を加えた後に仮焼成する方がよい。そうすることにより、アスベスト成分とカルシウムが反応して一層粉砕されやすくなるからである。
また、本態様における焼成後の粉砕は、例えばボールミル等で混合粉砕することによって行われる。粉砕後の粒度は、処理時間や取扱性に関して許容される限り比表面積が細かい程良く、その後の焼成処理による固溶反応が一層効率的に行われるようになる。具体的には、処理時間や粉砕効果等を考慮すると、例えばボールミル等で数分〜数十分の粉砕処理が、好適に採用される。即ち、粉砕応力を与えると、仮焼成によって結合水(H2 O)を失ったアスベストのSiO2 とMgOが主原料中に均一に分散されることとなり、その結果、焼成時において未反応のSiO2 が減少し、例えば1300℃付近でも固溶反応が効率よく進み、セメント(水硬性材料)の主要成分であるアリットが生成する。これにより、未反応時に発生するf−CaOやf−MgO(化合物となっていないフリーのCaOやMgO)の量が少なくなるのであり、よって、アスベスト含有廃材を主原料とした場合でも、特に本態様の製造方法に従って水硬性材料を生成することにより、機能的に安定したリサイクルセメントとしての水硬性材料を一層有利に得ることが可能となるのである。
また、本態様では、前記主原料としての窯業系建材に含有される前記アスベストの量が、該主原料に前記補助成分を添加した後の前記仮焼成前の状態で2.7重量%以下とされている
このような本態様では、未反応時に発生するf−MgOの水硬性材料中における残存をより効果的に抑えて、得られる水硬性材料における機能の更なる安定化を図ることが可能となる。
すなわち、アスベストの主成分であるMgOは、分散させることにより上述の如く焼成中にアリットの一部として取り込まれるが、仮焼成前の原料(主原料に補助成分を配合せしめた後のもの)中のアスベスト量が2.7重量%以下であると、アスベスト成分中のMgOが、焼成中に略完全にアリットの中に取り込まれ得る。一方、2.7重量%を越えるアスベストを含む原料を用いた場合には、アリットの生成量のバラツキにもよるが、アリット中に取り込む事ができるMgOの限界を超えてしまい、生成される水硬性材料中に余剰のMgOがf−MgOとして、単独で存在するようになる。その結果、f−MgOの存在によって施工後の膨張と、それに起因する強度低下等が懸念される不安定な水硬性材料となってしまう。
特に、現在から今後に取り壊しが増加する20〜30年前の建材にはアスベストが多量(20%程度)に含まれていることがあり、この廃材を主原料として用いた場合には、たとえ成分を均一分散し得た場合でも、余剰のMgO成分がf−MgOとしてセメントクリンカ中に残ることから、現実的に無視できない問題となる。
そこで、本態様においては、アスベストの含有量が仮焼成前の原料状態で2.7重量%以下となる廃材だけを選別利用することによって機能的に優れた水硬性材料を得ることを可能とし、或いはアスベストの含有量が2.7重量%を越える原料となる程に廃材のアスベスト含有量が多い場合には、アスベストを含まない外装材系の廃材などと予め混合することによって、主原料中のアスベスト含有量を落として、仮焼成前の原料におけるアスベスト含有量を2.7重量%以下に調整することによって、機能的に優れた水硬性材料を安定して製造することが出来るのである。
また、本発明の第の態様は、前記第の態様に係る水硬性材料の製造方法において、前記混合物に含有される前記アスベストの量が、前記仮焼成工程前の状態で2.7重量%を越える場合に、該混合物に対してフライアッシュを添加して混合することにより、かかるアスベストの含有量を2.7重量%以下に調整することを、特徴とする。
このような本態様では、前記第の態様と同様な効果を発揮し得ることに加えて、たとえ主原料の含有アスベストが多い場合でも、未反応で発生するf−MgOの水硬性材料中における残存を抑えて、得られる水硬性材料における機能の安定化を図ることが可能となる。
すなわち、原材料である瓦や外装材等の廃材中のアスベスト量が多い場合でも、本発明に従って、フライアッシュを添加混合することにより、かかるフライアッシュを加えた主原料中のアスベストの含有量を低下させて、補助成分を加えた後の仮焼成前の原料におけるアスベストの含有量を2.7重量%以下に抑えることにより、上述の本発明の第の態様と同様に、余剰のMgO成分のf−MgOとしての残存を抑えて、機能的に優れた水硬性材料を安定して製造することが可能となるのである。
しかも、本態様においては、建材等と同様な廃棄物として、火力発電所で生成されるフライアッシュを利用することにも大きな特徴があり、この廃棄物であるフライアッシュをアスベスト過剰廃材と混合することにより、水硬性材料の一つの材料として有効利用を図ることが出来るのである。
そして、このようにフライアッシュを添加すると、MgO量の割合が減るだけでなく、フライアッシュには非晶質Siが含まれることから、カルシウムを含む補助成分の添加後にとげる焼成に際しても、固溶反応が起こりやすい廃材となり得るのであり、高い機能性と硬化性能を備えた水硬性材料を得ることが可能となるのである。
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る水硬性材料の製造方法において、前記準備工程において前記窯業系建材の廃材に粉砕処理を施すと共に、かかる粉砕処理の際に水を加えることを、特徴とする。
このような本態様においては、特にアスベストやその他の有害物質を含む窯業系建材の廃材を粉砕処理する際に、かかる粉砕処理等に基づく有害物質の飛散が軽減乃至は防止されることとなり、それによって、作業環境の安全性が向上され得る。
なお、本態様の水には、例えば、河川等の水や浄化処理された水道水等の水が採用される他に、適当な物質を水に溶解させた水溶液等も採用される。また、本態様において、窯業系建材の廃材に粉砕処理を施す際に水を加える方法としては、例えば、廃材と補助成分をボールミル等の混合機械に投入して両材料を混練する際に水を適宜に加えたり、或いは、廃材を補助成分と混合する前に予め粉砕処理する際に水の適量を加えること等により実現される。また、好適には、廃材を粉砕処理する設備が防護壁を備えたり、隔離的に設置されたりすることにより、安全性の更なる向上が図られ得る。
また、本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に係る水硬性材料の製造方法において、前記準備工程において前記窯業系建材の廃材に粉砕処理を施すと共に、かかる粉砕処理の際に注水処理を施すことにより湿式のペレットを得て、該ペレットを前記主原料として用いることを、特徴とする。
このような本態様においては、廃材に注水処理を施すことにより、例えば粉砕処理に際しての廃材に含まれるアスベスト等の有害物質の飛散が効果的に防止されることに加えて、これら粉砕処理および注水処理により得られた湿式のペレットを主原料として用いることにより、材料の運搬時や補助成分との混合時等の有害物質の飛散も有効に防止されることから、環境保全および廃材の取り扱い性の更なる向上が図られ得る。
なお、本態様の注水処理には、例えば前記第の態様に示される如き水を廃材に加えることにより有利に実現される。また、廃材の粉砕処理としては、乾式または湿式の粉砕処理が採用される。そこにおいて、乾式の粉砕処理を採用する場合には、廃材に粉砕機等による粉砕処理を施して得られた粉体に適量の水を加えることにより、本態様の粉砕処理および注水処理が完了する。また、湿式の粉砕処理を採用する場合には、予め注水した粉砕機に廃材を投入し、該廃材に粉砕処理を施すことにより、本態様の粉砕処理および注水処理が完了する。また、湿式のペレットは、例えば、窯業系建材の廃材に粉砕処理および注水処理を施すことによって塊状物として実現される他に、該廃材に粉砕処理を施した粉体に注水処理を施すと共に、転動によって団子状等に固めることにより実現したり、或いは該粉体に注水処理を施す際に結合剤等を添加して塊状に固めることにより実現される。
また、前記第および第の態様では、水を加えた窯業系建材の廃材を適度な湿度に保つことにより、廃材にアスベストを含む場合に、該アスベストにおける廃材や補助成分等を物理的に吸着する作用が向上されることとなり、焼成中の固溶反応がより効果的に進行されることも期待され得る。更に、前記第および第の態様における水の含有量(水分量)は特に限定されるものでないが、望ましくは、水分量が水/廃材の重量比で0.2〜2.0にされる。水分量が低くなり過ぎると、粉塵が気中に放散する一方、水分量が高くなり過ぎると、廃材と補助成分の混合物の焼成処理において、水の揮発に要するエネルギロスが大きくなる。
また、本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に係る水硬性材料の製造方法において、前記準備工程において前記窯業系建材の廃材に粉砕処理を施した後に、該窯業系建材の廃材を有機質包装材で包装すると共に、前記補助成分と混合することにより前記混合物を得ることを、特徴とする。
このような本態様においては、焼成処理に際して混合物の取り扱い性が向上され得るのであり、しかも、有機質包装材を採用したことにより、混合物の焼成時に包装材が焼失されることから、作業工程の簡便化が有利に図られ得る。
さらに、本発明に関連した参考技術としての水硬性材料としては、窯業系建材の廃材を主原料とし、該主原料に対してカルシウムを含む補助成分を添加すると共に、これら主原料や補助成分を含む混合物に焼成処理を施して該主原料と該補助成分を反応させることにより製造され、アリットを含有して常温で硬化するようにした態様が、採用され得る。
このような本態様に係る水硬性材料においては、カルシウムを含む補助成分の添加量を調整することによって、セメント強度に寄与するアリットの生成量が適宜に調整されることから、所望の強度が発揮され得るのである。
なお、本態様の水硬性材料は、上述の如きアリット(C3 S)を多く含む他に、ベリット(2CaO・SiO2 )や3CaO・Al2 3 (C3 A)、4CaO・Al2 3 ・Fe2 3 (C4 AF)、CaO、アリットにAl2 3 、Mg2 3 が一部置換した置換固溶体等を適宜に含有する。また、水硬性材料の形状は、特に限定されるものでなく、市場に提供される形態や取り扱い性等を考慮して、粉状や塊状等が適宜に採用される。
また、かかる水硬性材料を用いて窯業系製品を製造する場合には、水硬性材料を砂や水と練り混ぜて常温で硬化させることにより、窯業系製品を製造することが可能であり、或いは水硬性材料や砂、水等を含んだ混合物の硬化後に、要求される強度等に応じてかかる混合物に高温高圧養生を施すことにより、窯業系製品を実現することも可能である。
更にまた、本態様では、普通ポルトランドセメント等のセメント材料の添加を基本的に必要としない。即ち、本態様に係る水硬性材料は、セメント材料を添加することを否定するものでないが、あくまで窯業系建材の廃材を主原料とするものであって、セメント材料が該水硬性材料に対して20重量%以上とされることはない。蓋し、本態様の水硬性材料は、セメント材料を用いることなく、常温硬化して実用的な強度を得ることが出来るものだからである。
上述の説明から明らかなように、本発明の水硬性材料の製造方法に従えば、窯業系建材の廃材に対してカルシウムを含む補助成分を添加することにより、廃材に含まれる各種の成分と補助成分が反応して、セメント強度に寄与するセメント鉱物としてのアリットが良好に生成するのであり、その結果、実用的な初期強度が充分に確保されることから、窯業系製品等の製造作業性が効果的に向上され得るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る水硬性材料の製造方法に従って製造される水硬性材料を説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでない。
先ず、窯業系建材としての窯業系外装材の廃材を500℃で2時間仮焼する。その後、該廃材に補助成分としての炭酸カルシウムを添加してCaO/SiO2 のモル比:rをr=3.3に調整すると共に、廃材中の内割の値が0%、10%、20%のアスベストを各別に添加して、3種の組成物を得る。また、各組成物を水を含むミルに投入し、湿式粉砕および混合することにより3種の混合物を得ると共に、湿った状態の各混合物を電気炉に投入して、1300℃で1時間ホールドの条件で焼成処理することにより、3種のセメントクリンカを得る。更に、各セメントクリンカを、ボールミルを用いて200rpmで1時間粉砕処理することにより、実施例1としてのアスベストが0%の水硬性材料と、実施例2としてのアスベストが10%の水硬性材料と、実施例3としてのアスベストが20%の水硬性材料を得る。このとき、実施例1〜3の水硬性材料には、γ−2 CaO・SiO2 (γ−C2 S)等に起因すると考えられるダスティング現象は見られなかった。そして、本実施例では、これら実施例1〜3の水硬性材料をX線回折装置により分析した。その結果を図1に示す。また、市販の普通ポルトランドセメントをX線回折装置により分析した結果を、比較例1として図1に併せ示す。
因みに、本実施例にあって、仮焼処理後の窯業系外装材の廃材における化学組成は、以下の通りであった。但し、該廃材にアスベストは含有していない。
CaO:30.2%、SiO2 :41.8%、Al2 3 :12.3%、Fe2 3 :3.7%、MgO:1.1%、TiO2 :0.6%、K2 O:0.6%、P2 5 :0.2%、MnO:0.06%、Na2 O:0.4%
また、実施例1〜3の水硬性材料における組成物の配合率を[表1]に示す。なお、アスベストを添加した実施例2および実施例3の水硬性材料には、アスベストに酸化鉄が含有されるため、酸化鉄を添加していない。
Figure 0004565126
図1からも、実施例1〜3の水硬性材料は、各種の鉱物の含有量が既知である普通ポルトランドセメントを用いた比較例1のピーク強度を基準として、アリットの組成比が大きく、以て、窯業系建材の廃材に簡単な処理を施すことにより、アリットを多く含んだ水硬性材料が有利に生成されることが認められる。
また、本実施例では、上述の如くして得た実施例3の水硬性材料におけるアスベストの残留の確認を、水硬性材料をX線回折装置でそのピークを確認することにより行った。その結果を図2に示す。また、アスベスト原料をX線回折装置により分析した結果を、比較例2として図2に併せ示す。なお、本実施例では、X線回折装置を用いた分析に際して、分析に必要のないセメント系鉱物等を除去して分析結果を明瞭とするために、予め実施例3の水硬性材料に酸処理を施してある一方、比較例2のアスベスト原料は酸処理しても殆ど変化しないため、そのままX線回折装置にかけて分析した。
図2に示された結果からも、実施例3におけるアスベストが20%の水硬性材料は、アスベストのピークが全く観察されないことにより、アスベストが1300℃の焼成処理によって消失されることが認められ、また、アスベスト含有量が実施例3の水硬性材料よりも低い実施例1や実施例2の水硬性材料においても同様にアスベストが消失されることが推考される。
また、本実施例では、実施例2などと同様にして、窯業系外装材の廃材、炭酸カルシウムおよび10%のアスベストを含んでなり、且つCaO/SiO2 のモル比:rをr=2.5に調整した混合物を2つ用意して、一方の混合物に1100℃で焼成処理を施す一方、他方の混合物に1300℃で焼成処理を施すことにより、実施例4としての1100℃で焼成処理した水硬性材料と、実施例5としての1300℃で焼成処理した水硬性材料を得た。そして、これら実施例4および5の水硬性材料を、それぞれX線回折装置により分析した。その結果を図3に示す。
図3にも示されているように、実施例5の水硬性材料は、実施例4の水硬性材料に比して、アリット(3CaO・SiO2 )を多く含むことから、特に、CaO/SiO2 のモル比:rをr=2.5に調整した混合物を1300℃で焼成処理することにより、アリットを効果的に生成することが認められる。
さらに、本実施例においては、実施例1〜3の各水硬性材料を、表2に示される各種の混和材料と共に湿式混合および攪拌した後に、脱水およびプレス成型し、3種の成形体を得る。また、これら成形体を、初期硬化のため40℃で8時間保持した後に、80℃に温度を上げて16時間保持の条件で前養生することにより、実施例1’〜3’の成形体を得る。そして、実施例1’〜3’の成形体における曲げ強度を測定した。その結果を表3に示す。また、比較例1の普通ポルトランドセメントを用いて、実施例1’〜3’と同様な条件で成形体を作製すると共に、該成形体の曲げ強度を測定した。その結果を比較例1’として表3に併せ示す。なお、本実施例における曲げ強度は、以下の条件のもとで実施した3点曲げ強度であり、以下の式で表される。
「試験条件」
スパン:100mm
サンプルサイズ(縦×横×厚み):160×40×12mm
試験速度:2mm/min
「式」
k=3×s×m/(2×h×w2
k:曲げ強度(MPa)
s:スパン(mm)
m:曲げ破壊荷重(N)
h:幅(横寸法)(mm)
w:厚み(mm)
また、本実施例においては、一般に、曲げ強度が1.5MPa以上であれば、製造ラインに必要な強度が確保されることとなる。
Figure 0004565126
Figure 0004565126
表2,3に示される結果からも、実施例1' 〜3' の水硬性材料は、比較例1' のセメントと同量を成形体に添加した場合においても、比較例1' に比して多少強度が劣るものの、成形体に必要な初期強度が充分に確保され得ることが認められる。
また、本実施例では、実施例1' 〜3' の成形体を170℃,4時間保持の条件で高温高圧養生を施すことにより、硬化促進された実施例1''〜3''の成形体を得る。そして、実施例1’〜3’の成形体の曲げ試験と同一の条件で実施例1''〜3''の曲げ強度を測定した。その結果を表4に示す。また、比較例1’の成形体を用いて、実施例1''〜3''と同様な条件で、成形体を作製すると共に、その曲げ強度を測定した。その結果を比較例1''として表4に併せ示す。
Figure 0004565126
これらの結果からも、実施例1’〜3’の成形体は、高温高圧の雰囲気に耐え得る充分な初期強度が発現され、この養生段階で更なる反応が進行して、より有効な強度を有する実施例1''〜3''の成形体が実現されることが明らかであり、以て、窯業系製品等の製造に際して、本実施例に従い製造された水硬性材料に優れた実用性能が発揮され得ることが推考される。
なお、このような技術的理由を解明することが本発明の目的でないが、例えば、窯業系製品等の製造に際して、普通セメントの場合、アリット主体で水和が進行してゲル化が進むため、他の混和材料との高温高圧養生における反応が阻害される一方、本実施例の水硬性材料は、普通セメントに比してアリットが若干少なくなるものの、水和時のゲル化のバランスが良く、高温高圧養生において更に水硬性材料と混和材料との反応性が向上されて、製品の高強度化が実現されるものと推考される。
さらに、本実施例では、実施例1で得た水硬性材料を水や標準砂と共に練り混ぜて1日後脱型したもの(材令1日のもの)を、65℃で24時間蒸気養生を行うことにより成形体Aを得る。そして、かかる成形体Aに、JIS R5201に準拠して圧縮強度試験を行うことにより、その圧縮強度を測定した。この結果、24.3N/mm2 の強度が確認された。なお、成形体Aの作製条件として、水硬性材料は445重量部、標準砂は1350重量部、水は225重量部である。
更にまた、本実施例では、上述の成形体Aを、180℃で8時間蒸気養生することにより成形体A’を得る。そして、成形体A’に、JIS R5201に準拠して圧縮強度試験を行うことにより、その圧縮強度を測定した。この結果、59.8N/mm2 の強度が確認された。
次に、アスベストを含有する主原料を用いて水硬性材料を製造する場合の幾つかの実施例について、以下に記載する。なお、以下の各本実施例では、主原料におけるアスベストの含有量を比較するために、アスベスト入り廃材の代わりに、アスベストを含まない廃材に対してアスベストを適当な配合量で添加したものを主原料として用いた。
先ず、かかるアスベストを含有する主原料に対して、カルシウムを含む補助成分としての石灰石や反応促進する酸化鉄などを各適当量配合することにより、焼成前の成分調節した原料を得た。かかる原料においては、主原料を構成する廃材や補助成分の配合量を考慮して主原料におけるアスベストの配合量を調節することにより、焼成前の成分調節した原料の段階において、アスベストの含有量が、下記[表5]及び[表6]に示すように、1.8重量%〜6.9重量%とされたものを調製した。
さらに、[表7]に示すように、主成分(廃材+アスベスト)におけるアスベストの含有量を、20重量%と非常に大きく設定した場合において、廃材と同重量のフライアッシュを添加した原料も、調製した。
また、これらのアスベスト含有の各廃材(主原料)では、下記[表5],[表6],[表7]にそれぞれ示すように、何れも、アリットを形成するCaOとSiO2 の割合が、モル比でC/S=略3.25となるようにした。そして、焼点温度:1300℃で1h、電気炉を用いて焼成処理した。それによって、各種のアスベスト含有量の主原料を用いた本発明に従う水硬性材料として、表5〜7に示す実施例6〜11を得た。
Figure 0004565126
Figure 0004565126
Figure 0004565126
また、その際に、仮焼成後における途中粉砕による効果を確認するために、実施例6及び実施例7については、仮焼成および途中粉砕を施さなかったが、実施例8,実施例9,実施例10及び実施例11については、上述の如き加熱処理(焼成処理)に際して、途中700℃で一旦取り出すことによって仮焼成処理とし、取り出したものをボールミル粉砕することによってアスベストを粉砕する応力を加えて粉砕処理を施した後、再び電気炉に入れて同条件(1300℃)で焼成処理を施した。なお、ボールミルによる粉砕処理は、200回転/分の回転速度で20分間行った。
このようにして得られた実施例6〜11の水硬性材料について、それぞれ、XRDにより分析した結果、仮焼成前の原料(主原料に補助成分を加えた後のもの)におけるアスベスト含有量が1.8重量%の実施例6では、f−CaO、f-MgOのピークは認められなかった。仮焼成前の原料におけるアスベスト含有量を2.7重量%とした実施例7では、f−CaOとf−MgOのピークが僅かであるが検出された。
一方、仮焼成と途中粉砕を行った実施例8〜10では、仮焼成前の原料におけるアスベスト含有量を実施例7と同じ2.7重量%とした実施例8でも、f−CaOとf−MgOのピークは認められなかった。また、仮焼成前の原料におけるアスベスト含有量を実施例7よりも多く3.5重量%および6.9重量%とした実施例9および実施例10においても、f−CaOとf−MgOのピークが抑えられていることが確認できた。
さらに、廃材に対するアスベストの含有量を実施例10と同じ程に大きく設定した実施例11では、それにフライアッシュを添加したことによって、f−MgOのピークが認められず、f−CaOのピークも激減した。
これら実施例6〜11の結果から、仮焼成前の原料におけるアスベスト含有量を2.7重量%以下に抑えることが、XRDにおけるf−MgOのピークを0.10程度以下に小さく抑えることが出来て、得られる水硬性材料の機能性保持に関して非常に有効であることや、主原料に補助成分を混合せしめた後に仮焼成および途中粉砕工程を設けることが、得られる水硬性材料の機能性保持に関して更に有効であること、また、アスベスト含有量が多い主原料を採用する場合には、フライアッシュを添加することが極めて有効であることが確認できた。これにより、水硬性材料の機能性に影響を及ぼすf−CaO、f−MgOを、何れもに有効に抑制することができるのである。
本発明の実施例1,2,3で得られた水硬性材料をX線回折装置により分析した結果を、比較例1と共に併せ示すX線回折図である。 本発明の実施例3で得られた水硬性材料を酸処理したものをX線回折装置により分析した結果を、比較例2と共に併せ示すX線回折図である。 本発明の実施例4,5で得られた水硬性材料をX線回折装置により分析した結果を示すX線回折図である。

Claims (5)

  1. アスベストを含有する窯業系建材の廃材を主原料とし、該主原料に対してカルシウムを含む補助成分を添加して、これら主原料や補助成分を含む混合物におけるCaO/SiO 2 のモル比を2.5〜4.0とすると共に、該混合物における該アスベストの量を2.7重量%以下に調整する準備工程と、
    前記混合物を、前記アスベスト中の結晶水が分離する温度に加熱する仮焼成工程と、
    前記混合物を粉砕することにより、前記結晶水が分離した前記アスベストに応力を供給して粉砕する粉砕工程と、
    前記混合物を1300〜1400℃で焼成して前記主原料と前記補助成分を反応させる焼成工程と
    を含むことにより、
    アリットを含有して常温で硬化する水硬性材料を得ると共に、前記アスベストを該水硬性材料の原料として利用することを特徴とする水硬性材料の製造方法。
  2. 前記混合物に含有される前記アスベストの量が、前記仮焼成工程前の状態で2.7重量%を越える場合に、該混合物に対してフライアッシュを添加して混合することにより、かかるアスベストの含有量を2.7重量%以下に調整する請求項に記載の水硬性材料の製造方法。
  3. 前記準備工程において前記窯業系建材の廃材に粉砕処理を施すようにすると共に、かかる粉砕処理の際に水を加える請求項1又は2に記載の水硬性材料の製造方法。
  4. 前記準備工程において前記窯業系建材の廃材に粉砕処理を施すと共に、かかる粉砕処理の際に注水処理を施すことにより湿式のペレットを得て、該ペレットを前記主原料として用いる請求項1乃至3の何れかに記載の水硬性材料の製造方法。
  5. 前記準備工程において前記窯業系建材の廃材に粉砕処理を施すと共に、かかる粉砕処理の後に該窯業系建材の廃材を有機質包装材で包装すると共に、前記補助成分と混合することにより前記混合物を得る請求項1乃至4の何れかに記載の水硬性材料の製造方法。
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