JP4562861B2 - 環状アセタール誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な環状アセタール誘導体の製造方法に関する。本発明により製造される環状アセタール誘導体は、例えばポリビニルアルコール(以下、これをPVAと略称する)、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの水酸基含有ポリマーの架橋剤として利用される。この場合、上記の環状アセタール誘導体は水酸基含有ポリマーとの良好な相溶性を有しているため、その水酸基含有ポリマーに高い耐水性、耐熱性を付与するのに有効である。
【0002】
【従来の技術】
従来、PVA、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの水酸基含有ポリマーの架橋剤として、ホルムアルデヒドなどのモノアルデヒド化合物;グリオキサール、マロンアルデヒド、グルタルアルデヒド、ノナンジアールなどのジアルデヒド化合物が知られている(例えば特公昭25−3945号公報、特公昭29−6145号公報、特開平3−174015号公報参照)。しかしながら、前記のモノアルデヒド化合物およびジアルデヒド化合物は、独特の臭気を有しており、毒性がある上、空気中の酸素で容易に酸化されるため、保存時および使用時の安定性が悪いという問題点を有している。この問題を解決するために、テトラメトキシプロパン、テトラメトキシノナンなどのジアセタール化合物;1,7−ビス(1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンなどの環状アセタール化合物が使用されており(例えば特開平9−132816号公報、特開平10−218876号公報参照)、中でも、テトラメトキシノナン、1,7−ビス(1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンなどの長い炭素鎖を有する化合物は、使用時の安定性に優れる。
【0003】
しかしながら、前記のような長い炭素鎖を有するジアセタール化合物または環状アセタール化合物は疎水性が強いため、親水性の強いPVA、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの水酸基含有ポリマーとの相溶性が低く、混合の際にこれらのポリマーと分離する傾向にあり、その結果として組成物の内部まで均一に架橋することが難しいという問題点を抱えていた。
【0004】
しかして、上記の臭気や毒性が殆どなく、保存時および使用時の安定性に優れ、かつ水酸基含有ポリマーとの良好な相溶性を有する架橋剤として、水酸基を有する環状アセタール誘導体が有効であることを見出した。
【0005】
従来、水酸基を有する環状アセタール誘導体の合成法として、例えば、(1)環状アセタールとトリオールを反応させる方法[米国特許第3,232,907号明細書、ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)、29巻、3424頁(1964年)参照]、(2)ジアルデヒドとトリオールを反応させる方法[ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)、29巻、3424頁(1964年)参照]が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)の方法は、原料として使用できる環状アセタールは構造上または入手性の点から5〜6員環(すなわち、主鎖炭素数4〜5)に限られるため、主鎖にそれ以上の長鎖を持つ架橋剤の合成には適用できなかった。また、上記(2)の方法は、副生成物が多いために得られる環状アセタール誘導体の純度が低く、その環状アセタール誘導体の用途によっては精製が必須である上、収率が低いために製造効率が非常に悪かった。さらに、これらの方法はいずれもトリオールを原料にしているが、通常トリオールは反応に使用する他方の原料や共沸脱水反応に使用する溶媒との相溶性が悪く混合し難いために、反応速度が低下する原因にもなっていた。
【0007】
しかして、本発明の目的は、トリオールを使用せず、水酸基を有する環状アセタールとアセタール交換反応させることにより、水酸基含有ポリマーとの良好な相溶性を有する環状アセタール誘導体を純度良く、高収率で製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の目的は、一般式(I)
【0009】
【化5】
【0010】
(式中、R1及びR2はアルキル基を表し、R3は水素原子またはアルキル基を表し、k1、k2およびk3のうちいずれか一つは1または2を表し、残る二つのうちいずれか一つは0または1を表し、残る一つは1を表す。)
で示される環状アセタール誘導体[以下、これを環状アセタール誘導体(I)と称する]と一般式(II)
【0011】
【化6】
【0012】
(式中、R4は水素原子またはアルキル基を表し、mは5〜7の整数を表す。)
で示されるジアルデヒド[以下、これをジアルデヒド(II)と称する]を酸性物質の存在下に反応させることを特徴とする一般式(III)
【0013】
【化7】
【0014】
[式中、R4およびmは前記定義のとおりであり、R5およびR6は一般式(IV)
【0015】
【化8】
【0016】
(式中、R3、k1、k2およびk3は前記定義のとおりである。また、*印を付した原子は一般式(III)中の炭素鎖と結合する炭素原子を表す。)で示される環状アセタール構造を含む官能基を表す。]
で示される環状アセタール誘導体[以下、これを環状アセタール誘導体(III)と称する]の製造方法を提供することにより達成される。
【0017】
【発明の実施の形態】
上記の一般式(I)、(II)、(III)および(IV)において、R1、R2、R3およびR4がそれぞれ表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などの低級アルキル基が好ましい。
【0018】
一般式(III)中のR5およびR6は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。これらが表す一般式(IV)で示される環状アセタール構造を含む官能基としては、例えば4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル基、4−ヒドロキシエチル−1,3−ジオキソラン−2−イル基などの1,3−ジオキソラン環を含む官能基;5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル基、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル基、5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル基、5−ヒドロキシメチル−5−メチル−1,3−ジオキサン−2−イル基、5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル基などの1,3−ジオキサン環を含む官能基;5−ヒドロキシ−1,3−ジオキセパン−2−イル基などの1,3−ジオキセパン環を含む官能基が挙げられる。
【0019】
環状アセタール誘導体(I)は工業的に容易に入手可能であるか、または公知の方法、例えばレビスタ デ キミー(Revista de Chimie)、820頁、33巻、9号(1982年)[ケミカルアブストラクツ(CA),98:71382k参照]、特公平6−15540号公報、特開平6−321931号公報、特開平10−195067号公報などに記載されている方法により容易に製造することが可能である。また、反応系中で環状アセタール誘導体(I)を調製し、そのまま本発明における反応(以下、アセタール交換反応ということがある)に使用することも可能である。
【0020】
ジアルデヒド(II)としては、例えばスクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、1,6−ヘキサンジアール、1,7−ヘプタンジアール、1,8−オクタンジアール、1,9−ノナンジアール、2−メチル−1,8−オクタンジアール、1,10−デカンジアールなどが使用される。これらの1種を単独で用いてもよいし2種以上を混合して用いてもよい。
【0021】
酸性物質としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸などのカルボン酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸;p−トルエンスルホン酸ピリジニウムなどのスルホン酸塩;塩化アンモニウムなどの塩類;塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどのルイス酸;酸性イオン交換樹脂;活性白土、酸性白土などの固体酸などが使用される。酸性物質の使用量に特に制限はない。酸性物質として上記の無機酸、カルボン酸、スルホン酸またはその塩、塩類またはルイス酸を使用する場合には、かかる酸性物質の使用量は、通常ジアルデヒド(II)1モルに対して0.0001〜1モルの範囲であることが好ましい。酸性物質の使用量がかかる範囲にある場合には、アセタール交換反応の速度が高く保たれ、副反応が抑制され、かつ製造コストが低く抑えられるという利点がある。また、酸性物質として上記の酸性イオン交換樹脂または固体酸を使用する場合には、かかる酸性物質の使用量は、通常ジアルデヒド(II)1モルに対して0.1〜100gの範囲であることが好ましい。酸性物質の使用量がかかる範囲にある場合には、前記の利点の他に、反応後に酸性物質が容易に除去されるという利点がある。
【0022】
本発明におけるアセタール交換反応は溶媒の存在下または不存在下に行うことができる。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトンなどのケトンなどが挙げられる。溶媒の使用量は、特に制限されないが、通常ジアルデヒド(II)1重量部に対して1〜100重量部の範囲であるのが好ましい。溶媒の使用量がかかる範囲にある場合、製造コストが低く抑えられる。
【0023】
アセタール交換反応は、通常0〜150℃の範囲の温度で行うのが好ましい。
かかる反応温度は40〜100℃の範囲がより好ましい。ただし、沸点が150℃より低い溶媒を使用する場合には、反応は0℃からその溶媒の沸点までの範囲の温度で行われる。温度がかかる範囲にある場合、反応速度が高く保たれ、かつ副反応が抑制される。
【0024】
アセタール交換反応は、環状アセタール誘導体(I)、ジアルデヒド(II)および酸性物質を混合し、所定温度で攪拌することにより行われる。反応時間は、反応温度その他の反応条件により変化するが、通常10分から30時間の範囲内である。また、アセタール交換反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス下で行われてもよい。アセタール交換反応に伴い生成するケトンを加熱により反応系から除去することが好ましい。
【0025】
このようにして得られた環状アセタール誘導体(III)は、そのまままたは濃縮乾燥して水酸基含有ポリマーの架橋剤として使用してもよいし、また通常の有機反応において行われる方法で単離・精製してその純度を高めてから使用してもよい。単離・精製の方法としては、減圧蒸留する方法、薄膜蒸留する方法、カラムクロマトグラフィーを用いる方法などが挙げられる。蒸留の際には、環状アセタール誘導体(III)の熱安定性を確保するために、反応混合物に塩基性化合物を添加することも可能である。塩基性化合物としては、例えばナトリウムメチラート、ナトリウムエチラートなどのナトリウムアルコラート;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの金属水酸化物;ジエチルアミン、トリオクチルアミンなどのアミンなどが使用される。また、酸性イオン交換樹脂または固体酸を酸性物質として用いた場合は、単離・精製の方法として、反応混合物を濾過するなどして酸性物質を除去した後、引き続き前記と同様の単離・精製を行う方法などが挙げられる。なお、上記のような単離・精製により得られる物質は、複数の環状アセタール誘導体(III)の異性体の混合物になり得る。例えば、ジアルデヒド(II)として1,9−ノナンジアール、環状アセタール誘導体(I)として2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノールを用いた場合、生成し得る環状アセタール誘導体(III)は、1,7−ビス(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン、1,7−ビス(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタンおよび1−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−7−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンの3種となる。これらの環状アセタール誘導体(III)の異性体の混合物は、用途に応じて混合物のまま使用してもよいし、またそれぞれの異性体を高速液体クロマトグラフィーを用いる方法などによってさらに分離して使用してもよい。
【0026】
このようにして得られた環状アセタール誘導体(III)は、アセタール部分を反応点として水酸基含有ポリマーの架橋に用いることができる。例えば、まず、水酸基含有ポリマーと環状アセタール誘導体(III)を溶融混練などの方法で混合し、次いで硫酸などの酸を用いて処理することにより、架橋された水酸基含有ポリマーの組成物が得られる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0028】
実施例1
反応器に1,9−ノナンジアール100g、トルエン100gおよび2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール173.4gを仕込み、酸性イオン交換樹脂(アンバーリスト15)10gを加えて攪拌した。反応液を80℃に加熱し、アセトンを追い出しながら30分間攪拌した。イオン交換樹脂を濾過して除き、減圧下に溶媒を留去し、真空下に加熱乾燥を行い、1,7−ビス(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン、1,7−ビス(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタンおよび1−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−7−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンの混合物177.3g(収率91%、純度88%)を得た。この混合物の物性を以下に示す。
【0029】
1H−NMRスペクトル(270MHz)
δ(ppm in CDCl3:TMS):1.15〜1.70(m,14H)、3.27〜4.18(m,10H)、4.38〜4.98(m,4H)
【0030】
比較例1
反応器に1,9−ノナンジアール12.6g、グリセリン15.6g、トルエン50gおよび硫酸0.5gを仕込み、Dean−Stark脱水管を着け、111℃で2時間加熱還流脱水させた。得られた反応液にナトリウムメチラート(28%メタノール溶液)0.2gを加え、減圧下に溶媒を留去した後、薄膜蒸留にて精製し、1,7−ビス(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン、1,7−ビス(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタンおよび1−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−7−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンの混合物12.8g(収率52%)を得た。薄膜蒸留前での定量による収率は60%であり、純度は53%であった。
【0031】
実施例2
反応器に1,9−ノナンジアール1kg、トルエン0.6リットルおよび2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール1.73kgを仕込み、活性白土100gを加えて攪拌した。反応液を80℃に加熱し、アセトンを追い出しながら30分間攪拌した。活性白土を濾過して除き、減圧下に溶媒を留去し、真空乾燥を行い、1,7−ビス(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン、1,7−ビス(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタンおよび1−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−7−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンの混合物1.7kg(収率87%、純度82%)を得た。この混合物の物性を以下に示す。
【0032】
1H−NMRスペクトル(270MHz)
δ(ppm in CDCl3:TMS):1.15〜1.70(m,14H)、3.27〜4.18(m,10H)、4.38〜4.98(m,4H)
【0033】
実施例3
反応器に2−メチル−1,8−オクタンジアール50g、トルエン50gおよび2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール86.7gを仕込み、活性白土5gを加えて攪拌した。反応液を80℃に加熱し、アセトンを追い出しながら30分間攪拌した。活性白土を濾過して除き、減圧下に溶媒を留去し、真空下に加熱乾燥を行い、1,6−ビス(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン、1,6−ビス(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタン、1−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−6−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンおよび6−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−1−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンの混合物85.7g(収率88%、純度83%)を得た。この混合物の物性を以下に示す。
【0034】
1H−NMRスペクトル(270MHz)
δ(ppm in CDCl3:TMS):0.82〜0.94(m,3H)、1.11〜1.75(m,11H)、3.27〜4.15(m,10H)、4.20〜4.98(m,4H)
【0035】
比較例2
反応器に2−メチル−1,8−オクタンジアール50g、グリセリン61.9g、トルエン200gおよび硫酸2gを仕込み、Dean−Stark脱水管を着け、111℃で4時間加熱還流脱水させた。得られた反応液にナトリウムメチラート(28%メタノール溶液)0.8gを加え、減圧下に溶媒を留去した後、薄膜蒸留にて精製し、1,6−ビス(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン、1,6−ビス(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタン、1−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−6−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンおよび6−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−1−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンの混合物47.2g(収率48%)を得た。薄膜蒸留前での定量による収率は57%であり、純度は49%であった。
【0036】
実施例4
反応器に1,10−デカンジアール100g、トルエン100gおよび2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−メタノール180gを仕込み、酸性イオン交換樹脂(アンバーリスト15)10gを加えて攪拌した。反応液を70℃に加熱し、アセトンを追い出しながら3時間攪拌した。イオン交換樹脂を濾過して除き、減圧下に溶媒を留去し、真空下に加熱乾燥を行い、下記の物性を有する1,8−ビス(5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)オクタン182g(収率89%、純度82%)を得た。
【0037】
1H−NMRスペクトル(270MHz)
δ(ppm in CDCl3:TMS):1.16〜1.72(m,18H)、3.60〜4.18(m,12H)、4.41〜4.85(m,4H)
【0038】
参考例1
A.エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、これをEVOHと略称する;エチレン含有量:44モル%)50gと実施例1で得られた反応混合物(以下、これをアセタールaと略称する)10g(EVOH対アセタールaの重量比=83.3対16.7)をプラストミルを用いて200℃にて15分間混練した。得られた樹脂組成物を熱プレスした後、液体窒素中で破断し、破断面をトルエンで洗浄してアセタールaを溶出させてSEM観察したところ、溶出痕は見られなかった。また、混練後のEVOHとアセタールaの重量比は83.8対16.2であった。
【0039】
B.上記のAで用いたものと同じEVOH50gと1,7−ビス(1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタン(以下、これをアセタールbと略称する)10g(EVOH対アセタールbの重量比=83.3対16.7)をプラストミルを用いて200℃にて15分間混練した。得られた樹脂組成物を熱プレスした後、液体窒素中で破断し、破断面をトルエンで洗浄してアセタールbを溶出させてSEM観察したところ、50〜100μmの粒径の溶出痕が見られた。また、混練後のEVOHとアセタールbの重量比は90.2対9.8であった。
【0040】
参考例1の結果から、本発明により製造された環状アセタール誘導体はEVOHと均一に混合しており、従来の環状アセタールと比較してEVOHとの相溶性に優れていることがわかる。混練中の揮散および飛散が少ないことも、良好な相溶性の結果であると考えられる。
【0041】
参考例2
参考例1のAで得られた、EVOHおよびアセタールaを含む樹脂組成物の熱プレスシート(重量20g)を、バットに注いだ希硫酸(pH=2)に浸漬させ、温度を70℃に保って40分間静置した。その後、流水で3分間洗浄し、さらに80℃、20mmHgで16時間減圧乾燥した。得られたシートは100℃に加熱したジメチルスルホキシドに不溶であり、内部まで均一に架橋されていることが確認された。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、臭気や毒性が殆どなく、保存安定性および使用時の安定性に優れ、かつ水酸基含有ポリマーとの良好な相溶性を有する架橋剤として有用な環状アセタール誘導体を容易に高収率で製造し得る方法が提供される。
Claims (1)
- 一般式(I)
で示される環状アセタール誘導体と一般式(II)
で示されるジアルデヒドを酸性物質の存在下に反応させることを特徴とする一般式(III)
で示される環状アセタール誘導体の製造方法。
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