JP4450922B2 - 環状アセタール誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な環状アセタール誘導体に関する。本発明によって得られる環状アセタール誘導体は、例えばポリビニルアルコール(以下、PVAと略称する)、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの水酸基含有ポリマーと良好な相溶性を有しているため、架橋剤として利用した場合、その水酸基含有ポリマーに高い耐水性、耐熱性を付与することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、PVA、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの水酸基含有ポリマーの架橋剤として、ホルムアルデヒドなどのモノアルデヒド化合物;グリオキサール、マロンアルデヒド、グルタルアルデヒド、ノナンジアールなどのジアルデヒド化合物が知られている(例えば特公昭25−3945号公報、特公昭29−6145号公報、特開平3−174015号公報参照)。しかしながら、前記のモノアルデヒド化合物およびジアルデヒド化合物は、独特の臭気を有しており、毒性がある上、空気中の酸素で容易に酸化されるため、保存時および使用時の安定性が悪いという問題点を有している。この問題点を解決するために、テトラメトキシプロパン、テトラメトキシノナンなどのジアセタール化合物;1,7−ビス(1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンなどの環状アセタール化合物が使用されており(例えば特開平9−132816号公報、特開平10−218876号公報参照)、中でも、テトラメトキシノナン、1,7−ビス(1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンなどの長い炭素鎖を有する化合物は、使用時の安定性が優れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のような長い炭素鎖を有するジアセタール化合物または環状アセタール化合物は疎水性が強いため、親水性の強いPVA、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの水酸基含有ポリマーとの相溶性が低く、混合の際にこれらのポリマーと分離する傾向にあり、その結果として組成物の内部まで均一に架橋することが難しいという問題点を抱えていた。
しかして、本発明の目的は、臭気や毒性がほとんどなく、保存時および使用時の安定性に優れ、かつ水酸基含有ポリマーとの良好な相溶性を有しており、架橋剤として有用な環状アセタール誘導体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の目的は、
一般式(I)
【0005】
【化3】
Figure 0004450922
【0006】
(式中、R1は水素原子またはアルキル基を表し、R2およびR3は一般式(II)
【0007】
【化4】
Figure 0004450922
【0008】
(式中、R4は水素原子またはアルキル基を表し、k1、k2およびk3のうちいずれか一つは1または2を表し、残る二つのうちいずれか一つは0または1を表し、残る一つは1を表す。また、*印を付した原子は一般式(I)中の炭素鎖と結合する炭素原子を表す。)で示される環状アセタール構造を含む官能基を表し、mは5〜7の整数を表す。)で示される環状アセタール誘導体(以下、環状アセタール(I)と略称する)を提供することにより達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
上記の一般式(I)および一般式(II)において、R1およびR4が表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などの低級アルキル基が好ましい。
【0010】
一般式(I)中のR2およびR3は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。これらが表す一般式(II)で示される環状アセタール構造を含む官能基としては、例えば4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル基、4−ヒドロキシエチル−1,3−ジオキソラン−2−イル基などの1,3−ジオキソラン環を含む官能基;5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル基、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル基、5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル基、5−ヒドロキシメチル−5−メチル−1,3−ジオキサン−2−イル基、5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル基などの1,3−ジオキサン環を含む官能基;5−ヒドロキシ−1,3−ジオキセパン−2−イル基などの1,3−ジオキセパン環を含む官能基が挙げられる。
【0011】
以下に、環状アセタール(I)の代表例を示す。
【0012】
1,7−ビス(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン。
【0013】
【化5】
Figure 0004450922
【0014】
1,7−ビス(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタン。
【0015】
【化6】
Figure 0004450922
【0016】
1−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−7−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン。
【0017】
【化7】
Figure 0004450922
【0018】
1,6−ビス(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン。
【0019】
【化8】
Figure 0004450922
【0020】
1,6−ビス(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタン。
【0021】
【化9】
Figure 0004450922
【0022】
1−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−6−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン。
【0023】
【化10】
Figure 0004450922
【0024】
6−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−1−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン。
【0025】
【化11】
Figure 0004450922
【0026】
1,8−ビス(5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)オクタン。
【0027】
【化12】
Figure 0004450922
【0028】
1,7−ビス(5−ヒドロキシメチル−5−メチル−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタン。
【0029】
【化13】
Figure 0004450922
【0030】
1,7−ビス(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタン。
【0031】
【化14】
Figure 0004450922
【0032】
1,6−ビス(5−ヒドロキシメチル−5−メチル−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタン。
【0033】
【化15】
Figure 0004450922
【0034】
1,6−ビス(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタン。
【0035】
【化16】
Figure 0004450922
【0036】
1,7−ビス(4−ヒドロキシエチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン。
【0037】
【化17】
Figure 0004450922
【0038】
1,7−ビス(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタン。
【0039】
【化18】
Figure 0004450922
【0040】
1,7−ビス(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキセパン−2−イル)ヘプタン。
【0041】
【化19】
Figure 0004450922
【0042】
1−(4−ヒドロキシエチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−7−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタン。
【0043】
【化20】
Figure 0004450922
【0044】
1−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキセパン−2−イル)−7−(4−ヒドロキシエチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン。
【0045】
【化21】
Figure 0004450922
【0046】
1−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキセパン−2−イル)−7−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタン。
【0047】
【化22】
Figure 0004450922
【0048】
環状アセタール(I)は、例えば一般式(III)
【0049】
【化23】
Figure 0004450922
【0050】
(式中、R1およびmは前記定義のとおりである。)
で示される脂肪族ジアルデヒド(以下、ジアルデヒド(III)と略称する)を、酸性物質の存在下に一般式(IV)
【0051】
【化24】
Figure 0004450922
【0052】
(式中、R4、k1、k2およびk3は前記定義のとおりである。)
で示される脂肪族トリオール(以下、トリオール(IV)と略称する)とアセタール化反応させることにより調製することができる。
【0053】
ジアルデヒド(III)の具体例としては、1,8−オクタンジアール、1,9−ノナンジアール、2−メチル−1,8−オクタンジアール、1,10−デカンジアールなどが挙げられる。これらのうち1種を用いてもよいし2種以上を混合して用いてもよい。
【0054】
トリオール(IV)の具体例としては、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらのうち1種を用いてもよいし2種以上を混合して用いてもよい。トリオール(IV)の使用量に特に制限はないが、通常ジアルデヒド(III)1モルに対して2〜100モルの範囲であることが好ましく、2〜10モルの範囲であることがより好ましい。トリオール(IV)の使用量が上記の範囲にあるとき、環状アセタール(I)が高収率で得られ、かつ製造コストが低く抑えられる。
【0055】
酸性物質としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸などのカルボン酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸;p−トルエンスルホン酸ピリジニウムなどのスルホン酸塩;塩化アンモニウムなどの塩類;塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどのルイス酸;酸性イオン交換樹脂;活性白土、酸性白土などの固体酸などが使用される。酸性物質の使用量に特に制限はないが、酸性物質が無機酸、カルボン酸、スルホン酸またはその塩、塩類、ルイス酸などの場合には、その使用量は通常ジアルデヒド(III)1モルに対して0.0001〜1モルの範囲であることが好ましい。酸性物質の使用量が上記の範囲にあるとき、アセタール化の反応速度が高く保たれ、副反応が抑制され、かつ製造コストが低く抑えられるという利点がある。また酸性物質が酸性イオン交換樹脂、または固体酸の場合には、その使用量は通常ジアルデヒド(III)1モルに対して0.1〜100gの範囲であることが好ましい。酸性物質の使用量が上記の範囲にあるとき、前記の利点の他に、反応後に酸性物質が容易に除去されるという利点がある。
【0056】
アセタール化反応は、溶媒の存在下または不存在下に行うことができる。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。溶媒の使用量に特に制限はないが、通常ジアルデヒド(III)1重量部に対して、1〜100重量部の範囲であることが好ましい。溶媒の使用量が上記の範囲にあるとき、製造コストが低く抑えられる。
【0057】
アセタール化反応は、通常0〜150℃の範囲の温度で行われる。ただし、沸点が150℃より低い溶媒を使用する場合には、アセタール化反応は0℃からその溶媒の沸点までの範囲の温度で行われる。温度が上記の範囲にあるとき、アセタール化の反応速度が高く保たれ、かつ副反応が抑制される。
【0058】
アセタール化反応は、ジアルデヒド(III)、トリオール(IV)、酸性物質、および溶媒を使用する場合には溶媒を混合し、所定温度で攪拌することにより行われる。反応時間は、反応温度その他の反応条件により変化するが、通常10分から30時間の範囲である。この際に、アセタール化反応に伴い生成する水を反応系から除去することが好ましい。水を除去することにより、環状アセタール(I)を高収率で得ることができる。水を除去する方法としては、水と共沸する溶媒を用いて共沸脱水する方法、モレキュラーシーブスなどの脱水剤を用いて脱水する方法などが挙げられる。共沸脱水により水を除去する場合、炭化水素などの水に対する溶解性が低い溶媒を用いることが好ましい。このような溶媒を用いることにより、共沸脱水により回収された水と溶媒の混合物を容易に分別することができる。また、アセタール化反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス下で行われてもよい。
【0059】
このようにして得られた環状アセタール(I)は、そのまま使用してもよいし、また通常の有機反応において用いられる方法で単離・精製してその純度を高めてから使用してもよい。単離・精製の方法としては、反応混合物に塩基性化合物を添加して減圧蒸留する方法、反応混合物に塩基性化合物を添加して薄膜蒸留する方法、カラムクロマトグラフィーを用いる方法などが挙げられる。上記の塩基性化合物の具体例としては、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラートなどのナトリウムアルコラート;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの金属水酸化物;ジエチルアミン、トリオクチルアミンなどのアミンなどが挙げられる。また、酸性イオン交換樹脂または固体酸を酸性物質として用いた場合は、単離・精製の方法として、反応混合物を濾過するなどして酸性物質を除去した後、引き続き前記と同様の単離・精製を行う方法などが挙げられる。なお、上記のような単離・精製により得られる物質は、複数の環状アセタール(I)の異性体の混合物になり得る。例えば、ジアルデヒド(III)として1,9−ノナンジアール、トリオール(IV)としてグリセリンを用いた場合、生成し得る環状アセタール(I)は、1,7−ビス(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン、1,7−ビス(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタンおよび1−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−7−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンの3種となる。これらの環状アセタール(I)の異性体の混合物は、用途に応じて混合物のまま使用してもよいし、またそれぞれの異性体を高速液体クロマトグラフィーを用いる方法などによってさらに分離して使用してもよい。
【0060】
このようにして得られた環状アセタール(I)は、アセタール部分を反応点として水酸基含有ポリマーの架橋に用いることができる。例えば、まず、水酸基含有ポリマーと環状アセタール(I)を溶融混練などの方法で混合し、次いで硫酸などの酸を用いて処理することにより、架橋された水酸基含有ポリマーの組成物が得られる。
【0061】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0062】
実施例1
反応器に1,9−ノナンジアール12.6g、グリセリン15.6g、トルエン50gおよび硫酸0.5gを仕込み、Dean−Stark脱水管を着け、111℃で2時間加熱還流脱水させた。得られた反応液にナトリウムメチラート(28%メタノール溶液)0.2gを加え、薄膜蒸留にて精製し、1,7−ビス(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン、1,7−ビス(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタンおよび1−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−7−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンの混合物12.8gを得た。この混合物の物性を以下に示す。
【0063】
1H−NMRスペクトル(270MHz)
δ(ppm in CDCl3 : TMS):1.15〜1.70(m,14H),3.27〜4.18(m,10H),4.38〜4.98(m,4H)
【0064】
実施例2
反応器に1,9−ノナンジアール10g、グリセリン14.9g、ベンゼン14gおよび活性白土1gを仕込み、Dean−Stark脱水管を着け、80℃で1時間加熱還流脱水させた。得られた反応液にナトリウムメチラート(28%メタノール溶液)0.2gを加え、薄膜蒸留にて精製し、1,7−ビス(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン、1,7−ビス(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタンおよび1−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−7−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンの混合物13.5gを得た。この混合物の物性は実施例1で得られた混合物の物性と一致した。
【0065】
実施例3
反応器に2−メチル−1,8−オクタンジアール50g、グリセリン61.9g、トルエン200gおよび硫酸2gを仕込み、Dean−Stark脱水管を着け、111℃で4時間加熱還流脱水させた。得られた反応液にナトリウムメチラート(28%メタノール溶液)0.8gを加え、薄膜蒸留にて精製し、1,6−ビス(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタン、1,6−ビス(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタン、1−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−6−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンおよび6−(5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン−2−イル)−1−(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ヘプタンの混合物47.2gを得た。この混合物の物性を以下に示す。
【0066】
1H−NMRスペクトル(270MHz)
δ(ppm in CDCl3 : TMS):0.82〜0.94(m,3H),1.11〜1.75(m,11H),3.27〜4.15(m,10H),4.20〜4.98(m,4H)
【0067】
実施例4
反応器に1,10−デカンジアール17g、2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール23.3g、トルエン100gおよびp−トルエンスルホン酸0.17gを仕込み、Dean−Stark脱水管を着け、111℃で2.5時間加熱還流脱水させた。得られた反応液にナトリウムメチラート(28%メタノール溶液)2gを加え、薄膜蒸留にて精製し、下記の物性を有する1,8−ビス(5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)オクタン22.5gを得た。
【0068】
1H−NMRスペクトル(270MHz)
δ(ppm in CDCl3 : TMS):1.16〜1.72(m,18H),3.60〜4.18(m,12H),4.41〜4.85(m,4H)
【0069】
参考例1
A.エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略称する。エチレンmol%:44%)50gと実施例1で得られた反応混合物(以下、アセタールaと略称する)10g(EVOH/アセタールa=83.3/16.7、重量比)をプラストミルを用いて200℃にて15分間混練した。得られた樹脂組成物を熱プレスした後、液体窒素中で破断し、破断面をトルエンで洗浄してアセタールaを溶出させてSEM観察したところ、溶出痕は見られなかった。また、混練後のEVOHとアセタールaの重量比は83.8/16.2で、混練中の揮散および飛散により失われたアセタールaは、仕込み量の4%であった。
B.上記のAで用いたものと同じEVOH50gと1,7−ビス(1,3−ジオキサン−2−イル)ヘプタン(以下、アセタールbと略称する)10g(EVOH/アセタールb=83.3/16.7、重量比)をプラストミルを用いて200℃にて15分間混練した。得られた樹脂組成物を熱プレスした後、液体窒素中で破断し、破断面をトルエンで洗浄してアセタールbを溶出させてSEM観察したところ、50〜100μmの粒径の溶出痕が見られた。また、混練後のEVOHとアセタールbの重量比は90.2/9.8で、混練中の揮散および飛散により失われたアセタールbは、仕込み量の46%であった。
【0070】
参考例1の結果から、本発明の環状アセタール誘導体の一つであるアセタールaはEVOHと均一に混合しており、従来の環状アセタール化合物であるアセタールbと比較すると、EVOHとの相溶性に優れていることがわかる。また、アセタールaはアセタールbに比較して、混練中の揮散および飛散が少なく、これは両者のEVOHとの相溶性の差異によるものと考えられる。
【0071】
参考例2
参考例1のAで得られた、EVOHおよびアセタールaを含む樹脂組成物の熱プレスシート(重量20g)を、バットに注いだ希硫酸(pH=2)に浸漬させ、温度を70℃に保って40分間静置した。その後、流水で3分間洗浄し、さらに80℃、20mmHgで16時間減圧乾燥した。得られたシートは100℃に加熱したジメチルスルホキシドに不溶であり、内部まで均一に架橋されていることが確認された。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、臭気や毒性がほとんどなく、保存安定性および使用時の安定性に優れ、かつ水酸基含有ポリマーとの良好な相溶性を有し、架橋剤として有用な環状アセタール誘導体を提供することができる。

Claims (1)

  1. 一般式(I)
    Figure 0004450922
    (式中、R1は水素原子またはアルキル基を表し、R2およびR3は一般式(II)
    Figure 0004450922
    (式中、R4は水素原子またはアルキル基を表し、k1、k2およびk3のうちいずれか一つは1または2を表し、残る二つのうちいずれか一つは0または1を表し、残る一つは1を表す。また、*印を付した原子は一般式(I)中の炭素鎖と結合する炭素原子を表す。)で示される環状アセタール構造を含む官能基を表し、mは5〜7の整数を表す。)で示される環状アセタール誘導体。
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