JP2016121141A - 環状アセタール類の製造方法 - Google Patents

環状アセタール類の製造方法 Download PDF

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隆司 福本
伸崇 平岡
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伸崇 平岡
淳裕 中原
Atsuhiro Nakahara
淳裕 中原
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Abstract

【課題】ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体のうち7員環、8員環、9員環に代表される7員環以上の多員環誘導体の高収率な製造方法を提供する。【解決手段】特定のハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体および、特定のポリアセタール化合物を含む混合物を酸化合物の存在下に蒸留し、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体を反応系外に留去することにより、7員環以上の多員環を有するハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体を製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性ポリマー製造の原料に用いられる環状ケテンアセタールモノマーの合成中間体として有用なハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体の製造方法およびハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体の合成原料として有用なポリアセタール化合物に関する。
生分解性ポリマーの原料として使用される環状ケテンアセタール誘導体は(特許文献1〜2参照)、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体の脱ハロゲン化水素反応により製造されている(特許文献3〜4、非特許文献1〜2参照)。従来、環状ケテンアセタール誘導体の合成中間体であるハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体の製造方法としては、ハロアセトアルデヒドジメチルアセタール誘導体とジオール誘導体を酸触媒の存在下に加熱し、生成するメタノールを留去して反応を完結させ、次いで酸触媒をろ過、中和などにより除去した後に目的化合物を蒸留精製する製造方法が提案されている(特許文献3、非特許文献2参照)。
特許第2826634号公報 特許第3049321号公報 特表平6−505742号公報 特許第2572346号公報
Z. Wu他、「Slective Diesterification of Diols through Cyclic Ketene Acetal Intermediates」、The Journal of Organic Chemistry、1999年、第64巻、8386〜8395頁 Y. Hiraguri他、「Synthesis of Copolymers Composed of 2-methylene-1,3,6-trioxoccane and Vinyl Monomers and Their Enzymatic Degradation」、Journal of Polymer Science: Part Å: Polymer Chemistry、1993年、第31巻、3159〜3163頁
しかしながら従来提案されている製造方法では5員環、6員環ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体は高収率で取得できるものの、7員環、8員環、9員環誘導体の製造を目的とした場合には満足すべき収率が得られるとは言い難い現状であった。特に8員環、9員環誘導体を従来技術により製造した場合には、その収率は10%以下と低い。また、従来提案されている製造方法では、反応を完結させた後、通常、酸触媒(例えばイオン交換樹脂)をろ過、中和などにより除去した後、目的化合物を蒸留精製するという操作をすることが通常であった。これは、このような酸触媒の除去をしないと、反応装置の汚染がひどくなる問題、水が系内に存在する場合には得られるアセタール誘導体の酸加水分解が起こってしまう問題、水が存在しない場合も脱アルコール反応によるビニルエーテル生成が起こってしまうなどの問題があったからである。
本発明は、前記ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体の極めて収率が低い事情に鑑みてなされたものであり、これらの高収率な製造方法を提供することを課題とする。すなわち、本発明では、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体のうち7員環、8員環、9員環に代表される7員環以上の多員環誘導体の極めて高収率な製造方法を提供するものであり、従来行っていた前記酸触媒の除去をしないということによる前記の不利な事情を考慮しても、目的生成物の収率の点で極めて有利な効果を有するものである。
本発明者らは鋭意検討した結果、従来技術の方法により7員環以上の多員環を有するハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体を製造した場合には、目的とする分子内環化反応の速度が分子間アセタール交換反応の速度と比較して十分には速くないため、目的としないポリアセタール化合物が生成してしまい収率低下の原因となることをつきとめた。さらに、該ポリアセタール化合物を酸存在下に加熱分解し、生成した7員環以上の多員環を有するハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体を、直ちに反応系外に留去することによって、一旦生成したポリアセタール化合物を対応するハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体に誘導可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記[1]〜[5]を提供するものである。
[1]下記一般式(3)
Figure 2016121141
(式中、R1およびR2は、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、またはアリール基を表し、R1とR2が結合して環構造を形成していてもよく、R3〜R6は、それぞれ水素原子、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子を表し、Zは、炭素数が2以上の2価の有機基を表す。)
で示されるハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(以下、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)と称する)および、下記一般式(4)
Figure 2016121141
(式中、R1〜R6、XおよびZは、上記式(3)に定義の通りであり、nは整数を表す。)
で示されるポリアセタール化合物(以下、ポリアセタール化合物(4)と称する)を含む混合物を酸化合物の存在下に蒸留し、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)を反応系外に留去すること特徴とするハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)の製造方法。
[2]ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)および、ポリアセタール化合物(4)を含む混合物が、
下記一般式(1)
Figure 2016121141
(式中、R1、R2、およびXは、[1]に定義の通りであり、R7は、メチル基またはエチル基を表す。)
で示されるハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(以下、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)と称する)および、下記一般式(2)
Figure 2016121141
(式中、R3〜R6、およびZは[1]に定義の通り。)
で示されるジオール誘導体(以下、ジオール誘導体(2)と称する)を酸化合物の存在下に、生成するR7OH(式中、R7は前記定義の通り)を留去しながらアセタール交換反応させることにより得られる混合物である[1]に記載のハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)の製造方法。
[3]式(3)〜(4)においてR1〜R6が水素原子、Xが塩素原子または臭素原子を表し、Zが−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、または−CH2OCH2−を表すことを特徴とする[1]または[2]に記載のハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)の製造方法。
[4]前記酸化合物が、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)および、ポリアセタール化合物(4)を含む前記混合物に溶解するものであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)の製造方法。
[5]ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)および、ポリアセタール化合物(4)を含む前記混合物に塩基を添加することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)の製造方法。
本発明の製造方法によれば、従来法の低収率化原因であったポリアセタール化合物を目的化合物に誘導可能となり、高収率が達成される。
[ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)の製造方法]
本発明のハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)の製造方法は、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)とポリアセタール化合物(4)を含む混合物を酸化合物の存在下に蒸留し、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)を反応系外に留去する段階(以下、段階2と称する)を含むことに特徴がある。
上記ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)およびポリアセタール(4)中のR1およびR2は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、またはアリール基を表し、R1とR2が結合して環構造を形成していてもよい。炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基が挙げられ、アリール基としては、例えばフェニル基、4−メチルフェニル基が挙げられ、R1とR2が結合してハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体骨格の炭素原子とともに形成する環構造としては、例えばシクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環などが挙げられる。
上記ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)およびポリアセタール(4)中のR3〜R6は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。炭素数1〜6の飽和炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、4−メチルフェニル基などが挙げられる。
上記ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)およびポリアセタール(4)中のXは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。
上記ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)およびポリアセタール(4)中のZは、炭素数が2以上の2価の有機基を表す。Zの具体例としては、例えば、1,2−エタンジイル基、1,3−プロパンジイル基、1,4−ブタンジイル基、2−メチル−1,3−プロパンジイル基などの直鎖状または分岐状のアルカンジイル基;2−オキサ−1,3−プロパンジイル基、2−チア−1,3−プロパンジイル基などの酸素原子、硫黄原子を一部に含むアルカンジイル基;1,2−シクロペンタンジイル基、1,2−シクロヘキサンジイル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジイル基、1,2−フェニレン基などの環状の2価の有機基を挙げることができる。原料入手の容易さから、1,2−エタンジイル基、1,3−プロパンジイル基、2−メチル−1,3−プロパンジイル基、2−オキサ−1,3−プロパンジイル基が好ましく選択される。
上記ポリアセタール化合物(4)中のnは括弧内の化学構造の繰り返し単位数であり、整数を表し、好ましくは2以上の整数である。
酸化合物としては、特段の制限はないが、例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、強酸性イオン交換樹脂などのスルホン酸誘導体;酢酸、プロピオン酸、ブタン酸などのカルボン酸;塩酸、硝酸、硫酸などの鉱酸;ピリジニウムp−トルエンスルホナート、トリエチルアンモニウムp−トルエンスルホナートなどの酸性アンモニウム塩などが挙げられ、反応収率から、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、強酸性イオン交換樹脂(例えば、ダウケミカル社製Dowex50X8(登録商標))、硫酸、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、トリエチルアンモニウムp−トルエンスルホナート、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンオニウムp−トルエンスルホナートなどの酸性アンモニウム塩の使用が好ましい。酸化合物は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。
酸化合物の使用量は、例えば、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)とポリアセタール化合物(4)を含む混合物を後述する段階1の方法により、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)を含む原料から製造する場合には、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)に対して、0.00001〜0.5倍モルの範囲が好ましく、後処理の容易さから、0.0001〜0.2倍モルの範囲がより好ましく、通常0.001〜0.1倍モルの範囲がさらに好ましい。
酸化合物は、段階2の実施前に新しく添加してもよい。また、例えば、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)とポリアセタール化合物(4)を含む混合物を後述する段階1の方法により、酸化合物の存在下で製造する場合には、段階1で使用した酸化合物をそのまま段階2でも使用することが簡便で好ましい。
また、後述するように、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)とポリアセタール化合物(4)を含む混合物を、後述する段階1の方法により、酸化合物の存在下で製造する場合には、得られた混合物に反応系を酸性条件となるように維持するように塩基を添加して実施することもできる。塩基の種類としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、キヌクリジンなどの有機塩基;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの無機塩基が挙げられ、有機塩基がより好ましい。塩基を使用する場合の使用量は、段階1で使用した酸化合物と段階2で追加した酸化合物に由来する酸に対して、0.5〜1.5等量の範囲が好ましく、反応蒸留後の反応器残存物の洗浄の容易さから0.8〜1.1等量の範囲がより好ましく、0.8〜0.99等量がさらに好ましい。また、塩基を適量添加することで、目的とするハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)の収率が向上する場合もある。
なお、強酸化合物と弱塩基化合物の組み合わせであれば、酸に対する塩基の等量が1以上で多量であっても酸性が維持され、酸化合物の存在下であると言える。
上記反応は、溶媒の存在下または非存在下に実施する。溶媒としては、反応を阻害しない限り特に制限はないが、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンズニトリルなどのニトリル溶媒などが挙げられる。溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。後処理の簡便さから溶媒を用いないことが好ましい。
なお、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)とポリアセタール化合物(4)を含む混合物を、後述する段階1の方法により、溶媒を含む原料混合物から製造する場合には、段階1で使用する溶媒をそのまま上記反応で使用することが好ましい。溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
溶媒の存在下に実施する場合、溶媒の使用量は、例えば、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)とポリアセタール化合物(4)を含む混合物を後述する段階1の方法により、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)を含む原料から製造する場合には、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)に対して、0.5〜100質量倍の範囲が好ましく、後処理の容易さから、0.5〜20質量倍の範囲がより好ましい。
ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)とポリアセタール化合物(4)を含む混合物を後述する段階1の方法により、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)およびジオール誘導体(2)を含む原料から製造する場合には、得られた反応混合物を、そのまま原料として使用してもよいが、さらに上記溶媒を追加して原料として使用してもよい。
上記段階2の反応温度は、目的とするハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)の構造によって異なるが、100〜250℃の範囲が好ましく、100〜200℃の範囲がさらに好ましい。また、反応圧力には特に制限はないが、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)の沸点を考慮して調整することが好ましい。上記段階2の反応時間は、例えば、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)とポリアセタール化合物(4)を含む混合物を後述する方法により、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)およびジオール誘導体(2)から製造する場合には、使用するハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)、ジオール誘導体(2)の種類によって異なるが、おおむね1時間〜50時間の範囲が好ましい。
上記段階2の反応で留出したハロアセトアルデヒド環状アセタール(3)は、そのまま次工程の原料とすることができるし、必要に応じて有機化合物の精製に一般的に用いられる方法により精製することもできる。
本発明で得られるハロアセトアルデヒド環状アセタール(3)の具体例としては、2−クロロメチル−1,3−ジオキセパン、2−ブロモメチル−1,3−ジオキセパン、2−クロロメチル−5,6−ジメチル−1,3−ジオキセパン、2−ブロモメチル−5,6−ジメチル−1,3−ジオキセパン、2−クロロメチル−4,7−ジメチル−1,3−ジオキセパン、2−ブロモメチル−4,7−ジメチル−1,3−ジオキセパン、2−クロロメチル−1,3−ジオキソカン、2−ブロモメチル−1,3−ジオキソカン、2−クロロメチル−6−メチル−1,3−ジオキソカン、2−ブロモメチル−6−メチル−1,3−ジオキソカン、2−クロロメチル−4,8−ジメチル−1,3−ジオキソカン、2−ブロモメチル−4,8−ジメチル−1,3−ジオキソカン、3−クロロメチル−2,4−ベンゾジオキセピン、3−ブロモメチル−2,4−ベンゾジオキセピン、2−クロロメチル−5,7−ジメチル−1,3−ジオキソカン、2−ブロモメチル−5,7−ジメチル−1,3−ジオキソカン、2−クロロメチル−5,7−ジフェニル−1,3−ジオキソカン、2−ブロモメチル−5,7−ジフェニル−1,3−ジオキソカン、2−クロロメチル−6,6−ジメチル−1,3−ジオキソカン、2−ブロモメチル−6,6−ジメチル−1,3−ジオキソカン、2−クロロメチル−1,3,6−トリオキソカン、2−ブロモメチル−1,3,6−トリオキソカン、2−クロロメチル−1,3,6−ジオキサチオカン、2−ブロモメチル−1,3,6−ジオキサチオカン、2−クロロメチル−1,3−ジオキソナン、2−ブロモメチル−1,3−ジオキソナン等が挙げられる。
上記製造方法の原料となるハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)とポリアセタール化合物(4)を含む混合物の製造方法に特に制限はないが、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)とジオール誘導体(2)を酸化合物の存在下、反応させることにより、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)、ポリアセタール化合物(4)の混合物を得る方法が好ましい。
上記ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)中のR1およびR2の定義および具体例は、上記ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)およびポリアセタール(4)と同一である。上記ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)中のR7は、メチル基またはエチル基を表す。上記ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)中のXの定義は、上記ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)およびポリアセタール(4)と同一である。
上記原料の製造に用いるハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)の製造方法に特に制限は無いが、例えば、メタノール中、酢酸ビニルと塩素を反応させることにより、クロロアセトアルデヒドジメチルアセタールを製造することができる。
上記ジオール誘導体(2)中のR3〜R6、およびZの定義および具体例は、上記ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)およびポリアセタール(4)と同一である。
以下、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)およびジオール誘導体(2)から、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)、ポリアセタール化合物(4)の混合物を得る段階(以下、段階1と称する。)について説明する。
上記段階1で使用するハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)の具体例としては、クロロアセトアルデヒドジメチルアセタール、クロロアセトアルデヒドジエチルアセタール、ブロモアセトアルデヒドジメチルアセタール、ブロモアセトアルデヒドジエチルアセタール、2−クロロプロピオンアルデヒドジメチルアセタール、2−クロロプロピオンアルデヒドジエチルアセタール、2−ブロモプロピオンアルデヒドジメチルアセタールなどが挙げられる、入手の容易さからクロロアセトアルデヒドジメチルアセタールの使用が好ましい。
上記段階1で使用するジオール誘導体(2)の具体例としては、1,4−ブタンジオール、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジオール、1,2−ビスヒドロキシメチルベンゼン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジフェニル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ビスヒドロキシエチルチオエーテルなどが挙げられ、第二段階で得られるハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)の単離のし易さから1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコールが好ましく使用される。
上記段階1で使用するジオール誘導体(2)の使用量は、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)に対して、1.0〜3.0倍モルの範囲が好ましく、後処理の容易さから、1.0〜2.0倍モルの範囲がより好ましく、1.0〜1.5倍モルの範囲がさらに好ましい。
上記段階1の反応は、酸化合物の存在下に実施する。酸化合物としては、特段の制限はないが、例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、強酸性イオン交換樹脂などのスルホン酸誘導体;酢酸、プロピオン酸、ブタン酸などのカルボン酸;塩酸、硝酸、硫酸などの鉱酸;ピリジニウムp−トルエンスルホナート、トリエチルアンモニウムp−トルエンスルホナートなどの酸性アンモニウム塩などが挙げられ、反応速度および反応収率から、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、強酸性イオン交換樹脂、硫酸の使用が好ましい。中でもその後の処理工程から上記工程で得られるハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)およびポリアセタール化合物(4)の混合物を含有した反応混合液に溶解するものが好ましく、例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、強酸性イオン交換樹脂、硫酸が挙げられる。酸化合物は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。
酸化合物の使用量は、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)に対して、0.00001〜0.5倍モルの範囲が好ましく、後処理の容易さから、0.0001〜0.2倍モルの範囲がより好ましく、通常0.001〜0.1倍モルの範囲で十分である。
上記段階1の反応は、溶媒の存在下または非存在下に実施する。溶媒としては、反応を阻害しない限り特に制限はないが、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンズニトリルなどのニトリル溶媒などが挙げられる。溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。後処理の簡便さから溶媒を用いないことが好ましい。
溶媒の存在下に実施する場合、溶媒の使用量は、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)に対して、0.5〜100質量倍の範囲が好ましく、後処理の容易さの観点から、0.5〜20質量倍の範囲がより好ましい。
上記段階1の反応は、通常、反応の進行とともに生成するハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)由来のアルカノール(R7OH)を反応系外に留去することによって完結させることが好ましいが、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)とジオール誘導体(2)の組み合わせによっては、アルカノールを留去しなくても十分に反応を進行させられる場合もある。
上記段階1における反応温度は、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)およびジオール誘導体(2)の種類などによっても異なるが、−30〜130℃の範囲が好ましく、0〜130℃の範囲がより好ましく、50〜130℃の範囲がさらに好ましい。また、反応圧力に特に制限は無いが、通常、常圧下で実施することが好ましい。
上記段階1における反応時間は、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)およびジオール誘導体(2)の種類や使用量、反応温度などによっても異なるが、概ね1時間〜50時間の範囲が好ましい。
上記段階1における反応は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に実施することが好ましい。
上記段階1の実施方法としては、特に制限されるものではないが、反応器にハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)、ジオール誘導体(2)、酸性化合物および所望により溶媒を仕込み、この混合液に所望の反応温度および所望の反応圧力下で、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)由来のR7OHを留去しながら反応させる方法が好ましい。
上記段階1で得られるハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)、ポリアセタール化合物(4)の混合物を含有した反応混合液は、特に精製操作を行うことなく、そのまま前述した段階2の原料として用いることが可能であり、また、製造プロセスの簡略化から、そうすることが好ましい。
すなわち、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)は、以下に示す段階1および段階2を含む工程により製造することが好ましい。
段階1:ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)とジオール誘導体(2)を酸化合物の存在下、反応させることにより、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)、ポリアセタール化合物(4)の混合物を得る段階。
段階2:ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)、ポリアセタール化合物(4)の混合物を酸化合物の存在下に蒸留し、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)を反応系外に留去する段階。
段階1および段階2に関する化学反応式を次に示す。
Figure 2016121141
(式中、R1〜R7、X、Zおよびnは、前記定義の通りである。)
本発明の段階2を含む工程による製造方法、好ましくは段階1および段階2を含む工程による製造方法によれば、簡略な工程によりハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)を高い収率で取得できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(重量平均分子量、分子量分布、高分子量成分含有量および低分子量成分含有量の分析)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて下記の条件でクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンの分子量に換算した値を算出した。分子量分布は、重量平均分子量/数平均分子量により算出した。
GPC装置:HLC−8320(東ソー株式会社製)
検出器:示差屈折率検出器
カラム:東ソー株式会社製のTSKgel SuperMultipore HZM−Mの2本とSuperHZ4000を直列に繋いだものを用いた。
溶離剤: テトラヒドロフラン
溶離剤流量: 0.35ml/分
カラム温度: 40℃
検量線:標準ポリスチレン10点のデータを用いて作成
<実施例1>2−クロロメチル−1,3−ジオキセパンの合成(7CM)
温度計、攪拌装置および上部に還流ヘッドを取り付けた25cmビグリュー管を設置した内容積500mLの四つ口フラスコにクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール 250.0g(2.007mol)、1,4−ブタンジオール 181.0g(2.007mol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物 1.9g(0.010mol)を仕込み、攪拌を開始、常圧条件下に内温90℃まで加熱した。この時、ビグリュー管上部より、蒸気温度63〜67℃の留分が留出し始めた。留出速度にあわせて、徐々に内温を125℃に昇温し、留出が止まるまで内温125℃で加熱を継続した後、内温50℃まで冷却した。得られた反応混合液は310.2g、留分は118.2gであった。該反応混合液をGPC分析したところ、ポリアセタール76%(重量平均分子量 660、分子量分布 1.497)、2−クロロメチル−1,3−ジオキセパン 24%の混合物であった。続いて、フラスコ内を2.7kPaまで減圧した後、減圧蒸留操作を実施して2−クロロメチル−1,3−ジオキセパン(蒸気温度67〜76℃/2.7〜1.4kPa)の留分 240.8g(1.599mol)を取得した。収率は79.7%であり、ガスクロマトグラフィーにて測定したところ、純度は99%以上であった。得られた留分のNMR測定の結果を以下に示す。
Figure 2016121141
1H−NMR(400MHz、CDCl3、TMS、ppm)δ:4.86(1H,t,J=5.2Hz)、3.98−3.92(2H,m)、3.71−3.66(2H,m)、3.48(2H,d,J=5.2Hz)、1.79−1.69(4H,m)
<実施例2>2−クロロメチル−1,3−ジオキセパンの合成(7CM)
温度計、攪拌装置および上部に還流ヘッドを取り付けた25cmビグリュー管を設置した内容積500mLの四つ口フラスコにクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール 250.0g(2.007mol)、1,4−ブタンジオール 181.0g(2.007mol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物 1.9g(0.010mol)を仕込み、攪拌を開始、常圧条件下に内温90℃まで加熱した。この時、ビグリュー管上部より、蒸気温度63〜67℃の留分が留出し始めた。留出速度にあわせて、徐々に内温を125℃に昇温し、留出が止まるまで内温125℃で加熱を継続した後、内温50℃まで冷却した。得られた反応混合液は310.0g、留分は119.4gであった。該反応混合液をGPC分析したところ、ポリアセタール78%(重量平均分子量 670、分子量分布 1.502)、2−クロロメチル−1,3−ジオキセパン 22%の混合物であった。本反応混合物に1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン 0.56g(0.005mol)を添加した後、フラスコ内を2.7kPaまで減圧した。続けて、減圧蒸留操作を実施し、2−クロロメチル−1,3−ジオキセパン(蒸気温度67〜76℃/2.7〜1.4kPa)の留分271.4g(1.802mol)を取得した。収率は89.8%であり、ガスクロマトグラフィーにて測定したところ、純度は99%以上であった。
<実施例3>2−クロロメチル−1,3−ジオキソカンの合成(8CM)
1,4−ブタンジオール 181.0g(2.007mol)の換わりに1,5−ペンタンジオール 209.0g(2.007mol)を用いたこと以外は実施例2と同様の操作を行い、ポリアセタール99.8%(重量平均分子量 525、分子量分布 1.558)、2−クロロメチル−1,3−ジオソカン 0.2%の反応混合液338.0gを得、次いで同様の減圧蒸留操作を実施して、蒸気温度78〜95℃/1.0〜0.8kPaの留分として2−クロロメチル−1,3−ジオキソカン 295.3g(1.794mol)を得た。収率は89.4%であり、ガスクロマトグラフィーにて測定したところ、純度は99%以上であった。得られた留分のNMR測定の結果を以下に示す。
Figure 2016121141
1H−NMR(400MHz、CDCl3、TMS、ppm)δ:4.75(1H,t,J=5.6Hz)、3.96−3.90(2H,m)、3.66−3.61(2H,m)、3.48(2H,d,J=5.6Hz)、1.78−1.60(6H,m)
<実施例4>2−クロロメチル−6−メチル−1,3−ジオキソカンの合成(M8CM)
1,4−ブタンジオール 181.0g(2.007mol)の換わりに3−メチル−1,5−ペンタンジオール 237.2g(2.007mol)を用いたこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、ポリアセタール99.5%(重量平均分子量 594、分子量分布 1.634)、2−クロロメチル−6−メチル−1,3−ジオソカン 0.5%の反応混合液365.3gを得、次いで同様の減圧蒸留操作を実施して、蒸気温度76〜88℃/0.8〜0.6kPaの留分として2−クロロメチル−6−メチル−1,3−ジオキソカン 321.6g(1.800mol)を得た。収率は89.7%であり、ガスクロマトグラフィーにて測定したところ、純度は99%以上であった。得られた2−クロロメチル−6−メチル−1,3−ジオキソカンは、以下に示すとおり、得られた留分のNMR測定の結果、クロロメチル基とメチル基の立体異性体混合物であった(比率は50/50)。
Figure 2016121141
1H−NMR(400MHz、CDCl3、TMS、ppm)δ:4.76(0.5H,t,J=5.6Hz)、4.73(0.5H,t,J=5.6Hz)、4.05(1H、ddd、J=3.6,6.8,12.4Hz)、3.88(1H,dt,J=3.6,11.6Hz)、3.71(1H,ddd、J=3.2,4.4,12.0Hz)、3.56(1H,ddd,J= Hz)、3.48(1H,d,J=5.6Hz)、3.45(1H,d,J=5.6Hz)、1.85(0.5H,m)、1.77(0.5H,m)、1.66(2H,m)、1.52(2H,m)、0.98(1.5H,d,J=6.8Hz)、0.97(1.5H、d、J=6.8Hz)
<実施例5>2−クロロメチル−1,3,6−トリオキソカンの合成(O8CM)
1,4−ブタンジオール 181.0g(2.007mol)の換わりにジエチレングリコール 213.0g(2.007mol)を用いたこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、ポリアセタール87.8%(重量平均分子量 594、分子量分布 1.250)、2−クロロメチル−1,3,6−トリオソカン 12.2%の反応混合液342.5gを得、次いで同様の減圧蒸留操作を実施して、蒸気温度60〜66℃/0.1〜0.2kPaの留分として2−クロロメチル−1,3,6−トリオソカン 275.5g(1.654mol)を得た。収率は82.4%であり、ガスクロマトグラフィーにて測定したところ、純度は99%以上であった。得られた留分のNMR測定の結果を以下に示す。
Figure 2016121141
1H−NMR(400MHz、CDCl3、TMS、ppm)δ:4.79(1H,t,J=5.2Hz)、4.03−3.93(4H,M)、3.81−3.66(4H,m)、3.47(2H,d,J=5.2Hz)
<実施例6>2−クロロメチル−1,3−ジオキソナンの合成(9CM)
1,4−ブタンジオール 181.0g(2.007mol)の換わりに1,6−ヘキサンンジオール 237.2g(2.007mol)を用いたこと以外は実施例2と同様の操作を行い、ポリアセタール99.4%(重量平均分子量 906、分子量分布 1.496)、2−クロロメチル−1,3−ジオソナン 0.6%の反応混合液338.0gを得、次いで同様の減圧蒸留操作を実施して、蒸気温度100〜113℃/1.0〜1.1kPaの留分として2−クロロメチル−1,3−ジオキソナン 85.3g(0.478mol)を得た。収率は23.8%であり、ガスクロマトグラフィーにて測定したところ、純度は99%以上であった。得られた留分のNMR測定の結果を以下に示す。
Figure 2016121141
1H−NMR(400MHz、CDCl3、TMS、ppm)δ:4.75(1H,t,J=6.0Hz)、3.96−3.90(2H,m)、3.66−3.61(2H,m)、3.50(2H,d,J=6.0Hz)、1.70−1.56(8H,m)
<比較例1>2−クロロメチル−1,3−ジオキセパンの合成(7CM)
温度計、攪拌装置および上部に還流ヘッドを取り付けた25cmビグリュー管を設置した内容積500mLの四つ口フラスコにクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール 250.0g(2.007mol)、1,4−ブタンジオール 181.0g(2.007mol)およびDowex50X8(登録商標)2.5gを仕込み、攪拌を開始、常圧条件下に、内温90℃まで加熱した。この時、ビグリュー管上部より、蒸気温度63〜67℃の留分が留出し始めた。留出速度にあわせて、徐々に内温を125℃に昇温し、留出が止まるまで内温125℃で加熱を継続した後、内温30℃まで冷却した。得られた反応混合液は313.5g、留分は118.6gであった。該反応混合液をGPC分析したところ、ポリアセタール79%(重量平均分子量 660、分子量分布 1.496)、2−クロロメチル−1,3−ジオキセパン 21%の混合物であった。得られたフラスコ内液を5Bろ紙を用いて吸引ろ過した後、ヘキサン 50mlで固体を洗浄した。ろ液とヘキサン洗浄液を一つにまとめ、ヘキサン 200mlおよび5質量%−NaHCO3水溶液 200mlを添加して激しく降り混ぜた。30分間静置した後、有機層を回収した。この時、中間層が発生し、重量は198.6gであった。回収した有機層をエバポレーター(35℃/13kPa)で濃縮し、102gの濃縮液を得た。本濃縮液を減圧蒸留し、2−クロロメチル−1,3−ジオキセパン(蒸気温度67〜76℃/2.7〜1.4kPa)の留分 95.2g(0.632mol)を取得した。収率は31.5%であり、ガスクロマトグラフィーにて測定したところ、純度は99%以上であった。
<比較例2>2−クロロメチル−1,3−ジオキセパンの合成(7CM)
温度計、攪拌装置および上部に還流ヘッドを取り付けた25cmビグリュー管を設置した内容積500mLの四つ口フラスコにクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール 250.0g(2.007mol)、1,4−ブタンジオール 181.0g(2.007mol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物 1.9g(0.010mol)を仕込み、攪拌を開始、内温90℃まで加熱した。この時、ビグリュー管上部より、蒸気温度63〜67℃の留分が留出し始めた。留出速度にあわせて、徐々に内温を1205℃に昇温し、留出が止まるまで内温125℃で加熱を継続した後、内温50℃まで冷却した。得られた反応混合液は310.0g、留分は119.4gであった。反応混合液をGPC分析したところ、ポリアセタール76%(重量平均分子量 670、分子量分布 1.502)、2−クロロメチル−1,3−ジオキセパン 24%の混合物であった。本反応液に1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン 2.24g(0.020mol)を添加した後、フラスコ内を2.7kPaまで減圧した。続けて、減圧蒸留操作を実施し、2−クロロメチル−1,3−ジオキセパン(蒸気温度67〜76℃/2.7〜1.4kPa)の留分 92.8g(0.616mol)を取得した。収率は30.7%であり、ガスクロマトグラフィーにて測定したところ、純度は99%以上であった。
<比較例3>2−クロロメチル−1,3−ジオキセパンの合成(7CM)
温度計、攪拌装置および上部に還流ヘッドを取り付けた25cmビグリュー管を設置した内容積500mLの四つ口フラスコにクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール 250.0g(2.007mol)、1,4−ブタンジオール 181.0g(2.007mol)およびDowex50X8(登録商標)2.5gを仕込み、攪拌を開始、常圧条件下に内温90℃まで加熱した。この時、ビグリュー管上部より、蒸気温度63〜67℃の留分が留出し始めた。留出速度にあわせて、徐々に内温を125℃に昇温し、留出が止まるまで内温125℃で加熱を継続した後、内温50℃まで冷却した。得られた反応混合液は311.2g、留分は118.7gであった。反応混合液をGPC分析したところ、ポリアセタール79%(重量平均分子量 670、分子量分布 1.488)、2−クロロメチル−1,3−ジオキセパン 21%の混合物であった。得られたフラスコ内液を5Bろ紙を用いて吸引ろ過した後、該ろ液の減圧蒸留操作を実施し、2−クロロメチル−1,3−ジオキセパン(蒸気温度67〜76℃/2.7〜1.4kPa)の留分 152.6g(1.014mol)を取得した。収率は50.5%であり、ガスクロマトグラフィーにて測定したところ、純度は99%以上であった。
表1に実施例1〜6、比較例1〜3の概要を示す。
Figure 2016121141
TsOH:p−トルエンスルホン酸一水和物
DABCO:1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン
Dowex50X8(登録商標):強酸性イオン交換樹脂
実施例においては、ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体(1)とジオール誘導体(2)の反応により、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)とポリアセタール(4)の反応混合液を得、それを酸化合物の存在下で蒸留し、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)を得ている。この蒸留の際に、当該反応混合液中の酸化合物によりポリアセタール(4)が分解され、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)が生成する。そのため、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体(3)の収率を向上することができる。
本発明のハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体の製造方法は、7員環、8員環、9員環に代表される7員環以上の多員環を有する誘導体の製造収率を大幅に改善可能であって有用である。また、ポリアセタール化合物は、ハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体の合成収率向上に重要な有効成分として有用である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(3)
    Figure 2016121141
    (式中、R1およびR2は、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、またはアリール基を表し、R1とR2が結合して環構造を形成していてもよく、R3〜R6は、それぞれ水素原子、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子を表し、Zは、炭素数が2以上の2価の有機基を表す。)
    で示されるハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体および、下記一般式(4)
    Figure 2016121141
    (式中、R1〜R6、XおよびZは、上記式(3)に定義の通りであり、nは整数を表す。)
    で示されるポリアセタール化合物を含む混合物を酸化合物の存在下に蒸留し、上記一般式(3)で示されるハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体を反応系外に留去すること特徴とする一般式(3)で示されるハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体の製造方法。
  2. 一般式(3)で示されるハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体および、一般式(4)で示されるポリアセタール化合物を含む混合物が、
    下記一般式(1)
    Figure 2016121141
    (式中、R1、R2、およびXは、請求項1に定義の通りであり、R7は、メチル基またはエチル基を表す。)
    で示されるハロアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体および、下記一般式(2)
    Figure 2016121141
    (式中、R3〜R6、およびZは請求項1に定義の通り。)
    で示されるジオール誘導体を酸化合物の存在下に、生成するR7OH(式中、R7は前記定義の通り)を留去しながらアセタール交換反応させることにより得られる混合物である請求項1に記載のハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体の製造方法。
  3. 式(3)および(4)においてR1〜R6が水素原子、Xが塩素原子または臭素原子を表し、Zが−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、または−CH2OCH2−を表すことを特徴とする請求項1または2記載のハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体の製造方法。
  4. 前記酸化合物が、一般式(3)で示されるハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体および、一般式(4)で示されるポリアセタール化合物を含む前記混合物に溶解するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体の製造方法。
  5. 一般式(3)で示されるハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体および、一般式(4)で示されるポリアセタール化合物を含む前記混合物に塩基を添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハロアセトアルデヒド環状アセタール誘導体の製造方法。
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