JP4560728B2 - 杭用チャックの制御装置 - Google Patents
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Description
符号1を付して示したのは杭である。この例の杭は、並べて打ち込んだとき相互に連結するための杭継手1aが設けられている。本図2の状態で杭1は、これから打ち込むために集積され、地上に寝かされている。
ショベルカー2は、車体2aに対して起伏回動自在に軸支されたブーム2bの先端に、アーム2cが屈伸自在に軸着されている。該アームの先端にはバケット(図外)が装着されるようになっているのであるが、該バケットに代えて種々のフロントアタッチメント(クラッシャ、ブレーカ等)が着脱される。
上記のチャック4に把持されている杭1tは、起振機3に隠れているので破線で描いてある。
前記の振動式杭打機を装着されたアームおよびブームは、車体2aと一緒に、円弧矢印ωのように360度旋回可能であり、旋回半径Lは伸縮可能であるから、ショベルカー2の運転操作によって、前記の保持されている杭1tを法線(杭打ち予定線)PLまで運搬することができる。
符号1a,1b,1c〜1hを付して示したのは順次に打ち込まれた多数の杭である。
ショベルカー2は自走可能であるから、図示の円弧ωの外側に杭打ちする場合は、杭打ち予定地点の近くまで走行すればよい。
例えば普通の電柱のように円柱状の杭であれば、長手方向の中心線周りの回転体であるから、軸周りの回転角位置が問題にならない。しかし、例えば角杭であれば回転角位置が規制される。特に鋼矢板の場合は裏表(凸側と凹側)が有るので、360度の方位規制が必要である。
この図の状態で、ブーム,アームは北西を向いている。
いま、図示のチャック4で吊持されている杭1tを、杭1cの位置に打設するために、車体2aを旋回させてブーム,アームをo−q方向に向けると、吊持されていた杭の姿勢は線o−qにほぼ直角となり、法線PLと一致しない。
この段落で以上に考察したのは、多数の杭1a〜杭1hを打ち込む場合である。しかし、既に打設されている多数の杭1a〜杭1hを引き抜く場合にも同様の問題(杭の回転角位置制御)が有る。
こうした事情から、起振機3に対するチャック4の取り付け角度(把持した杭の、長手方向中心線周りの回転角位置)を任意に調節し得る構造が必要である。
このため、チャックを起振機に対して回転自在に取り付けるとともに、該チャックを回転させる駆動手段を設けた構造の振動杭打抜機が製作され、広く用いられている。
また、油圧を利用してチャックの回動をロックする機構が工夫されているが、チャックを回動させる構造については別段の考慮が為されていない。
(イ)起振機3に対してチャック4がベアリング(図外)を介して垂直軸周りの回転自在に支持された構造、または、歯車によってチャックを回動させる構造であった。このため、起振機で発生した振動はベアリングや歯車機構を激しく振動させる。
従ってベアリングや歯車機構は、杭打抜きのための激しい振動を受ける。このため、ベアリングや歯車機構の耐用命数が短い。
また、長い耐用命数を得るために大容量のベアリングや歯車機構を用いると、機械装置が大形・大重量になり、製造コストが高価である。
(ロ)先に述べたように、多数の杭1a,1b,1c……を順次に打込み(又は引抜き)する際、杭1本ごとに杭の吊持角度を変えなければならない。この問題は、起振機に対するチャックの角位置を記憶させておいても解決しない。すなわち、地球を基準としてチャックの回転角位置を一定ならしめるように制御しなければならない(先に述べた法線が地面に対して設定されているからである)。
チャックに把持された杭の中心線をz軸とし、
チャックに設けられた、z軸と同心の回転軸4bと、
上記回転軸に対して同心に固着されたブレーキ胴6aと、
起振機に対して固着された部材に設置されたブレーキシュー6b,6cと、
前記回転軸を回転駆動する手段と、を具備していて、
前記ブレーキシューを作動させると、該ブレーキシューと前記ブレーキ胴との間の摩擦力によって、起振機とチャックとが強固に結合され、
上記ブレーキシューを解放すると、起振機とチャックとが相対的に回動可能になって、前記回転駆動手段により、チャックをz軸周りに回動せしめ得るようになっており、
かつ、前記ブレーキ胴を固着された回転軸4bと、回転駆動手段のドリブン歯車7とが、z軸周りの回転を伝動し、z軸方向の動きを伝動しないようにスプライン結合されていることを特徴とする。
そして、上記のブレーキを解放すると、チャックは起振機に対して自在に回動し得るようになるから、該チャックの回動角位置を任意に調節することができ、
かつ、回転駆動手段に振動が伝動されないので、該回転駆動手段が振動によって損耗を早める虞れが無い。
チャック4は、起振機3に対し、回転機構5を介して設置されている。
チャック4の内部構造は図示を省略してあるが、1対の把持爪4aで杭1を挟持するようになっている。z−zは、把持されている杭1の長手方向の中心線である。
回転機構5のケース5aは、充分な剛性を有するように鋼板で作られ、起振機3に対して強固に結合されている。
本発明において強固に結合するとは、緩衝部材や摺動対偶を介在させることなく一体的に結合することをいう。
上記回転軸4bに対して同心に、ブレーキ胴6aが固着されている。
上記のブレーキ胴に対応して、固定シュ−6bと可動シュ−6cとが配置されている。
固定シュ−6bは回転機構のケース5aに固着されている。
可動シュ−6cはブレーキレバー6dに装着されており、該ブレーキレバーはケース5aに対して軸支されている。ブレーキシリンダ6eは、上記ブレーキレバーを傾動させることにより、前記可動シュ−6cをブレーキ胴6aに押圧する。
すなわち、ブレーキ機構の作動により、チャック4が起振機3に対して強固に結合される。
ドライブ歯車9は上記ドリブン歯車7に噛合し、駆動モータMによって回転駆動される。
前記ブレーキ機構6を解放(ブレーキシューをブレーキ胴から離間させること)して、前記駆動モータMを回転させると、チャック4はz軸回りに回動する。
従来技術においては、駆動モータをロックするなどして停止させるとチャックは回らなくなると考えられていたが、本発明においてはブレーキ機構6を作動させてチャックの回動を止める。その理由は、本発明におけるブレーキ機構は単に回転を制動するだけでなく、振動を伝えるという役目を受け持っているからである。
本例のジャイロ機構Jは、その回転軸をz軸に直交させ、スプリング10を介して設置されている。このジャイロ機構は後に説明するようにz軸周りの回転角位置を検出する役目を持っているので、起振機2に対してz軸周りの相対的な回動を規制して装着する。
そして、なるべくはz軸方向の振動を緩衝できるように装着する。
起振機3のz軸周りの回動の検出信号αは、自動制御回路CPUに入力される。
自動制御回路CPUは、入力された検出信号αに基づき、予め与えられているプログラムに従って、制御指令信号β,および同γを出力する。
ブレーキ機構6のブレーキシリンダ6eは、油圧制御弁Vを介して油圧源に接続されており、該油圧制御弁によって伸縮作動せしめられる。本例においては、ブレーキシリンダ6eが収縮するとブレーキ機能が発揮され、伸長するとブレーキが解放されるようになっている。
次に、本発明の制御装置を用いて多数の杭の回動角を制御した1実施形態を説明する。(図1,図2を併せて参照)
起振機3に装着されたチャック4によって杭1tを吊持し、最初の杭1aの位置に搬送する。搬送は、ショベルカー2の旋回と、ブーム・アームの起伏・屈伸とによって行なわれる。
最初の杭1aを法線PLに合わせたならば、その時の「起振機3に対するチャック4の回動角位置」を自動制御回路CPUに記憶させる。
図示を省略するが、ケース5aに設置されて回転軸4bの回動角位置(ケース5aに対する相対的な値)を検出する角度センサを併用すれば好都合である。
この場合、杭1本ごとに、先に述べたようにして、
ブレーキ機構6を解放して、チャック4のz軸周りの回動をフリーにする操作と、
駆動モータMを回転させてチャック4の回転角位置を所望の値ならしめる(杭の方位を法線PLに揃える)操作と、
ブレーキ機構6を作動させて、チャック4と起振機3とを強固に結合する操作と、を、繰り返して行なう。
法線(図示省略)が曲線であっても、該曲線は工事計画書に特定されているから、自動制御回路CPUによってチャックの回動角位置を適宜に制御しつつ、曲線法線に沿って杭を列設する。
法線PLに沿って列設されている多数の既設杭1a,1b…1hを順次に引き抜く場合にも、該既設杭の天端に対してチャックの開口部(1対の把持爪4a,同4aの間)を合わせなければならない。
このような作業におけるチャックの回動角位置の調節も、前述した打ち込み作業におけると同様にして行なえば良い。
1a〜1h…列設された多数の杭
1s…杭継手
1t…吊持されている杭
2…ショベルカー
2a…車体
2b…ブーム
2c…アーム
3…起振機
4…チャック
4a…把持爪
4b…回転軸
5…回動機構
5a…ケース
6…ブレーキ機構
6a…ブレーキ胴
6b…固定シュー
6c…可動シュー
6d…ブレーキレバー
6e…ブレーキシリンダ
7…ドリブン歯車
8…スプライン
9…ドライブ歯車
10…スプリング
11…ベアリング
Claims (1)
- 起振機(3)に取り付けられて、杭(1)を把持するチャック(4)において、
チャックに把持された杭の中心線をz軸とし、
チャックに設けられた、z軸と同心の回転軸(4b)と、
上記回転軸に対して同心に固着されたブレーキ胴(6a)と、
起振機に対して固着された部材に設置されたブレーキシュー(6b,6c)と、
前記回転軸を回転駆動する手段と、を具備していて、
前記ブレーキシューを作動させると、該ブレーキシューと前記ブレーキ胴との間の摩擦力によって、起振機とチャックとが強固に結合され、
上記ブレーキシューを解放すると、起振機とチャックとが相対的に回動可能になって、前記回転駆動手段により、チャックをz軸周りに回動せしめ得るようになっており、
かつ、前記ブレーキ胴を固着された回転軸(4b)と、回転駆動手段のドリブン歯車(7)とが、z軸周りの回転を伝動し、z軸方向の動きを伝動しないようにスプライン結合されていることを特徴とする、杭用チャックの制御装置。
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