JP4559907B2 - 棒状体の曲がり測定装置 - Google Patents

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本発明は,棒鋼や管棒などの棒状体を長手方向に搬送しながら,その曲がり量を測定する装置に関する。
棒鋼や管棒などの棒状体を長手方向に搬送しながら,その曲がり量を測定する装置としては,例えば特許文献1に記載された装置が知られている。該文献に開示された装置は,図5(特許文献1の図1に同じ)に示すように,搬送径路に沿って,棒状体の搬送方向と直交する平面内において互いに交差する第1及び第2の方向の棒状体変位を検出する少なくとも3組の変位検出手段を配置し,所定のピッチ毎に単位長さ当たりの曲がり量を測定するものである。ここで,少なくとも3組の変位検出手段を配置するのは,曲がりを測定する際の基準点を棒状材が前後の案内ロールが接する点とせず,図6(特許文献1の図4に同じ)に示すように各変位量から演算して曲がり量(S1)を求めるからである。また,該文献の案内ロールの形状や支持構造については何ら具体的に開示していない。
特開2000−161944
上記の従来技術の装置は,搬送径路に沿って,棒状体の搬送方向と直交する平面内において互いに交差する第1及び第2の方向の棒状体変位を検出する変位検出手段を少なくとも3組配置することが必須であり,装置構成や演算が複雑で高価なものになるばかりか,案内ロールの形状や支持構造によっては,この案内ロールによって棒状体の曲がりが矯正されてしまい,棒状体の真の曲がりを測定できない問題がある。
そこで,本発明の目的は,棒状体の真の曲がりを測定することができ,しかも,上記変位検出手段を3組以上配置することを必須としない,棒状体の曲がり測定装置を提供することにある。
本願発明者らは,上記課題を解決するために,上記変位検出手段の前後に配設される案内ロールに着目し,その形状,支持構造を適正にする本発明を創案した。本発明によれば,長手方向に搬送される棒状体の搬送方向と直交する平面内において互いに交差する第1及び第2の方向の棒状体変位を検出する一組または複数組の変位検出手段を有する曲がり測定装置において,少なくとも前記変位検出手段に最も近い上流側と下流側とに棒状体を下方から支持するV字状案内ロールを設けると共に,該V字状案内ロールの姿勢を棒状体の水平方向成分の曲りに追従可能に構成し,前記V字状案内ロールは,周面にV字状連続溝が形成されたロール本体と回転軸の間に球面ブッシュを嵌装すると共に,ロール本体の両側面に当接する弾性体を設け,該弾性体を回転軸に固設した部材により支持することにより,ロール本体が回転軸に対して傾動可能な構造としたことを特徴とする棒状体の曲がり測定装置が提供される。
更に,前記V字状案内ロールの上部に,棒状体を上方からV字状案内ロールに押さえ込むピンチロールを設けても良い。その場合,前記ピンチロールは,周面がフラットなロール本体を回転軸に対して傾動しない状態で取付けた構造でも良いし,前記ピンチロールは,周面にV字状連続溝が形成されたロール本体を回転軸に対して傾動可能に取付けた構造でも良い。
本発明によれば,棒状体の搬送方向と直交する平面内において互いに交差する第1及び第2の方向の棒状体変位を検出する変位検出手段の設置組数に拘わらず,棒状体の曲がりを精度良く測定できる棒状体の曲がり測定装置を提供できる。
先ず,本発明の規定理由について説明する。
本発明で対象とする棒状体の曲がり測定装置は,長手方向に搬送される棒状体の搬送方向と直交する平面内において互いに交差する第1及び第2の方向の棒状体変位を検出する一組または複数組の変位検出手段を有する曲がり測定装置である。
ここで,棒状体とは,棒鋼や管棒などの断面形状が円形の長尺材を言う。長手方向に搬送される棒状体の搬送方向と直交する平面内において互いに交差する第1及び第2の方向の棒状体変位を検出する変位検出手段とするのは,棒状体の曲がりは常に一定方向ではなく,二次元方向にも曲がっているために,上記のような構成を有した曲がり測定装置を採用することが,精度良く曲がりを測定でき,且つ効率的であるからである。変位検出手段の設置組数としては,特許文献1に開示されているように3組以上であっても良いし,後述する理由により,図1に示すように1組であっても良い。更には,2組であっても良く,その設置組数を限定するものではない。また,曲がり量を求めるための演算方法については,後に具体的に説明する。
本発明の本質的特徴は,少なくとも前記変位検出手段に最も近い上流側と下流側とに棒状体を下方から支持するV字状案内ロールを設けると共に,該V字状案内ロールの姿勢を棒状体の水平方向成分の曲りに追従可能に構成したことにある。V字状案内ロールとは,ロールの周面にロール回転軸を含む平面においてV字の形状をした溝が周設されているものである。
長手方向に搬送される棒状体の曲がりを精度良く測定するには,変位検出手段を通過する搬送径路の位置を安定させることが必要であり,少なくとも変位検出手段に最も近い上流側と下流側の棒状体を下方から支持する案内ロールをV字状案内ロールとすることにより,棒状材が自重によりV字状溝の最下点(断面形状が円形の棒状材がV字状溝の左右側面に接する最下点をいう。以下,同じ)への落下力が生じ,変位検出手段に最も近い上流側と下流側に配置されたV字状案内ロールに当接する際には,棒状材は常に同じ位置を通過することになる。これにより,安定した位置の搬送径路を得ることができる。加えて,該V字状案内ロールの姿勢を棒状体の水平方向成分の曲りに追従可能に構成することにより,棒状体へ曲がり矯正力が働かず,棒状体が有している本来の曲がりを正しく測定することができると共に,該V字状案内ロールの最下点での搬送径路を更に安定して得ることができる。変位検出手段に最も近い上流側と下流側の案内ロールを上記のように構成したから,棒状体の曲がりを測定する際に,変位検出手段に最も近い上流側と下流側のV字状案内ロールの最下点を基準点とすることにより,1組の変位検出手段であっても,曲がりを精度良く測定することができる。
更に,棒状体を上方からV字状案内ロールに押さえ込むピンチロールを設け,該ピンチロールの姿勢を棒状体の水平方向成分の曲りに追従可能に構成することにより,V字状案内ロールの最下点での搬送径路を更に精度良く安定して得ることができる。また,該ピンチロールにより,棒状体の前後端が片持ち状態となった時の自重による曲がりを抑制することができる。該ピンチロールは周面をフラットとすれば,その姿勢を棒状体の水平方向成分の曲りに追従可能に構成しなくても,棒状材への曲がり矯正力を生じなくすることができる。また,ピンチロールは,周面にV字状連続溝が形成されたピンチロール本体を回転軸に対して傾動可能に取付けた構造としても良い。
以下,本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は,本発明の実施の形態にかかる曲がり測定装置の全体構成を示す説明図である。
長手方向に搬送される棒状体aの搬送方向(通材方向)と直交する平面内において,X方向(図1では水平方向)の棒状体aの位置を測定する距離検出器3aとY方向(図1では垂直方向)の棒状体aの位置を測定する距離検出器3bとの互いに直交する1組の距離検出器3a,3bで構成される変位検出手段3が配置されている。これら距離検出器3a,3bは,例えば投光器と受光器を用いて光学的に棒状体aの位置を検出する構成が採用される。
変位検出手段3に最も近い上流側と下流側に周面にV字状連続溝が形成されたV字状案内ロール1a,1bが,変位検出手段3に対し夫々L/2の間隔をおいて設置されている。各V字状案内ロール1a,1bは,棒状体aを下方から支持するべく,棒状体aの下側に設置されている。なお図1では,変位検出手段3の上流側と下流側に夫々V字状案内ロール1a,1bが1つずつ設けられた状態を示しているが,変位検出手段3の上流側と下流側には,V字状案内ロール1a,1bの他に,他の案内ロールが1または2以上設置されても構わない。但し,いずれの場合も,変位検出手段3の上流側の最も近い位置にはV字状案内ロール1aが設置されることにより,変位検出手段3の上流側においては変位検出手段3とV字状案内ロール1aの間に他の案内ロールがなく。また同様に,変位検出手段3の下流側の最も近い位置にはV字状案内ロール1bが設置されることにより,変位検出手段3の下流側においては変位検出手段3とV字状案内ロール1bの間に他の案内ロールがないことが必要である。このように変位検出手段3と2つのV字状案内ロール1a,1bを設置することにより,上流側及び下流側のV字状案内ロール1a,1bに当接する際には,棒状材aは常に同じ位置を通過することになり,両V字状案内ロール1a,1b間に設置された変位検出手段3によって,棒状材aの曲りを正確に検出できるようになる。
図示の形態では,V字状案内ロール1a,1bの上部にはピンチロール2a,2bが夫々設けられている。ここで,変位検出手段3の上流側に配置されたV字状案内ロール1aとピンチロール2aの関係と,変位検出手段3の下流側に配置されたV字状案内ロール1bとピンチロール2bの関係は実質的に同様であるため,変位検出手段3の上流側に配置されたV字状案内ロール1aとピンチロール2aについて代表して説明する。
図2は,V字状案内ロール1a,ピンチロール2aの回転軸線を含む断面を示している。V字状案内ロール1aのロール本体11と回転軸12との間には球面ブッシュ13が嵌装されており,ロール本体11の両側面には弾性体であるOリング14が当接され,回転軸12に固設されたボス15によりOリング14を介してロール本体11の両側面が支持されている。この構造により,棒状体aに水平方向成分の曲がりが有った場合にそれに追従してロール本体11が傾動し,棒状体aに矯正力がかかること防止することができる。
図2に示すように,ピンチロール2aは,周面がフラットなロール本体21を回転軸22に対して傾動しない状態で取付けた構造となっている。ピンチロール2aは周面がフラットであるため,ロール本体21を回転軸22に固設する構造としても,棒状体aの水平方向成分曲がりに矯正力を生じさせることはない。
また,ピンチロール2aは,図示しない付勢手段によって下方に押圧されていても良い。そうすれば,棒状材aの自重のみならず,ピンチロール2aによる押圧力によっても棒状材aをV字状案内ロール1aのV字状溝の最下点(断面形状が円形の棒状材aがV字状溝の左右側面に接する最下点)へ移動させることができるので,V字状案内ロール2aに当接する際に,棒状材aは同じ位置をより通過しやすくなり,棒状体aの曲がりをより高い精度で測定できるようになる。
なお,代表して変位検出手段3の上流側に配置されたV字状案内ロール1aとピンチロール2aについて説明したが,変位検出手段3の下流側に配置されたV字状案内ロール1bとピンチロール2bの関係も実質的に同様である。
次に,本発明の実施の形態にかかる曲がり測定装置の機能を説明する。図3は,本発明の実施の形態にかかる曲がり測定装置によって棒状材aの曲りを測定する場合を説明するための平面図を示している。図3(a)は棒状体aが直線(曲りのない状態)である時の搬送状態であり,V字状案内ロール1a,1bは棒状体aを下方から支持すると共に,水平方向にガイドする。これに対して,図3(b)は棒状体aが曲がりを有して搬送された時の状態を示し,V字状案内ロール1aのロール本体11とV字状案内ロール1bのロール本体11はそれぞれ棒状体aの水平方向成分の曲がりに追従して回転軸の軸線12に対し適宜傾動し,棒状体aに矯正力がかかることを防止する。また,棒状体aに曲がりが無くなれば,図2に示した弾性体であるOリング14の反発力によりセンタリングし,再び図3(a)の状態に復帰することができる。
この曲がり測定装置にあっては,図3(a)に示したように曲りのない棒状体aを搬送した際に変位検出手段3の距離検出器3a,3bで測定される棒状体aのX方向とY方向の位置を基準値に定める。そして,図3(b)に示したように曲がりを有する棒状体aを搬送した際に変位検出手段3の距離検出器3a,3bによって棒状体aのX方向とY方向の位置をそれぞれ測定し,予め定めておいた基準値との差dx,dyを求める。そして,次の(1)式により,曲がり量Sを求めることができる。
S=√dx2+dy2…(1)
以上,本発明の一実施例を説明したが,本発明は図示の形態に限定されない。例えば,図1,2ではV字状案内ロール1a,1bの上部に周面がフラットなピンチロール2a,2bを設けた例を示したが,ピンチロール2a,2bは,V字状案内ロール1a,1bと同様に,周面にV字状連続溝が形成されたロール本体を回転軸に対して傾動可能に取付けた構造としても良い。ピンチロール2a,2bを,V字状案内ロール1a,1bと同様にV字状連続溝が形成されたものとしても,ロール本体が回転軸に対して傾動可能であれば,棒状体aに矯正力がかかることを同様に防止できる。
また,ピンチロール2a,2bは必ずしも必須ではなく,ピンチロール2a,2bを省略しても良い。
次に,図1に示した測定装置を用い,V字状案内ロール1a,1bの水平方向成分曲がりへの追従機能有無,ピンチロール有無による,曲がり量の測定精度を比較,調査した。棒状材aとして直径が50mmΦ,長さが10mの棒鋼を供試材とした。
図1において,L=1mとし,距離検出器3aで測定したX方向の棒状体aのエッジ位置と距離検出器3bで測定したY方向の棒状体aのエッジ位置とにより,V字状案内ロール1a,1bのV字状溝の最下点における棒状体aのエッジ位置に基づき予め求めておいた基準線に対する棒状体aのX,Y方向の変位dx,dyを夫々求め,次の(1)式により,曲がり量Sを求めた。
S=√dx2+dy2…(1)
図4は棒状体の1m間隔における曲がり量Sを5mmピッチおきに連続して計測し,その最大曲がり量の計測誤差範囲Pを次の(2)式で求めて調査したものである。
P =(計測値−実測値)/実測値×100(%)…(2)
ここで,計測値は上記の棒状体の曲がり測定装置および方法による計測値であり,実測値は水平に配置したVブロックで棒状体を支持しダイアルゲージにて計測した値である。
図4において,比較例は,V字状案内ロールが水平方向成分曲がりへの追従機能を有せず,且つピンチロールも設けなかった例であり,発明例1は,V字状案内ロールが水平方向成分曲がりへの追従機能を有するが,ピンチロールは設けなかった例,発明例2は,V字状案内ロールが水平方向成分曲がりへの追従機能を有し,且つピンチロールを設けた例である。
V字状案内ロールを棒状体の曲がりに追従させることにより計測誤差範囲は大幅に低減され,ピンチロールを設けることにより一層の誤差範囲低減効果を得ることが分かる。
本発明は,例えば棒鋼や管棒などの棒状体の曲がり量の測定に利用できる。
本発明の実施の形態にかかる曲がり測定装置の全体構成を示す説明図である。 V字状案内ロールとピンチロールの構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態にかかる曲がり測定装置の機能を説明する平面図である。 本発明例と比較例の計測誤差を示したグラフである。 従来装置を示す図である。 従来装置における棒状体の単位長さ当たりの曲がり量S1を求める場合の演算処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1a,1b V字状案内ロール
11 V字状案内ロールのロール本体
12 V字状案内ロールの回転軸
13 球面ブッシュ
14 Oリング
15 ボス
2a,2b ピンチロール
21 ピンチロールのロール本体
3 変位検出手段
3a X方向の棒状体aの位置を測定する距離検出器
3b Y方向の棒状体aの位置を測定する距離検出器

Claims (4)

  1. 長手方向に搬送される棒状体の搬送方向と直交する平面内において互いに交差する第1及び第2の方向の棒状体変位を検出する一組または複数組の変位検出手段を有する曲がり測定装置において,少なくとも前記変位検出手段に最も近い上流側と下流側とに棒状体を下方から支持するV字状案内ロールを設けると共に,該V字状案内ロールの姿勢を棒状体の水平方向成分の曲りに追従可能に構成し,前記V字状案内ロールは,周面にV字状連続溝が形成されたロール本体と回転軸の間に球面ブッシュを嵌装すると共に,ロール本体の両側面に当接する弾性体を設け,該弾性体を回転軸に固設した部材により支持することにより,ロール本体が回転軸に対して傾動可能な構造としたことを特徴とする棒状体の曲がり測定装置。
  2. 更に,前記V字状案内ロールの上部に,棒状体を上方からV字状案内ロールに押さえ込むピンチロールを設けたことを特徴とする請求項1記載の棒状体の曲がり測定装置。
  3. 前記ピンチロールは,周面がフラットなロール本体を回転軸に対して傾動しない状態で取付けたことを特徴とする請求項2記載の棒状体の曲がり測定装置。
  4. 前記ピンチロールは,周面にV字状連続溝が形成されたロール本体を回転軸に対して傾動可能に取付けた構造としたことを特徴とする請求項2記載の棒状体の曲がり測定装置。
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