JP4559709B2 - 回転圧縮成形機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉末等の被成形材料を圧縮成形するための回転圧縮成形機に関する。
【0002】
【従来の技術】
垂直回転軸周りに水平回転駆動される回転体であって、周方向に沿った複数の臼部を有する回転体と、前記臼部の上方開口及び下方開口からそれぞれ上下動可能に挿入された上杵及び下杵とを備え、該上杵及び下杵によって前記臼部内に充填された粉末等の被成形材料を圧縮成形する回転圧縮成形機は、半導体封止用エポキシ樹脂の成形等の種々の分野に使用されている。
【0003】
ところで、従来の回転圧縮成形機は、圧縮成型品の外径を変更する場合には、現在装着されている臼部,上杵及び下杵を交換しなければならず、少量多形状の製造には不適であるという問題があった。
【0004】
即ち、前記回転圧縮成形機においては、前記臼部の内径と該臼部に挿入される上杵及び下杵の直径とによって、圧縮成型品の外径が画される。
従って、直径X1mmの圧縮成型品を製造している状態から直径X2mmの圧縮成型品を製造する状態に仕様変更する場合には、X1mmに対応した一の臼部,一の上杵及び一の下杵をX2mmに対応した他の臼部,他の上杵及び他の下杵に交換する必要があるが、斯かる交換は、通常、前記下杵と係合し該下杵の上下動を案内する案内機構の一部を取り外さなければならず、非常に面倒な作業となる。
【0005】
このように、従来の回転圧縮成形機は、斯かる仕様変更に対して十分な配慮がなされておらず、その結果、少量多形状の製造に不向きであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、一の形状の圧縮成型品を製造する状態から他の形状の圧縮成型品を製造する状態への仕様変更を容易に行うことができる回転圧縮成形機の提供を、一つの目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、垂直回転軸周りに水平回転される回転体であって、周方向に沿って複数の臼部が設置可能とされた回転体と、前記複数の臼部に対してそれぞれ上方から上下動可能に挿入される複数の上杵であって、前記回転体の水平回転と同期して前記垂直回転軸周りに公転する複数の上杵と、前記複数の臼部に対してそれぞれ下方から上下動可能に挿入される複数の下杵であって、前記回転体の水平回転に連動して前記垂直回転軸周りに公転する複数の下杵と、前記複数の上杵を、それぞれ、該上杵の下端部が前記臼部の上方に位置する上死点から該上杵の下端部が前記臼部内に位置する下死点へ押動する上杵加圧機構と、前記回転体の下方に配設された案内機構であって、前記下杵の公転に応じて、該下杵を、上端部が前記臼部の上端開口と略同一となる上死点と、上端部が前記臼部内における所定の下方位置に位置する下死点との間で上下動させる案内機構と、前記回転体を挟んで前記上杵加圧機構と対向するように配設され、前記下杵を上方へ押動する下杵加圧機構と、前記下杵の下端部に着脱可能に設けられる従動部材であって、該下杵の下端部から径方向外方に突出した突出部を有する下杵引き下げ用従動部材と、該下杵引き下げ用従動部材を装着した前記下杵の該従動部材の前記突出部と係合する係合部を有し、該係合部が前記下杵の公転運動に応じて前記従動部材突出部と係合しつつ該係合部に沿って該従動部材突出部を移動させることで前記下杵を上死点から下死点へ移動させる係合部材と、前記下杵の公転運動に拘わらず、前記従動部材が下杵から離脱した状態で上死点に該下杵を固定する固定状態と、前記下杵の公転運動に応じて、従動部材が該下杵に装着された状態で該下杵の前記上下動が可能な作動状態とに選択操作する操作機構とを具備し、前記係合部材は、前記係合部の前記従動部材突出部との係合領域最上流側端位置の高さが前記下杵の上死点位置での前記従動部材突出部高さと略同一又は該従動部材突出部高さよりも上方に位置するように構成され、前記操作機構は、前記複数の下杵のそれぞれに対応して設けられた複数の操作部材であって、対応する前記下杵と係合して該下杵を上死点に固定する固定位置と、対応する前記下杵との係合を解除して該下杵を上下動可能とする作動位置とをとり得る操作部材を有し、前記下杵は、前記操作部材が固定位置に位置する際に、該操作部材の少なくとも一部が係入される保持凹部を有し、前記操作部材の少なくとも一部は、固定位置に位置する際に前記下杆の保持凹部に係入する係合ピンであることを特徴とする回転圧縮成形機を提供する。
【0008】
本発明に係る回転圧縮成形機によると、複数の下杵のそれぞれを選択的に上死点に固定する固定状態と、上下動可能な作動状態とに操作する操作機構を備えている為、該操作機構によって不要な形状及び/又は外径に対応した下杵を固定状態とし、且つ、該不要な下杵に対応した上杵を取り外すという簡単な作業によって、所望の形状及び/又は外径の圧縮成形品を得ることができる。
従って、単一の回転圧縮成形機によって少量多種の圧縮成形品を極めて効率的に製造することができる。
また、固定状態とされた下杵は、上端部が前記臼部の上端開口と略同一となる上死点に固定される為、該固定状態の下杵に対応した臼部内に被成形材料が充填されるという不都合も生じない。従って、キャップ等の追加部材を備えることなく、被成形材料の無駄を有効に防止できる。
【0009】
さらに、前記係合部材が設けられるとともに、これに係合される前記下杵引き下げ用従動部材が前記下杵の下端部に着脱可能に設けられるので、前記操作機構を前記下杵の公転運動に応じて前記上下動が可能な作動状態に選択操作する際は、前記下杵に前記下杵引き下げ用従動部材を装着すれば、前記案内機構による前記下杵の公転に応じた前記案内動作が良好に行われる。また前記操作機構を前記下杵の公転運動に拘わらず上死点に固定する固定状態に選択操作する際は、前記下杵から前記下杵引き下げ用従動部材を離脱すればよい。このように本発明に係る回転圧縮成形機によると、前記係合部材を設けるとともに前記下杵引き下げ用従動部材を前記下杵の下端部に着脱可能に設けるといった簡単な構成で、前記案内機構による前記案内動作を良好に行うことができる。
また、本発明に係る回転圧縮成形機は、前記下杵が、前記臼部に上下動可能に嵌入される杵部と、下杵の下端部に設けられるとともに臼部の内径よりも大径とされる頭部とを有し、前記従動部材が、下杵の頭部に着脱可能に設けられ、前記従動部材突出部が、下杵の頭部よりも大径とされ、前記係合部材の係合部が、下杵の頭部の幅よりも広く、且つ、従動部材突出部の外径よりも小さい間隔をおいて対向配置される一対の係合部であることが望ましい。
【0010】
前記案内機構は、前記下杵引き下げ用従動部材を装着した前記下杵の公転方向に沿って、該下杵を上死点に位置させる最上部と、前記下杵を最上部から下方へ案内する下降部と、前記下杵を所定の分量位置に保持する分量部と、前記下杵を再び前記最上部へ移行させる押上部とを有する案内面を備えていてもよい。この場合、前記係合部材の係合部は、前記案内面の下降部との共働下に前記下杵引き下げ用従動部材の突出部を狭持し得る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る回転圧縮成形機の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施の形態に係る回転圧縮成形機1の展開縦断面図を示す。
【0014】
前記回転圧縮成形機1は、図1に示すように、垂直回転軸(図示せず)周りに水平に駆動回転される回転体10と、前記回転体10の上方に上下動可能に配設された複数の上杵20と、前記回転体10の下方に上下動可能に配設された複数の下杵30と、前記複数の上杵20をそれぞれ下方へ押動する上杵加圧機構40と、前記複数の下杵30をそれぞれ案内する案内機構50と、前記複数の下杵をそれぞれ上方へ押動する下杵加圧機構60とを備えている。
なお、図1中右方に示す矢印は回転体10の回転方向を示している。
【0015】
斯かる回転圧縮成形機1は、前記回転体10に周方向に沿って設置される臼部11内に充填した粉末等の被成形材料を前記上杵20及び下杵30により狭圧して圧縮成型品を製造する為に使用される。
なお、該回転圧縮成形機1は、半導体封止用エポキシ樹脂成形品や薬剤、入浴剤、ボタン電池、菓子類等の種々の圧縮成形品の製造に使用できる。
【0016】
前記回転体10は、前述の通り、周方向に沿って複数の臼部11が設置可能とされている。
詳しくは、前記回転体10は、周方向に沿った複数の貫通孔12を有している。該貫通孔12は該回転体10の上方及び下方に開口しており、所望内径の臼部11を着脱可能に設置し得るようになっている。
【0017】
本実施の形態においては、図1に示すように、前記回転体10には、周方向に沿って交互に、第1内径(X1mm)の第1臼部11aと、第2内径(X2mm)の第2臼部11bとが設置されている。
【0018】
前記複数の上杵20は、それぞれ、対応する臼部11の内径と略同一外径を有し、該臼部11内に上方から上下動可能に嵌入される杵部21と、該杵部21から上方に延び、対応する臼部11の内径より大径とされた頭部22とを有している。
【0019】
斯かる上杵20は、前記回転体10の水平回転と同期して前記垂直回転軸周りに公転するように配設されており、且つ、前記杵部21の下端部が対応する臼部内の所定位置に位置する下死点と、前記杵部21の下端部が対応する臼部の上方に待避する上死点との間で上下動可能とされている。
【0020】
本実施の形態においては、前記複数の上杵20は、前記第1臼部11aに対応する第1上杵20aと、前記第2臼部11bに対応する第2上杵20bとを含んでいる。
前記第1及び第2上杵20a,20bは、それぞれ、杵部の外径がX1mm及びX2mmより若干(例えば、0.1mm)小径とされている。
【0021】
前記上杵加圧機構40は、公転する上杵20が前記垂直回転軸周りの周方向所定位置に位置する際に、該上杵20を上死点から下死点へ押圧するように構成されている。
該上杵加圧機構40は、前記下杵加圧機構60との共働下に、被成形材料を圧縮成形する際の狭圧力を提供する。
【0022】
前記複数の下杵30は、それぞれ、対応する臼部11の内径より若干(例えば、0.1mm)小径とされ、該臼部11内に下方から上下動可能に嵌入される杵部31と、該杵部31から下方に延び、対応する臼部11の内径より大径とされた頭部32とを有している。
【0023】
本実施の形態においては、前記複数の下杵30は、前記第1臼部11aに対応する第1下杵30aと、前記第2臼部11bに対応する第2下杵30bとを含んでいる。
【0024】
このように、第1臼部11aには、該第1臼部11aに対応した第1上杵20a及び第1下杵30aが挿入され、且つ、第2臼部11bには、該第2臼部11bに対応した第2上杵20b及び第2下杵30bが挿入されるようになっている。
【0025】
前記下杵加圧機構60は、前記回転体10を挟んで、前記上杵加圧機構40と対向するように配設されている。
即ち、前記上杵加圧機構40及び前記下杵加圧機構60は、前記垂直回転軸を基準にして、周方向同一位置に配設されている。
従って、一の上杵20及び該一の上杵20に対応する一の下杵30が、前記上杵加圧機構40及び前記下杵加圧機構60と周方向同一位置まで公転されると、該一の上杵20及び該一の下杵30によって被成形材料110が圧縮され、これにより、圧縮成形品100が製造される。
【0026】
前記案内機構50は、前記回転体10の下方において案内されるべき前記複数の下杵30と係合するようになっている。
詳しくは、該案内機構50は、前記回転体10の水平回転に連動して前記複数の下杵30が前記垂直回転軸周りに公転するのに応じ、該複数の下杵30のそれぞれを上下動させるように構成されている。
【0027】
より詳しくは、前記案内機構50は、前記複数の下杵30のそれぞれを、公転位置に応じて、上端部が前記臼部11の上端開口と略同一となる上死点と、上端部が前記臼部11内における所定の下方位置に位置する下死点との間で上下動させるように構成されている。
【0028】
具体的には、前記案内機構50は、前記下杵30における下端部と当接する案内面51を有している。
該案内面51は、前記下杵30の公転方向に沿って、該下杵30を上死点に位置させる最上部51aと、前記下杵30を最上部51aから下方へ案内する下降部51bと、前記下杵30を所定の分量位置に保持する分量部51cと、前記分量部51cから前記下杵加圧体60を挟んで配置された渡し部51dと、前記下杵30を渡し部51dから前記最上部51へ移行させる押上部51eとを有している。
【0029】
この回転圧縮成形機1はさらに、下杵引き下げ用従動部材33と係合部材52とを備えている。
【0030】
図2(a)に図1に示す前記下降部51b及び前記係合部材52による前記下杵30の動作状態を拡大して示し、図2(b)に前記係合部材52が下杵引き下げ用従動部材33の突出部33cと係合している状態を上から見た概略図を示す。
【0031】
前記従動部材33は前記下杵30における下端部の頭部32に着脱可能に設けられる。さらに言えば、図2(a)に示すように、ここでは従動部材33は、前記下杵30の頭部32に設けられた雌ねじ部32a(図中破線で示す)に螺合する雄ねじ部33a(図中破線で示す)を有しており、この従動部材33の雄ねじ部33aが前記下杵30頭部32の雌ねじ部32aに螺合されることで前記下杵30の頭部32に着脱可能に配設される。なお、前記下杵30の頭部32外周部に雄ねじ部を設け、それに螺合する雌ねじ部を従動部材33に設けてもよい。また、それに限らず、従動部材を下杵の頭部に着脱可能に設けることができれば、いずれの態様のものを採用してもよい。
【0032】
前記下杵引き下げ用従動部材33は、ここでは直径が上下方向略中央位置から上方向及び下方向に向かって次第に小さくなっている断面六角形状の算盤玉状のものであり、前記下杵30の頭部32から径方向外方に突出した突出部33cを有している。
【0033】
前記係合部材52は、図2(b)に示すように、ここでは一対の係合部521,522を有している。前記係合部521,522は前記下杵30の頭部32を挟むように設けられているとともに、該頭部32の幅より広い、且つ、前記従動部材突出部33cの外径より小さい間隔をおいて対向配置されている。
【0034】
前記係合部521,522は、図2(a)に示すように、前記従動部材33を装着した前記下杵30の該従動部材33の前記突出部33cと係合するものであり、ここでは前記下杵30の公転運動に応じて前記従動部材突出部33cと係合しつつ該係合部521,522の下面に沿って該従動部材突出部33cを移動させることで前記下杵30が上死点から下死点へ移動できるように、傾斜して配設されており、前記従動部材突出部33cとの係合領域最上流側端位置の高さ52aが前記下杵30の上死点位置での前記従動部材突出部33c高さ(ここでは前記上下方向略中央位置高さ)33bより上方に位置している。
【0035】
図1に示す回転圧縮成形機1はさらに操作機構80を備えている。なお、図1及び図2並びに後述する図4及び図5において操作機構80は図示を省略してある。
図3に、前記操作機構80の縦断模式図を示す。図3に示すように、前記操作機構80は、前記複数の下杵30のそれぞれに対応して設けられた複数の操作部材81を有している。
【0036】
前記操作部材81は、外部操作に基づき、対応する下杵30と係合して該下杵30を上死点に固定する固定位置(図3(a)参照)と、対応する下杵30との前記係合を解除して該下杵30を上下動可能な状態とする作動位置(図3(b)参照)とをとり得るように構成されている。
【0037】
本実施の形態においては、前記操作部材81は、前記回転体10に径方向移動自在に設けられている。
即ち、本実施の形態においては、前記操作部材81は、前記垂直回転軸を基準にして、前記回転体10の径方向外方に位置する際に前記固定位置をとり、且つ、前記回転体10の径方向内方に位置する際に前記作動位置をとり得るようになっている。
【0038】
好ましくは、前記複数の下杵30には、それぞれ、対応する前記操作部材81が固定位置に位置する際に、該操作部材81の一部(図示においては、係合ピン82)が係入される保持凹部35を設けることができる。
斯かる構成を備えることにより、前記操作部材81を固定位置に位置させた際に、下杵30を確実に上死点に保持できる。
【0039】
前述の通り、該回転圧縮成形機1は、外径X1mmの圧縮成形品を製造する為の第1臼部11a,第1上杵20a及び第1下杵30aと、外径X2mmの圧縮成形品を製造する為の第2臼部11b,第2上杵20b及び第2下杵30bとを有している。
【0040】
斯かる回転圧縮成形機1において、例えば、第2下杵30bに対応した操作部材81を作動位置(図3(b)参照)に位置させて前記従動部材33を装着し、且つ、第1下杵30aに対応した操作部材81を固定位置(図3(a)参照)に位置させて前記従動部材33を離脱するとともに第1上杵20aを取り外すことで(図1及び図2(a)中鎖線で示す)、外径X2mmの圧縮成形品を製造することができる。
【0041】
即ち、斯かる設定により、前記従動部材33を離脱した第1下杵30aは自身の公転位置に拘わらず上死点に保持され、該第1下杵30aの杵部31の上端部が対応する臼部11aの上端開口と略同一位置に保持される一方、前記従動部材33を装着した第2下杵30bは自身の公転位置に応じて前記案内機構50により案内される。
【0042】
次に、斯かる構成の回転圧縮成形機1の概略動作説明を行う。
図4は、前記回転体10の水平回転に拘わらず上死点に固定された一の下杵(本例では前記従動部材33を離脱した第1下杵30a)の状態変化を時系列で示す縦断面図である。
【0043】
なお、前記操作部材81は、外部操作に基づき、対応する下杵30aと係合して該下杵30aを上死点に固定する固定位置(図3(a)参照)をとっており、前記上杵20aは回転圧縮成形機1から取り外してある(図中鎖線で示す)。
【0044】
前記下杵30aが前記最上部に位置する際には、該下杵30aは上死点に配置されている。
この状態から、前記回転体10の回転に連動して前記下杵30aが公転しても、該下杵30aは前記従動部材33を離脱しており、前記操作部材81により上死点に固定されているので、前記案内機構50による前記下杵30aの公転に応じた案内動作が行われない。
この回転圧縮成形機1は、図4に示すように、前記下降部51b及び前記分量部51cに対応した位置に、材料供給部70を備えている。
しかし、前記下杵30aが上死点に配置されたままなので、対応する臼部11a内には被成形材料110が充填されることはない。
【0045】
さらに、前記回転体10が回転すると、前記下杵30aは前記下降部51bから前記分量部51c、前記下杵加圧体60、前記渡し部51d及び前記押上部51eの上方を経て、再び、前記最上部51aへ移動する。
【0046】
図5は、前記回転体10の水平回転に応じた一の上杵(本例では第2上杵20b)及び一の下杵(本例では前記従動部材33を装着した第2下杵30b)の状態変化を時系列で示す縦断面図である。
【0047】
なお、前記操作部材81は、外部操作に基づき、対応する下杵30bとの前記係合を解除して該下杵30bを上下動可能な状態とする作動位置(図3(b)参照)をとっており、前記上杵20bは回転圧縮成形機1に取り付けてある。
【0048】
前記下杵30bが前記最上部に位置する際には、該下杵30bは上死点に保持されている。
この状態から、前記回転体10の回転に連動して前記下杵30bが公転すると、該下杵30bは前記従動部材33が前記係合部材52と係合しつつ前記最上部51aから前記下降部51bへ移動する。
既述したように、前記回転圧縮成形機1は、前記下降部51b及び前記分量部51cに対応した位置に、材料供給部70を備えており、斯かる構成により、前記下杵30bが最上部51aから下降部51bを介して分量部51cへ移動する際に、対応する臼部11b内に被成形材料110が充填されるようになっている。
【0049】
さらに、前記回転体10が回転すると、前記下杵30bは前記下杵加圧機構60によって上方へ押動される。この際、対応する上杵20bも前記上杵加圧機構40によって下方へ押動される。従って、対応する臼部11b内に充填された被成形材料110は、上杵20b及び下杵30bによって狭圧され、該臼部11bの内径に応じた外径の圧縮成形品100とされる。
なお、斯かる圧縮成形品100の高さ寸法は、前記上杵20b及び下杵30bの押動ストロークによって、調整され得る。
【0050】
この状態から、さらに、回転体10が回転されると、前記下杵30bは、前記渡し部51dへ移動される。
他方、前記上杵20bは、前記上杵加圧機構40によって押動された後には、再び、上死点へ戻される。
【0051】
その後、前記回転体10の回転に応じて、前記下杵30bは、前記押上部51eを介して、再び、前記最上部51aへ移動する。
斯かる下杵30bの上方への移動によって、圧縮成形品100は回転体10の上面に押し出される。
【0052】
このように、本実施の形態に係る回転圧縮成形機1は、前記回転体10を垂直回転軸周りに水平回転させることで、圧縮成形品100を製造し得るように構成されているが、該回転圧縮成形機1は、さらに、前記複数の下杵30のうちの所望の下杵(本実施の形態においては第2下杵30b)のみを作動状態とする選択機構80を備えており、これにより、一台の回転圧縮成形機によって少量多形状の圧縮成形品を効率的に製造し得るようになっている。
【0053】
以上説明した回転圧縮成形機1によると、複数の下杵30のそれぞれを選択的に上死点に固定する固定状態と、上下動可能な作動状態とに操作する操作機構80を備えている為、該操作機構80によって不要な形状及び/又は外径に対応した下杵30aを固定状態とし、且つ、該不要な下杵30aに対応した上杵20aを取り外すという簡単な作業によって、所望の形状及び/又は外径の圧縮成形品を得ることができる。これにより、少量多形状の製造に効率的に対応することができる。
従って、単一の回転圧縮成形機1によって少量多種の圧縮成形品を極めて効率的に製造することができる。
また、固定状態とされた下杵30aは、上端部が前記臼部11aの上端開口と略同一となる上死点に固定される為、従って、第1下杵30aが挿入される臼部11aに、前記材料供給部70から被成形材料110が供給されることは無く、該固定状態の下杵30aに対応した臼部11a内に被成形材料が充填されるという不都合も生じない。従って、キャップ等の追加部材を備えることなく、被成形材料の無駄を有効に防止できる。これにより、キャップ等の追加部材を備えることなく、材料の無駄を防止できる(図1参照)。
なお、上杵20の取り外しは、下杵30の取り外しに比して、容易に行うことができる。従って、不要な上杵(該例示においては、第1上杵20a)の取り外しは、比較的短時間で行うことができる。
【0054】
さらに、外径X2mmの圧縮成形品100を製造している状態から、外径X1mmの圧縮成形品を製造するように仕様変更する場合には、第1下杵30aに対応した操作部材81を作動位置に位置させるとともに第1上杵20aを取り付け且つ、第2下杵30bに対応した操作部材81を固定位置に位置させるとともに第2上杵20bを取り外すだけで、容易に対処できる。
【0055】
このように、複数の形状の圧縮成形品を製造し得るように臼部11,上杵20及び下杵30が設定されている回転圧縮成形機において、前記操作機構80を備えることにより、少量多形状の圧縮製品の製造に極めて効率的に対処できる。
【0056】
さらに、前記係合部材52が設けられるとともに、これに係合される前記下杵引き下げ用従動部材33が前記下杵30の下端部32に着脱可能に設けられるので、前記操作機構80を前記下杵30bの公転運動に応じて前記上下動が可能な作動状態に選択操作する際は、前記下杵30bに前記下杵引き下げ用従動部材33を装着すれば、前記案内機構50による前記下杵30bの公転に応じた前記案内動作が良好に行われる。また前記操作機構80を前記下杵30aの公転運動に拘わらず上死点に固定する固定状態に選択操作する際は、前記下杵30aから前記下杵引き下げ用従動部材33を離脱すればよい。このように回転圧縮成形機1によると、前記係合部材52を設けるとともに前記下杵引き下げ用従動部材33を前記下杵30の下端部32に着脱可能に設けるといった簡単な構成で、前記案内機構50による前記案内動作を良好に行うことができる。
【0057】
前記案内機構50は、本例では前記下降部51bを有する案内面51を備えているので、前記係合部材52の係合部521,522は、前記案内面51の下降部51bとの共働下に前記下杵引き下げ用従動部材33の突出部33cを狭持し得る。
【0058】
前記下杵引き下げ用従動部材33は本例では算盤玉状のものであり、前記案内機構50は本例では前記下降部51bを有する案内面51を備えているので、前記従動部材突出部33cの上面が前記係合部521,522の下面に沿うとともに前記従動部材突出部33cの下面が前記下降部51bの上面に沿って良好に移動することができる。これにより、下杵引き下げ用従動部材33を良好に移動させることができる。
【0059】
なお、本実施の形態においては、2種類の外径の圧縮成形品を製造し得る場合を例にとって説明したが、当然ながら、本発明は、3種類以上の外径の圧縮成形品を製造する場合にも適用可能である。
又、本発明は、外径のみならず、2種類以上の外形状の圧縮成形品を製造する場合にも適用できる。斯かる場合には、前記臼部,上杵及び下杵は、一の外形状の圧縮成形品を製造する為の一の組合せと、他の外形状の圧縮成形品を製造する為の他の組合せとを含むものとされる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、一の形状の圧縮成型品を製造する状態から他の形状の圧縮成型品を製造する状態への仕様変更を容易に行うことができる回転圧縮成形機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係る回転圧縮成形機の展開縦断面図である。
【図2】図(a)は図1に示す下降部及び係合部材による下杵の動作状態を拡大して示した概略図であり、図(b)は係合部材が下杵引き下げ用従動部材の突出部と係合している状態を上から見た概略図である。
【図3】図1に示す回転圧縮成形機に備えられる操作機構の縦断模式図であり、図(a)に前記操作機構の操作に基づき下杵が上死点に固定された固定状態を示し、図(b)に前記操作機構の操作に基づき下杵が上下動可能とされた作動状態を示す。
【図4】回転体の水平回転に拘わらず上死点に固定された一の下杵(本例では従動部材を離脱した第2下杵)の状態変化を時系列で示す縦断面図である。
【図5】回転体の水平回転に応じた一の上杵(本例では第2上杵)及び一の下杵(本例では従動部材を装着した第2下杵)の状態変化を時系列で示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…回転圧縮成形機 10…回転体 11…臼部 20…上杵 21…杵部
30…下杵 31…下杵の杵部 32…下杵の下端部
33…下杵引き下げ用従動部材 33b…従動部材突出部33c高さ
33c…従動部材突出部 35…保持凹部 40…上杵加圧機構
50…案内機構 51…案内面 51a…最上部 51b…下降部
51c…分量部 51d…渡し部 51e…押上部
52…係合部材 521,522…係合部
52a…係合部521,522の係合領域最上流側端位置の高さ
60…下杵加圧機構 70…材料供給部 80…操作機構 81…操作部材

Claims (3)

  1. 垂直回転軸周りに水平回転される回転体であって、周方向に沿って複数の臼部が設置可能とされた回転体と、
    前記複数の臼部に対してそれぞれ上方から上下動可能に挿入される複数の上杵であって、前記回転体の水平回転と同期して前記垂直回転軸周りに公転する複数の上杵と、
    前記複数の臼部に対してそれぞれ下方から上下動可能に挿入される複数の下杵であって、前記回転体の水平回転に連動して前記垂直回転軸周りに公転する複数の下杵と、
    前記複数の上杵を、それぞれ、該上杵の下端部が前記臼部の上方に位置する上死点から該上杵の下端部が前記臼部内に位置する下死点へ押動する上杵加圧機構と、
    前記回転体の下方に配設された案内機構であって、前記下杵の公転に応じて、該下杵を、上端部が前記臼部の上端開口と略同一となる上死点と、上端部が前記臼部内における所定の下方位置に位置する下死点との間で上下動させる案内機構と、
    前記回転体を挟んで前記上杵加圧機構と対向するように配設され、前記下杵を上方へ押動する下杵加圧機構と、
    前記下杵の下端部に着脱可能に設けられる従動部材であって、該下杵の下端部から径方向外方に突出した突出部を有する下杵引き下げ用従動部材と、
    該下杵引き下げ用従動部材を装着した前記下杵の該従動部材の前記突出部と係合する係合部を有し、該係合部が前記下杵の公転運動に応じて前記従動部材突出部と係合しつつ該係合部に沿って該従動部材突出部を移動させることで前記下杵を上死点から下死点へ移動させる係合部材と、
    前記下杵の公転運動に拘わらず、前記従動部材が下杵から離脱した状態で上死点に該下杵を固定する固定状態と、前記下杵の公転運動に応じて、従動部材が該下杵に装着された状態で該下杵の前記上下動が可能な作動状態とに選択操作する操作機構とを具備し、
    前記係合部材は、前記係合部の前記従動部材突出部との係合領域最上流側端位置の高さが前記下杵の上死点位置での前記従動部材突出部高さと略同一又は該従動部材突出部高さよりも上方に位置するように構成され
    前記操作機構は、前記複数の下杵のそれぞれに対応して設けられた複数の操作部材であって、対応する前記下杵と係合して該下杵を上死点に固定する固定位置と、対応する前記下杵との係合を解除して該下杵を上下動可能とする作動位置とをとり得る操作部材を有し、
    前記下杵は、前記操作部材が固定位置に位置する際に、該操作部材の少なくとも一部が係入される保持凹部を有し、
    前記操作部材の少なくとも一部は、固定位置に位置する際に前記下杆の保持凹部に係入する係合ピンであることを特徴とする回転圧縮成形機。
  2. 前記下杵は、前記臼部に上下動可能に嵌入される杵部と、下杵の下端部に設けられるとともに臼部の内径よりも大径とされる頭部とを有し、
    前記従動部材は、下杵の頭部に着脱可能に設けられ、前記従動部材突出部は、下杵の頭部よりも大径とされ、
    前記係合部材の係合部は、下杵の頭部の幅よりも広く、且つ、従動部材突出部の外径よりも小さい間隔をおいて対向配置される一対の係合部である請求項1に記載の回転圧縮成形機。
  3. 前記案内機構は、前記下杵引き下げ用従動部材を装着した前記下杵の公転方向に沿って、該下杵を上死点に位置させる最上部と、前記下杵を最上部から下方へ案内する下降部と、前記下杵を所定の分量位置に保持する分量部と、前記下杵を再び前記最上部へ移行させる押上部とを有する案内面を備え、
    前記係合部材の係合部は、前記案内面の下降部との共働下に前記下杵引き下げ用従動部材の突出部を狭持する請求項1又は2に記載の回転圧縮成形機。
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