JP4558961B2 - 建物ユニットの寸法測定方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建物ユニットの寸法測定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物ユニットの生産ライン内で、建物ユニットの4本の柱の設置幅を測定する方法は、光センサ等の無接触センサで各柱の位置を検出することに基づいている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光センサ等の無接触センサで柱の位置を検出する従来技術では、柱の材質やメッキ等の表面加工皮膜の種類、性質により、大幅な測定誤差を生ずる。
【0004】
また、従来技術では、無接触センサの測定点を柱の上端部又は下端部付近にしており、これらの部分は天井梁や床梁を接合してあることに起因する局部的な変形を伴い易く、測定結果にこの局部的な変形誤差を含み易い。
【0005】
また、従来技術では、建物ユニットの床梁の略中央部を搬送コンベヤに載せ、両端部を浮かせた支持状態で寸法測定しており、建物ユニットの全体が搬送コンベヤを支点とする撓み変形を伴い、測定結果にこの一時的な変形誤差を含み易い。
【0006】
本発明の課題は、建物ユニットの寸法を高精度に測定することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、建物ユニットの4本の柱の設置幅を測定する建物ユニットの寸法測定方法において、相対する各柱の上下端部より中央寄りに定めた測定点のそれぞれに、相対する測定子のそれぞれを接触させ、各測定子のその接触位置に基づいてそれらの柱の設置幅を演算するようにしたものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記建物ユニットを搬送装置に載せて測定作業位置に位置付けた後、各柱を昇降体により持ち上げて建物ユニットの姿勢を調整するようにしたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の建物ユニットの寸法測定方法に用いる装置であって、建物ユニットの搬送装置に交差配置されるベッドの両側に測定部を設け、各測定部はベッド上で建物ユニットに対して走行する移動台を設け、相対する各柱の測定点のそれぞれに接触する測定子を備えた各測定ヘッドを各移動台に搭載し、各測定ヘッドの測定子のその接触位置に基づいてそれらの柱の設置幅を演算する手段を有してなるようにしたものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項の発明において更に、前記移動台に、柱の下端面を持ち上げる昇降装置を設けてなるようにしたものである。
【0011】
【作用】
請求項1の発明によれば下記▲1▼、▲2▼の作用がある。
▲1▼測定子を柱に接触させてその位置を検出するものであるから、柱の材質やメッキ等の表面加工皮膜の種類、性質に関係なく、柱の設置幅の実寸法を高精度に測定できる。
【0012】
▲2▼測定子が接触する測定点を柱の上下端部より中央寄りに定めてあり、天井梁や床梁が接合された上下端部で生じている局部的な変形の影響を排除でき、測定精度を高精度化できる。
【0013】
請求項2の発明によれば下記▲3▼の作用がある。
▲3▼建物ユニットの床梁の略中央部を搬送コンベヤに載せた状態でも、両端部の各柱を持ち上げることにより、建物ユニットの全体を水平レベルに調整でき、建物ユニットの支持状態による撓み変形を排除し、測定制度を高精度化できる。
【0014】
尚、本発明では、寸法測定装置の制御系にコンピュータネットワークを組み合わせることにより、生産指示データと測定データをリアルタイムで通信し、それらのデータを滞らせることなく解析し、生産ライン内での品質管理に供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は寸法測定装置を示す斜視図、図2は測定部を示す平面図、図3は測定点を示し、(A)は柱の下部測定点を示す側面図、(B)は柱の上部測定点を示す側面図、図4は位置決め停止部を示す側面図、図5は昇降部を示し、(A)は正面図、(B)は側面図、図6は建物ユニットを示し、(A)は桁面を示す正面図、(B)は妻面を示す側面図である。
【0016】
建物ユニット10は、図1に示す如く、生産ラインの上流側で、4本の柱11の下端部にジョイントピース12Aを介して床梁12を、上端部にジョイントピース13Aを介して天井梁13を溶接等により接合された骨組構造体とされる。
そして、建物ユニット10の生産ラインの下流側には、建物ユニット10の4本の柱11の設置幅を測定する寸法測定装置20が配置される。
【0017】
寸法測定装置20は、建物ユニット10の床梁12の桁方向中間部を載せた状態で該建物ユニット10を生産ラインに沿って搬送する搬送コンベヤ15(搬送装置)に交差配置されるベッド21を有し、ベッド21の左右両側に測定部22を設けてある。左右の測定部22は、ベッド21上で桁方向に延びる走行レール23に走行移動台24を搭載し、この走行移動台24をサーボモータにより駆動可能としている。走行移動台24の上下2位置のそれぞれには、図2に示す如く、妻方向に延びる横行レール25に前後一対の横行移動台26を搭載し、この横行移動台26をサーボモータにより駆動可能としている。横行移動台26には桁方向測定レール27Aと妻方向測定レール28Aが設けられ、サーボモータにより駆動される桁方向測定移動台27、妻方向測定移動台28をそれらのレール27A、28Aに搭載し、それらの移動台27、28に桁方向測定ヘッド31、妻方向測定ヘッド32を搭載している。各測定ヘッド31、32は、測定子33、34を備え、柱11の測定点に接触したことによる測定子33、34の移動量をマイクロエンコーダにより検出可能としている。
【0018】
ここで、寸法測定装置20にあっては、図3に示す如く、各柱11の上下端部のジョイントピース12A、13Aから一定長L1、L2の範囲を外れた中央寄りに測定点11A、11Bを定め、下記(1)〜(3)の測定演算手順で柱11の設置幅を演算する。
【0019】
(1)搬送コンベヤ15により搬送されてくる建物ユニット10を測定作業位置に位置付ける。
【0020】
(2)建物ユニット10の2つの桁面のそれぞれにおける上下2位置で、相対する桁方向測定ヘッド31の測定子33を相対する柱11、11の測定点11A(11B)に接触させるべく、走行移動台24を原位置から大きく移動した後、桁方向測定移動台27を原位置から微動し、測定子33を測定点11A(11B)に接触させて原位置から移動させる。そして、走行移動台24、桁方向測定移動台27、測定子33のそれぞれにおいて、それらの原位置からの上述の移動量を、走行移動台24、桁方向測定移動台27の上述の移動に対応するサーボモータの発生パルス数、測定子33の上述の移動に対応するマイクロエンコーダの発生パルス数に基づいて演算し、結果として、相対する測定子33、33の相対する柱11、11の測定点11A(11B)との接触位置を検出し、この接触位置に基づいて相対する柱11、11の設置幅WAを演算する(図6(A))。
【0021】
尚、上述のWAに前述のL1、L2を加味することにより、相対する柱11、11の桁面の対角寸法差ZAを演算することもできる(図6(A))。
【0022】
(3)建物ユニット10の2つの妻面のそれぞれにおける上下2位置で、相対する妻方向測定ヘッド32の測定子34を相対する柱11、11の測定点11A(11B)に接触させるべく、横行移動台26を原位置から大きく移動した後、妻方向測定移動台28を原位置から微動し、測定子34を測定点11A(11B)に接触させて原位置から移動させる。そして、横行移動台26、妻方向測定移動台28、測定子34のそれぞれにおいて、それらの原位置からの上述の移動量を、横行移動台26、妻方向測定移動台28の上述の移動に対応するサーボモータの発生パルス数、測定子34の上述の移動に対応するマイクロエンコーダの発生パルス数に基づいて演算し、結果として、相対する測定子34、34の相対する柱11、11の測定点11A(11B)との接触位置を検出し、この接触位置に基づいて相対する柱11、11の設置幅WBを演算する(図6(B))。
【0023】
尚、上述のWBに前述のL1、L2を加味することにより、相対する柱11、11の妻面の対角寸法差ZBを演算することもできる(図6(B))。
【0024】
寸法測定装置20を用いた上述(1)〜(3)の測定演算作業は、その制御系にコンピュータネットワークを組み合わせて行なうことができる。これによれば、生産指示データと測定データをリアルタイムで通信し、それらのデータを滞らせることなく解析し、生産ライン内での品質管理に供することができる。
【0025】
尚、寸法測定装置20の桁方向測定ヘッド31、妻方向測定ヘッド32にあっては、測定子33、34が柱11に接触する直前で桁方向測定移動台27、妻方向測定移動台28の移動速度を減速開始させるためのタイミングを検出する、減速用センサ36、測定子33、34が柱11に接触したときに桁方向測定移動台27、妻方向測定移動台28を停止させるための停止用センサ37、測定子33、34が柱11に接触しても桁方向測定移動台27、妻方向測定移動台28が尚移動することを阻止するためのオーバーライン用センサ38を備える。
【0026】
また、寸法測定装置20では、前述の測定演算手順(1)で、建物ユニット10を測定作業位置に位置付ける手段として、搬送コンベヤ15の左右の両側に位置決め停止装置40を備える。位置決め停止装置40は、図1、図4に示す如く、エアシリンダ41によりストッパ42を昇降し、搬送コンベヤ15の搬送面レベルより上方にストッパ42を設定することにより、建物ユニット10の床梁12をストッパ42に当てて建物ユニット10を位置決め停止可能とする。
【0027】
また、寸法測定装置20では、前述の測定演算手順(1)で、測定作業位置に位置付けられた建物ユニット10の姿勢を調整する手段として、左右の走行移動台24の両端部に昇降装置50を備える。昇降装置50は、図1、図5に示す如く、油圧シリンダ51により昇降体52を昇降し、昇降体52の一端部を走行移動台24に設けたスライドガイドに支持させる一方、昇降体52の他端部で柱11の下端面を受けてこれを持ち上げ、建物ユニット10の柱11の下端面を搬送コンベヤ15の搬送面レベルに面一とし、建物ユニット10の全体を水平レベルに設定可能とする。
【0028】
本実施形態によれば、以下の作用がある。
▲1▼測定子33、34を柱11に接触させてその位置を検出するものであるから、柱11の材質やメッキ等の表面加工皮膜の種類、性質に関係なく、柱11の設置幅の実寸法を高精度に測定できる。
【0029】
▲2▼測定子33、34が接触する測定点11A、11Bを柱11の上下端部より中央寄りに定めてあり、天井梁13や床梁12が接合された上下端部で生じている局部的な変形の影響を排除でき、測定精度を高精度化できる。
【0030】
▲3▼建物ユニット10の床梁12の略中央部を搬送コンベヤ15に載せた状態でも、両端部の各柱11を持ち上げることにより、建物ユニット10の全体を水平レベルに調整でき、建物ユニット10の支持状態による撓み変形を排除し、測定制度を高精度化できる。
【0031】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、寸法測定装置20による寸法測定の結果、測定寸法が規格公差外の場合には、警報を出力し、寸法測定装置20の制御系に設けたモニタにおいて寸法異常部位を表示する等を採用できる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、建物ユニットの寸法を高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は寸法測定装置を示す斜視図である。
【図2】 図2は測定部を示す平面図である。
【図3】 図3は測定点を示し、(A)は柱の下部測定点を示す側面図、(B)は柱の上部測定点を示す側面図である。
【図4】 図4は位置決め停止部を示す側面図である。
【図5】 図5は昇降部を示し、(A)は正面図、(B)は側面図ある。
【図6】 図6は建物ユニットを示し、(A)は桁面を示す正面図、(B)は妻面を示す側面図である。
【符号の説明】
10 建物ユニット
11 柱
11A、11B 測定点
15 搬送コンベヤ(搬送装置)
20 寸法測定装置
21 ベッド
22 測定部
24 走行移動台(移動台)
26 横行移動台(移動台)
27、28 測定移動台(移動台)
31、32 測定ヘッド
33、34 測定子
50 昇降装置
52 昇降体

Claims (4)

  1. 建物ユニットの4本の柱の設置幅を測定する建物ユニットの寸法測定方法において、
    相対する各柱の上下端部より中央寄りに定めた測定点のそれぞれに、相対する測定子のそれぞれを接触させ、各測定子のその接触位置に基づいてそれらの柱の設置幅を演算することを特徴とする建物ユニットの寸法測定方法。
  2. 前記建物ユニットを搬送装置に載せて測定作業位置に位置付けた後、各柱を昇降体により持ち上げて建物ユニットの姿勢を調整する請求項1に記載の建物ユニットの寸法測定方法。
  3. 請求項1又は2に記載の建物ユニットの寸法測定方法に用いる装置であって、
    建物ユニットの搬送装置に交差配置されるベッドの両側に測定部を設け、各測定部はベッド上で建物ユニットに対して走行する移動台を設け、相対する各柱の測定点のそれぞれに接触する測定子を備えた各測定ヘッドを各移動台に搭載し、各測定ヘッドの測定子のその接触位置に基づいてそれらの柱の設置幅を演算する手段を有してなる建物ユニットの寸法測定装置。
  4. 前記移動台に、柱の下端面を持ち上げる昇降装置を設けてなる請求項に記載の建物ユニットの寸法測定装置。
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