JP4558061B2 - 有機電界発光素子 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、高輝度駆動したときでも、時間経過に伴う駆動電圧の上昇が少ない有機電界発光素子を提供することである。
〔2〕
前記置換基が、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シアノ基、フッ素原子、又はヘテロ環基であることを特徴とする〔1〕に記載の有機電界発光素子。
〔3〕
前記置換基が、メチル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、メトキシ基、アリール基、シアノ基であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の有機電界発光素子。
一般式(II−a−1)で表される化合物を前記発光層に含有することを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
〔5〕
重水素原子を少なくとも1つ有する材料を、前記有機層の少なくともいずれかの層に含有することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
〔6〕
前記重水素原子を少なくとも1つ有する材料が、重水素原子を少なくとも1つ有する、カルバゾール骨格またはインドール骨格のいずれかを含む材料であることを特徴とする〔5〕に記載の有機電界発光素子。
〔7〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の一般式(II−a−1)で表される発光材料。
〔8〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の一般式(II−a−1)で表される化合物のいずれかを含有する発光層。
〔9〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた表示素子。
〔10〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いたディスプレイ。
〔11〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた照明光源。
本発明は、上記〔1〕〜〔11〕に係る発明であるが、以下、それ以外の事項についても記載している。
前記一般式(I)で表される金属錯体は、その機能が限定されることはなく、発光材料、ホスト材料、励起子ブロック材料、電荷ブロック材料あるいは電荷輸送材料として利用することができ、その中でも発光材料、ホスト材料、電荷輸送材料として利用する場合がより好ましく、発光材料、ホスト材料として利用する場合が更に好ましく、発光材料として利用する場合が最も好ましい。
発光層に発光材料として含有する場合、前記一般式(I)で表される化合物の含有量は、発光層の総質量に対して、0.1質量%以上60質量%以下の範囲が好ましく、0.2質量%以上50質量%以下の範囲がより好ましく、0.3質量%以上40質量%以下の範囲がさらに好ましく、0.5質量%以上30質量%以下の範囲が最も好ましい。
なお、一般式(I)で表される化合物を発光層に発光材料として含有する場合、一般式(I)で表される化合物と後述の燐光発光材料を併用することができる。この場合、一般式(I)で表される化合物の含有量は、燐光発光材料全体の質量に対して、0.1質量%以上60質量%以下の範囲が好ましく、0.2質量%以上50質量%以下の範囲がより好ましく、0.3質量%以上40質量%以下の範囲がさらに好ましく、0.5質量%以上35質量%以下の範囲が最も好ましい。
なお、これらの一般式(I)等において、配位結合とは中性の配位子と金属の間で形成される結合を表し、共有結合とはアニオン性の配位子と金属カチオンの間で形成される結合を意味する。
また、以下の特定構造を有する金属錯体に関する説明における水素原子は、同位体(重水素原子等)も含み、またその他の置換基を構成する原子も、その同位体も含むものとする。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどが挙げられる。)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数3〜10であり、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、
X14及びX15は、各々独立に炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表し、好ましくは炭素原子、窒素原子、または酸素原子であり、より好ましくは炭素原子または窒素原子であり、最も好ましくは炭素原子である。
連結基群A:
置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基である。
一般式(I)で表される金属錯体は、好ましくは一般式(II)で表される金属錯体または一般式(III)で表される金属錯体である。
一般式(II)で表される金属錯体は、好ましくは一般式(II-a)で表される金属錯体、または一般式(II-b)で表される金属錯体である。
一般式(II-a)で表される金属錯体は、好ましくは一般式(II-a-1)で表される金属錯体である。
一般式(II-b)で表される金属錯体は、好ましくは一般式(II-b-1)で表される金属錯体である。
一般式(III)で表される金属錯体は、好ましくは一般式(III-a)で表される金属錯体である。
一般式(II)で表される金属錯体について説明する。
一般式(II-a)で表される金属錯体について説明する。
一般式(II-a-1)で表される金属錯体について説明する。
一般式(II-b)で表される金属錯体について説明する。
一般式(II-b-1)で表される金属錯体について説明する。
一般式(III)で表される金属錯体について説明する。
一般式(III-a)で表される金属錯体について説明する。
以下の具体例においては、一般式(I)で表される化合物を下記一般式(A)で表し、一般式(A)におけるQA、QB、QC、QD、及びLに用いることのできる部分構造群を示す。
部分構造QA、QB、QC、及びQD中のM、Lはそれぞれ一般式(A)のM、Lに対応する。Qは、〔QAで表される部分構造〕中のQはQBを表し、〔QBで表される部分構造〕中のQはQAを表し、〔QCで表される部分構造〕中のQはQDを表し、〔QDで表される部分構造〕中のQはQCを表す。
QBに用いることのできる部分構造群は〔QT60CN〕、及び〔QT61CC〕で表される部分構造群である。
QCに用いることのできる部分構造群は〔QT51CC〕、〔QT51CN〕、〔QT50CN〕、で表される部分構造群である。
QDに用いることのできる部分構造群は〔QB61CC〕、〔QB60CN〕で表される部分構造群である。
Lに用いることのできる部分構造は〔L〕で表される部分構造群である。〔L〕の部分構造群中の2個のQは左側のQがQBを、右側のQがQCを表す。
部分構造群QB60CNを以下に示す。
〔QB60CN〕:
〔QB61CC〕:
部分構造群QT60CNを以下に示す。
〔QT60CN〕:
〔QT61CC〕:
部分構造群QT51CCを以下に示す。
〔QT51CC〕:
〔QT51CN〕:
〔QT50CN〕:
連結基Lの部分構造群〔L〕を以下に示す。
〔L〕:
(QB60CN、QT60CN、QT51CC、QB61CC)
(QB60CN、QT60CN、QT51CN、QB61CC)
(QB60CN、QT61CC、QT50CN、QB61CC)
(QB60CN、QT61CC、QT51CC、QB60CN)
(QB60CN、QT61CC、QT51CN、QB60CN)
(QB61CC、QT60CN、QT50CN、QB61CC)
(QB61CC、QT60CN、QT51CC、QB60CN)
(QB61CC、QT60CN、QT51CN、QB60CN)
(QB61CC、QT61CC、QT50CN、QB60CN)
となるように、各部分構造群から選ばれた4つの部分構造と、連結基Lの群と、二価の金属イオンから、選ばれる任意の組み合わせによって、表すことができる。
ポリマー化合物の場合は、重量平均分子量(ポリスチレン換算)は好ましくは2000以上、より好ましくは2000〜1000000、さらに好ましくは3000〜100000である。また、ポリマー化合物の場合、前記各一般式で表される構造がポリマー主鎖中に含まれてもよいし、ポリマー側鎖に含まれていてもよい。また、ポリマー化合物の場合、ホモポリマー化合物であってもよいし、コポリマー化合物であってもよい。
前記特定構造を有する金属錯体がポリマー化合物である場合の具体例を以下に示すが、これらには限定されない。
公知の方法としては、Journal of Organic Chemistry 53, 786, (1988) 、G. R. Newkomeet al.)の、789頁、左段53行〜右段7行に記載の方法、790頁、左段18行〜38行に記載の方法、790頁、右段19行〜30行に記載の方法、Chemische Berichte 113, 2749 (1980)、H. Lexy ほか)の、2752 頁、26行〜35行に記載の方法等が挙げられる。
反応時間は反応原料の活性により異なり、通常1分〜60時間の範囲で行なうことができる。好ましくは、30分〜24時間であり、1時間〜5時間がより好ましい。
従って、上記比率の状態は、当該位置に重水素を含む化合物と重水素を含まない化合物を、適当な比率で同時に使用することによって実現できる。
有機層は少なくとも発光層を含み、単層でも複数の層から構成されていてもよい。複数の層から構成される場合は、発光層以外の有機層としては、前述したごとく、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
有機層を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
発光層は1層であってもよいし、2層以上から形成されていてもよい。2層以上の場合は、それぞれの層が異なる発光色で発光するものであてもよい。
ここで、ホスト材料とは、発光層を構成する材料のうち、発光材料以外のものであり、発光材料を分散して層中に保持する機能、陽極や正孔輸送層等から正孔を受け取る機能、陰極や電子輸送層等から電子を受け取る機能、正孔及び/または電子を輸送する機能、正孔と電子の再結合の場を提供する機能、再結合により生成した励起子のエネルギーを発光材料に移動させる機能、及び正孔及び/または電子を発光材料に輸送する機能のうち少なくとも一種の機能を有する材料を意味する。
発光材料としては、前記特定構造を有する金属錯体を使用することができる。また、その他の発光材料としては、下記の蛍光発光材料及び/又は燐光発光材料を使用することができる。
蛍光発光材料としては、一般には、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、縮合多環芳香族化合物(アントラセン、フェナントロリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、またはペンタセンなど)、8−キノリノールの金属錯体、ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、およびこれらの誘導体などを挙げることができる。
例えば、該遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、金、銀、銅、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金であり、更に好ましくはイリジウム、白金である。
ランタノイド原子としては、例えばランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。正孔注入層、正孔輸送層は、具体的には、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、フェニルアゾールやフェニルアジンを配位子に有するIr錯体に代表される各種金属錯体等を含有する層であることが好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、正孔注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.5nm〜100nmであるのがより好ましく、1nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。電子注入層、電子輸送層は、具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、アルミニウム(III)ビス(2-メチル-8-キノリナト)4-フェニルフェノレート(Aluminum (III) bis (2-methyl-8-quinolinato) 4-phenylphenolate(BAlqと略記する))等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline(BCPと略記する))等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
また、陰極と前記有機層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxOy等の金属窒化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
前記電極及び有機層は基板上に作製することができる。
基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
例えば、基板としてガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
本発明の有機EL素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と有機EL素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機EL素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
本発明の有機EL素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用できる。
〔有機EL素子の作製(実施例1−1〜1−20)〕
厚み0.5mmで2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機層1、有機層2、有機層3、有機層4を順次蒸着した。
本実施例における蒸着速度は、特に断りのない場合は0.2nm/秒である。蒸着速度はULVAC社製水晶振動子成膜コントローラーCRTM−9000を用いて測定した。
また、以下に記載の膜厚も、CRTM−9000の数値と、Dektak型触針式膜厚計で測定した膜厚をもとに作成した検量線から算出したものである。
<有機層2>表1に記載の正孔輸送材料(HT):膜厚10nm
<有機層3>表1に記載のホスト材料(H)(95質量%)、及び表1に記載の発光材料(EM)(5質量%)の共蒸着:膜厚50nm
<有機層4>表1に記載の電子輸送材料(ET):膜厚40nm
0.5mm厚み、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機層1、有機層2、有機層3、有機層4を順次蒸着した。
<有機層2>HT−1:膜厚10nm
<有機層3>H−8(95質量%)、及び特開2008−37848号公報に記載の下記化合物(5質量%)の共蒸着:膜厚50nm
<有機層4>ET−1:膜厚40nm
比較例1−1において、特開2008−37848号公報に記載の化合物の代わりに、特開2006−261623号公報に記載の下記化合物を用いた以外は比較例1−1と同様にして比較例1−2の有機EL素子を作成した。
(駆動時間に伴う駆動電圧の測定)
実施例1−1〜1−20、比較例1−1、及び比較例1−2の有機EL素子を、東京システム開発(株)製のOLEDテストシステムST−D型にセットし、定電流モードにて初期輝度1000cd/m2の条件で駆動し、初期電圧と20時間後の電圧を測定し、駆動電圧の差を求めた。
〔有機EL素子の作製(実施例2−1)〕
0.5mm厚み、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機層1、有機層2、有機層3、有機層4を順次蒸着した。
<有機層2>HT−1:膜厚10nm
<有機層3>H−8(90質量%)、Ir(ppy)3(5質量%)、及び本発明の化合物(5)(5質量%)の共蒸着:膜厚50nm
<有機層4>ET−1:膜厚40nm
実施例2−1において、本発明の化合物(5)の代わりに、本発明の化合物(7)を用いた以外は実施例2−1と同様にして実施例2−2の有機EL素子を作製した。
実施例2−1において、本発明の化合物(5)の代わりに、本発明の化合物(8)を用いた以外は実施例2−1と同様にして実施例2−3の有機EL素子を作製した。
比較例1−1において、特開2008−37848号公報に記載の化合物の代わりに、Ir(ppy)3を用いた以外は比較例1−1と同様にして比較例2−1の有機EL素子を作製した。
(駆動時間に伴う駆動電圧の測定)
実施例2−1〜2−3及び比較例2−1の有機電界発光素子を、東京システム開発(株)製のOLEDテストシステムST−D型にセットし、定電流モードにて初期輝度1000cd/m2の条件で駆動し、初期電圧と20時間後の電圧を測定し、駆動電圧の差を求めた。
Claims (11)
- 一対の電極間に、少なくとも発光層を含む有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(II−a−1)で表される化合物を前記有機層の少なくともいずれかの層に含有する有機電界発光素子。
- 前記置換基が、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シアノ基、フッ素原子、又はヘテロ環基であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記置換基が、メチル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、メトキシ基、アリール基、シアノ基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
- 一般式(II−a−1)で表される化合物を前記発光層に含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
- 重水素原子を少なくとも1つ有する材料を、前記有機層の少なくともいずれかの層に含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
- 前記重水素原子を少なくとも1つ有する材料が、重水素原子を少なくとも1つ有する、カルバゾール骨格またはインドール骨格のいずれかを含む材料であることを特徴とする請求項5に記載の有機電界発光素子。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の一般式(II−a−1)で表される発光材料。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の一般式(II−a−1)で表される化合物のいずれかを含有する発光層。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた表示素子。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いたディスプレイ。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた照明光源。
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