JP5435883B2 - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、電気エネルギーを光に変換して発光できる有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」、「発光素子」又は「素子」ともいう。)に関するものであり、特に発光特性および耐久性に優れる有機電界発光素子に関するものである。
今日、有機発光材料を用いる種々の表示素子(有機発光素子)に関する研究開発が活発であり、中でも有機EL素子は、低電圧で高輝度の発光を得ることができ、有望な表示素子として注目されている。
また、近年、燐光発光材料を用いることにより、素子の高効率化が進んでいる。燐光発光材料としてはイリジウム錯体や白金錯体などが知られている(例えば、特許文献1、2、3等参照)。
前記特許文献3の発光層では、ドーパントとしてIr(ppy)(イリジウムトリス(フェニルピリジン))を用い、ホスト材料としてはCBP(4,4’−ジカルバゾールビ
フェニル)を組み合わせている。
特許文献4では、重水素原子を含む有機化合物を用いているが、燐光発光性金属錯体材料と併用した場合の効果に関しては何ら記述がない。
特許文献5では、常温燐光を有する重水素原子を含むカルバゾール材料を用いているが、燐光発光性金属錯体材料と併用した場合の効果に関しては何ら記述がない。
米国特許第6303238号明細書 国際公開第00/57676号パンフレット 国際公開第00/70655号パンフレット 国際公開第02/47440号パンフレット 特開2005−48004号公報
本発明の目的は、効率(消費電力)に優れ、かつ耐久性に優れる発光素子の提供にある。
この課題は下記手段によって達成された。
(1)一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、発光層に下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含有し、発光層に4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料の少なくとも一種を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
(一般式(I)中、R〜Rは水素原子、もしくは、置換基であり、R〜Rは隣接する置換基どうしで縮合環を形成しても良い。Rはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基を表し、それぞれ置換基で置換されていてもよい。R〜Rの少なくともひとつは重水素原子、もしくは重水素原子を含む置換基である。)(2)4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料が、下記一般式(A)、(B)、(E)又は(F)で表されることを特徴とする、上記(1)に記載の有機電界発光素子。

(一般式(A)中、RA3、RA4は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、RA1、RA2は、それぞれ独立に、置換基を表す。RA1、RA2をそれぞれ複数個有する場合、複数個のRA1、RA2は同じであっても異なってもよく、互いに連結して環を形成してもよい。nA1及びnA2はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。YA1は連結基を表し、R A3 、及びR A4 が表す置換基は、Y A1 が表す連結基と連結して環を形成してもよい。)
(一般式(B)中、AB1〜AB6はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LB1は単結合または二価の連結基を表す。XはCまたはNを表す。Zは式中のX−Cと共に形成される5または6員の芳香環または芳香族ヘテロ環を表す。QB1はPtに結合するビニル配位子、芳香族炭化水素環配位子、又はヘテロ環配位子を表す。)
(一般式(E)中、AE1〜AE14はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LE1は単結合または二価の連結基を表す。)
(一般式(F)中、AF1〜AF14はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LF1は単結合または二価の連結基を表す。)
(3) 一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を発光層に隣接する有機層にも含有することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の有機電界発光素子。
(4) 一般式(I)で表される化合物が一般式(V)で表されることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
(一般式(V)中、R 51 〜R 58 は水素原子、もしくは、置換基であり、R 51 〜R 58 は隣接する置換基どうしで縮合環を形成しても良い。Aは連結基を表し、n 51 は2〜6の整数を表す。一般式(V)で表される化合物は、少なくともひとつの重水素原子を含む。)
(5) 上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を含む、表示素子。
(6) 上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を含む、光源。
(7) 上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を含む、照明光源。
本発明によれば、効率(消費電力)に優れ、かつ耐久性に優れた有機電界発光素子を提供することができる。
本発明の有機電界発光素子(以下、「本発明の素子」と呼ぶことがある。)は、一対の電極間に、発光層を含む少なくとも一層の有機層(有機化合物を含む層、ただし、有機化合物のみからなる層であっても良いし、有機化合物に加えて無機化合物を含有する有機層であっても良い)を有する有機電界発光素子であって、有機層のいずれかに下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含有し、発光層に4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料の少なくとも一種を含有する。一般式(I)で表される化合物と4座配位子を有する白金錯体燐光材料を組み合わせて用いることで、非常に優れた駆動効率及び駆動耐久性が得られる。
本発明の下記一般式(I)で表される化合物は、化学的な安定性に優れ、素子駆動中における材料の分解等の変質が少なく、当該分解物による、4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料を用いた有機電界発光素子の効率低下や素子寿命の低下を防ぐことが出来る。
以下、一般式(I)で表される化合物について説明する。
(一般式(I)中、R〜Rは水素原子、もしくは、置換基であり、R〜Rは隣接する置換基どうしで縮合環を形成しても良い。Rはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基を表し、それぞれ置換基で置換されていてもよい。R〜Rの少なくともひとつは重水素原子、もしくは重水素原子を含む置換基である。)
〜Rで表される置換基としては特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基、シリル基、シリルオキシ基、重水素原子などが挙げられる。これらの置換基は、更に他の置換基によって置換されてもよく、また、これらの置換基同士が結合し、環を形成していてもよい。
ここで、アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、1−アダマンチル、トリフルオロメチルなどが挙げられる。
また、アルケニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、1−プロペニル、1−イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。
また、アルキニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル、プロパルギル、1−プロピニル、3−ペンチニルなどが挙げられる。
また、アリール基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、o−メチルフェニル、m−メチルフェニル、p−メチルフェニル、2,6−キシリル、p−クメニル、メシチル、ナフチル、アントラニル、などが挙げられる。
また、ヘテロアリール基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジル、ピリミジル、トリアジニル、キノリル、イソキノリニル、ピロリル、インドリル、フリル、チエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニルなどが挙げられる。
また、アミノ基としては、好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。
また、アルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。
また、アリールオキシ基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。
また、ヘテロ環オキシ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。
また、アシル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。
また、アルコキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。
また、アリールオキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。
また、アシルオキシ基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2
〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。
また、アシルアミノ基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。
また、アルコキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。
また、アリールオキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。
また、スルホニルアミノ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。
また、スルファモイル基としては、好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。
また、カルバモイル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。
また、アルキルチオ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。
また、アリールチオ基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。
また、ヘテロ環チオ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミダゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。
また、スルホニル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシル、トリフルオロメタンスルホニルなどが挙げられる。
また、スルフィニル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。
また、ウレイド基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。
また、リン酸アミド基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。
また、ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
また、ヘテロ環基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えば、ピペリジル、モルホリノ、ピロリジルなどが挙げられる。
また、シリル基としては、好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、メチルジフェニルシリル、ジメチル−tert−ブチルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジフェニル−tert−ブチルシリル、トリフェニルシリル、トリ−1−ナフチルシリル、トリ−2−ナフチルシリルなどが挙げられる。
また、シリルオキシ基としては、好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。
〜Rの置換基として好ましくは重水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン基、シアノ基、シリル基であり、より好ましくは重水素原子、アルキル基、ヘテロアリール基、ハロゲン基、シアノ基、シリル基であり、特に好ましくは重水素原子、アルキル基、ヘテロアリール基、シリル基である。これらの置換基は、更に他の置換基によって置換されてもよく、また、これらの置換基同士が結合し、環を形成していてもよい。
〜Rのアルキル基として好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−オクチル、シクロプロピル、シクロペンチル、
シクロヘキシル、1−アダマンチル、トリフルオロメチルであり、より好ましくはメチル
、イソプロピル、tert−ブチル、n−オクチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アダマンチル、トリフルオロメチルであり、特に好ましくはtert−ブチル、シクロ
ヘキシル、1−アダマンチル、トリフルオロメチルである。これらの置換基は、更に他の
置換基によって置換されてもよく、また、これらの置換基同士が結合し、環を形成していてもよい。
〜Rのヘテロアリール基として好ましくはイミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、キノリル、イソキノリニル、ピロリル、インドリル、フリル、チエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニルであり、より好ましくはイミダゾリル、ピラゾリル、キノリル、インドリル、フリル、チエニル、ベンズイミダゾリル、カルバゾリル、アゼピニルであり、特に好ましくはインドリル、フリル、チエニル、ベンズイミダゾリル、カルバゾリル、アゼピニルである。これらの置換基は、更に他の置換基によって置換されてもよく、縮環構造を形成していてもよく、また、これらの置換基同士が結合し、環を形成していてもよい。
〜Rのシリル基として好ましくはトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、メチルジフェニルシリル、ジメチル−tert−ブチルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジフェニル−tert−ブチルシリル、トリフェニルシリルであり
、より好ましくはトリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチル‐tert−ブチルシリル、ジフェニル−tert−ブチルシリル、トリフェニルシリルであり、特に好ましくはトリメチルシリル、ジメチル−tert−ブチルシリル、トリフェニルシリルである。これらの置換基は、更に他の置換基によって置換されてもよく、また、これらの置換基同士が結合し、環を形成していてもよい。
、Rの置換基として特に好ましいのは、アルキル基、アリール基、シリル基、重水素原子であり、より好ましいのは、アルキル基、シリル基、重水素原子であり、特に好ましいのは、tert−ブチル基、アダマンチル基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、重水素原子である。
、Rの置換基として特に好ましいのは、アルキル基、アリール基、シリル基、重水素原子であり、より好ましいのは、アルキル基、シリル基、重水素原子であり、特に好ましいのは、tert−ブチル基、アダマンチル基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、重水素原子である。
〜Rからなる置換基の組み合わせの具体例を以下に列挙するが、本発明はこれらの化合物に限定されることはない。以下、構造式中のDは重水素原子を表す。
例えば、(a-0)は、R〜Rのすべてが水素原子であることを表し、(a-2)は、R、R2、R、R、R、Rが水素原子で、R、Rが重水素原子であることを
表し、(a-4)は、R〜Rのすべてが重水素原子であることを表している。
はアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基を表し、好ましくは、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基であり、より好ましくは、アリール基、ヘテロアリール基であり、特に好ましくは、アリール基である。これらの置換基は更に他の置換基によって置換されていてもよく、そのような置換基としては、前記R〜Rで表される置換基として例示したものが挙げられる。
のアリール基として好ましくはフェニル、o−メチルフェニル、2,6−キシリル、メシチルであり、より好ましくはフェニル、メシチルであり、特に好ましくはフェニル基である。これらの置換基は、縮環構造を形成していてもよく、また、これらの置換基同士が結合し、環を形成していてもよく、例えば、ビフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、ピレニル、ナフタセニル等が挙げられる。
には、カルバゾールとR〜Rとからなる構造が、複数結合していてもよく、好ましくは1〜6個結合してもよく、より好ましくは1〜3個結合してもよく、特に好ましくは1〜2個結合してもよい。
例えば、カルバゾールとR〜Rとからなる構造が、1個結合するRの置換基の具体例を以下に列挙するが、本発明はこれらの化合物に限定されることはない。以下の図における*印は、カルバゾールの窒素原子が結合する部分を表す。
例えば、カルバゾールとR〜Rとからなる構造が、2個結合するRの置換基の具
体例を以下に列挙するが、本発明はこれらの化合物に限定されることはない。以下の図における*印は、カルバゾールの窒素原子が結合する部分を表す。
例えば、カルバゾールとR〜Rとからなる構造が、3個結合するRの置換基の具体例を以下に列挙するが、本発明はこれらの化合物に限定されることはない。以下の図における*印は、カルバゾールの窒素原子が結合する部分を表す。
例えば、カルバゾールとR〜Rとからなる構造が、4個結合するRの置換基の具体例を以下に列挙するが、本発明はこれらの化合物に限定されることはない。以下の図における*印は、カルバゾールの窒素原子が結合する部分を表す。
例えば、カルバゾールとR〜Rとからなる構造が、6個結合するRの置換基の具体例を以下に列挙するが、本発明はこれらの化合物に限定されることはない。以下の図における*印は、カルバゾールの窒素原子が結合する部分を表す。
一般式(I)において、R〜Rの少なくともひとつは重水素原子、もしくは重水素原子を含む置換基である。
本発明において、R〜Rの少なくともひとつが重水素原子、もしくは重水素原子を含む置換基であるとは、重水素原子が結合した位置において、重水素原子と水素原子の比率(重水素原子の原子数:水素原子の原子数)が、100:0から1:99の範囲に含まれていることを意味する。
重水素原子と水素原子の比率の範囲として、好ましくは100:0から5:95であり、より好ましくは100:0から50:50であり、特に好ましくは100:0から80:20である。
R〜Rについて、好ましくはすべて重水素原子であり、より好ましくはR、R、R
、Rのすべて、または、いずれかが重水素原子であり、特に好ましくはR、Rのす
べて、または、いずれかが重水素原子である。
本発明の一般式(I)で表される化合物の特に好ましい例は、一般式(V)で表される
化合物である。以下、一般式(V)で表される化合物について説明する。
(一般式(V)中、R51〜R58は水素原子、もしくは、置換基であり、R51〜R58は隣接する置換基どうしで縮合環を形成しても良い。Aは連結基を表し、n51は2〜6の整数を表す。一般式(V)で表される化合物は、少なくともひとつの重水素原子を含む。)
51〜R58は、前記一般式(I)で表される化合物中のR1〜R8とそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同じである。
51として好ましくは、2〜4であり、より好ましくは、2〜3であり、特に好ましくは2である。
Aで表される連結基としては、好ましくは、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、シリレンであり、より好ましくは、アリーレン、ヘテロアリーレンであり、特に好ましくは、アリーレンであり、これらの連結基は、例えば、前述のRで表される置換基により、更に置換されていても良い。
アリーレンとして好ましくは、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ターフェニレンであり、より好ましくは、フェニレン、ビフェニレンであり、特に好ましくは、フェニレンである。
フェニレンとして好ましくは、1,2,3,4,5,6‐六置換フェニレン、1,2,4,5‐四置換フェニレン、1,3,5‐三置換フェニレン、1,2‐二置換フェニレン、1,3‐二置換フェニレン、1,4‐二置換フェニレンであり、より好ましくは、1,2‐二置換フェニレン、1,3‐二置換フェニレン、1,4‐二置換フェニレンであり、特に好ましくは、1,3‐二置換フェニレン、1,4‐二置換フェニレンである。
ヘテロアリーレンとして好ましくは、二置換ピリジレン、二置換N−フェニルカルバゾリレンであり、より好ましくは、2,6-二置換ピリジレン、3,5-二置換ピリジレン、3,6-二置換N−フェニルカルバゾリレンであり、特に好ましくは、3,6-二置換N−フェニルカル
バゾリレンである。
一般式(V)で表される化合物において、重水素原子を含むとは、重水素原子が結合した位置において、重水素原子と水素原子の比率(重水素原子の原子数:水素原子の原子数)が、100:0から1:99の範囲に含まれていることを意味する。
重水素原子と水素原子の比率の範囲として、好ましくは100:0から5:95であり、より好ましくは100:0から50:50であり、特に好ましくは100:0から80:20である。
本発明の一般式(I)で表される化合物は低分子化合物であっもて良く、また、オリゴ
マー化合物、一般式(I)で表される構造を主鎖または側鎖に有するポリマー化合物(重
量平均分子量(ポリスチレン換算)は好ましくは1000〜5000000、より好ましくは2000〜1000000、さらに好ましくは3000〜100000である。)であっても良い。本発明の一般式(I)で表される化合物は低分子化合物が好ましい。
本発明の一般式(I)で表される化合物が、オリゴマー化合物または一般式(I)で表される構造を主鎖または側鎖に有するポリマー化合物の場合、主鎖としては、R〜Rの複数が含まれ、より好ましくはR、R、Rのいずれか複数が含まれ、特に好ましくはR、Rが含まれる。側鎖として含まれる場合は、R〜Rのいずれかが含まれ、より好ま
しくはR、R、Rのいずれが含まれ、特に好ましくはRが含まれる。
本発明において本発明の一般式(I)で表される化合物は、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に含有されてもよい。本発明の一般式(I)で表される化合物の導入層としては、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層のいずれか、もしくは複数に含有されるのが好ましい。
本発明では、一般式(I)で表される化合物を発光層および発光層に隣接する層のいずれかに含有することが好ましく、また、一般式(I)で表される化合物を発光層および隣接する層の両層に含有させてもよい。
発光層中において、本発明の一般式(I)で表される化合物は1〜100質量%含まれることが好ましく、50〜100質量%含まれることがより好ましく、80〜100質量%含まれることがより好ましい。
また、本発明の一般式(I)で表される化合物を発光層以外の層に含有する場合は、1〜100質量%含まれることが好ましく、50〜100質量%含まれることがより好ましく、80〜100質量%含まれることがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物の具体例を以下に列挙するが、本発明はこれらの化合物に限定されることはない。
例えば、例示化合物(1−1)は、上記、(a-1)と(2F-0)の組み合わせを表し、例
示化合物(1−6)は、上記、(a-4)と(2F-3)の組み合わせを表す。
一般式(I)で表される化合物を含むポリマー化合物、オリゴマー化合物の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらの化合物に限定されることはない。ポリマー化合物の場合、ホモポリマー化合物であっても良く、共重合体であっても良く、共重合体はランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよい。図中、m:nはポリマーに含まれる各モノマーのモル比を表し、mは1〜100、nは0〜99の数値を表し、mとnの和は100である。
4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料としては、具体的には国際公開第04−108857号に記載の化合物が挙げられる。
4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料としては、より具体的には、米国特許第6,653,654号、国際公開第2004-099339号、国際公開第04−10885
7号、特開2005−310733、特開2005−317516、特開2006−261623、特開2006−93542、特開2006−256999、国際公開第06−098505号、特開2007−19462、特開2007−96255、特開2007−96259、国際公開第05−042444号、特開2006−232784、米国特許第0134461号、国際公開第05−042550号、に記載の化合物が好ましい。
4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料は、好ましくは、2−アリールピリジン誘導体、2−(1−ピラゾリル)ピリジン誘導体、1−アリールピラゾール誘導体を配位子の部分構造として含むものが好ましく、2-アリールピリジン誘導体、2−(1−ピラゾリル)
ピリジン誘導体を配位子の部分構造として含むものであり、2−(1−ピラゾリル)ピリジン誘導体を配位子の部分構造として含むものが特に好ましい。
また、上記の配位子の部分構造(例えば、2−アリールピリジン誘導体、2−(1−ピ
ラゾリル)ピリジン誘導体、1−アリールピラゾール誘導体など)は、適当な部位で連結
されて、4座の配位子を構成する。
2−アリールピリジン誘導体を配位子の部分構造として含む場合には、ピリジン環の6
位、もしくは、アリール基のピリジン環に対してメタ位で連結することが好ましく、ピリジン環の6位同士、もしくは、アリール基のピリジン環に対してメタ位同士で連結するこ
とがより好ましく、ピリジン環の6位同士で連結することが特に好ましい。
2−(1-ピラゾリル)ピリジン誘導体を配位子の部分構造として含む場合は、ピリジン
環の6位、もしくは、1−ピラゾリル基の4位で連結することが好ましく、ピリジン環の6位同士、もしくは、1−ピラゾリル基の4位同士で連結することがより好ましく、ピリジン環の6位同士で連結することが特に好ましい。
1-アリールピラゾール誘導体を配位子の部分構造として含む場合には、ピラゾール環
の3位、もしくは、アリール基のピラゾール環に対してメタ位で連結することが好ましく、ピラゾール環の3位同士、もしくは、アリール基のピラゾール環に対してメタ位同士で連結することがより好ましく、ピラゾール環の3位同士で連結することが特に好ましい。
上記の配位子の部分構造を連結する構造としては、単結合であっても、2価の連結基であっても良いが、2価の連結基であることが好ましく、2価の連結基としては、例えば、メチレン連結、エチレン連結、フェニレン連結、窒素原子連結、酸素原子連結、硫黄原子連結、ケイ素原子連結が好ましく、メチレン連結、窒素原子連結、ケイ素原子連結がより好ましく、メチレン連結が特に好ましい。メチレン連結基として具体的には、メチレン基
(―CH―)、メチルメチレン基(―CHMe―)、フルオロメチルメチレン基(―CFMe―)、ジメチルメチレン基(―CMe―)、メチルフェニルメチレン基(―CMePh―)、ジフェニルメチレン基(―CPh―)、9,9−フルオレンジイル基、1,1−シクロペンタンジイル基、1,1−シクロヘキサンジイル基が挙げられ、ジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、9,9−フルオレニル基、1,1−シクロペンタンジイル基、1,1−シクロヘキサンジイル基が好ましく、ジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、1,1−シクロヘキサンジイル基がより好ましく、ジメチルメチレン基が特に好ましい。
また、4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料として、より好ましいもののひとつは一般式(A)で表されるPt錯体である。
一般式(A)中、RA3、RA4は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、RA1、RA2は、それぞれ独立に、置換基を表す。RA1、RA2をそれぞれ複数個有する場合、複数個のRA1、RA2は同じであっても異なってもよく、互いに連結して環を形成してもよい。nA1及びnA2はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。YA1は連結基を表す。
A1、RA2、RA3、及びRA4が表す置換基としては、下記置換基群Aとして挙げた中から任意に選択することができる。
置換基群A:
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル基、エチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基などが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、2−エチルヘキシロキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に
好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ基、ピラジルオキシ基、ピリミジルオキシ基、キノリルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ基、2−ベンズイミゾリルチオ基、2−ベンズオキサゾリルチオ基、2−ベンズチアゾリルチオ基などが挙げられる。)、
スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子であり、具体的にはイミ
ダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基などが挙げられる。)、ホスホリル基(例えばジフェニルホスホリル基、ジメチルホスホリル基などが挙げられる。)
A1が表す連結基としては、下記連結基群Aとして挙げた中から任意に選択することができる。
連結基群A:
アルキレン基(メチレン、エチレン、プロピレンなど)、アリーレン基(フェニレン、ナフタレンジイル)、ヘテロアリーレン基(ピリジンジイル、チオフェンジイルなど)、イミノ基(−NR−)(フェニルイミノ基など)、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、ホスフィニデン基(−PR−)(フェニルホスフィニデン基など)、シリレン基(−SiRR’−)(ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基など)、またはこれらを組み合わせたもの。これらの連結基は、さらに置換基を有していてもよい。
A1、RA2、RA3、及びRA4が表す置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、アリール基、ヘテロ環基がより好ましく、アリール基が特に好ましい。
A1が表す連結基としては、1,2位で置換したビニル基、フェニレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環または炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、1,2位で置換したビニル基、フェニレン環、炭素数1〜6のアルキレン基がより好ましく、フェニレン環が特に好ましい。
A3、及びRA4が表す置換基は、YA1が表す連結基と連結して環を形成してもよく、例えば、YA1が1,2位で連結したフェニレン環である場合には、RA3、及びRA4がそれぞれ3,6位で連結して、1,10−フェナントロリン環を形成していてもよく、更に置換基を有していてもよい。
4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料として、より好ましいもののひとつは一般式(B)で表されるPt錯体である。
(一般式(B)中、AB1〜AB6はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LB1は単結合または二価の連結基を表す。XはCまたはNを表す。Zは式中のX−Cと共に形成される5または6員の芳香環または芳香族ヘテロ環を表す。QB1はPtに結合するアニオン性の基を表す。)
一般式(B)について説明する。
B1〜AB6はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものと同義であり、好ましいものも同じである。
B1〜AB6として好ましくはC−Rであり、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。AB1〜AB6がC−Rである場合に、AB2、AB5のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基であり、特に好ましく水素原子、フッ素基であり、AB1、AB3、AB4、AB6のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基であり、特に好ましく水素原子である。
B1は単結合または二価の連結基を表す。
B1で表される二価の連結基としては、アルキレン基(メチレン、エチレン、プロピレンなど)、アリーレン基(フェニレン、ナフタレンジイル)、ヘテロアリーレン基(ピリジンジイル、チオフェンジイルなど)、イミノ基(−NR−)(フェニルイミノ基など)、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、ホスフィニデン基(−PR−)(フェニルホスフィニデン基など)、シリレン基(−SiRR’−)(ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基など)、またはこれらを組み合わせたものが挙げられる。これらの連結基は、さらに置換基を有していてもよい。
B1として好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、イミノ基、オキシ基、チオ基、シリレン基であり、より好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、イミノ基であり、さらに好ましくはアルキレン基であり、さらに好ましくはメチレン基であり、さらに好ましくはジ置換のメチレン基であり、さらに好ましくはジメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、ジイソブチルメチレン基、ジベンジルメチレン基、エチルメチルメチレン基、メチルプロピルメチレン基、イソブチルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基、シクロペンタンジイル基、フルオレンジイル基、フルオロメチルメチレン基であり、特に好ましくはジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基である。
XはCまたはNを表す。Zは式中のX−Cと共に形成される5または6員の芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。Zで表される芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フェナントレン環、ペリレン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、フェナントリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、シンノリン環、アクリジン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、プテリジン環、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾピリジン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、ホスホール環、ホスフィニン環、シロール環などが挙げられる。Zは置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。また、Zは他の環と縮合環を形成していても良い

Zとして好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、インドール環、チオフェン環であり、より好ましくはベンゼン環、ピラゾール環、ピリジン環である。
B1はPtに結合するアニオン性の基を表す。QB1で表されるアニオン性の基としては、ビニル配位子、芳香族炭化水素環配位子(例えばベンゼン配位子、ナフタレン配位子、アントラセン配位子、フェナントラセン配位子など)、ヘテロ環配位子(例えばフラン配位子、チオフェン配位子、ピリジン配位子、ピラジン配位子、ピリミジン配位子、ピリダジン配位子、トリアジン配位子、チアゾール配位子、オキサゾール配位子、ピロール配位子、イミダゾール配位子、ピラゾール配位子、トリアゾール配位子および、それらを含む縮環体(例えばキノリン配位子、ベンゾチアゾール配位子など))が挙げられる。この時、QB1とPtの結合は、共有結合、イオン結合、配位結合などいずれであっても良い。QB1中のPtに結合する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子が好ましく、QB1中のPtに結合する原子は炭素原子、酸素原子、窒素原子であることが好ましく、炭素原子であることがさらに好ましい。
B1で表される基として好ましくは炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子でPtに結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子であり、より好ましくは炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子である。QB1で表される基としては特に一般式(B)中のC−Xと共に形成されるZ環と同一の基であることが好ましい。
一般式(B)で表されるPt錯体は、より好ましくは一般式(C)で表されるPt錯体である。
(一般式(C)中、AC1〜AC14はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LC1は単結合または二価の連結基を表す。)
一般式(C)について説明する。
C1〜AC14はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。AC1〜AC6としては、前記一般式(B)におけるAB1〜AB6と同義であり、好ましい範囲も同様である。
C7〜AC14としては、AC7〜AC10とAC11〜AC14のそれぞれにおいて、N(窒素原子)を表すものの数は、0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。Nであ
るのは、AC8〜AC10とAC12〜AC14から選ばれるのが好ましく、AC8、AC9、AC12、AC13から選ばれるのがより好ましく、AC8、AC12から選ばれるのが特に好ましい。
C7〜AC14がC−Rを表す場合に、AC8、AC12のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、ポリフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、ポリフルオロアルキル基、アルキル基、アリール基、フッ素基、シアノ基であり、特に好ましく水素原子、ポリフルオロアルキル基、シアノ基である。AC7、AC9、AC11、AC13の表すRとして好ましくは水素原子、アルキル基、ポリフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、ポリフルオロアルキル基、フッ素基、シアノ基であり、特に好ましく水素原子、フッ素基である。AC10、AC14の表すRとして好ましくは水素原子、フッ素基であり、より好ましくは水素原子である。AC7〜AC9、AC11〜AC13のいずれかがC−Rを表す場合に、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。
C1で表される連結基としては、前記一般式(B)におけるLB1が表す連結基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(B)で表されるPt錯体は、より好ましくは一般式(D)で表されるPt錯体である。
(一般式(D)中、AD1〜AD12はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LD1は単結合または二価の連結基を表す。)
一般式(D)について説明する。
D1〜AD12はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。
D1〜AD6としては、前記一般式(B)におけるAB1〜AB6が表す置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
D7〜AD12としては、AD7〜AD9とAD10〜AC12のそれぞれにおいて、N(窒素原子)を表すものの数は、0〜2が好ましく、1〜2がより好ましく、1が特に好ましい。Nを表すものは、AD7〜AD9とAD10〜AC12から選ばれることが好ましく、AD7、AD9、AD10及びAD12から選ばれることがより好ましく、AD7及びAD10から選ばれることが特に好ましい。
D7〜AD12がC−Rである場合に、AD8、AD11のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、ポリフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、ポリフルオロアルキル基、アルキル基、アリール基、フッ素基、シアノ基であり、特に好ましくポリフルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基やパーフルオロエチル基)、シアノ基である。AD7、AD9、AD10、AD12のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、ポリフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、フッ素基であり、特に好ましく水素原子である。AD7〜AD12のいずれかがD−Rを表す場合に、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。
D1で表される連結基としては、前記一般式(B)におけるLB1が表す連結基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料として、より好ましいもののひとつは一般式(E)で表されるPt錯体である。
(一般式(E)中、AE1〜AE14はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LE1は単結合または二価の連結基を表す。)
一般式(E)について説明する。AE1〜AE12はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。AE1〜AE6としては、前記一般式(B)におけるAB1〜AB6と同義であり、好ましい範囲も同様である。AE7〜AE14としては、前記一般式(C)におけるAC7〜AC14と同義であり、好ましい範囲も同様である。
E1で表される連結基としては、前記一般式(B)におけるLB1が表す連結基と同義である。
E1として好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、イミノ基、オキシ基、チオ基、シリレン基であり、より好ましくはアルキレン基、イミノ基、オキシ基、チオ基、シリレン基であり、さらに好ましくはアルキレン基であり、さらに好ましくはメチレン基であり、さらに好ましくはジ置換のメチレン基であり、さらに好ましくはジメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、ジイソブチルメチレン基、ジベンジルメチレン基、エチルメチルメチレン基、メチルプロピルメチレン基、イソブチルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル
基、シクロペンタンジイル基、フルオレンジイル基、フルオロメチルメチレン基であり、特に好ましくはジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基である。
4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料として、より好ましいもののひとつは一般式(F)で表されるPt錯体である。
(一般式(F)中、AF1〜AF14はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LF1は単結合または二価の連結基を表す。)
一般式(F)について説明する。
F1〜AF14はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。AF1〜AF5としては、前記一般式(B)におけるAB1〜AB5と同義である。AF1〜AF5として好ましくはC−Rであり、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。AF1〜AF5がC−Rである場合に、AF1〜AF5のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アリール基、フッ素基、シアノ基であり、特に好ましくは水素原子である。
F7〜AF14としては、前記一般式(C)におけるAC7〜AC14と同義であり、好ましい範囲も同様である。特に、AC7〜AC9、AC11〜AC13のいずれかがC−Rである場合に、R同士が互いに連結して形成する環構造としては、フラン環、ベンゾフラン環、ピロール環、ベンゾピロール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フルオレン環が好ましく、これらの環は更に置換基を有していてもよい。
F1で表される連結基としては、前記一般式(B)におけるLB1が表す連結基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料の具体例としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されない。
上記の金属錯体化合物は、Journal of Organic Chemistry 53, 786, (1988) 、G. R. Newkomeet al.)の、789頁、左段53行〜右段7行に記載の方法、790頁、左段18行〜38行に記載の方法、790頁、右段19行〜30行に記載の方法およびその組み合わせ、Chemische Berichte 113, 2749 (1980)、H. Lexy ほか)の、2752
頁、26行〜35行に記載の方法等、種々の手法で合成できる。
例えば、配位子、またはその解離体と金属化合物を溶媒(例えば、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキサイド系溶媒、水などが挙げられる)の存在下、もしくは、溶媒非存在下、塩基の存在下(無機、有機の種々の塩基、例えば、ナトリウムメトキサイド、t−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、炭酸カリウムなどが挙げられる)、もしくは、塩基非存在下、室温以下、もしくは加熱し(通常の加熱以外にもマイクロウェーブで加熱する手法も有効である)得ることができる。
本発明において、4座配位子を有する白金錯体は、発光材料として用いることが好ましい。
4座配位子を有する白金錯体は、発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に
対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜40質量%含有されることがより好ましい。
本発明の素子を構成する各要素について詳細に説明する。
[有機電界発光素子]
以下、本発明の素子について詳細に説明する。
本発明の発光素子は基板上に陰極と陽極を有し、両電極の間に発光層を含む有機層(有機化合物のみからなる層であっても良いし、無機化合物を含有する有機層であっても良い)を有する。従って、本発明では有機層として発光層のみの構成であっても良い。発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明であることが好ましい。
本発明における有機層の積層の態様としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。更に、正孔輸送層と発光層との間、又は、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層等を有していてもよい。陽極と正孔輸送層との間に、正孔注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層との間には、電子注入層を有してもよい。尚、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
次に、本発明の発光素子を構成する要素について、詳細に説明する。
<基板>
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
例えば、基板としてガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
基板は、無色透明であっても、有色透明であってもよいが、発光層から発せられる光を散乱又は減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
基板には、その表面又は裏面に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
<陽極>
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物が好適に挙げられる。陽極材料の具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
陽極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、陽極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って、前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、陽極の形成は、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。
本発明の素子において、陽極の形成位置としては特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができる。が、前記基板上に形成されるのが好ましい。この場合、陽極は、基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
なお、陽極を形成する際のパターニングとしては、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
陽極の厚みとしては、陽極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常、10nm〜50μm程度であり、50nm〜20μmが好ましい。
陽極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。陽極が透明である場合は、無色透明であっても、有色透明であってもよい。透明陽極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
なお、透明陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、ここに記載される事項を本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で成膜した透明陽極が好ましい。
<陰極>
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
陰極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、陰極を構成する材料としては、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されており、これらの公報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
陰極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前記した陰極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
陰極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
本発明において、陰極形成位置は特に制限はなく、有機層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と前記有機層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
<有機層>
本発明における有機層について説明する。
本発明の素子は、発光層を含む少なくとも一層の有機層を有しており、発光層以外の他の有機層としては、前述したごとく、正孔輸送層、電子輸送層、電荷ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
−有機層の形成−
本発明の素子において、有機層を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
−発光層−
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。発光層は1層であっても2層以上であってもよく、2層以上の場合は、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
本発明における発光層は、発光材料のみで構成されていても良く、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でも良い。
ここで、ホスト材料とは、発光層を構成する材料のうち、発光材料以外のものであり、発光材料を分散して層中に保持する機能、陽極や正孔輸送層等から正孔を受け取る機能、陰極や電子輸送層等から電子を受け取る機能、正孔及び/または電子を輸送する機能、正孔と電子の再結合の場を提供する機能、再結合により生成した励起子のエネルギーを発光材料に移動させる機能、及び正孔及び/または電子を発光材料に輸送する機能のうち少なくとも一種の機能を有する材料を意味する。
ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。さらに、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいても良い。
また、本発明における発光層に含有されるホスト材料としては、例えば、カルバゾール骨格を有するもの、ジアリールアミン骨格を有するもの、ピリジン骨格を有するもの、ピラジン骨格を有するもの、トリアジン骨格を有するもの及びアリールシラン骨格を有するものや、後述の正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層の項で例示されている材料が挙げられる。
発光材料としては、前記の4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料のほかに、下記の蛍光発光材料及び/又は燐光発光材料を併用することができる。
《蛍光発光材料》
蛍光発光材料としては、一般には、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、縮合多環芳香族化合物(アントラセン、フェナントロリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、またはペンタセンなど)、8−キノリノールの金属錯体、ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、およびこれらの誘導体などを挙げることができる。
《燐光発光材料》
燐光発光材料としては、一般に、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体を挙げることができる。
例えば、該遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、金、銀、銅、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金であり、更に好
ましくはイリジウム、白金である。
ランタノイド原子としては、例えばランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and
Photophysics of Coordination Compounds」
Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
前記白金錯体燐光発光材料と併用可能な発光材料の具体例としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されない。
発光材料は、一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜40質量%含有されることがより好ましい。
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
−正孔注入層、正孔輸送層−
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。正孔注入層、正孔輸送層は、具体的には、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘
導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、フェニルアゾールやフェニルアジンを配位子に有するIr錯体に代表される各種金属錯体等を含有する層であることが好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、正孔注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.5nm〜100nmであるのがより好ましく、1nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−電子注入層、電子輸送層−
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。電子注入層、電子輸送層は、具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−正孔ブロック層−
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
<保護層>
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金
属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23
、Y23、TiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxy等の金属窒化物、MgF2、L
iF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
<封止>
さらに、本発明の素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
本発明の素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
本発明の素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<例示化合物の合成>
例示化合物(1−3)は、Heterocycles,vol.67, No.1, 353-359項(2006年)に記載の1
〜8位に重水素原子を含むカルバゾール-d8を用いて、4,4‘‐ジブロモビフェニルと、
パラジウム触媒や銅触媒を用いてカップリングさせることにより合成できる。
例示化合物(4−3)は、前記、例示化合物(1−3)と同様に、1,3−ジブロモベン
ゼンとカップリングさせることにより合成できる。
例示化合物(12−3)は、前記、例示化合物(1−3)と同様に、Tetrahedron, vol.54, No.42, 12707-12714項(1998年)に記載の3,6−ジブロモ-9-フェニルカルバゾールと
カップリングさせることにより合成できる。
例示化合物(4−6)は、以下の方法で合成できる。
レゾルシノール-d6は、J.Am.Chem.Soc. vol.126, No.40, 13033-03043項(2004年)に記
載の方法で合成できる。
脱水アセトニトリル(40mL)中で、レゾルシノール−d6(4.6g)とトリエチ
ルアミン(14 mL)を混合し、反応容器を水浴で冷却しながら、ノナフルオロブタンスルホン酸フルオリド(15.5 mL)を加えた。室温で3時間攪拌後、水を加えて、ヘキ
サン-酢酸エチル混合溶媒で抽出した。抽出後の有機層を希塩酸、水、飽和食塩水の順で
洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去することにより、中間体Aの粗生成物を25.9g得た。
中間体Aの粗生成物(13.6g)、カルバゾール−d8(7.0g)、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム(0.56g)、キサントホス(XantPhos,CAS No. 161265-03-8、1.16g)、炭酸ルビジウム(23g)を、窒素雰囲気下、トルエン(200mL
)中で混合し、加熱還流した。8時間経過した時点で、ビス(ベンジリデンアセトン)パ
ラジウム(0.28g)を追加で加え、さらに、3時間加熱還流した。反応混合物を室温
まで冷却後、水と酢酸エチルを加えて、不溶物をろ過して得られる有機層を、水と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧濃縮して得られた組成生物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチルの体積比20の混合溶離液)で精製し、更に再結晶・昇華精製を行うことにより、例示化合物(4−6)を2.7g得た。
例示化合物(4−6)の重水素化率は、内部標準物質として1,2-ジブロモブタンを用いて、重クロロホルムと重ジメチルスルホキシドを溶媒にして、H NMRをそれぞれ測
定した結果、すべての位置において96%であった。
なお、上記に示した製造方法において、定義された置換基が、ある合成方法の条件下で変化するか、または該方法を実施するのに不適切な場合、官能基の保護、脱保護(例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T. W. Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1981年)等)等の手段により
容易に製造が可能である。また、必要に応じて適宜置換基導入等の反応工程の順序を変化させることも可能である。
<有機電界発光素子の作製と評価>
(1)比較例の有機電界発光素子(A−1)の作製
0.5mm厚み、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機層を順次蒸着した。
本発明の実施例における蒸着速度は、特に断りのない場合は0.2nm/秒である。蒸着速度はULVAC社製水晶振動子成膜コントローラーCRTM-9000を用いて測定した。以下に記載の膜厚も、CRTM−9000の数値と、Dektak型触針式膜厚計で測定した膜厚をもとに作成した検量線から算出したものである。
<1>化合物A:膜厚80nm
<2>化合物B:膜厚10nm
<3>比較化合物1+発光材料A(10重量%)の共蒸着:膜厚60nm
<4>化合物C:膜厚10nm
<5>化合物D:膜厚30nm
最後にフッ化リチウム0.1nmおよび金属アルミニウムをこの順に100nm蒸着し陰極とした。これを大気に触れさせること無く、アルゴンガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、比較例の有機電界発光素子を得た。
(2)比較例の有機電界発光素子(B−1)の作製
発光材料Aを下記構造の発光材料Bに変更し、比較化合物1を比較化合物2にする以外
は、A−1と同様の方法で比較例の有機電界発光素子(B−1)を作製した。
(3)比較例の有機電界発光素子(C−1)の作製
化合物Bの層と発光材料Bを含む層の間に、比較化合物3の膜厚3nmの層を挿入した以外は、B−1と同様の方法で比較例の有機電界発光素子(C−1)を作製した。
(4)比較例の有機電界発光素子(D−1)の作製
発光材料Aを下記構造の発光材料Cに変更する以外は、A−1と同様の方法で比較例の
有機電界発光素子(D−1)を作製した。
(5)比較例の有機電界発光素子(E−1)の作製
発光材料Aを下記構造の発光材料Dに変更し、比較化合物1を比較化合物2にする以外は、A−1と同様の方法で比較例の有機電界発光素子(E−1)を作製した。
(6)比較例の有機電界発光素子(D−2)の作製
比較化合物1を本明細書記載の例示化合物(1−3)に変更する以外は、D−1と同様
の方法で比較例の有機電界発光素子(D−2)を作製した。
(7)比較例の有機電界発光素子(E−2)の作製
比較化合物2を本明細書記載の例示化合物(4−6)に変更する以外は、E−1と同様の方法で比較例の有機電界発光素子(E−2)を作製した。
(8)本発明の実施例の有機電界発光素子(A−2)の作製
比較化合物1を本明細書記載の例示化合物(1−3)に変更する以外は、A−1と同様
の方法で本発明の有機電界発光素子(A−2)を作製した。
(9)本発明の実施例の有機電界発光素子(B−2)の作製
比較化合物2を本明細書記載の例示化合物(4−6)に変更する以外は、B−1と同様の方法で本発明の有機電界発光素子(B−2)を作製した。
(10)本発明の実施例の有機電界発光素子(C−2)の作製
比較化合物2を本明細書記載の例示化合物(4−6)に変更し、比較化合物3を本明細書記載の例示化合物(12−2)に変更する以外は、C−1と同様の方法で本発明の有機電界発光素子(C−2)を作製した。
上記、化合物A〜化合物Dの化学構造は下記の通りである。
上記、発光材料A〜発光材料Dの化学構造は下記の通りである。
上記、比較化合物1〜3の化学構造は下記の通りである。
上記で得られた有機電界発光素子(A−1〜E−2)を以下の方法により評価した。
(1)駆動電圧の測定
有機電界発光素子(A−1〜E−2)を(株)島津製作所製の発光スペクトル測定システム(ELS1500)にセットし、これらの輝度が100 Cd/m2時の印加電圧を測定した。
(2)駆動耐久性の評価
得られた有機電界発光素子(A−1〜E−2)を、東京システム開発(株)製のOLEDテストシステムST−D型にセットし、定電流モードにて正方向定電流0.4mAの条件で駆動し、輝度半減時間(輝度が初期輝度の50%に低下するまでの時間)を求めた。
上記本発明の有機電界発光素子A−2は、比較例のA−1に対して、駆動電圧が0.85倍、輝度半減時間1.8倍であった。
上記本発明の有機電界発光素子B−2は、比較例のB−1に対して、駆動電圧が0.80倍、輝度半減時間2.0倍であった。
上記本発明の有機電界発光素子C−2は、比較例のC−1に対して、駆動電圧が0.75倍、輝度半減時間2.3倍であった。
上記比較例の有機電界発光素子D−2は、比較例のD−1に対して、駆動電圧が1.00倍、輝度半減時間1.1倍であった。
上記比較例の有機電界発光素子E−2は、比較例のE−1に対して、駆動電圧が0.95倍、輝度半減時間1.2倍であった。
以上の結果を、以下の表1にまとめる。重水素原子を含まない材料を用いたものを比較例とし、その結果を100とした相対値で、本発明の重水素原子を含む材料と用いた実施例の結果を示した。(例えば、比較例A−1と実施例A−2を比較した。)
以上の結果から、前記一般式(I)で表される化合物と4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料とを組み合わせた本発明の有機電界発光素子は、特に顕著な効果を有することが示された。
また、下記表2に示した発光材料とホスト材料(発光材料と共に用いる材料)の組み合わせで、比較例A−1と同じ方法で比較例1〜21と実施例1〜18の素子を作成し、同様に評価をおこなった結果を、表2に示す。
上記、発光材料E〜発光材料Oの化学構造は下記の通りである。
上記、比較化合物4〜9の化学構造は下記の通りである。
上記表の結果から、前記一般式(I)で表される化合物と4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料とを組み合わせた本発明の有機電界発光素子は、特に顕著な効果を有することが示された。
比較例の有機電界発光素子A−1の化合物B、比較化合物1を、下記表3に示した材料に変更した以外は、比較例A−1と同じ方法で比較例22〜23と実施例22〜23の素子を作成し、同様に評価をおこなった結果を、表3に示す。
以上の結果から、本発明の効果は、発光層に隣接する有機層に一般式(I)で表される化合物を用いることによっても得られ、また、発光層と発光層に隣接する有機層のそれぞれに用いることによって、特に顕著な効果を得ることができることが示された。
比較例の有機電界発光素子A−1の比較化合物1と化合物Cを、下記表4に示した材料に変更した以外は、比較例A−1と同じ方法で比較例24と比較例24’の素子を作成し、同様に評価をおこなった結果を、表4に示す。
上記化合物Eの化学構造は下記の通りである。
以上の結果から、本発明の効果は、重水素原子を含む材料を用いた場合に普遍的に生じるものではなく、前述の結果とあわせて、一般式(I)で表される材料に特有であることが示された。

Claims (7)

  1. 一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、発光層に下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含有し、発光層に4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料の少なくとも一種を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
    (一般式(I)中、R1〜R8は水素原子、もしくは、置換基であり、R1〜R8は隣接する置換基どうしで縮合環を形成しても良い。R9はアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基を表し、それぞれ置換基で置換されていてもよい。R1〜R9の少なくともひとつは重水素原子、もしくは重水素原子を含む置換基である。)
  2. 4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料が、下記一般式(A)、(B)、(E)又は(F)で表されることを特徴とする、請求項1に記載の有機電界発光素子。
    (一般式(A)中、RA3、RA4は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、RA1、RA2は、それぞれ独立に、置換基を表す。RA1、RA2をそれぞれ複数個有する場合、複数個のRA1、RA2は同じであっても異なってもよく、互いに連結して環を形成してもよい。nA1及びnA2はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。YA1は連結基を表し、RA3、及びRA4が表す置換基は、YA1が表す連結基と連結して環を形成してもよい。)
    (一般式(B)中、AB1〜AB6はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LB1は単結合または二価の連結基を表す。XはCまたはNを表す。Zは式中のX−Cと共に形成される5または6員の芳香環または芳香族ヘテロ環を表す。QB1はPtに結合するビニル配位子、芳香族炭化水素環配位子、又はヘテロ環配位子を表す。)
    (一般式(E)中、AE1〜AE14はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LE1は単結合または二価の連結基を表す。)
    (一般式(F)中、AF1〜AF14はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LF1は単結合または二価の連結基を表す。)
  3. 一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を発光層に隣接する有機層にも含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の有機電界発光素子。
  4. 一般式(I)で表される化合物が一般式(V)で表されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
    (一般式(V)中、R51〜R58は水素原子、もしくは、置換基であり、R51〜R58は隣接する置換基どうしで縮合環を形成しても良い。Aは連結基を表し、n51は2〜6の整数を表す。一般式(V)で表される化合物は、少なくともひとつの重水素原子を含む。)
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を含む、表示素子。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を含む、光源。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を含む、照明光源。
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