JP4556612B2 - 微粒子構造体の形成方法及び微粒子構造体 - Google Patents

微粒子構造体の形成方法及び微粒子構造体 Download PDF

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Description

本発明は、微粒子構造体の形成方法に関するものであり、また、その微粒子構造体の形成方法により形成された微粒子構造体及びスクリーンに関するものである。
光を操る新しい構造として、ナノからマイクロメオートル程度の微粒子を自己組織化させて3次元の規則的な周期構造からなるフォトニック結晶が注目されており、微粒子を自己組織化させて、3次元の規則的な周期構造を作るための方法として、種々の方法が報告されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。基板を微粒子の分散した微粒子分散溶液に静置し、微粒子自身の重みにより徐々に沈殿させる重力沈降法がある(例えば、非特許文献3参照)。また、微粒子よりも大きなスペーサーを挟んだマイクロセルを微粒子分散溶液に垂直に差し込み静置し、毛管現象により微粒子分散溶液をセル内に充填し、微粒子分散溶液が蒸発するときに微粒子の自己組織化を起こす方法がある(例えば、非特許文献4参照)。そして、微粒子分散溶液に微粒子と親和性の高い基板を垂直に差し込み、この基板を引き上げることで、基板に微粒子を写し取り、微粒子分散溶液の溶媒の蒸発過程で微粒子の自己組織化を起こす引き上げ法(例えば、非特許文献5、6及び7参照)がある。
しかしながら、重力沈降法は、多くの部分が多結晶状態となり、広範囲で規則的な周期構造を形成することができない。また、自然に沈降するのを待たなければならず、長い時間が必要となり、大面積の微粒子結晶を得ることが困難である。また、非特許文献4の方法も多結晶状態となり、これを解消するためには非常に長い時間を必要とする。
引き上げ法は、比較的短時間で2次元、3次元の微粒子結晶を得ることができるが、多層積層させると結晶中に結晶欠陥が多く形成され、結晶性が低下してしまう。引き上げ法で形成された結晶表面をAFMで観察した結果を図1に示す。図中の実線に沿って欠陥の一種である転位が形成されていることがわかる。また、溶媒の蒸発過程が最表面から起こり、最表面にできた微結晶が溶媒ほどの表面張力を持たない場合、その表面を支えきれずに崩壊してしまう。その結果、大きな亀裂が発生し、結晶の崩壊を招きやすくなり、長期に安定した微粒子結晶とはならない。
このような方法で種々の粒径の微粒子からなる微粒子層を積層させた場合、層を重ねるにつれて機械的強度が弱くなってしまう。また、シリカ微粒子自体に柔軟性が期待できないことにより、引っ張りや曲げに対して弱い構造となる。そこで、微粒子を固定化する方法が提案されている。
基板と微粒子を分散させる分散媒との親和性が周期的に異なるような周期変調パターンを形成すると共にその周期方向が微粒子膜相と分散媒相との固液界面の移動方向と略平行にして、基板に微粒子分散液を展開し、任意の方向から基板上の分散媒を乾燥させて微粒子膜を作成する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、基板に両親媒性分子からなるバインダー層を設け、その表面に微粒子を積層させた微粒子を固定させた微粒子膜の形成方法がある(例えば、特許文献2参照)。さらに、電荷を有する微粒子とその逆の電荷を有する微粒子とを高分子化合物を吸着させ、その微粒子同士を電場の印加により接着させる方法がある(例えば、特許文献3参照)。
またさらに、官能基を有する微粒子同士を3次元的に結合させるフォトニック結晶が報告されている(例えば、特許文献4参照)。また、微粒子を有する微粒子層を複数積層させた微粒子層積層膜の微粒子同士を高分子によって接着させる方法がある(例えば、特許文献5参照)。
P.Jiang et al.,Chem.Mater.,11,2132(1999) Y.Xia et al.,Adv.Mater.,12(10),693(2000) H.Miguez et al.,Adv.Mater.,10(6),480(1998) B.Gates,D.Qin,Y.Xia,Adv.Mater.,11,466(1999) K.Nagayama,J.Soc.Powder Technol.,Japan,32,476(1995) J.D.Joannopoulos,Nature,414(15),257(2001) Y.−H.Ye et al.,Appl.Phys.Lett.,78(1),52(2001) 特開2003−181275号公報 特開平08−229474号公報 特開2002−222742号公報 特開2002−341161号公報 特開2002−361767号公報
特許文献1の方法は、基板表面に微粒子分散溶液の分散媒との親和性が周期的に異なるような周期変調パターンを形成することで、形成される微粒子膜の欠陥を所定の場所に掃き集め、それ以外の領域の微粒子膜を無欠陥とすることができる。しかしながら、無欠陥の領域を形成するためには、所定の間隔をもって欠陥が集中する領域が形成される。無欠陥領域を広くしようとすると、従来同様に無欠陥領域内に欠陥が生じてしまう可能性がある。したがって、無欠陥領域の大きさに制限がある。
特許文献2の方法は、バインダー層により基板と微粒子とを固定化することができるものの、微粒子を規則的に配列させるためには、微粒子を配列させる基板が平坦であり、基板と微粒子との親和性が高いものでなければならない。特許文献3の方法は、電荷を有する微粒子にその電荷と反対側の電荷を有する高分子を吸着させるため、使用する微粒子が電荷を有するものに制限される。また、微粒子同士を固定化させるためには、電場を印加する必要がある。
特許文献4のフォトニック結晶は、官能基を有する微粒子とその官能基と反応する別の官能基を有する微粒子とを1層ずつ交互に積層させなければ、微粒子同士を化学結合により固定化できない。そのため、微粒子層を厚くしようとする場合、何度も同じ工程を行わなければならない。特許文献5の方法は、静電的相互作用により基板と微粒子及び微粒子と高分子とを接着させるものである。したがって、微粒子を帯電させる必要がある。
そこで、本発明はこのような上記実状に鑑み、結晶粒界及び亀裂の少ない微粒子層を形成することができ、高結晶性で機械的強度を向上させることができる微粒子構造体の形成方法を提供することを目的とする。また、その形成方法により形成された結晶性の高い微粒子構造体及びスクリーンの提供を目的とする。
本発明の微粒子構造体の形成方法は、配列微粒子を自己組織化により規則的に配列させた微粒子配列層を有する微粒子構造体の形成方法であって、上記微粒子配列層の下地となる下地微粒子を基体に堆積させて下地微粒子層を形成する工程と、上記下地微粒子層の上記下地微粒子を固定剤により固定化する工程と、上記下地微粒子層の層上に上記配列微粒子を分散させた配列微粒子溶液を塗布し、上記配列微粒子溶液を乾燥させて上記微粒子配列層を形成する工程とを有することを特徴とする。
本発明の微粒子構造体の形成方法によれば、下地微粒子層の下地微粒子を固定剤により固定化することで、基板の配列微粒子を配列させる面を略平坦にすることができ、微粒子配列層の結晶欠陥を少なくすることができる。また、結合剤は下地微粒子層に柔軟性を与えることができ、乾燥に伴う亀裂を防ぐことができる。すなわち、微粒子を帯電させるといったような特別な操作を必要とせずに、結晶性の高い微粒子構造体を形成することができる。
本発明の微粒子構造体は、基体と、上記基体上に配列微粒子を自己組織化により規則的に配列させた微粒子配列層と、下地微粒子を堆積させ、上記基体上に上記微粒子配列層の下地となる下地微粒子層と上記下地微粒子層の上記下地微粒子を固定化する固定剤とを有することを特徴とする。
本発明の微粒子構造体によれば、配列微粒子を規則的に配列させた微粒子配列層の結晶粒界が少ないため、結晶性が高い。例えば、この微粒子構造体を所定の波長域の光を反射するフォトニック結晶とする場合、粒界が少なく結晶性の高いフォトニック結晶となり、反射特性の高いフォトニック結晶となる。そして、微粒子構造体は下地微粒子を固定化することで、微粒子構造体の機械的強度が向上し、曲げや引っ張りに強くなる。
本発明のスクリーンは、基体と、上記基体上に配列微粒子を自己組織化により規則的に配列させた微粒子配列層と、下地微粒子を堆積させ、上記基体上に上記微粒子配列層の下地となる下地微粒子層と上記下地微粒子層の上記下地微粒子を固定化する固定剤とを有することを特徴とする。
本発明のスクリーンによれば、結晶粒界の少ない微粒子層を形成することができ、選択的に反射率の高いスクリーンとなり、コントラスト比や画質が低下しないスクリーンとなる。そして、機械的強度が向上するため、曲げや引っ張りに対して強いスクリーンとなる。
また、本発明の別の微粒子構造体の形成方法は、微粒子を分散させた微粒子溶液を基体に塗布する工程と、上記基体に塗布された微粒子溶液を乾燥させて上記基体に上記微粒子を自己組織化により規則的に配列させた微粒子層を形成する工程と、上記微粒子層の上記微粒子と共有結合する結合剤により上記微粒子を固定化する工程とを有することを特徴とする。
本発明の別の微粒子構造体の形成方法によれば、微粒子を規則的に配列させた微粒子層に結合剤で微粒子と共有結合を形成し、分子間力よりも強い共有結合で微粒子が固定化されることで機械的強度をもたせることができる。また、微粒子と共有結合を形成させるため結合剤の溶媒への再溶解を防ぐことができ、形成される微粒子層の均一な面を保つことができる。これにより、微粒子層を積層させるような場合、層上に形成される微粒子層の結晶性の悪化を防ぐことができる。
本発明の別の微粒子構造体は、基体と、上記基体上に微粒子を自己組織化により規則的に配列させた微粒子層と、上記微粒子層の上記微粒子と反応して共有結合を形成する結合剤とを有することを特徴とする。
本発明の微粒子構造体によれば、結合剤によって微粒子を共有結合により固定化することで、機械的強度を向上させることができる。そして、結合剤の溶媒への再溶解を防ぐことができ、形成された微粒子層の均一な面を保つことができる。そのため、微粒子層を積層させるような場合、層上に形成される微粒子層の結晶性の悪化を防ぐことができる。例えば、この微粒子構造体を所定の波長域の光を反射するフォトニック結晶とする場合、反射率の高い微粒子構造体を形成することができる。
本発明の別のスクリーンは、基体と、上記基体上に微粒子を自己組織化により規則的に配列させた微粒子層と、上記微粒子層の上記微粒子と反応して共有結合を形成する結合剤とを有することを特徴とする。
本発明のスクリーンは、微粒子と結合剤とで共有結合を形成することで、機械的強度を向上させ、溶媒に結合剤が再溶出することがなく、均一な面を保つことができる微粒子層を備えることができる。したがって、選択的で反射率の高いスクリーンとなり、コントラスト比や画質が低下しないスクリーンとなる。
本発明の微粒子構造体の形成方法は、下地微粒子層の下地微粒子を固定剤により固定化することで、基板の配列微粒子を配列させる面を略平坦にすることができ、微粒子配列層の結晶欠陥を少なくすることができる。また、結合剤は下地微粒子層に柔軟性を与えることができ、乾燥に伴う亀裂を防ぐことができる。すなわち、微粒子を帯電させるといったような特別な操作を必要とせずに、結晶性の高い微粒子構造体を形成することができる。また、結合剤で配列微粒子を固定化することで、微粒子構造体の機械的強度を向上させると共に、結合剤の溶媒への再溶解を防ぎ形成される微粒子配列層の均一な面を保つことができる。これにより、結晶性の高い微粒子構造体を形成することができる。
本発明の微粒子構造体は、配列微粒子を規則的に配列させた微粒子配列層の結晶粒界が少ないため、結晶性が高い。例えば、この微粒子構造体を所定の波長域の光を反射するフォトニック結晶とする場合、粒界が少なく結晶性の高いフォトニック結晶となり、反射特性の高いフォトニック結晶となる。そして、微粒子構造体は下地微粒子を固定化することで、微粒子構造体の機械的強度が向上し、曲げや引っ張りに強くなる。また、結合剤で配列微粒子を固定化することで機械的強度を向上させ、微粒子配列層の均一な面を保つことができ、結晶性の高い微粒子構造体を形成することができる。
本発明のスクリーンは、結晶粒界の少ない微粒子層を形成することができ、選択的に反射率の高いスクリーンとなり、コントラスト比や画質が低下しないスクリーンとなる。そして、機械的強度が向上するため、曲げや引っ張りに対して強いスクリーンとなる。また、結合剤で配列微粒子を固定化することで機械的強度を向上させ、反射特性の高いスクリーンとなる。
以下、本発明の微粒子構造体の形成方法、微粒子構造体及びスクリーンについて図面を参照しながら説明する。なお、本発明においては、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
[実施の形態1]
図2は、本発明の微粒子構造体の一例を示す図である。図2で示される本発明の微粒子構造体1の形成方法は、基板10に配列微粒子12を自己組織化により規則的に配列させた微粒子配列層15を形成するために、微粒子配列層15の下地となり、下地微粒子11を基板10に堆積させてなる下地微粒子層14を形成し、その下地微粒子層14の下地微粒子11を固定剤13によって固定化し、下地微粒子11が固定化された下地微粒子層14を有する基板10に配列微粒子12を溶媒に分散させた配列微粒子溶液を塗布し、基板10上の配列微粒子溶液を乾燥させることで形成することができる。本実施の形態では、下地微粒子11と固定剤13とを溶媒に分散させた下地微粒子溶液を用いて下地微粒子層14が形成される。
基板10は、形成する微粒子構造体1の基体となるものである。この基板10に下地微粒子11の堆積させて下地微粒子層14を形成し、さらにその層上に配列微粒子12を規則的に配列させた微粒子配列層15を備えることができる。基板10の形状は、特に限定されるものではないが、微粒子構造体1の用途により適宜変更することができる。例えば、微粒子構造体1をスクリーンとして使用する場合、所定の大きさを有するシート状の部材を使用してもよい。
基板10の材質としては、下地微粒子11や配列微粒子12を分散させる溶媒に膨潤しないものであれば特に限定するものではなく、適宜変更することができる。例えば、ガラス等の無機酸化物やポリエチレンテレフタレート(PET)等の有機材料でもよい。また、基板10の表面は親水性であっても親油性であってもよく、使用する微粒子及び溶媒の性質等により適宜変更することができる。また、微粒子の積層を助けるために基板10をサンドブラスト等により凹凸を設けてもよい。
下地微粒子11は、微粒子配列層15を形成する配列微粒子12よりも小さい粒径を有している。この下地微粒子11を溶媒に分散させた下地微粒子溶液を基板10に塗布し、乾燥させることで下地微粒子溶液の溶媒が徐々に蒸発し、基板10上に下地微粒子11が堆積する。下地微粒子11の材質としては、特に限定されるものではないが、親水性のシリカや親油性のポリスチレン等が挙げられる。
下地微粒子11は、溶媒に分散させた下地微粒子溶液として基板10に塗布される。その溶媒としては、大気中に蒸発できるものであれば特に限定されるものではなく、使用する下地微粒子11に応じて適宜変更することができる。例えば、水やアルコール等が挙げられ、これらの混合溶媒でもよい。水やアルコールは比較的容易に蒸発させることができる。
下地微粒子溶液は、溶媒に下地微粒子11を分散させた溶液である。この溶液を基板10に塗布し、基板10に塗布された下地微粒子溶液の溶媒を蒸発させることで基板10上に下地微粒子11を堆積させることができる。このとき、下地微粒子11同士が集合し、基板10の表面を略平坦にすることができる。また、この下地微粒子溶液に下記で説明する固定剤13を下地微粒子11と一緒に分散させる。
配列微粒子12は、所要の粒径を有している。この粒径は、下地微粒子11よりも大きい粒径を有している。この配列微粒子12を溶媒に分散させた配列微粒子溶液を下地微粒子11を堆積させてなる下地微粒子層14を有する基板10に塗布する。塗布後、乾燥させることで、配列微粒子溶液の溶媒が徐々に蒸発し、下地微粒子層14の層上に配列微粒子12が自己組織化により規則的に配列し、微粒子配列層15を形成することができる。配列微粒子12の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、親水性のシリカや親油性のポリスチレン等が挙げられる。
配列微粒子12は、溶媒に分散させた配列微粒子溶液として基板10に塗布される。その溶媒としては、大気中に蒸発できるものであれば特に限定されるものではなく、使用する配列微粒子12に応じて適宜変更することができる。例えば、水やアルコール又はそれらの混合溶媒等が挙げられ、これらの混合溶媒でもよい。水やアルコールは比較的容易に蒸発させることができる。
配列微粒子溶液は、溶媒に配列微粒子12を分散させた溶液である。この溶液を基板10に塗布し、基板10に塗布された配列微粒子溶液の溶媒を蒸発させることで、配列微粒子12が基板10上で自己組織化により規則的に配列し、微粒子配列層15を形成することができる。
固定剤13は、基板10に堆積した下地微粒子11を固定化することができる。固定剤13は、下地微粒子11と一緒に溶媒に分散されることで、下地微粒子11に絡まるように付着し、下地微粒子11とともに基板10に堆積する。下地微粒子11が基板10に堆積し、乾燥させることで下地微粒子11の表面の固定剤13が他の下地微粒子11や基板10に付着することで、下地微粒子11を固定化することができる。
固定剤13としては、微粒子を固定化することができるものであれば特に限定されるものではないが、親水性又は親油性の高分子を使用することができる。例えば、親水性の高分子としてはポリビニルアルコール等が挙げられ、親油性の高分子としてはポリスチレン等が挙げられる。また、これらの共重合体も使用することができる。さらに、親水性及び親油性の両方の性質を有する両親媒性の高分子を用いてもよい。
これにより、基板10の表面に略平坦な配列微粒子を積層させる面を形成することができる。そして、この略平坦な面により配列微粒子12が自己組織化により規則的に配列し、結晶欠陥の少ない微粒子配列層14を形成することができる。また、固定剤13で下地微粒子11を固定化することで、引っ張りや曲げに対する機械的強度を向上させることができる。
例えば、サンドブラストにより凹凸を形成した基板に下地微粒子層を形成するとき、最表面から蒸発が進み、微粒子の微結晶がその表面を支えるのが困難になることがある。この場合、表面に亀裂が形成されてしまう。すなわち、微粒子が早い段階から微結晶を作ってしまうと考えられる。この固定剤13は、この亀裂を防止することができる。すなわち、微粒子を固定することで最も早く乾燥する最表面を支えるとともに、微粒子の微結晶に柔軟性を持たせることで、溶媒の蒸発に伴ってかかる力を分散することができる。
また、基板10とは異なるぬれ性の材質からなる固定剤13を使用することで、基板10のぬれ性を変化させることができる。これにより、基板10と配列微粒子12とのぬれ性が異なる場合でも、この固定剤13の材質を選択することで、微粒子配列層15の形成を容易にすることができる。例えば、ポリスチレン等の親油性の材質を主成分とする固定剤13を使用することにより、親水性の基板10に親油性の配列微粒子12を積層することもできる。また逆に、ポリビニルアルコール等の親水性の材質を主成分とする固定剤13を使用することにより、親油性の基板10に親水性の配列微粒子12を積層することもできる。また、親水性及び親油性の両方の性質を有する両親媒性の高分子を用いても、基板10とぬれ性の異なる配列微粒子12を積層させることができる。
本発明の微粒子構造体1の形成方法は、まず、基板10を下地微粒子11と固定剤13とを溶媒に分散した下地微粒子溶液に浸漬させる。この基板10を下地微粒子溶液から引き上げることで、基板10に下地微粒子溶液を塗布することができる。このとき、基板10にサンドブラスト等により凹凸を設けてもよい。これにより、下地微粒子11を堆積させやすくすることもできる。この塗布方法は、このような引き上げ法に限られるものではない。例えば、スクリーンコータ、カーテンコータ、ナイフコータ等により塗布してもよい。
次に、基板10に塗布された下地微粒子溶液を乾燥させる。このとき、基板10上の下地微粒子溶液の溶媒が徐々に蒸発する。そして、下地微粒子11が基板10に堆積し、下地微粒子11の表面の固定剤13が他の下地微粒子11や基板10に付着して下地微粒子11を固定化することができる。これにより、略平坦な下地微粒子層14を形成することができる。
略平坦な下地微粒子層14を形成した基板10は、配列微粒子12を溶媒に分散させた配列微粒子溶液に浸漬させる。この基板10を配列微粒子溶液から引き上げることで、基板20に形成された下地微粒子層14の層上に配列微粒子溶液を塗布することができる。この塗布方法は、このような引き上げ法に限られるものではない。例えば、スクリーンコータ、カーテンコータ、ナイフコータ等により塗布してもよい。
そして、配列微粒子溶液が塗布された基板10を乾燥させる。これにより、配列微粒子溶液の溶媒が徐々に蒸発し、下地微粒子層14上で配列微粒子12が自己組織化により規則的に配列し、微粒子配列層15を形成することができる。
このように形成される微粒子配列層15は、略平坦な下地微粒子層14によって粒界が少なくなる。また、固定剤13で下地微粒子11を固定化することで、引っ張りや曲げに対する機械的強度を向上させることができる。また、固定剤13により、微粒子配列層15の亀裂の発生を防ぐことができる。
本発明の微粒子構造体1の形成方法は、基板10のぬれ性を変えることができる。すなわち、基板10と異なるぬれ性の固定剤13を使用することで基板10のぬれ性を変えることができる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる親油性の基板10と、ポリビニルアルコールを有する親水性の固定剤13とを使用し、上記の方法により下地微粒子層14を形成すると、形成された下地微粒子層14の表面のぬれ性は、親油性から親水性と変化させることもできる。また、ガラスからなる親水性の基板10と、ポリスチレンを有する親油性の固定剤13を使用し、上記の方法により下地微粒子層14を形成すると、形成された下地微粒子層14の表面のぬれ性は、親水性から親油性と変化させることもできる。
このように、下地微粒子11を固定化する固定剤13により基板10のぬれ性を変化させることができる。これにより、基板10のぬれ性と異なるぬれ性を有する配列微粒子12を溶媒に分散させた配列微粒子溶液を付着させやすくなり、均一な塗布を可能とする。したがって、基板10のぬれ性と異なるぬれ性を有する配列微粒子12を使用しても、配列微粒子12を自己組織化により規則的に配列させ、より結晶粒界の少ない微粒子配列層14を形成させることができる。また、微粒子に電荷をかける必要が無く、固定剤13を下地微粒子11と一緒に溶媒に分散させるだけで結晶性の高い微粒子構造体1を形成することができる。
本発明の微粒子構造体1の形成方法は、これに限られるものではない。例えば、下地微粒子層14と微粒子配列層15との間に、ぬれ性を変える改質剤を備えてもよい。改質剤は、親水性と親油性の両方の性質を有している。これにより、微粒子層のぬれ性を変えることができる。例えば、下地微粒子層14の表面が親水性である場合、この改質剤を設けることで、親油性の配列微粒子12も積層させることができる。また、この改質剤は、固定剤13と一緒に層内に存在していてもよい。
また、下地微粒子11を固定剤13により固定化した後、形成された下地微粒子層14の層上に、再び下地微粒子11を堆積させ第2の下地微粒子層を形成し、その上に配列微粒子12を積層させて微粒子配列層15を形成してもよい。このとき、第2の下地微粒子を形成する下地微粒子11は、下地微粒子層14と同様に、溶媒に固定剤13と一緒に分散された下地微粒子溶液を使用してもよい。
またさらに、配列微粒子12と共有結合を形成する官能基を有する結合剤を使用して、微粒子を固定化してもよい。結合剤は、微粒子を共有結合により結合することができる官能基を有している。結合剤としては、微粒子と共有結合する官能基を有していれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリビニルアルコールを主成分とする高分子が挙げられる。
また、この官能基としては、特に限定されるものではないが、使用する微粒子により適宜変更することができる。例えば、微粒子がシリカである場合、シリカ微粒子とシランカップリングできるような官能基が挙げられる。シランカップリングすることができる官能基としては、−OR、−Cl、−NR(Rは、水素又は炭化水素基)といった加水分解基とケイ素が結合したものが挙げられる。例えば、シリカ微粒子とシランカップリングできるような官能基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリアセトキシシリル基、トリクロロシリル基、アミノシリル基、ジメチルアミノシリル基等が挙げられる。
シランカップリングは、シリカ等のケイ素を有する物質と比較的容易に共有結合を形成することができる。そのため、この結合剤を使用することで、微粒子と容易に共有結合を形成し、微粒子を固定化することができる。この結合剤も、改質剤と同様に微粒子層の層上や層内のどちらに存在していてもよい。この結合剤は、例えば、スプレーで噴霧したり、スクリーンコータ、カーテンコータ、ナイフコータ等を利用して塗布されたりしてもよい。
このように、結合剤で配列微粒子12を固定化することで、形成される微粒子構造体の機械的強度を向上させることができる。また、例えば、上記の方法を使用して複数の微粒子を積層させる等のように、溶媒に形成した微粒子配列層15を有する基板10を浸漬させる場合に結合剤の溶媒への再溶解を防ぐことができる。これにより、形成された微粒子配列層の均一な面を保つことができる。
また、この結合剤と同様に、下地微粒子11と共有結合を形成する高分子を固定剤13として使用することもできる。これにより、下地微粒子11を固定化すると共に、下地微粒子層14の形成後に、例えば配列微粒子12を配列させるために配列微粒子溶液に基板10を浸漬させる場合等で固定剤13の溶媒への再溶解を防ぐことができる。そして、形成される下地微粒子層の均一な面を保つことができ、下地微粒子層14の層上に形成される微粒子配列層15の結晶粒界を少なくし、結晶性の高い微粒子構造体1を形成することができる。
上記方法により形成される本発明の微粒子構造体1は、図2のように、基板10と、基板10上に配列微粒子12を自己組織化により規則的に配列させた微粒子配列層15と、微粒子配列層15の下地となる下地微粒子11を堆積してなる下地微粒子層14と、下地微粒子層14の下地微粒子11を固定化する固定剤13とを有している。この下地微粒子11と固定剤13は、ともに溶媒に分散させることで、下地微粒子11の表面に絡まるように付着し、基板に塗布後乾燥させることで、下地微粒子11を固定化することができる。
このような微粒子構造体1は、形成される微粒子配列層15の結晶粒界及び亀裂が少ないことで、結晶性の高い微粒子構造体となる。例えば、この構造体を所定の波長を反射することができるフォトニック結晶として用いる場合、結晶性が高いことにより、反射率や選択性の高くすることができる。さらに、曲げや引張りに対して機械的な強度が向上しているため、この微粒子構造体を曲げたり引っ張ったりしても、微粒子配列層15が傷まず、応用範囲を広げることができる。
[実施の形態2]
本発明の微粒子構造体の形成方法は、上記実施の形態1の方法に限られるものではない。以下、別の微粒子構造体の形成方法について説明する。図3は、本発明の微粒子構造体2の一例を示す図である。図3で示される本発明の微粒子構造体2の形成方法は、基体である基板20に配列微粒子22を自己組織化により規則的に配列させた微粒子配列層25を形成するために、微粒子配列層25の下地となり下地微粒子21を基板20に堆積させてなる下地微粒子層24を形成し、その下地微粒子層24に下地微粒子21を固定化する固定剤23を塗布することで下地微粒子21を固定化し、下地微粒子21が固定化された下地微粒子層24を有する基板20に配列微粒子22を溶媒に分散させた配列微粒子溶液を塗布し、基板20上の配列微粒子溶液を乾燥させることで形成する方法である。
本実施の形態で使用する基板20、下地微粒子21及び配列微粒子22は上記実施の形態1で使用する基板、下地微粒子及び配列微粒子と同様である。また、本実施の形態は、実施の形態1で使用してもよい改質剤や結合剤を使用してもよい。
固定剤23は、実施の形態1と同様に基板20に堆積した下地微粒子21を固定化することができる。固定剤23は、下地微粒子層24の形成後に下地微粒子層24に塗布される。塗布された固定剤23は、下地微粒子層24の下地微粒子21を固定化することができる。
固定剤23としては、実施の形態1で説明した固定剤と同様に、微粒子を固定化することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば親水性又は親油性の高分子を使用することができる。例えば、親水性の高分子としてはポリビニルアルコール等が挙げられ、親油性の高分子としてはポリスチレン等が挙げられる。また、これらの共重合体も使用することができる。さらに、親水性及び親油性の両方の性質を有する両親媒性の高分子を用いてもよい。
これにより、基板20の表面に略平坦な配列微粒子を積層させる面を形成することができる。そして、この略平坦な面により配列微粒子22が自己組織化により規則的に配列し、結晶欠陥の少ない微粒子配列層24を形成することができる。
本発明の微粒子構造体2の形成方法は、まず、基板20を下地微粒子21を溶媒に分散した下地微粒子溶液に浸漬させる。この基板20を下地微粒子溶液から引き上げることで、基板20に下地微粒子溶液を塗布することができる。このとき、基板20にサンドブラスト等により凹凸を設けてもよい。これにより、下地微粒子21を堆積させやすくすることもできる。この塗布方法は、このような引き上げ法に限られるものではない。例えば、スクリーンコータ、カーテンコータ、ナイフコータ等により塗布してもよい。
次に、基板20に塗布された下地微粒子溶液を乾燥させる。このとき、基板20上の下地微粒子溶液の溶媒が徐々に蒸発する。そして、下地微粒子21が基板20に堆積し、下地微粒子層24を形成することができる。
そして、基板20上の形成された下地微粒子層24に固定剤23を塗布する。この固定剤23は、スクリーンコータ、カーテンコータ、ナイフコータ等を使用して下地微粒子層24に塗布してもよい。また、スプレーを使用して下地微粒子層24に噴霧してもよい。固定剤23は、下地微粒子層24の層上のみ塗布することもできるが、毛管現象によって下地微粒子層24の層内にまで染み込ませることもできる。固定剤23を層上のみとすることで、使用量を少なくすることができる。また、固定剤23を層内に存在させることで、より多くの下地微粒子21を固定化することができる。これにより、略平坦な下地微粒子層24を形成することができる。
略平坦な下地微粒子層24を形成した基板20は、配列微粒子22を溶媒に分散させた配列微粒子溶液に浸漬させる。この基板20を配列微粒子溶液から引き上げることで、基板20に形成された下地微粒子層24の層上に配列微粒子溶液を塗布することができる。この塗布方法は、このような引き上げ法に限られるものではない。例えば、スクリーンコータ、カーテンコータ、ナイフコータ等により塗布してもよい。
そして、配列微粒子溶液が塗布された基板20を乾燥させる。これにより、配列微粒子溶液の溶媒が徐々に蒸発し、下地微粒子層24上で配列微粒子22が自己組織化により規則的に配列し、微粒子配列層25を形成することができる。
基板には、サンドブラスト等のように意図的に凹凸を備えるものも含まれるが、意図的に凹凸を備えなくても、小さな傷や窪み等があり、完全に平坦にすることは難しい。この基板の凹凸を埋めるように下地微粒子層を堆積させたとしても、その下地微粒子層に微粒子を分散させる溶媒が染み込んでしまう。この染み込み深さは、下地微粒子層の表面から基板までの距離であるため、図4のように、基板の凹凸に依存することになる。これにより、下地微粒子層の層上に形成する微粒子配列層に結晶粒界が発生してしまう。この染み込み深さの影響を無くすために溶媒とぬれ性の異なる固定剤を使用することで、溶媒の染み込みを防ぐことができる。
このように、固定剤23は、図3のように、下地微粒子層24に塗布することで、下地微粒子層24への溶媒の侵入を防ぐことができ、溶媒の染み込み深さの影響による結晶粒界の発生を防ぎ、結晶粒界の少ない微粒子配列層24を形成することができる。また、微粒子に電荷をかける必要が無く、固定剤23を下地微粒子層24に塗布又は噴霧するだけで結晶性の高い微粒子構造体1を形成することができる。
以下、本発明の微粒子構造体の形成方法の変形例について説明する。本発明の微粒子構造体の形成方法は、図5乃至図7のように実施の形態1で説明した改質剤26を使用してもよい。改質剤26は、親水性と親油性の両方の性質を持つ両親媒性高分子である。したがって、親水性或いは親油性であった下地微粒子層21の表面を両親媒性とすることができ、親水性、親油性のどちらの配列微粒子22も積層させることができる。これにより、固定剤24とのぬれ性の異なる微粒子を配列微粒子22として使用しても、自己組織化により規則的に配列させることができる。そして、結晶粒界の少ない微粒子配列層25を形成することができる。よって結晶性の高い微粒子構造体を形成することができる。
改質剤26は、固定剤23と同様に下地微粒子層24の層上又は層内のいずれに存在していてもよい。例えば、図5のように、固定剤23が下地微粒子層24の層内に存在し、その層上に改質剤26を存在させて、その上に配列微粒子22を配列させてもよい。これは、下地微粒子層24の形成後に、固定剤23を下地微粒子層24の層内にも存在させるように塗布する。そして、塗布後に、層上にのみ存在するように改質剤26を塗布することで形成できる。
また、例えば、図6のように、固定剤23が下地微粒子層24の層上に存在し、その層上に改質剤26を存在させて、その上に配列微粒子22を配列させてもよい。これは、下地微粒子層24の形成後に、固定剤23を下地微粒子層24の層上にのみ存在させるように塗布する。そして、塗布後に、層上にのみ存在するように改質剤26を塗布することで形成できる。
また、例えば、図7のように、固定剤23と改質剤26が下地微粒子層24の層内に存在し、その上に配列微粒子22を配列させてもよい。これは、下地微粒子層24を形成後に、固定剤23を下地微粒子層24の層内にも存在させるように塗布する。そして、塗布後に、層内にも存在するように改質剤26を塗布することで形成できる。また、固定剤23及び改質剤26を混合して塗布してもよい。
また、本発明の微粒子構造体3の形成方法は、下地微粒子層34の形成後、その下地微粒子層34の層上に再び下地微粒子31を堆積させてもよい。この場合、形成される微粒子構造体3は、図8のように、再び下地微粒子31を堆積することで形成された第2の下地微粒子層37が下地微粒子層34と微粒子配列層35との間に形成されることになる。この第2の下地微粒子層37により、より平坦な面を基板30に形成することができる。したがって、より結晶粒界の少ない微粒子配列層35を形成することができる。
また、第2の下地微粒子層は、図9乃至図11のように、改質剤36が存在していもよい。この場合も、同様に、より平坦な面を基板30に形成することができ、より結晶粒界の少ない微粒子配列層35を形成することができる。
例えば、図9のように、固定剤33が下地微粒子層34の層内に存在し、その層上に改質剤36を存在させ、その層上に再び下地微粒子31を堆積させて第2の下地微粒子層37を形成し、その上に配列微粒子32を配列させてもよい。これは、下地微粒子層34を形成後に、固定剤33を下地微粒子層34の層内にも存在させるように塗布する。そして、塗布後に、層上にのみ存在するように改質剤36を塗布することで形成できる。
また、例えば、図10のように、固定剤23が下地微粒子層34の層上に存在し、その層上に改質剤36を存在させ、その層上に再び下地微粒子31を堆積させて第2の下地微粒子層37を形成し、その上に配列微粒子32を配列させてもよい。これは、下地微粒子層24を形成後に、固定剤33を下地微粒子層34の層上にのみ存在させるように塗布する。そして、塗布後に、層上にのみ存在するように改質剤36を塗布することで形成できる。
また、例えば、図11のように、固定剤33と改質剤36が下地微粒子層34の層内に存在し、その層上に再び下地微粒子31を堆積させて第2の下地微粒子層37を形成し、その上に配列微粒子32を配列させてもよい。これは、下地微粒子層34を形成後に、固定剤33を下地微粒子層34の層内にも存在させるように塗布する。そして、塗布後に、層内にも存在するように改質剤36を塗布することで形成できる。また、固定剤33及び改質剤36を混合して塗布してもよい。
さらに、本実施の形態で説明した第2の下地微粒子層は、上述のように、下地微粒子層を形成する下地微粒子を溶媒に分散させた下地微粒子溶液を再び使用して基板に堆積させてもよいが、このとき、固定剤を下地微粒子と一緒に溶媒に分散させて形成された下地微粒子溶液を使用してもよい。これにより、形成される配列微粒子の亀裂を防ぐことができる。そして、形成される微粒子構造体の曲げや引っ張りに対する機械的な強度を向上させることもできる。
またさらに、実施の形態1と同様に、使用する下地微粒子及び配列微粒子は、これら微粒子と共有結合を形成する官能基を有する結合剤を使用して、微粒子を固定化してもよい。このように、結合剤で微粒子を固定化することで、微粒子構造体の機械的強度を向上させることができる。また、例えば、上記の方法を使用して複数の微粒子を積層させる場合等のように、形成した微粒子層を有する基板を溶媒に浸漬させる場合に結合剤の溶媒への再溶解を防ぎ、形成される微粒子層の均一な面を保つことができる。これにより、結晶性の高い微粒子構造体を形成することができる。
上記方法により形成される本発明の微粒子構造体は、基板と、基板上に配列微粒子を自己組織化により規則的に配列させた微粒子配列層と、微粒子配列層の下地となる下地微粒子を堆積してなる下地微粒子層と、下地微粒子層の下地微粒子を固定化する固定剤とを有している。この固定剤は、下地微粒子層を形成した後に塗布されたもので、下地微粒子を固定化し、下地微粒子への溶媒の染み込みを防ぐことができる。また、下地微粒子層と微粒子配列層との間に下地微粒子の堆積によって形成される第2の下地微粒子層を有していてもよい。これにより、基板がより平坦な面を有することで、より結晶粒界の少ない微粒子配列層を形成することができる。
このような微粒子構造体は、形成される微粒子配列層の結晶粒界が少ないことで、結晶性の高い微粒子構造体となる。例えば、この構造体を所定の波長を反射することができるフォトニック結晶として用いる場合、結晶性が高いことにより、反射率や選択性の高くすることができる。
[実施の形態3]
上記実施の形態1及び実施の形態2に示された微粒子構造体の形成方法により、本発明のスクリーン5を形成することができる。図12は、本発明のスクリーン5の一部拡大断面図である。このスクリーン5は、基体として可視光吸収層を兼ねる基板100上に、下地微粒子を堆積してなる下地微粒子層204と、微粒子配列層として赤色の光401を反射する微粒子層201、緑色の光402を反射する微粒子層202、及び、青色の光403を反射する微粒子層203の3つの層とが形成されている。これは、まず、下地微粒子と固定剤205で上記の方法を用いて下地微粒子層204を形成する。そして、下地微粒子層204の層上に、上記の方法を使用して微粒子層201を形成する。その上に、微粒子層201を形成した方法で粒径の異なる微粒子を使用して微粒子層202を形成する。さらにその上に、微粒子層201を形成した方法で粒径の異なる微粒子を使用して微粒子層203を形成させる。このように、上記の微粒子構造体の形成方法のうち、微粒子配列層の形成工程を3回繰り返すことにより作製することができる。このとき使用される3種類の微粒子は、粒径は異なるものの自己組織化により規則的に配列し、形成された微粒子層は、それぞれ所定の波長の光を反射することができるフォトニック結晶である。
微粒子層201、202、203は、例えば、プロジェクタ等の光投影装置から投影される3原色光を反射して、フルカラーの画像を表示させることができる。通常、このスクリーン5には光投影装置以外から発生する外部光404も照射されている。微粒子層201、202、203は、所定の光、この例においては、微粒子層201は赤色の光401、微粒子層202は緑色の光402、微粒子層203は青色の光403を選択的に反射し、それ以外の光は透過させることができる。したがって、外部光404は、3つの微粒子層を透過し、可視光を吸収する基板100に吸収されることとなる。したがって、このスクリーン5は、赤色の光401、緑色の光402、青色の光403の3つの光すなわち3原色光のみを反射することが可能となり、外部光404による画質の低下を防ぎ、鮮明な画像を映し出すことができる。
以上のように、本発明のスクリーン5は、下地微粒子層204を形成し、その下地微粒子層204の下地微粒子を固定剤205で固定化することで、下地微粒子層204の層上の微粒子層201、202、203の結晶粒界や亀裂を少なくすることができる。したがって、形成される微粒子層201、202、203は、結晶性の良いフォトニック結晶となる。これにより、選択的に所定の波長域の光を反射することができる。そして、このスクリーン5は、3原色光の波長のみを反射させることが可能となり、鮮明な映像を映し出すことができる。また、スクリーン5の機械的強度を向上させることができ、曲げや引っ張りに対して強いスクリーン5となる。
また、本発明のスクリーンは、実施の形態2のように、下地微粒子層を形成し、固定剤を塗布や噴霧して下地微粒子層の下地微粒子を固定化してもよい。その上に微粒子配列層として赤色の光を反射する微粒子層と緑色の光を反射する微粒子層と青色の光を反射する微粒子層を形成させるといったように、上記の微粒子構造体の形成方法のうち、微粒子配列層の形成工程を3回繰り返すことにより作製することができる。このとき使用される3種類の微粒子は、粒径は異なるものの自己組織化により規則的に配列し、形成された微粒子層は、それぞれ所定の波長の光を反射することができるフォトニック結晶である。これにより、形成される微粒子層は、結晶性の高いフォトニック結晶となり、反射率の高い選択的に光を反射するスクリーンとなる。したがって、実施の形態1で説明したスクリーンと同様に、3原色光のみを反射することが可能で、外部光による画質の低下を防ぎ、鮮明な画像を映し出すことができる。また、スクリーンの機械的強度を向上させることができ、曲げや引っ張りに対して強いスクリーンとなる。
[実施の形態4]
図13は、本発明の微粒子構造体6の一例を示す図である。図13に示される微粒子構造体6の形成方法は、基体である基板60に微粒子62を分散させた微粒子溶液を塗布し、基板60に塗布された微粒子溶液を乾燥させて基板60に微粒子62を自己組織化により規則的に配列させた微粒子層65を形成し、形成された微粒子層65の微粒子と共有結合する結合剤63により微粒子を固定化する工程とを有することで形成する方法である。
本実施の形態で使用する基板60及び微粒子62は上記実施の形態1で説明した基板及び配列微粒子と同様である。また、本実施の形態は、実施の形態1で説明した下地微粒子を堆積してなる下地微粒子層や改質剤を有していてもよい。
結合剤63は、微粒子配列層65の層上又は層内に有している。また、結合剤63は、配列微粒子62を共有結合により結合することができる官能基を有している。結合剤63としては、微粒子と共有結合する官能基を有していれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリビニルアルコールを主成分とする高分子が挙げられる。
また、この官能基としては、特に限定されるものではないが、使用する微粒子により適宜変更することができる。例えば、微粒子がシリカである場合、シリカ微粒子とシランカップリングできるような官能基が挙げられる。シランカップリングすることができる官能基としては、−OR、−Cl、−NR(Rは、水素又は炭化水素基)といった加水分解基とケイ素が結合したものが挙げられる。例えば、シリカ微粒子とシランカップリングできるような官能基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリアセトキシシリル基、トリクロロシリル基、アミノシリル基、ジメチルアミノシリル基等が挙げられる。
シランカップリングは、シリカ等のケイ素を有する物質と比較的容易に共有結合を形成することができる。そのため、この結合剤63を使用することで、微粒子62と容易に共有結合を形成し、微粒子62を固定化することができる。この結合剤63も、改質剤と同様に微粒子層65の層上や層内のどちらに存在していてもよい。この結合剤63は、例えば、スプレーで噴霧したり、スクリーンコータ、カーテンコータ、ナイフコータ等を利用して塗布されたりしてもよい。
本発明の微粒子構造体6の形成方法は、まず、基板60を微粒子62を分散させた微粒子溶液に浸漬させる。この基板60を微粒子溶液から引き上げることで、基板60に微粒子溶液を塗布することができる。この塗布方法は、引き上げ法に限られるものではない。例えば、スクリーンコータ、カーテンコータ、ナイフコータ等により塗布してもよい。
次に、基板60に塗布された微粒子溶液を乾燥させる。このとき、基板60上の微粒子溶液の溶媒が徐々に乾燥する。そして、微粒子62が基板60上で自己組織化により規則的に配列し、微粒子層65を形成することができる。
そして、基板60上の形成された微粒子層65に結合剤63を塗布する。この結合剤63は、微粒子層65の層上のみに塗布することもできるが、毛管現象によって微粒子層65の層内にまで染み込ませることもできる。結合剤63を層上のみとすることで、使用量を少なくすることができる。また、結合剤63を層内に存在させることで、より多くの微粒子62を固定化することができる。
本発明の微粒子構造体6の形成方法は、実施の形態1に示される微粒子層65の下に微粒子層65の下地となる下地微粒子からなる下地微粒子層を形成してもよい。この場合、下地微粒子層は実施の形態1で説明した固定剤、改質剤を有していてもよい。また、結合剤により下地微粒子層を固定化してもよい。これにより、下地微粒子によるより平坦な面を基板60に形成することができ、下地微粒子層の層上に形成される微粒子層65の欠陥を少なくすることができる。このとき、基板60は、サンドブラスト等によって凹凸を形成していてもよい。これにより、微粒子を付着させやすくすることができる。
このように、形成される微粒子構造体6は、微粒子62を規則的に配列した微粒子層65を有し、結合剤63により固定化されている。これにより、形成される微粒子構造体6の機械的強度を向上させることができる。
また、本発明の微粒子構造体の形成方法は、上述のように微粒子層65を形成した後、図14のように、異なる粒径の第2の微粒子66を微粒子層65の層上に同様に配列させた第2の微粒子層67を形成することもできる。このとき、第2の微粒子66は、溶媒に分散された微粒子溶液として微粒子層65上に塗布され、乾燥させることで形成される。
微粒子層65を形成する微粒子62は、結合剤63と共有結合している。そのため、第2の微粒子層67の形成時に結合剤63が溶媒に再溶解しない。すなわち、形成された微粒子層65の均一な面が保たれる。よって、その層上に形成される第2の微粒子層67に凹凸の影響による結晶粒界の発生を防ぐことができる。したがって、結晶性の高い微粒子構造体6を形成することができる。
本発明の微粒子構造体6は、図13のように、基体である基板60と、基板60上に微粒子62を自己組織化により規則的に配列させた微粒子層65と、この微粒子層65の微粒子62と反応して共有結合を形成する結合剤63とを有し、上述の微粒子構造体6の形成方法で形成することができる。
これにより、形成される微粒子構造体6は、結晶性の高い微粒子構造体6となる。そして、結合剤63を有することで、溶媒への再溶解を防ぐことができ、形成される微粒子層65の均一性を保つことができる。したがって、結晶性の高い微粒子構造体6となる。例えば、形成される微粒子構造体が所定の波長の光を反射することができるフォトニック結晶である場合、結晶性が高いことで、より選択的に光を反射することができ、反射特性の高いフォトニック結晶となる。また、粒径の異なる微粒子層が形成されていることで複数の波長の光を反射することもできる。
本発明のスクリーン7は、図15のように、基体として可視光吸収層を兼ねる基板700上と、微粒子層として赤色の光741を反射する微粒子層721、緑色の光742を反射する微粒子層722、及び青色の光743を反射する微粒子層723の3つの微粒子層が形成されている。これは、まず、上記の方法で自己組織化により規則的に配列することで赤色の光741を反射する微粒子で微粒子層721を形成する。形成された微粒子層721の微粒子は、共有結合を形成する結合剤731により固定化される。微粒子層721を形成した方法と同様に、微粒子層721の層上に自己組織化により規則的に配列することで緑色の光742を反射する微粒子で微粒子層722を形成する。形成された微粒子層722の微粒子は、共有結合を形成する結合剤732により固定化される。結合剤731と結合剤732は、同じものであってもよいが異なるものでもよい。微粒子層722の層上に自己組織化により規則的に配列することで青色の光743を反射する微粒子で微粒子層723を形成する。このように、赤色の光741を反射する微粒子層721、緑色の光742を反射する微粒子層722、及び、青色の光743を反射する微粒子層723を有するスクリーンを形成することができる。
微粒子層721、722、723は、例えば、プロジェクタ等の光投影装置から投影される3原色光を反射して、フルカラーの画像を表示させることができる。通常、このスクリーン7には光投影装置以外から発生する外部光744も照射されている。微粒子層721、722、723は、所定の光、この例においては、微粒子層721は赤色の光741、微粒子層722は緑色の光742、微粒子層723は青色の光743を選択的に反射し、それ以外の光は透過させることができる。したがって、外部光744は、3つの微粒子層を透過し、可視光を吸収する基板700に吸収されることとなる。本発明のスクリーン7は、微粒子層721及び微粒子層722が結合剤により微粒子を固定化することで、その上の微粒子層形成時に結合剤及び微粒子の溶媒への再溶出を防ぐことができる。よって、基板700上に形成される微粒子層721、722、723はそれぞれ均一な微粒子層となり、反射特性の高い微粒子層となる。すなわち、これの微粒子層721、722、723を有する本発明のスクリーン7は、赤色の光741、緑色の光742、青色の光743の3つの光すなわち3原色光のみを選択的に反射することが可能となり、外部光744による画質の低下を防ぎ、鮮明な画像を映し出すことができる。
以下、本発明の微粒子構造体に関する実施例を示す。なお、本発明においては、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
[実施例1]亀裂の予防
表面の崩壊を防ぐために、下地微粒子として粒径90nmのシリカ微粒子を水に分散させ、微粒子濃度15.6wt%となるように下地微粒子溶液を調製した。その下地微粒子500mlに、水に溶解させた2wt%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液(分子量15万、けん化度99.7%)を1ml滴下してよく攪拌した。この下地微粒子溶液に、基体としてサンドブラストで凹凸を用いて引き上げ法により下地微粒子層を形成した。このときの引き上げ速度は0.2cm/sで、浸漬及び引き上げ工程は2回行った。そのSEM写真を図16に示す。比較として、PVAを滴下しないで下地微粒子を堆積させた。そのSEM写真を図17に示す。
図17のように、PVAを用いないと、基板を平坦にすることができるが、大きな亀裂があることがわかった。一方、図16のように、PVAを用いることで亀裂の大きさが圧倒的に小さくなっていることが確認できた。これは、PVAを入れることで、微粒子層自身に柔軟性を持たせることができ、水の蒸発に伴ってかかる力を分散させることができためであることが確認できた。
[実施例2]機械的強度の向上
次に、下地微粒子のみからなる下地微粒子溶液から形成された下地微粒子層(サンプル1)と、実施例1のようにPVAと下地微粒子からなる下地微粒子溶液から形成された下地微粒子層(サンプル2)とで、その機械的な強度の違いを比較した。サンプル1、サンプル2それぞれを下地微粒子層として堆積させ、下地微粒子層上に下地微粒子の直径の約3.3倍のシリカ微粒子を溶媒に分散させた微粒子溶液を用いて引き上げ法により塗布した。このときの引き上げ速度は1cm/sで、浸漬及び引き上げ工程は1回行った。
サンプル1とサンプル2にSEM写真では、表面形状に大差は見られなかった。しかしながら、引き上げ方向と同じ方向となるように基板を5回歪ませた場合、サンプル1は、崩壊してしまったのに対し、サンプル2は崩壊せずに残った。つまり、PVAにより微粒子を固定化し、下地の亀裂を無くすことで微粒子層の曲げや引張りに対する機械的な強度を向上させることができることがわかった。
[実施例3]基板の凹凸の平坦化
粒径90nmシリカ微粒子を水に分散させて、濃度が15.6wt%となるように調製された下地微粒子溶液に、2wt%PVA水溶液(分子量15万、けん化度99.7%)を滴下し、よく攪拌させた。このPVA入り下地微粒子溶液から、引き上げ法でPET基板に微粒子層を形成した。このときの引き上げ速度は0.2cm/sで、浸漬及び引き上げ工程は2回行った。また、PET基板はサンドブラスト処理されており、その凹凸サイズは平均で3.87μm(最大で5.39μm)である。そのSEM写真を図18に示す。図18(b)に示すようにPVAが微粒子に付着した状態で結晶化するため、ミクロには空隙が見られる。図18(a)のように、全体としてはサンドブラストの凹凸が平坦化されていることがわかる。
[実施例4]基板のぬれ性を変える
片面をサンドブラストで凹凸を形成し、もう片面を略平坦な面(鏡面)としたPET基板を用いて、基板のぬれ性の変化について調べた。ぬれ性は一般的には液滴の接触角で評価でき、液滴を水とする場合、PETのサンドブラスト面の接触角は70.1°、鏡面では76.3°であった。
基板のPETは、水との親和性がよくなく、また、微粒子結晶の状態で接触角が5.6°であるシリカ微粒子とも親和性がよくない。したがって、水に分散させたシリカ微粒子は、PET基板の鏡面に堆積させることは難しい。一方、サンドブラスト面の場合、鏡面より水及び微粒子との親和性がよく、凹凸による引っ掛かりがあるため、シリカ微粒子を積層させることができる。
粒径90nmシリカ微粒子を水に分散させ、濃度を15.6wt%に調製した下地微粒子溶液に2wt%PVA水溶液(分子量15万、けん化度 99.7%)を滴下し、よく攪拌させた。このPVA入り下地微粒子溶液を用いて、サンドブラスト面と鏡面を有するPET基板に下地微粒子層を形成したところ、鏡面にも微粒子結晶が形成されることがわかった。その鏡面側のPVA入り下地微粒子層のSEM写真を図19に示す。下地微粒子層を形成したPET基板の接触角を測定したところ、サンドブラスト面は70.1°から10.7°となり、鏡面は76.3°から13.7°となった。すなわち、本発明の微粒子構造体の形成方法により、基板のぬれ性を変化させることができることわかった。
[実施例5]従来法での微粒子配列層の形成
90nmシリカ微粒子を水に分散させて濃度が20wt%となるように調製された下地微粒子溶液を使用して、サンドブラストしたPET基板(凹凸サイズは平均で3.87μm、最大で5.39μm)に引き上げ法で下地微粒子を堆積させた。引き上げ速度は0.2cm/sで、浸漬及び引き上げ工程は2回行った。このようにして形成された下地微粒子層を有する基板を使用し、粒径300nmのシリカ微粒子を水に分散させて濃度が20wt%となるように調製された配列微粒子溶液を使用して引き上げ法により微粒子配列層を形成した。このときの引き上げ速度は1cm/sで、浸漬及び引き上げ工程は3回行った。形成された微粒子構造体の反射率は26%で、光散乱強度は22cd/mであった。
[実施例6]本発明の方法での微粒子配列層の形成
90nmシリカ微粒子を水に分散させて濃度が20wt%となるように調製された下地微粒子溶液に、2wt%PVA水溶液を滴下し、よく攪拌させた。この下地微粒子溶液を使用して、サンドブラストしたPET基板(凹凸サイズは平均で3.87μm、最大で5.39μm)に引き上げ法で下地微粒子を堆積させた。引き上げ速度は0.2cm/sで、浸漬及び引き上げ工程は2回行った。この下地微粒子溶液に、0.33wt%のポリスチレン/トルエン溶液を2.1μl/cmで噴霧した。ポリスチレンは分子量280000のものを用いた。よく乾燥させた後、可溶化処理をし、両親媒性高分子のポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)0.33wt%溶液(イソプロピルアルコール/水=1/1混合溶媒)を2.1μl/cmで噴霧してよく乾燥させた。以上のような鏡面化処理をした基板に、さらに、上記PVA入り下地微粒子溶液から引き上げ法を使って下地微粒子を再度堆積させた。このときの引き上げ速度は0.2cm/sで、浸漬及び引き上げ工程は1回で行った。そして、その下地微粒子層の上に、粒径300nmのシリカ微粒子水に分散させて濃度を20wt%となるように調製した配列微粒子溶液を使用して、引き上げ法により微粒子配列層を形成した。形成された微粒子構造体の反射率は41%で、光散乱強度は9cd/mであった。
[実施例7]比較
実施例5と実施例6とを比較する。図20は実施例5で形成された微粒子構造体の表面形状のSEM写真で、図21は実施例6で形成された微粒子構造体の表面形状のSEM写真である。図20のように、実施例5で形成された微粒子構造体には無数の結晶粒界があるのに対し、図21のように、実施例6で形成された微粒子構造体にはほとんど結晶粒界がないことがわかる。結晶性の指標である反射率は、結晶の厚さにも依存するため単純比較はできないが、散乱強度を同じにした場合、実施例6の微粒子構造体の反射率は実施例5の微粒子構造体の反射率よりも約5倍となり、高い反射率を有することがわかった。
[実施例8]
粒径300nmのシリカ微粒子を水に分散させた微粒子溶液を使用して、引き上げ法により基板にシリカ微粒子層を形成した。ここに、0.33wt%のポリビニルアルコール(分子量15万、けん化度99%)水溶液および、シラン系ポリビニルアルコール((株)クラレ、R2130、けん化度98〜99%)水溶液を0.12ml/cmを3回にわけて噴霧した。スプレーはタミヤ模型スプレーワークHGを用い、液滴の大きさは1ミリメートル以下とした。また、噴霧時には噴霧口をサンプルより30cm離した。1回噴霧する毎に、完全に乾燥させた。3回噴霧後、24時間乾燥させた。この基板に、粒径250nmのシリカ微粒子を水に分散させて濃度を20wt%となるように調製した微粒子溶液を使用して引き上げ法でシリカ微粒子層を形成した。引き上げ速度は1cm/secで、浸漬及び引き上げ工程を2回繰り返した。よく乾燥させた後、それぞれの反射スペクトルを測定し、標準偏差を求めた。
その結果、PVAを使った場合、その反射率の平均値および標準偏差は9.28±4.0%であったのに対し、シラン系PVAを使った場合、15.70±2.6%となった。PVAは溶媒に再溶解してしまうので、結果として、積層させた250nmの微粒子結晶の結晶性を悪くし、さらに、再溶解したPVAが液だれを起こすため、面内の均一性が下がっていた。一方で、シラン系PVAを用いると、シランカップリング反応により、シリカ微粒子表面とシラン系PVAとの間に共有結合ができるため、再溶解を阻止することができる。よって、多層積層させた場合にも、結晶性を悪くすることがなく、また、面内の均一性も保たれていることがわかった。
従来の引き上げ法により形成された微粒子結晶の表面のAFM像を示す図である。 本発明の微粒子構造体の形成方法により形成される固定剤を混ぜた下地微粒子溶液を使用して形成された下地微粒子層を有する微粒子構造体の一例を示す図である。 本発明の微粒子構造体の形成方法により形成される固定剤を塗布した下地微粒子層を有する微粒子構造体の一例を示す図である。 基板に形成された下地微粒子層への溶媒の染み込み深さを説明する図である。 本発明の微粒子構造体の形成方法により形成される固定剤と改質剤を塗布した下地微粒子層を有する微粒子構造体の一例を示す図である。 本発明の微粒子構造体の形成方法により形成される固定剤と改質剤を塗布した下地微粒子層を有する微粒子構造体の一例を示す図である。 本発明の微粒子構造体の形成方法により形成される固定剤と改質剤を塗布した下地微粒子層を有する微粒子構造体の一例を示す図である。 本発明の微粒子構造体の形成方法により形成される固定剤を塗布した下地微粒子層を有し、その層上に第2の下地微粒子層を有する微粒子構造体の一例を示す図である。 本発明の微粒子構造体の形成方法により形成される固定剤と改質剤を塗布した下地微粒子層を有し、その層上に第2の下地微粒子層を有する微粒子構造体の一例を示す図である。 本発明の微粒子構造体の形成方法により形成される固定剤と改質剤を塗布した下地微粒子層を有し、その層上に第2の下地微粒子層を有する微粒子構造体の一例を示す図である。 本発明の微粒子構造体の形成方法により形成される固定剤と改質剤を塗布した下地微粒子層を有し、その層上に第2の下地微粒子層を有する微粒子構造体の一例を示す図である。 本発明のスクリーンの一例を示す拡大断面図である。 本発明の微粒子構造体の形成方法により形成される配列微粒子を結合剤で固定化した微粒子配列層を有する微粒子構造体の一例を示す図である。 本発明の微粒子構造体の形成方法により形成される配列微粒子を結合剤で固定化した微粒子配列層を有し、その層上に別の微粒子を配列させた微粒子層を有する微粒子構造体の一例を示す図である。 本発明のスクリーンの一例を示す拡大断面図である。 本発明のPVAを溶解させた下地微粒子溶液を使って形成された下地微粒子層の表面の状態を示す図である。 下地微粒子のみを分散させた下地微粒子溶液を使って形成された下地微粒子層の表面の状態を示す図である。 本発明のPVAを溶解させた下地微粒子溶液を使って、サンドブラストにより凹凸を形成した基板上に形成された下地微粒子層の表面の状態を示す図である。 本発明のPVAを溶解させた下地微粒子溶液を使って、基板の略平坦な面に形成された下地微粒子層の表面の状態を示す図である。 実施例5により形成された微粒子構造体の表面の状態を示す図である。 実施例6により形成された微粒子構造体の表面の状態を示す図である。
符号の説明
1、2、3、6 微粒子構造体
10、20、30、60、100、700 基板
11、21、31 下地微粒子
12、22、32 配列微粒子
13、23、33 固定剤
14、24、34 下地微粒子層
15、25、35 微粒子配列層
26、36 改質剤
37 第2の下地微粒子層
62 微粒子
63、731、732 結合剤
66 第2の微粒子
65、201、202、203、721、722、723 微粒子層
67 第2の微粒子層
5、7 スクリーン

Claims (3)

  1. 配列微粒子を自己組織化により規則的に配列させた微粒子配列層を有する微粒子構造体の形成方法であって、
    上記微粒子配列層の下地となる下地微粒子を分散させた溶媒に基体を浸漬させ、上記基体に堆積させて下地微粒子層を形成する工程と、
    上記下地微粒子層の上記下地微粒子を、この下地微粒子と共有結合を形成する官能基を有する高分子である固定剤により固定化する工程と、
    上記配列微粒子を分散させた配列微粒子溶液に上記基板を浸漬させて、上記下地微粒子層の層上に上記微粒子配列層を形成する工程と、
    上記微粒子配列層の上記配列微粒子を、この配列微粒子と共有結合を形成する結合剤により固定化する工程と、を有する
    ことを特徴とする微粒子構造体の形成方法。
  2. 上記下地微粒子層は、上記下地微粒子を上記固定剤により固定化した後、上記下地微粒子層の層上に再び上記下地微粒子を堆積させることを特徴とする請求項1記載の微粒子構造体の形成方法。
  3. 基体と、
    上記基体上に配列微粒子を自己組織化により規則的に配列させた微粒子配列層と、
    上記微粒子配列層の上記配列粒子を固定化する、上記配列微粒子と共有結合を形成する結合剤と、
    下地微粒子を堆積させ、上記基体上に上記微粒子配列層の下地となる下地微粒子層と、
    上記下地微粒子層の上記下地微粒子を固定化する、下地微粒子と共有結合を形成する官能基を有する高分子である固定剤とを有する
    ことを特徴とする微粒子構造体。
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