JP2006138980A - 微粒子構造体、微粒子構造体の形成方法及びスクリーン - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、3次元的に規則正しく配列した微粒子層の配列性を維持したまま、微粒子層の機械的強度、転写性を向上させ、微粒子層の剥がれを防止した微粒子構造体及びその製造方法並びにスクリーンの提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、高分子を塗布又は噴霧或いは微粒子溶液に混合して3次元的に規則正しく配列した微粒子層に配することで、微粒子層の配列性を保ったまま微粒子を固定化することができる。これにより、微粒子層の機械的強度、転写性が向上し、微粒子層の剥がれを防止することができる。
【選択図】
図10
本発明は、3次元的に規則正しく配列した微粒子層の配列性を維持したまま、微粒子層の機械的強度、転写性を向上させ、微粒子層の剥がれを防止した微粒子構造体及びその製造方法並びにスクリーンの提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、高分子を塗布又は噴霧或いは微粒子溶液に混合して3次元的に規則正しく配列した微粒子層に配することで、微粒子層の配列性を保ったまま微粒子を固定化することができる。これにより、微粒子層の機械的強度、転写性が向上し、微粒子層の剥がれを防止することができる。
【選択図】
図10
Description
本発明は、微粒子構造体及びスクリーンに関するものである。また、その微粒子構造体の形成方法に関するものである。
微粒子を規則的に配列させ、微細形状を有する微粒子構造体は、フォトニック結晶、半導体材料、ディスプレイ用光学散乱体、磁気記録材料、バイオチップ、細胞培養基材等、多様な用途への応用が検討されている。従来から知られているリソグラフィーやレーザーによる微細加工方法では加工に関する材料、時間、工程に制限がある。また、ある種の物理的パターン構造を利用した微細形状の作製法も知られているが、構造体の形状の均一性、精密度、任意性等の課題がある。さらには、これらの物理的パターン構造を利用した技術を用いた場合、やはり上記と同様に制限がある。一方、自己組織化による微細加工を用いた微粒子構造体の形成方法では、溶媒の蒸発等を利用して従来方法よりも簡易に構造を制御できるようになってきた。現在では、ナノメートルから数百マイクロメートル程度の微粒子を用いて、任意に規則的な配列を実現することができ、上記応用への可能性が広がってきた。
微粒子を自己組織化的に集合させて、微粒子が3次元的に規則正しく周期的に配列した微粒子構造体を形成する方法として、種々の方法が報告されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。その方法の1つとして引き上げ法が挙げられる。引き上げ法は、例えば微粒子を溶媒に分散させて微粒子溶液とし、ここに微粒子に対して親和性の良い基板を垂直に差し込んだ後、この基板を微粒子溶液から引き上げる。この基板の引き上げ時に、適量の微粒子溶液を基板表面に移し取る。その後、移し取られた微粒子溶液から溶媒が蒸発していく過程で、微粒子の自己組織化が起こり、微粒子が規則的に配列した微粒子構造体が基板上に形成されるという方法である(例えば、非特許文献3、4および5参照)。
他の方法として自然沈降法が挙げられる。自然沈降法は、引き上げ法と同様に微粒子溶液を調製した後、基板を微粒子溶液の下部に静置する。微粒子は、自身の重みによって徐々に基板上に沈降し、微粒子が規則的に配列した微粒子構造体が形成される(例えば、非特許文献6参照)。
さらに別の方法として、微粒子よりも大きなスペーサーを挟んだマイクロセルを、微粒子溶液に垂直に差し込み、静置する。微粒子溶液は、毛管現象によりセル内に充填され、セル内に充填された微粒子溶液から溶媒が蒸発していく過程で、微粒子の自己組織化が起こり、微粒子が規則的に配列した微粒子構造体がセル内に形成される方法がある(例えば、非特許文献7参照)。
図1は、形成される微粒子構造体の基板上の微粒子溶液の乾燥によって自己組織化的に微粒子が集合する過程を示す説明図である。すなわち、シリカ微粒子などの球形の微粒子を水などの溶媒に分散させた後、重力による自然沈降又は蒸発による溶媒の減少によって、微粒子が徐々に基板上に堆積する。粒径が同一である場合、シリカ微粒子のような球形の微粒子は、最も密につまった配列構造である最密充填構造となる。したがって、微粒子を緻密に集合させることによって、少なくとも部分的には最密充填構造をとる微粒子構造体を、自己組織化的に形成させることができる。
このような微粒子構造体は、上述のように多様な用途への応用が検討されている。その一例として、図2のようなスクリーンが挙げられる。このようなスクリーンは微粒子を規則的に配列したフォトニック結晶のブラッグ反射を利用し、プロジェクターの赤、緑、青の3原色光だけを選択的に反射して外光を基板側で吸収させることで黒を沈ませることができる。この微粒子の大きさを変えることで光の波長選択性が可能となる。しかしながら、このようなスクリーンは、例えば巻き取りや通常の使用の範囲において、スクリーンへの圧力や曲げや引っ張りに対して耐えられる強度が必要となる。
また、このようなスクリーンは、図3のように、フォトニック結晶の作製に適した基板90を用いて作製し、作製されたフォトニック結晶を粘着テープ93を有する基板91に転写して形成する方法もある。これにより、高い結晶性をもつフォトニック結晶である赤色反射層95、緑色反射層98、青色反射層97をスクリーン特性として最適な拡散フィルム92や可視光吸収できる基板91で挟んだスクリーンを作製することができる。例えば、基板91にフレキシビリティをもつ素材を用いることで、巻き取り可能なスクリーンを作製することができる。しかしながら、図4のように拡散フィルム92への転写が完全に行われず、所々フォトニック結晶が基板90に残ってしまうことがある。これは、図5に示される、転写された基板の表面SEM像からもわかる。
さらに、図6のようにフォトニック結晶の層81、82、83と基板80との間にフォトニック結晶を形成する微粒子の粒径とは大きく異なる微粒子による下地微粒子層84を設ける方法もある。しかしながら、図7に示されるように転写できない箇所の存在や、基板からのフォトニック結晶の剥がれという問題点がある。このような方法でスクリーンを作製する場合は、フォトニック結晶を基板から転写する際に目的の層を的確に転写することが必要となる。
以上のように、フォトニック結晶の特異な光学特性を利用した光デバイスを製品化する際に、フォトニック結晶の機械的強度の向上、転写などの加工性、異径粒子とのハイブリット構造を実現することは極めて重要となる。例えば、スクリーンとして応用する際には、圧力や曲げや引っ張り応力に対する機械的強度や転写の容易性や赤、緑、青それぞれの光に対する反射特性を有するフォトニック結晶の作製などが必要不可欠になる。
これは、スクリーンに限られたものではなく、フォトニック結晶を用いた光機能素子全般にも同様な問題が生じる。上述のように、フォトニック結晶の光学的特性を利用して、光集積回路、光スイッチ、低閾値レーザー、情報記録媒体などに応用される場合に、外部からの曲げや引っ張り応力などの力に対する機械的強度の向上と、異なる粒径の微粒子が積層したハイブリッド構造の実現、転写等の加工技術等は極めて重要な意義をもつ。
上述のような問題の解決のために、フォトニック結晶の微粒子間の隙間よりも長い又は大きい高分子を用いる方法がある。高分子として微粒子間の隙間よりも長い又は大きい高分子を使用することで、微粒子間の隙間に高分子が多量に入り込むことを防ぐことができる。これにより、微粒子と空気との間の屈折率の差が微粒子と高分子との間の屈折率の差となることを防ぎ、反射特性や回折特性等の光学特性への影響を軽減することができる。
また、微粒子からなる層とその微粒子を高分子で固定化するという従来技術に以下のようなものがある。まず、透明基板上に敷設された微粒子をバインダーにより固着させて微粒子層を形成し、該微粒子層上に低プレチルト性の有機配向膜剤を塗布し、微粒子がなす微粒子層表面の凹凸に基づく祖面を前記有機配向膜剤表面に形成した配向膜がある(例えば、特許文献1参照)。さらに、網目状のシートの網目に、微粒子を保持して微粒子層を形成し、微粒子層を固定化する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
その他に、基板上にある高分子層中にフォトニック結晶を埋め込む方法(例えば、特許文献3参照)や、高分子を含有する高分子含有層を形成し、この高分子を膨潤させることができる溶媒に微粒子を分散させた溶液を高分子含有層に接触させる方法(例えば、特許文献4参照)や支持体上の機能性微粒子からなる微粒子層を圧縮して機械的強度を向上させる方法(例えば、特許文献5参照)がある。
P.Jiang et al.,Chem.Mater.(1999),11,2132
Y.Xia et al.,Adv.Mater.(2000),12(10),693
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特開2001−083516号公報
特開平11−058574号公報
特開平07−225302号公報
特開2001−191025号公報
特開2001−328195号公報
フォトニック結晶の機械的強度を向上させるために、フォトニック結晶の微粒子間の隙間よりも長い又は大きい高分子を用いる方法は、微粒子間の相互作用が弱いために機械的強度が十分でない。また、フォトニック結晶の層の厚さが微粒子の粒径の約30倍以上になると、図8のように、微粒子を配列させる過程で微粒子層が基板から剥がれてしまう。特に、ゼラチンをフォトニック結晶に塗布すると、乾燥過程でゼラチンの収縮により基板の反りや図9のようなフォトニック結晶の表面のひび割れが生じてしまう。また、ゼラチンは耐湿性が低いため空気中の水分を吸収して膨潤してしまう。
特許文献1記載の配向膜は、2次元に配列した微粒子を高分子を散布して固定化しているものであるが、微粒子間だけでなく基板にも微粒子を固定化している。そのため、微粒子を固定化した基板から取り外し、別の基板に的確に転写することは難しい。また、特許文献2記載の方法は、基板として網目を有するシートを使用し、基板と微粒子とを固定化するものである。したがって、微粒子を固定化したシートから取り外し、別の基板に的確に転写することは難しい。
特許文献3記載の方法は、3次元に配列させた微粒子を固定化するためには、高分子層を有する基板に圧着させなければならない。そのため、この圧着によってこの微粒子の3次元の配列が乱れてしまう可能性がある。特許文献4記載の方法は、高分子を膨潤させて微粒子をその高分子中に分散・充填させる方法であるが、微粒子を3次元的に規則正しく配列させることは難しい。特許文献5記載の方法は、基板上に堆積した微粒子に圧力をかけて基板に押し付ける必要があり、微粒子の配列構造が乱れてしまう恐れがある。
そこで、本発明は、上記実状に鑑み、3次元的に規則正しく配列した微粒子層の配列性を維持したまま、微粒子層の機械的強度、微粒子層の転写性を向上させた微粒子構造体及び微粒子構造体の製造方法の提供を目的とする。また、微粒子層の機械的強度及び微粒子層の転写性を向上させたスクリーンを提供することを目的とする。
本発明の微粒子構造体は、略平板状の基板と、上記基板上に自己組織化により微粒子を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層と上記微粒子の配列した上記微粒子層の表面及び層内に配され、上記微粒子を固定化する高分子とを有することを特徴とする。
本発明の微粒子構造体によれば、フォトニック結晶の微粒子の表面だけではなく、微粒子間にも高分子を入れることで微粒子同士の結合力を高め、全体的に機械的強度を向上させることができる。このような機能を果たす高分子を以下バインダーと呼ぶ。また、高分子により微粒子間の結合力を高めることで、微粒子層を1つの塊のように扱うことが可能になり、目的の層を的確にかつ容易に転写することが可能になる。また、微粒子層の微粒子の配列を維持したまま機械的強度を向上させることができる。
本発明の微粒子構造体の形成方法は、微粒子を分散媒に分散させた微粒子溶液を略平板状の基板に塗布する工程と、上記基板に塗布された上記微粒子溶液を乾燥させて自己組織化により上記微粒子を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層を形成する工程と上記微粒子を固定化する高分子を上記微粒子の配列した上記微粒子層の表面及び層内に配する工程とを有することを特徴とする。
本発明の微粒子構造体の形成方法によれば、微粒子層の層内にも高分子溶液を塗布又は噴霧させることで、微粒子同士の結合力を高め、全体的に機械的強度を向上させた微粒子構造体を形成することができる。また、微粒子層を1つの塊のように扱うことができ、目的の層を的確にかつ容易に転写することが可能な微粒子構造体を形成することができる。
本発明のスクリーンは、略平板状の基板と、上記基板上に自己組織化により微粒子を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層と上記微粒子の配列した上記微粒子層の表面及び層内に配され、上記微粒子を固定化する高分子とを有することを特徴とする。
本発明のスクリーンによれば、微粒子層の表面及び層内に高分子を配することで、微粒子層の機械的強度を向上させることができる。したがって、微粒子構造体は、曲げや引っ張り等の外部からの力に対して強い構造となり、丸めても微粒子層が破損しない。また、微粒子層の間の結合力を強くすることができ、バインダーとして機能する。すなわち、微粒子層の剥がれを防ぐことができる。また、複数の層を1つの塊として取り扱うことができるため、転写を容易に確実に行うことができる。
本発明の別の微粒子構造体は、略平板状の基板と、上記基板上に微粒子を分散媒に分散した微粒子溶液を塗布し、自己組織化により上記微粒子を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層と上微粒子溶液と混合され、上記基板に配列した微粒子を固定化する高分子とを有することを特徴とする。
本発明の別の微粒子構造体によれば、上記微粒子構造体と同様に、フォトニック結晶の微粒子の表面だけではなく、微粒子間にも高分子を入れることで微粒子同士の結合力を高め、全体的に機械的強度を向上させることができる。このような機能を果たす高分子を以下バインダーと呼ぶ。また、高分子により微粒子間の結合力を高めることで、微粒子層を1つの塊のように扱うことが可能になり、目的の層を的確にかつ容易に転写することが可能になる。また、微粒子層の微粒子の配列を維持したまま機械的強度を向上させることができる。
本発明の別の微粒子構造体の形成方法は、微粒子を分散媒に分散させた微粒子溶液を略平板状の基板に塗布する工程と、上記基板に塗布された上記微粒子溶液を乾燥させて自己組織化により上記微粒子を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層を形成する工程と上記微粒子を固定化する高分子を上記微粒子溶液に混合し、上記基板に配列した上記する工程とを有することを特徴とする。
本発明の別の微粒子構造体の形成方法によれば、上記微粒子構造体と同様に、微粒子層の層内にも高分子溶液を塗布又は噴霧させることで、微粒子同士の結合力を高め、全体的に機械的強度を向上させた微粒子構造体を形成することができる。また、微粒子層を1つの塊のように扱うことができ、目的の層を的確にかつ容易に転写することが可能な微粒子構造体を形成することができる。また、微粒子層の微粒子の配列を維持したまま機械的強度の向上した微粒子構造体を形成することができる。
本発明の別のスクリーンは、略平板状の基板と、上記基板上に微粒子を分散媒に分散した微粒子溶液を塗布し、自己組織化により上記微粒子を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層と上微粒子溶液と混合され、上記基板に配列した微粒子を固定化する高分子とを有することを特徴とする。
本発明の別のスクリーンによれば、上記スクリーンと同様に、微粒子層の表面及び層内に高分子を配することで、微粒子層の機械的強度を向上させることができる。したがって、微粒子構造体は、曲げや引っ張り等の外部からの力に対して強い構造となり、丸めても微粒子層が破損しない。また、微粒子層の間の結合力を強くすることができ、バインダーとして機能する。すなわち、微粒子層の剥がれを防ぐことができる。また、複数の層を1つの塊として取り扱うことができるため、転写を容易に確実に行うことができる。
本発明の微粒子構造体は、微粒子層の表面及び層内に高分子を配することで、微粒子層の機械的強度を向上させることができる。また、微粒子層の間の結合力を強くすることができ、バインダーとして機能する。すなわち、微粒子層の剥がれを防ぐことができる。また、複数の層を1つの塊として取り扱うことができるため、転写を容易に確実に行うことができる。
本発明の微粒子構造体の形成方法によれば、本発明の微粒子構造体の形成方法により、微粒子を固定する高分子によって、微粒子が自己組織化により3次元的に規則正しく配列した微粒子層の配列性を保ったまま機械的強度を向上させることができる。したがって、微粒子構造体は、曲げや引っ張り等の外部からの力に対して強い構造となる。また、微粒子層に存在する高分子の量を制御することで、光学特性を低下させずに機械的強度を向上させることができる。また、微粒子層の間の結合力が強くなり、微粒子層の剥がれを防ぐことができる。また、複数の層を1つの塊として取り扱うことができるため、転写を容易に確実に行うことができる。
本発明のスクリーンによれば、微粒子層の表面及び層内に高分子を配することで、微粒子層の機械的強度を向上させることができ、微粒子構造体は、曲げや引っ張り等の外部からの力に対して強い構造となる。また、微粒子層の剥がれや転写を容易に確実に行うことができる。
以下、本発明の微粒子構造体、微粒子構造体の形成方法及びスクリーンについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明においては、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
[実施の形態1]
図10は、本発明の微粒子構造体の一例を示す図である。本発明の微粒子構造体1は、 略平板状の基板10と、上記基板上に自己組織化により微粒子11を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層13と、上記基板10に配列した上記微粒子11を固定化する高分子12とを有している。高分子12は、微粒子11が配列した微粒子層13に塗布又は噴霧され、微粒子層13の表面及び層内に配される。あるいは、高分子12は、微粒子層13が微粒子11を分散させた微粒子溶液を塗布して形成される場合、微粒子溶液に混合されることで微粒子層13の表面及び層内に配されていてもよい。
図10は、本発明の微粒子構造体の一例を示す図である。本発明の微粒子構造体1は、 略平板状の基板10と、上記基板上に自己組織化により微粒子11を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層13と、上記基板10に配列した上記微粒子11を固定化する高分子12とを有している。高分子12は、微粒子11が配列した微粒子層13に塗布又は噴霧され、微粒子層13の表面及び層内に配される。あるいは、高分子12は、微粒子層13が微粒子11を分散させた微粒子溶液を塗布して形成される場合、微粒子溶液に混合されることで微粒子層13の表面及び層内に配されていてもよい。
基板10は、微粒子11を自己組織化により3次元的に規則正しく配列させた微粒子層13をその基板10上に備えている。基板10の形状は、特に限定されるものではないが、微粒子構造体1の用途により適宜変更することができる。例えば、微粒子構造体1をスクリーンとして使用する場合、所定の大きさを有するシート状の部材を使用してもよい。
基板10の材質としては、微粒子11を分散させる分散媒に膨潤しないものであれば特に限定するものではなく、適宜変更することができる。例えば、ガラス等の無機酸化物やポリエチレンテレフタレート(PET)等の有機材料でもよい。また、基板10の表面は親水性であっても親油性であってもよく、使用する微粒子11及び分散媒の性質等により適宜変更することができる。また、微粒子11の積層を助けるために基板10をサンドブラスト等により凹凸を設けてもよい。
微粒子11は、所要の粒径を有している。この微粒子11を分散媒に分散させた微粒子溶液を基板10に塗布する。塗布後、乾燥させることで、微粒子溶液の溶媒が徐々に蒸発し、微粒子11が自己組織化により3次元的に規則正しく配列し、微粒子層13を形成する。微粒子11の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、シリカやポリスチレン等が挙げられる。
微粒子11は、分散媒に分散させた微粒子溶液として基板10に塗布される。その分散媒としては、大気中に蒸発できるものであれば特に限定されるものではなく、使用する微粒子11に応じて適宜変更することができる。例えば、水やアルコール等が挙げられ、これらの混合溶液でもよい。水やアルコールは比較的容易に蒸発させることができる。
微粒子溶液は、分散媒に微粒子11を分散させた溶液である。この溶液を基板10に塗布し、基板10に塗布された微粒子溶液の分散媒を蒸発させることで、微粒子11が基板10上で自己組織化により3次元的に規則正しく配列し、微粒子層13が形成される。
微粒子溶液の基板10への塗布の方法としては、特に限定するものではないが、例えば、微粒子溶液中に基板10を浸漬させ、微粒子溶液中の基板10を引き上げ、基板10上に微粒子溶液を塗布してもよい。また、カーテンコーティング、スクリーンコーティング、ナイフコーティング等の既存のコーティング法を利用して基板10に微粒子溶液を塗布することもできる。
微粒子層13は、基板10上に微粒子溶液を塗布し、基板10上の微粒子溶液を乾燥させることで、微粒子11が自己組織化により3次元に規則正しく配列することで形成される。微粒子溶液の乾燥時は、微粒子溶液中の分散媒が徐々に蒸発し、微粒子11が基板10に堆積するように集合することで、最も微粒子11が密に詰まった最密充填構造をとる。このような形状をとることで、この微粒子層13を所定の波長の光を反射することができるフォトニック結晶とすることもできる。
高分子12は、微粒子層13の表面及び層内に配され、基板10に堆積した微粒子11を固定化することができる。高分子12は、微粒子11と一緒に分散媒に混合されていてもよく、また、高分子12を溶媒に溶解した高分子溶液を、微粒子層13の形成後に、微粒子層13に塗布又は噴霧されてもよい。この溶媒としては、高分子を溶解するものであれば特に限定するものではない。微粒子11を分散した微粒子溶液に高分子12を混合させる場合、微粒子層13の形成と略同時に微粒子11を固定化することができる。また、高分子溶液を微粒子層13に塗布又は噴霧する場合、微粒子層13の位置によって高分子の量を変化させることができる。あるいは、高分子12を形成するモノマーを微粒子層13の表面又は層内に配してもよい。このモノマーが液体の場合はそのまま塗布又は噴霧してもよい。また、このモノマーが固体の場合は溶媒に溶解させた状態で塗布又は噴霧してもよい。この塗布又は噴霧は複数回行うことができる。このように塗布又は噴霧によって配されたモノマーは、熱や紫外線などにより高分子を形成することで微粒子11を固定化することができる。モノマーの固定化は、塗布又は噴霧する毎に行うことができる。高分子より分子の大きさが小さいモノマーを使用することでより微粒子層の内部にまでモノマーを浸透させることができる。これにより、より微粒子層を1つの塊として扱うことができ、転写を容易に行うことができる。
高分子としては、本実験ではポリビニルアルコール系樹脂を用いている。ポリビニルアルコール系樹脂は、通常酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるものであるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有していてもよい。また、ポリビニルアルコール系樹脂を酸の存在下でアルデヒド類と反応させたポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂などのいわゆるポリビニルアセタール樹脂及びその他ポリビニルアルコール系樹脂誘導体も挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、ポリビニルアルコールに限らず、微粒子と適度な親和性と接合性をもった高分子であればどのような高分子でもよい。例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンやエチレンビニルアルコール系樹脂などでもよい。
また、微粒子11との親和性が高い高分子12を用いることにより、微粒子11をより強く固定化することができ、微粒子層13の機械的強度を向上させることができる。例えば、微粒子11としてシリカを用いる場合、親和性の高い親水性のポリビニルアルコール等を用いることで、シリカ微粒子をより強く固定化することができる。
このように、本発明の微粒子構造体1は、基板10上に自己組織化により微粒子11を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層13を有し、この微粒子層13の微粒子11の配列性を保ったまま、微粒子層13の表面及び層内に高分子12を配することで、微粒子層13の機械的強度を向上させることができる。したがって、微粒子構造体1は、曲げや引っ張り等の外部からの力に対して強い構造となる。また、微粒子層13に存在する高分子の量を制御することで、微粒子層13の光学特性を低下させずに機械的強度を向上させることができる。
また、この微粒子構造体1は、微粒子層13の微粒子11が高分子12によって固定化され、微粒子層13を1つの塊のようにすることができ、基板10上に形成された微粒子層13を別の基板に転写することもできる。図11は、微粒子層の転写の工程の一例を示す図である。まず、図11(a)のように、基板10上の微粒子層13の基板10と接触していない方の面に粘着剤14を有する第2の基板15を粘着剤14と微粒子層13が接触するように付着させる。
次に、図11(b)のように、微粒子層13を粘着剤14に付着させた第2の基板15を基板10から引き上げる。これにより、基板10から別の基板である第2の基板15に微粒子層13を転写することができる。この基板15は、特に限定するものではなく、微粒子層13の用途により適宜変更することができる。
このとき、微粒子層13は、高分子12により微粒子11が固定化されている。したがって、微粒子層13を1つの塊として扱うことができるため、容易に転写が行える。また、微粒子11と高分子12との親和性を高めることで、微粒子11をより強く固定化することができ、確実に転写を行うことができる。
さらに、本発明の微粒子構造体1は、微粒子層13の微粒子11を固定化する高分子12は、微粒子層13の表面及び層内に配されている。すなわち、高分子12がバインダーとして機能し、微粒子層13の形成中に微粒子層13の剥がれを防ぐことができる。これは、微粒子層13が厚くなっても同様の効果を得ることができる。例えば、微粒子層13を微粒子11の粒径の約30倍以上の厚さにしても、微粒子層13の剥がれを防止することができる。
図10に示される微粒子構造体1は、以下のように形成することができる。本発明の微粒子構造体1の形成方法は、微粒子11を分散媒に分散させた微粒子溶液を略平板状の基板10に塗布する工程と、上記基板10に塗布された上記微粒子溶液を乾燥させて自己組織化により上記微粒子を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層13を形成する工程とを有し、上記微粒子11を固定化する高分子12を上記微粒子層13の表面及び層内に配する工程とを有している。このとき、高分子12は、微粒子11が配列した微粒子層13に塗布又は噴霧され、微粒子層13の表面及び層内に配される。あるいは、高分子12は、微粒子層13が微粒子11を分散させた微粒子溶液を塗布して形成される場合、微粒子溶液に混合されることで微粒子層13の表面及び層内に配されていてもよい。
ここでは、基板10への微粒子溶液の塗布方法として上述した引き上げ法を例にとって説明する。基板10への微粒子溶液の塗布方法は、これに限られるものではなく、カーテンコーティング、スクリーンコーティング、ナイフコーティング等の既存のコーティング法を利用して基板10に微粒子溶液を塗布することもできる。
まず、微粒子11を分散媒に分散させた微粒子溶液を調製し、この微粒子溶液に略平板状の基板10を浸漬させる。これにより、基板10に微粒子11を有する微粒子溶液を付着させることができる。
次に、微粒子溶液に基板10を充分に浸漬させた後、基板10を微粒子溶液から引き上げる。引き上げることで、基板10に微粒子溶液を塗布することができる。この工程は、1回に限られるものではなく、複数回繰り返し行ってもよい。また、複数回行う場合、1回の塗布毎に乾燥工程を加えてもよい。これにより、微粒子層の内部の微粒子も固定化することができ、より微粒子層を1つの塊として扱うことができ、転写を容易に行うことができる。
そして、基板10に塗布された微粒子溶液を乾燥させる。微粒子溶液を乾燥させることで、微粒子溶液中の分散媒が徐々に蒸発し、微粒子11が基板10に堆積するように集合する。このとき、微粒子11が自己組織化により3次元に規則的に配列し、微粒子層13を基板10上に形成する。
次に、微粒子層13の微粒子11を固定化する高分子13を微粒子層13に配する。微粒子層13に配された高分子12により、微粒子11を固定化し、微粒子層13の機械的強度を向上させることができる。この方法としては、先の工程で示した微粒子11を分散媒に分散させた微粒子溶液に微粒子11と一緒に高分子12を混合させる方法がある。微粒子11を分散した微粒子溶液に高分子12を混合させる場合、微粒子層13の形成と略同時に微粒子11を固定化することができる。
別の方法としては、高分子12を溶媒に溶解した高分子溶液を調製し、この高分子溶液を微粒子層13に塗布又は噴霧する方法が挙げられる。高分子溶液の塗布又は噴霧は、1回だけでも複数回行ってもよい。また、複数回行う場合、塗布又は噴霧毎に高分子溶液を完全に乾燥させてから行ってもよい。これにより、微粒子層13の位置によって高分子の量を変化させることができる。
微粒子層13中に高分子12が存在する量は、多すぎるとフォトニック結晶となる微粒子層13の反射率等の光学特性が低下してしまう。そのため、高分子12の量を適度に制御することで、微粒子層12の光学特性を劣化させることなく機械的強度を向上させることができる。この制御は、高分子12を塗布又は噴霧する場合、高分子溶液の濃度で制御することができる。また、高分子12を微粒子溶液に混合する場合、微粒子溶液中の高分子の濃度によって制御することができる。光の反射を妨げない高分子12の濃度としては、1.3wt%以下で、さらに、高分子の存在しない微粒子層と同等の反射率を持たせるためには、0.33wt%以下の濃度であることが好ましい。
本発明の微粒子構造体1の形成方法により、微粒子11を固定する高分子12によって、微粒子11が自己組織化により3次元的に規則正しく配列した微粒子層13の配列性を保ったまま機械的強度を向上させることができる。したがって、微粒子構造体1は、曲げや引っ張り等の外部からの力に対して強い構造となる。また、微粒子層13に存在する高分子の量を制御することで、光学特性を低下させずに機械的強度を向上させることができる。
また、高分子12を微粒子層13の表面及び層内に配することで、微粒子層13を1つの塊として扱うことができるため、容易に転写が行え、従来のような転写が行われない箇所を少なくすることができる。また、微粒子11と高分子12との親和性を高めることで、微粒子11をより強く固定化することができ、確実に転写を行うことができる。
さらに、本発明の微粒子構造体1の形成方法は、微粒子層13の微粒子11を固定化する高分子12は、微粒子層13の表面及び層内に配されている。すなわち、高分子12がバインダーとして機能し、微粒子層13の形成中に微粒子層13の剥がれを防ぐことができる。
[実施の形態2]
本発明の微粒子構造体は、基板上に複数の微粒子層を積層することもできる。本実施の形態では、基板上に微粒子層を積層させた微粒子構造体について説明する。図12のように、本発明の微粒子構造体2は、基板20上に微粒子層23と微粒子層26と微粒子層29とを有している。これら微粒子層を形成する微粒子21、24、27は、層毎に粒径が異なるもので、それぞれ微粒子21、24、27は高分子22によって固定化されている。
本発明の微粒子構造体は、基板上に複数の微粒子層を積層することもできる。本実施の形態では、基板上に微粒子層を積層させた微粒子構造体について説明する。図12のように、本発明の微粒子構造体2は、基板20上に微粒子層23と微粒子層26と微粒子層29とを有している。これら微粒子層を形成する微粒子21、24、27は、層毎に粒径が異なるもので、それぞれ微粒子21、24、27は高分子22によって固定化されている。
本発明の微粒子構造体2は、実施の形態1で説明した微粒子構造体の形成方法を繰り返すことで形成することができる。引き上げ法を例にとると、微粒子21を分散媒に分散させた微粒子溶液に基板20を浸漬させた後、微粒子溶液から基板20を引き上げる。引き上げられた基板20上に塗布された微粒子溶液を乾燥させることで、微粒子21が自己組織化により3次元に規則正しく配列し、微粒子層23を形成する。基板20に形成された微粒子層23は、高分子22を溶媒に溶解した高分子溶液を塗布又は噴霧することで、微粒子層23の表面及び層内に高分子22を配し、微粒子層23を固定化することができる。
この微粒子層23を高分子22によって固定化した後、微粒子23を分散した微粒子溶液に基板20を浸漬させ、その後、微粒子溶液から基板20を引き上げ、基板20上の微粒子溶液を乾燥させて微粒子23の層上に微粒子層26を形成する。微粒子層26の形成後、再び高分子溶液を塗布又は噴霧し、微粒子層26の表面及び層内に配することで微粒子層26を固定化することができる。さらに、この微粒子層26の層上に同様の方法で、微粒子27を分散した微粒子溶液を使って微粒子層29を形成し、高分子溶液を塗布又は噴霧することで微粒子層29の表面及び層内に配し、微粒子層29を固定化することができる。また、この高分子22は、微粒子層23、26、29の形成時にそれぞれの微粒子溶液に混合され、その微粒子溶液を基板20に塗布することで微粒子層23、26、29の表面及び層内に配されていてもよい。
このとき、使用する微粒子及び高分子は、上述の実施の形態1で説明したものと同じものを使用することができる。微粒子として、シリカのような親水性の微粒子を使用する場合、高分子もポリビニルアルコールのような親水性の高分子で、粘度の大きいものの方が、微粒子の結合力を高めることができる。また、疎水性の微粒子を使用する場合は、高分子も疎水性の高分子とすることで、微粒子の結合力を高めることができる。
高分子を微粒子層の表面及び層内に配する方法としては、上述のように、高分子を溶媒に溶解して塗布又は噴霧してもよいが、高分子を微粒子溶液に混合させ、微粒子層の形成とともに微粒子層の表面及び層内に配してもよい。
この3つの微粒子層23、26、29は、高分子により固定化されていることで、機械的強度を向上させることができ、曲げや引っ張り等の外部からの力に対して強い構造となる。この高分子22は、機械的強度を向上させるだけでなく、微粒子層間の界面及びその近傍にも存在することで、微粒子層同士を繋ぎ止めるバインダーとしても機能する。すなわち、微粒子層を剥がれにくくすることができる。
本発明の微粒子構造体2は、実施の形態1で説明した微粒子構造体と同様に別の基板に転写することもできる。このとき、高分子は、微粒子層の機械的強度の向上だけでなく、微粒子層間のバインダーとしての効果もある。したがって、複数の微粒子層が1つの塊として扱うことができ、転写を容易に確実に行うことができる。
この転写は、微粒子層に配する高分子の量を変えることで結合力を変化させ、所望の微粒子層のみを転写することもできる。例えば、3つの微粒子層のうち厚さ方向上方の2つの微粒子層のみを転写する際は、最下層の微粒子層の形成後、微粒子層に塗布又は噴霧する高分子の量を少なくすることで、最下層とその上の層の結合力が弱くなり、上方の2つの層のみを別の基板に転写することができる。
このように、本発明の微粒子構造体2も高分子を微粒子層23、26、29の表面及び層内に配することで、微粒子層23、26、29の機械的強度を向上させることができる。また、層間の結合力を強くすることができ、バインダーとして機能する。すなわち、微粒子層23、26、29の剥がれを防ぐことができる。また、複数の層を1つの塊として取り扱うことができるため、転写を容易に確実に行うことができる。上述の微粒子構造体は異なる粒径の微粒子からなる微粒子層を積層させたものであるが、微粒子は全て同じ粒径としてもよい。
本発明のスクリーン5は、図13のように、略平板状の基板50と、上記基板上に自己組織化により微粒子511、512、513を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層531、532、533と、上記基板50に配列した上記微粒子511、512、513をそれぞれ固定化する高分子521、522、523とを有している。高分子521、522、523は、微粒子511、512、513が配列した微粒子層531、532、533に塗布又は噴霧され、微粒子層531、532、533の表面及び層内に配される。あるいは、高分子521、522、523は、微粒子層531、532、533が微粒子511、512、513をそれぞれ分散させた微粒子溶液を塗布して形成される場合、それぞれの微粒子溶液に混合されることで微粒子層531、532、533に配されていてもよい。
微粒子511、512、513は、それぞれ異なる粒径を有している。また、微粒子11は、3次元的に規則正しく配列させることで微粒子層531を形成する。この微粒子層531は、赤色の光541を反射することができる。また、微粒子511と粒径の異なる微粒子512は、3次元的に規則正しく配列させることで微粒子層532を形成する。この微粒子層532は、緑色の光542を反射することができる。さらに、微粒子511及び微粒子512と粒径の異なる微粒子513は、3次元的に規則正しく配列させることで、微粒子層533を形成する。微粒子層533は、青色の光543を反射することができる。そして、この基板50は、外部光544を吸収することができる可視光吸収層を兼ねている。
微粒子層531は、微粒子511を分散媒に分散した微粒子溶液を基板50に塗布し、基板50に塗布された微粒子溶液を乾燥させることで形成される。形成された微粒子層531は、表面及び層内に配される高分子521によって固定化されている。そして、微粒子層531は、赤色の光541を選択的に反射することができる。また、微粒子層532は、微粒子512を分散媒に分散した微粒子溶液を微粒子層531が形成された基板50に塗布し、基板50に塗布された微粒子溶液を乾燥させることで形成される。形成された微粒子層532は、表面及び層内に配される高分子522によって固定化されている。そして、微粒子層532は、緑色の光542を選択的に反射することができる。
さらに、微粒子層533は、微粒子513を分散媒に分散した微粒子溶液を微粒子層532が形成された基板50に塗布し、基板50に塗布された微粒子溶液を乾燥させることで形成される。形成された微粒子層533は、表面及び層内に配される高分子523によって固定化されている。そして、微粒子層533は、青色の光543を選択的に反射することができる。
これにより、本発明のスクリーン5は、微粒子層531、532、533がそれぞれ選択的に赤色の光541、緑色の光542、青色の光543を反射し、外部光544を基板50によって吸収することができる。そのため、赤色の光541、緑色の光542、青色の光543のみを選択的に反射することができる。したがって、外部光による画質の低下を防ぎ、高コントラストで鮮明な画像を表示することができる。
また、微粒子層531、532、533は、それぞれの表面及び層内に配される高分子521、522、523によって固定化されている。したがって、微粒子層531、532、533の機械的強度を向上させ、曲げや引っ張り等の外部からの力に対して強くすることができる。例えば、本発明のスクリーン5は、フレキシブルな基板50を使用することで丸めることもできる。
さらに、本発明のスクリーン5の高分子521、522、523は、微粒子層531、532、533をつなぎとめるバインダーとしても機能する。したがって、微粒子層531、532、533の剥がれを防止することができる。特に、より鮮明な画像を表示するためには、赤色の光541、緑色の光542及び青色の光543の反射率を高くすることが必要である。そのためには、微粒子層531、532、533の厚さを厚くすることで、反射率を向上させることができる。しかしながら、微粒子層531、532、533の厚さを厚くすると、微粒子の配列及び微粒子層の積層時に既に形成された微粒子層が剥がれてしまうという問題がある。本発明のスクリーン5は、高分子521、522、523を配することで、微粒子層の剥がれを防止することができるため、微粒子層531、532、533の厚さを厚くすることができる。したがって、微粒子層531、532、533の反射率を向上させることができ、より鮮明な画像を表示することができるスクリーン5となる。
本発明のスクリーン5は、基板50から別の基板55に転写することができる。これは、高分子521、522、523が微粒子層531、532、533の機械的強度の向上だけでなく、微粒子層間のバインダーとしての効果もあるためである。したがって、複数の微粒子層が1つの塊として扱うことができ、転写を容易に確実に行うことができる。
図14は、スクリーンの転写の工程の一例を示す図である。この転写の方法は、図14(a)のように、スクリーン5の基板50に積層された微粒子層531、532、533の基板50と接触していない方の面に粘着剤54を有する別の基板55を粘着剤54と微粒子層533が接触するように付着させる。
次に、図14(b)のように、微粒子層533を粘着剤54に付着させた別の基板55を基板50から引き上げる。これにより、基板50から別の基板である別の基板55に微粒子層531、532、533を転写することができる。
このとき、高分子521、522、523は、微粒子層531、532、533を固定化するだけでなくの層間のバインダーとしての機能も有している。したがって、積層された微粒子層531、532、533を1つの塊として扱うことができるため、容易に転写が行える。また、微粒子511、512、513と高分子521、522、523との親和性を高めることで、より強く固定化することができ、より確実に転写を行うことができる。
この転写は、微粒子層に配する高分子の量を変えることで結合力を変化させ、所望の微粒子層のみを転写することもできる。例えば、3つの微粒子層のうち厚さ方向上方の2つの微粒子層のみを転写する際は、最下層の微粒子層の形成後、微粒子層に塗布又は噴霧する高分子の量を少なくすることで、最下層とその上の層の結合力が弱くなり、上方の2つの層のみを別の基板に転写することができる。
このように、本発明の微粒子構造体2も高分子521、522、523を微粒子層531、532、533の表面及び層内にそれぞれ配することで、微粒子層531、532、533の機械的強度を向上させることができる。また、層間の結合力を強くすることができ、バインダーとして機能する。すなわち、微粒子層531、532、533の剥がれを防ぐことができる。また、複数の層を1つの塊として取り扱うことができるため、転写を容易に確実に行うことができる。
本発明のスクリーン5の形成方法は、上述の微粒子構造体の形成方法を利用することで形成することができる。微粒子511を分散媒に分散させた微粒子溶液に可視光吸収層を有する基板50を浸漬させる。浸漬した基板50をこの微粒子溶液から引き上げ、微粒子溶液を基板50に塗布する。引き上げられた基板50は、基板50の微粒子溶液を乾燥させる。この乾燥により、基板50上で微粒子溶液の分散媒が徐々に蒸発し、微粒子511が自己組織化により基板50上で3次元的に規則正しく配列する。したがって、微粒子511が自己組織化により3次元的に規則正しく配列した微粒子層531が形成される。この微粒子層531に高分子521を溶媒に溶解した高分子溶液を塗布又は噴霧する。これにより、微粒子層531の表面及び層内に高分子521が配され、微粒子511を固定化する。これにより微粒子層531が高分子521によって固定化することができる。
次に、微粒子層531が形成された基板50を微粒子512を分散媒に分散させた微粒子溶液に浸漬させる。浸漬した基板50をこの微粒子溶液から引き上げ、微粒子溶液を微粒子層531の層上に塗布する。引き上げられた基板50は、微粒子層531の層上に塗布された微粒子溶液を乾燥させる。この乾燥により、微粒子層531の層上で微粒子溶液の分散媒が徐々に蒸発し、微粒子512が自己組織化により微粒子層531上で3次元的に規則正しく配列する。したがって、微粒子512が自己組織化により3次元的に規則正しく配列した微粒子層532が形成される。この微粒子層532に高分子522を溶媒に溶解した高分子溶液を塗布又は噴霧する。これにより、微粒子層532の表面及び層内に高分子522が配され、微粒子512を固定化する。これにより微粒子層532が高分子522によって固定化することができる。
そして、微粒子層532が形成された基板50を微粒子513を分散媒に分散させた微粒子溶液に浸漬させる。浸漬した基板50をこの微粒子溶液から引き上げ、微粒子溶液を微粒子層532の層上に塗布する。引き上げられた基板50は、微粒子層532の層上に塗布された微粒子溶液を乾燥させる。この乾燥により、微粒子層532の層上で微粒子溶液の分散媒が徐々に蒸発し、微粒子513が自己組織化により微粒子層532上で3次元的に規則正しく配列する。したがって、微粒子513が自己組織化により3次元的に規則正しく配列した微粒子層533が形成される。この微粒子層533に高分子523を溶媒に溶解した高分子溶液を塗布又は噴霧する。これにより、微粒子層533の表面及び層内に高分子523が配され、微粒子513を固定化する。これにより微粒子層533が高分子523によって固定化することができる。このように本発明のスクリーン5を形成することができる。
ここで、微粒子溶液の塗布方法は、上述のように引き上げ法により基板に塗布してもよいが、カーテンコーティング、スクリーンコーティング、ナイフコーティング等の既存のコーティング法を利用してもよい。また、高分子の微粒子層の表面及び層内へに配する方法としては、上述のように、高分子を溶媒に溶解させた高分子溶液を噴霧又は塗布する方法でもよいが、微粒子を分散媒に分散させた微粒子分散溶液に高分子を溶解させ、微粒子溶液の塗布とともに微粒子層の表面及び層内に配してもよい。
このように、本発明のスクリーンは、それぞれの層を高分子で固定化することで、機械的強度を向上させることができる。また、層間の結合力を強くすることができ、バインダーとして機能する。すなわち、層の剥がれを防ぐことができる。さらに、複数の層を1つの塊として取り扱うことができるため、転写を容易に確実に行うことができる。
以下、本発明に関する実施例を示す。なお、本発明においては、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
[実施例1]光学特性の変わらない高分子の塗布条件の探索
基板として、サンドブラスト加工により表面の濡れ性を高めたポリエチレンテレフタレート(PET)基板(帝人デュポンフィルム製)を用いた。この基板上に後に形成する微粒子層の下地となり、微粒子層を形成する微粒子よりも粒径小さい下地微粒子を基板に堆積させたバッファー層を形成した。このバッファー層は、粒径100nm(日本触媒製 KE−W10)の下地微粒子を分散媒に分散させた下地微粒子溶液を基板に塗布して乾燥させることで、基板上にバッファー層を形成することができる。このときの下地微粒子溶液は、濃度が15.6wt%となるように調製された。この下地微粒子溶液にPET基板を浸漬させ、PET基板を5cm/secの速さで引き上げ、この浸漬工程及び引き上げ工程を2回繰り返した。このとき、サンドンブラストの凹凸にバッファー層が敷き詰められている状態になった。
基板として、サンドブラスト加工により表面の濡れ性を高めたポリエチレンテレフタレート(PET)基板(帝人デュポンフィルム製)を用いた。この基板上に後に形成する微粒子層の下地となり、微粒子層を形成する微粒子よりも粒径小さい下地微粒子を基板に堆積させたバッファー層を形成した。このバッファー層は、粒径100nm(日本触媒製 KE−W10)の下地微粒子を分散媒に分散させた下地微粒子溶液を基板に塗布して乾燥させることで、基板上にバッファー層を形成することができる。このときの下地微粒子溶液は、濃度が15.6wt%となるように調製された。この下地微粒子溶液にPET基板を浸漬させ、PET基板を5cm/secの速さで引き上げ、この浸漬工程及び引き上げ工程を2回繰り返した。このとき、サンドンブラストの凹凸にバッファー層が敷き詰められている状態になった。
その後、粒径220nmのシリカ微粒子(日本触媒製 KE−W22)を分散媒に分散させ、濃度が20wt%となるように微粒子溶液を調製した。この微粒子溶液にPET基板を浸漬させ、引き上げ速度が1cm/secで引き上げた。そして、PET基板上の微粒子溶液を乾燥させた。乾燥後、分光反射率を測定すると、465nm付近におよそ20%程度の反射ピークが検出された。
上述のように形成された微粒子層の表面にポリビニルアルコール(PVA)(日本合成化学製 NM−11)を溶解したPVA溶液をスプレー(タミヤ模型製 スプレーワークHG)により噴霧した。このときのスプレーの液滴の大きさは1mm以下で、スプレー特性は2.1×10−4cc/sec・cm2で、サンプルより30cm離して10秒間噴霧した。PVA溶液の噴霧後、乾燥させた。このPVA溶液噴霧工程及び乾燥工程を3回繰り返した。PVA溶液は、濃度が3.0wt%、1.3wt%、0.33wt%となる溶液を使用した。各濃度における微粒子層の分光反射率を測定し、その結果を図15、図16、図17に示す。
その結果、図15のように、PVA濃度が3.0wt%の場合、反射率が低下し、反射ピークが長波長側にシフトしていることが分かった。また、図16のように、PVA濃度が1.3wt%の場合、反射率の低下は見られるものの3.0wt%の場合に比べてよい反射特性を示した。さらに、図17のように、0.33wt%の場合、反射率の低下はほとんど見られず、光学特性の劣化を確認できなかった。すなわち、光の反射を妨げない高分子12の濃度としては、1.3wt%以下で、さらに、高分子の存在しない微粒子層と同等の反射率を持たせるためには、0.33wt%以下の濃度であることが好ましいことがわかった。このように、光学特性を劣化させずに微粒子層にPVAを配することで機械的強度を向上させることができることができた。
[実施例2]巻き付けに対する耐性
実施例1の方法で作製したサンプルのうち、サンプルの一部に濃度0.33wt%のPVA溶液を塗布した。そのサンプルを10mmの筒に巻きつけ、そのサンプルの表面を観察した。その結果を図16に示す。
実施例1の方法で作製したサンプルのうち、サンプルの一部に濃度0.33wt%のPVA溶液を塗布した。そのサンプルを10mmの筒に巻きつけ、そのサンプルの表面を観察した。その結果を図16に示す。
図18のように、PVA溶液を塗布していない領域は、フォトニック結晶が剥がれていた。それに対し、PVAを塗布した領域は、フォトニック結晶の剥がれがほとんど見られなかった。また、このフォトニック結晶の分光反射特性を測定したが、実施例1の図18と同様に分光反射特性は変化しなかった。すなわち、PVAの濃度と塗布条件を制御することで、光学特性を損なうことなく、機械的強度を向上させることができることがわかった。
[実施例3] バインダーの塗布
まず、実施例1と同様に、サンドブラストしたPET基板に100nmのシリカ微粒子を使ってバッファー層を形成した。バッファー層を形成したPET基板に、実施例1と同様に、220nmのシリカ微粒子を使用し、1cm/secの速さで引き上げ法により微粒子層を形成した。この微粒子層の厚さは約2μmであった。微粒子層の乾燥後、微粒子層の表面に実施例1と同様の条件でPVA溶液を塗布した。さらに、微粒子層に引き上げ法により同じ粒径の微粒子層を積層させるという工程を全部で3回繰り返した。
まず、実施例1と同様に、サンドブラストしたPET基板に100nmのシリカ微粒子を使ってバッファー層を形成した。バッファー層を形成したPET基板に、実施例1と同様に、220nmのシリカ微粒子を使用し、1cm/secの速さで引き上げ法により微粒子層を形成した。この微粒子層の厚さは約2μmであった。微粒子層の乾燥後、微粒子層の表面に実施例1と同様の条件でPVA溶液を塗布した。さらに、微粒子層に引き上げ法により同じ粒径の微粒子層を積層させるという工程を全部で3回繰り返した。
形成された微粒子層をPVAを塗布しないで同様に形成された微粒子層と比較した。PVA溶液を噴霧しなかった微粒子層は、図19(a)のように微粒子層が剥がれてしまった。一方PVA溶液を噴霧した微粒子層は、図19(b)のように微粒子層が剥がれなかった。以上のように、基板から微粒子層が剥がれることなく厚い微粒子層を形成することができた。このときの微粒子層全体の厚さは、約6μm以上であった。また、このPVA溶液を噴霧した基板にさらに3層の微粒子層を積層させることもできた。このときの微粒子層全体の厚さは、約12μmであった。したがって、微粒子の粒径の約30倍以上の厚さの微粒子層を有する微粒子構造体を形成することができた。
[実施例4]スクリーンの形成
図20は、本実施例3の各工程を示す図である。まず、図20(a)のように、実施例1と同様に、100nmのシリカ微粒子を使ってバッファー層を有するサンドブラストしたPET基板70を形成した。続いて、図20(b)のように赤色の光を反射することができる微粒子層75を作製するために粒径が300nmのシリカ微粒子(日本触媒製 KE−WE32)を分散媒に分散させ、濃度が20wt%となるように調製した。この微粒子溶液を基板70に引き上げ法により塗布した。このときの引き上げ速度は、1cm/secであった。微粒子溶液の乾燥後、図20(c)のように、0.33wt%のPVA水溶液を実施例1と同様に塗布した。
図20は、本実施例3の各工程を示す図である。まず、図20(a)のように、実施例1と同様に、100nmのシリカ微粒子を使ってバッファー層を有するサンドブラストしたPET基板70を形成した。続いて、図20(b)のように赤色の光を反射することができる微粒子層75を作製するために粒径が300nmのシリカ微粒子(日本触媒製 KE−WE32)を分散媒に分散させ、濃度が20wt%となるように調製した。この微粒子溶液を基板70に引き上げ法により塗布した。このときの引き上げ速度は、1cm/secであった。微粒子溶液の乾燥後、図20(c)のように、0.33wt%のPVA水溶液を実施例1と同様に塗布した。
次に、図20(d)のように、赤色の光を反射することができる微粒子層75を形成した基板70に、緑色の光を反射することができる微粒子層76を作製するために、粒径が250nmのシリカ微粒子(日本触媒製 KE−W25)を分散媒に分散させ、濃度が20wt%となるように調製した。この微粒子溶液を基板70に引き上げ法により塗布した。このときの引き上げ速度は、1cm/secであった。微粒子溶液の乾燥後、図20(e)のように、0.33wt%のPVA水溶液を実施例1と同様に塗布した。
その後、図20(f)のように、緑色の光を反射することができる微粒子層76を形成した基板70に、青色の光を反射することができる微粒子層77を作製するために、粒系が220nmのシリカ微粒子(日本触媒製 KE−W22)を分散媒に分散させ、濃度が20wt%となるように調製した。この微粒子溶液を基板70に引き上げ法により塗布した。このときの引き上げ速度は1cm/secであった。微粒子溶液の乾燥後、図20(g)のように、0.33wt%のPVA水溶液を実施例1と同様に塗布した。
次に、サンドブラスト加工していないPET基板71(帝人デュポン製)に粘着テープ72(日東電工製 CS−9611)の弱粘着側を貼り付けたものを使用した。そして、図20(h)のように、この基板71の強粘着側を基板70の微粒子層77に貼り付けた。十分に貼り付けたことを確認してから、図20(i)のように、微粒子層を持上げ、基板70から微粒子層を剥がし、基板70から基板71に微粒子層の転写を行った。
形成されたサンプルの概観を図に示す。図21に示されるように、微粒子層は略綺麗に転写されることがわかった。所々転写されていない箇所があるが、これはゴミ等の付着により、微粒子層の表面が平坦にならず、粘着テープ72が十分に接着されてなかったためである。また、図22に示すように、形成されたスクリーンは、波長選択性を有していることがわかった。これは、粒径の異なるフォトニック結晶層を堆積させると、その界面近傍で応力がかかってしまうことが原因であると考えられる。このような場合でも、PVAを塗布することで応力が緩和されて剥がれる問題を解決することができた。ここで、基板71をPET基板ではなく、透明なポリカーボネートを用いると、転写後も微粒子層は波長選択性をもっていることも確認された。
次に、このスクリーンの微粒子層の剥がれについて検討した。図23には、PVA溶液を塗布していないスクリーンの表面とその構造を示す図を示し、図24には、PVA溶液を塗布したスクリーンの表面とその構造を示す図を示した。図23のように、PVAを用いていないサンプルでは、基板から微粒子層が剥がれてしまっていた。一方、図24のように、PVAを用いたサンプルでは基板から粒子層が剥がれなかった。これはPVAがバインダーとして機能したためと考えられる。
[実施例5]
異径粒子間にPVAを塗布することで、粒子層の形成に及ぼす影響を調べた。サンプルの作製過程を図25及び図26に示す。サンプル1は、図25のように、基板に100nnmのシリカを使って下地微粒子層を形成し、その上に320nmのシリカを使って微粒子層を形成し、その上にPVA溶液を使用せずに250nmのシリカを使用して微粒子層を積層させた。微粒子層の形成方法は、実施例4に示した方法と同様である。サンプル2は、サンプル1と同様に320nmのシリカを使用して微粒子層を形成した後に、PVA溶液を塗布し、250nmのシリカを使用して微粒子層を積層させた。この2つのサンプルを乾燥させた後、2つのサンプルの分光反射率を測定した。その結果を図27に示す。
異径粒子間にPVAを塗布することで、粒子層の形成に及ぼす影響を調べた。サンプルの作製過程を図25及び図26に示す。サンプル1は、図25のように、基板に100nnmのシリカを使って下地微粒子層を形成し、その上に320nmのシリカを使って微粒子層を形成し、その上にPVA溶液を使用せずに250nmのシリカを使用して微粒子層を積層させた。微粒子層の形成方法は、実施例4に示した方法と同様である。サンプル2は、サンプル1と同様に320nmのシリカを使用して微粒子層を形成した後に、PVA溶液を塗布し、250nmのシリカを使用して微粒子層を積層させた。この2つのサンプルを乾燥させた後、2つのサンプルの分光反射率を測定した。その結果を図27に示す。
図27に示されるとおり、650nm付近に粒径320nmのシリカ微粒子層由来のピークが観察された。また、530nm付近に粒径250nmのシリカ微粒子層由来のピークが観察された。したがって、PVAの有無によって分光反射率分布が変化することはなかった。別の点でも反射率を測定したがPVAの有無によって大きく分光反射率分布が変化することはなかった。以上の結果から、PVAがフォトニック結晶の成長に影響を及ぼすことなく、粒子間の結合力を高め、機械的強度を向上させられることが示された。
[実施例6]微粒子層の転写
基板として黒いPET基板を使用し、2つのサンプルを作製した。サンプル3は、基板に100nmのシリカを使用して下地微粒子層を形成し、そのシリカ微粒子層にPVA溶液を塗布した。その後、320nmのシリカを使用して微粒子層を形成し、PVA溶液を塗布せずに250nmのシリカを使用して微粒子層を形成した。250nmの微粒子層の形成後、PVA溶液を塗布し、その上に220nmのシリカを使用して微粒子層を形成した。
基板として黒いPET基板を使用し、2つのサンプルを作製した。サンプル3は、基板に100nmのシリカを使用して下地微粒子層を形成し、そのシリカ微粒子層にPVA溶液を塗布した。その後、320nmのシリカを使用して微粒子層を形成し、PVA溶液を塗布せずに250nmのシリカを使用して微粒子層を形成した。250nmの微粒子層の形成後、PVA溶液を塗布し、その上に220nmのシリカを使用して微粒子層を形成した。
一方、サンプル4は、基板に100nmのシリカを使用して下地微粒子層を形成した。その後、320nmのシリカを使用して微粒子層を形成し、PVA溶液を塗布して250nmのシリカを使用して微粒子層を形成した。250nmの微粒子層の形成後、PVA溶液を塗布し、その上に220nmのシリカを使用して微粒子層を形成した。
この2つのサンプルを図28及び図29のように転写を行った。サンプル3は、図28(a)のように、まず、220nmの微粒子層の層上に粘着材を有する基板を接着させた。そして、図28(b)のように引き上げた。転写後のサンプル3の表面の状態を図30に示す。また、サンプル4もサンプル3と同様に、図29(a)のように、まず、220nmの微粒子層の層上に粘着材を有する基板を接着させた。そして、図29(b)のように引き上げた。転写後のサンプル4の表面の状態を図31に示す。
図31のとおり、サンプル4は、極めて綺麗に転写され、黒いPET基板を観察することができる。所々転写されていない箇所はあるが、これは、ゴミ等の要因で粘着剤が綺麗に貼れなかったためと考えられる。サンプル4のように、微粒子間にPVA溶液を塗布することで、PVAがバインダーとして機能し、転写性を向上させることができた。一方、サンプル3は、図30のとおり、転写が不完全であった。
このサンプル3及びサンプル4の転写後の黒いPET基板の分光反射率を測定した。この測定は、サンプル3及びサンプル4のそれぞれ異なる2点について測定した。このとき、光源とデテクターをサンプルに接触させることで感度を高めた。その結果を図32に示す。
サンプル3では粒径320nmシリカ由来の赤色の反射ピークが観察された。ただし、図32(a)と図32(b)のように、測定点によってピークの大きさが大きく異なっていた。一方、図32(c)及び図32(d)の示すサンプル4は、赤色のピークは観察されず、また、測定点によってピークの大きさの違いはあまり見られなかった。
これは、サンプル3では、320nmと250nmの微粒子層の間にはPVA溶液を塗布していないため、320nmの粒子は黒いPET基板との相互作用が強くなり、転写されにくくなった。ところが、サンプル4では320nmの微粒子層と下地微粒子層との間にPVA溶液を塗布していない。このため、320nm、250nm、220nmの微粒子層が1つの塊となったため、転写されやすくなり、320nmの微粒子層と下地微粒子層との界面がはがれやすくなったためと考えられる。以上のように、異径粒子間にPVA溶液を塗布することでバインダーとして働き、転写性が向上させることができた。
1、2 微粒子構造体
10、20、50 基板
11、21、511、512、513 微粒子
12、22、521、522、523 高分子
13、23、26、29、531、532、533 微粒子層
14、54 粘着材
15、55 別の基板
5 スクリーン
10、20、50 基板
11、21、511、512、513 微粒子
12、22、521、522、523 高分子
13、23、26、29、531、532、533 微粒子層
14、54 粘着材
15、55 別の基板
5 スクリーン
Claims (18)
- 略平板状の基板と、
上記基板上に自己組織化により微粒子を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層と、
上記微粒子の配列した上記微粒子層に塗布又は噴霧され、上記基板に配列した上記微粒子を固定化する高分子とを有することを特徴とする微粒子構造体。 - 上記微粒子層は、フォトニック結晶であることを特徴する請求項1記載の微粒子構造体。
- 上記微粒子層は、上記微粒子を分散媒に分散した微粒子溶液に上記基板を浸漬し、上記微粒子溶液から上記基板を引き上げることにより形成されることを特徴とする請求項1記載の微粒子構造体。
- 上記微粒子層の厚さは、上記微粒子の粒径の30倍以上であることを特徴とする請求項1記載の微粒子構造体。
- 上記微粒子層は、上記微粒子とは異なる粒径の第2微粒子を自己組織化により3次元的に規則正しく配列させた第2微粒子層を上記微粒子層の厚さ方向上方に積層することを特徴とする請求項1記載の微粒子構造体。
- 上記高分子は、上記微粒子層の表面に塗布される高分子の量と上記微粒子層の層内に塗布される高分子の量とに差があることを特徴とする請求項1記載の微粒子構造体。
- 上記高分子は、上記微粒子層と上記第2微粒子層との界面又はその近傍に多く配されることを特徴とする請求項5記載の微粒子構造体。
- 微粒子を分散媒に分散させた微粒子溶液を略平板状の基板に塗布する工程と、
上記基板に塗布された上記微粒子溶液を乾燥させて自己組織化により上記微粒子を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層を形成する工程と、
上記微粒子を固定化する高分子を上記微粒子の配列した上記微粒子層の表面及び層内に配する工程とを有することを特徴とする微粒子構造体の形成方法。 - 上記高分子は、該高分子を溶媒に溶解させた高分子溶液を上記微粒子層の表面及び層内に複数回塗布又は噴霧するとともに塗布又は噴霧毎に乾燥させる、或いは、上記高分子を形成するモノマーを上記微粒子層の表面及び層内に複数回配するとともに上記モノマーを配する毎に上記モノマーを高分子化させることを特徴とする請求項8記載の微粒子構造体の形成方法。
- 上記高分子溶液の濃度は、1wt%以下であることを特徴とする請求項8記載の微粒子構造体の形成方法。
- 上記高分子溶液の濃度は、0.33wt%以下であることを特徴とする請求項8記載の微粒子構造体の形成方法。
- 上記高分子は、上記微粒子と親和性の高い高分子であることを特徴とする請求項8記載の微粒子構造体の形成方法。
- 上記微粒子は、シリカであることを特徴とする請求項8記載の微粒子構造体の形成方法。
- 上記高分子は、ポリビニルアルコール又はポリビニルアルコールを有する共重合体であることを特徴とする請求項8記載の微粒子構造体の形成方法。
- 略平板状の基板と、
上記基板上に自己組織化により微粒子を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層と、
上記微粒子の配列した上記微粒子層に塗布又は噴霧され、上記基板に配列した上記微粒子を固定化する高分子とを有することを特徴とするスクリーン。 - 略平板状の基板と、
上記基板上に微粒子を分散媒に分散した微粒子溶液を塗布し、自己組織化により上記微粒子を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層と
上微粒子溶液と混合され、上記基板に配列した微粒子を固定化する高分子とを有することを特徴とする微粒子構造体。 - 微粒子を分散媒に分散させた微粒子溶液を略平板状の基板に塗布する工程と、
上記基板に塗布された上記微粒子溶液を乾燥させて自己組織化により上記微粒子を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層を形成する工程と、
上記微粒子を固定化する高分子を上記微粒子溶液に混合し、上記基板に配列した上記する工程とを有することを特徴とする微粒子構造体の形成方法。 - 略平板状の基板と、
上記基板上に微粒子を分散媒に分散した微粒子溶液を塗布し、自己組織化により上記微粒子を3次元的に規則正しく配列させた微粒子層と、
上微粒子溶液と混合され、上記基板に配列した微粒子を固定化する高分子とを有することを特徴とするスクリーン。
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JP2004327446A JP2006138980A (ja) | 2004-11-11 | 2004-11-11 | 微粒子構造体、微粒子構造体の形成方法及びスクリーン |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010060974A (ja) * | 2008-09-05 | 2010-03-18 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 表示部材 |
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WO2016013137A1 (ja) * | 2014-07-23 | 2016-01-28 | ソニー株式会社 | 3次元スクリーン構造および3次元画像生成システム |
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-
2004
- 2004-11-11 JP JP2004327446A patent/JP2006138980A/ja active Pending
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