JP4556230B2 - 核酸検出容器 - Google Patents
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Description
核酸を増幅させる核酸増幅部位(1)と、検出用プローブが固定化された少なくとも1つの核酸検出部位(2)を備えた、底面を有する容器において、核酸増幅部位(1)と核酸検出部位(2)が、容器の底面の異なる位置に設けられ、該位置が核酸増幅反応後に、当該反応液が、容器内で拡散展開され、核酸検出部位と接触することが可能な関係にあって、該核酸増幅部位(1)と該核酸検出部位(2)の間に特定の液流路が設けられていないことを特徴とする核酸検出用容器。
以下に本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応する部分を示すものとする。
図1及び図2は、本発明の核酸検出用容器を示す図である。図1は、本発明の容器を斜め方向から見たもので、立体的形状を把握することができる。図2は、本発明の容器の断面図である。
本発明の容器は、特定核酸を増幅させる核酸増幅部位(1)と核酸検出部位(2)を含み、(1)と(2)の間には試薬、緩衝液等の流路を設ける必要のないものである。また、(1)と(2)の間の距離は、特に限定されるものではないが、0.01〜300mmであればよく、好ましくは0.01〜100mmであり、より好ましくは0.01〜50mmである。
具体的には、DNAの固定化を目的としたナイロンやニトロ・セルロースのメンブレンであれば、DNA溶液を滴下後に紫外線照射・ベーキング・アルカリなどによって固定化する方法が知られている。また、ナイロンやポリスチレンなどの有機材料にオリゴDNAを固定化する場合、オリゴDNAに無関係な配列(ポリ・チミン鎖など)を付加し、DNAの分子量を大きくことにより固定化の効率をあげることもできる。また、担体表面がガラスなどの場合、アミノエトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤やポリリジンなどで担体表面が正電荷を有するように処理することで、ポリアニオンであるDNAプローブとの正電相互作用により、固定化の効率を上げることができることが知られている。
本発明の核酸検出用容器を用いて、同一の容器内で特定核酸の増幅及び検出を行うことができる。具体的には、次に示す工程を含む。
2)前記検体が導入された核酸増幅部位(1)と、核酸検出部位(2)とを遮断する工程
3)検出すべき核酸を増幅させる工程
4)前記核酸増幅部位(1)と核酸検出部位(2)との遮断を取り除く連通工程
5)前記増幅した核酸反応液を容器内に拡散展開させる工程
6)前記増幅した核酸を核酸検出部位(2)に固定化された検出用プローブとハイブリダイズさせる工程
7)容器内で核酸検出用試薬を反応させる工程
8)核酸検出部位(2)において核酸を検出する工程
1)検体を核酸増幅部位(1)に導入する工程
本工程は、核酸増幅部位(1)で、目的とする核酸を増幅させるために、目的の核酸が混入可能性のある検体を核酸増幅部位に加えることにより行われる。目的の核酸は、本発明においては具体的に限定されるものではないが、特定の遺伝子等が挙げられる。例えば、生体中の特定の遺伝子を検出したい場合や、特定の遺伝子の多型を解析したい場合には、該当する特定の配列部分を検出することが例示される。また、遺伝子タイプの異なるウイルス感染について解析したい場合なども、特定の遺伝子の特定の配列部分を検出することができる。このような目的で適用される検体は、このような目的の核酸が混入可能性のあるあらゆる成分について行うことができる。例えば、血液、尿、唾液、鼻汁、分泌物、その他の体液や、微生物混入可能性のある物質、例えば食品、緩衝液等を検体として適用することができる。
本発明においても、予めDNAを抽出した処理検体を本発明の測定に供することはできるが、更に簡便な方法として、核酸増幅部位(1)に検体処理液を予め備えておくことで、核酸増幅部位(1)に検体導入する工程においてDNAを抽出することができる。このような検体処理液は、公知あるいは市販のものを使用することができ、例えばアンプダイレクト(島津製作所製)を使用することができる。このような検体処理液を使用すると、直接検体を本発明の測定容器に導入することで、特定の核酸を増幅させることができる。
検体中に含まれる目的とする特定の核酸を増幅するために、検体及び核酸増幅に必要な試薬類、例えば核酸増幅用プライマー、基質試薬、緩衝液等のすべてが核酸増幅部位におかれた後、核酸増幅部位(1)を密閉することが必要である。PCR法による核酸増幅の方法は、後述のように高温処理を行うため、検体及び反応試薬の蒸散を防止する必要がある。同時に、増幅反応で高濃度化した検体が蒸散などで直接検出部位に触れ、検出反応時に非特異な反応を生じたり、容器外の装置に触れることによりキャリー・オーバーのコンタミネーションを起こしたりすることを防ぐことができる。
核酸増幅部位(1)と核酸検出部位(2)は、例えば図2の(3)部分に核酸増幅部位に巌合する蓋をおくことにより遮断することができる。又は図2の(3)部分に核酸増幅部位に含まれる検体よりも比重の小さい不揮発性有機溶媒を、例えばミネラル・オイルなどを重層するように流し込むことによっても遮断することができる。
検出すべき核酸の増幅は、公知の方法、例えばPCR法、NASBA法、LAMP法又はICAN法等により行うことができ、好適にはPCR法等により行うことができる。
増幅すべき核酸の塩基数が100〜400塩基対、好ましくは150〜300塩基対の場合のPCR法により増幅する場合を例示して説明する。(i)2本鎖ゲノムDNAを約92〜95℃、約30秒〜1分間の反応条件で熱処理することにより1本鎖にする変性工程、(ii)該1本鎖DNAのそれぞれに約50〜65℃を約20秒〜1分間の反応条件で、少なくとも2種類の増幅プライマーを結合させることによりPCRの反応開始点となる2本鎖部分を作製するアニール工程、(iii)約70〜75℃を約20秒〜5分間の反応条件でDNAポリメラーゼを用いて反応させる鎖伸張工程の(i)〜(iii)の工程を通常の方法により20〜40回繰り返す。
後述する核酸検出のために、核酸増幅反応に使用するプライマーは、標識物質と反応しうる物質、例えばビオチン、放射性同位体等を修飾したものを使用することができる。
前記増幅した核酸配列中に目的の核酸を含むか、又は遺伝子多型の配列のうちいずれであるか等の分析のために、核酸検出部位(2)に特定の核酸が増幅した検体を導入する必要がある。そのために、遮断を取り除いて核酸増幅部位(1)で増幅処理された検体を取り出し、核酸検出部位(2)に導入しなければならない。例えば核酸増幅部位に巌合する蓋で遮断した場合には、該蓋を取り外せば遮断を除去することができる。例えば、比重の軽い不揮発性の有機溶媒を用いて遮断した場合には、核酸増幅部位に洗浄用緩衝液等の溶液や反応試薬などを注入することにより該有機溶媒が分散されて、遮断を除去することができる上、増幅した拡散を希釈することができて好ましい。
核酸増幅部位(1)と核酸検出部位(2)との遮断を取り除いた後、核酸検出部位に増幅した核酸を接触させるために拡散展開をさせる。例えば、核酸増幅部位(1)に核酸検出に必要な試薬、緩衝液等を加えることで、増幅された特定の核酸を含む反応液を核酸増幅部位(1)からあふれ出させ、検体を容器の底面部に拡散展開させる。試薬、緩衝液等は、核酸検出部位(2)の側壁(4)面にそって滴下させ、加えることができる。
前記展開した反応液を該容器の底面部に設けられた核酸検出部位(2)に到達させ、反応液中に含まれる増幅した核酸と(2)に固定化された核酸検出用プローブと接触させ、ハイブリダイズさせる。該ハイブリダイズは、通常DNA等をハイブリダイズさせる条件下で行うことができ、例えば30〜65℃の温度等、通常の条件下で容器を振とうさせる等により行うことができる。
増幅した核酸は、例えば、酵素発光法、RI、蛍光物質、化学発光物質などを用いて検出することができる。本工程では、該検出のために使用する核酸検出用試薬を、本発明の容器内で反応させる。
例えば、酵素蛍光法により検出する場合には、次の手順により核酸反応用試薬を反応させることができる。ビオチン修飾したプライマーを用いて増幅した核酸と、検出用プローブをハイブリダイズさせたものについて、該ビオチンにストレプト・アビジンを有するアルカリホスファターゼを結合させる。このようなストレプト・アビジン、アルカリホスファターゼを含む溶液との反応を本工程において行う。
酵素発光法、RI法、蛍光法、化学発光法、化学蛍光法等の方法に応じて、通常の方法により検出することができる。例えば、発色した酵素溶液の吸光度、発光量、放射性同位体等の量を測定することによる。中でも、比較的安価で容易に実施できるNBT/BCIP発色法が好ましい。
本発明は、本発明の核酸検出用容器を用いた核酸検出方法にも及ぶ。また、本発明の核酸検出方法に使用する核酸増幅部位(1)と核酸検出部位(2)とを遮断するもの、及び試薬、例えば核酸検出用容器に備えられた試薬等にも及ぶ。さらに、本発明は、核酸検出用容器、試薬等を含む核酸検出用キットにも及び、本発明の核酸検出用容器を装着させることによって、核酸増幅工程、反応工程、核酸検出工程等を自動的に行い得る核酸検出用装置にも及ぶ。
核酸検出用容器として、素材にはポリプロピレン(PP)を用い、図3の容器を成形した。図3の核酸検出用容器の検出部位(2)に、配列表の配列番号1及び2に記載のオリゴDNAを、検出用プローブとして固定化した(図3(5)(6))。
これらは、エストロゲン受容体遺伝子のXba1遺伝子多型のX型とx型に対応した配列のオリゴヌクレオチドである。ターミナルトランスフェラーゼ(Terminal Transferase(プロメガ社))によって3'端にdTTPが約400塩基長ほど連なったポリT鎖(poly-T鎖)を付加した後1mMで0.5μL滴下し、乾燥させた。その後、波長312nmのUV照射装置(アットー社、15W×6本)で2分間照射して固定化した。同様に、5'端をビオチン標識した約400塩基長のpoly-T鎖もコントロールとして固定化した(図3(7))。
配列表の配列番号1及び2(X型及びx型)に記載のオリゴDNAを固定化した。
プローブ1:TCTGGAGTTGGGATGA(配列番号1)
プローブ2:GTGGTCTAGAGTTGGG(配列番号2)
核酸増幅部位(1)にてPCR法による核酸増幅反応を行った。反応時には核酸増幅部位(1)を密閉するよう蓋を施した。
1)核酸増幅のために、以下の核酸増幅用試薬を混合し、全量を20μLとしたものを核酸増幅部位(1)に加えた。核酸増幅用プライマーとして、エストロゲン受容体遺伝子のXba1多型を含んだ約200塩基長の配列を増幅させるものを用いた。検体は、健常人血液よりアンプリコア血液検体処理用試薬(ロシュ社)により抽出したものを用いた。本検体における健常人のエストロゲン受容体遺伝子Xba1多型は既知で、xx型であった。
Taq DNA ポリメラーゼ(東洋紡社) 1Unit
dNTPs 0.2mM
Tris-HCl 10mM(pH8.3)
KCl 50mM
MgCl2 1.5mM
プライマー(それぞれ0.5μMで5'端ビオチン標識)
フォワード:GTTCCAAATGTCCCAGCCGT(配列番号3)
リバース:CCTGCACCAGAATATGTTACC(配列番号4)
ヒトDNA 2μL
PCR反応は次の温度条件に従った。これにより、DNAの熱変性、プライマーのアニーリング、ポリメラーゼ反応による伸長反応を繰り返して核酸を増幅した。PCR反応は、市販の装置を用い、本発明の核酸検出用容器を装填しておこなった。
95℃ 5分 1サイクル
95℃ 30秒、55℃ 20秒、72℃ 20秒 30サイクル
72℃ 5分 1サイクル
4℃ 保存
PCRによる核酸増幅反応後に、以下の条件にて検出反応を行った。
20μLの変性液(0.1M NaOH、0.2mM EDTA溶液)を核酸増幅反応後の溶液に加え、室温にて5分間放置した。
500mLのハイブリダイズ液(2×SSC溶液に0.1%のSDSを加えたもの)を加え、45℃に容器を保って30分間、振とう(60rpm/min程度)させながら、検出用プローブと増幅した核酸を反応させた。
上記の反応溶液を排出し、再度ハイブリダイズ液を加えた後、10分間振とうさせながら洗浄した。
溶液を排出し、リン酸緩衝液を加えた後、1分間振とうさせながら洗浄した。
溶液を排出し、アルカリホスファターゼ標識ストレプト・アビジンを加えたリン酸緩衝液を加え、室温で30分間振とう(60rpm/min程度)させながら反応させた。
溶液を排出し、リン酸緩衝液を加えた後、1分間振とうさせながら洗浄した。
溶液を排出し、NBT(ニトロ・ブルー・テトラゾリウム)、BCIP(ブロモ・クロロ・インドリル・リン酸・トルイジン塩)溶液を加え室温で30分間振とう(60rpm/min程度)させながら反応させた。
溶液を排出し、精製水を加えた後、10分間振とうさせながら洗浄した。
2 核酸検出部位
3 核酸増幅部位と核酸検出部位を遮断する部位
4 側壁
5 プローブ2固定部位
6 プローブ1固定部位
7 コントロール核酸固定部位
Claims (1)
- 核酸を増幅させる核酸増幅部位(1)と、検出用プローブが固定化された少なくとも1つの核酸検出部位(2)を備えた、底面を有する容器において、核酸増幅部位(1)と核酸検出部位(2)が、容器の底面の異なる位置に設けられ、該位置が核酸増幅反応後に、当該反応液が、容器内で拡散展開され、核酸検出部位と接触することが可能な関係にあって、該核酸増幅部位(1)と該核酸検出部位(2)の間に特定の液流路が設けられていないことを特徴とする核酸検出用容器。
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