JP4666133B2 - 核酸検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、特定核酸増幅方法を利用する核酸検出用装置、核酸の検出方法、核酸検出用キットならびに核酸検出用システムに関する。
検体溶液中に特定配列核酸の核酸が存在しているかどうかは、その特定配列核酸とハイブリダイズしうる核酸プローブ(以下「プローブ」という)と検体を反応させ、ハイブリダイゼーション反応を通じて検出できる。具体的には、核酸検出部位に特定配列核酸とハイブリダイズしうるプローブを固定化し、その配列部位をハイブリダイズさせ、核酸検出部においてハイブリダイズした核酸をRI、蛍光物質、化学発光物質等の標識物質により検出するのが一般的である。
検出に用いる検体は、検出感度の問題を解決するために、なんらかの核酸配列増幅方法で特定核酸配列付近の核酸配列を増幅させた検体を用いることが多い。
核酸塩基配列の増幅方法は、例えばDNA合成の連鎖反応によるPolymerase Chain Reaction法(以下「PCR法」という、Science, 230:1350-1354,1985)やNASBA法(Nucleic Acid Sequence Based Amplification 法、Nature, 350,91-92,1991)及びLAMP法(特開2001-242169号公報)、ICAN法(特許登録番号3433929号)等が公知である。これらの核酸増幅反応は、複製増幅しようとする目的遺伝子や遺伝子領域(以下「目的遺伝子」という)の核酸塩基配列(以下「特定核酸」という)に相補的な1組の合成オリゴヌクレオチドプライマー(以下「プライマー」という)を用いて、液相中にて行われる。
複数の目的遺伝子に含まれる特定核酸をそれぞれ増幅させ、それぞれの核酸配列が存在するかどうかを判定したい場合には、特定核酸の数だけのプライマーの組を含む特定核酸増幅反応試薬、特定核酸増幅反応槽を準備し、核酸を増幅させ、各々の増幅処理した検体や試薬を各々の特定核酸の検出用容器に供給する必要があった。
上記核酸増幅方法、例えばPCR法により増幅して得られた物質を簡易に検出可能とするために、核酸増幅反応及び核酸の検出反応を、同一の反応基板上で行う方法が各種試みられている。同一の反応基盤上で核酸の増幅反応や核酸の検出を行うために、同一基板上に設けた増幅部位と核酸検出部位の付近に緩衝液保持部、試薬保持部、検体保持部等を設け、或いは緩衝液、試薬、反応液等の流通を可能とする液流路を同一基板上に設けることを特徴とするものが主であった(特許文献1〜3)。このような反応基盤に液流路を設ける方法についての報告はあるものの、液流路を設けないで同一基盤、あるいは同一容器中で核酸の増幅及び核酸の検出を行う方法についての報告はなかった。
さらに、特定核酸の増幅及び検出を行う場合には、核酸増幅部位や核酸検出部位に、各々の試薬の供給、洗浄のための試薬や洗浄用試薬を加えたり除去したりする操作が必要であった。
特開2003-325199号公開公報 特開2003-177114号公開公報 特開2003-325199号公開公報
しかしながら、従来の方法では、試薬(反応液や洗浄液など)・検体などの液体を、固定された液だまりより流路を通して定められた反応部位まで流した後に、その反応部位で反応させていた。核酸配列プローブを含む固体の検出部位はいずれかの反応部位に固定されており、その反応部位でハイブリダイゼーションなどの反応が行われ、検出が行われていたが、流路に試薬などを流す方法などが困難の課題の一つとしてあがっていた。
同様に、反応によってはある試薬や洗浄液を流路を通して反応部位に加えた後に、反応部位の液体(試薬)を排出した後に、別の試薬や洗浄液を加えて次の反応を行う必要がある。そのための装置の機構をどのようにするかも、課題の一つとしてあげられていた。
本発明は、核酸の増幅工程及び核酸の検出工程を含む核酸の検出において、核酸の増幅、核酸チップとのハイブリダイゼーション、反応試薬の導入、洗浄等の操作を簡略化した迅速かつ簡便な核酸検出用装置を提供することにある。さらには、このような核酸検出用装置を用いる核酸の検出方法、核酸検出用キットならびに核酸検出用システムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、核酸配列用プローブを含む検出部位を移動させ、その他の試薬などを固定化することにより、上記課題が解決しうることを見出し、本発明を完成した。具体的には、特定核酸検出用プローブが予め固定化されてなる核酸検出部が設置されたデバイスと、核酸検出用試薬が充填された核酸検出反応槽が少なくとも一つ設置された支持体を少なくとも一つ含み、前記デバイスに設置された核酸検出部を移動させることにより、該核酸検出部と前記核酸検出反応槽に充填された核酸検出用試薬との接触を可能とする機能を備えている核酸検出用装置を提供し本発明を完成した。
すなわち本発明は以下からなる。
1.特定核酸検出用プローブが予め固定化されてなる核酸検出部が設置されたデバイス、及び、核酸検出用試薬が充填された核酸検出反応槽が少なくとも一つ設置された少なくとも一つの支持体を備え、前記デバイスと、前記少なくとも一つの支持体は上下に重なり合い、該デバイスのその回転軸を中心とした回転により核酸検出部を移動させる手段を有し、該核酸検出部と前記核酸検出用試薬との接触を可能とする機能を備えていることを特徴とする核酸検出用装置。
.前記支持体に設置された少なくとも一つの核酸検出反応槽が、前記デバイスの回転軸を中心とした同一円周に相当する位置に設置された前項に記載の核酸検出用装置。
.前記デバイスに、次の少なくとも一つが担持された前項1または2に記載の核酸検出用装置:
1)検体供給部位;
2)前記支持体に設置された少なくとも一つの核酸検出反応槽の開口部の閉鎖部位。
.前記支持体に設置された核酸検出反応槽が、以下に示す槽のいずれかである前項1〜何れか一に記載の核酸検出用装置:
1)特定核酸の増幅反応槽;
2)特定核酸のハイブリダイゼーション槽;
3)特定核酸の検出槽;
4)洗浄槽。
.前記核酸検出部を移動させることにより、以下の少なくとも一の処理がなされる前項1〜いずれか一に記載の核酸検出用装置:
1)特定核酸の検出用プローブとのハイブリダイゼーション;
2)検出のための検出前反応;
3)検出反応;
4)核酸検出部の洗浄。
.前項1〜のいずれか1に記載の核酸検出用装置を用いた特定核酸の検出方法。
.少なくとも以下の工程を含む前項記載の方法:
1)検体を、検体供給部位を通じて核酸検出反応槽の一つに導入する検体供給工程;
2)ハイブリダイズ用試薬を備える核酸検出反応槽において、核酸検出部に固定化された核酸検出用プローブと増幅された特定核酸をハイブリダイズさせる工程;
3)上記ハイブリダイズした核酸を、標識物質により検出する工程。
.前記検体供給工程後に、核酸検出反応槽において、検体中に含まれる特定核酸を増幅させる特定核酸増幅工程を含む前項に記載の方法。
.核酸検出部においてハイブリダイズした核酸を標識物質により検出する工程の前に、該ハイブリダイズした核酸を、検出前反応用試薬と反応させる前項又はに記載の方法。
10.核酸検出反応槽においてなされる各反応の少なくとも一以上の反応後に、核酸検出部の洗浄が行われる前項7〜9の何れか一に記載の方法。
11.前項1〜の何れか一に記載の核酸検出用装置を含む核酸検出用キット。
12.前項1〜の何れか一に記載の核酸検出用装置を使って核酸検出を行う核酸検出用システム。
本発明の核酸検出用装置により、流路を用いての試薬などの液体の移動なしに核酸配列を検出することができる。
また、核酸増幅部位や核酸検出部位に、各々の試薬の供給、洗浄のための試薬や洗浄用試薬を加えたり除去したりする必要なく特定核酸の増幅反応及び検出前反応を行うことが可能となった。すなわち、特定核酸の増幅反応及び検出前反応の際に、特定核酸増幅、核酸プローブとのハイブリダイゼーション、反応試薬の導入、洗浄等の操作を簡略化することができ、迅速かつ簡便に核酸の検出を行うことが可能となった。
(核酸検出用装置)
以下に本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応する部分を示すものとする。
本発明の核酸検出用装置の基本的構成は、
特定核酸検出用プローブが予め固定化されてなる核酸検出部が設置されたデバイスと、核酸検出用試薬が充填された核酸検出反応槽が少なくとも一つ設置された支持体からなり、前記デバイスに設置された核酸検出部を移動させることにより、該核酸検出部と前記核酸検出反応槽に充填された核酸検出用試薬(試薬、検体、洗浄液等)との接触を可能とする機能を備えている。本発明の核酸検出用装置には、支持体は少なくとも一つ含み、二以上の支持体を含んでいても良い。
図1及び図2は、本発明の核酸検出用装置を示す図である。図1は、本発明の核酸検出用装置のうち、デバイスの下方面から及び一の支持体の上方面から見たものを模式的に示す図である。図2は、本発明の核酸検出用装置のうちデバイス及び支持体が実施態様に応じて重なり合う状態を模式的に示す図である。
本発明の核酸検出用装置が、支持体を二以上含む場合には、それぞれの支持体が平面的又は空間的な特定の位置で固定される。支持体間の距離は、特に限定されるものではないが、前記核酸検出部と前記核酸検出反応槽に充填された核酸検出用試薬(試薬、検体、洗浄液等)との接触を妨げない程度に近いことが好ましい。
本発明の核酸検出用装置に含まれるデバイスに設置された核酸検出部(2)には、検出したい核酸配列とハイブリダイズしうるプローブを予め固定化させておく。核酸検出部(2)は、検出すべき核酸の種類に応じて複数箇所設けることができる。例えば、遺伝子の多型を検出する場合には、検出したい遺伝子の種類に応じたプローブの種類を固定化することができる。核酸検出部を複数箇所設ける場合には、検出したい標識が識別可能な程度の間隔をおいて核酸検出部(2)を設置すれば良い。例えば、現在公知のDNAチップなどで適用される程度の間隔であれば良い。
核酸検出部(2)に固定化される核酸検出用プローブは、特定核酸の配列を検出することができるように設計する。例えば、遺伝子の多型を検出する場合には、多型を識別可能なようにプローブ設計することが必要である。また、特定のウイルスが存在しているかどうかを検出するためには、そのウイルスに特定の核酸配列と結合するプローブを設計することが必要である。このようなプローブは、既に公知のものを使用することができ、また公知のDNA/RNA合成機で合成することもできる。
核酸検出用プローブは、公知の手法、又は今後開発される手法によりデバイスの核酸検出部位(2)に直接、あるいは担体を介して固定化することができる。
具体的には、プローブDNAの固定化を目的としたニトロ・セルロースなどのメンブレンであれば、プローブDNA溶液を滴下後に紫外線照射・ベーキング・アルカリなどによって固定化する方法が知られている。さらに、これらのプローブDNA溶液を固定化したメンブレンなどを貼付して、検出部位として用いることができる。また、ポリスチレンなどの有機材料にオリゴDNAを固定化する場合、オリゴDNAに無関係な配列(ポリ・チミン鎖など)を付加し、DNAの分子量を大きくすることで固定化の効率を上げることもできる。また、担体表面がガラスなどの場合、シランカップリングやポリリジン等で担体表面を処理することで固定化の効率を上げることもできる。
一方で、プローブDNAや固定表面に官能基を導入して化学的に固定化する方法、例えば、担体の材料がガラス、シリコンなどの無機材料の場合には、核酸検出用プローブの末端にトリメトキシシラン、トリエトキシシランなどのシランカップリング反応が可能な官能基を修飾し、その溶液に24〜48時間浸漬し、取り出した後、洗浄することによる方法も挙げられる。又は、ガラス、シリコンなどの無機材料担体上に、アミノエトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤で処理することで、担体の表面をアミノ化し、末端にカルボン酸を導入したプローブDNAとアミノカップリング反応させることで、固定化する方法などがある。さらに、担体の材料が金、銀などの金属材料の場合、核酸検出用プローブの末端にチオール基、ジスルフィド基などの金属と結合可能な官能基を修飾し、その溶液に24〜48時間浸漬し、取り出した後、洗浄し、固定化することができる。
また、すでにあるDNA鎖を固定するのでなく、リソグラフィー技術等を利用して、望む配列を固定表面上で直接合成する方法も知られており、本発明においてはこの方法によりプローブの合成及び固定することもできる。
核酸検出部(2)の大きさは、各核酸検出反応槽(3)に装填された試薬液、検体溶液、核酸溶液、洗浄溶液等との接触が容易に行えるものであることが必要であり、その好ましい面積は、1〜1000mm2であり、より好ましくは1〜100mm2であり、さらに好ましくは1〜50mm2の大きさである。
本発明の装置に使用されるデバイス及び支持体の材料として、成型加工性が容易である疎水性高分子材料、例えば合成樹脂を使用することができ、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンフタレート又はポリカーボネートが好適に例示される。さらに、核酸検出部が設置されるデバイスの表面が、プラズマ放電・イオンビーム照射等によって親水化処理されていることが好ましい。
なお、核酸検出用プローブは、上記容器に使用しうる有機材料のほか、ガラス、シリコンなどの無機材料、金、銀などの金属材料を担体として固定することもできる。
本発明の装置に含まれる支持体には少なくとも一つの核酸検出反応槽が設置される。本明細書において核酸検出反応槽とは、核酸の抽出、増幅、ハイブリダイゼーション、検出前反応、検出反応、及び洗浄等の各反応がなされる槽をいい、各反応が達成されるために各試薬、洗浄液及び/又は検体等が装填されているものをいう。かかる反応をなすために、各反応について一般的には別々の槽が使用される。このような核酸検出反応槽は、一つの支持体に設置されていても良く、また二以上の支持体に分散して設置されていても良い。一つの支持体において、核酸の抽出、増幅反応槽が設置され、他の支持体においてハイブリダイゼーション、検出前反応、検出反応、及び洗浄等の各反応がなされる槽が設置されているものが好ましい。核酸の抽出及び増幅反応が、本発明の核酸検出用装置に適用する前に行われるのであれば、上記ハイブリダイゼーション等が行われる支持体を含んでいれば良い。
本発明の核酸検出反応槽は、例えば、図2に示すように支持体(B)の上部に開口部を設ける態様で設置することができる。核酸検出反応槽(3)には、例えばデバイス(A)の検体供給手段(検体供給孔(1))を通じて、特定核酸の含有可能性のある検体を滴下して加えることができる。反応槽の上部開口部の大きさは、核酸検出部が槽に装填された試薬又は検体等と接触が可能なことが必要であることを最低条件とする。さらに、各槽、少なくとも核酸の抽出及び特定核酸の増幅反応用試薬を装填した槽の開口部の閉鎖が容易に可能であることを最低条件とする。その好ましい面積は、1〜1000mm2であり、より好ましくは1〜100mm2であり、さらに好ましくは1〜50mm2の大きさである。また、反応槽の容積は、10μL〜5mL、好ましくは10〜500μLとすることができる。
本発明の装置は、デバイス(図1(A))に、さらに少なくとも次の一を担持させることができる。
1)検体の供給部位
2)前記支持体に設置された少なくとも一つの核酸検出反応槽の開口部の閉鎖部位
ここで「検体の供給」とは、測定対象の検体を本発明装置に導入する手段を意味し、その部位の形状は図1及び図2の(1)のような平板状のデバイスを突き抜けた形状の空隙とすることができる。このような空隙を、本発明では検体供給孔(1)とも称する。この検体供給孔(1)は、板状のデバイス(A)を貫通しており、該検体供給孔(1)から、検体を支持体(B)の核酸検出反応槽(3)に滴下することができる。このような検体供給孔(1)の孔の大きさは、検体が核酸検出反応槽(3)に到達しうる大きさであれば良く、適宜選択することができるが、操作性等を考慮すると好ましい面積は0.1〜10cm2であり、より好ましくは0.1〜1cm2である。
また、「支持体に設置された少なくとも一つの核酸検出反応槽の開口部の閉鎖」とは、反応槽の試薬等の消失を防ぐために反応槽の開口部を密閉にすることをいい、その部位の形状は、反応槽の蓋のような構造とすることができる。例えば、図2に示すように、支持体の核酸検出反応槽(3)の閉鎖手段として、デバイスの底辺部がそのまま各核酸検出反応槽(3)の上に覆いかぶさり、密閉状態とさせることができる。例えばデバイスの核酸検出部(2)及び検体供給部(1)以外の部分で、支持体の各核酸検出反応槽(3)に相応するデバイス底辺部を凹型形状にさせる等により、核酸検出反応槽(3)を密閉にすることができる。
本発明の装置には、支持体(図1(B))に、次の少なくとも一つの核酸検出反応槽を設置させることができる。核酸検出反応槽(3)には、前述の検体供給孔(1)を通じて検体の供給が可能である。また、該反応槽は検体の供給後に、閉鎖手段によって閉鎖させることも可能である。
1)特定核酸の増幅反応槽
2)特定核酸のハイブリダイゼーション槽
3)特定核酸の検出槽
4)各反応後の核酸検出部の洗浄槽
本発明において「特定核酸の増幅反応槽」とは、核酸検出反応槽(3)の一つであって特定核酸の増幅反応がなされる槽をいい、該反応槽には特定核酸増幅用試薬を装填することができる。ここで特定核酸増幅用試薬とは、後述する核酸増幅手段に使用される試薬をいい、特定核酸の増幅可能なプライマーを含む。該特定核酸増幅用試薬は、該反応槽に予め装填しても良いし、要時、例えば検体導入直前に装填しても良い。さらに該反応槽に、予め核酸抽出用試薬を装填しても良い。
核酸抽出用試薬と特定核酸増幅用試薬は、一の反応槽に装填することが好適であり、効率的な核酸抽出及び特定核酸増幅処理を行うことができる。
本発明においては、特定核酸の増幅反応槽で、特定核酸を増幅させることもできるが、本発明とは別の増幅反応槽で特定の核酸を増幅させることもできる。
本発明の特定核酸増幅用試薬は、例えば特定核酸増幅用プライマー、緩衝液等が、核酸抽出用試薬は市販の血液からのDNA抽出試薬などが例示される。これらの試薬のうち適当なものを選択して特定核酸増幅用の反応槽に予め備えておくことができる。特定核酸増幅用プライマーは、増幅すべき核酸配列にあわせて適時、設計し作成することができる。特定核酸増幅用プライマーは、目的に応じて市販のものを使用することもできるし、また、公知の方法、或いは今後開発される新たな方法により合成することができる。特定核酸増幅用プライマーには、核酸検出部で検出する際に便利なように、標識又は標識を結合しうる物質を予め修飾しておくこともできる。修飾は、後述する公知の方法により行うことができる。
本発明において「特定核酸のハイブリダイゼーション槽」とは、核酸検出反応槽(3)の一つであって特定核酸のハイブリダイゼーションがなされる槽をいい、該反応槽にはハイブリダイズ用試薬を装填することができる。前記特定核酸の増幅反応槽で増幅反応させた検体を該ハイブリダイゼーション槽に加え、ハイブリダイズ用試薬に含まれる増幅された特定核酸を前記核酸検出部(2)と接触させて増幅された該特定核酸を捕捉し、核酸検出用プローブとのハイブリダイゼーションが達成される。
本発明において「特定核酸の検出槽」とは、核酸検出反応槽(3)の一つであって、前記ハイブリダイゼーションによってプローブとハイブリダイズした特定核酸の検出反応がなされる槽をいう。
検出反応は、各種の公知の方法で行うことができる。
検出反応に、いくつかの試薬を用いて反応を行う場合には、さらに特定核酸検出用試薬を充填した検出槽を用意し、各検出槽で反応を行うことができる。
各試薬は各々別の核酸検出反応槽(3)とすることが好ましい。
核酸検出部(2)と該検出前反応用試薬が接触することによって検出前反応処理が行われ、その後に核酸検出部の核酸の検出を可能とする。ここで、検出前反応用試薬は、例えば化学発色法試薬及び基質反応試薬が挙げられ、各々が別々の槽に装填されている。
ただし、特定核酸の検出方法によっては、検出前反応用試薬を装填する核酸検出反応槽(3)は省略することができる。例えば、蛍光標識・RIによって検出する場合である。
本発明において「各反応後の核酸検出部の洗浄槽」とは、核酸検出反応槽(3)の一つであって特定核酸の各反応後に核酸検出部(2)の洗浄がなされる槽をいい、該反応槽には洗浄用試薬、例えば緩衝液を装填することができる。そして洗浄用試薬と核酸検出部との接触によって核酸検出部の洗浄が可能である。各反応後の核酸検出部の洗浄は、例えば前記ハイブリダイゼーションが行われた後の核酸検出部、検出前反応用試薬と反応した後の核酸検出部等を洗浄し、余剰の試薬類を洗い流すことをいう。
なお、この洗浄槽では反応は起こらないが、総称的に核酸検出反応槽(3)の一つとして含めることとする。この各核酸検出部(2)と各核酸検出反応槽(3)における各反応の後、余剰の各反応試薬を洗浄することが好ましい。このためには、例えば、図1の支持体の反応槽(3)のいくつかに洗浄用試薬を装填しておくことができる。好ましい態様では、順次、核酸抽出及び特定核酸増幅反応用試薬の装填された槽、ハイブリダイズ用試薬の装填された槽、洗浄用試薬の装填された槽に続いて、検出前反応用試薬の装填された槽、洗浄用試薬の装填された槽、検出反応試薬の装填された槽、そして洗浄用試薬の装填された槽のように核酸検出反応槽を並べることができ、少なくとも一箇所以上の洗浄槽を設置することができる。
検出反応処理後に核酸検出部の検出を可能にするために、検出時には、核酸検出部が開放状態になる。開放状態とは、デバイスと支持体の重なりが開放されることを意味する。具体的には、デバイスの検出部位に該当する支持体の部分が開放されていることである。例えば、図2では支持体(B)の一部が空隙であることが例示される。
検出反応や、検出部位の大きさに従い、各種目視、カラー識別センサーや各種スキャナーによって読みとりが可能である。
本発明の装置は以上のような構成であるが、これらが合目的に作用可能な限りはその範囲において変更可能である。好適な具体例は図1及び図2に示したように、デバイス及び支持体が上下一組として構成される装置である。そしてデバイスの位置をずらすことによって、以下の少なくとも一つの処理がなされる。
1)検体の供給
2)特定核酸のハイブリダイゼーション
3)検出のための検出前反応
4)検出反応
5)核酸検出部の洗浄
さらに、核酸増幅のための増幅反応槽を設けることができる。
デバイスの位置をずらすとは、デバイスの核酸検出部(2)が支持体の各核酸検出反応槽(3)の試薬、洗浄液等との接触を達成するために、核酸検出部(2)の位置を一の槽から異なる槽へ移動させることをいう。そして、この位置をずらす手段としては、デバイスを回転させることによって達成できる。
このような機能と達成させるのに好適な形態は、デバイスが回転軸を中心として回転する形状であり、核酸検出部(2)と、少なくとも一つの支持体に設置される検体供給孔(1)及び核酸検出反応槽(3)を含む各槽が、回転軸を中心とした同一円周上の位置に相当する位置に設置されている。このような形態とするために、デバイス及び/又は支持体は、例えば円盤状の形状とすることができる。
本発明の図1に示すデバイス(A)と支持体(B)を含む核酸検出用装置は、検体供給孔(1)、核酸検出部(2)及び少なくとも一つの核酸検出反応槽(3)を有する。(1)及び(2)は、デバイス(A)に設置されており、核酸検出反応槽(3)は支持体(B)に設置されている。デバイス(A)と(B)は、図2に示すように重なりあっており、デバイス(A)を回転させることによって核酸検出部(2)と核酸検出反応槽(3)に含まれる各試薬又は検体が接触可能な状態で操作されうる状態で設置されている。本装置にあっては、デバイスを回転させることにより、核酸検出部(2)に検出すべき核酸を捕捉させてハイブリダイズさせた後、洗浄、検出前反応としての標識物質の反応、検出等の操作を連続して行うことができる。
(核酸検出方法)
本発明の別の発明は、上記のような核酸検出用装置を用いた、効率的な核酸検出方法である。具体的には、少なくとも以下の工程を含む核酸検出方法である。
1)検体を、検体供給手段を通じて核酸検出反応槽の一つに導入する検体供給工程;
2)ハイブリダイズ用試薬が装填された反応槽において、核酸検出部に固定化された核酸検出用プローブと増幅された特定核酸をハイブリダイズさせる工程;
3)核酸検出部においてハイブリダイズした核酸を、標識物質により検出する工程。
1)検体供給工程
「検体供給工程」とは、特定核酸の含有可能性のある検体を、例えば、検体供給孔(1)を通じて、核酸検出反応槽(3)に導入することをいう。本工程は、核酸検出反応槽(3)で目的とする特定核酸を検出させるために行われる。特定核酸は、本発明においては具体的に特定されるものではないが、特定の遺伝子等が挙げられる。例えば、生体中の特定の遺伝子を検出したい場合や、特定の遺伝子の多型を解析したい場合には、該当する特定の配列部分を含む核酸をいう。また、遺伝子タイプの異なるウイルス感染について解析したい場合なども、特定の遺伝子の特定の配列部分を含む核酸をいう。
本発明の核酸検出装置内で検体からの核酸の抽出処理・核酸増幅処理をする場合には、このような特定核酸の混入可能性のあるあらゆる成分を本発明の検体とすることができる。例えば、血液、尿、唾液、鼻汁、分泌物、その他の体液や、微生物混入可能性のある物質、例えば食品、緩衝液等を検体として導入することができる。
本発明の核酸検出装置では、予め別の装置にて核酸を増幅処理したものについても、核酸を検出することができる。このような場合には、核酸増幅処理したものを本発明の検体とすることができる。
この工程後、核酸検出反応槽(3)では、検体からの核酸抽出及び/又は特定核酸の増幅が行われる。
核酸検出反応槽(3)に特定核酸増幅用試薬のみが装填されている場合は、検体は予めDNA抽出用試薬と接触させ、核酸の抽出処理が行われていることが必要である。DNA抽出処理後に、検体が特定核酸増幅用試薬と接触し、特定核酸の増幅が行われる。DNAの抽出方法は公知の方法で行うことができ、例えばフェノール抽出法、グアニジンチオシナネート抽出法、バナジルリボヌクレオシド複合抽出法等が公知であり、一般的である。
本発明においても、予めDNAを抽出した処理検体を本発明の測定に供することもできるが、更に簡便な方法として、核酸検出反応槽(3)に特定核酸増幅用試薬と同時に血液などの検体より直接増幅反応を行える試薬を予め装填しておくことで、核酸検出反応槽(3)への検体導入工程の後、すぐにDNAを抽出することができる。このような検体処理試薬は、公知あるいは市販のものを使用することができ、例えばAmpDirect(アンプダイレクト、島津製作所製)を使用することができる。このような検体処理試薬を使用すると、本発明の核酸検出反応槽(3)に検体を直接導入することで、特定の核酸を増幅させることができる。
検体中に含まれる目的とする特定の核酸を増幅するために、検体及び特定核酸増幅に必要な試薬類、例えば特定核酸増幅用プライマー、基質試薬、緩衝液等のすべてが核酸検出反応槽に装填された後、該核酸検出反応槽を密閉することが必要である。PCR法による特定核酸増幅の方法は、後述のように高温処理を行うため、検体及び反応試薬の蒸散を防止する必要がある。同時に、核酸増幅反応で高濃度化した検体が蒸散などで直接検出部位に触れ、検出反応時に非特異な反応を生じたり、容器外の装置に触れることによりキャリー・オーバーのコンタミネーションを起こしたりすることを防ぐことができる。
核酸検出反応槽の密閉は、例えば、支持体の核酸検出反応槽の開口部を、デバイスの核酸検出部及び検体供給部以外の部分で閉鎖することができる。本発明の図1及び図2によると、支持体(B)の核酸検出反応槽(3)の上向きの開口部に、デバイス(A)の底辺部を重ねあわすことで密閉させることができる。この場合に、該底辺部を凹型とし、核酸検出反応槽(3)の上向きの開口部に嵌合させて密閉させることもできる。該凹型底辺部は、例えば検体供給孔(1)と核酸検出部(2)の中間部の回転軸を中心とした同一円周上に設置することができる。該密閉操作は、デバイス(A)を回転軸を中心として回転させれば良い。
核酸検出反応槽(3)において、検体と特定核酸増幅用試薬に含まれる特定核酸増幅用プライマーが反応し、検体中に含まれる特定核酸を増幅させる特定核酸増幅反応が進められる。
検出すべき特定核酸の増幅は、公知の方法、例えばPCR法、NASBA法、LAMP法又はICAN法等により行うことができ、好適にはPCR法等により行うことができる。
増幅すべき特定核酸の塩基数が100〜400塩基対、好ましくは150〜300塩基対の場合のPCR法により増幅する場合を例示して説明する。(i)2本鎖ゲノムDNAを約92〜95℃、約30秒〜1分間の反応条件で熱処理することにより1本鎖にする変性工程、(ii)該1本鎖DNAのそれぞれに約50〜65℃を約20秒〜1分間の反応条件で、少なくとも2種類の増幅プライマーを結合させることによりPCRの反応開始点となる2本鎖部分を作製するアニール工程、(iii)約70〜75℃を約20秒〜5分間の反応条件でDNAポリメラーゼを用いて反応させる鎖伸張工程の(i)〜(iii)の工程を通常の方法により20〜40回繰り返す。
後述する核酸検出のために、特定核酸増幅反応に使用するプライマーは、標識物質と反応しうる物質、例えばビオチン、放射性同位体等を修飾したものを使用することができる。
2)ハイブリダイズさせる工程
「ハイブリダイズさせる工程」とは、核酸検出反応槽(3)において増幅された特定核酸又は本発明とは別の核酸増幅反応槽で増幅した核酸を支持体の特定核酸のハイブリダイゼーション槽に移し、その後核酸検出部(2)に固定化された特定の核酸検出用プローブとハイブリダイズさせる工程をいう。これは前記増幅した核酸の配列中に目的の核酸を含むか、又は遺伝子多型の配列のうちいずれであるか等の分析のために行われる。
デバイスの回転により、核酸検出部(2)と支持体のハイブリダイゼーション槽(3)に含まれる特定核酸が接触状態となる。このようにして、増幅した特定核酸とハイブリダイズ用試薬が接触し、ハイブリダイゼーションを進めることができる。該ハイブリダイゼーションを効率よく行うために、例えば30〜65℃の温度等、通常の条件下でデバイスを振とうさせる等により行うことができる。このようにして、核酸検出部(2)において、特定核酸と特定核酸検出用プローブのハイブリダイゼーションが完成する。
ハイブリダイゼーションが完了した後、核酸検出部(2)は洗浄により余剰のハイブリダイズ用試薬等が除去されることが好ましい。そこで、上記核酸検出前反応を行う前に、例えば図2のデバイスの(A)又は(B)のいずれかの回転により、上記核酸検出部(2)と洗浄用試薬が装填された反応槽(3)とを重ね合わせ、核酸検出部(2)と洗浄液の接触により余剰のハイブリダイズ用試薬等を除去することができる。
3)核酸検出部においてハイブリダイズした核酸を、標識物質により検出する工程
増幅した核酸は、例えば、酵素発光法、RI、蛍光物質、化学発光物質などを用いて検出することができる。
本工程では、該検出のために使用する核酸検出前反応用試薬を用いて、本発明の装置内で反応させる。核酸検出前反応のために、例えば図2のデバイスの(A)又は(B)のいずれかを回転させ、核酸検出部(2)を検出前反応用試薬が装填された次の核酸検出反応槽(3)に導き、反応させることができる。
例えば、酵素蛍光法により検出する場合には、例えば図2のデバイス(A)の回転により、適当な酵素を含む溶液が装填された反応槽(3)と核酸検出部(2)を重ね合わせ、該酵素液と核酸検出部(2)を接触させて検出前反応として行うことができる。具体的には、ビオチン修飾したプライマーを用いて増幅した核酸と、検出用プローブをハイブリダイズさせたものについて、該ビオチンにストレプト・アビジンを有するアルカリホスファターゼを結合させることが挙げられる。上記検出前反応の後、核酸検出部(2)と洗浄液の接触により余剰の酵素等を除去することができる。
なお、この検出前反応は、検出系によっては省略することができる。例えば、RIでは前処理反応を行うことなく、直接検出反応を行うことができる。
次に、酵素発光法、RI法、蛍光法、化学発光法、化学蛍光法等の方法に応じて、通常の方法により検出することができる。例えば、発色した酵素溶液の吸光度、発光量、放射性同位体等の量を測定することによる。好適な検出法としては、抗原と特異的に結合する抗体を修飾した酵素を用いるNBT/BCIP法が例示される。上記の方法により、例えば余剰の酵素を洗浄した後、該酵素と反応し発色する基質を用いて検出することができる。例えば図2のデバイス(A)の回転により、核酸検出部(2)にハイブリダイズした核酸を修飾する酵素と基質液が装填された核酸検出反応槽(3)が接触し、基質に酵素が反応して発色したものについて測定が可能となる。
(試薬、キット及び核酸検出用装置)
本発明は、本発明の核酸検出用装置を用いた核酸検出方法に使用する試薬、例えば核酸検出用装置に備えられる試薬等及び核酸検出用装置を含む核酸検出用キットにも及び、本発明の核酸検出用装置を使って核酸検出を行う核酸検出用システムにも及ぶ。
以下に、本発明の理解を深めるために、実施例を示して具体的に説明するが、これらは本発明の代表例を示すものであり、デバイスに特定核酸検出用プローブが予め固定化されてなる少なくとも一つの核酸検出部が設置され、支持体に少なくとも一つの核酸検出反応槽が設置され、該核酸検出部と該核酸検出反応槽に装填された試薬が接触可能である核酸検出用装置であるかぎりは本発明の対象である。
(実施例1)核酸検出用装置の調製
核酸検出用装置として、素材にはポリプロピレン(PP)を用い、円筒状のデバイスと支持体からなる核酸検出用装置を成形した。核酸検出用装置の図3の(A)のデバイスに核酸検出部(2)を設置した。また、デバイスに検体供給孔(1)をデバイスを貫通させて設けた。さらに、(1)と(2)の中間部の回転軸を中心とした同一円周上に核酸検出反応槽(3)の開口部に相応し、該開口部を密閉可能な円形凹部(41)を設けた。加えて、デバイスには回転軸を中心とした同一円周上に検体供給孔(1)と核酸検出部(2)、さらに前記凹部(41)に加えて、さらに核酸検出反応槽(3)の開口部に相応し該開口部を密閉可能な円形凹部を栓を目的として総計9箇所(4)に等間隔で設けた。
デバイス(A)に相応させて、支持体(B)には順次回転軸を中心とした同一円周上に等間隔で、核酸検出反応槽(31)〜(34)を設けた。それらは、ハイブリダイズ用試薬槽(31)、洗浄用試薬槽(34)、酵素試薬槽(32)、洗浄用試薬槽(34)、基質試薬槽(33)、洗浄用試薬槽(34)、測定孔(5)、孔無し部からなる。
(実施例2)核酸検出用装置の調製
核酸検出用装置として、素材にはポリプロピレン(PP)を用い、円筒状のデバイスと支持体からなる核酸検出用装置を成形した。核酸検出用装置の図1の(A)のデバイスに核酸検出部(2)に、特定のオリゴDNAを、検出用プローブとして固定化した。
これらは、エストロゲン受容体遺伝子のXba1遺伝子多型のX型とx型に対応した配列のオリゴヌクレオチドである。ターミナルトランスフェラーゼ(TerminalTransferase(プロメガ社))によって3'端にdTTPが約400塩基長ほど連なったポリT鎖(poly-T鎖)を付加した後1mMで0.5μL滴下し、乾燥させた。その後、波長312nmのUV照射装置(アットー社、15W×6本)で2分間照射して固定化した。同様に、5'端をビオチン標識した約400塩基長のpoly-T鎖もコントロールとして固定化した。
また、デバイス(A)の検体供給孔(1)、核酸検出部(2)及び支持体(B)の核酸検出反応槽(3)は、実施例1と同様に設けた。そして、各核酸検出反応槽(3)には事前に各反応試薬を装填しておいた。
(実施例3)特定核酸増幅反応及び検出反応
検体として、健常人血液よりアンプリコア血液検体処理用試薬(ロシュ社)によりDNAを抽出したものを用いた。
検体2μlを採取し、PCR法による核酸の抽出及び特定核酸増幅反応を行った。特定核酸増幅のために、以下の特定核酸増幅用試薬と混合し、全量を20μLとした。特定核酸増幅用プライマーとして、エストロゲン受容体遺伝子のXba1多型を含んだ約200塩基長の配列を増幅させるものを用いた。
本検体における健常人のエストロゲン受容体遺伝子Xba1多型は既知で、xx型であった。
特定核酸増幅反応試薬類
Taq DNA ポリメラーゼ(東洋紡社) 1Unit
dNTPs 0.2mM
Tris-HCl 10mM(pH8.3)
KCl 50mM
MgCl2 1.5mM
プライマー(それぞれ0.5μMで5'端ビオチン標識)
ヒトDNA 2μL
PCR反応温度条件
PCR反応は次の温度条件に従った。これにより、DNAの熱変性、プライマーのアニーリング、ポリメラーゼ反応による伸長反応を繰り返して核酸を増幅した。
95℃ 5分 1サイクル
95℃ 30秒、55℃ 20秒、72℃ 20秒 30サイクル
72℃ 5分 1サイクル
4℃ 保存
PCRによる特定核酸増幅反応後に、増幅後の溶液を0.5mLのハイブリダイズ用試薬(2×SSC溶液に0.1%のSDSを加えたもの)を加えたハイブリダイズ用試薬槽(31)に移動させ、核酸検出部(2)と(31)に含まれる検体を45℃に装置を保って30分間、振とう(60rpm/min程度)させながら、検出用プローブと増幅した核酸を反応させた。デバイスを回転させ、核酸検出部(2)及び(34)部位を重ね合わせ、核酸検出部と洗浄用試薬の接触をおこなった。洗浄用試薬はリン酸緩衝液を使い数分間接触させて洗浄した。ついで、デバイスを回転させ、(2)及び(32)部位を重ね合わせ、核酸検出部と酵素反応用試薬の接触をおこなった。酵素反応用試薬としては、(32)の反応槽にアルカリホスファターゼ標識ストレプト・アビジンを加えたリン酸緩衝液を装填しておいた。室温で30分間振とう(60rpm/min程度)させながら反応させた。デバイスを回転させて、(2)及び(34)部位を重ね合わせ、核酸検出部と洗浄用試薬の接触をおこなった。洗浄用試薬はリン酸緩衝液を使い数分間接触させて洗浄した。デバイスを回転させ、(2)及び(33)部位を重ね合わせ、核酸検出部と基質反応用試薬の接触をおこなった。基質反応用試薬はNBT(ニトロ・ブルー・テトラゾリウム)、BCIP(ブロモ・クロロ・インドリル・リン酸・トルイジン塩)溶液を(33)の反応槽に装填しておいた。室温で30分間振とう(60rpm/min程度)させながら反応させた。デバイスを回転させ、(2)及び(34)部位を重ね合わせ、核酸検出部と洗浄用試薬の接触をおこなった。洗浄用試薬は精製水を使い約10分間接触させて洗浄した。
以上の作業により、PCR反応で増幅された特定の核酸配列と検出部位に固定されたプローブ配列がハイブリダイズした場合、PCR検体がビオチン標識されているため、ビオチンとストレプト・アビジンが反応し、さらにストレプト・アビジンに標識されたアルカリホスファターゼがNBT・BCIPで発色した。デバイスを回転させ、(2)及び(5)を重ね合わせ、核酸検出部の開放をおこなった。
以上の作業の結果、コントロール及びxx型プローブの部分が発色し、コントロールプローブの部分が発色しなかったので、用いたヒトDNAが既知の通りエストロゲン受容体遺伝子Xba1多型がxx型であることが検出できた。
以上説明したように、本発明の核酸検出装置により、1つの装置内で特定の核酸の増幅と検出を行うことができ、迅速かつ容易に核酸を検出することができる。核酸検出部には、複数種の核酸検出用プローブを固定化することができ、これにより一度の特定核酸増幅処理で、遺伝子の多型や、感染したウイルスの遺伝子タイプの解析等を容易に行うことができる。本発明の測定方法を臨床検査等に適用することで、多種類の検体について、迅速かつ容易に検査を行うことができるようになる。
本発明の核酸検出用装置を示す図である。 本発明の核酸検出用装置の使用態様を示す図である。 本発明の核酸検出用装置を示す図である。(実施例1)
符号の説明
1 検体供給孔
2 核酸検出部
3 核酸検出反応槽
31 特定核酸のハイブリダイゼーション槽
32 特定核酸の検出槽(酵素液槽)
33 特定核酸の検出槽(基質液槽)
34 各反応後の核酸検出部の洗浄槽
4 核酸検出反応槽蓋部
41 凹部
5 測定孔

Claims (12)

  1. 特定核酸検出用プローブが予め固定化されてなる核酸検出部が設置されたデバイス、及び、核酸検出用試薬が充填された核酸検出反応槽が少なくとも一つ設置された少なくとも一つの支持体を備え、前記デバイスと、前記少なくとも一つの支持体は上下に重なり合い、該デバイスのその回転軸を中心とした回転により核酸検出部を移動させる手段を有し、該核酸検出部と前記核酸検出用試薬との接触を可能とする機能を備えていることを特徴とする核酸検出用装置。
  2. 前記支持体に設置された少なくとも一つの核酸検出反応槽が、前記デバイスの回転軸を中心とした同一円周に相当する位置に設置された請求項に記載の核酸検出用装置。
  3. 前記デバイスに、次の少なくとも一つが担持された請求項1または2に記載の核酸検出用装置:
    1)検体供給部位;
    2)前記支持体に設置された少なくとも一つの核酸検出反応槽の開口部の閉鎖部位。
  4. 前記支持体に設置された核酸検出反応槽が、以下に示す槽のいずれかである請求項1〜の何れか一に記載の核酸検出用装置:
    1)特定核酸の増幅反応槽;
    2)特定核酸のハイブリダイゼーション槽;
    3)特定核酸の検出槽;
    4)洗浄槽。
  5. 前記核酸検出部を移動させることにより、以下の少なくとも一の処理がなされる請求項1〜のいずれか一に記載の核酸検出用装置:
    1)特定核酸の検出用プローブとのハイブリダイゼーション;
    2)検出のための検出前反応;
    3)検出反応;
    4)核酸検出部の洗浄。
  6. 請求項1〜のいずれか1に記載の核酸検出用装置を用いた特定核酸の検出方法。
  7. 少なくとも以下の工程を含む請求項に記載の方法:
    1)検体を、検体供給部位を通じて核酸検出反応槽の一つに導入する検体供給工程;
    2)ハイブリダイズ用試薬を備える核酸検出反応槽において、核酸検出部に固定化された核酸検出用プローブと増幅された特定核酸をハイブリダイズさせる工程;
    3)上記ハイブリダイズした核酸を、標識物質により検出する工程。
  8. 前記検体供給工程後に、核酸検出反応槽において、検体中に含まれる特定核酸を増幅させる特定核酸増幅工程を含む請求項に記載の方法。
  9. 核酸検出部においてハイブリダイズした核酸を標識物質により検出する工程の前に、該ハイブリダイズした核酸を、検出前反応用試薬と反応させる請求項又はに記載の方法。
  10. 核酸検出反応槽においてなされる各反応の少なくとも一以上の反応後に、核酸検出部の洗浄が行われる請求項7〜9の何れか一に記載の方法。
  11. 請求項1〜の何れか一に記載の核酸検出用装置を含む核酸検出用キット。
  12. 請求項1〜の何れか一に記載の核酸検出用装置を使って核酸検出を行う核酸検出用システム。
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