JP4555744B2 - 地盤改良工法のセメントと細粒分との配合設計方法及び装置 - Google Patents

地盤改良工法のセメントと細粒分との配合設計方法及び装置 Download PDF

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本発明は、セメントと水と細粒分と土壌を混合攪拌して地盤を改良する地盤改良工法のセメントと細粒分との配合設計方法及び装置に関する。
地盤の液状化防止や建物の支持機能強化を目的として実施される地盤改良工法の1つに深層混合処理工法がある(例えば、特許文献1、2参照)。この深層混合処理工法は一般に、セメントと水(セメントミルクと呼ぶ)を地盤に注入して土壌と混合攪拌して地盤を固化する工法であり、図16(A)に示すように、建物102の直下の地盤104を全面改良したり、図16(B)に示すように、建物102の直下の地盤104を格子状に部分的に改良したりする際等に用いられている。
ところで、近年、汚染土壌の原位置封じ込めに対するニーズが高まってきており、図17に示すように、地盤改良に併せて汚染土壌110の原位置封じ込めが実施される場合がある。汚染土壌110の原位置封じ込めの実施にあたっては、厚さ5m以上で透水係数が10-5cm/sec以下の底部遮水層106と、底部遮水層106と同等の遮水性能を有する側部遮水壁108とが存在しなければならないことが、汚染土壌対策法によって定められている。即ち、仮に側部遮水壁108の壁厚Dを50cmとした場合には、側部遮水壁108の透水係数を10-6cm/sec以下にする必要がある。このため、汚染土壌の原位置封じ込めを実施した地盤の上に建物を建設する場合、改良後の地盤には、建物の支持機能や液状化防止機能を満足する強度と、遮水性能という2つの異なる性能が要求される。
ここで、深層混合処理工法によって、建物直下の地盤の改良と汚染土壌の原位置封じ込めを併せて実施する際には、強度と遮水性能を満足するように、ベントナイト等の細粒分とセメントとの配合条件が設計されている。しかし、これまでには、セメントと細粒分と土壌を混合した改良土壌の遮水性能について定量的に考察された例が無く、事前に遮水性能の目標値を満足できる細粒分の量を推定することができなかったので、種々の配合条件で地盤改良体を作製し、透水試験を実施する必要があった。このため、試験回数が多くなり、非常に多くの時間と労力を要していた。
特公平4−54004号公報 特許第2568115号公報
本発明は上記事実を考慮してなされたものであり、事前に遮水性能の目標値を満足できる細粒分の量を推定可能とし、透水試験に要する時間と労力を大幅に削減する。
請求項1に記載の発明は、セメントと水と細粒分と土壌を混合攪拌して地盤を改良する地盤改良工法のセメントと細粒分との配合設計方法であって、改良前の地盤の透水係数α1と改良後の地盤の透水係数α2との比である透水係数比αと、膨潤量を含む細粒分の量B1とセメントの量Aとの合計量βとの相関関係を示すマップ又は演算式を予め取得し、下記(1)〜(4)の工程を行うことを特徴とする。
(1)下記(1)式から透水係数比αを求める。
(2)前記マップ又は前記演算式から上記(1)の工程で求めた透水係数比αに対応する合計量βを求める。
(3)上記(2)の工程で求めた合計量βと地盤の強度の目標値を満足するセメントの量Aを用いて、下記(2)式から膨潤量を含む細粒分の量B1を求める。
(4)上記(3)の工程で求めた膨潤量を含む細粒分の量B1と、細粒分の単位重量当りの膨潤量nを用いて、下記(3)式から膨潤量を含まない細粒分の量Bを求める。
α=α2/α1 …(1)
B1=β−A …(2)
B=B1/n …(3)
請求項1に記載の発明では、改良前の地盤の透水係数α1と改良後の地盤の透水係数α2との比である透水係数比αと、膨潤量を含む細粒分の量B1とセメントの量Aとの合計量βとの相関関係を示すマップ又は演算式を予め取得する。詳細は後述するが、この透水係数比αと合計量βの相関関係は、セメントや細粒分の種類による差異はあるが、土壌の種類による差異はほとんどないという知見が得られている。
そして、改良前の地盤の透水係数α1を地盤調査等によって取得し、改良後の地盤の透水係数α2を汚染土壌対策法に基づいて求め、上記(1)式から透水係数比αを求める。次に、求められた透水係数比αに対応する合計量βを、透水係数比αと合計量βとの相関関係を示すマップ又は演算式から求める。
次に、原位置の土壌とセメントとの配合試験を実施すること等によって得られる、地盤の強度の目標値を満足するセメントの量Aと、先に求めた合計量βを用いて、上記(2)式から膨潤量を含む細粒分の量B1を求める。
次に、先に求めた膨潤量を含む細粒分の量B1と細粒分の単位重量当りの膨潤量nを用いて、上記(3)式から膨潤量を含まない細粒分の量Bを求める。
以上、説明したように、本発明の配合設計方法では、土壌の種類に関わらず、膨潤量を含んだ細粒分の量B1とセメントの量Aとの合計量βと透水係数比αとの間に相関関係があるという知見を得、この相関関係に基づいて、透水係数の目標値を満足する細粒分の量Bを推定するようにしたことで、推定された細粒分の量Bと地盤の強度の目標値を満足するセメントの量Aを用いた配合条件で地盤改良体を作製し、透水試験を1度実施するだけで、配合設計を完了することができる。従って、従来の配合設計と比して、試験回数を大幅に削減でき、時間と労力を大幅に削減できる。
請求項2に記載の発明は、セメントと水と細粒分と土壌を混合攪拌して地盤を改良する地盤改良工法のセメントと細粒分との配合設計装置であって、改良前の地盤の透水係数α1と改良後の地盤の透水係数α2との比である透水係数比αと、膨潤量を含む細粒分の量B1とセメントの量Aとの合計量βとの相関関係を示すマップ又は演算式を予め記憶した記憶手段と、改良前の地盤の透水係数α1と、改良後の地盤の透水係数α2と、地盤の強度の目標値を満足するセメントの量Aを入力する入力手段と、下記(1)〜(4)の演算を実行する演算手段と、少なくとも前記演算手段によって演算された細粒分の量Bを出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
(1)前記入力手段に入力された透水係数α1、透水係数α2を用いて、下記(1)式から透水係数比αを求める。
(2)前記マップ又は演算式から上記(1)で求めた透水係数比αに対する前記合計量βを求める。
(3)上記(2)で求めた合計量βと前記入力手段に入力されたセメントの量Aを用いて、下記(2)式から膨潤量を含む細粒分の量B1を求める。
(4)上記(3)で求めた膨潤量を含む細粒分の量B1と、細粒分の単位重量当りの膨潤量nを用いて、下記(3)式から膨潤量を含まない細粒分の量Bを求める。
α=α2/α1 …(1)
B1=β−A …(2)
B=B1/n …(3)
請求項2に記載の発明では、改良前の地盤の透水係数α1と改良後の地盤の透水係数α2との比である透水係数比αと、膨潤量を含む細粒分の量B1とセメントの量Aとの合計量βとの相関関係を示すマップ又は演算式が、予め記憶手段に記憶されている。
そして、改良前の地盤の透水係数比α1と、改良後の地盤の透水係数α2と、地盤の強度の目標値を満足するセメントの量Aが入力手段に入力されると、演算手段によって以下の演算が実行される。
まず、入力手段に入力された透水係数α1と、透水係数α2を用いて、上記(1)式から透水係数比αを求める。次に、透水係数比αと合計量βとの相関関係を示すマップ又は演算式から、先に求めた透水係数比αに対する合計量βを求める。
次に、先に求めた合計量βと、入力手段に入力されたセメントの量Aを用いて、上記(2)式から膨潤量を含む細粒分の量B1を求める。
次に、先に求めた膨潤量を含む細粒分の量B1と細粒分の単位重量当りの膨潤量nを用いて、上記(3)式から膨潤量を含まない細粒分の量Bを求める。
そして、出力手段によって、少なくとも演算手段によって演算された細粒分の量Bが出力される。
以上、説明したように、本発明の配合設計装置では、土壌の種類に関わらず、膨潤量を含んだ細粒分の量とセメントの量との合計量βと透水係数比αとの間に相関関係があるという知見を得、この相関関係に基づいて、透水係数の目標値を満足する細粒分の量Bを演算するようにしたことで、演算された細粒分の量Bと地盤の強度の目標値を満足するセメントの量Aを用いた配合条件で地盤改良体を作製し、透水試験を1度実施するだけで、配合設計を完了することができる。これによって、従来の配合設計と比して、試験回数を大幅に削減でき、時間と労力を大幅に削減できる。
本発明は上記構成にしたので、事前に遮水性能の目標値を満足できる細粒分の量が推定可能となり、透水試験に要する時間と労力を大幅に削減できる。
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態では、建物12の直下の地盤14を、深層混合処理工法によって格子状に部分的に改良することで、地盤14に格子状の遮水壁10を形成する。深層混合処理工法による遮水壁10の形成は、図2に示すように、地盤14の外周部に設置された施工機械16によって実施する。この施工機械16は、攪拌翼18を地盤14へ回転させながら貫入、引抜を行い、貫入、或いは引抜時にセメントミルクと、細粒分としてのベントナイトを攪拌翼18の近傍から吐出させながら土壌と攪拌混合させ、地盤を固化させる。ここで、セメントと水とベントナイトは、施工機械16の近傍に建設されたスラリープラント20で配合されて施工機械16へポンプで圧送されるが、セメントと水とベントナイトとの配合条件は、建物12の支持機能、液状化防止機能、及び遮水性能を満足するべく設計されている。
以下、深層混合処理工法におけるセメントとベントナイトとの配合条件の設計方法について説明する。
まず、建物12の支持機能、液状化防止機能を満足する地盤14の強度を得るためのセメントの量Aの決定方向について説明する。
図3のグラフに示すように、深層混合処理工法によって形成される地盤改良体の一軸圧縮強度は、セメントの混合量によって変化し、また、セメントの混合量が同一であっても、土壌の種類によって変化する。シルト(蒲田シルト)、砂A(豊浦砂)、砂B(成田砂)の中では、シルトを用いた場合が最も高くなる。
このため、原位置の土壌を用いて配合試験を実施し、地盤14を所望の強度にするためのセメントの量Aを決定している。本実施形態では、地盤14の土壌が砂Aで、必要な一軸圧縮強度が3MPaとなっており、必要なセメントの量Aが約180kg/m3となっている。
次に、遮水壁10に所望の遮水性能を与えるためのベントナイトの量Bの算出方法について説明する。また、本実施形態では、遮水壁10の厚さD(図1参照)は50cmで、遮水壁10に要求される透水係数α2は10-6cm/sec以下となっている。
深層混合処理工法によって形成される地盤改良体の遮水性能は、原位置の地盤の遮水性能に大きく影響され、特に砂地盤のように土粒子間の空隙が大きく透水係数が高い地盤は、十分な遮水性能が得られないことが多い。このため、地盤改良体の透水係数α1を、汚染土壌の封じ込めに必要な値α2(10-6cm/sec以下)まで下げるために、細粒分としてのベントナイトを混合するわけだが、上述したように、これまでには、セメントとベントナイト等の細粒分を土壌と混合した地盤改良体の遮水性能について定量的に考察された例が無く、透水係数α2を得ることが出来るベントナイトの量Bを事前に推定することができなかった。このため、種々の配合条件で地盤改良体を作製し、透水試験を数多く実施する必要があった。
そこで、本発明者は、セメントとベントナイトと土壌を混合した地盤改良体の遮水性能について定量的に考察し、ある知見を得た。以下、この知見を得るために行った試験について説明する。なお、以下の試験には、試料として砂A(豊浦砂)、砂B(成田砂)、シルト(蒲田シルト)を使用した。これらの粒度分布は図4のグラフに示すようになっている。また、セメントは高炉B種を用い、ベントナイトはワイオミング産、250メッシュを用い、図5の表に示すような配合条件で、W/C(水とセメントとの重量比)が100%のセメントミルクにベントナイトを混合し、このセメントミルクを試料に混合して供試体を作製した。また、供試体は、20℃の恒温室で28日間養生した後に、直径10cm、高さ5cmに成形した。また、透水試験は空気圧により最大で250kN/m2まで圧力差を設けた定水位法で実施した。なお、予備試験の結果、透水係数が10-11cm/sec程度までは試験可能であった。また、セメントを混合しない供試体の透水係数は、砂AはDr=80%、砂BはDr=75%の供試体で求め、また、シルトについては湿潤密度が1.72g/cm3の供試体を、平均圧密応力2.5kN/m2で圧密試験した結果から求めた。
まず、セメントのみを試料に混合した供試体を作製して透水試験を実施した。なお、深層混合処理工法におけるセメントの量Aは一般的に80〜200kg/m3なので(CDM研究会:設計と施工マニュアルP37参照)、試験は250kg/m3の範囲で実施した。その結果は、図6のグラフに示すように、砂Bはセメントの量Aが250kg/m3の場合に透水係数が10-6cm/sec以下となったが、砂Aは10-6cm/sec以下にならなかった。
従って、土の種類によっては必ずしもセメントと土壌とを混合するのみでは透水係数10-6cm/s以下を満足することは困難であると判断し、ベントナイトを加えるケースについて検討した。上述したように、セメント改良土壌にベントナイトを混合する場合の実際の施工では、ベントナイトはセメントミルクに混合し、施工機械16へポンプで圧送して原位置の地盤14の土壌と混合攪拌する。このため、ベントナイトの量Bが多い場合には、セメントミルクの粘性が増加し、ポンプ圧送に不都合が生じると考えられるので、まず、ベントナイトを混合したセメントミルクの粘性を評価する試験を実施した。この試験は、Pロートを用いた試験(土木学会基準JSCE−F521参照)で評価した。図7のグラフに示すように、ベントナイトとセメントとの混合比を15%とした場合にはセメントミルクの粘性が高くなり、Pロートから落下せず試験が不可能であった。一方、ポリカルボン酸系高分子水溶液を主成分とした分散剤をセメント重量の1%混入した場合には、ベントナイトを20%まで混合しても試験は可能であった。
このため、ベントナイトとセメントとの重量比は20%までの範囲が現実的であると判断し、透水試験を実施した。なお、この透水試験では、ベントナイトの量Bが30kg/m3及び50kg/m3の場合には、セメントの量Aの1%の分散剤を使用して供試体を作製した。
図8のグラフに示すように、ベントナイトの量Bが多いほど透水係数は小さくなり、各条件とも同様の勾配で透水係数が低下している。また、25kg/m3以上の場合には、全ての条件で透水係数が10-6cm/s以下となった。
次に、改良前の供試体の透水係数α1とセメント、ベントナイトを混合した(改良後の)供試体の透水係数α2との比である透水係数比α(=α2/α1)と、セメントの量Aとベントナイトの量Bとの合計量との関係を検討した。図9のグラフに破線で示すセメントによる透水係数比αの低下量に比べて、図9のグラフに実線で示すベントナイトによる透水係数比αの低下量の方が勾配が大きく、ベントナイトの方が、透水係数比を低下させる効果が大きいことがわかる。これは、ベントナイトがセメントミルクの水分で膨潤して改良土壌の粒子間の空隙を充填する効果が大きいものと考えられる。
次に、ベントナイトの膨潤量(本実施形態では、n=9g/g)を含んだベントナイトの量B1(=9×B)とセメントの量Aとの合計量βを横軸にして、図9のグラフを単位重量当たりの膨潤量nにより修正したところ、図10のグラフに示すように、合計量βと透水係数比αとが強く関連するようになり、合計量βの増加により各条件とも透水係数比αがほぼ一様に低下するようになった。これは、膨潤したベントナイト粒子とセメント粒子の両者が改良土壌の空隙を充填し、透水係数を低下させているものと判断される。
以上のことから、地盤14の土壌の種類によらず、膨潤量を考慮したベントナイトの量B1とセメントの量Aとの合計量βと、改良前の土壌の透水係数α1と改良後の土壌の透水係数α2との比である透水係数比αとの間に相関関係があるという知見が得られた。
以下、合計量βと透水係数比αとの間の相関関係を示す図10のグラフを用いて、ベントナイトの量Bを算出する方法について図11のフローチャートを参照して説明する。以下、砂Aの場合を例にして述べる。
まず、ステップ1では、通常の地盤調査によって原位置の地盤14の透水係数α1(=10-2cm/sec)を求める。次に、ステップ2では、改良後の地盤14に要求される透水係数α2(=10-6cm/sec以下)を、汚染土壌対策法に基づいて求める。次に、ステップ3では、ステップ1、2で求めた透水係数α1と透水係数α2との比である透水係数比α(=10-6/10-2=10-4)を、下記(1)式から求める。
α=α2/α1…(1)
次に、ステップ4では、透水係数比α(=10-4)に対応した合計量β(=360kg/m3)を、図10のグラフから読み取る。次に、ステップ5では、ステップ4で読み取った合計量β(=360kg/m3)と、上述した原位置の土壌とセメントとの配合試験で求めたセメントの量A(=180kg/m3)を用いて、下記(2)式から、膨潤量を含むベントナイトの量B1(=360−180=180kg/m3)を求める。
B1=β−A…(2)
次に、ステップ6では、単位重量当りの膨潤量n(=9g/g)、ステップ5で求めたベントナイトの量B1(=180kg/m3)を用いて、下記(3)式から膨潤量を含まないベントナイトの量B(=180/9=20kg/m3)を求める。
そして、ステップ7において、ステップ1〜6を経て設計されたセメントの量A(=180kg/m3)、ベントナイトの量B(=20kg/m3)の配合条件で地盤改良体を作製し、透水試験を行う。
以上、説明したように、本発明の配合設計方法では、土壌の種類に関わらず、膨潤量を含んだベントナイトの量B1とセメントの量Aとの合計量βと、透水係数比αとの間に相関関係があるという知見を得、この相関関係に基づいて、透水係数の目標値を満足するベントナイトの量Bを推定するようにしたことで、推定されたベントナイトの量Bと地盤14の強度の目標値を満足するセメントの量Aを用いた配合条件で地盤改良体を作製し、透水試験を1度実施するだけで、配合設計を完了することができる。これによって、従来の配合設計と比して、試験回数を大幅に削減でき、時間と労力を大幅に削減できる。
なお、本実施形態で用いたベントナイトの単位重量当りの膨潤量nが9g/gだったので、図10のグラフの横軸は、セメントの量A+9×ベントナイトの量Bとしたが、単位重量当りの膨潤量nが異なるベントナイトや石炭灰等の他の細粒分を用いる場合は、その細粒分の単位重量当りの膨潤量nを用いて適切な横軸を定めてグラフや表を作成し、そのグラフや表の値を読み取れば良い。
また、本発明における「細粒分」とは、土質材料の75μm以下の構成分のことをいう(地盤工学学会基準参照)。
また、地盤14の土質が均一であれば、底部遮水層までの全深に亘って一様に、セメントの量Aとベントナイトの量Bとの配合設計を行えば良いが、地盤14の土質が深さによって変わる場合は、深さによって配合設計を変えれば良い。この際、合計量βと透水係数比αとの相関関係は、土質によって変化しないので、相関関係を取得し直す必要はない。
次に、本発明の配合設計方法を用いた配合設計装置について説明する。
図12に示すように、配合設計装置100には、入力部22と、記憶部24と、演算部26と、出力部28とが備えられている。記憶部24には、図13に示すような合計量βと透水係数比αとの相関関係を示すマップ又は該マップを指数近似した下記(4)の演算式が記憶されている。
Y=e-0.023X …(4)、R2=0.8386
但し、R2は相関係数
また、入力部22には、原位置の地盤14の土壌の透水係数α1、改良後の地盤14の土壌の透水係数α2、地盤14の強度を満足するセメントの量Aが、操作キー30によって操作入力される。また、演算部26は、記憶部24に記憶されたマップ又は演算式、入力部22に入力されたデータに基づいて、透水係数比α、ベントナイトの量Bを演算する。また、出力部28は、入力部22に入力された透水係数α1、α2、セメントの量Aと、演算部26で演算された透水係数比α、ベントナイトの量Bを出力し、モニタ32に表示させる。
以下、配合設計装置100によるセメントの量Aとベントナイトの量Bとの配合設計方法について図14のフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップ101では、原位置の改良前の地盤14の透水係数α1(=10-2cm/sec)、改良後の地盤14の目標の透水係数α2(=10-6cm/sec)、及び地盤14の強度を満足するセメントの量A(180kg/m2)が入力部22に入力されるまで否定判定が繰り返され、肯定されるとステップ102へ進む。ステップ102では、演算部26が、入力部22に入力された透水係数α1、α2を用いて下記(11)式から透水係数比α(=10-2/10-6=10-4)を演算する。
α=α2/α1…(11)
次に、ステップ103では、演算部26が、ステップ102で演算された透水係数比αに対応する合計量β(=360kg/m3)を、記憶部24に記憶されたマップ又は演算式から演算する。なお、演算式(4)から演算した場合の合計量βは、400kg/m3となる(図13のグラフ参照)。次に、ステップ104では、演算部26が、ステップ103で演算された合計量βと、入力部22に入力されたセメントの量Aを用いて下記(12)式からベントナイトの量B(=20kg/m3)を演算する。
B=(β−A)/n…(12)
なお、ステップ104では、始めから膨潤量を含まないベントナイトの量Bを算出するのではなく、まず、膨潤量を含むベントナイトの量B1を上記(2)式から演算し、その演算結果に基づいて、膨潤量を含まないベントナイトの量Bを上記(3)式から演算しても良い。
次に、ステップ105では、入力部22に入力された透水係数α1、α2、セメントの量Aと、演算部26で演算された透水係数比α、ベントナイトの量Bが出力されモニタ32に表示される。そして、処理ルーチンを終了する。
なお、本実施形態では、深層混合処理工法を用いて遮水壁10を形成したが、深層混合処理工法に限らず、RC地中連続壁工法やシートパイル工法等によっても遮水壁10を形成することは可能である。しかし、RC地中連続壁工法は、地盤をRC壁に置き換える工法であり、遮水壁10と同体積の土を堀削する必要があるので、大量の堀削土が発生し、堀削土の処分にかかるコストが高くなる。また、RC構造の地盤を地中に作製する工法であるが故に、セメントを地中に注入して混合攪拌する深層混合処理工法と比較すると、明らかに高コストである。
また、シートパイル工法は、複数の鋼板を地盤に挿入して繋ぎ合わせて遮水壁10を作製する工法である。この工法では、遮水性能という点で継ぎ手部分が弱点となり、継ぎ手部分に特殊な遮水対策を施す必要があるので、深層混合処理工法と比較すると、高コストである。
また、ソイルセメント壁工法により遮水壁10を構築することも可能である。この工法は、深層混合処理工法と同様、セメントミルクを地中に注入して土壌と混合攪拌するという工法であり、セメントに細粒分を配合することも考えられるので、本発明の配合設計方法を適用可能である。しかし、図15に示すように、この工法では、一般にセメントミルクのW/Cが200〜400%と深層混合処理工法(図15(A)参照)と比較して大きく、図15(B)に示すように、汚泥の発生量が深層混合処理工法と比較して圧倒的に多くなる。このため、汚泥の処理にかかるコストが高くなる。特に、汚泥に汚染物質が含まれる場合には、通常の汚泥と異なり産業廃棄物として処理しなければならないので、さらに高額の処分費用が必要となる。
従って、現状では、深層混合処理工法が他の工法と比してコストの面で有用である。
本実施形態の深層混合処理工法による地盤改良を施工した後の状態を示す裁断斜視図である。 本実施形態の深層混合処理工法による地盤改良を施工している状態を示す断面図である。 セメントの添加量と一軸圧縮強度との関係を示すグラフである。 試料の粒径加積曲線を示すグラフである。 供試体の配合条件をまとめた表である。 セメントの量と透水係数との関係を示すグラフである。 ベントナイトの量と流下時間との関係を示すグラフである。 ベントナイトの量と透水係数との関係を示すグラフである。 セメントの量とベントナイトの量との合計量と透水係数比との関係を示すグラフである。 ベントナイトの膨潤量を考慮したセメントの量とベントナイトの量との合計量と透水係数比との関係を示すグラフである。 本実施形態の深層混合処理工法のセメントとベントナイトとの配合設計方法を説明するためのフローチャートである。 本実施形態の深層混合処理工法のセメントとベントナイトとの配合設計装置の回路構成を示すブロック図である。 ベントナイトの膨潤量を考慮したセメントの量とベントナイトの量との合計量と透水係数比との相関関係を示すマップである。 本実施形態の深層混合処理工法のセメントとベントナイトとの配合設計装置の動作を説明するためのフローチャートである。 (A)は深層混合処理工法における汚泥の発生量を説明するための図で、(B)はソイルセメント壁工法における汚泥の発生量を説明するための図である。 (A)、(B)は混合処理工法の実施形態の概略を示す断面図である。 汚染土壌の封じ込めの概略を示す断面図である。
符号の説明
10 遮水壁(地盤)
14 地盤
22 入力部(入力手段)
24 記憶部(記憶手段)
26 演算部(演算手段)
28 出力部(出力手段)
100 配合設計装置
A セメントの量
B ベントナイトの量
B1 膨潤量を含むベントナイトの量
n 単位重量当りの膨潤量
α 透水係数比
α1 透水係数
α2 透水係数

Claims (2)

  1. セメントと水と細粒分と土壌を混合攪拌して地盤を改良する地盤改良工法のセメントと細粒分との配合設計方法であって、
    改良前の地盤の透水係数α1と改良後の地盤の透水係数α2との比である透水係数比αと、膨潤量を含む細粒分の量B1とセメントの量Aとの合計量βとの相関関係を示すマップ又は演算式を予め取得し、下記(1)〜(4)の工程を行うことを特徴とする地盤改良工法のセメントと細粒分との配合設計方法。
    (1)下記(1)式から透水係数比αを求める。
    (2)前記マップ又は前記演算式から上記(1)の工程で求めた透水係数比αに対応する合計量βを求める。
    (3)上記(2)の工程で求めた合計量βと地盤の強度の目標値を満足するセメントの量Aを用いて、下記(2)式から膨潤量を含む細粒分の量B1を求める。
    (4)上記(3)の工程で求めた膨潤量を含む細粒分の量B1と、細粒分の単位重量当りの膨潤量nを用いて、下記(3)式から膨潤量を含まない細粒分の量Bを求める。
    α=α2/α1 …(1)
    B1=β−A …(2)
    B=B1/n …(3)
  2. セメントと水と細粒分と土壌を混合攪拌して地盤を改良する地盤改良工法のセメントと細粒分との配合設計装置であって、
    改良前の地盤の透水係数α1と改良後の地盤の透水係数α2との比である透水係数比αと、膨潤量を含む細粒分の量B1とセメントの量Aとの合計量βとの相関関係を示すマップ又は演算式を予め記憶した記憶手段と、
    改良前の地盤の透水係数α1と、改良後の地盤の透水係数α2と、地盤の強度の目標値を満足するセメントの量Aを入力する入力手段と、
    下記(1)〜(4)の演算を実行する演算手段と、
    (1)前記入力手段に入力された透水係数α1、透水係数α2を用いて、下記(1)式から透水係数比αを求める。
    (2)前記マップ又は演算式から上記(1)で求めた透水係数比αに対する前記合計量βを求める。
    (3)上記(2)で求めた合計量βと前記入力手段に入力されたセメントの量Aを用いて、下記(2)式から膨潤量を含む細粒分の量B1を求める。
    (4)上記(3)で求めた膨潤量を含む細粒分の量B1と、細粒分の単位重量当りの膨潤量nを用いて、下記(3)式から膨潤量を含まない細粒分の量Bを求める。
    少なくとも前記演算手段によって演算された細粒分の量Bを出力する出力手段と、
    を有することを特徴とする地盤改良工法のセメントと細粒分との配合設計装置。
    α=α2/α1 …(1)
    B1=β−A …(2)
    B=B1/n …(3)
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