JP4555724B2 - プレキャストコンクリート部材を用いた構造物の構築方法 - Google Patents
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Description
一般プラント建設においては、架構上に構築した床面(床版)に機器が設置される構造となっているが、この構造物としての床面は、底版コンクリート、架構を構成する柱部材、架構上に設置される床面の順に、それぞれの段階で、現地にて、鉄筋加工、型枠組立、コンクリート打設、鉄筋コンクリートが所定の強度を発現するまでの養生、型枠の解体、という工程を繰り返すことにより構築されている。
図4,図5は、このような構造物の従来の構築方法の工程を示す図であり、(a)地盤の掘削後、均しコンクリート11を築造する地業工程(掘削、型枠加工、コンクリート充填・養生、型枠解体)、(b)底版コンクリート17を築造する底版築造工程(鉄筋・型枠加工、コンクリート充填・養生、型枠解体)、次いで(c)底版コンクリート17上にコンクリート柱15を築造する柱築造工程(鉄筋・型枠加工、コンクリート充填・養生、型枠解体)、次いで(d)底版コンクリート17上に支保工12を設ける支保工設置工程、次いで(e)コンクリート柱15上に結合してコンクリート床版13を築造する床版築造工程(鉄筋・型枠、コンクリート充填・養生、型枠解体)、次いで(f)支保工12を解体撤去する支保工解体工程、その後(g)床版上に機器を設置する機器設置工程という順序で建設工事が行われている。
この工法では、現地作業が多く手間がかると共に、例えば、昼夜二交代にて築造工事を行うとしても、現地作業工程の煩雑さ、及び鉄筋コンクリートの養生期間が必要であり、工期短縮には限界がある。
そして、構造物(床版)への機器の組み立て、据付は、(f)の完了を待って開始される。
また、一般的な構造物に対して、プレキャストコンクリート部材を用いて工期を短縮する方法として、例えば、特許文献2では、逆梁工法における床の製造にハーフPC工法を適用し、逆梁躯体の施工にサイドプレハブ工法を適用することによって、工期の短縮、工事現場での省力化、躯体品質の安定化と工事安全性の向上を図る逆梁用ハーフPCスラブ及びそれを用いた逆梁躯体の施工法が提案されている。
すなわち、上記の従来の施工方法は、地業(掘削、及び均しコンクリート築造)を行い、底版コンクリートを築造した後、プレキャストコンクリート柱を建て込み、次いでコンクリート床版を設置するものであり、コンクリート床版の据付、固定完了後でなければ、機器の組立、据付け工事に着手できず、建設工事の工期短縮には限界がある。
また、特許文献1の方法では、上述のようにプレキャストコンクリート柱を使用する点では、省力化、工期短縮の効果は得られるものの、プレキャストコンクリート柱と底版コンクリートとの結合のために柱及び底版コンクリートに加工が必要であり、現地での据付等に、時間とコストがかかるのは避けられない。
また、特許文献2に提案された技術は、柱の築造後に行われる床の築造工程の短縮、スペースの確保を指向したものであり、プラント建設などにおける大幅な工期短縮は困難である。
本発明は、プラント建設工事などにおける基礎構造物の建設工事工程と基礎構築物上に設置する機器設置工事工程をラップさせることを可能とし、建設工事全体の工期を短縮可能とする構造物の構築方法を提供することを課題とする。
本第1発明は、プレキャストコンクリート部材を用いた構造物の構築方法であって、(1)地業を行なって均しコンクリートを築造し、(2)この均しコンクリート上に、コンクリート床版を形成するための支保工を設置し、(3)次いで、支保工上に貫通孔を有するコンクリート床版を仮固定し、(4)プレキャストコンクリート製柱を均しコンクリート上に建て込んだ後、(5)コンクリート床版とプレキャストコンクリート製柱を結合し、(6)構造物の底版コンクリートを築造し、プレキャストコンクリート製柱と底版コンクリートとを結合することを特徴とする。
本第2発明は、本第1発明に記載のプレキャストコンクリート部材を用いた構造物の構築方法において、前記コンクリート床版がプレキャストコンクリート製柱を貫通させる貫通孔を備えたプレキャストコンクリート製床版であることを特徴とする。
従って、底版コンクリートの築造に要する期間と、機器の組立、設置作業に要する期間をラップさせることができ、建設工期全体を大幅に短縮することができる。
本第2発明の構造物の構築方法によれば、現地でのコンクリート床版の構築(築造)作業、すなわち、現地での鉄筋・型枠加工、コンクリート打設・養生、型枠撤去などの作業、を省略することができ、また、これらに要する工期を短縮することができる。さらに、プレキャストコンクリート製柱を底版コンクリート上に迅速に降ろすことができ、あるいは、コンクリート床版とプレキャストコンクリート製柱との結合作業も効率的に進めることができるので工期の短縮が可能である。
図1(i)〜(iv)および図2(v)〜(vii)は、本発明の構造物の構築方法における工程を示す側面からの模式図であり、図2(v)〜(vii)は図1(i)〜(iv)に続く工程を示している。紙面垂直な方向を奥行きとする。
先ず、図1の(i)は、構造物の基礎となる底版を築造するために必要な地業を行なう工程を示している。
まず、地盤を所定深さまで掘削後、均しコンクリート1の築造を行う。均しコンクリート1は、鉄筋/または鉄骨の無い、無筋コンクリート造りであり、基礎地盤を所要の形状に掘削した後、型枠(図示せず)を設置し、型枠にコンクリートを流し込み、所定期間養生した後、型枠を外す、いわゆる現場打ちによって構築される。なお、この均しコンクリートの厚さは、必要に応じて、上部構造の重量を支えるに十分な適切な厚さとする。
この支保工2は、コンクリート床版を設けるためのものであり、所要の位置に所要の高さに設けられる。通常の部材、例えば鋼管、矢板などを用いて設置することができる。
コンクリート床版3は、支保工2上にコンクリート床版用の鉄筋/鉄骨、および型枠(いずれも図示せず)を設け、型枠内にコンクリートを流し込む、いわゆる現場打ちによって築造する。
すなわち、図3は、コンクリート床版3(または3’)の一部を示す上面図であるが、図3に示すように、コンクリート床版の所定の位置、すなわちプレキャストコンクリート柱5が設けられる位置に対応する位置、には、貫通孔4が設けられる。
なお、コンクリート床版は、構造物の大きさによって異なるが一体形成された一枚のコンクリート床版により構築されても良いし、複数のコンクリート床版を連結して一体のコンクリート床版としても良い。
プレキャストコンクリート柱5が、上方から上記コンクリート床版3(または3’)の貫通孔4を通って均しコンクリート1上の所定の位置に対して適切に降ろされる。
なお、少なくともこの位置の均しコンクリートは、構造物の重量を支持するに十分な厚さとすることは言うまでもない。
プレキャストコンクリート柱5の下端が均しコンクリート1上に着いたあと、プレキャストコンクリート柱とコンクリート床版とを結合する。結合方法は特に限定するものではなく、公知の手段によって行うことができる。
底版コンクリート7は、通常の鉄筋コンクリート造りであり、基礎地盤上に所要の形状の鉄筋および/または鉄骨、および型枠を設置した後、型枠にコンクリートを流し込み、所定期間養生した後、型枠を外すことによって構築される。
プレキャストコンクリート柱5と底版コンクリート7との結合は、底版コンクリートへの埋め込み深さが、柱せいの1倍〜2倍程度とすることで、結合のためのアンカーボルトの設置、あるいは、プレキャストコンクリート製柱の下端部にベース板の設置等の加工が不要となり、現地での加工や据付作業の省力化が可能となる。
すなわち、コンクリート床版上での機器の組立、設置などの工事と平行して、底版コンクリートの築造、及び、底版コンクリートとプレキャストコンクリート製柱との結合工程を行なうことができる。
従って、建設工程全体の短縮が図れると共に、コンクリートの構築に関連する工事の短縮、及びそれに伴う省力化、プレキャストコンクリート部材のように工場製作部材を多用することによる構造物の精度向上などの効果を得ることが出来る。
2 支保工
3 3’ コンクリート床版
4 貫通孔
5 プレキャストコンクリート柱
6 結合部
7 底版コンクリート
11 均しコンクリート
12 支保工
13 コンクリート床版
15 コンクリート柱
17 底版コンクリート
Claims (2)
- (1)地業を行なって均しコンクリートを築造し、(2)この均しコンクリート上にコンクリート床版を形成するための支保工を設置し、(3)次いで、支保工上に貫通孔を有するコンクリート床版を仮固定し、(4)プレキャストコンクリート製柱を均しコンクリート上に建て込んだ後、(5)コンクリート床版とプレキャストコンクリート製柱とを結合し、(6)構造物の底版コンクリートを築造し、プレキャストコンクリート製柱と底版コンクリートとを結合することを特徴とするプレキャストコンクリート部材を用いた構造物の構築方法。
- 前記コンクリート床版がプレキャストコンクリート製柱を貫通させる貫通孔を備えたプレキャストコンクリート製床版であることを特徴とする請求項1に記載のプレキャストコンクリート部材を用いた構造物の構築方法。
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