JP4555513B2 - 噴射弁の圧電式のアクチュエータ用の制御電圧を規定するための方法 - Google Patents

噴射弁の圧電式のアクチュエータ用の制御電圧を規定するための方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特許請求の範囲第1項の上位概念に記載の形式の、噴射弁の圧電式のアクチュエータ用の制御電圧を規定するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ドイツ国特許第19732802号明細書から、高圧システム(コモンレール・システム)を有する内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射するための噴射弁が公知である。前記噴射弁は2つの弁座を有していて、該弁座に向けて、ピエゾ・駆動装置による操作時に弁閉鎖部材が移動せしめられる。弁閉鎖部材が始めに第1の弁座における閉鎖位置を占める場合には、弁閉鎖部材はピエゾ・駆動装置を用いて弁座間の中間位置に達し、次いで、第2の弁座における第2の閉鎖位置に達する。このために、圧電式のアクチュエータは、コモンレール・システムの圧力に関連した制御電圧を充電される。かけられる電圧に基づきアクチュエータは長手方向に伸張しかつこれによって弁閉鎖部材を第2の弁座の方向に移動させる。第1の弁座の方向に弁閉鎖部材の運動を逆転するために、アクチュエータが再び放電される。
【0003】
一方の弁座から他方の弁座への弁閉鎖部材の運動経過によって、高圧下の弁制御室の短時間の放圧が得られ、前記弁制御室の圧力レベルによって、開放方向もしくは閉鎖方向で弁ニードルの制御が行われる。弁閉鎖部材が両弁座間の中間位置を占めている場合には、燃料噴射が行われる。このようにして、二重の燃料噴射、例えば前噴射と主噴射とを実現できる。
【0004】
弁部材の制御は、直接的に行われるのではなく、液力式のカップラーにおける液力伝達によって行われる。弁閉鎖部材をその弁座から移動させるように、圧電式のアクチュエータが強く電圧で負荷された場合には、液力チャンバ内を占め燃料量の一部がチャンバの漏れギャップを介して押し出される。前記効果は、制御弁が高圧領域に面した第2の弁座に保持される場合に特に大きい。それというのも、この場合レール圧力による対向圧力が特に大きいからである。液力式のカップラーのチャンバ内の低圧領域の再充填は、例えば実地において15バールになるシステム圧力によって行われる。いずれにせよ充填は同様に漏れギャップを介して、圧電式のアクチュエータが制御されない時間中にのみ行われる。
【0005】
しかしながら公知の噴射弁の場合には、液力式のカップラーが完全に再充填されないという問題が生ずる。従って、圧電式のアクチュエータの同じ制御電圧の場合に生ずる弁ストロークは、再充填度に関連して著しく異なる。2つの噴射が互いに密接して行われるほど、カップラーの再充填量が減少する。更に不都合には、アクチュエータの制御時間が長い場合及び液力式のカップラーの負荷時間が長い場合に漏れ量が増大する。この場合にも、再充填は必ずしも保証されずひいては制御電圧が不変である場合に弁ストロークが異なることがある。弁ストロークが異なる結果として不都合には、噴射量の調量が不正確でありかつ場合によっては、カップラーの減少した再充填量に基づき弁が正確に位置決めされずひいてはノズルニードルが開放されない場合には、燃料の所望の噴射が達成できなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記公知の欠点を回避することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題は本発明によれば、特許請求の範囲第1項の特徴部分に記載の、噴射弁の圧電式のアクチュエータ用の制御電圧を規定するための本発明による方法によって解決された。
【0008】
【発明の効果】
請求項1記載の特徴を有する、噴射弁の圧電式のアクチュエータ用の制御電圧を規定するための本発明による方法の利点は、先行の噴射期間とは無関係に又は噴射期間の制御とは無関係に、常時アクチュエータ用の最良の制御電圧が準備されるということにある。特に有利には、液力式のカップラーの瞬間的な充填レベルとは無関係にかつカップラー内で支配する圧力とは無関係に、測定されたパラメータを用いて噴射弁は、所要の噴射量を実際に噴出するように位置決めされる。このことは特に調量量が少ない場合に必要である。
【0009】
従属請求項に記載の措置によって、請求項1記載の方法の有利な改良及び改善が得られる。特に有利には、液力式のカップラー内の圧力が圧電式のアクチュエータに作用しかつ該アクチュエータにおいて出力端子で測定可能な電圧が誘導される。これによって有利には、別のセンサを用いずに間接的にカップラー内の圧力を検出でき、該圧力はアクチュエータに作用しかつ該アクチュエータにおいて電圧を誘導する。
【0010】
更に有利には、圧力が2つの噴射の間に、例えば次の噴射の開始直前に測定される。これによって、カップラー内の瞬間的に生ずる圧力が検出される。
【0011】
更に有利な解決策では、表の形式でのアルゴリズムの記憶にあり、従って、圧力と制御電圧との間の対応する関連値に簡単にアクセスできる。
【0012】
しかしながら、誘導された電圧が所定の閾値以下である場合には、カップラーが十分充填されないため、噴射が行われないか又は正確な噴射が行われないことから出発する。前記効果は有利には、カップラー充填のエラー検出もしくはミスファイヤ検出のために利用することができる。
【0013】
有利には、制御電圧をカップラー圧力に比例的に適合させることができる。このような適合は、例えば制御電圧と乗算されるファクタ(Faktor)によって規定できる。特に、次いで行われる噴射の直前にカップラー圧力を測定する場合に有利には、カップラーの現在の再充填度が考慮される。
【0014】
ソフトウエアプログラムを用いたアクチュエータ用の制御電圧の規定及び発生は、種々のタイプの機械への適応を容易にする簡単な解決策を成す。それというのも、機械的な変更を行わずに済むからである。
【0015】
特に有利には、方法の適用は内燃機関における燃料噴射のために適し、特に制御電圧の算定が機関の各シリンダのために個々に調節可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に図示の実施例につき本発明を説明する。
【0017】
第1図では、中央の孔を備えた噴射弁1が概略的に図示されている。上側部分には、圧電式のアクチュエータ2を備えた調節ピストン3が設けられていて、この場合、調節ピストン3はアクチュエータ2に不動に結合されている。調節ピストン3は上方で液力式のカップラー(Koppler)4を閉鎖しているのに対して、液力式のカップラーの下方には第1の弁座6に対する接続通路を備えた開口が設けられていて、接続通路内には、弁閉鎖部材12を備えたピストン5が配置されている。弁閉鎖部材12は、複式閉鎖型の制御弁として構成されている。弁閉鎖部材12は、アクチュエータ2が不作用状態にある場合に、第1の弁座6を閉鎖する。アクチュエータ2が作動した場合、即ち、端子+,−に制御電圧Uaがかけられた場合には、アクチュエータ2は調節ピストン3を操作しかつ液力式のカップラー4を介してピストン5を弁閉鎖部材12と共に第2の弁座7の方向に押圧する。第2の弁座の下側で対応する通路内にはノズルニードル11が設けられていて、該ノズルニードル11は、高圧通路(コモンレール・圧力)13内の流出部を、どのような制御電圧Uaがかけられるかに応じて開閉する。高圧は、内燃機関用の燃料のような噴射すべき媒体によって供給通路9を介して供給される。流入絞り8及び流出絞り10を介して、ノズルニードル方向及び液力式のカップラー方向への媒体の供給量が制御される。この場合液力式のカップラー4は、一面ではピストン5のストロークを増強しかつ他面では制御弁をアクチュエータ2の静的な温度伸張から減結合するという役割を有する。図面では、カップラーの再充填形式は図示されていない。
【0018】
以下に、上記噴射弁の機能形式を詳述する。
【0019】
アクチュエータ2のその都度の制御に際して、調節ピストン3は液力式のカップラー4の方向に移動せしめられる。この場合、ピストン5は弁閉鎖部材12と共に第2の弁座7の方向に移動する。この際、漏れギャップを介して液力式のカップラー4内を占める媒体、例えば燃料の一部が押し出される。従って、2つの噴射の間では液力式のカップラー4は、該カップラーの機能確実性を維持するために、再充填されねばならない。
【0020】
供給通路9を介して、コモンレール・システムにおいては例えば200バール乃至1600バールである高い圧力が支配する。前記圧力はノズルニードル11に対して作用しかつノズルニードルを閉鎖状態で維持するので、燃料は流出しない。制御電圧Uaに基づきアクチュエータ2が作動されひいては弁閉鎖部材12が第2の弁座の方向に移動した場合には、高圧領域の圧力が減少しかつノズルニードル11が噴射通路を開放する。
【0021】
噴射弁1の前記挙動をもう一度第2図a,bのダイヤグラムに基づき詳述する。第2図aでは、Y・軸に時間軸tに亘って制御電圧Uaを記入している。下側の第2図bでは、液力式のカップラー4内で測定されるような所属のカップラー圧力Pが記入されている。カップラー4内では、制御電圧Uaがかけられない場合に、例えば高圧部分の圧力Pの1/10である定常圧力Pが調節される。アクチュエータ2が放電された後ではカップラー圧力は近似値的に0でありかつ再充填によって再び上昇せしめられる。しかしながら、位置t=bで明らかなように、新たな充電過程前に定常の再充填圧力Pは得られない。時点cで始めて、カップラー圧力Pが得られるまで(d)、カップラー4の再充填によって増圧が行われる。圧力経過は制御電圧Uによって制御される。位置aでは最高の電圧、例えば200V及び最高の圧力が得られる。この場合、圧力は電圧経過に対応して、即ち、第1の弁座6と第2の弁座7との間で弁閉鎖部材12がどのような位置を占めるかに応じて経過する。今や、時点bで既に本来のカップラー圧力Pが得られることが所望される。このことが得られない場合には、制御電圧が相応に修正されねばならない。
【0022】
本発明によれば、液力式のカップラー4内の圧力経過はアクチュエータ2内で誘導される電圧(圧電電圧=Piezospannung)Uを用いて測定される。特にコモンレール・システム内の高い圧力のために、例えば1:10のカップラー4の伝達比に基づき160バールまでの再充填圧力が生ずる。前記の高い再充填圧力によって、アクチュエータが放電された場合に、即ち、弁閉鎖部材12が複式閉鎖型の噴射弁1の第1の弁座6に接触した場合に、カップラー4内で高い圧力が形成され、該圧力は、アクチュエータ2内で対応する圧電電圧Uを生ぜしめる。カップラー4が充填されないか又は十分に充填されない場合には、カップラー4内で比較的低い圧力がひいては比較的低い電圧Uが生ずる。第5図は、電圧Uのための対応する特性曲線を図示している。特性曲線aは、放出されたカップラー4による経過を示しかつ特性曲線b,cは、充填されたカップラー4による経過を示している。電圧Uが時点tで、即ち、tにおける制御の直前に測定される場合には、カップラー4の充填度に応じて対応する電圧経過が得られる。閾値Sの設定によって時点tに、カップラー4が十分に充填されているか否かを確定できる。これは、ミスファイヤ検出(Aussetzererkennung)のための最善のエラーインジケータである。十分に充填されていないカップラー4は、燃料の不完全な又は誤った噴射を生ぜしめる。この場合、特にアクチュエータ電圧の増大によっても制御弁は最早正確に制御されない。それというのも、カップラー4内で所要の圧力を形成できないからである。閾値を下回った場合には、前記エラーは光学的に又は音響学的に出力されるか及び/又は適当なエラーメモリ内に記憶されるので、後で、例えば工場で前記エラーを読み取ることができる。
【0023】
カップラー圧力Pと誘導されたアクチュエータ電圧Uiとの間の関連性は、第3図のダイヤグラムに図示されている。この場合、アクチュエータ電圧Uはカップラー圧力Pに比例的に経過する。この場合、特性曲線31はカップラー圧力Pを示しかつ特性曲線32は誘導されたアクチュエータ電圧Uを示している。前記特性曲線から明らかなように、例えば簡単な比例ファクタ(Proportionalitaetsfaktor)によって、カップラー圧力Pに関連してアクチュエータ電圧Uを修正するために使用可能なアルゴリズムを形成できる。
【0024】
本発明の選択的な実施例では、圧力と誘導電圧との間の関連性のための表で表した値を作成しかつこれを対応するメモリ内に貯蔵することができる。対応するプログラムを用いて、前記値を制御電圧Uaの修正のために使用することができる。対応するプログラムは有利には、機関制御のためのシステムの主要構成部分、特にガソリン機関又はディーゼル機関の直接噴射のためのシステムの主要構成部分である。
【0025】
第4図では、制御電圧Uを修正するためのソフトウエアプログラムを誘起できる構造図が図示されていて、該構造図は、例えば内燃機関のシリンダに有効でありかつ別のシリンダのために選択的に変えることができる。カップラー4内の圧力のための基準を成す、アクチュエータ2内で誘導される電圧Uは、位置41において信号として調整されかつ圧力値Pとして減算器42に供給される。
更に、前記減算器42には、定常的にカップラー44内で調節される圧力Pの値が案内される。結果的に、減算器42の出力部において差圧dPが得られ、該差圧は、修正電圧Ukorrを生ぜしめる特性曲線43に案内される。前記修正電圧は制御電圧Uに加算される。ミスファイヤ検出のために、前記修正電圧Ukorrが例えばコンパレータ(図示せず)において所定の閾値Sと比較されかつ場合によっては対応するエラー情報が出力されるか及び/又は記憶される。これによって、エラーは証明として後でも使用できる。
【0026】
本発明の選択的な実施例では、誘導電圧Uもしくは誘導電圧から確認されたカップラー圧力Pをエラー検出のために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】噴射弁の概略的な構造を示す図。
【図2】図a,bはそれぞれ、制御電圧及び圧力経過のためのダイヤグラム。
【図3】カップラー圧力及びアクチュエータ電圧のためのダイヤグラム。
【図4】構造図。
【図5】別のダイヤグラム。
【符号の説明】
1 噴射弁、 2 アクチュエータ、 3 調節ピストン、 4,44 カップラー、 5 ピストン、 6 第1の弁座、 7 第2の弁座、 8 流入絞り、 9 供給通路、 10 流出絞り、 11 ノズルニードル、 12 閉鎖部材、 13 高圧通路、 31,32 特性曲線、 42 減算器、 43
特性曲線

Claims (12)

  1. 噴射弁の圧電式のアクチュエータ(2)用の制御電圧を規定するための方法であって、前記噴射弁(1)によって流体量が高圧下で中空室内に噴射されるようになっており、アクチュエータ(2)が、噴射弁(1)の孔内で調節ピストン(3)を介して隣接する液力式のカップラー(4)に連結されており、該カップラーが、液力式伝達手段として作業しかつ高圧を閉鎖部材(12)を備えたピストン(5)に作用させかつこの際閉鎖部材を第1の弁座(6)と第2の弁座(7)との間で複数位置に移動させるようになっており、噴射過程後に液力式のカップラー(4)が適当な通路を介して再充填される形式のものにおいて、噴射過程後に、液力式のカップラー(4)内の圧力(P)に対応するパラメータを測定し、該パラメータによって所定のアルゴリズムにより、圧電式のアクチュエータ(2)の制御電圧(U)のための値を規定することを特徴とする、噴射弁の圧電式のアクチュエータ用の制御電圧を規定するための方法。
  2. アクチュエータの端子においてパラメータとして、カップラー(4)内の圧力(P)に起因してアクチュエータ(2)内で誘導される電圧(U)を測定する、請求項1記載の方法。
  3. 2つの噴射の間で電圧を測定する、請求項2記載の方法。
  4. 制御電圧(U)を、カップラー(4)内で実際に支配する圧力(P)に適合させる、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. アルゴリズムが、圧力(P)、誘導電圧(U)及び/又は制御電圧(U)の間の関連値を記憶している表を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 誘導電圧(U)及び/又は算定されたカップラー圧力(Pk)のための所定の閾値を下回った場合に、エラー情報を出力する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. エラー情報を光学的、音響学的に出力するか及び/又はエラーメモリ内で記憶する、請求項6記載の方法。
  8. 制御電圧(U)を、カップラー圧力(P)に比例して適合させる、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. アクチュエータ電圧(U)を、次いで行われる制御の直前に、有利には高圧通路内のレール圧力が測定される時点に、測定する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 制御電圧(U)を、ソフトウエアプログラムを用いて規定する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. ソフトウエアプログラムが、機関制御のための、有利にはコモンレール・システムのための計算機構の主要部分である、請求項10記載の方法。
  12. 燃料噴射をガソリン機関又はディーゼル機関用の直接噴射のために利用する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
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