JP4555464B2

JP4555464B2 - 分数表示機能付き測定器

Info

Publication number: JP4555464B2
Application number: JP2000401664A
Authority: JP
Inventors: 剛史齋藤; 昌司柏渕
Original assignee: Mitutoyo Corp
Current assignee: Mitutoyo Corp
Priority date: 2000-12-28
Filing date: 2000-12-28
Publication date: 2010-09-29
Anticipated expiration: 2020-12-28
Also published as: JP2002202119A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、位置センサとその出力信号を処理する信号処理回路及び、測定値を表示する表示器を搭載して構成される測定器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、位置センサとして、静電容量式センサ、電磁誘導式センサ、光学式センサ等が知られている。またこれらの位置センサとその出力信号を処理する信号処理回路及び測定値を表示する表示器を搭載した小型の測定器として、ノギス、デブスゲージ、測長器等が実用されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところでインチ圏諸国では、しばしば分数インチ単位が用いられる。分数インチ単位が多く用いられるのは、木工機械関係の業界や、家具の製作工場、その他習慣的に分数単位の材料加工や測定を行うユーザー等においてである。また、自動車関係業界でも、タイヤ溝の検査、測定等には分数インチがよく用いられる。
しかし従来の小型測定器の測定値表示は通常、小数インチ（又は小数ミリ）単位であり、分数インチ（又は分数ミリ）表示は行われていないのが現状である。従って、分数インチを利用したいユーザーは、小数インチで表示された測定値を計算して分数インチを求めなければならず、作業効率が悪いものとなる。
【０００４】
この発明は、上記事情を考慮してなされたもので、分数表示機能付き測定器を提供することを目的としている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る分数表示機能付き測定器は、位置センサと、この位置センサの出力信号を処理して測定値を出力する信号処理回路と、この信号処理回路が出力する測定値を表示する表示器と、前記測定値の小数を分数に変換する分数演算回路と、を備えたことを特徴とする。
この発明において好ましくは、測定値の小数表示と分数表示とを切り換えるためのスイッチを有するものとする。
【０００６】
この発明によると、分数表示を可能とすることにより、分数インチ（又は分数ミリ）単位を利用するユーザーにとって、測定後に計算を行う必要がなく、作業性の向上が図られる。また、計算ミス等が防止されるから、測定や検査等のデータの信頼性が高いものとなる。
【０００７】
この発明において好ましくは、表示器は、表示面の略中央部に小数表示用セグメント部が配置され、その右側上部に単位表示用セグメント部が配置され、この単位表示用セグメント部の下方に前記小数表示用セグメント部より一段下がった位置に分数表示のための分母表示用セグメント部が配置されたものとする。
この様なセグメント配置とすることにより、通常の小数表示と分数表示を違和感なく切り換え表示することができる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施例を説明する。
図１〜図３は、この発明が適用される小型測定器の例を示している。図１は、ノギスであり、センサモジュール１とこれがスライド可能に取り付けられた本尺２を有する。本尺２の先端部とセンサモジュール１の先端部にそれぞれ、ジョウ３，４が形成されている。
【０００９】
図２は、デブスゲージであり、センサモジュール１とこれがスライド可能に取り付けられた本尺２を有する。本尺１の先端にはスピンドル６が設けられ、センサモジュール２の先端には測定基準面を構成するベース５が取り付けられている。
図３は、長尺の測定を行う測長器であり、単純にセンサモジュール１とこれがスライド可能に取り付けられた本尺２とから構成されている。
【００１０】
これらの測定器に用いられるセンサモジュール１は、後述するように位置センサと信号処理回路を備えると共に、測定値を表示する表示器１１を備えている。センサモジュール１はまた、電源スイッチ１２、ゼロリセットスイッチ１２、インチ(in)／ミリ（mm)切り換えスイッチ１４及びモード(MODE)スイッチ１５を有する。
【００１１】
これらの測定器においては、測定値の分数表示を可能としている。具体的には、ｉｎ／ｍｍ切り換えスイッチ１４の操作により、ミリ表示、インチ表示及び分数インチ表示の３つのモードの切り換えを可能としている。更に分数インチ表示を選択した状態で、モードスイッチ１５を操作することにより、分数インチ表示の分母を切り換える機能を持っている。
【００１２】
図４は、センサモジュール１のシステム構成を示している。位置（変位）センサ２０は、静電容量式、電磁誘導式、磁気式、光学式のいずれの方式でもよい。センサ２０の出力信号は、復調回路２２、計数回路２３及び演算回路２４を含む信号処理回路２１により処理されて、測定値が得られる。測定値は表示器１１に出力されると同時に、必要なら外部データとしても出力される。
【００１３】
復調回路２２は、通常正弦波状信号として出力されるセンサ出力信号をパルス信号に変換する。計数回路２２はそのパルス信号を計数して位置データを求める。演算回路２４は例えば、疎、中及び密の各スケールトラックのデータを合成する演算等を行う。
【００１４】
この発明において、演算回路２４は、ｉｎ／ｍｍ切り換えスイッチ１４により分数インチ表示が選択された場合には、測定値の小数を分数に変換する演算をも行う。分数インチ測定が指示された場合の分数インチ演算のフローは、例えば図５のようになる。
【００１５】
測定値がミリ単位で得られたとすると、ステップＳ１で小数インチ演算（即ちミリ／インチ変換）を行って小数インチデータを求める。そして、ステップＳ２で得られたデータの整数部を一時記憶し、ステップＳ３で小数部について分数に変換する演算を行う。こうして得られた分数インチと整数部とを合成して、表示器１１に表示させる。
【００１６】
分数インチ演算は、例えば図６に示すような演算テーブルを用意することにより、簡単な減算のみで小数インチを分数インチに変換することができる。この演算テーブルは、分数の分母を１２８とする場合の例である。図示のように、小数インチの単位数値０〜９に対して、分母を１２８とする場合に必要な演算用数値（１２８で除したときの値）が予め決まる。
【００１７】
例えばミリ／インチ変換された測定値が１．１０２インチであっとして、具体的な計算例を示すと、次のようになる。即ち整数部“１”は記憶保持して、小数部“１０２”に対して、次の数１のような計算を行う。まず図６のテーブルに基づいて、小数部“１０２”より小さく且つこれに最も近い演算用数値“０７８１３”に対応する小数インチ単位数値“１”を選択する。そして、小数部“１０２”からその演算用数値“０７８１３”を減算し、その剰余に対して、以下同様の操作を繰り返す。
【００１８】
【数１】

【００１９】
この様な演算により、分数インチの分子数“１３”が求められる。即ち分数インチの表示値は、「１”１３／１２８［inch］」となる。
【００２０】
なお、上の例では分母を１２８としたが、一般に分数インチの分母には、１６，３２，６４，１２８等の２のべき乗の数が用いられる。またこの発明は、インチ単位の分数表示に限らず、ミリ単位の分数表示を行う場合にも有効である。
【００２１】
上記実施例において、センサモジュール１の表示器１１には、例えばＬＣＤが用いられるが、通常の小数表示と分数表示とを切り換えて表示可能とするため、これらを違和感なく表示させることが望まれる。その様な考慮を行った表示器１１の表示セグメントのレイアウト例を図７に示す。
【００２２】
小数表示用セグメント部７１は、横長矩形の表示面のほぼ中央部に僅かに左よりに配置され、その左に正負の符号用セグメント７２が配置される。そして小数表示用セグメント部７１の右側上部に、「ｍｍ」と「inch」を横に並べた単位表示セグメント部７３が配置され、その下方の小数表示用セグメント部７１より一段下がった位置に分母表示用セグメント部７５が配置される。分母表示用セグメント部７５の数字セグメントは、小数表示用セグメント部７１の小数部の数値セグメントと同じ大きさとし、小数表示用セグメント部７１と分母表示用セグメント７５の間にスラッシュ表示用セグメント７４が配置されている。
【００２３】
この様なセグメント配置とすることにより、小数表示と分数表示を違和感なく行うことができる。その表示例を図８に示す。上から順に、通常測定の初期表示”０．０mm”、分数インチモードの初期表示”０／１２８in”、小数インチモードの初期表示”０．０００in”を示している。これらは前述のように、ｉｎ／ｍｍ切り換えスイッチにより切り換えられる。そして分数インチモードでは、モードスイッチにより、図示のように分母を切り換え表示できる。
【００２４】
更に図８は、具体的に測定を行った場合のミリモード、分数インチモード、小数インチモードでの表示例を示している。
この様に、表示器の表示セグメント配置を工夫することにより、通常の小数表示と分数表示とを違和感のない状態で切り換えて表示することができる。
【００２５】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明による測定器は、分数表示を可能とすることにより、分数インチ（又は分数ミリ）単位を利用するユーザーにとって、測定と計算を行う必要がなく、作業性の向上が図られる。また、計算ミス等が防止されるから、測定や検査等のデータの信頼性が高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明が適用される測定器の一例を示す図である。
【図２】この発明が適用される測定器の他の例を示す図である。
【図３】この発明が適用される測定器の他の例を示す図である。
【図４】測定システムの構成を示す図である。
【図５】分数演算のフローを示す図である。
【図６】分数演算テーブルを示す図である。
【図７】表示器のセグメント配置を示す図である。
【図８】表示器の各モードの表示例を示す図である。
【符号の説明】
１…センサモジュール、２…本尺、１２…電源スイッチ、１３…ゼロリセットスイッチ、１４…ｉｎ／ｍｍ切り換えスイッチ、１５…モードスイッチ、７１…小数表示用セグメント部、７２…符号表示セグメント部、７３…単位表示用セグメント部、７４…スラッシュ表示用セグメント部、７５…分母表示用セグメント部。

Claims

位置センサと、
この位置センサの出力信号を処理して測定値を出力する信号処理回路と、
この信号処理回路が出力する測定値を表示する表示器と、
前記測定値の小数を分数に変換する分数演算回路と
を備え、
前記表示器は、表示面の略中央部に小数表示用セグメント部が配置され、その右側上部に単位表示用セグメント部が配置され、この単位表示用セグメント部の下方に前記小数表示用セグメント部より一段下がった位置に分数表示のための分母表示用セグメント部が配置されている
ことを特徴とする分数表示機能付き測定器。
前記測定値の小数表示と分数表示とを切り換えるためのスイッチを有する
ことを特徴とする請求項１記載の分数表示機能付き測定器。