JP4554872B2 - 送風装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン発生装置を備えているドライヤ、扇風機等の送風装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば実開平5−74405号公報においては、中空筒状の本体ケースと、本体ケースの吹出口に装着されるブラシユニットを外殻体にしてヘアドライヤを構成し、本体ケースの内部に送風ファンとモータ、およびヒータなどを直線列状に配置している。本体ケースから吹き出された温風は、ブラシユニットの内部で直交する向きへ変向されて、一群のブリッスルの間から吹き出し供給される。
【0003】
本発明の送風装置に関して、ブラシユニットの内部にイオン発生装置を配置することは、実公昭58−16323号公報に公知である。そこでは、ブラシユニットの長手方向両側にスリットを開口し、この開口内部に電極リードを張り渡し、電極リードの複数個所にスリットへ向かって突出する高圧針電極が設けられている。但し、このヘアドライヤにおいては、高圧針電極に印加する高電圧を発生するための電源部が、本体ケースとは別の独立したユニットとして設けてあるので、電源部と高圧針電極とを高圧リード線で接続する必要があり、ヘアドライヤの取り扱い時に高圧リード線が操作の邪魔になって煩わしい。また、プラスイオンとマイナスイオンを髪に吹き付け、髪およびブラシに発生する静電気を除去することを目的としてイオン発生装置が設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この種の送風装置、ここではヘアドライヤにイオン発生装置を構成する全ての電装品を組み込む場合には、ブラシユニットの内部空間を利用してイオン発生装置を組み込むことになる。本体ケースの内部には送風ファン、モータ、およびヒータなどを既に組み込んであるので、本体ケース側にトランスや放電電極を組み込む余地がないうえに、放電電極は吹出口の近傍に配置するほどマイナスイオンを効果的に供給できるからである。
【0005】
しかし、イオン発生装置を構成する全ての電装品をブラシユニットの内部に集約配置すると、本体ケース側から送られて来た乾燥風が先の電装部品で遮られるため、吹出口の全面から乾燥風を均等に吹き出すことが困難となる。多くの場合は、ブラシユニットの本体ケース寄りの開口部分から乾燥風が吹き出ているに過ぎない。ブラシユニットの太さや幅を大きくすると、ブラシユニットの内部に乾燥風の通路を確保できるが、ヘアドライヤが大型化するのを避けられない。
【0006】
本発明の目的は、イオン発生装置が吹出部側に内蔵してあるにもかかわらず、吹出部の大型化を避けながら、風を吹出部の全面から吹き出すことができる送風装置を提供することにある。本発明の目的は、イオン発生装置がユニット部品化してあって、その組み付け構造を簡素化できるうえ、組み立てに要する手間も省くことができるドライヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の送風装置は、図3に示すように中空筒状の本体ケース1の内部に、風を送出する送風ファン6と、イオン発生装置とを備えている。本体ケース1は、内部に送風ファン6を含む電装品が配置された風洞部2と、風洞部2に連続して形成されて本体ケース1の中心軸と交差する向きに吹出口13が開口している吹出部4とを備えている。吹出口13は、グリル14でその前面が覆われている。イオン発生装置は、図1に示すように放電電極25a・25bと、放電電極25a・25bに高電圧を印加する高電圧発生部24とを含む。吹出部4の先端側の内部には、高電圧発生部24と、高電圧発生部24を覆うホルダ26とが配置されており、放電電極25a・25bは、ホルダ26と一体成形した支持部47に位置決め固定されている。ホルダ26は、吹出口13を覆うグリル14に対向する平坦壁32を含む。グリル14の放電電極25a・25bに正対する位置には、イオン出口15が開口されており、イオン出口15の上下に一群の通気スリット16が開口されている。ホルダ26と吹出口13との間に、風の通気隙間Eが確保してある。放電電極25a・25bの先端が、ホルダ26の平坦壁32で規定される仮想面よりもイオン出口15に向かって突出している。
【0008】
具体的には、放電電極25a・25bの支持部47が、端壁36に連続して形成されている。高電圧発生部24が、平坦壁32に位置決め固定されている。
【0009】
平坦壁32の周縁に連続して、端壁36と左右側壁33・34とが設けられている。高電圧発生部24は、イオン発生用の回路基板27と、トランス28とで構成されている。回路基板27は、左右側壁33・34に設けた取付溝37に差し込み固定されており、トランス28は、左右側壁33・34のいずれか一方に設けた取付溝38と、平坦壁32の内面に突設した受壁39とで位置決め固定されている。
【0010】
支持部47が、放電電極25aを支持する電極支持壁46と、ホルダ26の端壁36に連続して突設される連繋部48とを備えており、風の進入を遮る支持部47の内部に、図1に示すごとくリード線53・54が配置されている。
【0011】
電極支持壁46と対向する絶縁壁42を有し、放電電極25aと高電圧発生部24を接続する高圧リード線53と、高電圧発生部24に電流を供給する給電リード線54とが、絶縁壁42で区分された状態で配線してある。
【0012】
イオン発生装置が、イオン発生用の回路基板27と、トランス28と、放電電極25a・25bと、これらの機器が組み付けられるホルダ26とで構成されており、ホルダ26が、回路基板27およびトランス28が組み付けられる第1装填部29と、放電電極25a・25bが組み付けられる第2装填部30とを備えており、第1装填部29と第2装填部30とを一体に形成して、前記回路基板27、トランス28および放電電極25a・25bとが、ホルダ26とともにイオン発生装置として1個のユニットに構成されている。
【0013】
先のイオン発生装置において、第1装填部29と第2装填部30とは、第1装填部29の一端から伸びる連繋部48を介して一体化することができる。連繋部48は複数のリブ壁を含んで構成することができる。
【0014】
第2装填部30に隣接する第1装填部29の内部には、第2装填部30の側から、トランス28と回路基板27とを順に配置することができる。第1装填部29は、四角形状の平坦壁32と、平坦壁32の四周縁に連続して設けられる左右側壁33・34、上壁35、および下側の端壁36とで容器状に形成されている。回路基板27は、左右側壁33・34に設けた取付溝37に差し込み固定されている。トランス28は、左右側壁33・34のいずれか一方に設けた取付溝38と、平坦壁32の内面に突設した受壁39とで位置決め固定されており、第2装填部30に設けた電極支持壁46に放電電極25a・25bを位置決め固定してある
【0015】
【発明の作用効果】
本発明では、吹出部4の先端側の内部に嵩高い高電圧発生部24を配置して、風洞部2から吹出部4内へ吹き込まれた風(冷風若しくは熱風)が、高電圧発生部24を構成する電気部品によって遮られるのを極力解消した。そのうえで、高電圧発生部24を覆うホルダ26と吹出口13との間に風の通気隙間Eを確保して、風が通気隙間Eを経由して吹出口13の上方からも吹き出るようにした。従って、本発明によれば、イオン発生装置が吹出部4側に内蔵されているにもかかわらず、吹出部4の大型化を避けながら、風を吹出口13の全面から吹き出すことができ、これにより本送風装置をヘアドライヤに適用した場合、髪の乾燥や癖付け等を効果的に行える。このときマイナスイオンを大量に対象物に吹き付けることができるので、プラスに帯電し易い毛髪を中和することができ、髪のパサつきを防止することができる。また、本体ケース1の中心軸と交差する向きに吹出口13が開口しているので、本体ケースを無理せず自然に握るだけで対象物へ風およびマイナスイオンを送給できる。
【0016】
ホルダ26が、風を吹出口13へ向かって変向案内する端壁36と、グリル14と対向する平坦壁32とを含み、放電電極25a・25b用の電極支持壁46が、端壁36に連続してホルダ26と一体に形成されていると、イオン発生装置の構成部品点数が減り、ホルダ26を本体ケース1内に組み付けるだけで、放電電極25a・25bの位置決めおよび固定を同時に行えるので、電極支持壁46を独立して本体ケース1内に組み付ける場合に比べて、イオン発生装置を組み立てる際の組み立て工数が減少し、その分だけ送風装置の製造コストを削減化できる。
【0017】
高電圧発生部24はホルダ26の平坦壁32に位置決め固定し、放電電極25a・25bを電極支持壁46に位置決め固定することにより、高電圧発生部24および放電電極25a・25bはホルダ26と一体化して、イオン発生装置を一個のユニット部品としてまとめることができるので、本体ケース1に対する組み付けを少ない手間で行え、製造過程の取り扱い時にリード線で結線された各部品がブラブラし、断線するのを確実に解消できる。
【0018】
電極支持壁46と膨出壁44とで構成した支持部47の内部にリード線53・54が配置されていると、吹出部4内の風の流れを支持部47で遮って、リード線53・54が風の流れに晒されるのを防止できるので、リード線53・54による風切音の発生を防止できるし、塵埃がリード線53・54のハンダ接続個所に堆積するのを防止できる。また、加熱された風がリード線53・54に直接吹き当たるのを避けて、リード線53・54の絶縁被覆が溶解するのを防止できる。
【0019】
放電電極25a用の高圧リード線53と、給電リード線54とを絶縁壁42で区分した状態で配線すると、例えば落下衝撃を受けて給電リード線54が遊動するような場合でも、給電リード線54が高圧リード線53に接近するのを絶縁壁42で阻止して、高圧リード線53と針状の放電電極25aとの接続箇所から給電リード線54に向けて放電するのを確実に防止できる。従って、放電電極25aによるイオン発生作用を適正に維持し続けることができる。異常放電による給電リード線54の絶縁破壊も防止できる。
【0020】
イオン発生用の回路基板27と、トランス28と、放電電極25a・25bをホルダ26に組み付けて1個のユニットとして構成したイオン発生装置によれば、取り付け部に対するイオン発生装置の組み付け構造を簡素化できるうえ、リード線による結線や組み立てに要する手間を省くことができる。さらに、ユニット部品化したイオン発生装置は、回路基板27から導出される給電リード線54を電源に接続するだけで、直ちにマイナスイオンを発生できるので、イオン発生装置を備えた電気機器を設計する際の手間や時間を省いて、商品の開発を短期間で能率よく行える。
【0021】
その際、回路基板27やトランス28が組み付けられる第1装填部29と、放電電極25a・25bが組み付けられる第2装填部30とでホルダ26を構成すると、放電電極25a・25bのみをホルダ26の外面に露出させて、塵埃や湿気を嫌う回路基板27やトランス28を第1装填部29で保護できるうえ、落下衝撃などによる回路基板27やトランス28の損傷をホルダ26でよく保護できる。また、熱風を発生するドライヤに組み付けた場合は、回路基板27、トランス28の温度上昇をよく防止できる。
【0022】
第1装填部29の一端から伸びる連繋部48を介して、第2装填部30が第1装填部29に一体化されたホルダ26によれば、第1装填部29から突出する第2装填部30の構造を強化して、第2装填部30に装着される放電電極25a・25bの位置決めおよび固定を確実に行え、常に安定した状態でイオンを発生できる。
【0023】
第2装填部30に隣接する第1装填部29の内部にトランス28と回路基板27とが順に配置されたイオン発生装置によれば、回路基板27で生成したパルス電流をトランス28で昇圧した後、中央の放電電極25aに印加するので、回路基板27とトランス28、およびトランス28と放電電極25aとを接続するためのリード線の長さを最短にして、リード線の結線長さを無駄なく最小限化できるうえ、配線形態を簡素化してユニット部品化されたイオン発生装置をさらにコンパクト化できる。
【0024】
第1装填部29を容器状に形成したうえで、その左右側壁33・34の取付溝37に回路基板27を差し込み固定し、さらに左右側壁33・34のいずれか一方の取付溝38と、平坦壁32の内面に突設した受壁39とでトランス28を位置決め固定するようにしたホルダ26によれば、ホルダ26に対する回路基板27およびトランス28の組み立てを簡単にしかも正確に行える。また、対を為す放電電極25a・25bを第2装填部30の電極支持壁46に正確に位置決め固定して、両電極間の放電を安定した状態で適正に行うことができる。連繋部48が複数のリブ壁を含んで構成されていると、第2装填部30の構造強度を効果的に増強しながら、軽量化を実現できる。
【0025】
【実施例】
図1ないし図12は本発明の送風装置をヘアドライヤに適用した例を示す。ヘアドライヤは、中空筒状の本体ケース1を有する。図2において本体ケース1は、前後に分割形成された前ケース1Aと後ケース1Bとを蓋合わせ状に接合してなり、グリップを兼ねる下半側の風洞部2と、ブラシユニット3が装着される上半側の吹出部4とを備えている。風洞部2の側面上部にはドライヤの運転状態を切り換えるスイッチノブ5と、運転状態を表示するLEDから成る表示灯Lとを設けてある。
【0026】
図3および図4において風洞部2の内部には、乾燥風を生起する送風ファン6と、送風ファン6を回転駆動するモータ7と、ヒータユニット8とが下側から順に直線列状に配置されている。送風ファン6は、風洞部2の下端に設けた吸込口9から吸い込んだ空気を加圧し、吹出部4へ向かって送出する。ヒータユニット8は、十文字に組まれた絶縁枠にニクロム線を螺旋状に巻き付け、その外周囲を金属板製の風洞筒10で覆ってあり、風洞筒10内を通過する乾燥風を加熱して温風あるいは熱風を生成する。風洞筒10と本体ケース1との間には、モータ7およびニクロム線への通電状態を切り換えるためのスイッチ11を配置してあり、このスイッチ11がスイッチノブで本体ケース1の外面側から切り換え操作できる。送風ファン6によって生起された風の大部分は、風洞筒10内を通過させて乾燥風として利用するが、送風ファン6によって生起された風の一部は風洞筒10と本体ケース1との間に流しスイッチ11の冷却用にも利用している。
【0027】
図4ないし図6において吹出部4は、風洞部2に連続して一体成形によって中空筒状に形成されており、その前壁のほぼ全面にわたって吹出口13が開口している。吹出口13は、本体ケース1の中心軸と交差する向きに開口してあって、本体ケース1内を流れる風が直交方向に吹き出るように構成してあるので、使用時には本体ケース1を無理せず自然に握るだけで、簡単に対象物へ風やマイナスイオンを送給できる。吹出口13は前ケース1Aの内部に組み付けたプラスチック製のグリル14でその全面が覆われている。断面が外凸円弧状に形成されたグリル14の前壁には、これのほぼ中央部に円形のイオン出口15が開口しており、イオン出口15の上下に一群の通気スリット16が開口している。吹出口13には、これの左右側縁に沿ってブラシユニット3用の装着部を設けてあり、この装着部にあてがったブラシユニット3を上方から下方へスライド操作することにより、吹出部4にブラシユニット3を係合装着できる。ブラシユニット3を外せば単なる毛髪の乾燥用として使用でき、ブラシユニット3を装着すれば、毛髪のカールや癖付けを効果的に行うことが可能なヘアーブロッサーとして使用できる。
【0028】
ブラシユニット3は、一群のブリッスル17が植設されたアーチ形断面のベース18と、ベース18を固定支持するブラシ枠19とからなる。ベース18には、先のグリル14と同様に、イオン出口20と一群の通気スリット21とがそれぞれ形成されている。
【0029】
図4において吹出部4の内部には、マイナスイオンを生成するためのイオン発生装置と、内ケース23と、前記グリル14とが組み込んである。イオン発生装置は、図6に示すごとく高電圧発生部24と放電電極25a・25bとを含み、これらの機器をホルダ26に組み付けて、一個のユニット部品としてある。
【0030】
高電圧発生部24は、後述する整流回路51およびパルス発生回路52を構成する電気部品(パルス電流発生回路)が実装されたイオン発生用の回路基板27と、高電圧を生成するトランス28とからなる。ホルダ26は容器状に形成された第1装填部29と、第1装填部29の下側に突出する第2装填部30とを一体成形したプラスチック成形品からなり、第1装填部29に回路基板27とトランス28とを組み、第2装填部30に放電電極25a・25bを組み付けてある。
【0031】
図7において第1装填部29は、四角形状の平坦壁32と、平坦壁32の四周縁に一体成形して設けた左右側壁33・34、上壁35および下側の端壁36とで後ろ向きに開口する容器状に形成されている。左右側壁33・34の内面上部には取付溝37をそれぞれ対向状に凹み形成してあり、これらの溝37に回路基板27の両側端を差し込んで係合固定してある。トランス28は、その一角に設けたフランジを左側壁33に設けた取付溝38にスライドして嵌め込むとともに、平坦壁32の内面に一体成形で突設した受壁39と、それと対向する位置にある後方側の2つのリブとの間でトランス本体を挟持することで位置決め固定されている。
【0032】
このように回路基板27、トランス28、放電電極25a・25bの三者をホルダ26に対して記載順に配置すると、各部材が電流の流れに沿って配置されるので、各部材を接続するためのリード線の引き回し長さを最短距離化できる。端壁36は、図1に示すように平坦壁32へ向かって昇り傾斜していて、風洞部2から吹出部4内へ吹き出された乾燥風を受け止めて、後述する風ガイド壁23aと協同して吹出口13へ向かって変向案内する。
【0033】
図1、図6、図8において内ケース23は、前向きに開口する樋状のプラスチック成形品からなり、その上部に縦断面がU字状で横断面がコ字状(図8参照)の受座41を形成し、受座41の中途部に絶縁壁42を形成してある。図12に示すように受座41の両側には、同受座41のU字始端に連続し、昇り傾斜する風ガイド壁23aが一体成形してある。図7に示すように第2装填部30は端壁36の中途部に一体成形で連続して張り出される平面形状がU字状の縦壁43と、縦壁43の周縁に一体成形で連続して突設される縦断面U字状の膨出壁44とで構成してあり、縦壁43の下端に前後向きの筒壁45を一体成形で突設し、筒壁45の内部にイオン発生器の放電電極25aを位置決め固定するための電極支持壁46が同じく一体成形で形成されている。縦壁43と膨出壁44とで連繋部48が構成される。そして、連繋部48と、筒壁45と、電極支持壁46との三者で放電電極25a・25bを支持する支持部47が構成される。また、縦壁43に左右一対の直線状のリブ壁としての膨出壁44を形成した上で、電極支持壁46を端壁36と一体化しているので強度の面で有利である。直線状のリブ壁は一本のみであってもよく、この場合膨出壁44の縦断面形状はJ字状となる。またリブ壁は縦壁43の中央にあってもよく、ジグザグ状、湾曲状であってもよい。
【0034】
電子を放出する側の針状の放電電極(中央電極)25aは、図1に示すごとく電極支持壁46の中央に差し込んでシリコンゴム49で固定し、針状の放電電極25aの電子放出のきっかけをつくる目的で配置された筒状の放電電極(対向電極)25bを筒壁45の外面に固定することにより、両放電電極25a・25bが筒壁45を間にして同心状に位置する。高電圧発生部24と放電電極25a・25bとを組み付けたホルダ26は、膨出壁44の後方側端面が受座41の前方側端面と接合する状態で後ケース1Bに組み付け、ホルダ26を内ケース23とグリル14とで前後方向から挟持することにより、イオン発生装置の全体を本体ケース1に固定する。この組み付け状態において、ホルダ26の端壁36と内ケース23の風ガイド壁23aとは、略面一状に傾斜して受座41および第2装填部30を回り込んだ乾燥風を斜め上方へ案内(図1破線矢印参照)する。
【0035】
この組み付け状態において、放電電極25aは図8に示すようにグリル14に設けたイオン出口15と正対し、図1および図9に示すごとく、平坦壁32とグリル14との間に、乾燥風の進入を許す通気隙間Eが確保される。従って、吹出部4内に吹き出された乾燥風は、イオン出口15より下方の通気スリット16から吹き出されるのはもちろんのこと、先の通気隙間E内へも入り込んで通気隙間Eに臨む通気スリット16からも吹き出る。つまり、グリル14に設けた全ての通気スリット16とイオン出口15から乾燥風が吹き出るようにすることができる。グリル14は、吹出口13を覆うことで通気隙間Eを確保するとともに高電圧発生部24や放電電極25aなどの吹出部4内の電装部品を外力から保護している。回路基板27やトランス28が収納される空間Sと、乾燥風の通路空間Bとは、図1に示すようにホルダ26、内ケース23、支持部47などによって区分されているので、乾燥風が空間S内へ入り込むことはない。従って、回路基板27に実装された電気部品や、トランス28、および高圧リード線53、給電リード線54などが高温の乾燥風に晒されて劣化し、あるいは風切音が発生するのをよく防止できる。平坦壁32の存在は乱流を防止しながら吹出口13へ向かって乾燥風を送出する効果がある。端壁36および風ガイド壁23aの存在によって、端壁36の下方側に固定される放電電極25a・25bの近傍を吹出口13に向かって流れる乾燥風がその上方(先端)側,下方側に比べ増大することで、放電電極25a・25bによって生成されたマイナスイオンをこの増大した風によって遠くに飛ばすことができ、乾燥を行いながら対象物(例えば毛髪)に効果的にマイナスイオンを送給することができる。なお、図1における実線矢印,破線矢印は、風の流れを表しているものであるが、これは参考までに表現したものであり、実際は前述したように放電電極25a・25bの近傍から吹き出される風が多く、吹出口13における上方側,下方側から吹き出される風の量は放電電極25a・25bの近傍から吹き出される風に比べ少ない。
【0036】
図11はヘアドライヤの電気回路の概略を示す。そこでは、商用電源からの100Vの電流を整流回路51で半波整流したのちパルス発生回路52でパルス電流に変換する。ついでパルス電流をトランス28で昇圧(4KV)して、針状の放電電極25aに印加し、該電極25aから周囲の放電電極25bに向かって電子を放出させる。これにより、空気中の酸素、微少水滴、塵がマイナスに帯電してマイナスイオン化する。マイナスイオンは、乾燥風によって主にイオン出口15から吹き出て髪に付着する。スイッチノブ5のスライド操作によって本実施例のヘアドライヤの駆動状態は次のように切り換わる。OFF位置から一段階のスライドでモータ7、イオン発生装置の駆動(冷風による乾燥風)を行い、二段階のスライドでモータ7、イオン発生装置およびヒータ8の半波(350W)の駆動(温風による乾燥風)を行い、三段階のスライドでモータ7、イオン発生装置およびヒータ8の全波(700W)の駆動(熱風による乾燥風)を行うようにしている。一段階〜三段階の何れの状態でも運転状態を表示する表示灯Lは点灯する。図2に示すように表示灯Lはスイッチノブ5のスライド方向の延長線上にあり、使用者が運転状況を把握し易い。仮にモータに毛髪が絡みつきモータロックの状態のまま放置すれば発火のおそれがあり危険であるが、それを使用者に可及的に速やかに認識させることができる。
【0037】
ヘアドライヤを構成する全ての電気機器は、予め結線された状態で後ケース1Bに組み込むが、図1および図10に示すように放電電極25aとトランス28とを接続する高圧リード線53と、高電圧発生部24に電流を給電する給電リード線54とは、内ケース23の受座41の近傍で隣接し、とくに高圧リード線53の耐圧仕様が6〜10KVであるのに対し、給電リード線54の絶縁被覆の耐圧仕様が300Vと小さいため、被覆が途切れる高圧リード線53の針状の放電電極25aとの接続箇所から給電リード線54に向けて放電するおそれがある。
このような異常放電を避けるために、内ケース23に絶縁壁42を設け、両リード線53・54が異常接近するのを防ぐ。また絶縁壁42と一体成形で同壁42の両端部から側壁(図8参照)を形成しており、これによってさらに異常接近を防止できる。なお、本実施例の針状の放電電極25aは高圧リード線53による絶縁被覆が途切れる接続箇所にシリコンゴム49で絶縁被覆して針の先端以外からの放電を防止しているが、落下衝撃や経時的にシリコンゴム49にクラックが入り絶縁被覆できていない部分が生じるおそれがある。このとき耐圧の低い給電リード線54が近付くと同リード線54側にも放電しイオン発生に支障を来すおそれがあったが、絶縁壁42によってそれを防止することができるものである。
【0038】
13は本発明の別実施例を示す。そこでは、内ケース23を省略して、ホルダ26の端壁36および支持部47を後方に延長し、ホルダ26を後ケース1Bに直接接触させ組み付けるようにした。ただ本実施例の場合、給電リード線54が乾燥風に晒されることになる。しかし支持部47から下方に向けて一体成形で覆い板を形成すれば通路空間Bとは区画できる。他は先の実施例と構成、効果全て同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の別実施例においても同様に扱う。
【0039】
(参考実施例)
図14に示すように、中央の放電電極25aは装着ピース56に予め組み付けておき、装着ピース56を筒壁45に嵌合固定して、中央の放電電極25aを第2装填部30に組むことができる。
【0040】
上記実施例のように第1装填部29と第2装填部30とを一体成形する以外に第2装填部30は第1装填部29と別体の部品で構成しておき、その筒壁45の後端を第1装填部29に圧嵌係合して、第2装填部30を第1装填部29と一体化するよう構成することができる。この場合、構成部品点数は1つ増えるが、第1装填部29と第2装填部30とをユニット化できる点では優れており、一体成形の上記実施例と同様に、トランス28と放電電極25aを接続する高圧リード線53のブラブラ状態による断線をよく防止できる。
【0041】
また第1実施例における吹出部4は風洞部に対して着脱自在の構造とすることもできる。この場合、吹出部4側にある電装品と風洞部側にある電装品とを電気的に接続するためコネクタを使用する。放電部の電極は、マイカ、セラミック等からなる板状の絶縁体(誘電体)の表と裏とに放電電極と誘導電極を配置した沿面放電型の構造や、2個の針状電極を対向配置した電極構造などに変更でき、イオンの発生が可能であればその構造は何ら限定されない。
【0042】
また本発明の送風装置は、乾燥とともにマイナスイオン発生による心身のリフレッシュ効果もあるので、対象物が手、足、肩等の身体の他の部位を乾燥する身体乾燥用ドライヤであってもよく、さらに温風利用の温熱治療器としても応用できる。また本発明の送風装置は、顔や口内に使用する場合、ドライヤとして機能させるのではなくヒータを有しないイオン供給装置として応用できる。またヒータを有しない小型の手持ち式扇風機として構造変更できる。本発明のイオン発生装置は、実施例で説明したヘアドライヤ以外に、ハンドドライヤ、足乾燥機、ヘアカーラー、ヘアストレーター、空気清浄機、エアコン、扇風機などの電気機器にも適用することができる。なお、前述の実施例においてはすべてマイナスイオンを送給する場合について説明したが、送給対象がプラスイオンであってもよく、その場合は、図11におけるダイオードを反転した状態で接続する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドライヤの吹出部の縦断側面図である。
【図2】ドライヤの全体側面図である。
【図3】ドライヤの一部破断正面図である。
【図4】ドライヤの要部の破断側面図である。
【図5】ブラシユニットを分離した状態での吹出部の正面図である。
【図6】吹出部の構成部材を分離した状態での側面図である。
【図7】イオン発生装置の分解斜視図である。
【図8】図4におけるA−A線断面図である。
【図9】図4におけるB−B線断面図である。
【図10】イオン発生装置の配線状態を示す背面図である。
【図11】イオン発生装置の回路構造を示すブロック図である。
【図12】ホルダと内ケースに組み付け構造を示す斜視図である。
【図13】ホルダの別実施例を示す縦断側面図である。
【図14】放電電極の支持構造の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 本体ケース
2 風洞部
3 ブラシユニット
6 送風ファン
13 吹出口
25a・25b 放電電極
26 ホルダ
27 回路基板
28 トランス
32 平坦壁
46 電極支持壁
E 通気隙間

Claims (10)

  1. 中空筒状の本体ケース(1)の内部に、風を送出する送風ファン(6)と、イオン発生装置とを備えている送風装置であって、
    本体ケース(1)は、内部に送風ファン(6)を含む電装品が配置された風洞部(2)と、風洞部(2)に連続して形成されて本体ケース(1)の中心軸と交差する向きに吹出口(13)が開口している吹出部(4)とを備えており、
    吹出口(13)は、グリル(14)でその前面が覆われており、
    イオン発生装置は、放電電極(25a・25b)と、放電電極(25a・25b)に高電圧を印加する高電圧発生部(24)とを含み、
    吹出部(4)の先端側の内部に高電圧発生部(24)と、高電圧発生部(24)を覆うホルダ(26)とが配置されており、
    放電電極(25a・25b)は、ホルダ(26)と一体成形した支持部(47)に位置決め固定されており、
    ホルダ(26)は、吹出口(13)を覆うグリル(14)に対向する平坦壁(32)を含み、
    グリル(14)の放電電極(25a・25b)に正対する位置には、イオン出口(15)が開口されており、イオン出口(15)の上下に一群の通気スリット(16)が開口しており、
    ホルダ(26)と吹出口(13)との間に、風の通気隙間(E)が確保されており、
    放電電極(25a・25b)の先端が、ホルダ(26)の平坦壁(32)で規定される仮想面よりもイオン出口(15)に向かって突出していることを特徴とする送風装置。
  2. 放電電極(25a・25b)の支持部(47)は、端壁(36)に連続して形成されており、
    高電圧発生部(24)が、平坦壁(32)に位置決め固定されている請求項1記載の送風装置。
  3. 平坦壁(32)の周縁に連続して、端壁(36)と左右側壁(33・34)とが設けられており、
    高電圧発生部(24)は、イオン発生用の回路基板(27)と、トランス(28)とで構成されており、
    回路基板(27)は、左右側壁(33・34)に設けた取付溝(37)に差し込み固定されており、
    トランス(28)は、左右側壁(33・34)のいずれか一方に設けた取付溝(38)と、平坦壁(32)の内面に突設した受壁(39)とで位置決め固定されている請求項2記載の送風装置。
  4. 支持部(47)が、放電電極(25a)を支持する電極支持壁(46)と、ホルダ(26)の端壁(36)に連続して突設される連繋部(48)とを備えており、
    風の進入を遮る支持部(47)の内部に、リード線(53・54)が配置されている請求項2または3記載の送風装置。
  5. 電極支持壁(46)と対向する絶縁壁(42)を有し、
    放電電極(25a)と高電圧発生部(24)を接続する高圧リード線(53)と、高電圧発生部(24)に電流を供給する給電リード線(54)とが、絶縁壁(42)で区分された状態で配線されている請求項4記載の送風装置。
  6. イオン発生装置が、イオン発生用の回路基板(27)と、トランス(28)と、放電電極(25a・25b)と、これらの機器が組み付けられるホルダ(26)とで構成されており、
    ホルダ(26)は、回路基板(27)およびトランス(28)が組み付けられる第1装填部(29)と、放電電極(25a・25b)が組み付けられる第2装填部(30)とを備えており、
    第1装填部(29)と第2装填部(30)とを一体に形成して、前記回路基板(27)、トランス(28)および放電電極(25a・25b)とが、ホルダ(26)とともにイオン発生装置として1個のユニットに構成されている請求項1記載の送風装置。
  7. 第1装填部(29)と第2装填部(30)とが、第1装填部(29)の一端から伸びる連繋部(48)を介して一体化している請求項6記載の送風装置。
  8. 連繋部(48)が複数のリブ壁を含んでいる請求項7記載の送風装置。
  9. 第2装填部(30)に隣接する第1装填部(29)の内部に、第2装填部(30)の側から、トランス(28)と回路基板(27)とが順に配置してある請求項6または7または8記載の送風装置。
  10. 第1装填部(29)が、四角形状の平坦壁(32)と、平坦壁(32)の四周縁に連続して設けられる左右側壁(33・34)、上壁(35)、および下側の端壁(36)とで容器状に形成されており、
    回路基板(27)は、左右側壁(33・34)に設けた取付溝(37)に差し込み固定されており、
    トランス(28)は、左右側壁(33・34)のいずれか一方に設けた取付溝(38)と、平坦壁(32)の内面に突設した受壁(39)とで位置決め固定されており、
    第2装填部(30)に設けた筒壁(45)および電極支持壁(46)に、放電電極(25a・25b)が位置決め固定してある請求項6または7または8または9記載の送風装置。
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