JP4554429B2 - プラズマ発光測定システム - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマ発光測定システムに係り、特に処理容器内のプラズマ発光分布を正確に測定することのできるプラズマ発光測定システムに関する。
半導体デバイスの製造プロセスに用いられるプラズマ処理装置では、処理容器に導入した処理ガスはプラズマにより解離されてイオンやラジカルになる。プラズマCVD装置ではこれらのイオンやラジカルをウエハに照射してウエハ上に所望の膜質の薄膜を堆積させる。また、プラズマエッチング装置では、ウエハにバイアス電圧を印加することによりイオンをウエハに引き込み、イオンとラジカルによりウエハのエッチング加工を行う。エッチング加工の場合には、ウエハ上の材料が除去されるときに生じる反応生成物がウエハ上に拡散して分布しウエハに再入射することにより加工形状に影響を与える。
このように、これらのプラズマ加工装置では、処理容器内部のイオン、ラジカル、反応生成物などの処理容器内の分布が膜質や膜厚の均一性あるいは加工形状の均一性を決める主要因である。しかし、このようなプラズマやラジカルの処理容器内分布を計測するのは大変難しい。
例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3では処理容器に窓を設けCCDカメラによりプラズマ密度分布を計測する方法が示されている。また、特許文献4には、小さな観測窓からプラズマ光を受けてプラズマ分布を測定する方法が示されている。また、特許文献5には処理容器に大きな窓を設け、レーザー光を処理容器に導入し、その側方からレーザー誘起光を観測することによりLIF(Laser Induced Fluorescence)を実施し、処理容器の縦断面内でのラジカルの分布を計測する方法が示されている。また、非特許文献1には、透明な石英筒を処理容器として用い、その周りを自在に動き回る自動制御のロボットを用いてプラズマ発光を多方向から観測し、CT(Computed Tomography)技術を適用することにより処理容器内部のラジカル分布を測定することが示されている。
特開平6−243991号公報 特開平7−263178号公報 特開2002−38274号公報 特開2000−269191号公報 特開平10−2859号公報 Journal of Physics D, Vol.35, pp.454-461, 2002
しかしながら、前記従来の方法では、処理容器内部を観測窓を通して覗き込む必要がある。すなわち、これらの方法は、いずれも処理容器に大きな窓を設ける必要がある。プラズマは容器の壁と干渉しやすい特性を持つことから、窓の設置はプラズマの分布そのものに影響を与えることになる。このため、窓がない状態における本来の処理容器内のプラズマ分布を測定することはできない。
また、観測窓を用いる場合は、プラズマにさらされた観測窓の表面が不均一に削られて粗くなったり、あるいは窓に不均一な堆積膜が付着して、観測窓の面内位置により光の透過率が変化する。このため、観測された発光強度の変化がプラズマの分布によるものであるか、観測窓の透過率の分布によるものであるか区別することができない。
特許文献4の図9に開示されている方法では、小さな窓から処理容器内部を覗き込んでいる。このため、観測窓が処理容器内部の状態に影響を与えることは回避することができる。しかし、光学系を大きく移動させることが必要となるため測定精度を上げることは困難となる。また、観測窓を介して処理容器内部を観測するため、上記と同様に観測された発光強度の変化がプラズマの分布によるものであるか、観測窓の透過率の分布によるものであるかを区別することはできない。さらに、観測窓が小さい場合、観測窓と処理容器の境界部分でプラズマ密度分布が大きく変動するため、観測窓の削れや堆積膜の不均一性が顕著になる。
また、非特許文献1に示されるような、内部の観測しやすい透明チューブ内のプラズマを観測する方式は、実際には不透明なプラズマ加工装置に適用することは困難である。 本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、処理容器内のプラズマ発光分布を正確に測定することのできるプラズマ発光測定システムを提供する。
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
真空処理容器と、該真空処理容器内に処理ガスを導入するガス導入手段と、試料を載置し前記処理室内に保持する試料台と、真空処理室に導入した処理ガスに電磁エネルギを印加してプラズマを生成する電磁エネルギ印加手段とを備えたプラズマ処理装置におけるプラズマ発光を測定するプラズマ発光測定システムであって、観測窓を有し該観測窓に入射するプラズマ光を受光する受光部と、受光したプラズマ光を分光する分光器と、該分光器の分光出力を蓄積または解析するコンピュータを備え、前記受光部は、試料台の試料載置面と直交する方向の回転軸、および該回転軸に沿って受光部を上下に駆動する駆動機構を有し、受光部の受光方向は少なくとも前記試料台の中心部からその一方の周辺部までの範囲で調整可能に構成した。
本発明は、以上の構成を備えるため、処理容器内のプラズマ発光分布を正確に測定することのできるプラズマ発光測定システムを提供することができる。
以下、最良の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態を説明する図である。主に半導体ウエハなどの試料をプラズマにより加工するプラズマ処理装置は前記プラズマの発光を測定するプラズマ発光測定システムを備えている。
図1において、プラズマ処理装置は、処理容器1内に供給する処理ガスの量を調整する流量制御器4およびガス供給管3を備えている。処理条件に応じて決められた流量の処理ガスが流量制御器4によって供給され、ガス供給管3を通り、ガス導入器5を介して処理容器1内に導入される。
ガス導入器5は、石英シャワープレートという石英製の多孔板を備え、処理ガスは石英製の多孔板の上面に形成した間隙を流れて多孔板の孔に到達し、そこから処理容器内に噴出する。プラズマ処理装置は処理ガスをプラズマ化するために必要な電磁エネルギを印加するための電磁エネルギ印加手段2を備える。また、処理ガスを排気して処理容器1内をを低圧状態に保つためのガス排気系9、および処理容器1内の圧力を調整するための圧力調整弁8を備えている。また、プラズマ処理装置は、ウエハ7を設置するための試料台6を有する。
このプラズマ処理装置には、プラズマ発光をもとにプラズマ及びラジカルの分布を測定するプラズマ発光測定システムが設置されている。この測定システムは、モータ10、回転フィードスルー11、回転伝達軸12、受光部13、内部光ファイバ14、光学フィードスルー15、外部光ファイバ16、分光器17、コンピュータ18を備える。
コンピュータ18は、受光部13の受光方向を所望の観測方向に向けるために必要な回転角をモータ10に指示する。このため、モータ10としてはステッピングモータを用いるとよい。ステッピングモータを用いるとコンピュータはモータに指示するパルス数によって正確に回転位置を決めることができる。また、回転位置を正確に決めるためには、モータの回転軸に角度センサを設け、受光方向を監視するとよい。
モータの回転駆動力は回転フィードスルー11を備えた回転伝達軸12を介して低圧に維持された処理容器1内に導入される。これにより、回転伝達軸12の先端に取り付けた受光部13の受光方向を所望の方向に向けることができる。受光部の不要な動きを最小限に押さえるためには、後述するように回転軸が受光部を通過するようになっていることが望ましい。
受光部13は回転動作により向けられた所定の方向にあるプラズマの発する光を受光する。受光したプラズマ光は内部光ファイバ14、光学フィードスルー15を介して外部光ファイバ16へと導かれて分光器17に入射する。分光器17は入射したプラズマ光を分光し、その分光されたプラズマ発光スペクトルがコンピュータ18に送られる。
コンピュータ18によりプラズマ発光スペクトルの所定の波長域にある光のみを抽出することにより所望のラジカルの発光強度を知ることができる。例えば、気相中のシリコンラジカルの発光スペクトルは288.16nmにピークを持つため、例えば287nmから289nmの波長域におけるスペクトル強度の平均値を取ることによりシリコンラジカルの発光強度が得られる。このようにしてユーザはコンピュータ18に設定した所望の方向にある所望のラジカルの発光強度を観測することができる。
受光部13および回転伝達軸12は、電磁エネルギ印加手段2で生成されたプラズマを生成するための電磁波の分布を乱さないようにするため、絶縁性の材料を用いるのが好ましい。例えば回転伝達軸12には、石英ロッド、セラミック材料、ポリイミド材料、テフロン(登録商標)材料などを使用するとよい。また、半導体製造装置では重金属の汚染が問題になることが多いため、このような汚染物質を含まない材料を使用することが望ましい。また、ガスの流れを乱さないようにするため受光部と回転伝達軸はできるだけ細くすることが望ましい。なお、前記受光部及び回転伝達軸を処理容器の外に設置し処理容器に観測窓を設ける方法も考えられるが、この場合には、前述のように観測窓に生じる光学的なムラ、例えば表面粗さのムラや観測窓の内側表面に堆積する膜などの影響で光路毎に観測窓の透過率が異なるために測定した発光強度の信頼性がなくなる。
図2は、受光部13を説明する図である。受光部の本体であるホルダ36にはプラズマの発光を取り込む観測窓38があり、観測窓から腐食性のガスがホルダ内部に侵入しないように観測窓は石英板30で覆われている。石英板30は、例えば押さえネジ37でホルダ36に固定されている。
観測窓38から取り込まれたプラズマ光は光ファイバ35により取り出される。プラズマを発生するのに電磁波や高周波電界を用いている場合には、処理容器内に差し込む受光部13が導体であると電磁波を乱すために好ましくない。このため、ホルダ36は絶縁性の材料から成ることが好ましい。絶縁性の材料として石英などを用いても良いが、石英は加工が困難である。また、プラズマ光を遮ることができずにあらゆる方向からのプラズマ光が入射するため、好ましくない。また、ポリイミド材料のような加工の容易なものを選んでも良いが、熱膨張しやすいのと強度が十分でないために光学系を組み込む材料としてあまり好ましくない。このためホルダ36の材料としてはポリベンゾイミダゾールのような遮光性と材料強度のある絶縁性材料を用いるとよい。
図3は、受光部13の詳細を説明する図である。図1および図2に示すような受光部13には入射したプラズマ光を90度屈曲させて光ファイバを介して取り出す機能が必要とされる。このためには、観測窓38を通過したプラズマ光の方向を反射ミラー32により90度屈曲させて回転軸の方向に向け、コリメーションレンズ33を介してフェルール34に導入し、さらにフェルール34に接続された光ファイバ35を介して取り出す。
プラズマ光の向きを回転軸と同方向に屈曲させる場合は、光ファイバ35を回転軸(回転伝達軸)と同じ方向に向けることができ、受光部13の回転動作時に光ファイバが処理容器1内で動き回るのを防ぐことができる。金属製の反射ミラー32の代わりにプリズムを用いると金属を用いなくて済むために好ましいが、プラズマ光が弱い場合には光の反射率がよいミラーを用いるのが好ましい。また、プラズマ光が十分に強く、光ファイバが細くても十分な受光量が得られるときには、細い光ファイバを90度屈曲させることによりミラーを用いなくても光を回転軸方向に屈曲させることができる。
一般に光ファイバの受光角は20度程度の大きな角度範囲を持つため、コリメーションレンズ33を用いて視野をビーム状に絞り、観測の空間解像度を上げることが重要である。コリメーションレンズ33とフェルール34の光学系を適切に設計すれば、受光部13から500mm離れた位置における観測範囲を5mm程度に抑えることができ、高解像度の空間分解能を得ることができる。なお、これらの光学系には、プラズマ中の腐食性ガスが進入しないように観測窓38にはOリング31を設けてガスシールを行うとよい。
このように、受光部13を回転伝達軸12の回りに回転駆動することにより、所望の方向のラジカル発光強度分布を一つの光学系で観測することができる。このシステムでは、受光部ごと所望の方向に機械的に動かして観測するために、複数の光学系を用いて発光分布を観測する場合に比して、分光器や光ファイバの光学特性のばらつき、あるいは受光部の光学系の微妙なセッティングの相違による受光特性の相違に基づく影響を抑えることができる。更に、同一の条件で、複数の方向のラジカル発光強度を観測できるため、発光強度の分布の信頼性を高めることができる。また、前記観測窓38が削られたり堆積膜が付着して光の透過率が変化したとしても、短時間に実行される全ての観測に対しては前記透過率の変化は無視することができる。このため、発光強度の分布を求める上で問題は無い。また、観測方向は回転角により決定されるため、観測点数を任意に設定できる。このため、ラジカルの発光強度の分布を高精度に観測する上で有利となる。
図4は、受光部13の回転駆動により受光する範囲を説明する図である。前述の受光部13を備えた測定システムによれば、任意の方向の所望のラジカルの発光強度が観測できるようになる。このため、この測定動作を繰り返すことにより、多数の方向のラジカル発光強度を観測することができる。例えば、図4に示したような扇形の領域のラジカル発光強度の分布を観測することができる。
ここで、図4に示すように、ウエハ7の中心を通る観測方向を基準方向とし、基準方向から観測方向40までの角度41をθiとする。角度θi方向で観測したラジカルの発光強度をIiで表すとすると、角度θ0(=0),θ1,θ2,θ3,・・・θNに対して、それぞれ発光強度I0, I1, I2, I3,・・・INを得ることができる。観測点の数Nは回転角の増分を小さくすることにより任意に大きく取ることができるが、受光部のコリメータの性能などから30点から50点程度とするのが最適である。
各発光強度Iiは観測方向θiからくるプラズマ発光の線積分値であるが、プラズマ及びラジカルがほぼ軸対称である場合にはアーベル変換を用いてラジカル発光強度の半径方向分布を計算することができる。
図5は、線積分値として観測される発光強度とアーベル変換により得られるラジカル発光強度の半径方向分布の例を示す図である。
図5では観測された発光強度は中央部が平らで、上に凸型の分布となっているが、これをアーベル変換して各半径位置での発光強度を求めると半径100mmあたりにピークを持つドーナツ型の分布であることが分かる。
さらに、各ラジカルの発光強度Iは、プラズマ中の電子密度Ne、電子温度Teおよびラジカル密度Nにより式1で表される。
I = N×Ne×exp(−E/kTe)・・・式1
式1において、Eはラジカル種毎に決まるエネルギ定数、kはボルツマン定数である。各ラジカル種ごとにNやEの値が異なるため、全てのラジカルの発光を平均化した値は式1の不変項であるNe、すなわちプラズマ密度にほぼ比例することになる。したがって、受光部13で受光した光を分光せずにその強度のみを観測するか、分光した光の全ての波長域の値を平均化することによりプラズマ密度にほぼ比例する量を観測することができる。 この全波長の平均値をアーベル変換して求めた量をNe’(r)と記述し、各ラジカルの発光強度をアーベル変換して求めた量をI’(r)と記述すると、式2によりラジカルの密度Nに比例する信号N’(r)の分布が得られる。
N’(r)=I’(r)/Ne’(r)・・・式2
式2の計算によりプラズマ密度Neの分布の影響を取り去ることができ、信号N’(r)はラジカルの密度Nにほぼ比例する量となる。観測したままの信号は図4に示したような視野範囲にあるラジカル発光の線積分であり、線路上の位置毎にNeが異なるため、式2の除算はアーベル変換の後に行うことが重要である。
また、アーベル変換を精度よく実施するためには観測範囲はできるだけ広いことが望ましい。このため受光部13は、試料台6の一方の周辺部から他方の周辺部までを覆うような視野範囲がとれるように回転できることが望ましい。
アーベル変換を適用できるデータの取得手順は前記のような方法以外にも多数存在する。例えば、図4では処理容器内の左半分の領域のみを観測対象としているが、残りの右半分の領域も前記手順と同様な手順でプラズマ光を観測し、アーベル変換をしてラジカル発光強度分布を求めることができる。ラジカル分布が完全に軸対称であれば左半分でも右半分でも同じラジカル発光強度の半径方向分布が得られるが、観測データのノイズを減らすために右半分と左半分の観測データを平均化してからアーベル変換しても良い。さらに、ラジカルに偏りがあって非対称な分布をしているときには右半分と左半分で別々にアーベル変換をした結果を比較してラジカルの偏りの度合を把握することもできる。
図11は、処理条件を調節して非対称なプラズマを生成し、これを左右別々にアーベル変換して分布を計算した結果を示す図である。非対称分布の場合には、正確にはアーベル変換の計算は正しくなくなるが、図11に示したように非対称の度合を知る目安になるためにプラズマの対称性を確認する目的に適している。
これまでの説明では、所定方向のプラズマ光を観測している間には受光部が静止していることを前提に説明してきた。しかし必ずしも受光部が静止している必要はない。例えば、図4において、一つの方向に対する分光器でのプラズマ光の積算時間がm秒かかるとし、角度θ0からθNまでにN+1点の観測を行うとする。この場合にはモータを毎秒(θN−θ0)/{(N+1)m}度の一定のスピードで連続回転させ、モータの回転中にm秒毎にプラズマ光を取り込むことによりラジカル発光強度I’0, I’1, I’2, I’3,・・・I’Nを得ることができ、この観測値にアーベル変換を適用してラジカル発光強度の半径方向分布を計算することができる。
この方法によればプラズマ光を取り込むたびにモータを静止させる必要がないため短時間で一連のプラズマ光の取得を完了することができる。例えば、発光の積算時間を0.5秒に取ったときに、典型的なサーボモータを用いて毎回静止させる方式ではウエハ上を一回スキャンするのに30秒かかるのに対して、連続回転させる方式では4秒でスキャンが終了する。スキャン時間が数秒で実施できると、各スキャンがプラズマの経時変化の影響を受けにくくなる。また、プラズマ処理中にスキャンを繰り返してプラズマ発光分布の時間変化を取得することも容易になる。
図6は、本発明の第2の実施形態を説明する図である。図1に示す例では、受光部13を回転駆動するための回転伝達軸12をモータ10の駆動軸に直結し、該駆動軸を処理容器1の下方から挿入している。
しかしながら、既存のプラズマ処理装置においては、上述のように、処理容器の下部にモータ等の測定システムを設置することは困難である場合が多い。しかし、プラズマ処理装置の下部側面にはメンテナンス用のポートなどが用意されていることが多く、このような場合には、前記メンテナンスポートの蓋を利用して計測システムを取り付けることができる。このためにはモータ10を処理容器の側方に設け、処理容器の側方から回転フィードスルー11を介してモータの回転駆動軸20を挿入し、回転伝達軸12に駆動力を伝達する。このとき、処理容器内に導入された回転駆動力はかさ歯歯車などの回転方向変換機21を介して回転伝達軸12に伝えられ、受光部13を回転駆動する。
図7は、本発明の第3の実施形態を説明する図である。以上の例では、測定システムを構成する受光部13や回転伝達軸12などがプラズマにさらされるように設置されている。このため、これらの部品から汚染物質などが放出されることが懸念される。
そこで図7に示すように、処理容器1の下部に収納部48を設け、そこに受光部45’を収納するようにした。受光部は、その不使用時に収納部48に格納する。なお、モータ10は上下動作部47に接続されており、上下動作部47は上下動ガイドシャフト46を案内軸としてモータ10及びそれに接続された回転伝達軸12、受光部45を上下に駆動することができる。測定システムを使用するときには上下動作部47により受光部45を所望の高さまで持ち上げ、そこでモータ10により受光部45を所望の方向にむけプラズマの発光を観測することができる。
図8は、本発明の第4の実施形態を説明する図である。この例においては、受光部13は回転するだけでなく上下動作することも可能である。これにより、受光部13をウエハ上の所望の高さ位置に移動させてその高さ位置でのラジカル発光分布を計測することができる。また、回転角度方向と高さ方向のスキャンを組み合わせることにより、処理容器内部全体のラジカル発光分布を計測することができる。
図8に示す例では、上下動および回転駆動するための機構は処理容器の側面に設置したサブチャンバ60内に収める例を示した。
モータ71の回転駆動力は回転伝達軸68を介してサブチャンバ60内に伝達され、駆動スチールベルト65を介して回転プーリー67を回転させ、回転プーリー67と結合した回転伝達軸12を通して受光部13を回転させることができる。回転プーリー67は支持アーム66上に設置されており、支持アーム66はアームガイド64に結合されている。アームガイド64は結合子72により上下動ガイド63と結合されており、上下動ガイド63は上下動ガイドシャフト61と回転シャフト62を案内として上下に動くことができる。上下動作部70が上下動伝達軸69を通して上下動ガイド63を上下に移動させ、この動作により受光部13が上下に移動する。したがって、図8に示す駆動系により受光部13を所望の高さで、かつ所望の方向に向けることができる。
高さ方向の発光分布が計測できると、縦断面における分布も計算できるようになる。従って、異なる複数の高さ位置において前記のアーベル変換によってプラズマ発光の半径方向分布を計算し、各高さ位置での半径方向分布のデータから縦断面のプラズマ発光分布をプロットすることができる。また、処理容器内部全体のプラズマ発光分布を3次元的に表示することもできる。この機能の特殊な利用例としては、金属汚染源の特定などがある。 半導体デバイスの加工では、加工中にウエハが処理容器内のどこかから発生する金属に汚染されるとデバイス特性が悪化する。このためプラズマ処理装置では金属の汚染が発生したときに、処理容器内のどこから汚染源の金属が放出されるのかを調べる必要が生じる場合がある。例えば、アルミニウムAlは、Al自体でもアルミニウムの金属化合物AlClでも発光ピークをモニタすることができる。このため、金属あるいは金属化合物の処理容器内分布をモニタにより観測し、その強度が強いところを辿れば、金属汚染源を特定することができる。
図9は、本発明の第5の実施形態を説明する図である。図において図9(a)は正面図、図9(b)石英板30’を取り除いた状態の正面図である。この図の例では、高さ方向における情報を複数の光学系を用いることによって取得する。このため、図9に示すように、受光部の高さ方向に複数の観測窓を設け、受光部を上下に駆動しなくとも複数の高さ位置におけるプラズマ光を観測できるようにする。
図9に示す例では、複数の光学系を細いホルダ36内部に納めるために、反射ミラー32、コリメーションレンズ33、フェルール34の光学系を交互に傾けて配置し、光ファイバ35を配線して受光部を構成している。このように複数の光学系を用いる場合には、各光学系間に受光感度のばらつきがあるため、高さ位置の異なる光学系で検出した発光強度を比較する際には、前記受光感度のばらつきを補正する必要がある。なお、複数の光ファイバ35で受けた光を別々の分光器で分光すると分光器の個体差の影響を受けるため、光スイッチ等を用いて一つの分光器を切り替えながら使用することが好ましい。
図10は、本発明の第6の実施形態を説明する図であり、図10(a)は受光部を近接して配置する例を示す図、図10(b)は受光部を離間して配置する例を示す図である。
以上の説明では、処理容器内に受光部が一箇所のみ設置する例について説明した。しかし、図10に示すように複数箇所に受光部を設置することもできる。ラジカルの分布がほぼ軸対称であるときには一箇所の設置でアーベル変換を用いることによりラジカルの半径方向分布が計算できる。しかし、ラジカルの分布が強い非対称性を持つ場合には複数箇所からの観測結果を用いてコンピューテッドトモグラフィ(CT)の技術を適用し、非対称なラジカル分布を計算することができる。
図10(a)では、受光部を50、51、52の3箇所に比較的近接して配置する例を示した。ただし、CTを適用するには各受光部間の距離は図10(b)に示すように、できるだけ離したほうが発光のノイズ等による誤差の影響を受けにくくなるので好ましい。しかしながら、プラズマの場合にはプラズマ自身の発光するプラズマ光をプラズマが遮る減衰率が非常に低いため、医療などで用いるCTスキャンのように全方位から観測する必要はない。このため、図10(a)に示すように片側の複数箇所(50,51,52)に設置した受光部でスキャンした観測データを組み合わせ、逆2次元フーリエ変換することによりラジカル分布を得ることができる。
以上の説明では、受光部で受けた光を90度屈曲する例について説明した。しかし、屈曲させる角度は90度でなくても良い。また、受光部を回転するための機構は上記以外の機構を用いて実施することができる。また、プラズマ光の分光に際しては、分光器を用いることなく、検出波長の異なるモノクロメータを用いて実施することもできる。また、受光部からの光伝達にイメージングファイバを用いることにより、プラズマの内部状態を監視することもできる。この際、イメージングファイバの視野方向を調整するために魚眼レンズなどを用いることもできる。
以上説明したように、本実施形態によれば、視野角を絞った受光部を回転あるいは上下動させることにより観測窓の影響を受けることなく、処理容器内の任意箇所のプラズマ発光を測定できる。このため、特にアーベル変換に適したプラズマ発光の線積分データを測定することができ、また、プラズマ発光やそれを分光して得られるラジカル発光の空間分布を計測することができる。
また、処理容器に観測窓を設けることなく、処理容器内部の任意箇所のプラズマ発光を計測することができるため、特に処理容器内のプラズマ発光分布を計測しながらプラズマ処理条件を改良し、プラズマ処理の均一性を向上することができる。
本発明の第1の実施形態を説明する図である。 受光部13を説明する図である。 受光部13の詳細を説明する図である。 受光部13の回転駆動により受光する範囲を説明する図である。 線積分値として観測される発光強度とアーベル変換により得られるラジカル発光強度の半径方向分布の例を示す図である。 本発明の第2の実施形態を説明する図である。 本発明の第3の実施形態を説明する図である。 本発明の第4の実施形態を説明する図である。 本発明の第5の実施形態を説明する図である。 本発明の第6の実施形態を説明する図であ。 処理条件を調節して非対称なプラズマを生成し、これを左右別々にアーベル変換して分布を計算した結果を示す図である。
符号の説明
1 処理容器
2 電磁エネルギ印加手段
3 ガス供給管
4 流量制御器
5 ガス導入器
6 試料台
7 ウエハ
8 圧力調整弁
9 ガス排気系
10 モータ
11 回転フィードスルー
12 回転伝達軸
13 受光部
14 内部光ファイバ
15 光学フィードスルー
16 外部光ファイバ
17 分光器
18 コンピュータ
20 回転駆動軸
21 回転方向変換機
30,30’ 石英板
31 Oリング
32 反射ミラー
33 コリメーションレンズ
34 フェルール
35 光ファイバ
36 ホルダ
37 押さえネジ
38 観測窓
40 観測方向
41 観測角
45 受光部(収納時)
45’ 受光部(使用時)
46 上下動ガイドシャフト
47 上下動作部
48 収納部
50、51,52 受光部の位置
60 サブチャンバ
61 上下動ガイドシャフト
62 回転シャフト
63 上下動ガイド
64 アームガイド
65 駆動スチールベルト
66 支持アーム
67 回転プーリー
68 回転伝達軸
69 上下動伝達軸
70 上下動作部
71 モータ
72 結合子

Claims (3)

  1. 真空処理容器と、該真空処理容器内に処理ガスを導入するガス導入手段と、試料を載置し前記処理室内に保持する試料台と、真空処理室に導入した処理ガスに電磁エネルギを印加してプラズマを生成する電磁エネルギ印加手段とを備えたプラズマ処理装置におけるプラズマ発光を測定するプラズマ発光測定システムであって、
    観測窓を有し該観測窓に入射するプラズマ光を受光する受光部と、
    受光したプラズマ光を分光する分光器と、
    該分光器の分光出力を蓄積または解析するコンピュータを備え、
    前記受光部は、試料台の試料載置面と直交する方向の回転軸、および該回転軸に沿って受光部を上下に駆動する駆動機構を有し、受光部の受光方向は少なくとも前記試料台の中心部からその一方の周辺部までの範囲で調整可能に構成したことを特徴とするプラズマ発光測定システム。
  2. 真空処理容器と、該真空処理容器内に処理ガスを導入するガス導入手段と、試料を載置し前記処理室内に保持する試料台と、真空処理室に導入した処理ガスに電磁エネルギを印加してプラズマを生成する電磁エネルギ印加手段とを備えたプラズマ処理装置におけるプラズマ発光を測定するプラズマ発光測定システムであって、
    透明な観測窓を有し該観測窓に入射するプラズマ光を受光する受光部と、
    受光したプラズマ光を分光する分光器と、
    該分光器の分光出力を蓄積または解析するコンピュータを備え、
    前記受光部は、試料台の試料載置面と直交する方向の回転軸、および該回転軸に沿って受光部を上下に駆動する駆動機構、受光部に入射した光の進行方向を該受光部の回転軸に一致する方向に反射するミラー、該ミラーによる反射光を集光する集光レンズおよび集光した光を導出する光ファイバを備え、前記受光部の受光方向は少なくとも前記試料台の中心部からその一方の周辺部までの範囲で調整可能に構成したことを特徴とするプラズマ発光測定システム。
  3. 請求項1または2記載のプラズマ発光測定システムにおいて、
    前記受光部は前記回転軸に沿ってプラズマ発光を観測する複数の観測窓を備えたことを特徴とするプラズマ発光測定システム。
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