JP4554097B2 - 誘導結合プラズマ処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置(LCD)用のガラス基板等の被処理基板に対してドライエッチング等のプラズマ処理を施す誘導結合プラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、LCD製造プロセスにおいては、被処理基板であるLCDガラス基板に対して、エッチングやスパッタリング、CVD(化学気相成長)等のプラズマ処理が多用されている。
【0003】
このようなプラズマ処理を行うためのプラズマ処理装置としては、種々のものが用いられているが、その中で、高密度プラズマを発生することができるものとして誘導結合プラズマ(ICP)処理装置が知られている。
【0004】
誘導結合プラズマ処理装置としては、真空に保持可能なプラズマ処理を行うための処理室の天井が誘電体壁で構成され、その上に高周波(RF)アンテナが配設された構造のものが知られている。そして、この高周波アンテナに高周波電力が供給されることにより、処理室内に誘導電磁界が形成され、この誘導電磁界により処理室に導入された処理ガスがプラズマ化し、このようにして形成された処理ガスのプラズマによりエッチング等のプラズマ処理が施される。
【0005】
ところが、このような誘導結合プラズマ処理装置においては、処理に伴って処理室内で生成される反応生成物が上記誘電体壁へ付着し、この付着した反応生成物が剥離してコンタミネーションの原因となることがある。
【0006】
このような問題に関して、特開2000−235972号公報には、その内部でヘリコン波プラズマを発生させるソースチャンバーと、その内部に前記ヘリコン波プラズマを導入して被処理体にプラズマ処理を施す拡散チャンバーとを有するヘリコン波プラズマ処理装置において、ソースチャンバーの誘電体壁のチャンバー外側に光吸収層を設け、この光吸収層に外部から熱線を照射することにより加熱してソースチャンバー内面に付着物が付着することを防止する技術が示されている。
【0007】
しかしながら、近時における基板や装置の大型化にともない誘電体壁が大型化し、かつ厚くなっているため、上記公報に記載されているように誘電体壁の処理室と反対側の面に設けられた光吸収層に熱線を照射しても、誘電体壁の処理室側の全面を十分に高温化することは困難となっており、この技術では誘電体壁への反応生成物の付着を十分に防止することはできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、誘電体壁に反応生成物が付着することを有効に防止することができる誘導結合プラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、液晶表示装置用ガラス基板を収容する処理室と、前記処理室内に設けられ、液晶表示装置用ガラス基板が載置される載置台と、前記処理室の外側に設けられ、前記処理室内に誘導電磁界を形成するアンテナと、前記アンテナと前記処理室との間に設けられた誘電体壁と、前記アンテナに高周波電力を印加して誘導電磁界を形成させる高周波電源と、前記処理室内に処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、前記処理室外に設けられ、前記誘電体壁に熱線を照射するランプと、前記誘電体壁の前記処理室側の面に形成され、前記処理室内に露出するように設けられた熱線吸収性を有する熱線吸収層とを具備することを特徴とする誘導結合プラズマ処理装置を提供する。
【0010】
上記構成によれば、前記アンテナと前記処理室との間に設けられた誘電体壁と、前記アンテナに高周波電力を印加して誘導電磁界を形成させる高周波電源と、前記処理室内に処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、前記処理室外に設けられ、前記誘電体壁に熱線を照射するランプと、前記誘電体壁の前記処理室側の面に形成され、前記処理室内に露出するように設けられた熱線吸収性を有する熱線吸収層とを具備するので、前記ランプからの熱線により前記熱線吸収層を発熱させることによって、前記誘電体壁の処理室側の全面を直接的に効率よく加熱して高温化することができ、前記誘電体壁への反応生成物の付着を有効に防止することができる。
【0011】
上記構成において、前記熱線吸収層は、溶射膜とすることができる。また、前記熱線吸収層は、前記誘電体壁の前記処理室側の面を覆うカバー部材とすることもでき、この場合には、前記カバー部材の前記誘電体壁側の面には、熱線吸収性膜を形成してもよい。いずれの場合も、前記熱線吸収層は例えばセラミックスで構成することができる。
【0012】
また、前記誘電体壁の上方に設けられ、前記アンテナを収容するアンテナ室をさらに具備し、前記ランプは前記アンテナ室の外方から熱線を照射する構成とすることができ、この場合には前記アンテナ室を減圧する減圧手段をさらに具備することが好ましい。このようにすることで、前記アンテナ室を減圧手段で減圧しつつ前記ランプからの熱線を照射して、前記熱線吸収層をより効率よく加熱することが可能となる。
【0013】
さらにまた、前記アンテナは、前記ランプからの熱線を反射する反射皮膜を有することが好ましい。これにより前記ランプからの熱線により前記アンテナが加熱されることを防止することができる。さらにまた、前記誘電体壁は、熱線透過性を有することが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るLCDガラス基板用のプラズマエッチング装置を模式的に示す断面図である。このプラズマエッチング装置1は、誘導結合プラズマエッチング装置として構成されている。
【0015】
このプラズマエッチング装置1は、例えば、内壁面がアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムからなる角筒形状の気密な本体容器2を有している。この本体容器2は、断熱保持部材9によって保持された誘電体壁11によって、その上方のアンテナ室21およびその下方の処理室30に気密に区画されている。誘電体壁11は、熱線透過性を有し、後述するランプ18からの熱線を透過する材料、例えば石英からなっており、その処理室30側の面には熱線吸収性を有する材料からなる熱線吸収層12が設けられている。すなわち、アンテナ室21はその底面が誘電体壁11によって構成されており、処理室30はその天井が誘電体壁11で構成されている。また、誘電体壁11の処理室30側は熱線吸収層12によって覆われている。
【0016】
熱線吸収層12は、その材質は問わないが、誘電体であること、耐プラズマ性があること、および熱線吸収性があるという理由でセラミックスで構成することが好ましく、また、熱線吸収性をより高くする観点からは、暗色系のセラミックス、例えばTiO2を使用することが好ましい。このような熱線吸収層12は、誘電体壁11の下面に適宜の成膜技術により形成することができ、その中でも溶射によって形成された溶射膜であることが好ましい。また、図2に示すように誘電体壁11の下面を熱線吸収性を有するカバー部材40で覆い、これを熱線吸収層として用いてもよい。また、カバー部材40がAl2O3のように白色系のセラミックスである場合、図3に示すようにカバー部材40の誘電体壁11側の面に暗色系のポリベンゾイミダール(PBI)等のポリイミド系樹脂からなる熱線吸収性膜41を設けることにより、カバー部材40を一層効率よく加熱することが可能になる。熱線吸収層12の材質は、エッチングプロセスに応じて(例えば、酸化膜のエッチングやアルミのエッチング)、最適の材質を選択することが望ましい。
【0017】
上述したように誘電体壁11の上方に形成されるアンテナ室21は、その天井壁21aに開口18を有しており、この開口18内には赤外線等の熱線を放射するハロゲンランプ19が設けられている。この開口18の下部は熱線を透過する材料からなる窓部20で覆われており、ハロゲンランプ19はアンテナ室21から隔離されている。このように配置されたハロゲンランプ19から熱線を下方の誘電体壁11に向けて照射することにより、熱線は窓部20および誘電体壁11を透過して熱線吸収層12に吸収され、そのエネルギーにより熱線吸収層12が発熱するようになっている。この際、誘電体壁11は断熱保持部材9で保持されれいるので、誘電体壁11および熱線吸収層12から他の部材へ熱が逃げにくくなっており、ハロゲンランプ19からの熱線により熱線吸収層12は容易に高温化する。
【0018】
また、アンテナ室21内の誘電体壁11上には、誘電体壁11と面するように、アンテナ13が配設されている。アンテナ13は、銅製のパイプで形成されており、その中空部をアンテナ13を冷却するための冷媒が通流するようになっている(図示略)。アンテナ13は略角形渦巻き状をなす平面型のコイルからなっており、その渦巻きの中心端部には給電線15の一端が接続され、この給電線15の他端は整合器16を介して高周波電源17に接続されている。一方、渦巻きの外側端部は接地されている。プラズマ処理中、高周波電源17からは、誘導電磁界形成用の例えば周波数が13.56MHzの高周波電力がアンテナ13へ供給される。このように高周波電力が供給されたアンテナ13により、誘電体壁11下方の処理室30内に誘導電磁界が形成され、この誘導電磁界により処理ガスがプラズマ化される。また、アンテナ13の表面には、前記ハロゲンランプ19からの熱線を反射する反射皮膜14が形成されており、これにより前記ハロゲンランプ19からの熱線によりアンテナ13が昇温されることを防止している。
【0019】
さらに、アンテナ室21の側壁には排気管22を介して真空ポンプ等からなる排気装置23(減圧手段)が接続されている。この排気装置23で排気することにより、アンテナ室21内は所定の減圧状態に維持することができ、このようにすることで熱の対流が減少し、ハロゲンランプ19からの熱線で熱線吸収層12を一層効率よく加熱することが可能になっている。さらにまた、このように構成されるアンテナ室21の側壁および天井壁21aの内面、および、ハロゲンランプ19が配置された部分の内面に、ハロゲンランプ19からの熱線を反射する反射皮膜を設けてもよい。これにより、ハロゲンランプ19からの熱線をむだなく誘電体壁11に照射することが可能となる。
【0020】
一方、上述した誘電体壁11の下方に形成される処理室30は、その底壁30aに絶縁材からなる角柱状の絶縁板3が設けられており、さらにこの絶縁板3の上に被処理基板であるLCDガラス基板G(以下、基板Gという。)を載置するためのサセプタ(載置台)4が設けられている。サセプタ4は、例えばアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムで構成され、その外周に絶縁部材5が設けられている。また、サセプタ4には、高周波電力を供給するための給電線6が接続され、この給電線6には整合器7および高周波電源8が接続されている。この高周波電源8からは、プラズマ処理中に例えば6MHzの高周波電力がサセプタ4に供給され、所定のバイアス電圧をサセプタ4に印加するようになっている。
【0021】
処理室30の側壁には、処理室30内に処理ガスを供給する処理ガス供給ノズル24が設けられており、この処理ガス供給ノズル24にはバルブ25およびマスフローコントローラ26を介して処理ガス供給源27が接続されている。このような構成により、処理ガス供給源27から供給されるハロゲン系のガス、O2ガス、Arガス等のエッチングのための処理ガスが、マスフローコントローラ26によってその流量を制御されつつ、バルブ25を介して処理ガス供給ノズル24から処理室30内に供給される。
【0022】
また、処理室30の側壁には、排気管31が接続されており、この排気管31には排気装置32が接続されている。排気装置32はターボ分子ポンプなどの真空ポンプを備えており、これにより処理室30内を所定の減圧雰囲気まで真空引き可能なように構成されている。また、処理室30の側壁には基板搬入出口28およびこの基板搬入出口28を開閉するゲートバルブ29も設けられており、このゲートバルブ29を開にした状態で基板Gが隣接するロードロック室(図示せず)との間で搬送されるようになっている。
【0023】
次に、上記構成のプラズマエッチング装置1における処理動作について説明する。
まず、ゲートバルブ29を開にした状態で、図示しないロードロック室から基板搬入出口28を介して基板Gを処理室30内へ搬入し、サセプタ4上に載置する。この際、基板Gの受け渡しはサセプタ4の内部に挿通され、サセプタ4から突没可能に設けられたリフターピン(図示せず)を介して行われる。その後、ゲートバルブ29を閉じ、排気装置32によって処理室30内を所定の真空度まで真空引きする。
【0024】
その後、アンテナ室21を排気装置23により所定の減圧雰囲気としつつ、ハロゲンランプ19から熱線を放射して熱線吸収層12を加熱して高温度化するとともに、バルブ25を開放し、処理ガス供給源27からの処理ガスをマスフローコントローラ26によって流量を調整しながら供給し、処理室30内の圧力を所定の値に維持する。
【0025】
この状態で高周波電源17から整合器16を介して高周波電力をアンテナ13に印加することにより、アンテナ13下方の処理室30内に誘電体壁11を介して誘導電磁界が形成される。この誘導電磁界により、処理室30内の処理ガスがプラズマ化され、高密度の誘導結合プラズマが生成される。このようにしてプラズマを生成しつつ、サセプタ4に高周波電源8から整合器7を介して高周波電力を供給して所定のバイアス電圧を印加することにより、基板Gに処理ガスのプラズマを利用したエッチング処理が施される。
【0026】
以上のようにしてエッチング処理を施した後、高周波電源8および17からの高周波電力の印加を停止し、処理室30内の圧力を所定の圧力まで昇圧してゲートバルブ29を開いた状態とし、基板搬入出口28を介して処理室30内から図示しないロードロック室に基板Gを搬出することにより、基板Gのエッチング処理は終了する。
【0027】
このようなプロセスにおいては、処理室30内で高密度の誘導結合プラズマにより基板Gのエッチング処理が行われるが、本実施形態に係るプラズマエッチング装置1においては、ハロゲンランプ19からの熱線で熱線吸収層12を加熱することによって、誘電体壁11の処理室30側の面を直接的に加熱することができるので、誘電体壁11の処理室30側の面を容易にかつ効率的に高温化することができ、これにより誘電体壁11の処理室30側の面にエッチング処理による反応生成物等が付着してコンタミネーションの原因となることを十分に防止することができる。
【0028】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく種々変形可能である。また、上記の実施形態においては誘電体壁11が処理室30の天井壁を構成する場合について示したが、これに限られるものではない。さらに、本発明はCVD成膜等の他の誘導結合プラズマ処理装置に適用することもできる。さらにまた、被処理体はLCDガラス基板に限られず、半導体ウエハであってもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、前記アンテナと前記処理室との間に設けられた熱線透過性を有する誘電体壁と、前記アンテナに高周波電力を印加して誘導電磁界を形成させる高周波電源と、前記処理室内に処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、前記処理室外に設けられ、前記誘電体壁に熱線を照射するランプと、前記誘電体壁の前記処理室側の面に設けられた熱線吸収性を有する熱線吸収層とを具備するので、前記ランプからの熱線により前記熱線吸収層を発熱させることによって、前記誘電体壁の処理室側の全面を直接的に効率よく加熱して高温化することができる。このように前記誘電体壁の処理室側の全面を高温化することにより、コンタミネーションの原因となる反応生成物の付着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るプラズマエッチング装置の断面図。
【図2】本発明の変形例に係るプラズマエッチング装置の要部を示す部分断面図。
【図3】本発明の他の変形例に係るプラズマエッチング装置の要部を示す部分断面図。
【符号の説明】
1;プラズマエッチング装置
2;本体容器
4;サセプタ
8;高周波電源
9;断熱保持部材
11;誘電体壁
12;熱線吸収層
13;アンテナ
17;高周波電源
19;ハロゲンランプ
21;アンテナ室
21a;天井壁
24;処理ガス供給ノズル
30;処理室
30a;底壁
40;カバー部材
41;熱線吸収性膜
G;ガラス基板
Claims (9)
- 液晶表示装置用ガラス基板を収容する処理室と、
前記処理室内に設けられ、液晶表示装置用ガラス基板が載置される載置台と、
前記処理室の外側に設けられ、前記処理室内に誘導電磁界を形成するアンテナと、
前記アンテナと前記処理室との間に設けられた誘電体壁と、
前記アンテナに高周波電力を印加して誘導電磁界を形成させる高周波電源と、
前記処理室内に処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、
前記処理室外に設けられ、前記誘電体壁に熱線を照射するランプと、
前記誘電体壁の前記処理室側の面に形成され、前記処理室内に露出するように設けられた熱線吸収性を有する熱線吸収層と
を具備することを特徴とする誘導結合プラズマ処理装置。 - 前記熱線吸収層は、溶射膜であることを特徴とする請求項1に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
- 前記熱線吸収層は、前記誘電体壁の前記処理室側の面を覆うカバー部材であることを特徴とする請求項1に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
- 前記カバー部材の前記誘電体壁側の面には、熱線吸収性膜が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
- 前記熱線吸収層は、セラミックスからなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
- 前記誘電体壁の上方に設けられ、前記アンテナを収容するアンテナ室をさらに具備し、前記ランプは前記アンテナ室の外方から熱線を照射することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
- 前記アンテナ室を減圧する減圧手段をさらに具備することを特徴とする請求項6に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
- 前記アンテナは、前記ランプからの熱線を反射する反射皮膜を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
- 前記誘電体壁は、熱線透過性を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
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