JP4553594B2 - 基板製造装置及び基板製造方法 - Google Patents
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Description
これに対して、機能性素子の製造方法に関し、機能層の平坦性を得るために、機能層の中心部が凸形状の場合と凹形状の場合とに応じて、機能層形成用塗工液の乾燥工程における溶媒の揮発速度を制御する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。更に特許文献1には、凸形状の場合の揮発速度を速くする方法として、送風により揮発溶媒を拡散させ溶媒の飽和を防止する方法、ホットプレート又は遠赤外線ヒーターによって熱を加える方法が記載されており、また、凹形状の場合の揮発速度を遅くする方法として、揮発溶媒を雰囲気中に過度に充満させ溶媒の揮発を抑制する方法や加圧、冷却等の方法が記載されている。しかしながら、これらの方法おいては、面内に分布する各々の膜の乾燥過程を同じにすることは容易でなく、例えば、最初に形成された膜と最後に形成された膜とで同じ乾燥過程を実現するのは容易でなかった。これに起因して、面内で膜厚の均一性を得ることが困難となっていたため、この点において工夫の余地があった。
以下に本発明を詳述する。
上記基板としては、透明性の高いものが好ましく、例えば、ガラス等の無機材料、透明樹脂等から構成されるものを用いることができる。液滴としては特に限定されるものではないが、液滴吐出法(インクジェット法)により塗布するのに適した特性を有するものから構成されることが好ましい。
本発明の基板製造装置においては、液滴塗布部と電磁波照射部とを必須構成部材として有する限り、その他の構成部材を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
液滴塗布法(インクジェット法)においては、液滴乾燥の過程において、どのような時間の経過で乾燥されるかということも非常に重要である。すなわち、複数の液滴を吐出して膜を形成する場合、必ず最初に吐出した液滴と最後に吐出した液滴とでは時間的な差が生じているため、その後に全ての液滴に対して同時刻に乾燥を行うと、各液滴で乾燥までの時間経過が異なることとなる。ここで、有機EL表示装置に用いられる基板上のドット毎に有機層を形成する場合において、各ドットの有機層の乾燥過程が異なることは膜厚が異なることを意味し、表示装置として用いた際に、これはすなわち発光閾値の差となって現れ、表示ムラが生じることとなる。また、有機EL表示装置における発光効率や素子寿命は、有機層の膜厚と非常に大きな相関があり、適正で均一な膜厚を得ることは、高効率で長寿命の有機EL素子を得るために非常に重要な要素である。
本発明の基板製造装置を用いれば、各ドット間の有機層の膜厚分布の均一な有機EL素子を作製することが可能となり、高効率で長寿命の有機EL素子の実現が可能となる。
中でも、電子表示装置は、電子エレクトロルミネッセンス表示装置であることが好ましい。有機層の面内の膜厚分布が抑制され、膜平坦性が高いことから、均一な発光プロファイルを持ち、更に高効率長寿命な有機EL表示装置とすることができる。
まず、図3−a及び図3−bを参照して実施例で作製した有機EL素子の構造について簡単に説明する。
図3−aは、実施例で作製した有機EL素子の基本的な構造を示す断面模式図であり、図3−bは、図3−aに示した有機EL素子の平面模式図である。
図3−a及び図3−bに示すように、有機EL素子は、素子全体を支持する支持基板1と、発光材料を含む有機層3と、この有機層3に電流を与えるための第一の電極2及び第二の電極4と、封止材5とを備えたものである。第一の電極2、有機層3、及び、第二の電極4は、この順に支持基板1上に積層されており、更にこれらの全面は封止材5により覆われている。
図1は、実施例で使用した本発明の基板製造装置の要部を示す側面模式図である。また、図2は、図1の基板製造装置から液滴に対して電磁波が照射される様子を示す側面模式図である。
液滴塗布部6として、インクジェット装置を用いた。また、液滴塗布部6より吐出する液としては、正孔輸送層の材料として、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)/PSS(ポリスチレンスルホン酸)溶液を使用し、発光層の材料として、キシレンやテトラリン溶媒と、これら溶媒に可溶なMEH−PPVやポリフルオレン系等の高分子発光材料を使用したが、これら材料や溶媒に限定されるものではない。また液物性に関しては、インクジェット吐出に通常使用される程度のものとし、粘度は5〜15mPa・sに調整し、表面張力は30〜35mN/mに調整した。
その他にも、波長略0.8〜1μmの輝線を有するキセノンランプを光ファイバに入射させてから対象物に集光させる点集光型の加熱装置を用いることも可能である。但し、波長は特に限定されるものではなく、照射対象に対して吸収される波長域を含んでいればよい。
本実施例では、液滴を納めるための隔壁(土手)1aを設けたパターン基板を使用し、具体的には、図3のようなものである。液滴は、各々の隔壁(土手)1a内に順次吐出された。ドットピッチは、200μmとしたが、ドット形状を含めて特に限定されるものではない。
ここで、すぐに赤外線11での乾燥を行わずに基板10全面に液滴の吐出を行った後に乾燥処理した場合と、インクジェット装置6での塗布後に各液滴を赤外線照射装置7により順次乾燥した場合(本実施例の場合)とを比較した結果、後者の場合の方が各ドット15a間の膜厚差を抑制することができた。これは、液滴塗布後に各液滴から溶媒が蒸発していくが、すぐに赤外線照射装置7を用いずに放置した場合は各液滴での蒸発していく速度が異なり、つまりは乾燥により膜厚差を生じてしまうのに対して、すぐに赤外線照射装置7を用いた場合は、液滴塗布直後に乾燥が開始されるので、各液滴が均等な乾燥過程となり、膜厚差が生じにくくなるためである。
本実施例では、液滴塗布後の各液滴に対する電磁波11の照射強度は一定としたが、順に小→大→小となるように制御することとしてもよい。極端な加熱冷却を抑制することができるので、安定した乾燥を行うことが可能となる。このような場合には、液滴塗布後の電磁波照射部7を複数設けてもよい。照射時間が不足しているが照射強度を上げることができない場合等にも適用することができる。また、膜厚分布を抑制するために、最初の液滴から最後の液滴に対して照射強度を変更してもよく、例えば、前半から後半へ徐々に照射強度を大きくしたり、その逆に小さくしたりすることとしてもよい。
更に、インクジェット装置6におけるノズルの形態としては、複数ノズル(吐出穴が複数)又は単数ノズル(吐出穴が1つ)のいずれであってもよく、また、ヘッドの形態としても、複数ヘッド又は単数ヘッドのいずれであってもよいが、生産性の点から、複数ノズルで複数ヘッドの形態が好ましく、この場合には、各ノズルに対応した電磁波照射部7を併置することがより好ましい。
そして、素子作製に当たっては、塗布及び乾燥の雰囲気は、大気中よりも不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、更に、水分濃度がppmオーダー以下であることや、酸素濃度がppmオーダー以下であることが好ましい。
なお、ドットの平面形状としては、特に限定されるものではなく、長方形、楕円形、多角形等であってもよい。また1ドットを一つの膜形成領域としてもよいし、あるいは複数のドットをまとめて一つの膜形成領域としてもよい。実施例で作製した有機EL素子のものと異なるドット配置の一例として、図4−a及び図4−bに、有機EL素子の別例の基本的な構造を示す。
1a、1b:隔壁
2:第一の電極
3:有機層
4:第二の電極
5:封止材
6:液滴塗布部(インクジェット装置)
7:電磁波照射部
9:基板ステージ
10:基板
11:電磁波(赤外線)
12:基板付着直後の液滴
13:基板付着後に広がった液滴
14:膜
15a、15b:ドット
Claims (4)
- 基板上に液滴塗布部から液滴を付着させ、電磁波照射部により電磁波を照射して薄膜を形成する工程に用いられる基板製造装置であって、
該基板製造装置は、複数の液滴を基板上に順次付着させ、基板上に付着させた順に液滴に対して電磁波を照射することにより、複数の液滴を順次乾燥させて薄膜を形成するものであり、
基板上に液滴を付着させてから電磁波を照射するまでの時間、及び、電磁波を照射している時間は、各液滴で略同じにされ、
電磁波の照射は、基板上に付着した液滴の径が広がり始めた後に行われる
ことを特徴とする基板製造装置。 - 前記基板製造装置は、電磁波の照射により液滴を乾燥させて有機エレクトロルミネッセンス素子中の有機層を形成するものであることを特徴とする請求項1記載の基板製造装置。
- 前記基板製造装置は、液滴塗布部と電磁波照射部とが間隔を置いて設置されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の基板製造装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の基板製造装置を用いてなることを特徴とする基板製造方法。
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