JP2006244944A - 有機el装置の製造方法、蒸着ボート - Google Patents

有機el装置の製造方法、蒸着ボート Download PDF

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Nobuyuki Kurauchi
伸幸 倉内
Yoshihiko Machida
佳彦 町田
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Abstract

【課題】 蒸着によって有機機能層を形成する際の蒸着材料の使用効率を高め、特に均一
な膜厚で有機機能層を形成することが可能な有機EL装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の製造方法は、有機機能層形成工程において、画素領域33のパタ
ーンに対応し且つ隔壁BHにより凹状に区画形成されてなる材料配置部20を備える蒸着
ボート10を用いて蒸着を行うもので、蒸着ボート10の材料配置部20に有機材料19
を配置する工程と、蒸着ボート10と基板30とを材料配置部20と画素領域33とが対
向するように重ね合わせる工程と、該重ね合わせた状態で発熱部50により有機材料19
を加熱し、該有機材料19を基板30側に蒸着させる工程とを有し、材料配置部20には
、当該材料配置部20の底面の中心部に形成され、且つ該底面から突出する凸部51が具
備されていることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、有機EL装置の製造方法、蒸着ボートに関する。
近年、自発光素子を用いた表示装置である有機EL装置の研究が活発化している。この
有機EL装置に用いられる有機EL素子は、一対の電極と、その間に挟持されてなる有機
機能層とを有した構成が一般的である。この様な有機EL素子を用いて表示装置を作成す
る場合、複数の有機機能層を画素毎にパターニングして配置する必要がある。
基板上に有機機能層をパターン形成する際には、通常、蒸着マスクを用いた真空蒸着法
が採用されている。しかしながら、この方法では蒸着マスク上を含め基板全面に成膜する
ため、蒸着材料(有機材料)の使用効率が悪い。また、蒸着マスクの耐久性に課題があり
、高い生産効率を確保することが難しい。更には、膜厚の均一性を高めるために蒸着源と
基板等の被蒸着体との間隔を広げる必要があり、基板以外の場所にも蒸着材料が付着して
しまい、この点も材料の使用効率を低下させる要因となっていた。
そこで、蒸着源と被蒸着体となる基板との間隔を狭めて、基板以外に蒸着材料が付着す
る量を減らすとともに、基板上の隔壁に合わせて蒸着源を移動し、この蒸着源が備えたシ
ャッターの開閉することで選択的に蒸着を行い、材料の使用効率と膜厚の均一性を高めた
技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−6311号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されたような蒸着装置を用いても、蒸着源からの
蒸発が安定するまでの間に材料が消費されたり、シャッターや蒸着マスク等素子以外の領
域に付着する分を削減することは難しく、大幅に材料の使用効率を上げることは困難であ
った。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、蒸着によって有
機機能層を形成する際の蒸着材料の使用効率を高め、特に均一な膜厚で有機機能層を形成
することが可能な有機EL装置の製造方法を提供することにある。また、本発明は、有機
EL装置の製造方法とともに、該製造時に適用可能な蒸着ボートを提供することを目的と
している。
上記課題を解決するために、本発明の有機EL装置の製造方法は、複数の画素領域を有
する素子基板の前記画素領域に有機機能層を形成する工程で、前記複数の画素領域に対応
して隔壁により区画され、その一部に凸部が配置された材料配置部を有する蒸着ボートを
用い、前記蒸着ボートの前記材料配置部に有機機能層となる材料を配置し、前記蒸着ボー
トの前記材料配置部に前記素子基板の前記画素領域が対向するように、前記蒸着ボートと
前記素子基板とを重ね合わせ、前記有機材料を前記素子基板の前記画素領域に蒸着するこ
とにより、前記有機機能層を形成することを特徴とする。
このような製造方法によれば、材料配置部から蒸発する材料の殆どは、該材料配置部に
対向した画素領域に選択的に付着する。つまり、マスクを用いていないため、蒸着材料が
基板以外のマスク等に付着することがなくなり、また材料配置部と画素領域とが対向する
ように位置合わせしつつ、蒸着ボートと基板とを重ね合わせた状態で蒸着を行うものとし
ているため、蒸着材料が非画素領域に付着することもなくなり、その結果、蒸着材料の殆
どが画素領域に選択付着し、ひいては材料の使用効率が飛躍的に向上することとなるので
ある。
また、上記製造方法によれば、形成する有機機能層の膜厚を均一化することができる。
つまり、材料配置部に対して平面内に均一な量で有機材料を配置して、これを蒸着させる
と、基板側に形成される蒸着膜(有機機能層)は中心部において厚膜となる傾向にあるが
、本発明では、材料配置部の底面に対し、その中心部に凸部を形成したことで、材料配置
部の中心部に配置される有機材料が、周辺部に配置される有機材料よりも相対的に少ない
こととなり、基板側に形成される蒸着膜が中心部において厚膜となる不具合を解消するこ
とができたのである。特に本発明では、有機機能層を形成する基板側の形状、具体的には
有機機能層の被形成面(被蒸着面)の形状が凹状又は凸状となっている場合にも、当該有
機機能層を均一な膜厚で形成することが可能となる。
更に、本発明では、配置した有機材料の殆どが画素領域に蒸着するため、配置した有機
材料の量と形成する有機機能層の膜厚とは一対一に対応することとなり、該材料配置部に
所定膜厚の有機機能層を形成するために必要な量の有機材料を配置し、これを全て蒸発さ
せることで、略設計通りの膜厚に有機機能層を形成することが可能である。
なお、本発明の有機EL装置の製造方法においては、材料配置部の底面が平坦面とされ
ているものとすることができる。このように材料配置部の底面が平坦面の場合には、その
中心部に凸部を形成することで、形成する蒸着膜(有機機能層)の平坦化効果が一層顕著
なものとなる。
材料配置部に形成する凸部は、例えば材料配置部を区画形成する壁部と同一材料にて構
成することができる。この場合、所定の基材上に隔壁を形成して材料配置部を付与する場
合に、当該隔壁の形成と同一工程で凸部を形成することが可能となり、製造効率の向上を
実現することができるようになる。また、凸部の形状としては、滑らかな凸曲面からなる
もの、円錐や多角錘のもの、或いは多角柱のもの等を採用することができる。
また、本発明の有機EL装置の製造方法において、材料配置部に配置した有機材料を蒸
発させるために、ヒータにより当該材料配置部を加熱するものとすることができる。また
、材料配置部に配置した有機材料を蒸発させるために、該有機材料を加熱する発熱部を材
料配置部に設けることができる。このような発熱部により蒸着工程を促進することが可能
となる。ここで、このような発熱部を設ける場合には、材料配置部の底面及び側面に配設
することが好ましい。この場合、有機材料を底面及び側面の双方から加熱することができ
るため、該有機材料の加熱を迅速且つ確実に行うことができるようになり、有機材料の使
用効率を一層高めることが可能となる。
なお、前記発熱部は、ランプ或いはレーザ等の光照射により発熱する材料により構成さ
れてなるものとすることができる。このような発熱部によると、光照射により加熱をコン
トロールすることができるため、抵抗発熱体等に比して配線等が不要で構成が簡便なもの
となる。また、光照射量によって加熱量をコントロールすることも可能となる。なお、蒸
着ボートを光透過性に構成することで、該蒸着ボート側から光照射を行うことができる。
また、本発明の製造方法においては、前記蒸着ボートが、少なくとも第1の材料配置部
と第2の材料配置部とを備え、前記第1の材料配置部には第2の材料配置部と異なる有機
材料を配置するものとすることができる。このようにすれば、例えば第1の材料配置部に
赤色、第2の材料配置部に青色の発光材料を配置することで、一度の蒸着工程で2色の発
光材料を蒸着することができ、製造工程を簡略化できる。また、第3の材料配置部を設け
て、この第3の材料配置部に、例えば緑色の発光材料を配置した場合、一度の蒸着工程で
3色の発光材料を蒸着することができ、より製造工程の簡略化を図ることができる。
また、前記蒸着ボートの隔壁上に突起部を設けるものとすることができる。このように
すれば、基板と蒸着ボートとを対向するように重ね合わせた際に、突起部が基板と蒸着ボ
ートとの間のスペーサとして機能し、該基板と蒸着ボートとの間に間隙を確保することが
できるようになる。このような間隙を形成することにより、材料配置部及び画素領域の排
気を行うことが可能となり、真空での蒸着が可能となる。また、蒸着ボートから基板への
熱伝導を抑制することができ、基板の温度上昇、形成した有機機能層への熱影響(材料の
分解、変質等)を防止ないし抑制することができる。更に、基板の汚染を防止することも
できる。
更に、本発明の製造方法においては、前記有機材料を前記材料配置部に配置する際に、
液滴吐出法を用いることができる。このように液滴吐出法を用いることで、高精度で所定
量の有機材料を配置することができる。このため、容易に一定量の有機材料を各材料配置
部に配置することができ、各画素領域に蒸着する膜厚設計を一層容易化することができる
ようになる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図においては、
各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異
ならせてある。
(有機EL装置の構成)
まず、本発明を適用した方法により製造された有機EL装置の構成について説明する。
図1は、有機EL装置1を模式的に示す断面図である。この有機EL装置1は、素子基板
30上に、図示しないTFTなどの回路等からなる回路素子部及び画素電極31が形成さ
れている。そして、画素電極31の周辺部の一部を覆うようにして、隔壁32が設けられ
ている。
隔壁32は、図1に示したように、素子基板30側に位置する無機物隔壁32aと、こ
の無機物隔壁32a上に積層され、該無機物隔壁32aより幅の狭い有機物隔壁32bと
により構成されている。無機物隔壁32aは、その周縁部が画素電極31の周縁部上に乗
り上げるように形成されている。また、有機物隔壁32bも同様に、その一部が画素電極
31の周縁部と平面的に重なるように配置されている。そして、隔壁32に囲まれた領域
は、有機EL装置1の画素領域33となっている。なお、本実施形態の画素領域33は、
後述するように長円形状となっている。また、素子基板30上には複数の画素領域33が
所定パターンで形成されている。
画素領域33には、有機機能層としての正孔注入/輸送層16、発光層18、及び電子
注入/輸送層17が順次積層されている。発光層18は有機EL材料からなり、これら正
孔注入/輸送層16、発光層18、及び電子注入/輸送層17が有機EL素子を構成して
いる。そして、電子注入/輸送層17と隔壁32上には陰極21が形成されており、本実
施形態では、陰極21に透明な材料を用いることにより、発光層18で発光する光を陰極
21側から出射させるものとしている(所謂トップエミッションタイプ)。陰極21を構
成する透明な材料としては、例えば、インジウム・スズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxi
de)等を用いる事ができる。
(有機EL装置の製造方法)
次に、上記有機EL装置1の製造方法について図2〜図6を参照して説明する。本実施
の形態では、ガラス等の基板上に適宜配線、TFT等を形成して素子基板30を作製した
後、画素電極31を形成する工程、隔壁32を形成する工程、正孔注入/輸送層16を形
成する工程、発光層18を形成する工程、電子注入/輸送層17を形成する工程、陰極2
1を形成する工程をそれぞれ行うものとしている。
(1)陽極形成工程
まず、ガラス等からなる基板を用意し、この基板上に図示しない薄膜トランジスタ(T
FT)素子や各種配線等を含んだ回路素子を公知の方法により形成した後、層間絶縁層や
平坦化膜を形成して、図2(a)に示す素子基板30を得る。その後、該素子基板30上
に、蒸着法によりインジウム錫酸化物(ITO)を全面成膜し、これをフォトリソグラフ
ィ法により画素毎にパターニングすることで画素電極31を得る。なお、本実施形態の有
機EL装置1は、前述したようにトップエミッションタイプであるので、画素電極31と
しては、透明である必要がなく、したがって適宜な導電材料によって形成することができ
る。
(2)隔壁形成工程
次に、素子基板30の所定の位置に隔壁32を形成する。この隔壁32は、第1の隔壁
として無機物隔壁32aが形成され、第2の隔壁として有機物隔壁32bが形成された構
造からなるものである。隔壁32を形成するに際し、まず素子基板30上の所定の位置に
無機物隔壁32aを形成する。無機物隔壁32aは、例えばCVD法、スパッタ法、蒸着
法等によって素子基板30及び画素電極31の全面にSiO、TiO、SiN等の無
機物膜を形成し、次にこの無機物膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして、画
素電極31上に開口部を設けることにより形成する。この開口部は、画素電極31の電極
面31aの形成位置に対応するものとなり、下部開口部32cとなる。このとき、無機物
隔壁32aは、その周縁部の一部が画素電極31の周縁部の一部と重なるように形成され
る。
次いで、無機物隔壁32a上に、第2の隔壁としての有機物隔壁32bを形成する。有
機物隔壁32bは、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶剤性を有す
る有機樹脂を材料として用いることができる。有機物隔壁32bは、アクリル樹脂、ポリ
イミド樹脂等の有機樹脂を溶媒に溶かしたものを、スピンコート、ディップコート等によ
り塗布して形成する。そして、有機物隔壁32bをフォトリソグラフィ法によりパターニ
ングして開口を設ける。この有機物隔壁32bの開口部は、図2(a)に示したように、
無機物隔壁32aの下部開口部32cよりやや広く形成することが好ましい。これにより
、画素電極31上に、無機物隔壁32a及び有機物隔壁32bを貫通する上部開口部32
dが形成される。すなわち、隔壁32に囲まれた領域は、有機EL装置1の画素領域33
となる。
(3)プラズマ処理工程
このプラズマ処理工程は、画素電極31の表面を活性化処理すること、更に隔壁32の
表面を撥液化することを目的としている。活性化処理工程は、画素電極31を構成する材
料の表面洗浄、更に仕事関数の調整、更には画素電極31等の表面の親液化を主な目的と
して行われる。ここでは、Oプラズマ処理により、画素電極31の電極面31a、無機
物隔壁32aの第1積層部32e及び有機物隔壁32bの上部開口部32dの側面ならび
に上面32fが親液化される。この親液処理により、これらの各面に水酸基が導入され、
親液性が付与される。
撥液処理工程は、本実施形態における後述のインクジェット工程(正孔注入/輸送層形
成工程)において吐出された液滴が隔壁表面に留まらないように、隔壁表面を撥液化する
ことを目的として行なわれる。ここでは、撥液化工程として、大気雰囲気中でテトラフル
オロメタン(四フッ化メタン:CF)を処理ガスとするプラズマ処理を行う。この処理
ガスとしては、これ以外の他のフルオロカーボン系のガスを用いることも可能である。
このCFプラズマ処理により、上部開口部32dの側面及び有機物隔壁32bの上面
32fが撥液化される。この撥液処理により、これらの各面にフッ素基が導入されて撥液
性が付与される。有機物隔壁32bを構成するアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の有機物
は、プラズマ状態のフルオロカーボンを照射することで容易に撥液化させることができる
。また、Oプラズマにより前処理した方がフッ素化されやすい、という特徴を有してお
り、本実施形態には特に有効である。なお、画素電極31の電極面31a及び無機物隔壁
32aの第1積層部32eは撥液化されることは無く、親液性を維持している。
(4)正孔注入/輸送層形成工程
次に、図2(b)に示すように、画素電極31上の画素領域33に正孔注入/輸送層1
6を形成する。本実施形態では、インクジェット法を用いて正孔注入/輸送層16を形成
するものとしており、つまりインクジェットヘッド(図示せず)により正孔注入/輸送層
形成材料を画素領域33に吐出し、その後に乾燥処理及び熱処理を行うことで、正孔注入
/輸送層16が形成される。
本実施形態における正孔注入/輸送層形成材料としては、例えばポリエチレンジオキシ
チオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルフォン酸(PS
S)等の混合物を極性溶媒に溶解させた組成物を用いることができる。極性溶媒としては
、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブチルアルコール、γ−ブチロラク
トン、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(D
MI)及びその誘導体、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のグ
リコール類等を挙げることができる。なお、正孔注入/輸送層形成材料は、赤(R)、緑
(G)、青(B)の各発光層18R,18G,18Bに対して同じ材料を用いても良く、
各発光層毎に変えても良い。
インクジェットヘッド(図示せず)から吐出された正孔注入/輸送層形成材料の液滴は
、親液処理された第1積層部32e上に広がり、下部、上部開口部32c、32d内に充
填される。仮に、正孔注入/輸送層形成材料の液滴が所定の吐出位置からはずれて上面3
2f上に吐出されたとしても、上面32fは前記の工程によって撥液処理がされているの
で、その液滴は上面32fに留まることが出来ない。ビーズ状にはじかれたその液滴は、
近傍の上部開口部32c、32d内に転がり込む。
なお、前記正孔注入/輸送層16の塗布方法としては、前述したインクジェット法以外
の公知の液相法(ウエットプロセス、湿式塗布法)を適応してもよく、例えばスピンコー
ト法、スリットコート法、ディップコート法、スプレー成膜法、印刷法等を用いてもよい
。このとき、前記正孔注入/輸送層16が前記隔壁32、及び前記素子基板30の全面を
覆うように形成してもよい。
次いで、乾燥工程を行う事により、吐出後の正孔注入/輸送層形成材料を乾燥処理し、
正孔注入/輸送層形成材料に含まれる極性溶媒を蒸発させ、正孔注入/輸送層16を形成
する。
(5)発光層形成工程
次に、正孔注入/輸送層16上に発光層18を形成する。本実施形態では、発光層形成
材料を蒸着法により画素領域33に選択形成するものとしているが、その際、蒸着ボート
を用いるものとしている。
(5−1)蒸着ボートの構成
図5(a)は、本実施形態の発光層形成工程で用いた蒸着ボートの構成を示す平面図で
ある。図5(a)に示すように、本実施形態における蒸着ボート10は、例えば円形状の
シリコン基板から形成されたものである。また、蒸着ボート10には、ボート隔壁BHに
囲まれた凹状の材料配置部20が、縦横に整列した状態で多数形成されている。材料配置
部20は、平面的には有機EL装置1の画素領域33に対応した形状となっていて、本実
施形態においては長円形状となっている。ここで、画素領域33に対応する形状とは、例
えば材料配置部20と有機EL装置1の画素領域とが平面的に略同じ大きさで相似形状に
なっていることを意味している。
図5(b)は、図5(a)に示した蒸着ボート10における、A−A線矢視における要
部側断面図である。図5(b)に示すように、材料配置部20はボート隔壁BHによって
囲まれることで、蒸着ボート10に対して凹部形状となっている。なお、この凹部形状を
有する材料配置部20には、後述する工程により、発光層18となる発光層材料(有機材
料)が設けられるようになっている。
更に、材料配置部20の凹部底面は平坦に構成されており、該底面には当該底面から突
出する凸部51が、その中心部に配設されている。具体的には、材料配置部20の底面の
重心位置と重なる位置に凸部51が配設されており、好ましくは凸部51の重心位置と材
料配置部20の底面の重心位置とが重なる形で形成されているのが良い。なお、凸部51
は、ボート隔壁BHと同一材料にて構成されており、該ボート隔壁BHと同一の工程で形
成されるものである。また、凸部51の形状は、本実施形態では円錐状で滑らかな凸曲面
を有するものとしているが、例えば図7(a)に示すような三角錘等の多角錘のもの、或
いは図7(b)に示すような多角柱のもの等を採用することもできる。
材料配置部20に凸部51を設けることにより、凸部51を設けた領域に蒸着材料が配
置されなくなるため、蒸着材料の配置を制御することができる。材料配置部20中で、蒸
着材料の配置を制御することで、蒸着する膜の画素内での膜厚分布をより均一にすること
ができる。凸部51の配置は、蒸着を行う画素の形状により適宜決定するものであるが、
長方形、円形、楕円形、長円形等、対象性の高い形状の画素を用いる場合には、対応する
材料配置部20の中心(或いは重心)に凸部51を設け、蒸着材料を環状に配置すると高
い効果が得られる。
凸部51の平面形状は、例えば図9に示すように材料配置部20の平面形状と略相似な
形状とし、環状に配置する蒸着材料の幅が略一定になるような形状が好適であるが、形成
を容易にするために長方形や円形等単純な形状を用いても良い。また、画素の縦横方向の
大きさが異なる場合には、環状に配置する材料の幅を長手方向と短手方向と異なる長さと
するのが好ましい。特に、長手方向の幅を大きく、短手方向の幅を小さくした場合に画素
内での膜厚分布を均一化する効果が高い。
また、ボート隔壁BH上には、例えば樹脂、窒化珪素、酸化珪素等から形成された複数
の突起部11が設けられている。この突起部11は、後述する蒸着ボート10と有機EL
装置1となる素子基板30とを対向するように重ね合わせる場合にスペーサとして機能す
るものである。突起部11は高さ2μmから10μm、幅5μmから20μmであり、画
素領域33の大きさ、間隔等により適宜選ばれる。なお、突起部11は素子基板30と蒸
着ボート10の間隔を確保する様なものであれば、素子基板30の側或いは素子基板30
と蒸着ボート10の両方に設けても良い。
なお、本実施形態では、凸部51の高さが隔壁BHの高さより小さく構成されている。
この場合、蒸着材料の配置が容易となり、材料の使用効率が高い(凸部を設けることで低
下する割合が小さい)ものとなる。
(5−2)蒸着ボートの製造方法
ここで、本実施形態における蒸着ボード10は以下のような方法で形成する。まず、例
えば蒸着ボード10を構成するためのシリコン基板を用意し、これをエッチングすること
で隔壁BHに囲まれた材料配置部20及び凸部51を形成する。
次に、ボート隔壁BH上に、例えば樹脂、窒化珪素、酸化珪素等から形成された複数の
突起部11を形成する。この場合、突起部形成材料として樹脂を用いる場合は、スピンコ
ート法により樹脂膜を形成した後、これをエッチングによりパターニングして、突起部1
1を得るものとしている。
以上のような方法により、ボート隔壁BHに囲まれ、平面的に有機EL装置1の画素領
域33に対応した形状となる材料配置部20を複数備え、この材料配置部20の底面に凸
部51を備えた蒸着ボート10を得ることができる。なお、本実施形態における蒸着ボー
ト10は、有機EL装置1を構成する素子基板10の大きさと略同じとなっていて、素子
基板10の画素領域33に対応する数の材料配置部20が設けられている。
(5−3)蒸着ボートへの材料配置工程
次に、蒸着ボート10の材料配置部20に、有機EL装置1の発光層18を形成するた
めの発光層材料(有機材料)を配置する方法について説明する。図6は、材料配置部20
に発光層材料19を配置した状態を示す平面図である。発光層材料19としては、発光層
18を蒸着によって形成するため、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の低分
子材料を用いることができ、例えばアントラセンやピレン、8−ヒドロキシキノリンアル
ミニウム、ビススチリルアントラセン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリ
ン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ピロロピリジン誘導体
、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、またはこ
れら低分子材料に、ルブレン、キナクリドン誘導体、フェノキサゾン誘導体、DCM、D
CJ、ペリノン、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ジアザインダセン誘導体等をドープ
して用いることができる。なお、発光層材料19は、これらに限定されるものではなく、
蒸着により成膜することが可能なものであれば高分子材料を用いても良い。
具体的に材料を配置するには、まず始めに蒸着ボート10の材料配置部20に、例えば
発光層材料19を溶媒に溶解または分散したものを、液滴吐出法(以下、インクジェット
法)によって各材料配置部20に配置する。そして、これを乾燥して溶媒を除去すること
により、各材料配置部20に対して、所定量の発光層材料19を配置することができる。
インクジェット法は配置する液滴の量を高い精度で制御することが可能であり、所望の量
の発光層材料19を各材料配置部20に配置することが可能である。なお、所定量の発光
層材料19とは、所望の膜厚の発光層18を形成するための量を意味しており、例えば予
め実験等によって定めて置くことが可能なものである。
発光層材料19としては、赤色(R)に発光する赤色発光層材料19R、緑色(G)に
発光する緑色発光層材料19G、青色(B)に発光する青色発光層材料19Bの3種類の
発光層材料19を用いた。このとき、材料配置部20は、赤色発光層材料19Rを赤色材
料配置部(第1の材料配置部)20Rに、緑色発光層材料19Gを緑色材料配置部(第2
の材料配置部)20Gに、青色発光層材料19Bを青色材料配置部(第3の材料配置部)
20Bに配置している。
なお、インクジェット法を用いることで、蒸着ボート10上に設けられた前記の各材料
配置部20(20R,20G,20B)毎に異なる色の発光層18となる発光層材料19
(19R,19G,19B)を配置することができる。よって、蒸着ボート10上に、配
置する発光層材料19を有機EL装置1の画素領域33のR,G,B配列に対応するよう
に配置されたものとすることができる。
(5−4)蒸着工程
次に、前述した蒸着ボート10によって、前記正孔注入/輸送層16上に発光層18を
形成する工程について説明する。ここでは、まず、前記蒸着ボート10の材料配置部20
と、前記素子基板30の画素領域33とを対向するように、前記蒸着ボート10と前記素
子基板30とを重ね合わせる。図3(a)は、素子基板30と蒸着ボート10とを対向さ
せるようにして重ねた際の側断面図である。
図3(a)に示したように、各材料配置部20(20R,20G,20B)は、その発
光層材料19の色が各画素領域33におけるR,G,Bに対応するようになっている。す
なわち、赤色材料配置部20Rは、赤色を発光する画素領域33Rと対応し、緑色材料配
置部20Gは、緑色を発光する画素領域33Bに対応し、青色材料配置部20Bは、青色
を発光する画素領域33Bに対応するように、蒸着ボート10と素子基板30とが重なり
合っている。このとき、画素領域33と材料配置部20とが対応するとは、平面的に材料
配置部20の中心と画素領域33の中心とが略一致することを意味している。
ここで、材料配置部20と画素領域33との、平面形状の関係について説明する。図3
(b)は、材料配置部20と画素領域33との平面形状の関係を模式的に示す図である。
なお、図3(b)においては、画素領域33の形状を実線で、対応する材料配置部20の
形状を破線或いは一点破線で表している。図3(b)に一点破線で示すように、材料配置
部20の形状は、対応する画素領域33と略相似形状であり、対応する画素領域33の寸
法に対して、±20%の範囲pm20となることが好ましい。更には、±10%の範囲p
m10となることがより好ましい。
材料配置部20の面積を画素領域33の寸法より大きくした場合、材料配置部20に設
けられた発光層材料19は蒸発する際に画素領域33より広い範囲に付着するので、画素
領域33全体に均一な膜厚の発光層18を形成することができる。しかしながら、材料配
置部20の寸法を画素領域33の寸法に対して120%より大きくしても、より膜厚が均
一となることはなく、材料配置部20に配置する発光層材料19の必要量が多くなる。す
ると、発光層18を形成する際に、蒸着材料の使用効率が低下してしまう。
また、材料配置部20の面積を画素領域33の寸法に対して小さくした場合、材料配置
部20に配置する発光層材料19の必要量を少なくできるので、蒸着材料の使用効率を向
上できる。しかしながら、材料配置部20の寸法を画素領域33の寸法に対しての80%
より小さくすると、画素領域33に形成される発光層18の膜厚の均一性が低下してしま
う。なお、材料配置部20の寸法が画素領域33の寸法に対しての90%以上で110%
より小さい場合には、高い蒸着材料の使用効率と発光層18の膜厚の高い均一性を両立さ
せることができる。
本実施形態では、材料配置部20と画素領域33の平面形状とが略同じ場合(寸法の比
率が100%)について説明する。よって、高い蒸着材料の使用効率と均一な膜厚の発光
層18を得られるものとなっている。以上、材料配置部20の形状を、画素領域33と相
似形状とする場合について説明したが、目的に応じ適宜異なる形状の材料配置部20を用
いることも可能である。
前述したように、蒸着ボート10のボート隔壁BH上には、突起部11が形成されてい
る。よって、図3(a)に示すように、蒸着ボート10と素子基板30とは、突起部11
がスペーサとして機能し間隙が生じるため、素子基板30と蒸着ボード10とが密着する
ことを防止することができる。そして、画素領域33と材料配置部20との間の領域を突
起部11によって生じた間隙から排気することができ、真空状態で発光層18を蒸着する
ことが可能となる。また、後の加熱工程において、突起部11によって蒸着ボート10の
熱が直接素子基板30に伝わるのを防止することができる。
本実施形態では、蒸着ボート10と素子基板30とを重ね合わせた後、材料配置部20
と画素領域33との間の領域を排気し、前記の真空下で蒸着ボード10を加熱する。この
ような加熱により、蒸着ボート10の材料配置部20に設けられた発光層材料19が蒸発
する。このとき蒸発した発光材料19は、ある程度広がりながら画素領域33に蒸着され
るため、画素領域33内での膜厚を均一化する効果が得られる。
特に、材料配置部20の底面には凸部51を設けているため、当該材料配置部20の中
心部付近に配置される発光層材料19の量は周辺部に比して相対的に少ないものとなって
いるため、画素領域33の中心部付近で膜厚が大きくなるような問題も生じ難いものとな
っている。つまり、凸部51を形成せず、材料配置部20に対して均一な膜厚で有機材料
を配置して、これを蒸着させると、画素領域33に形成される蒸着膜は中心部において厚
膜となる傾向にあるが、本実施形態では、材料配置部20の底面に対し、その中心部に凸
部51を形成することで、これを解消している。
また、蒸着によって得られる膜の膜質は蒸着材料19の結晶状態に依存することは無い
。よって、所定量の発光層材料19が配置されていれば、均一な膜厚の発光層18を形成
することができる。
材料配置部20と画素領域33とは、夫々対応する位置に配置され、平面形状も略同様
であり、更に近接した状態となっているため、材料配置部20から蒸発した発光層材料1
9のほとんどは、この材料配置部20に対応する対向した画素領域33にのみ選択的に付
着し、転写される。このため、図4に示すように各画素領域33(33R,33G,33
B)に各色の発光層18(18R,18G,18B)を夫々形成することができる。この
とき、前記の各材料配置部20には、所望の膜厚の発光層18となる量の発光層材料19
が設けられているので、全ての発光層材料19を蒸発させることで、均一な膜厚の発光層
18を形成することができる。
また、材料配置部20内の発光層材料19を全て蒸発することで、蒸着ボート10の材
料配置部20には蒸着材料が残らず発光層材料19を無駄にすることがない。更に、蒸着
ボート10は素子基板10に近接していて、材料配置部20から対応する画素領域33に
のみ選択的に発光層18を蒸着できるため、マスクが不要となる。よって、マスクに発光
層材料19が付着することがなく、発光層材料19の使用効率が高くなる。また、マスク
の耐久性等の問題も発生しない。
画素領域33に発光層18を形成した後、蒸着ボート10の材料配置部20を洗浄する
ことで、この蒸着ボート10を他の有機材料を蒸着する際に再利用でき、有機EL装置1
の製造コストの軽減を図ることができる。本実施形態では、3色(R,G,B)に対応し
た材料配置部20R,20G,20Bを設けているので、一度の蒸着工程で3色(R,G
,B)の発光層材料19R,19G,19Bを対応する画素領域33R,33G,33B
に蒸着することができ、有機EL装置1の製造工程をより簡略化することができる。
なお、本実施形態のような蒸着ボート10を用いた蒸着法によると、成膜する画素の表
面が平面で無い場合でも、材料の配置を調整することで、均一な膜厚で成膜することが可
能となる。特に、画素全体を凹面(或いは凸面)としようとした場合、通常のシャドーマ
スクを用いた蒸着法では、画素の中央付近の膜厚が厚くなり周辺部分が薄くなってしまう
が、本実施形態では全体を均一な膜厚に形成することが可能である。
(6)電子注入/輸送層形成工程
各発光層18を形成した後、蒸着ボート10を素子基板30から分離する。その後、図
1に示したように、発光層18上に電子注入/輸送層17を形成する。
この電子注入/輸送層17を形成する材料としては、LiF等のアルカリ金属のフッ化
物あるいは酸化物、マグネシウム銀、マグネシウムリチウム等の合金等を用いることがで
きる。なお、本実施形態では電子注入/輸送層材料を成膜して電子注入/輸送層17を真
空蒸着等によって形成する。また、例えばスパッタ法等を用いることで、前記素子基板3
0の全面に電子注入/輸送層17を形成するようにしてもよい。
また、電子注入/輸送層17を形成する際に上記蒸着ボート10を用いることもできる
。本実施形態では蒸着ボート10がシリコン基板から形成されているので、ある程度高温
での蒸着を必要とする材料の蒸着を行うことができる。よって、使用する電子注入/輸送
材料に依っては蒸着ボート10の材料配置部20に電子注入/輸送層材料を配置し、画素
領域33に蒸着させ電子注入/輸送層17を形成するようにしてもよい。
(7)陰極形成工程
そして、電子注入/輸送層17及び有機物バンク層32bの全面に、陰極21を形成す
る。この陰極形成工程では、トップエミッション構造を実現するために、例えばイオンプ
レーティング法等の物理気相成長法により透明なITOを成膜して、陰極21とする。こ
のとき、この陰極21については、発光層18と有機物バンク層32bの上面を覆うのは
もちろん、有機物バンク層32bの外側部を形成する壁面についてもこれを覆った状態と
なるように形成する。また、陰極21上に、酸素や水分の影響による有機EL素子の劣化
を防止のため酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素等の保護層を設けても良い。
このように陰極21が形成された後に、封止工程によって封止基板(図示せず)を設け
る。この封止工程では、素子基板30と対向する側該封止基板と素子基板30とを封止樹
脂にて貼り合せることにより、図1に示した有機EL装置1が完成となる。
以上のような有機EL装置1の製造方法によれば、蒸着ボート10を加熱することで、
画素領域33に対応した形状の材料配置部20に設けられた発光層材料19が蒸発する。
このとき、材料配置部20から蒸発した発光層材料19の殆どは、この材料配置部20に
対向した画素領域33にのみ選択的に付着して、均一な膜厚の発光層18となる。特に、
本実施形態では、蒸着ボート10の材料配置部20に凸部51を配設したため、材料配置
部20の中心部に配置する発光層材料19の量を、周辺部に比して少なくなり、その結果
、形成する発光層18の膜厚を均一化することが可能とされている。
なお、本実施形態では蒸着ボート10をシリコン基板にて構成したが、例えば図10に
示すような石英ガラス等の透光性基板10bを用いることもできる。この場合、材料配置
部20の底面20a及び側面(つまり隔壁BHの壁面)に、配置する有機材料を加熱する
ための光吸収層(発熱部)50を、該材料配置部20の表面に露出した状態で設けること
ができる。つまり、隔壁BHに囲まれてできる凹部の底面から隔壁BHの壁面に至って光
吸収層50を形成し、当該光吸収層50の内側を材料配置部20として構成することがで
きる。なお、光吸収層50は、光照射により発熱する光熱変換材料により形成されてなり
、具体的にはタングステン、モリブデン等の高融点材料によって構成されている。
図10に示した蒸着ボートを用いて蒸着を行う場合、透光性基板10bを介してランプ
或いはレーザ等の光を光吸収層50に照射する。この光照射により光吸収層50で発熱が
生じ、その材料配置部20に配置された有機材料(発光層材料)が温められて蒸発するも
のとなる。このように、光吸収層50を材料配置部20の底面及び側面に設けた場合、蒸
着ボート10の材料配置部20に配置した有機材料(発光層材料)の全てを効率良く且つ
確実に蒸発させることが可能となる。したがって、配置する有機材料(発光層材料)の量
と、形成する発光層18の膜厚とを一対一に対応させることができ、ひいては所望の厚さ
の発光層18を確実に設計することができることとなる。
また、図10に示した蒸着ボートでは、材料配置部20に形成する凸部51cを、隔壁
BHと同じ高さで形成した。したがって、当該蒸着ボートは、その作製工程が容易なもの
となる。
なお、以上の実施形態では、トップエミッションタイプの有機EL装置1を例として説
明したが、本発明はこれに限定されることなく、素子基板30を光透過性のある材料から
形成したり、例えば光が出射される側の画素電極31、及び陰極21を光透過性のある透
明材料に適宜変更することで、ボトムエミッションタイプのものや、また、素子基板の両
側に光を出射するタイプのものにも適用可能である。
また、正孔注入/輸送層16をインクジェット法により形成したが、蒸着ボート10を
用いることで発光層18と同様に蒸着により形成するようにしてもよい。このとき、蒸着
ボート10に、例えばTPD、NPD、オキサジアゾール誘導体等の低分子材料を溶媒に
分散し、インクジェットヘッドにより材料配置部20に吐出する。そして、発光層18と
同様にして、均一な膜厚の正孔注入/輸送層16を形成することができる。この場合、画
素領域33の間に隔壁32を設ける必要は無く、画素電極31を形成した次の工程で、発
光層18(18R,18G,18B)を形成するようににしても良い。
なお、本実施形態では、素子基板30側に配設された画素電極31は平坦に構成されて
いるが、例えば図8に示すような凹状の画素電極31aを有する素子基板30に蒸着を行
う場合にも、形成される蒸着膜は均一な膜厚となる。このような凹状の画素電極31aは
、基板30上に隔壁32を形成した後、該隔壁32の間に形成された凹部に対して画素電
極31aを構成する導電材料を形成することで得ることができる。
本発明に係る製造方法により得られた有機EL装置を示す側断面図である。 有機EL装置の製造工程を示す工程説明図である。 図2に続く製造工程を示す図(a)及び材料配置部の説明図(b)である。 図3に続く製造工程を示す図である。 蒸着ボートの平面図(a)及びその要部側断面図(b)である。 材料配置部に発光層材料を配置した状態を示す平面図である。 凸部の構成について幾つかの変形例を示す断面模式図である。 有機EL装置の一変形例を示す側断面図である。 材料配置部と凸部の平面位置関係を示す平面模式図である。 蒸着ボートの一変形例を示す側断面図である。
符号の説明
1…有機EL装置、10…蒸着ボート、16…正孔注入/輸送層(有機機能層)、17…
電子注入/輸送層、18…発光層(有機機能層)、19…発光層材料(有機材料)、20
…材料配置部、30…素子基板、32…隔壁、33…画素領域、50…光吸収層、51…
凸部、BH…ボート隔壁

Claims (7)

  1. 複数の画素領域を有する素子基板の前記画素領域に有機機能層を形成する工程で、
    前記複数の画素領域に対応して隔壁により区画され、その一部に凸部が配置された材料
    配置部を有する蒸着ボートを用い、
    前記蒸着ボートの前記材料配置部に有機機能層となる材料を配置し、
    前記蒸着ボートの前記材料配置部に前記素子基板の前記画素領域が対向するように、前
    記蒸着ボートと前記素子基板とを重ね合わせ、
    前記有機材料を前記素子基板の前記画素領域に蒸着することにより、前記有機機能層を
    形成することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  2. 前記凸部により、前記有機材料が環状に配置されることを特徴とする請求項1に記載の
    有機EL装置の製造方法。
  3. 前記蒸着ボートは、少なくとも第1の材料配置部と第2の材料配置部とを備え、前記第
    1の材料配置部に前記第2の材料配置部と異なる有機材料を配置することを特徴とする請
    求項1又は2に記載の有機EL装置の製造方法。
  4. 前記材料配置部をヒータにより加熱することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
    1項に記載の有機EL装置の製造方法。
  5. 前記材料配置部をランプ或いはレーザにより加熱することを特徴とする請求項1ないし
    3のいずれか1項に記載の有機EL装置の製造方法。
  6. 前記蒸着ボートが光透過性を有することを特徴とする請求項5に記載の有機EL装置の
    製造方法。
  7. 隔壁により区画され、その一部に凸部が配置された材料配置部を有することを特徴とす
    る蒸着ボート。
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