次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態における送受信装置100の構成の一例を示す図である。送受信装置100は、アンテナ101および102と、サーキュレータ121および122と、アンテナ切換えスイッチ131および135と、送信部141と、受信部142と、ダイバーシティ制御部151と、通信制御部161と、端末装置171とを備える。
アンテナ101および102は、空間に電波を放射したり、空間を伝わって来た電波をとらえる役割を果たす。サーキュレータ121および122は、三つのポートをもち,それぞれ隣り合う一つのポートにだけカップリングするデバイスである。これは、強磁界の作用により,電磁エネルギの伝播経路が回転することを利用している。本発明の実施の形態においては、サーキュレータ121および122はそれぞれアンテナ101および102からの通信信号をアンテナ切換えスイッチ135へ送る。また、サーキュレータ121および122は、それぞれアンテナ切換えスイッチ131からの信号をアンテナ101または102へ送る。
アンテナ切換えスイッチ131は、端子132に切り替えることによって送信部141からの通信信号をサーキュレータ121へ送る。また、端子133に切り替えることによって送信部141からの通信信号をサーキュレータ122へ送る。アンテナ切換えスイッチ135は、端子136に切り替えることによってサーキュレータ121から送られてきた信号を受信部142に送る。また、端子137に切り替えることによってサーキュレータ122から送られてきた信号を受信部142に送る。
送信部141は、ダイバーシティ制御部151から送られてきた通信信号を変調してアンテナ切換えスイッチ131へ送る。また、送信部141は、後述するように送信開始通知および送信完了通知をダイバーシティ制御部入力線1011からダイバーシティ制御部151を介して通信制御部161へ送る。受信部142は、アンテナ切換えスイッチ135から送られてきた通信信号を復調してダイバーシティ制御部入力線1004および1014を介してダイバーシティ制御部151へ送る。また、信号の一部を復調せずにダイバーシティ制御部入力線1004からダイバーシティ制御部151に送る構成とすることも可能である。また、受信部142は、後述するように受信開始通知および受信完了通知をダイバーシティ制御部入力線1012からダイバーシティ制御部151を介して通信制御部161へ送る。
通信制御部161は、主として論理層の下位層の処理を行うものであり、論理層の下位層として例えばデータリンク層におけるMAC(メディアアクセス制御)副層のフレームを処理する。また、通信制御部161は、後述するように送信開始要求および送信完了要求をダイバーシティ制御部入力線1007からダイバーシティ制御部151を介して送信部141へ送る。端末装置171は、主として論理層の上位層の処理を行うものであり、論理層の上位層として例えばアプリケーション層におけるデータ処理を行う。ダイバーシティ制御部151については以下に説明する。
図2は、本発明の実施の形態における受信部142およびダイバーシティ制御部151の機能構成の一例を示す図である。受信部142は、復調前処理部211と、復調部212と、受信処理終了部213とを備える。
復調前処理部211は、主としてその内部に周波数変換器、信号増幅回路および信号強度表示回路(RSSI:Received Signal Strength Indicator)などを備え、通信信号に対して復調の前段階における所定の処理を行う。また、復調前処理部211で処理された通信信号は、復調部212および電力測定部207に送られる。復調部212は主としてその内部に離散フーリエ変換器などを備え、通信信号の復調処理を行う。復調部212で復調された通信信号は、ダイバーシティ制御部入力線1014を通じて測定タイミング生成部205および電力測定信号破棄部206へ送られる。受信処理終了部213は、電力測定部207から電力測定終了の通知を受けた後かつデータ信号の終端まで復調処理を行った後復調部212へ受信処理の打ち切りを指示する。この受信処理の打ち切りのタイミングは受信処理終了部213自身が生成する。また、受信処理終了部213は、後述するように受信完了通知発行部209へ通信信号の受信が完了した旨の通知(以下、受信完了通知と呼ぶ。)を発行させるタイミングを生成し通知する。
ダイバーシティ制御部151は、送信終端タイミング生成部201と、電力測定信号付加部202と、送信アンテナ切換え指示部203と、受信アンテナ切換え指示部204と、測定タイミング生成部205と、電力測定信号破棄部206と、電力測定部207と、送受信アンテナ決定部208と、受信完了通知発行部209とを備える。
送信終端タイミング生成部201は、通信制御部161からダイバーシティ制御部入力線1007を通じて送られてきたデータ信号の終端が電力測定信号付加部202に供給されるタイミング(以下、送信終端タイミングと呼ぶ。)を生成し電力測定信号付加部202に通知する。送信終端タイミングの生成は、例えばデータ信号に付加されているデータ信号の長さおよび通信速度に関する情報を含むヘッダーなどの制御情報に基づいて行われる。これらの情報から送信終端タイミングは算出可能である。ここで「データ信号」とは、送信者が受信者に伝えたい内容そのものについての信号を言うものとし、ヘッダー、プリアンブルなどの制御信号は含まないものとする。また、「データ信号の終端」とはデータ信号の最後尾の部分を言うものとする。また送信終端タイミング生成部201は、送信終端タイミングを送信アンテナ切換え指示部203に対しても通知する。
電力測定信号付加部202は、送信終端タイミング生成部201から送信終端タイミングについての通知を受けると、そのデータ信号の終端の後に所定の長さの信号を付加し、ダイバーシティ制御部出力線1001から通信信号を送信部141へ送る。この付加される信号は、受信側において電力を測定するための信号である。(以下、この所定の長さの信号を「電力測定信号」と呼ぶ。)なお、所定の長さは、その信号の変調方式、選択するアンテナの組み合わせ数、各組み合わせを測定するために必要な時間、受信側で測定を開始できるようになるまでの時間等を総合して定められる。これらは上記のことを考慮してあらかじめ設定してもよいし、また、その時々の状況を考慮して自動的に設定されるようにしてもよい。また、電力測定信号付加部202は、通信制御部161から送られてきた通信信号に対して常に電力測定信号を付加するのではなく、場合によっては電力測定信号を付けない構成とすることも可能である。
また、後述するように受信側での電力の測定は、電力測定信号のみを用いる場合と電力測定信号およびデータ信号の終端から所定の長さのデータ信号(以下、終端データ信号という。)を用いる場合の2つがある。終端データ信号を用いる分、前者の場合より後者の方が電力測定信号を短くできる。以上のようなことも考慮に入れて電力測定信号の所定の長さは設定される。
送信アンテナ切換え指示部203は、送信終端タイミング生成部201から送信終端タイミングの通知を受けると、送信アンテナ切換え線1009からアンテナ切換えスイッチ131に所定のタイミングでアンテナ101および102のいずれのアンテナを選択すべきかの指示を送る。この指示にしたがって、アンテナ切換えスイッチ131は端子132および133のいずれかを選択し切り替えられる。
測定タイミング生成部205は、ダイバーシティ制御部入力線1014を通じて復調部212から送られてきたデータ信号のヘッダーに含まれるデータ信号の長さや通信速度などの制御情報に基づいて電力測定を開始するタイミングおよびアンテナ切り換え開始のタイミングを生成し、そのタイミングを受信アンテナ切換え指示部204、電力測定部207に通知する。
ここで電力測定を開始するタイミングは、例えば測定タイミング生成部205にデータ信号の終端が供給されるタイミングや電力測定信号が電力測定部207に供給されるタイミングなどいろいろ想定される。また、終端データ信号が電力の測定において用いられる場合は、終端データ信号の分も考慮してアンテナ切り換え開始のタイミングおよび電力測定を開始するタイミングは生成されることになる。また、アンテナ切り換え開始のタイミングは、例えば電力測定を開始するタイミングが想定される。後述するように電力測定に用いられる信号については複数のアンテナで受信される必要があるからである。
電力測定信号破棄部206は、データ信号の終端が自身に供給されると、データ信号の終端に付加された電力測定信号を破棄し、ダイバーシティ制御部出力線1006を通じて電力測定信号を除く通信信号を通信制御部161に送る。
受信アンテナ切換え指示部204は、測定タイミング生成部205からアンテナ切り換え開始のタイミングの通知を受けると、受信アンテナ切換え線1010を通じてアンテナ切換えスイッチ135に所定のタイミングで端子136および137のいずれを選択すべきかの指示を送る。この指示にしたがって、アンテナ切換えスイッチ135は端子136および137のいずれかを選択し切り替えられ、電力測定信号はアンテナ101およびアンテナ102において受信される。
電力測定部207は、測定タイミング生成部205から電力測定を開始するタイミングの通知を受けるとダイバーシティ制御部入力線1004を通じて復調前処理部211から送られてきた通信信号中に含まれる電力測定信号を用いて電力測定を開始する。また、電力測定部207は、電力測定の結果を送受信アンテナ決定部208に送る。また、電力測定部207は、電力測定が終了すると受信処理終了部213へ電力測定が終了した旨を通知する。
送受信アンテナ決定部208は、電力測定部207から送られてきた電力の測定結果に基づいて次に送られてくる通信信号をどのアンテナで受信させるかを決定(以下、受信アンテナ決定と呼ぶ。)し、その決定結果を受信アンテナ切換え指示部204に送る。アンテナ決定において、例えば、電力測定部207から送られてきた電力の測定結果のうち一番大きな電力値に相当するアンテナが選ばれる。受信アンテナ切換え指示部204はその決定結果に基づいて受信アンテナ切り換え線1010を通じてアンテナ切換えスイッチ135に指示を送り、アンテナ切換えスイッチ135は指示通りにスイッチを切換える。
また、送受信アンテナ決定部208は、電力測定部207から送られてきた電力の測定結果に基づいて通信信号を送信してきた送信装置が2以上のアンテナを備えていた場合、次にどのアンテナで送信させるかの決定(以下、送信アンテナ決定と呼ぶ。)をし、その決定結果をダイバーシティ制御部入出力線1008から通信制御部161へ送る。そして、送信アンテナ決定を通信制御部161から以下に示す方法でダイバーシティ制御部入力線1007およびダイバーシティ制御部出力線1013を通じて送信側に送る。送信アンテナ決定についての情報を送信側に送る方法は、例えば通信制御部161を含む上位層で専用のコマンドを定義してその専用コマンドに送信アンテナ決定についての情報を載せて送信側へ送ることができる。また、今回受信した信号に対するACK(Acknowledgement)信号に送信アンテナ決定についての情報を付加し送る方法もある。また、例えばACK信号の未使用部に送信アンテナ決定についての情報を入れて送る方法もある。
次の通信信号の送受信についてどのアンテナがよいかの決定は、送受信アンテナ決定部208で行う以外にも、送受信アンテナ決定部208から測定結果を通信制御部161に送り、通信制御部161や端末装置171の中で行うようにしてもよい。
受信完了通知発行部209は、受信処理終了部213から受信完了通知の発行のタイミングについての通知を受けて受信完了通知を発行する。
なお、ダイバーシティ制御部入力線1011は、後述するように送信完了通知など送信に際して行われる内部のやりとりにおいて用いられる信号線である。また、ダイバーシティ制御部出力線1013は、上記に述べた以外には後述するように送信開始要求および送信完了要求など送信に際して行われる内部のやりとりにおいて用いられる信号線である。
図3は、本発明の実施の形態における送受信装置100を用いて通信信号の送受信を行い、受信側のアンテナのみを切り替えて通信信号の送受信を行った場合の通信信号の流れを示す図である。なお、以下の説明において送信側の送受信装置を送受信装置100a、受信側の送受信装置を送受信装置100bとし、それぞれの送受信装置の内部構成についても符号の後にaまたはbを付加して区別するものとする。
図3(a)は、送信側の通信信号の流れの概要を示す図である。送信側において、通信制御部161aからダイバーシティ制御部入力線1007aを介してダイバーシティ制御部151aに通信信号が入力される。次に送信終端タイミング生成部201aで通信信号のヘッダーなどに含まれるデータ信号の長さや通信速度などの制御情報から送信終端タイミングが生成され、送信終端タイミングが電力測定信号付加部202aに通知される。電力測定信号付加部202aは、送信終端タイミングの通知を受けるとデータ信号の終端の後に電力測定信号を付加し、ダイバーシティ制御部出力線1001aから出力する。
データ信号および電力測定信号は、送信部141aで変調などの処理をされ最終的にアンテナ101aまたは102aから受信側に送られる。図3では送信側は、送信アンテナ切換え線1009aからはアンテナ切換えの指示が出されていないので一つのアンテナからデータ信号および電力測定信号を含む通信信号が受信側に送信される。
図3(b)は、受信側での通信信号の流れの概要を示す図である。送信側からの電力測定信号を受信する際、通信信号のヘッダーなどに含まれるデータ信号の長さや通信速度などの制御情報から測定タイミング生成部205bは、アンテナ切り換え開始のタイミングを生成する。そして、測定タイミング生成部205bは、アンテナ切り換え開始のタイミングを受信アンテナ切換え指示部204bに通知を送る。アンテナ切り換え開始のタイミングの通知を受けた受信アンテナ切換え指示部204bは、所定のタイミングで受信アンテナ切換え線1010bを通じてアンテナ切換えスイッチ135bにアンテナ切換えの指示を送る。具体的には電力測定信号の所定の長さをアンテナ101bで受信させ、残りをアンテナ102bで受信させる。したがって、電力測定信号については、アンテナ101bおよびアンテナ102bの双方で受信されたものがダイバーシティ制御部151bに送られる。
ダイバーシティ制御部入力線1004bを通じて送られてきた電力測定信号は、測定タイミング生成部205bで生成されたタイミングにしたがってダイバーシティ制御部151bの電力測定部207bで電力測定される。電力測定においては、アンテナ101bから受信した電力測定信号11とアンテナ102bから受信した電力測定信号12を用いて電力測定が行われる。電力測定において電力測定信号11と電力測定信号12の電力値が高い方に対応するアンテナが次のデータ信号を受信すべきアンテナとして用いられる。
図4は、本発明の実施の形態における送受信装置100を用いて通信信号の送受信を行い、送信側のアンテナおよび受信側のアンテナの双方を切り替えて通信信号の送受信を行った場合の信号の流れを示す図である。
図4(a)は、送信側の通信信号の流れの概要を示す図である。通信制御部161aから通信信号を送り、ダイバーシティ制御部151aで電力測定信号を付加され送信部141aに送られるのは図3(a)で説明したのと同様である。図4(a)では、電力測定信号の送信の際、図4(a)に示す送信アンテナ切換え線1009aにおける信号に示すようにアンテナを所定のタイミングで切換える。このようにすると送信側からは、電力測定信号をアンテナ101aおよび102aから送信することになる。
図4(b)は、受信側での通信信号の流れの概要を示す図である。図3(b)の場合と同様に送信側からの電力測定信号を受信する際、図4(b)に示す受信アンテナ切換え線1010bのようにアンテナを所定のタイミングで切換える。具体的には所定の長さの電力測定信号をアンテナ101bに受信させた後アンテナを切換え、また所定の長さの電力測定信号をアンテナ102bに受信させ、その後さらにアンテナを切換え、所定の長さの電力測定信号をアンテナ101bに受信させる。
この場合、送信側のアンテナ101aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ101bおよび102bで受信することになる。また、送信側のアンテナ102aから送信された電力測定信号も受信側のアンテナ101bおよび102bで受信することになる。以上のようにして受信された電力測定信号は、ダイバーシティ制御部入力線1004bを通じてダイバーシティ制御部151bの電力測定部207bへ供給され測定タイミング生成部205bで生成されたタイミングにしたがって電力測定が行われる。
電力測定においては、送信側のアンテナ101aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ101bで受信した電力測定信号21と、送信側のアンテナ101aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ102bで受信した電力測定信号22と、送信側のアンテナ102aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ102bで受信した電力測定信号23と、送信側のアンテナ102aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ101bで受信した電力測定信号24を用いて電力測定が行われる。電力測定において電力測定信号21乃至電力測定信号24のうち一番高い電力値を示した電力測定信号に対応するアンテナが、次の送受信において用いられるアンテナとなる。
なお、送信側および受信側におけるアンテナの切換えの所定のタイミングは、アンテナの数や電力測定信号の長さによって決定される。例えば、電力測定信号の長さをアンテナの数で割った分の長さの電力測定信号を1つのアンテナから送れるようなタイミングとすることが考えられる。この所定のタイミングはあらかじめ設定するようにしてもよいし、その時々の状況によって自動的に変わるようにしてもよい。
図5は、本発明の実施の形態における送受信装置100を用いて通信信号の送受信を行い、受信側のアンテナのみを切り替えて通信信号の送受信を行った場合の信号の流れを示す図である。電力測定においては、アンテナ101bから受信した電力測定信号31とアンテナ102bから受信した電力測定信号32を用いた電力測定が行われる。図3の場合との相違点は、終端データ信号も電力測定に用いている点である。終端データ信号を用いることにより、電力測定信号を短くすることができるので通信における効率を上げることができる。その他の点は図3の説明と同様であるので省略する。
図6は、本発明の実施の形態における送受信装置100を用いて通信信号の送受信を行い、送信側のアンテナおよび受信側のアンテナの双方を切り替えて通信信号の送受信を行った場合の信号の流れを示す図である。電力測定においては、送信側のアンテナ101aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ101bで受信した電力測定信号41と、送信側のアンテナ101aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ102bで受信した電力測定信号42と、送信側のアンテナ102aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ102bで受信した電力測定信号43と、送信側のアンテナ102aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ101bで受信した電力測定信号44を用いて電力測定が行われる。図4の場合との相違点は、終端データ信号も電力測定に用いている点である。終端データ信号を用いることにより、電力測定信号を短くすることができるので通信における効率を上げることができる。その他の点は図4の説明と同様であるので省略する。
図7は、本発明の実施の形態における送受信装置100から通信信号を送信する際に行われる送受信装置100内部でのやりとりの流れを示す図である。通信制御部161においてデータを送れる状態にある場合、通常、通信制御部161は通信信号を送る前にまず送信部141に通信信号の送信を開始したい旨の要求(以下、送信開始要求と呼ぶ。)を送信部141に行う。本発明の実施の形態においてはダイバーシティ制御部151があるので通信制御部161は、ダイバーシティ制御部入力線1007を通じて送信開始要求511をダイバーシティ制御部151に送る。ダイバーシティ制御部151では、この送信開始要求511を特に何の処理もせず、そのまま送信開始要求512としてダイバーシティ制御部出力線1013を通じて送信部141に送る。
送信開始要求512を受け取った送信部141は、自身が通信信号を送信できる状態になった旨の通知(以下、送信開始通知と呼ぶ。)である送信開始通知513をダイバーシティ制御部入力線1011からダイバーシティ制御部151へ送る。ダイバーシティ制御部151では、この送信開始通知514を特に何の処理も行わず、そのまま送信開始通知514としてダイバーシティ制御部出力線1006を通じて通信制御部161へ送る。
通信制御部161は、送信開始通知514を受け取った後にデータ信号をダイバーシティ制御部入力線1007からダイバーシティ制御部151へ送る。通信信号を全て送り終わると通信制御部161は、送信部141が通信信号を全て送り終わったかどうかの返事の要求(以下、送信完了要求と呼ぶ。)を送信部141へ行う。通信制御部161は送信完了要求515を、ダイバーシティ制御部入力線1007を通じてダイバーシティ制御部151に送る。ダイバーシティ制御部151でデータ信号の終端に電力測定信号が付加され、ダイバーシティ制御部151からダイバーシティ制御部出力線1001を通じて送信部141に電力測定信号を含む通信信号が送られる。電力測定信号を含む通信信号の全てが送信部141に送られると、ダイバーシティ制御部151から送信完了要求516がダイバーシティ制御部出力線1013を通じて送信部141に送られる。つまり、本発明の実施の形態においてダイバーシティ制御部151は、通信制御部161からの送信完了要求を一定時間遅延させて送信部141に送ることになる。
送信部141において変調などの処理が行われトレーニングシンボル信号、ヘッダー信号、データ信号、電力測定信号の順に並んだ通信信号がプリアンブル信号、シグナル信号、データ信号、電力測定信号の順に並んだ通信信号に変換される。ここでトレーニングシンボルおよびプリアンブル信号とは、無線パケット信号の受信同期処理に必要な固定波形信号で、主としてフレーム送信の開始を認識させ、同期をとるタイミングを与える役割を果たす。ヘッダー信号およびシグナル信号は、主としてデータ信号の伝送速度およびとデータ信号のデータ長を含む信号をいう。
送信部141において電力測定信号の全てが供給されると通信信号の送信が完了した旨の通知(以下、送信完了通知と呼ぶ。)が通信制御部161へ行われる。本発明の実施の形態においては上述のようにダイバーシティ制御部151があるので、送信完了通知517が送信部141からダイバーシティ制御部入力線1011を通じてダイバーシティ制御部151に送られる。ダイバーシティ制御部151では、この送信完了通知517を特に何の処理も行わず、そのまま送信完了通知518としてダイバーシティ制御部出力線1006を通じて通信制御部161へ送る。通信制御部161で送信完了通知518を受け取れば通信信号の送信が完了する。
通信信号の送信を行う際には以上説明したようなやりとりが行われ、通信信号の送信が確実に行われるようになっている。
図8は、本発明の実施の形態における送受信装置100で通信信号を受信する際に行われる送受信装置100内部でのやりとりの流れを示す図である。受信部入力線1003からプリアンブル信号、シグナル信号、データ信号、電力測定信号の順に並んだ通信信号を受信する。通信信号を受信すると受信部142において復調などの処理をされ、ヘッダー信号、データ信号、電力測定信号の順に並んだ通信信号が1014を通じてダイバーシティ制御部151に送られる。
受信部142からデータ信号がダイバーシティ制御部151に送られる際にデータ信号を受信し始めた旨の通知(以下、受信開始通知と呼ぶ。)を受信部142は通信制御部161へ行う。本発明の実施の形態においては上述のようにダイバーシティ制御部151があるので、受信開始通知531が受信部142からダイバーシティ制御部入力線1012を通じてダイバーシティ制御部151へ送られる。ダイバーシティ制御部151では、この受信開始通知531を特に何の処理も行わず、そのまま受信開始通知532としてダイバーシティ制御部出力線1006を通じて通信制御部161へ送る。
また、受信部142から全て電力測定信号がダイバーシティ制御部151に送られると受信部142は、受信完了通知を通信制御部161へ行う。本発明の実施の形態においてはダイバーシティ制御部151があるので、受信完了通知533が受信部142からダイバーシティ制御部入力線1012を通じてダイバーシティ制御部151へ送られる。
ダイバーシティ制御部151では、この受信完了通知533を特に何の処理も行わず、そのまま受信完了通知534としてダイバーシティ制御部出力線1006を通じて通信制御部161へ送る。通信制御部161で受信完了通知534を受け取れば通信信号の受信が完了する。従来はデータ信号の受信が完了した後に受信完了通知を出していたが、本発明の実施の形態においては、電力測定信号の受信も完了した後に受信完了通知を出す。
通信信号の受信を行う際には以上説明したようなやりとりが行われ、通信信号の受信が確実に行われるようになっている。
図9は、本発明の実施の形態における電力測定の開始のタイミングを示す図である。なお、図9においては、図4で説明したように送信側のアンテナと受信側のアンテナの切換えが行われたものとする。送信側の通信制御部161aから出力されたデータ信号は、ダイバーシティ制御部151aで電力測定信号を付加され送信部141aに送信される。送信部141aにおいて、データ信号および電力測定信号は変調など所定の処理をされ、プリアンブル信号、シグナル信号、データ信号、電力測定信号の順に並んだ通信信号が生成される。
上記のような構造を持つ通信信号が送信側から送信され、受信側で受信される。受信側では、この受信した通信信号に対して復調前処理部211bにおいて所定の処理を行う。この所定の処理をされた通信信号は、復調部212bおよび電力測定部207bに供給される。復調部212bへ供給された通信信号は、復調などの処理が行われ、ヘッダー信号、データ信号、電力測定信号の順に並んだ構造の通信信号になる。この通信信号がダイバーシティ制御部入力線1014bを通じて測定タイミング生成部205bおよび電力測定信号破棄部206bに供給される。
測定タイミング生成部205bは、図9に示したヘッダーに含まれる情報に基づいて電力測定開始のタイミングを生成しそのタイミングを受信アンテナ切り換え指示部204bおよび電力測定部207bに送る。図9において電力測定開始時間は、測定タイミング生成部205bにデータ信号の終端が供給されるタイミングである。ヘッダー中には、データ信号の長さや通信速度などのデータ信号に関する制御情報が含まれている。このデータ信号の長さや通信速度などから測定タイミング生成部205bにデータ信号の終端が供給されるタイミングは生成可能である。受信アンテナ切り換え指示部204bは、この通知を受け取るとアンテナの切り替え指示を開始し、2つのアンテナで受信された電力測定信号が電力測定部207bに供給される。電力測定部207bは、測定タイミング生成部205bで生成されたタイミングにしたがって電力測定を開始する。
なお、電力測定部207bに供給される通信信号は復調処理を行っていない分、測定タイミング生成部205bに供給される通信信号よりも早く供給される。すなわち、本発明の実施の形態においては電力測定部207bに入力される通信信号は復調処理を行っていないので処理における遅延がない。このため、受信部142bに入力される通信信号と電力測定部207bに入力される通信信号はほぼ同時に入力されると考えてよい。一方、測定タイミング生成部205bに入力される通信信号は復調部213bでの処理の分、遅延が発生する。このため、電力測定開始のタイミングを上記のように想定した場合、測定タイミング生成部205bにデータ信号の終端が供給されるタイミングにおいて電力測定部207bへ供給される通信信号は既に電力測定部207bを通過してしまっていることも想定される。したがって、このようなことを考慮に入れて送信側においてデータ信号に付加する電力測定信号の長さを決定する必要がある。これは、アンテナ数、信号の変調方式、電力測定の開始タイミングなどを考慮して決定される。
電力測定においては、送信側のアンテナ101aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ101bで受信した電力測定信号51と、送信側のアンテナ101aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ102bで受信した電力測定信号52と、送信側のアンテナ102aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ102bで受信した電力測定信号53と、送信側のアンテナ102aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ101bで受信した電力測定信号54を用いて電力測定が行われる。電力測定において電力測定信号51乃至電力測定信号54の電力値のうち一番高い電力値を示した電力測定信号に対応するアンテナが、次の送受信において用いられるアンテナとなる。
図10は、本発明の実施の形態における図9とは別の電力測定の開始のタイミングを示す図である。図10においても図4で説明したように送信側のアンテナと受信側のアンテナの切換えが行われたものとする。また送信側については図9と同様の動作になるので説明を省略する。
図9の場合は、測定タイミング生成部205bにデータ信号の終端が供給されるのとほぼ同時に電力測定が行われていたが、図10に示す本発明の実施の形態においては、電力測定の開始のタイミングは電力測定部207bに電力測定信号が入力されるのとほぼ同時である。図10においては、受信部入力線1003bに電力測定信号が入力されるのとほぼ同時に電力測定が開始されている。上記電力測定が行われるタイミングは、図10に示すヘッダーに含まれる情報に基づいて測定タイミング生成部205bで生成され、電力測定部207bに通知される。ヘッダー中には、データ信号の長さや通信速度などのデータ信号に関する制御情報が含まれている。このデータ信号の長さや通信速度などから電力測定部207bに電力測定信号が入力されるタイミングを算出でき、この算出結果に基づいて電力測定部207bに電力の測定を開始すべきタイミングが測定タイミング生成部205bから通知される。電力測定部207bは、この通知を受けると電力測定を開始する。
電力測定においては、送信側のアンテナ101aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ101bで受信した電力測定信号61と、送信側のアンテナ101aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ102bで受信した電力測定信号62と、送信側のアンテナ102aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ102bで受信した電力測定信号63と、送信側のアンテナ102aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ101bで受信した電力測定信号64を用いて電力測定が行われる。電力測定において電力測定信号61乃至電力測定信号64の電力値のうち一番高い電力値を示した電力測定信号に対応するアンテナが、次の送受信において用いられるアンテナとなる。
図11は、本発明の実施の形態において電力測定の開始のタイミングを示す図であり、電力の測定に終端データ信号も含めた場合を示す図である。動作は図10の場合と同じであるので説明は省略する。相違点は、電力を測定する開始のタイミングである。図10の場合は、電力測定信号のみを電力の測定に用いていたので電力の測定の開始のタイミングは電力測定部207bに電力測定信号が入力されたのとほぼ同時であったが、図11の場合は電力測定信号の他に終端データ信号をも電力の測定に用いているので、電力測定の開始のタイミングは終端データ信号の先頭部分が電力測定部207bに入力されるのとほぼ同時になっている。
この電力測定の開始のタイミングは、図10で説明したのと同様にヘッダーに含まれる情報に基づいて測定タイミング生成部205bで算出され、電力測定部207bに通知される。なお、図10と違って図11においては終端データ信号の分も考慮してヘッダー中のデータ信号の長さ、通信速度などから算出される。
電力測定においては、送信側のアンテナ101aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ101bで受信した電力測定信号71と、送信側のアンテナ101aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ102bで受信した電力測定信号72と、送信側のアンテナ102aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ102bで受信した電力測定信号73と、送信側のアンテナ102aから送信された電力測定信号を受信側のアンテナ101bで受信した電力測定信号74を用いて電力測定が行われる。電力測定において電力測定信号71乃至電力測定信号74の電力値のうち一番高い電力値を示した電力測定信号に対応するアンテナが、次の送受信において用いられるアンテナとなる。
図12は、電力測定開始のタイミングが図11で説明したタイミングの場合における本発明の実施の形態における受信側の送受信装置100での内部のやりとりを示す図である。受信開始通知は図8で説明したのと同様であるので説明を省略する。受信完了通知については図8とは相違する。図11の場合は電力測定が早く終了するので電力測定信号74の測定終了時点においてまだ受信部142からデータ信号の終端が出力されていないことも想定される。以下、電力測定の終了時点で受信部142からデータ信号の終端が出力されていない場合の処理について説明する。
受信処理終了部213は、電力測定部207から電力測定終了の通知を受けるとデータ信号の終端が受信部142からダイバーシティ制御部入力線1014を通じて出力されるタイミングを生成し、そのタイミングを受信完了通知発行部209へ通知する。この通知を受けて受信完了通知発行部209は受信完了通知543を発行する。データ信号の終端が受信部142から出力されるタイミング以降は、データ信号の終端に付加された電力測定信号は受信する必要がないので受信処理を打ち切るよう復調部212に指示を送る。これを受けて復調部212は受信処理を打ち切る。このことを示すため、図12のダイバーシティ制御部入力線1014において電力測定信号は図示されていない。
受信完了通知543はダイバーシティ制御部151において特に何の処理も行われず、ダイバーシティ制御部出力線1006を通じて受信完了通知544として通信制御部161bに送られる。これにより受信側における受信処理は終了する。
図8においては電力測定信号の受信処理を終えてから受信完了通知を出すが図12では電力測定信号の受信処理を打ち切って受信完了通知を行うので送信側が既にACK受信待ちになっている場合、早く送信側にACK送信を行うことができるので、電力測定信号を付加していない場合と同様の伝送速度で通信を行えることになる。
次に本発明の実施の形態における通信信号の送信および受信動作について図面を参照して説明する。
図13は、本発明の実施の形態における通信信号の送信の流れを示す図である。まず、通信信号の送信に用いるアンテナを選択する(S911)。送信に用いるアンテナの選択は、直前に送信した通信信号を用いて行われた電力測定の結果に基づいて受信側で決定された送信アンテナ決定にしたがって行われる。送信に用いられるアンテナが決定したら、データ信号の送信が開始される(S912)。
次にデータ信号の終端がどのタイミングで供給されるかの供給タイミングが生成される(S913)。このデータ信号の終端のタイミングについては、通信信号中に含まれるデータ信号に関する制御情報から判断される。具体的には、データ信号の長さ、通信速度などからデータの終端が判断される。供給タイミングが生成されるとその旨の通知がされる(S914)。この通知を受けてデータ信号の終端に所定の長さの電力測定信号が付加され送信される(S915)。この所定の長さは、電力の測定に電力測定信号のみを用いるか、または電力測定信号の他に終端データ信号も電力の測定に用いるかで変わってくる。所定の長さを決定する上での一般的な要因については上記で説明済みなので省略する。
上記供給タイミングについての通知が行われると所定のタイミングでアンテナが切り替えられる(S916)。このアンテナの切換えは送信側のアンテナの本数および電力測定信号の長さによって取り決められる。電力測定信号が全て送信されると(S917)、送信動作終了である(S918)。次のデータ信号送信においても以上のステップS911乃至ステップS918にしたがって行われる。
図14は、本発明の実施の形態における通信信号の受信の流れを示す図である。まず、2以上のアンテナから受信に用いるできアンテナを選択する(S921)。受信に用いるアンテナの選択は、直前に受信した通信信号を用いて行った電力測定の結果に基づいて決定された受信アンテナ決定にしたがって行われる。受信に用いるアンテナが決定したら通信信号の受信が開始される(S922)。通信信号の受信が開始されると電力測定を開始するタイミングが生成される(S923)。前述のように電力測定に用いられる信号は電力測定信号のみの場合もあるし、終端データ信号をも電力の測定に用いる場合もある。
電力測定を開始するタイミングに基づいてアンテナ切換え処理が開始される(S924)。アンテナの切換えは、所定のタイミングで行われる。所定のタイミングについては上述したようにアンテナの数や電力測定信号の長さによって決定される。次にステップS923において生成された電力測定を開始するタイミングに基づいて電力測定が行われる(S925)。この電力測定の開始のタイミングは、例えば図9、図10および図11で説明したようなタイミングがある。これらについては既に説明したので説明を省略する。
また、データ信号の終端が電力測定信号破棄部206に供給されるタイミングで電力測定信号破棄部206に供給された通信信号中の電力測定信号を破棄する(S926)。電力の測定が終了するとその測定結果に基づいて送信側において次の送信に用いるべきアンテナおよび受信側において次の受信において用いるべきアンテナが決定され、送信側と受信側においてその決定が次の送受信において反映される(S927)。
図15は、本発明の別の実施の形態における送受信装置700の構成の一例を示す図である。送受信装置700は、アンテナ701および702と、サーキュレータ721と、アンテナ切換えスイッチ731と、送信部741と、受信部742と、ダイバーシティ制御部751と、通信制御部761と、端末装置771とを備える。図1に示す本発明の実施の形態における送受信装置100と同一名称の部分については役割、機能はほぼ同じなので説明は省略する。
アンテナ701および702で捕らえた通信信号をアンテナ切換えスイッチ731に送る。また、アンテナ切換えスイッチ731から送られてきた通信信号を空間に放射する。アンテナ切換えスイッチ731は、端子732および733のどちらか一方を選択することによってサーキュレータ721から送られてきた通信信号をアンテナ701および702へ送る。またアンテナ切換えスイッチ731は、アンテナ701および702から送られてきた通信信号をサーキュレータ721に送る。サーキュレータ721は、アンテナ切換えスイッチ731から送られてきた通信信号を受信部742に送る。また、サーキュレータ721は、送信部741から送られてきた通信信号をアンテナ切換えスイッチ731に送る。
送信部741、受信部742および通信制御部761については図1で説明した本発明の実施の形態における送受信装置100における場合と同じなので説明を省略する。ダイバーシティ制御部751については、図2において送信アンテナの切換え指示と受信アンテナの切換え指示を一つのアンテナ切換え線7001において行っている点が図1と相違する。その他の信号線については符号を図示していないが図1と同様なので省略する。
本発明の別の実施の形態におけるダイバーシティ制御部751の構成によれば、本発明の実施の形態におけるダイバーシティ制御部151の構成のよりも簡易な構成で同じ効果を得ることが可能である。
以上、本発明の実施の形態をアンテナが2本の場合を例にして説明したがアンテナの数が2つ以上であっても以上のことは適用可能である。
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、以下に示すように特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
なお、本発明の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。