JP4552163B2 - 炭素質粒状断熱材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非酸化性雰囲気の高温炉に用いられ、特に汚染を嫌う、例えば半導体等の分野における熱処理炉等の断熱材として好適に用いられる、カーボンブラックを基材とする高純度、非汚染性の炭素質粒状断熱材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素材は、非酸化性雰囲気における高温安定性ならびに化学的安定性が優れており、高温炉の耐火材や断熱材として有用されている。炭素材のうち、カーボンブラックは10〜200nmの極めて微細な粒子が凝集したアグリゲート構造を呈しており、その凝集体内部には多数の微小空隙が存在するうえに粒子がアモルファスな炭素で構成されているため、本来的に優れた断熱機能を有している。しかしながら、カーボンブラックはフラッフィな微粉体状で嵩密度が極めて小さく、飛散により周囲を汚染し易く、また流動性が悪いためハンドリング上の難点がある。
【0003】
通常、この汚染性や流動性を改善する目的で、ゴム補強用のカーボンブラックであるファーネスカーボンブラックでは、カーボンブラック微粉体を造粒したペレットが使用に供されているが、ペレットの粒強度は断熱材として用いるには充分なものではなく、粒状断熱材として充填、排出を反復するハンドリング時に摩損や破粒が生じて、使用に耐えない難点がある。
【0004】
そこで、本出願人は上記の難点を解消し、カーボンブラックの断熱機能を損なうことなくハンドリング時における摩損や破粒を抑止した炭素質粒状断熱材及びその製造方法として、カーボンブラックペレットの表層部にガラス質炭素を形成被着した粒状炭素質断熱材、及び、熱硬化性樹脂を有機溶媒に溶解した溶液をカーボンブラックペレットに含浸し、加熱して有機溶媒を揮散除去したのち予備硬化し、必要に応じて更にその表面に前記溶液で処理して加熱硬化した後、焼成炭化するその製造方法(特開昭63−190767号公報)を開発した。
【0005】
引き続き、本出願人は上記技術に改良を加え、圧縮DBP吸油量80ml/100g 以上、窒素吸着比表面積35m2/g以上、真比重関係値 (Δd)0.150以下、の特性を有するカーボンブラックのペレットに、炭化性成分を有機溶媒に溶解したバインダー溶液を添加して再造粒した後加熱硬化し、次いで不活性雰囲気中で焼成炭化する炭素質粒状断熱材の製造方法(特開昭63−210081号公報)、予め造粒されたカーボンブラックペレットを転動させながら熱硬化性樹脂の溶液をアトマイズしてカーボンブラックペレットの表面を前記溶液で湿潤する第1工程、不活性気流中で転動させながら20℃/分以下の昇温速度で200℃を越えない温度域まで加熱し、この温度に30分以上保持して表層部の樹脂成分を硬化する第2工程、非酸化性気流中1000℃以上の温度で焼成して硬化樹脂層を炭化する第3工程、からなる炭素質粒状断熱材の製造方法(特開平1−14108 号公報)を開発、提案した。
【0006】
これらの方法により製造された炭素質粒状断熱材は、軽量で1000℃を越える高温域において優れた断熱性能を示し、また粒強度が高く、流動性にも優れており、充填式の粒状断熱材として極めて好適に使用することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高度の純度が要求され、非汚染性の材質性状が必要とされる、例えば半導体分野等で使用されるファインセラミックスの高温焼成や熱処理用の粒状断熱材としては純度性の面で充分なものではないという問題点がある。すなわち、前記したファーネスカーボンブラックは製造時に不可避的に混入される微量の不純物、例えば原燃料油や工業用水中の無機塩類あるいは製造設備から混入される腐食金属等の微量の不純物が含まれ、断熱材として使用時にこれらの不純物が揮散するために被熱処理物の純度が損なわれる欠点がある。
【0008】
そこで、本出願人は、更に改良を進めて、カーボンブラックペレットに熱硬化性樹脂の溶液を含浸し、加熱して含浸樹脂を硬化させたのち非酸化性雰囲気下で焼成炭化する工程において、前記カーボンブラックペレットの粒径を1mm以下に調製し、かつ焼成炭化の温度を2100℃以上に設定するカーボンブラック系粒状断熱材の製造方法(特開平3−126609号公報)を開発した。これはカーボンブラックペレットの粒径を1mm以下とし、かつ焼成炭化時の温度を2100℃以上とすることにより、焼成炭化時にカーボンブラックペレット中の不純物の一部を揮散除去し、不純物の低減化と高断熱性能との両立化を図るものである。
【0009】
しかしながら、焼成炭化時の温度が高くなるとカーボンブラックペレットの表層部に形成被着したガラス質炭素にクラックやピンホール等の欠陥が生じ易く、断熱材として使用時にカーボンブラックペレット中に残存する不純物がクラックやピンホール等を介して揮散して、系内を汚染する問題点がある。更に、粒強度の低下を招くことともなり、ハンドリング上の問題点もある。
【0010】
本発明者らは、これらの問題点を解消するために鋭意研究を行った結果、カーボンブラックペレットの表層部に、化学的気相反応により析出した熱分解炭素を沈着させてペレット表層部に強固かつ高純度の熱分解炭素の被膜を形成することにより、カーボンブラックの断熱性能を保持しながら粒強度の増大ならびにカーボンブラック中の不純物による汚染を著しく低減化できることを見出した。
【0011】
本発明は、上記の知見に基づいて開発されたものであり、その目的は非酸化性雰囲気の高温炉に用いられ、特に汚染を嫌う、例えば半導体等の分野における熱処理炉等の断熱材として好適に用いられる、カーボンブラックを基材とする高純度、非汚染性の炭素質粒状断熱材及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による炭素質粒状断熱材の製造方法は、カーボンブラックペレットを、予めハロゲンガス雰囲気中で1000〜2000℃の温度で熱処理したのち、4.7kPa以下の水素ガス雰囲気中1000〜2000℃の温度で熱処理し、次いで、前記熱処理したカーボンブラックペレットを容器内に充填して加熱炉にセットし、炭化水素ガス及びキャリアガスを送入し、炭化水素ガスの濃度を5〜15容量%、加熱温度を1000〜1200℃の範囲に設定して炭化水素ガスを気相反応により熱分解して、カーボンブラックペレットの表層部に熱分解炭素を析出沈着させることを構成上の特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
炭素質粒状断熱材の基材となるカーボンブラックは、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、副生ブラック等、各種のカーボンブラックが使用されるが、好ましくは結晶構造が未発達なファーネスカーボンブラックが用いられる。これらのカーボンブラックは、当該技術分野において常用される湿式法や乾式法による公知の造粒手段により球体状のペレットに造粒して、使用される。
【0015】
本発明の炭素質粒状断熱材は、カーボンブラックを造粒したペレットの表層部が、気相反応により析出し、表層部に沈着した熱分解炭素により被膜されてなるものである。すなわち、化学的気相蒸着法(CVD;Chemical Vapor Depositi-on)や化学的気相浸透法(CVI;Chemical Vapor Infiltration )により炭化水素ガスを気相熱分解反応させて析出した熱分解炭素がペレット表層部に沈着して被膜が形成されている。
【0016】
カーボンブラックペレットの表層部を被膜する熱分解炭素は、気相熱分解反応時に原子単位で炭素として析出されるので、極めて高純度であり、また表層部のカーボンブラックと強固に密着し、ペレットの粒強度を著しく増大することができる。また、被膜の組織が緻密かつ平滑であり、断熱材として高温下に曝されても不純物ガスの放出は遮断されるので、系内の汚染は効果的に抑止される。
【0017】
この炭素質粒状断熱材を製造するための本発明による製造方法は、カーボンブラックペレットを容器内に充填して加熱炉にセットし、炭化水素ガス及びキャリアガスを送入して炭化水素ガスの濃度を5〜15容量%、加熱温度を1000〜1200℃の範囲に設定して炭化水素ガスを気相反応により熱分解して、カーボンブラックペレットの表層部に熱分解炭素を析出沈着させることを特徴としている。
【0018】
カーボンブラックペレットは、造粒したペレットを篩い分けして、粒径0.5〜1.5mm程度のペレットが好ましく用いられる。カーボンブラックペレットは適宜な形状の通気性の耐熱容器に充填して、CVD反応装置等の加熱炉にセットして炭化水素ガス及びキャリアガスを送入し、炭化水素ガスを気相熱分解反応により熱分解炭素を析出させ、ペレットの表層部に沈着させる。炭化水素ガスとしてはメタン、プロパン、プロピレン、ベンゼン等の易熱分解性の炭化水素ガスが好ましく用いられ、キャリアガスには水素ガス、アルゴンガス等が用いられる。
このようにして、ペレットの表層部のみに熱分解炭素を析出沈着させ、均一な被膜が形成される。
【0019】
この気相熱分解反応条件としては、炭化水素ガスの濃度を5〜15容量%の範囲に設定する。炭化水素ガス濃度が5容量%未満及び15容量%を越えると、析出した熱分解炭素が膜化し難く、結晶性の低いスートが発生してしまい、また膜化しても膜中にスートが混在して膜強度が脆い被膜が形成されることとなるためである。
【0020】
また、熱分解反応させる加熱温度は1000〜1200℃の範囲に設定する。
加熱温度が1000℃未満の場合には熱分解反応に長時間を要することとなり、ペレット内部にまで熱分解炭素が浸透して沈着する割合が大きくなるため、熱伝導性が増大して断熱性能が低下する。一方、加熱温度が高くなると気相熱分解反応が促進されるので、均一な熱分解炭素の被膜が形成され難くなるため、加熱温度は1200℃以下に設定される。
【0021】
このようにして、カーボンブラックペレットの表層部に極めて純度が高く、また組織が緻密かつ平滑な熱分解炭素被膜が析出、沈着してペレットに強固に密着するので、ペレットの粒強度の増大が図られる。
【0022】
本発明の炭素質粒状断熱材は、半導体等の分野における熱処理炉等の断熱材として使用するために純度が高く、非汚染性が要求されるので、基材となるカーボンブラックも不純物が少ないことが望ましいことになる。そこで、カーボンブラックペレットを熱処理して不純物を揮散除去するために、予め4.7kPa 以下の水素ガス雰囲気中1000〜2000℃の温度で熱処理してカーボンブラックペレット中の不純物を除去し、低減化しておくことが好ましい。
【0023】
更に、水素ガス雰囲気中における熱処理に先立って、カーボンブラックペレットをハロゲンガス雰囲気中で1000〜2000℃の温度で熱処理して、カーボンブラックに含まれている金属化合物をハロゲン化して揮散除去するとより効果的に不純物を除去することができる。
【0024】
このように本発明の炭素質粒状断熱材及びその製造方法によれば、カーボンブラックペレットを基材として、その表層部に高純度で組織が緻密かつ平滑な熱分解炭素を析出、沈着して強固に被膜形成したものであるから、ペレット内部はカーボンブラック本来の断熱性能を保持しながら粒強度の増大ならびにカーボンブラック中の不純物による汚染を著しく低減化することが可能となる。したがって例えば、特に汚染を嫌う半導体分野等における粒状断熱材として好適に使用することができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
【0026】
実施例1〜3、比較例1〜4
窒素吸着比表面積71m2/g、圧縮DBP吸収量103cm3/100gのファーネスカーボンブラックを湿式法により造粒したペレットを篩い分けして、粒径0.8〜1.0mmのペレットを試料とした。このカーボンブラックペレットを、内寸法が幅70mm、長さ100mm、高さ35mmのポーラスカーボン製容器に充填して、高周波誘導加熱炉の反応管内にセットした。炭化水素ガスとしてプロパンガス、キャリアガスに水素ガスを用いて、ガス合計供給量6.0×10-2 m3/hr、炉内圧6.7kPa に設定して、プロパンガス濃度及び加熱温度を変えて7.5hr加熱処理してプロパンガスを気相熱分解し、カーボンブラックペレットの表層部に熱分解炭素を析出沈着させた。このようにして粒径が0.8〜1.0mmの炭素質粒状断熱材を製造した。
【0027】
実施例4
実施例1〜3と同一のカーボンブラックペレットを、予め4.5kPa の水素ガス雰囲気中1400℃の温度で2hr処理した後、実施例1と同一の方法で、このカーボンブラックペレットの表層部に熱分解炭素を析出沈着させた。このようにして粒径が0.8〜1.0mmの炭素質粒状断熱材を製造した。
【0028】
実施例5
実施例1〜3と同一のカーボンブラックペレットを、予め塩化水素ガス雰囲気中2000℃の温度で10hr処理した後、実施例4と同一の方法で、粒径が0.8〜1.0mmの炭素質粒状断熱材を製造した。
【0029】
比較例5
実施例と同一のカーボンブラックペレットそれ自体を試料とした。
【0030】
比較例6
実施例と同一のカーボンブラックペレットを用いて特開昭63−210081号公報に開示されている方法により炭素質粒状断熱材を製造した。すなわち、カーボンブラックペレットを噴射用ノズルを装着した回転ドラム中に入れ、常温で回転転動させながらフェノール樹脂の24Wt%エタノール溶液を窒素ガスに同伴させて噴霧し、含浸処理を行った。引き続き回転転動させながら大気中150℃で1hr加熱して溶媒を揮散除去するとともに樹脂成分を予備硬化した。次いで、大気中250℃で1hr加熱硬化した後、窒素雰囲気中2000℃で0.5hr焼成炭化して炭素質粒状断熱材を製造した。
【0031】
比較例7
実施例と同一のカーボンブラックペレットを用いて特開平3−126609号公報に開示されている方法により炭素質粒状断熱材を製造した。すなわち、カーボンブラックペレットを噴射用ノズルを装着した回転ドラム中に入れ、常温で回転転動させながらフェノール樹脂の15Wt%エタノール溶液を窒素ガスに同伴させて噴霧し、含浸処理を行った。引き続き回転転動させながら大気中150℃で1hr加熱して溶媒を揮散除去するとともに樹脂成分を予備硬化した。次いで、窒素雰囲気中2200℃で0.5hr焼成炭化した。焼成炭化後に篩分級を行い、粒径1mmを越え、また異形の粒子を除去して炭素質粒状断熱材を製造した。
【0032】
このようにして製造した炭素質粒状断熱材の粒強度、熱伝導率及び揮発分を下記の方法により測定し、得られた結果を製造条件と対比して表1に示した。
【0033】
▲1▼粒強度(cN)
粒径1mmのサンプルを天秤上に乗せ、上からピストンで荷重をかけて破粒時の荷重を測定し、サンプル20個の平均値を求めた。
【0034】
▲2▼熱伝導率(W/m・K)
周囲を断熱材で囲んだ直径30mm、高さ90mmの円筒部の下部に、熱伝導率既知の黒鉛標準試料(直径30mm、高さ30mm)を装入し、その上にサンプルを装填(高さ30mm)し、更にその上部に前記黒鉛標準試料(直径30mm、高さ30mm)を装入し、下部に設けた熱源より加熱する。測定は窒素雰囲気中で行い、円筒部の黒鉛標準試料及びサンプルの温度を測定して、定常状態における温度勾配から熱伝導率を算出した。
【0035】
▲3▼揮発分(%)
JIS R7212(カーボンブロックの試験方法)に準じ、JIS R1301(化学分析用磁器るつぼ)の落としふた付きの容量約10mlの磁器るつぼにサンプル約2g を正確に量りとり、ふたをしたまま、予め900±20℃に保った電気炉に入れ7分間加熱し、速やかにこれをデシケーター中に入れ、室温まで冷却した後、手早く質量を正確に量った。加熱前後の質量変化から揮発分を算出した。ここで、揮発分中には不純物が含有しており、従って、揮発分量が多くなれば、発生する不純物ガス濃度も増加する傾向にある。
【0036】
【表1】
【0037】
表1より、以下のことが判る。
実施例1〜3では、熱分解炭素の被膜形成条件を、プロパンガス濃度5〜15容量%、処理温度1000〜1200℃に設定することで、カーボンブラックが本来有する低熱伝導率即ち高度の断熱性能を保持しながら、粒子強度が強固で揮発分も少ない炭素質粒状断熱材を得ることができた。また、実施例4、5では、カーボンブラック中の不純物を予め低減させたカーボンブラックペレットの表層部に熱分解炭素を析出沈着させることにより、実施例1〜3と同等の断熱性能と粒子強度をもつ炭素質粒状断熱材を得ることができ、更に、炭素質粒状断熱材からの不純物の揮散量(揮発分)を低減することができた。
【0038】
比較例1、2では、プロパンガス濃度が5容量%未満及び15容量%を超えている為、熱分解炭素が膜化せず結晶性の低いスートが発生してしまうか、或いは膜化しても膜中にスートが生成し比較的脆い膜を形成してしまい、粒強度がわずかに向上する程度で、炭素質粒状断熱材の破壊、磨損、微粉化を充分に抑制して良流動性とすることができない。また、カーボンブラックペレットが強固な炭素被膜により被覆されないので、カーボンブラック中の不純物が揮散され易くなり、結果として、炭素質粒状断熱材からの不純物の揮散量を低減させることができない。
【0039】
比較例3では、加熱温度を1000℃未満の900℃とした為、カーボンブラックペレットの内部にまで熱分解炭素が浸透析出し、熱伝導度が高くなり断熱性を低下させている。また、比較例4では、処理温度が1300℃と1200℃を超えている為、反応容器に充填したカーボンブラックペレット全体に熱分解炭素層が被膜されず、反応ガスに接する側のカーボンブラックペレット充填層の表層近傍でのみ熱分解炭素が析出した。
【0040】
比較例5は樹脂含浸或いは気相熱分解炭素層の被膜形成を行っていないカーボンブラックペレットであり、断熱性に優れているが、粒強度が低く、不純物濃度が極めて高い。比較例6ではカーボンブラックペレットに樹脂含浸焼成しており、粒強度が高いが、実施例と比較して揮発分量が多い。比較例7では樹脂含浸したカーボンブラックを比較例6の焼成炭化温度よりも高い2100℃以上で焼成炭化し、不純物濃度を低減しているが、実施例と比較して揮発分が多い。
【0041】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の炭素質粒状断熱材によれば、カーボンブラックペレットの表層部が、化学的気相反応により析出した熱分解炭素が沈着し、強固、高純度でかつ緻密な熱分解炭素により被膜されており、この熱分解炭素被膜によりカーボンブラック本来の断熱性能を保持しながら粒強度の著しい増大が図られるとともに断熱材として使用時にカーボンブラック中の不純物の拡散が遮断され、汚染を阻止することが可能となる。また、本発明の製造方法に従えば優れた断熱性能を有する本発明の炭素質粒状断熱材の製造が可能となる。したがって、非酸化性雰囲気の高温炉に用いられ、特に汚染を嫌う、例えば半導体等の分野における熱処理炉等の断熱材及び製造方法として工業上極めて有用である。
Claims (1)
- カーボンブラックペレットを、予めハロゲンガス雰囲気中で1000〜2000℃の温度で熱処理したのち、4.7kPa以下の水素ガス雰囲気中1000〜2000℃の温度で熱処理し、次いで、
前記熱処理したカーボンブラックペレットを容器内に充填して加熱炉にセットし、炭化水素ガス及びキャリアガスを送入し、炭化水素ガスの濃度を5〜15容量%、加熱温度を1000〜1200℃の範囲に設定して炭化水素ガスを気相反応により熱分解して、カーボンブラックペレットの表層部に熱分解炭素を析出沈着させることを特徴とする炭素質粒状断熱材の製造方法。
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