JP4551838B2 - 樹脂塗装金属板 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂塗装金属板、殊に耐食性および耐アブレージョン性に優れた樹脂塗装金属板に関するものである。
自動車、家電製品、建材に用いられる材料として、電気亜鉛めっき鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板等の亜鉛系めっき鋼板、またはより一層の耐食性の向上を目的として該亜鉛めっき鋼板上にクロメート処理を施した無機系表面処理鋼板が多く用いられている。しかし近年の環境意識への高まりから、クロメート処理を施さない鋼板の需要が増大している。
このようなクロメート処理に代わる耐食性向上の手段として、例えば特許文献1は、特定のアミノアルコールおよびエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含む樹脂組成物を、樹脂塗装金属板の樹脂皮膜を形成するために使用することを提案している。
また樹脂塗装金属板の耐食性や耐アブレージョン性等を向上させるため、樹脂皮膜中にシリカを含めることも行われている。このシリカの中でも鱗片状シリカを使用することが特許文献2で、さらにカチオン界面活性剤やアミン系アルカリ物質で処理された鱗片状シリカを使用することが特許文献3で提案されている。
特開2002−326310号公報 特開2004−322573号公報 特開2002−348538号公報
しかし最近では、クロメート処理を施さない樹脂皮膜に対しても、高度な耐食性等が要求されるようになってきた。従って本発明が解決しようとする課題は、より優れた耐食性および耐アブレージョン性を示し、さらなる他の特性、例えば他の塗膜との密着性(塗膜密着性)なども示し得る樹脂皮膜を備えた樹脂塗装金属板を提供することにある。
前記課題を解決することができた本発明の樹脂塗装金属板とは、樹脂組成物から得られる樹脂皮膜を備えた樹脂塗装金属板であって、前記樹脂組成物が、カチオン界面活性剤で処理された0.08〜1.0μmの平均粒子径を有する鱗片状シリカ、エポキシ系架橋剤および第3級アミンで中和されているカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂を含有することを特徴とする。
乾燥樹脂皮膜中の前記鱗片状シリカ含有量が、60〜200mg/m2であることが望ましい。また、さらに非鱗片状シリカを含有する場合、乾燥樹脂皮膜中の前記鱗片状シリカおよび前記非鱗片状シリカの合計含有量は、好ましくは150〜300mg/m2である。
本発明の好ましい実施態様では、前記樹脂組成物は、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂:30〜93.5質量部、エポキシ系架橋剤:1〜15質量部、前記鱗片状シリカ:6〜20質量部、およびポリエチレンワックス粒子:0.5〜15質量部を含有し、前記ポリウレタン樹脂は、ウレタンプレポリマーを鎖延長剤で鎖延長反応して得られるものであって、前記ウレタンプレポリマーを構成するポリイソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびジシクロヘキシルメタンジイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも1種を必須的に使用し、前記ウレタンプレポリマーを構成するポリオール成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエーテルポリオール、およびカルボキシル基を有するポリオールの全てを必須的に使用したものである。好ましい前記樹脂組成物は、さらに非鱗片状シリカ:5〜20質量部を含有していてもよい。
前記鎖延長剤は、例えばエチレンジアミンまたはヒドラジンが好適である。前記1,4−シクロヘキサンジメタノールと前記ポリエーテルポリオールの質量比が、1,4−シクロヘキサンジメタノール:ポリエーテルポリオール=1:1〜1:19であることが好ましい。前記ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリオキシプロピレングリコールまたはポリテトラメチレンエーテルグリコールが好適である。前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の酸価は、好ましくは10〜60mgKOH/gである。
また前記ポリエチレンワックス粒子が、球形で平均粒子径が0.1〜3μmであることが望ましい。前記ポリエチレンワックス粒子の軟化点は、例えば100〜140℃であることが好ましい。前記樹脂皮膜の造膜温度は、ポリエチレンワックス粒子の軟化点未満とすることにより、ポリエチレンワックス粒子の形状が樹脂皮膜中で球形に保持され、潤滑性を一層高めることができる。
前記樹脂組成物が、さらに、酸価5mgKOH/g以上の第2のカルボキシル基含有樹脂を、前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂含有量の半分の質量以下含有し、前記第2の樹脂と前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂とが第2の架橋剤で架橋された樹脂皮膜が形成されていることも好ましい態様である。前記第2の架橋剤は、エポキシ系架橋剤、2価の金属系架橋剤、またはアジリジン系架橋剤であることが好ましい。
本発明によれば、耐食性および耐アブレージョン性に優れた樹脂塗装金属板が得られる。さらに本発明の好ましい実施態様において、樹脂組成物中の成分およびその組成を調節することにより、樹脂塗装金属板の皮膜にさらなる好ましい特性、例えば塗膜密着性などを与えることができる。
発明を実施するための形態
本発明の樹脂塗装金属板は、樹脂皮膜を形成する樹脂組成物が、カチオン界面活性剤で処理された0.08〜1.0μmの平均粒子径を有する鱗片状シリカを含有することを特徴の1つとする。樹脂組成物に含まれたこの鱗片状シリカは、組成物の塗装・乾燥過程で、樹脂皮膜中に層状に配置する。層状に配置した鱗片状シリカは水や酸素を効果的に遮蔽する高いバリア性を発揮して、樹脂塗装金属板の耐食性を向上させると共に、優れた耐アブレージョン性も付与する。ここで本発明における鱗片状シリカとは、アスペクト比(シリカ粒子の厚みに対する長径の比)が10以上であり、厚みが薄くて平らな形状を有するシリカをいう。一方、このようなアスペクト比をとらない球状などの形状を有するシリカを、本発明において非鱗片状シリカと呼ぶ。鱗片状シリカの好ましいアスペクト比の下限は20であり、好ましい上限は80、より好ましくは40である。
本発明では、カチオン界面活性剤で処理された鱗片状シリカを使用する。なぜなら本発明の樹脂組成物は、第3級アミンで中和されているカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂を含有するが、このような樹脂組成物に、カチオン界面活性剤で処理されていない鱗片状シリカを添加するとゲル化するからである。このカチオン界面活性剤で処理された鱗片状シリカとは、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂との混合前に予め、カチオン界面活性剤と混合されている鱗片状シリカをいう。このようなカチオン界面活性剤で処理された鱗片状シリカは、例えば洞海化学工業株式会社から「サンラブリー(登録商標)LFS HB−010SN」などの商品名で販売されている。
樹脂塗装金属板の加工時の耐剥離性、溶接性やコスト等を考慮すると、樹脂皮膜はできるだけ薄い方が望ましい。このような薄い樹脂皮膜中でも層状に配置して高いバリア性を発揮させるために、平均粒子径が小さい鱗片状シリカが好ましい。よって本発明では、0.08〜1.0μmの平均粒子径を有する鱗片状シリカを用いる。なお鱗片状シリカの平均粒子径の値は、動的光散乱法で測定したものである。鱗片状シリカの好ましい平均粒子径の上限は0.5μm、より好ましくは0.25μm以下であり、好ましい下限は0.1μm、より好ましくは0.15μm以上である。
鱗片状シリカを樹脂皮膜中に欠陥なく配置して、樹脂塗装金属板の耐食性や耐アブレージョン性、さらに塗膜密着性を向上させるために、乾燥樹脂皮膜中の鱗片状シリカ含有量は60mg/m2以上であることが好ましい。より好ましくは90mg/m2以上である。但しコスト等の観点から鱗片状シリカ含有量は、好ましくは200mg/m2以下、より好ましくは150mg/m2以下である。
さらに本発明における樹脂組成物は、鱗片状シリカに加えて、非鱗片状シリカを含有していてもよい。非鱗片状シリカも含まれる場合、乾燥樹脂皮膜中の鱗片状シリカおよび非鱗片状シリカの合計含有量は、好ましくは150mg/m2以上である。より好ましくは200mg/m2以上である。一方、鱗片状シリカおよび非鱗片状シリカの合計含有量の好ましい上限は、300mg/m2である。より好ましくは250mg/m2以下である。
架橋剤を使用することにより、得られる樹脂皮膜の硬度が高くなり、耐アブレージョン性に加えて、潤滑性も向上させることができる。また、エポキシ系架橋剤を使用するのは、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂のカルボキシル基に対する架橋反応性に富むからである。前記エポキシ系架橋剤は、エポキシ基を2以上有するものであれば特に限定されず、例えばビスフェノール系などを利用でき、油化シェルエポキシ製:エピコート825、828や大日本インキ化学工業製:エピクロンCR75またはCR5Lなどが挙げられ、1種または2種以上のエポキシ系架橋剤を使用することができる。
本発明で使用する樹脂組成物は、特に限定されるものではないが、水性組成物を使用するのが好ましい態様であり、例えばカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の水性分散液、エポキシ系架橋剤、鱗片状シリカ、非鱗片状シリカおよびポリエチレンワックス粒子を含む樹脂組成物を好適に使用することができる。樹脂組成物として、水性組成物を使用すれば、金属板の表面に塗布して乾燥することにより、容易に樹脂皮膜を形成できるからである。また、水性組成物は、溶剤系組成物に比べて、環境にやさしく、安全衛生上の問題や火災などの危険も少なく、取扱いが容易だからである。
本発明の好ましい実施態様における前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、ウレタンプレポリマーを鎖延長剤で鎖延長反応して得られるものであり、前記ウレタンプレポリマーは、後述するポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応させて得られる。前記ウレタンプレポリマーを構成するポリイソシアネート成分としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)よりなる群から選択される少なくとも1種のポリイソシアネートを必須的に使用することが好ましい。かかるポリイソシアネートを使用することにより、耐食性、反応制御の安定性に優れる樹脂皮膜が得られるからである。
前記の必須的に使用することが好ましいポリイソシアネート(以下、「必須ポリイソシアネート」と省略する。)の他にも、耐食性や反応制御の安定性を低下させない範囲で他のポリイソシアネートを使用することができるが、必須ポリイソシアネート成分の含有率は、全ポリイソシアネート成分の70質量%以上としておくことが望ましい。必須ポリイソシアネート成分の含有率が70質量%未満であると、耐食性や反応制御の安定性が低下する傾向があるからである。前記必須ポリイソシアネート成分以外のポリイソシアネートとしては、例えばテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカンメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネートなどを挙げることができる。前記ポリイソシアネートは、単独、または少なくとも2種以上を混合して使用してもよい。
前記ウレタンプレポリマーを構成するポリオール成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエーテルポリオール、およびカルボキシル基を有するポリオールの3種類の全てのポリオールを必須的に使用し、好ましくは、3種類全てをジオールとすることが好ましい。かかるポリオール成分を使用することにより、耐食性や摺動性に優れる樹脂皮膜が得られるからである。また、ポリオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールを使用することによって、得られるポリウレタン樹脂の防錆効果を高めることができる。
前記ポリエーテルポリオールは、分子鎖にヒドロキシル基を少なくとも2以上有し、主骨格がアルキレンオキサイド単位によって構成されているものであれば特に限定されるものではなく、例えばポリオキシエチレングリコール(単に、「ポリエチレングリコール」と言われる場合がある)、ポリオキシプロピレングリコール(単に、「ポリプロピレングリコール」と言われる場合がある)、ポリオキシテトラメチレングリコール(単に、「ポリテトラメチレングリコール」または「ポリテトラメチレンエーテルグリコール」と言われる場合がある)などを挙げることができ、市販されているものを使用することができる。前記ポリエーテルポリオールの中でも、ポリオキシプロピレングリコールまたはポリテトラメチレンエーテルグリコールを使用することが好ましい。前記ポリエーテルポリオールの官能価は、少なくとも2以上であれば特に限定されず、例えば3官能、4官能以上の多官能であってもよい。
前記ポリエーテルポリオールは、例えば活性水素を有する化合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加させることにより得られる。前記活性水素を有する化合物としては、例えばプロピレングリコール、エチレングリコールなどのジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミンなどのトリオール、ジグリセリン、ペンタエリスリトールなどのテトラオール、その他、ソルビトール、ショ糖、リン酸などを挙げることができる。この際、使用する開始剤としてジオールを使用すれば、2官能のポリエーテルポリオールが得られ、トリオールを使用すれば、3官能のポリエーテルポリオールが得られる。またポリオキシテトラメチレングリコールは、例えばテトラヒドロフランの開環重合により得られる。
前記ポリエーテルポリオールは、例えば平均分子量が約400〜4000程度までの市販のものを使用することが好ましい。平均分子量が約400未満だと樹脂皮膜が硬く、4000を超えると柔らかくなりすぎるからである。なお平均分子量は、ポリオールのOH価(水酸基価)から求めた。
本発明において、前記1,4−シクロヘキサンジメタノールとポリエーテルポリオールの質量比を、1,4−シクロヘキサンジメタノール:ポリエーテルポリオール=1:1〜1:19とすることも好ましい態様である。防錆効果を有する1,4−シクロヘキサンジメタノールを一定比率使用することによって、得られるポリウレタン樹脂の防錆効果を一層高めることができるからである。
本発明で使用するカルボキシル基を有するポリオールは、少なくとも1以上のカルボキシル基と少なくとも2以上のヒドロキシル基を有するものであれば、特に限定されず、例えばジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシコハク酸などが挙げられる。
前記の必須的に使用することが好ましいポリオール成分(以下、「必須ポリオール成分」と省略する。)の他にも、耐食性を低下させない範囲で他のポリオールを使用することができるが、必須ポリオール成分の含有率は、全ポリオール成分の70質量%以上であることが望ましい。必須ポリオール成分の含有率が70質量%未満であると、耐食性が低下する傾向があるからである。上述した必須ポリオール成分以外のポリオールとしては、水酸基を複数有するものであれば特に限定されず、例えば低分子量のポリオールや高分子量のポリオールなどを挙げることができる。低分子量のポリオールは、分子量が500程度以下のポリオールであり、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。
高分子量のポリオールは、分子量が500程度を超えるポリオールであり、例えばポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)のようなラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;およびアクリルポリオールなどが挙げられる。
また、上述したウレタンプレポリマーを鎖延長反応する鎖延長剤としては、特に限定されないが、例えばポリアミン、低分子量のポリオール、アルカノールアミンなどを挙げることができる。前記低分子量のポリオールとしては、上述したのと同じものを使用することができ、前記ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン;トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミン;ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、イソホロンジアミンなどの脂環式ポリアミン;ヒドラジン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジドなどのヒドラジン類などを挙げることができる。これらの中でも、エチレンジアミンおよび/またはヒドラジンを鎖延長剤成分として使用することが好ましい。また、前記アルカノールアミンとして、例えばジエタノールアミン、モノエタノールアミンなどを挙げることができる。
本発明では、上述したように、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の水性分散液を使用することが好ましい態様である。前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の水性分散液の作製は、公知の方法を採用することができ、例えばカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーのカルボキシル基を第3級アミンおよび他の塩基、好ましくは第3級アミンのみで中和して、水中に乳化分散して鎖延長反応させる方法などがある。
まず、上述したポリイソシアネートと上述したポリオールとを使用して、NCO/OH比でイソシアネート基が過剰になるようにして比較的低分子量のカルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを作製する。ウレタンプレポリマーを合成する温度は、特に限定されないが、50〜200℃の温度で合成することができる。また、ウレタンプレポリマーの合成には、公知の触媒を使用することができる。前記触媒としては、例えばトリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどのモノアミン類;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミンなどのポリアミン類;1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)、トリエチレンジアミンなどの環状ジアミン類;ジブチルチンジラウリレート、ジブチルチンジアセテートなどの錫系触媒などが挙げられる。
また、ウレタンプレポリマーの合成に際しては、ワンショット法を採用してもよく、また、プレポリマー法を採用してもよい。ワンショト法とは、ポリイソシアネートとポリオールとを一括に反応させる方法であり、プレポリマー法とは、多段階でポリイソシアネートとポリオールとを反応させる方法であり、例えば一旦低分子量のウレタンプレポリマーを合成した後、さらに高分子量化する方法である。
本発明では、例えばポリイソシアネートと必須ポリオール成分の全てを一括に反応させる態様;ポリイソシアネートと、必須ポリオール成分の内、まずポリエーテルポリオールとを反応させた後、次いで、1,4−シクロヘキサンジメタノール、およびカルボキシル基を有するポリオールをさらに反応させる態様、或いは必須ポリオール成分の内、まずポリエーテルポリオールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとを反応させた後、次いでカルボキシル基を有するポリオールを反応させる態様などを適宜選択して、ウレタンプレポリマーを合成するようにすればよい。
カルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの作製に際しては、粘度の調整および、該プレポリマーの乳化分散性を向上させる観点から溶剤を使用することも好ましい態様である。前記溶剤としては、イソシアネート基に対して不活性な溶剤で、比較的親水性の高い溶剤を使用することが好ましく、例えばN−メチルピロリドン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミドなどを使用することができ、好ましくは、N−メチルピロリドンを使用する。N−メチルピロリドンは、カルボキシル基を有するポリオールに対する溶解性が高く、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを調製する反応を均一にできるからである。なおウレタンプレポリマーの反応は、例えばジブチルアミン滴定法によりイソシアネート基濃度を求めて、反応率を求めることができる。
ウレタンプレポリマー反応終了後、得られたカルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを中和することによって、水中に乳化分散する。この乳化のための中和には、第1級アミン、第2級アミン、アンモニアを使用することができない。なぜなら第1級アミン、第2級アミンやアンモニアはイソシアネートと反応するため、これらを用いても、カルボキシル基を充分に中和できず、ウレタンプレポリマーを乳化することができないからである。そのためカルボキシル基の中和には、第3級アミンおよび他の無機塩基(例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物)が用いられる。但し無機塩基を用いて中和すると、樹脂皮膜の耐食性が低下することがあるので、第3級アミンのみを使用することが好ましい。第3級アミンとして、例えばトリエチルアミンやトリエタノールアミンを挙げることができる。好ましくはトリエチルアミンのみを使用する。
カルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを乳化分散した後、水中でポリアミンなどの鎖延長剤を使用して鎖延長反応を行うことができる。なお鎖延長反応は、使用する鎖延長剤の反応性に応じて、乳化分散前、乳化分散と同時、または乳化分散後に適宜行うことができる。
本発明で使用するカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の酸価は、10mgKOH/g以上、60mgKOH/g以下であることが望ましい。酸価が10mgKOH/g未満であると、ポリウレタン樹脂水性分散液の安定性が低下するからである。また、酸価が60mgKOH/g超になると、得られる樹脂皮膜の耐食性が低下する傾向がある。前記酸価の測定は、JIS K0070に準ずる。
本発明の好ましい実施態様で使用される樹脂組成物は、前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂:30〜93.5質量部;エポキシ系架橋剤:1〜15質量部;前記鱗片状シリカ6〜20質量部;およびポリエチレンワックス粒子:0.5〜15質量部を含有する。各成分の含有量を前記の様にすることによって、耐食性、塗膜密着性、潤滑性などの特性を一層高めることができる。なお前記各成分の含有量は、合計が100質量部となるようにすることが好ましい。また、樹脂組成物が水性組成物の場合は、前記各成分(合計100質量部)の他に、さらに水を含有し、水の含有量は、樹脂組成物の塗工性などに応じて適宜調整すればよい。以下、各成分について説明する。
本発明の樹脂組成物は、より好ましくは2質量部以上のエポキシ系架橋剤、およびより好ましくは10質量部以上の鱗片状シリカを含有する。エポキシ系架橋剤のより好ましい上限は10質量部であり、鱗片状シリカのより好ましい上限は15質量部である。
前記の好ましい樹脂組成物は、さらに非鱗片状シリカを5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、20質量部以下、より好ましくは15質量部以下含有していてもよい。前記非鱗片状シリカは、耐食性、塗膜密着性を付与し、さらには加工時の皮膜の疵付き、黒化現象の発生などを抑制するために有効である。非鱗片状シリカの含有量が20質量部を超えると、樹脂皮膜の造膜性が低下し、耐食性が低下したり、非鱗片状シリカが増摩剤として作用することで皮膜の摩擦係数を高め、潤滑性が低下することで加工性が劣化する場合がある。また前記非鱗片状シリカの効果を最大限に発揮させるためには、非鱗片状シリカの平均粒子径が1〜300nmの範囲にあることが好ましい。非鱗片状シリカの平均粒子径が小さくなるほど、樹脂皮膜の耐食性が向上するが、平均粒子径が1nm程度未満になると、耐食性の向上効果が飽和する傾向があり、また、樹脂皮膜形用水性組成物の安定性が低下してゲル化しやすくなるからである。一方、非鱗片状シリカの平均粒子径が300nmを超えると、皮膜の造膜性が低下し、耐食性が低下する傾向がある。
前記非鱗片状シリカの平均粒子径の測定方法としては、シアーズ法、BET法、および動的光散乱法などを挙げることができ、例えば粒子径が4〜6nmの場合にはシアーズ法を、粒子径が10〜100nmの場合にはBET法を、鎖状シリカの場合は動的光散乱法を採用することが好ましい。前記非鱗片状シリカとしては、例えば日産化学工業(株)より入手可能なスノーテックスXS、スノーテックス40、スノーテックス50、スノーテックスXL、スノーテックスOL、スノーテックスZLなどのスノーテックスシリーズを挙げることができる。
本発明の好ましい実施態様における樹脂組成物は、ポリエチレンワックス粒子を0.5〜15質量部含有する。前記ポリエチレンワックス粒子は、樹脂皮膜に潤滑性を付与し、さらには、プレス加工時の樹脂皮膜の疵付き、黒化現象の発生等を抑制するのに有効である。前記ポリエチレンワックス粒子の含有量が0.5質量部より少ない場合、得られる樹脂皮膜の潤滑性の向上が充分でない。また、前記ポリエチレンワックス粒子の含有量が15質量部を超えると、得られる樹脂皮膜と金属板との密着性が低下し、プレス加工時に皮膜が剥離し、加工後の耐食性が低下する傾向がある。さらに、得られる樹脂皮膜と塗料との密着性が低下するので、塗膜密着性も低下する場合がある。
前記ポリエチレンワックス粒子の軟化点は、100〜140℃であることが好ましい。軟化点が100℃未満では、プレス加工時の金型温度の上昇によって、ワックスが軟化し、液化することによって、金属板と金型間で液切れ状態を起こし、打ち抜き加工性が低下するからである。他方、軟化点が140℃を超えるポリエチレンワックス粒子では、良好な打ち抜き加工性が得られない。なお軟化点は、JIS K2207記載の環球法によって測定することができる。
前記ポリエチレンワックス粒子としては、球形で平均粒子径が0.1〜3μmのものを使用することが好ましい。平均粒子径が3μmを超える場合には、ポリウレタン樹脂水性分散液へ均一に分散することが困難になり、得られる樹脂皮膜の金属板への密着性および塗膜密着性が低下する傾向がある。一方、ポリエチレンワックス粒子の平均粒子径が0.1μmよりも小さいときは、ポリエチレンワックス粒子の添加による樹脂皮膜の潤滑性および打ち抜き加工性の向上効果を得ることができない場合がある。なおポリエチレンワックス粒子の平均粒子径は、コールターカウンター法により測定することができる。前記ポリエチレンワックス粒子として、例えば三井化学(株)より入手可能なケミパール(ポリオレフィン水性ディスパージョン)を挙げることができる。
また、樹脂組成物を塗布後、乾燥する温度(以下、「造膜温度」という場合がある)を、ポリエチレンワックス粒子の軟化点未満としておけば、樹脂皮膜中に分散させるポリエチレンワックス粒子の形状を球形に保持することができ、潤滑性をさらに高めることができるとともに、塗膜密着性を向上させる効果が得られる。
本発明では、金属板の表面に形成される樹脂皮膜の特性をさらに改良する目的で、前記樹脂組成物が、酸価5mgKOH/g以上の第2のカルボキシル基含有樹脂を含有することも好ましい態様である。前記樹脂組成物中の第2のカルボキシル基含有樹脂の含有量は、上述したカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂含有量の半分の質量以下であることが好ましい。また、前記第2のカルボキシル基含有樹脂の形態は、前記樹脂組成物に安定に添加できる態様であれば特に限定されないが、例えば水性分散液または水溶液の形態であることが好ましい。
例えば第2のカルボキシル基含有樹脂として、エチレン・α,β−エチレン性不飽和カルボン酸共重合樹脂を使用すれば、樹脂皮膜に密着性や可とう性を付与することができる。前記エチレン・α,β−エチレン性不飽和カルボン酸共重合樹脂としては、例えば60〜99質量%のエチレンと1〜40質量%のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸からなるものが挙げられる。前記共重合樹脂としては、例えばランダム共重合体、ブロック共重合体、不飽和共重合体、不飽和カルボン酸がグラフト重合したグラフト共重合体、さらには、ターポリマー樹脂などの態様であってもよい。
例えば第2のカルボキシル基含有樹脂として、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、さらに各種共重合樹脂、合成ゴム、セラックなどの天然系樹脂などを使用すれば、樹脂皮膜の塗膜密着性を向上させ、また樹脂皮膜の硬度を調整することができる。
また、樹脂皮膜の潤滑性を向上させるため、樹脂合成段階で合成ワックスを添加することもできる。前記合成ワックスとしては、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスなどの酸化物、これらのカルボキシル基を付与した誘導体などの変性ワックスも含まれる。さらにエチレンやプロピレンとの共重合系ワックス、エチレン系共重合ワックスの酸化ワックスがある。この系統は、共重合相手の変化でターポリマー系も含め多種使用することができる。さらにマレイン酸の付加ワックス、脂肪酸エステル系などを例示することができる。工業的に好ましいのは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、変性ワックス、エチレンやプロピレンとの共重合系ワックス、エチレン系共重合ワックスで、これらの酸化物、およびカルボキシル基を付与した誘導体など、また酸価を付与したパラフィン系ワックス、カルナバワックスなどである。
酸価のないまたは相溶性のないワックスについては、エマルジョンが不安定、またはエマルジョンを塗布したときの塗装外観が劣り、またワックスのブリードなどの現象が起きる。本発明では、ワックス樹脂の乳化等の必要性からカルボキシル基を有するワックスの水系物を使用することが好ましく、ワックスの酸価は5mgKOH/g以上が好ましく、市販のワックスで効果が得られる。
これらのワックス類を乳化するために、その使用目的に応じて界面活性剤を使用する方法、自己乳化させる方法、さらには機械的な分散方法などがとられる。界面活性剤には、通常アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、反応性界面活性剤などを使用できる。前記自己乳化法において使用する塩基としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、モルホリン、トリエチルアミンなどのアミン類を挙げることができる。
本発明では、上述した酸価5mgKOH/g以上の第2のカルボキシル基含有樹脂と上述したカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂とを第2の架橋剤を用いて架橋させることも好ましい態様である。前記第2の架橋剤としては、カルボキシル基と架橋反応することができるものであれば、特に限定されず、金属系架橋剤、アジリジン系架橋剤などが挙げられ、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。前記金属系架橋剤として、例えばBa、Fe、Ca、Mg、Cu、ZnおよびMnなどの2価の金属化合物、例えばBaCO3、FeCO3、CaCO3、MgCO3、CuCO3、ZnCO3、MnCO3などの金属炭酸塩、Ba(OH)2、Fe(OH)2、Ca(OH)2、Mg(OH)2、Cu(OH)2、Zn(OH)2、Mn(OH)2などの金属水酸化物、ZnO、MgOおよびCaOなどの金属酸化物などを挙げることができる。この他、カルシウム化合物としてさらに好ましいものは、乳酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ステアロイル乳酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三水素カルシウムなどであり、必要に応じ併用される他の金属系も同様である。
前記第2の架橋剤として使用するアジリジン系架橋剤として好ましいのは、分子中に平均1.5〜3.5個の下記化学式(1)で表わされる活性基を有するアジリジン化合物である。
Figure 0004551838
(式中、R1〜R4は、水素または炭素数1〜4のアルキル基)
前記アジリジン化合物として、例えばエチルイミン、トリアジリジニルホスフィンオキサイド、アジリジニルエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアジリジン、ヘキサメチレンビスアジリジンカルボキシアマイド、ジフェニルメタンビスアジリジンカルボキシアマイド、トリメチロールプロパンアジリジニルプロピオネート、テトラメチロールプロパンアジリジニルプロピオネート、トルエンビスアジリジンカルボキシアマイド、ビスフタロイルメチルアジリジン、トリメチロールプロパンメチルアジリジンプロピオネートなどを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記第2の架橋剤の使用量は、樹脂皮膜中の全カルボキシル基に対して、0.01倍当量以上、より好ましくは0.05倍当量以上であって、1倍当量以下、より好ましくは0.5倍当量以下とすることが好ましい。架橋剤の使用量が少なすぎると充分な架橋効果が得られず、一方、使用量が多すぎると樹脂組成物が増粘するからである。
本発明において、金属板への樹脂皮膜の付着量は、乾燥重量で0.3〜2.5g/m2の範囲が好ましい。付着量が0.3g/m2よりも少ないときは、樹脂組成物を均一に塗布することができず、潤滑性、耐食性など目的とするバランスのとれた性能を充分に発揮することができない。また、付着量が2.5g/m2を超える場合は、プレス加工の際に樹脂皮膜の剥離量が多くなって、金型に剥離皮膜が蓄積し、プレス成形に支障を生じるほか、導電性および溶接性が低下する傾向がある。さらに、製造費用も高くなる。
本発明で使用する金属板は、特に限定されないが亜鉛系めっき鋼板であることが好ましく、例えば溶融純亜鉛めっき鋼板(GI)、または合金化溶融Zn−Feめっき鋼板(GA)、合金化溶融Zn−5%Alめっき鋼板(GF)、電気純亜鉛めっき鋼板(EG)、電気Zn−Niめっき鋼板、アルミ板、Ti板などを好適に使用することができる。
樹脂皮膜を金属板の表面に形成する方法は、特に限定されないが、例えば樹脂組成物を調製し、該水性組成物を金属板の表面に塗布、乾燥することにより形成できる。樹脂皮膜を形成する前に、金属板表面にCoまたはNi等処理、インヒビター処理、或いは、各種ノンクロメートの下地処理を行ってもよい。
[評価方法]
(1)耐食性
得られた樹脂塗装金属板(鋼板)について、塩水噴霧試験をJIS Z2371に従って実施して、白錆が1%発生するまでの時間で評価した。
(評価基準)
◎:320時間以上
○:240時間以上〜320時間未満
△:120時間以上〜240時間未満
×:120時間未満
(2)潤滑性
得られた樹脂塗装金属板(鋼板)の潤滑性を評価するため、摺動試験装置を用いて、加圧力5.4MPa、引き抜き速度300mm/minとしたときの摺動による荷重を測定して、動摩擦係数を算出した。
(評価基準)
◎:0.01以上〜0.1以下
○:0.1 超 〜0.2以下
△:0.2 超 〜0.3以下
×:0.3 超
(3)加工性(耐黒化性)
得られた樹脂塗装金属板(鋼板)の深絞り加工性を評価するために、80トンのクランクプレス装置を用いて、単発のプレス試験を実施し、成形品の摺動面の擦り疵、型かじり、耐黒化性を目視で評価した。
(評価基準)
◎:極めて良い
○:良い
△:悪い
×:極めて悪い
(4)塗装性(塗膜密着性)
得られた樹脂塗装金属板(鋼板)に、メラミンアルキッド系塗料を塗膜厚が約20μmになるようにバーコート塗装し、温度130℃で20分間焼き付けて後塗装を行った。得られた塗膜にカッターナイフで1mm角の碁盤目を100升刻み、これにテープ剥離試験を実施して、塗膜の残存升目数により塗装性(塗膜密着性)を5段階で評価した。
(評価基準)
5:塗膜残存率100%
4:塗膜残存率 90%〜99%
3:塗膜残存率 80%〜89%
2:塗膜残存率 70%〜79%
1:塗膜残存率 69%以下
(5)耐アブレージョン性
得られた樹脂塗装金属板(鋼板)を100mm角にカットし、振動発生装置(アイデック製:「BF−500UC」)上にピンを通してセットできるように四隅にφ6mmの孔を開けた。振動発生装置上に順番に、シリコーンゴム、樹脂皮膜を上にした供試鋼板、60mm角にカットしたダンボール(K5、Bフルート)、シリコーンゴムおよび2kgのおもりを載せ(図1参照)、振動発生装置を5分間振動させた後(振幅0.5mm、加速度1.2G、30Hz)、供試鋼板の外観を下記の基準で評価した。
(評価基準)
◎:皮膜への損傷なし
○:皮膜に損傷があるが、亜鉛めっき表面への損傷無し
△:亜鉛めっき表面に、目視で確認できる程度の損傷がある
×:亜鉛めっき表面への損傷が著しい
[ポリウレタン樹脂水性分散液の調製]
製造例1
撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの合成装置にポリオール成分として保土ヶ谷化学工業(株)製ポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量1000)を60g、1,4−シクロヘキサンジメタノール14g、ジメチロールプロピオン酸20gを仕込み、さらに反応溶媒としてN−メチルピロリドン30.0gを加えた。イソシアネート成分としてトリレンジイソシアネート(以下、単に「TDI」という場合がある)を104g仕込み、80から85℃に昇温し5時間反応させた。得られたプレポリマーのNCO含有量は、8.9%であった。さらにトリエチルアミン16gを加えて中和を行い、エチレンジアミン16gと水480gの混合水溶液を加えて、50℃で4時間乳化し、鎖延長させてポリウレタン樹脂水性分散液1を得た(固形分29.1%、酸価41.4)。
製造例2
撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの合成装置にポリオール成分として保土ヶ谷化学工業(株)製ポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量1500)を67g、1,4−シクロヘキサンジメタノール30g、ジメチロールプロピオン酸14gを仕込み、さらに反応溶媒としてN−メチルピロリドン120.0gを加えた。イソシアネート成分としてトリレンジイソシアネート(TDI)を78g仕込み、80〜85℃に昇温し5時間反応させた。得られたプレポリマーのNCO含有量は、2.3%であった。さらにトリエチルアミン11gを加えて中和を行い、ヒドラジン一水和物5gと水330gとの混合水溶液を加え、50℃で5時間乳化し、鎖延長反応させて、ポリウレタン樹脂水性分散液2を得た(固形分30.5%、酸価29.8)。
製造例3
撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの合成装置にポリオール成分として保土ヶ谷化学工業(株)製ポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量1500)を60g、1,4−シクロヘキサンジメタノール14g、ジメチロールプロピオン酸6gを仕込み、さらに反応溶媒としてN−メチルピロリドン90.0gを加えた。イソシアネート成分としてジフェニルメタンジイソシアネート(以下、単に「MDI」という場合がある)を100g仕込み、80〜85℃に昇温し10時間反応させた。得られたプレポリマーのNCO含有量は、6%であった。さらにトリエチルアミン5gを加えて中和を行い、ヒドラジン一水和物6gと水350gとの混合水溶液を加え、50℃で5時間鎖延長反応させて、ポリウレタン樹脂水性分散液3を得た(固形分30.2%、酸価15.2)。
製造例4
撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの合成装置にポリオール成分として保土ヶ谷化学工業(株)製ポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量1500)を60g、1,4−シクロヘキサンジメタノール14g、ジメチロールプロピオン酸13gを仕込み、さらに反応溶媒としてN−メチルピロリドン90.0gを加えた。イソシアネート成分としてTDIを34g、MDIを50g仕込み、80〜85℃に昇温し9時間反応させた。得られたプレポリマーのNCO含有量は、5%であった。さらにトリエチルアミン11gを加えて中和を行い、ヒドラジン一水和物8gと水325gとの混合水溶液を加え、50℃で3時間、乳化し鎖延長反応させて、ポリウレタン樹脂水性分散液4を得た(固形分31.3%、酸価31.0)。
製造例5
撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの合成装置にポリオール成分として保土ヶ谷化学工業(株)製ポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量1000)を50g、1,4−シクロヘキサンジメタノール14g、ジメチロールプロピオン酸6gを仕込み、さらに反応溶媒としてN−メチルピロリドン90.0gを加えた。イソシアネート成分としてジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、単に「水添MDI」という場合がある)を104g仕込み、東京ファインケミカル(株)製有機錫系触媒:L−101を6滴加えて、90〜95℃に昇温し9時間反応させた。得られたプレポリマーのNCO含有量は、6.3%であった。さらにトリエチルアミン5gを加えて中和を行い、ヒドラジン一水和物6gと水325gとの混合水溶液を加えて、50℃で5時間、乳化し、鎖延長反応させて、ポリウレタン樹脂水性分散液5を得た(固形分29.9%、酸価16.3)。
製造例6
撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの合成装置にポリオール成分として旭電化工業(株)製ポリオキシプロピレングリコール(P−1000:平均分子量1000)を50g、1,4−シクロヘキサンジメタノール2.9g、ジメチロールプロピオン酸6gを仕込み、さらに反応溶媒としてN−メチルピロリドン60.0gを加えた。イソシアネート成分としてジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、単に「水添MDI」という場合がある)を79g仕込み、東京ファインケミカル(株)製有機錫系触媒:L−101を3滴加えて、90〜95℃に昇温し8時間反応させた。得られたプレポリマーのNCO含有量は、7.6%であった。さらにトリエチルアミン5gを加えて中和を行い、ヒドラジン一水和物13gと水280gとの混合水溶液を加えて、50℃で5時間、乳化し、鎖延長反応させて、ポリウレタン樹脂水性分散液6を得た(固形分29.8%、酸価18.0)。
製造例7
撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの合成装置にポリオール成分として三洋工業(株)製ポリオキシプロピレングリコール(PP−400:平均分子量400)を40g、1,4−シクロヘキサンジメタノール7.2g、ジメチロールプロピオン酸25gを仕込み、さらに反応溶媒としてN−メチルピロリドン80.0gを加えた。イソシアネート成分としてジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、単に「水添MDI」という場合がある)を105g仕込み、東京ファインケミカル(株)製有機錫系触媒:L−101を2滴加えて、90〜95℃に昇温し8時間反応させた。得られたプレポリマーのNCO含有量は、2.2%であった。さらにトリエチルアミン21gを加えて中和を行い、ヒドラジン一水和物4.5gと水330gとの混合水溶液を加えて、50℃で5時間、乳化し、鎖延長反応させて、ポリウレタン樹脂水性分散液7を得た(固形分29.7%、酸価58.0)。
製造例8
撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの乳化設備のオートクレイブに酸価160mgKOH/gのエチレンアクリル酸共重合体200g、48%水酸化ナトリウム水溶液4g、25%アンモニア水22gおよび軟水581gを加えて密封し、150℃、4気圧で3時間の高速撹拌を行い、40℃に冷却して60〜99質量%のエチレンと1〜40質量%のエチレン性不飽和カルボン酸からなる共重合体の水分散体(樹脂分25%、酸価160mgKOH/g)を得た。次に、製造例1で得た500gのポリウレタン樹脂水分散液1を、撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの撹拌釜内で常温で撹拌しているところに、前記エチレンアクリル酸共重合体樹脂の水分散体175gを加えて、加熱撹拌を行い、70℃まで昇温してから25%の4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン水溶液20gと軟水58gとを加えて、80〜85℃で2時間撹拌を行ってから、40℃に冷却し、150メッシュの濾過布で濾過して、改質ポリウレタン樹脂水性分散液8を得た。
製造例9
撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの乳化設備のオートクレイブに、ハネウエル製の酸価16mgKOH/gを有する酸化ポリエチレンワックス:AC−629を200g、48%水酸化ナトリウム水溶液5g、東邦化学工業(株)製:ペグノールL−12を25g、および軟水420gを加えて密封し、150℃、5気圧で3時間の高速撹拌を行い、40℃に冷却して、酸化ポリエチレンワックスの水分散液(樹脂分35.1%、酸価16mgKOH/g)を得た。次に、製造例4で得た500gのポリウレタン樹脂水分散液4を、撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの撹拌釜内で常温で撹拌しているところに、前記酸化ポリエチレンワックスの水分散液100gを加えて均一に撹拌し、さらに1.8gのCaCO3を加えて、80℃まで昇温後冷却して架橋反応を行って、改質ポリウレタン樹脂水性分散液9を得た。
製造例10
撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量1Lの乳化重合設備に水180g、東邦化学工業(株)製:ペグノールL−12を5g仕込み85℃に加熱した。これに、別のモノマー混合設備において、2−エチルヘキシルアクリレート160g、メチルメタクリレート200g、メタクリル酸40gからなるモノマーを、東邦化学工業(株)製:ペグノールL−30Pを15g、水350gに混合して調製したモノマー乳化液を、乳化重合設備の温度を80〜85℃に保ちつつ6時間を要して滴下した。滴下終了後、85から90℃で30分間熟成し、冷却してアクリル樹脂エマルジョン(樹脂分38.8%、酸価36)を得た。次に、製造例5で得た500gのポリウレタン樹脂水性分散液5を、撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの撹拌釜内で常温で撹拌しているところに、前記アクリル樹脂エマルジョン138gを加えて撹拌し、さらに、25%の4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン水溶液5gとMgCO30.5gと軟水20gとを加えて、80〜85℃で2時間撹拌を行ってから、40℃に冷却し、150メッシュの濾過布で濾過して、改質ポリウレタン樹脂水性分散液10を得た。
製造例11
撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量1Lの乳化重合設備に水180g、東邦化学工業(株)製:ペグノールL−12を5g仕込み85℃に加熱した。これに、別のモノマー混合設備において、2−エチルヘキシルアクリレート160g、メチルメタクリレート200g、メタクリル酸40gからなるモノマーを、東邦化学工業(株)製:ペグノールL−30Pを15g、水350gに混合して調製したモノマー乳化液を、乳化重合設備の温度を80〜85℃に保ちつつ6時間を要して滴下した。滴下終了後、85から90℃で30分間熟成し、冷却してアクリル樹脂エマルジョン(樹脂分38.8%、酸価36mgKOH/g)を得た。次に、製造例7で得た500gのポリウレタン樹脂水性分散液7を、撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの撹拌釜内で常温で撹拌しているところに、前記アクリル樹脂エマルジョン138gを加えて撹拌し、さらに、25%の4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン水溶液15gとMgCO31.5gと軟水20gとを加えて、80〜85℃で2時間撹拌を行ってから、40℃に冷却し、150メッシュの濾過布で濾過して、改質ポリウレタン樹脂水性分散液11を得た。
製造例12
撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの合成装置にポリオール成分として保土ヶ谷化学工業(株)製ポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量1000)を80g、ジメチロールプロピオン酸20gを仕込み、さらに反応溶媒としてN−メチルピロリドン30.0gを加えた。イソシアネート成分としてトリレンジイソシアネートを104g仕込み、80から85℃に昇温し5時間反応させた。得られたプレポリマーのNCO含有量は、8.9%であった。さらにトリエチルアミン16gを加えて中和を行い、エチレンジアミン16gと水480gとの混合水溶液を加え、50℃で4時間、乳化し架橋反応させて鎖延長させたポリウレタン樹脂水性分散液12を得た(固形分30.1%、酸価41.4)。
製造例13
撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの合成装置にポリオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノール50g、ジメチロールプロピオン酸20gを仕込み、さらに反応溶媒としてN−メチルピロリドン30.0gを加えた。イソシアネート成分としてトリレンジイソシアネートを104g仕込み、80から85℃に昇温し5時間反応させた。得られたプレポリマーのNCO含有量は、8.9%であった。さらにトリエチルアミン16gを加えて中和を行い、エチレンジアミン16gと水480gとの混合水溶液を加え、50℃で4時間、乳化し架橋反応させてポリウレタン樹脂水性分散液13を得た(固形分29.6%、酸価47.3)。
実施例1(樹脂組成物の成分組成の影響)
得られたポリウレタン樹脂水性分散液(樹脂固形分83質量部)に、鱗片状シリカ(洞海化学工業製:サンラブリーLFS HB−10SN)10質量部、エポキシ系架橋剤(大日本インキ化学工業製:エピクロンCR75)2質量部、ポリエチレンワックス粒子(三井化学製:ケミパールW−700、平均粒子径1μm、軟化点132℃)5質量部を添加して、樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を、電気亜鉛めっき鋼板(Zn付着量20g/m2、板厚0.8mm)の表面に絞りロールにて塗布し、板温90℃で1分間加熱乾燥して、付着量1.0g/m2の樹脂皮膜が形成された樹脂塗装金属板(鋼板)を得た。得られた樹脂塗装金属板(鋼板)の特性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004551838
実施例2(鱗片状シリカの種類および量の影響)
得られたポリウレタン樹脂水性分散液(樹脂固形分73〜93質量部)に、表2に示す鱗片状シリカ(洞海化学工業製:「サンラブリーLFS」シリーズ)0〜20質量部、エポキシ系架橋剤(エピクロンCR75)2質量部、ポリエチレンワックス粒子(ケミパールW−700)5質量部を添加して、樹脂組成物を調製した(但し、合計100質量部とする)。この樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法により樹脂塗装金属板(鋼板)を得た。得られた樹脂塗装金属板(鋼板)の特性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0004551838
実施例3(非鱗片状シリカ量の影響)
ポリウレタン樹脂水性分散液1(樹脂固形分53〜78質量部)に、鱗片状シリカ(サンラブリーLFS HB−010SN)10質量部、非鱗片状シリカ(スノーテックス40)5〜25質量部、エポキシ系架橋剤(エピクロンCR75)2質量部、ポリエチレンワックス粒子(ケミパールW−700)5質量部を添加して樹脂組成物を調製した(但し、合計100質量部とする)。この樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法により樹脂塗装金属板(鋼板)を得た。得られた樹脂塗装金属板(鋼板)の特性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0004551838
実施例4(エポキシ系架橋剤量の影響)
ポリウレタン樹脂水性分散液1(樹脂固形分50〜75質量部)に、鱗片状シリカ(サンラブリーLFS HB−010SN)10質量部、非鱗片状シリカ(スノーテックス40)10質量部、エポキシ系架橋剤(エピクロンCR75)0〜25質量部、ポリエチレンワックス粒子(ケミパールW−700)5質量部を添加して樹脂組成物を調製した(但し、合計100質量部とする)。この樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法により樹脂塗装金属板(鋼板)を得た。得られた樹脂塗装金属板(鋼板)の特性を評価した。結果を表4に示す。
Figure 0004551838
実施例5(ポリエチレンワックス粒子量の影響)
ポリウレタン樹脂水性分散液1(樹脂固形分48〜78質量部)に、鱗片状シリカ(サンラブリーLFS HB−010SN)10質量部、非鱗片状シリカ(スノーテックス40)10質量部、エポキシ系架橋剤(エピクロンCR75)2質量部、ポリエチレンワックス粒子(ケミパールW−700)0〜10質量部を添加して樹脂組成物を調製した(但し、合計100質量部とする)。この樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法により樹脂塗装金属板(鋼板)を得た。得られた樹脂塗装金属板(鋼板)の特性を評価した。結果を表5に示す。
Figure 0004551838
実施例6(ポリエチレンワックス粒子の平均粒子径の影響)
ポリウレタン樹脂水性分散液1(樹脂固形分73質量部)に、鱗片状シリカ(サンラブリーLFS HB−010SN)10質量部、非鱗片状シリカ(スノーテックス40)10質量部、エポキシ系架橋剤(エピクロンCR75)2質量部、平均粒子径が7μm以下のポリエチレンワックス粒子(三井化学製:「ケミパール」シリーズ、軟化点132℃)5質量部を添加して樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法により樹脂塗装金属板(鋼板)を得た。得られた樹脂塗装金属板(鋼板)の特性を評価した。結果を表6に示す。
Figure 0004551838
実施例7(ポリエチレンワックス粒子の軟化点の影響)
ポリウレタン樹脂水性分散液1(樹脂固形分73質量部)に、鱗片状シリカ(サンラブリーLFS HB−010SN)10質量部、非鱗片状シリカ(スノーテックス40)10質量部、エポキシ系架橋剤2質量部、軟化点が75〜150℃のポリエチレンワックス粒子(平均粒子径1μm)(三井化学製:「ケミパール」シリーズ)5質量部を添加して樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法により樹脂塗装金属板(鋼板)を得た。得られた樹脂塗装金属板(鋼板)の特性を評価した。結果を表7に示す。
Figure 0004551838
樹脂塗装金属板(鋼板)の耐アブレージョン性を測定する装置の概略断面図である。
符号の説明
1 樹脂塗装金属板(鋼板)
2 シリコーンゴム
3 ダンボール
4 おもり

Claims (14)

  1. 樹脂組成物から得られる樹脂皮膜を備えた樹脂塗装金属板であって、
    前記樹脂組成物が、カチオン界面活性剤で処理された0.08〜1.0μmの平均粒子径を有する鱗片状シリカ:6〜20質量部、エポキシ系架橋剤:1〜15質量部、第3級アミンで中和されているカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂:30〜93.5質量部およびポリエチレンワックス粒子:0.5〜15質量部を含有することを特徴とする樹脂塗装金属板。
  2. 乾燥樹脂皮膜中の前記鱗片状シリカ含有量が、60〜200mg/m2である請求項1に記載の樹脂塗装金属板。
  3. さらに非鱗片状シリカを含有し、乾燥樹脂皮膜中の前記鱗片状シリカおよび前記非鱗片状シリカの合計含有量が、150〜300mg/m2である請求項1または2に記載の樹脂塗装金属板。
  4. 記ポリウレタン樹脂は、ウレタンプレポリマーを鎖延長剤で鎖延長反応して得られるものであって、
    前記ウレタンプレポリマーを構成するポリイソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびジシクロヘキシルメタンジイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも1種を必須的に使用し、
    前記ウレタンプレポリマーを構成するポリオール成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエーテルポリオール、およびカルボキシル基を有するポリオールの全てを必須的に使用したものである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  5. 前記樹脂組成物が、さらに非鱗片状シリカ:5〜20質量部を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  6. 前記鎖延長剤が、エチレンジアミンまたはヒドラジンである請求項4または5に記載の樹脂塗装金属板。
  7. 前記1,4−シクロヘキサンジメタノールと前記ポリエーテルポリオールとの質量比が1,4−シクロヘキサンジメタノール:ポリエーテルポリオール=1:1〜1:19である請求項4〜6のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  8. 前記ポリエーテルポリオールが、ポリオキシプロピレングリコールまたはポリテトラメチレンエーテルグリコールである請求項4〜7のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  9. 前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の酸価が、10〜60mgKOH/gである請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  10. 前記ポリエチレンワックス粒子が、球形で平均粒子径が0.1〜3μmである請求項4〜9のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  11. 前記ポリエチレンワックス粒子の軟化点が、100〜140℃である請求項4〜10のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  12. 前記樹脂皮膜の造膜温度が、ポリエチレンワックス粒子の軟化点未満であって、ポリエチレンワックス粒子の形状が、樹脂皮膜中で球形に保持されている請求項4〜11のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  13. 前記樹脂組成物が、さらに、酸価5mgKOH/g以上の第2のカルボキシル基含有樹脂を、前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂含有量の半分の質量以下含有し、前記第2の樹脂と前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂とが第2の架橋剤で架橋された樹脂皮膜が形成されている請求項1〜12のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  14. 前記第2の架橋剤は、エポキシ系架橋剤、2価の金属系架橋剤、またはアジリジン系架橋剤である請求項13に記載の樹脂塗装金属板。
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