JP4550669B2 - 磁気力場発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、地上における微小重力環境の実現等を目的として強力な磁気力場を発生させるための装置に関するものであり、特に、前記微小重力環境を利用したタンパク質の結晶成長や、合金、薬等の精製に有用なものである。
従来、前記のような強磁気力場を比較的小規模の設備にて発生させるための手段として、中空状の超電導コイルを具備する超電導マグネット装置が知られているが、さらに近年は、その形成磁場を強化する手段として、前記超電導コイルの軸心部分すなわち内側空間に強磁性材料からなる円盤状体や環状体(リング状体)を付加することが知られている(特許文献1)。
しかしながら、前記のような強磁性材料からなる環状体や円盤状体を単独で超電導コイルの内側空間に加えると、磁気力場の均一性が損なわれ、試料がセットされる空間(試料空間)においてその軸方向に均一な磁気力場を形成することがきわめて困難となる不都合がある。例えば、図6の二点鎖線に示すように、超電導マグネットにより形成される磁気力場が軸方向に均一になるようにコイル設計をしても、これに前記強磁性材料からなる環状体を付加すると同図一点鎖線に示すように試料空間において大きな磁場勾配が発生し、また、前記超電導マグネットに前記強磁性材料からなる円盤状体を付加した場合には同図破線に示すように前記磁場勾配とは逆の磁場勾配が前記試料空間に発生することになる。
このような不都合を解消する手段として、特許文献2には、図7に示すように、超電導コイル100の内側の内側空間に強磁性体からなる環状体102及び円盤状体104を軸方向に並べて配置することが開示されている。このような配置によると、前記環状体102が磁気力場に与える影響と前記円盤状体104が磁気力場に与える影響との合成により、図6の実線に示すように前記試料空間での磁気力場の勾配が解消されるとともに磁気力場の強さ(絶対値)も大幅に増加することになる。
特開2000−77225号公報 特許第3532888号公報
前記特許文献2に記載された装置では、基本的に一つの装置について試料空間が一箇所にしかないため、一度に一試料しか実験等を行うことができず、これが作業効率の向上の妨げとなる。特に、一試料を処理するのに長期間を要するような用途の場合、事情はより深刻となる。
例えば、前記装置を用いてタンパク質の結晶を成長させてX線回折を行う場合、その成長を超電導マグネット装置を用いて行わせるには、数日から長くて1,2週間の期間を要することもあり、当該成長をいかに効率良く行うかが大きな課題となる。また、当該タンパク質結晶のX線回折にあたっては、同時に複数の試料でタンパク質の結晶を成長させてその中から最も品質の良いものを選別してX線回折をすることが望ましく、そのような複数試料の同時処理を前記従来装置によって実現するには当該装置を複数台設置しなければならないことになり、その設備費用及び設置スペースの著しい増大は避けられない。
なお、前記特許文献2の図9には、前記環状体及び円盤状体からなるセットを上下に対称配置することが記載されているが、この構成は超電導マグネットに強磁性体を加えたこ
とによる付加的な電磁力を相殺することを目的としたものであり、複数試料の同時処理を実現するためのものではない。もし仮に、同構成において上下に試料空間を確保できたとしても、その試料空間の形成位置及び個数はごく限られており、設計の自由度は低い。
本発明は、このような事情に鑑み、複数箇所での同時試料操作を可能にして実験等の作業効率を高めながら、かつ、各試料に対して適正な磁気力場を付与することができ、かつ、試料空間形成箇所及び個数の設計自由度が高い装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段として、本発明者等は、コイル保持部材の内側空間内に前記環状体及び円盤状体を組合わせたユニットを複数組配列して各ユニットに試料空間を形成することに想到した。しかしながら、当該内側空間内の磁気力場の強さはその軸方向位置によって異なるため、単純に前記ユニットを複数組配列しただけでは当該ユニットの位置によって試料空間での磁気力場の強さが相互に変動することになり、略同一の条件で複数の試料について同時実験をすることはできない。また、当該磁気力場の強さを各ユニット間で均一化するように超電導コイルの設計を行うことも考えられるが、その実現は容易でない。
本発明は、このような背景の下になされたものであり、中空に巻回された超電導コイルと、この超電導コイルの中心軸に沿う内側空間を囲んで当該超電導コイルを保持するコイル保持部材とを備え、前記超電導コイルの通電により前記内側空間内の試料空間に磁気力場が発生するように構成された磁気力場発生装置において、前記内側空間のうちその軸方向中間位置を境界として少なくとも一方の領域に、前記超電導コイルにより形成される磁気力場を増強する材料からなる環状体と前記超電導コイルにより形成される磁気力場を増強する材料からなる円盤状体とが前記軸方向中間位置から遠い順に並設され、かつ、環状体及び円盤状体の材質が全て同じであるユニットが、当該ユニットの前記環状体及び前記円盤状体と前記超電導コイルと同軸となる位置で前記内側空間の軸方向に複数組配列されて前記各ユニットにその環状体と円盤状体とで囲まれる試料空間が形成されるとともに、これらのユニットにそれぞれ形成される試料空間での磁気力場の強さが全て略同一となるように、a.前記ユニットの前記内側空間の軸方向中間位置からの距離が大きいほど当該ユニットにおける円盤状体の外径及び環状体の内径が大きく設定され、あるいは、b.前記ユニットの前記内側空間の軸方向中間位置からの距離が大きいほど当該ユニットにおける円盤状体と環状体との軸方向距離が大きく設定されているものである。
ここで、前記環状体及び円盤状体としては、強磁性体や、前記超電導コイルにより形成される磁気力場と同じ向きに着磁した永久磁石、前記超電導コイルにより形成される磁気力場と同じ向きに着磁した超電導バルク体等が好適である。
前記構成によれば、軸方向中間位置を境界としてその少なくとも一方の領域に複数のユニットが配列され、かつ、各ユニットにその環状体と円盤状体とで囲まれる試料空間が形成されるのに加え、当該試料空間での磁気力場の強さが全て略同一となるように、当該各ユニットにおける環状体及び円盤状体について異なるパラメータ(形状や相対位置)が設定されているので、一つの装置で同時に複数の試料についての実験をすることができる。しかも、試料空間を直接囲む各ユニットの環状体及び円盤状体のパラメータ設定により前記磁気力場の強さの均一化を図るものであるので、例えば超電導コイルの設計変更により当該磁気力場強さの均一化を図る場合に比べ、その実現はより容易となる。
また、ユニットの配設位置にかかわらず、その環状体及び円盤状体のパラメータ設定によって各試料空間での磁気力場強さを均一化するものであるので、各ユニットの試料空間の形成箇所及び個数を自由に設定することが可能であり、例えば、前記試料空間を形成するユニットを3組以上具備する(すなわち3個以上の試料空間を形成する)ことも可能になる。
また、各環状体及び円盤状体の材質は共通であるので、その生産性を高く維持し、また設計を容易にしながら、当該環状体や円盤状体の形状、相対位置の少なくとも一方をユニット間で相互異ならせることによって、磁気力場の均一化を図ることができる。
前記各ユニットにおける環状体及び円盤状体は、共通の容器等にまとめて保持するようにしてもよいが、各ユニット毎に当該ユニットを構成する環状体及び円盤状体を両者が特定の相対位置関係を保つように保持する保持体を備えるようにすれば、ユニットの取扱いがより容易となる。例えば、ユニット毎に環状体及び円盤状体を組み付けてからこれらのユニットを組合わせることにより、組立作業が容易となり、また、ユニット毎にその試料空間に試料をセットすることができるため、試料のセット作業も容易となる。
特に、前記超電導コイルの中心軸が上下方向を向くように設置される装置の場合、前記各ユニットを前記超電導コイルの内側空間の軸方向に相互積み重ねて配置することが可能となり、より簡素な構造及び簡単な作業で各ユニットを配列することが可能になる。
また、前記ユニットには、前記内側空間のうちその軸方向中間位置よりも上側の領域に配置される複数のユニットを含むようにし、かつ、これらのユニットでは、前記環状体の内側を通して前記円盤状体上に試料が載置可能となる位置に当該環状体及び円盤状体が保持される構成とすれば、当該円盤状体上に試料を載置するだけの簡単な構造で、当該試料を試料空間内にセットすることが可能になる。
また、前記各ユニットとともに前記内側空間内に上側から挿入可能であり、かつ、前記コイル保持部材の上端に係止された状態で前記各ユニットを吊下げ状態で支持する吊下げ支持部材を備えるようにすれば、コイル保持容器の内側空間に対して複数のユニットを前記吊下げ支持部材ごとまとめて導入し、また取り出すことが可能になる。
本発明では、前記内側空間の軸方向中間位置を挟んでその軸方向に相互対称となる位置に前記各ユニットが配置され、かつ、当該軸方向中間位置を境界として少なくとも一方の領域におけるユニットにそれぞれ前記試料空間が形成されるようにすることが、より好ましい。このようなユニットの配置により、前記軸方向中間位置を挟んでその一方の側のユニットによる磁場の影響で装置に加わる力と、他方のユニットによる磁場の影響で装置に加わる力とをバランスさせて、装置の強度的負担を軽減させることができる。
以上のように本発明によれば、コイル保持部材の内側空間内に、試料空間を囲む環状体及び円盤状体が並設されたユニットを複数組配列することにより、単一の装置に複数の試料空間を形成することができるとともに、その各試料空間での磁気力場の強さが均一化されるように各ユニットにおける環状体及び円盤状体の形状等のパラメータを設定することにより、各試料空間を略同一条件下において複数の試料についての実験等を同時に行うことができる効果がある。
本発明の第1の実施の形態を図1〜図3を参照しながら説明する。
同図に示す装置は、液体ヘリウム等の冷媒を収容する保冷容器10を備え、この保冷容器10内に超電導コイル12及びその巻枠14が収容されている。
前記保冷容器10は、前記超電導コイル12を冷却するための冷媒を収容し、かつ、当該超電導コイル12の中心軸に沿う内側空間16をもつドーナツ状をなしている。巻枠14も、前記保冷容器10内に収容可能なドーナツ状をなし、この巻枠14に超電導線材が巻回されて前記超電導コイル12が構成されるとともに、当該巻枠14が前記保冷容器10の適所に固定されている。従って、この実施の形態では前記保冷容器10及び巻枠14が超電導コイル12を保持するコイル保持部材に該当している。
この装置の特徴として、その軸方向(図例では上下方向)の中間位置を横切る面(以下「赤道面」と称する。)18よりも上側の領域に、後述の試料空間20を形成する4つのユニットU1,U2,U3,U4が下から順に前記軸方向に配列されている。
図3(a)に示すように、各ユニットU1〜U4は、環状体22及び円盤状体24と、その保持体である環状スペーサ26及び保持ブロック28とを備えている。
前記円盤状体24は低背の円柱状をなし、前記環状体22は低背の円柱の中心に円形の貫通孔が設けられた環状をなしており、当該環状体22の内径と円盤状体24の外径とが略同等になるように形状設定されている。そして、これら環状体22及び円盤状体24がともに、前記超電導コイル12の通電時に形成される磁気力場を増強する材料で形成されている。
具体的に、これら環状体22及び円盤状体24としては、1)純鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金等の強磁性体、2)永久磁石であって超電導コイルにより形成される磁気力場と同じ向きに着磁したもの、3)ビスマス系酸化物やイットリウム酸化物等からなる超電導バルク体であって超電導コイルにより形成される磁気力場と同じ向きに着磁したもの、等が好適である。永久磁石や着磁した超電導バルク体を用いる場合には、例えば、図3(a)に示すようにS極が上向きにN極が下向きになるように磁極を設定すればよい。
前記環状スペーサ26は、前記環状体22と略同等の形状を有し、当該環状体22と円盤状体24との間に介在して両者の上下方向の相対位置関係を保持するように配置される。
前記保持ブロック28は、前記保冷容器10の内側空間16の内径より僅かに小さい外径を有し、前記環状体22、円盤状体24、及び前記環状スペーサ26をまとめて保持する構造を有している。具体的に、この保持ブロック28の中央上側部分には、前記環状体22及び環状スペーサ26が隙間なく装填される凹部28aが形成され、さらに、この凹部28aの底部中央に、前記円盤状体24が嵌め込まれる凹部28bを有している。
この保持ブロック28及び前記環状スペーサ26により、前記環状体22及び円盤状体24が互いに同軸となる位置に保持されるとともに、当該環状体22及び環状スペーサ26の径方向内側でかつ前記円盤状体24の上側の領域に、試料SMが載置可能な試料空間20が形成される。この実施の形態では、前記環状体22の上面が保持ブロック28の上面よりも僅かに高くなるように前記環状スペーサ26の高さ寸法及び凹部28aの深さ寸法が設定されている。
なお、前記環状スペーサ26及び保持ブロック28の材質としては、前記試料空間における磁気力場に影響を与えない非磁性材料が好ましく、具体的には、非磁性のステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、FRP等が好適である。
次に、前記各ユニットU1〜U4の装置への組付構造を説明する。この実施の形態では、図1及び図3(b)に示すように、前記各ユニットU1〜U4がその順に下から積み重ねられた状態(すなわち下側のユニットにおける円盤状体24の上面と上側のユニットにおける保持ブロック28の下面とが当接する状態)で、吊下げ支持部材30により前記内側空間16内に吊下げ支持されるようになっている。
具体的には、前記各ユニットU1〜U4における保持ブロック28の外周部に同ブロック28を厚み方向(上下方向)に貫通する複数のねじ棒挿通孔28cが周方向に配列される一方、前記吊下げ支持部材30は、前記各ねじ棒挿通孔28cに挿通される複数本のねじ棒32と、押え板34及び被係止板36とを備えている。押え板34は各保持ブロック28と略同等の平面形状を有する円板状をなし、被係止板36は前記内側空間16よりも一回り大きい円板状をなしており、両板34,36には前記各ねじ棒32が挿通可能な貫通孔が設けられている。
この吊下げ支持部材30及び各ユニットU1〜U4を用いれば、例えば次の要領で前記保冷容器10の内側空間16内に複数の試料空間20の形成及び試料SMのセットをすることができる。
1)各ユニットU1〜U4の保持ブロック28に円盤状体24、環状スペーサ26、及び環状体22を順に嵌め込んで当該ユニットを組み上げる。
2)各ユニットU1〜U4の環状体22及び環状スペーサ26の内側に上から試料SMを挿入するようにして当該試料SMを円盤状体24上に載置する。
3)前記各ユニットU1〜U4を積み重ねてその上に前記押え板34を載せた状態で、当該各ユニットU1〜U4の保持ブロック28のねじ棒挿通孔28c及び押え板34の貫通孔に各ねじ棒32を挿通して当該ねじ棒32に螺着するナット38によって前記押え板34及びユニットU1〜U4を上下から挟み込むことにより、これらユニットU1〜U4を積層状態に保持する。
4)前記各ねじ棒32の上端にナット38によって前記被係止板36を固定し、前記各ユニットU1〜U4を前記内側空間16内に上から挿入するようにしながら前記被係止板36の外周部を保冷容器10の上面に載置することにより、図1に示すように各ユニットU1〜U4を吊下げ支持部材30とともに内側空間16内に吊下げる。
以上のような工程を経ることにより、簡単な作業で、当該内側空間16内に各ユニットU1〜U4の試料空間20を軸方向に配列し、かつ、各試料空間20に試料SMをセットすることができる。
さらに、この装置の特徴として、前記各ユニットU1〜U4に確保される試料空間20、すなわち環状体22と円盤状体24とによって囲まれる空間であって試料SMが装填される空間での磁気力場の強さが全て略同等になるように、当該各ユニットU1〜U4における環状体22及び円盤状体24の形状が設定されている。
このように、前記ユニットU1〜U4の軸方向位置にかかわらず当該各ユニットU1〜U4での試料空間20における磁気力場の強さを略均一にするには、当該ユニットの前記赤道面18からの距離(すなわち軸方向中間位置からの距離)が大きいほど当該ユニットにおける環状体22の内径および円盤状体24の外径を大きく設定すればよい。その最適形状は、1)シミュレーション、または、2)種々のサンプルを実際に作製して試行錯誤で補間しながら最終形状を設定する、といった手法で決めることが可能である。いずれの場合も、まず各ユニットを配置する位置を決め、その位置でパラメータ(環状体22の内外径及び高さや円盤状体24の高さ等)を変えながら磁気力場の分布を数値計算することにより、当該位置で要求通りの磁気力場が得られるパラメータの最終値を見つけるようにすればよい。
また、前記磁気力場の均一化を図る手段として、前記各ユニットU1〜U4における環状体22と円盤状体24との軸方向距離をそのユニットの前記赤道面18からの距離(すなわち軸方向中間位置からの距離)が大きいほど大きく設定することも有効である。さらに、当該環状体22及び円盤状体24の形状、相対位置の双方をユニット間で異ならせるようにすれば、当該形状、相対位置についてユニット間に与える差は小さく抑えながら、前記磁気力場の均一化を実現することが可能になる。その設定例については後の実施例の項で詳述する。
以上示した装置によれば、各ユニットU1〜U4を構成する環状体22及び円盤状体24のパラメータを変更するだけで、複数の試料SMについての実験等を略同一の条件下で同時に行うことが可能となり、これにより当該実験等の効率を飛躍的に高めることが可能になる。
さらに、第2の実施の形態として図4に示すように、前記赤道面18を挟んで前記ユニットU1,U2,U3,U4と軸方向に相互対称となるようにユニットU1′,U2′,U3′,U4′を配置すれば、前記ユニットU1〜U4による磁場の影響で装置に加わる力と、他方のユニットU1′〜U4′による磁場の影響で装置に加わる力とをバランスさせることにより、装置の強度的負担を有効に軽減させることが可能になる。
この場合、例えば前記ユニットU1′〜U4′は試料空間の形成を目的とせず前記バランスの確保のみを目的として導入するようにしてもよいし、当該ユニットU1′〜U4′にも試料空間を設定するようにしてもよい。このように、本発明においては、装置に含まれるユニットの全てが試料空間を形成するものでなくてもよく、少なくとも軸方向中間位置を挟んで一方の領域に、試料空間を形成するユニットが複数組配列されているものであればよい。
その他、本発明は例えば次のような実施の形態をとることも可能である。
・本発明とは異なる態様であるが、ユニット間で当該ユニットを構成する環状体、円盤状体の少なくとも一方の材質を相互に異ならせることによっても、ユニット同士の磁気力場の均一化を図ることが可能である。ただし、前記のように各環状体及び円盤状体の材質は全て共通としながら、その形状、相対位置の少なくとも一方をユニット間で異ならせる手法をとれば、共通材質の使用により、設計がより容易になるとともに、各環状体及び円盤状体の生産性を高く維持することも可能になる。
・本発明では、各ユニットを構成する環状体、円盤状体のうちのいずれか一方についてのみ、その形状または材質を異ならせるようにしても、磁気力場の均一化を図ることが可能である。例えば、各ユニットの環状体の形状及び材質は全て共通にしながら、円盤状体の形状または材質のみをユニット間で異ならせるようにしてもよい。
・本発明では、ユニットの位置や個数を自由に設定することが可能である。また、ユニット同士は必ずしも図示のように積み重ねられていなくてもよく、間欠的に配置されていてもよい。
・図例では、各ユニット毎にその環状体22及び円盤状体24を保持する保持体(環状スペーサ26及び保持ブロック28)を具備するようにしているが、複数のユニットにおける環状体及び円盤状体を共通の容器等にまとめて保持するようにしてもよい。ただし、図示のようにユニットU1〜U4毎に保持体が分割された構造にすれば、前記の要領で組立作業や試料のセット作業をより容易にすることが可能になる。
また、ユニット毎に保持体を分割する場合でも、その具体的な構造は問わない。例えば、前記環状体22及び円盤状体24とこれを保持するための樹脂製の保持体とを一体にモールドすることも可能である。
・本発明では、装置全体の設置姿勢も特に問わず、例えば前記超電導コイルの中心軸が水平方向を向くように設置される横置き式のものにも適用が可能である。ここで、上下方向を向くように設置される装置においては、図3(a)(b)等に示したように、各ユニットを上下に相互積み重ねるだけの簡素な構造及び簡単な作業でユニットの配列が可能になる。特に、同図に示すように環状体22の内側を通して円盤状体24上に試料SMが載置されるようにすれば、より簡単な構造で、当該試料を試料空間内にセットすることが可能になる。
・本発明では、ユニットの支持構造も特に問わない。例えば、図示の赤道面18よりも下側の領域に複数のユニットを配列する場合には、これらのユニットを所定高さの台の上に積み重ねて内側空間16内に配置するようにしてもよい。
図1〜図3に示す装置において、その内側空間16を直径100mmの室温円筒状空間とし、その内側空間16に13Tの強さの磁気力場を発生させる能力をもつ超電導マグネットを用いる。その諸元を表1に示す。この実施例では、コイル寸法及び巻数にかかわらず発生磁気力場の強さが互いに同等である6種類の超電導マグネットを用いて実験する。
Figure 0004550669
この超電導マグネットにおいて、前記図1に示したように4つのユニットU1,U2,U3,U4を下から順に配列し、各ユニットU1〜U4の環状体22及び円盤状体24を全て純鉄とするとともに、そのユニットの軸方向位置に応じて最適な環状体22及び円盤状体24の寸法と当該環状体22−円盤状体24間の軸方向距離とを設定する。その寸法設定例を表2に示し、当該寸法設定により得られる磁気力場の特性(内側空間16での軸方向位置と磁気力場強さとの関係)を図5に示す。なお、図5において破線は超電導マグネットのみによる磁気力場特性を示し、実線は当該超電導マグネットに前記寸法の環状体22及び円盤状体24を具備する4つのユニットU1〜U4を付加した装置の磁気力場特性を示している。
Figure 0004550669
前記図5から明らかなように、超電導マグネット単体では最大でも585T2/mの強さの磁気力場しか発生させることができないのに対し、前記ユニットU1〜U4を付加し、かつ、各ユニットU1〜U4での環状体22及び円盤状体24の寸法並びに環状体22−円盤状体24間の軸方向距離を前記表2に示すように設定すれば、4つの試料空間20について全て1400T2/mという強力な磁気力場を形成することが可能になる。従って、この装置によれば、4つの試料SMに対して同時に強力かつ均等な磁気力場を与えることが可能であり、これにより実験効率を飛躍的に向上させることが可能になる。
本発明の第1の実施の形態に係る磁気力場発生装置の断面正面図である。 前記磁気力場発生装置の概略を示す一部断面斜視図である。 (a)は前記磁気力場発生装置に備えられる各ユニットの構造を示す断面正面図、(b)はこれらユニットの吊下げ支持構造を示す断面正面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る磁気力場発生装置の断面正面図である。 本発明の実施例における磁気力場発生装置の内側空間の軸方向位置と磁気力場強さとの関係を示すグラフである。 超電導マグネット単体及びこれに各種形状の強磁性体を付加した装置での磁気力場特性を示すグラフである。 従来の磁気力場発生装置の例を示す一部断面斜視図である。
10 保冷容器(コイル保持部材)
12 超電導コイル
14 巻枠(コイル保持部材)
16 内側空間
18 赤道面
20 試料空間
22 環状体
24 円盤状体
26 環状スペーサ(保持体)
28 保持ブロック(保持体)
30 吊下げ支持部材
U1〜U4,U1′〜U4′ ユニット
SM 試料

Claims (9)

  1. 中空に巻回された超電導コイルと、この超電導コイルの中心軸に沿う内側空間を囲んで当該超電導コイルを保持するコイル保持部材とを備え、前記超電導コイルの通電により前記内側空間内の試料空間に磁気力場が発生するように構成された磁気力場発生装置において、前記内側空間のうちその軸方向中間位置を境界として少なくとも一方の領域に、前記超電導コイルにより形成される磁気力場を増強する材料からなる環状体と前記超電導コイルにより形成される磁気力場を増強する材料からなる円盤状体とが前記軸方向中間位置から遠い順に並設され、かつ、環状体及び円盤状体の材質が全て同じであるユニットが、当該ユニットの前記環状体及び前記円盤状体と前記超電導コイルと同軸となる位置で前記内側空間の軸方向に複数組配列されて前記各ユニットにその環状体と円盤状体とで囲まれる試料空間が形成されるとともに、これらのユニットにそれぞれ形成される試料空間での磁気力場の強さが全て略同一となるように、前記ユニットの前記内側空間の軸方向中間位置からの距離が大きいほど当該ユニットにおける円盤状体の外径及び環状体の内径が大きく設定されていることを特徴とする磁気力場発生装置。
  2. 中空に巻回された超電導コイルと、この超電導コイルの中心軸に沿う内側空間を囲んで当該超電導コイルを保持するコイル保持部材とを備え、前記超電導コイルの通電により前記内側空間内の試料空間に磁気力場が発生するように構成された磁気力場発生装置において、前記内側空間のうちその軸方向中間位置を境界として少なくとも一方の領域に、前記超電導コイルにより形成される磁気力場を増強する材料からなる環状体と前記超電導コイルにより形成される磁気力場を増強する材料からなる円盤状体とが前記軸方向中間位置から遠い順に並設され、かつ、環状体及び円盤状体の材質が全て同じであるユニットが、当該ユニットの前記環状体及び前記円盤状体と前記超電導コイルと同軸となる位置で前記内側空間の軸方向に複数組配列されて前記各ユニットにその環状体と円盤状体とで囲まれる試料空間が形成されるとともに、これらのユニットにそれぞれ形成される試料空間での磁気力場の強さが全て略同一となるように、前記ユニットの前記内側空間の軸方向中間位置からの距離が大きいほど当該ユニットにおける円盤状体と環状体との軸方向距離が大きく設定されていることを特徴とする磁気力場発生装置。
  3. 請求項1または2記載の磁気力場発生装置において、前記試料空間を形成するユニットを3組以上含むことを特徴とする磁気力場発生装置。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の磁気力場発生装置において、前記各ユニットの環状体及び円盤状体が、強磁性体、前記超電導コイルにより形成される磁気力場と同じ向きに着磁した永久磁石、前記超電導コイルにより形成される磁気力場と同じ向きに着磁した超電導バルク体のうちのいずれかに該当するものであることを特徴とする磁気力場発生装置。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の磁気力場発生装置において、前記各ユニットは、当該ユニットを構成する環状体及び円盤状体を両者が特定の相対位置関係を保つように保持する保持体をそれぞれ備えることを特徴とする磁気力場発生装置。
  6. 請求項記載の磁気力場発生装置において、前記超電導コイルはその中心軸が上下方向を向く姿勢で配置されるものであり、前記各ユニットは前記超電導コイルの内側空間の軸方向に相互積み重ねられて配置されていることを特徴とする磁気力場発生装置。
  7. 請求項記載の磁気力場発生装置において、前記ユニットには、前記内側空間のうちその軸方向中間位置よりも上側の領域に配置される複数のユニットを含み、かつ、これらの
    ユニットでは、前記環状体の内側を通して前記円盤状体上に試料が載置可能となる位置に当該環状体及び円盤状体が保持されていることを特徴とする磁気力場発生装置。
  8. 請求項または記載の磁気力場発生装置において、前記各ユニットとともに前記内側空間内に上側から挿入可能であり、かつ、前記コイル保持部材の上端に係止された状態で前記各ユニットを吊下げ状態で支持する吊下げ支持部材を備えたことを特徴とする磁気力場発生装置。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の磁気力場発生装置において、前記内側空間の軸方向中間位置を挟んでその軸方向に相互対称となる位置に前記各ユニットが配置され、かつ、当該軸方向中間位置を境界として少なくとも一方の領域におけるユニットにそれぞれ前記試料空間が形成されていることを特徴とする磁気力場発生装置。
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