JP4550117B2 - 推進システム用カップリング - Google Patents

Description

本発明は、プロペラシャフトの第１シャフト部分と第２シャフト部分との間に配置されるべき、船舶の推進システム用のカップリングであって、第２半径方向表面に面する第１半径方向表面を含み、第１及び第２の半径方向表面は、第１及び第２のシャフト部分の延在軸線方向に対して横断方向であり、第１及び第２の半径方向表面は、軸線方向で係合した状態に連結でき、軸線方向で係合解除した状態に外すことができる、カップリングに関する。

請求項１の前段部分に開示した種類の推進システム用カップリング装置は、通常は船舶について使用され、詳細には、緊急状況又は補助的状況の場合に主駆動源の連結を外すために使用される。こうした状況では、推進システムは副駆動源によって駆動される。

概括的に述べると、このようなカップリング装置は手動又は液圧のいずれかで作動される。手動式カップリング装置の場合には、カップリングの連結を外すこと及び再度連結することに時間がかかり、これは、作業者にとってきつい仕事であることを意味する。更に、このような手動式カップリング装置についての嵌着及び許容差が重要であり、従って、製造に費用がかかり、正確に組み立てることを必要とする。

ドイツ国特許第ＤＥ１０２３５２８６号には、駆動機械とプロペラとの間を分離したり駆動連結したりするためのプロペラシャフトクラッチが記載されている。このクラッチは、外側に歯が設けられたカップリングハブと、このカップリングハブ上で軸線方向に変位自在の内側に歯が設けられたカップリングスリーブとを備えた、歯を備えた液圧作動式カップリングである。このような液圧作動式カップリング装置の構造は、一般的には、複雑であり、高価である。液圧作動式カップリング装置に関する別の問題点は、多くの場合、重量が大きく且つ空間を必要とする設計であるということである。

従って、船舶の推進システム用の改良カップリング装置が必要とされており、詳細には、作動に適しており且つ費用対効果に優れた態様で製造できるカップリング装置が必要とされている。

本発明の目的は、プロペラシャフトの第１シャフト部分と第２シャフト部分との間に配置するのに適した、推進システム用カップリングを提供することである。通常の作動中に連結でき且つ緊急時又は補助的作動中に連結を外すことができる推進システム用カップリングを提供することである。

本発明の別の目的は、上述の問題点を少なくとも部分的に解消するカップリングを提供することである。

以下の説明で明らかになるこれらの及び他の目的は、添付の特許請求の範囲に記載の特徴を持つカップリングによって達成される。

本発明の第１の特徴によれば、プロペラシャフトの第１シャフト部分と第２シャフト部分との間に配置されるべき、船舶の推進システム用のカップリングであって、第２半径方向表面に面する第１半径方向表面を含み、第１及び第２の半径方向表面は、第１及び第２のシャフト部分の延在軸線方向に対して横断方向であり、第１及び第２の半径方向表面は、軸線方向で係合した状態に連結でき、軸線方向で係合解除した状態に外すことができる、カップリングにおいて、第１及び第２の半径方向表面は、軸線方向で係合した状態で、第１半径方向表面及び第２半径方向表面の夫々に配置された向き合った凹所に装着され且つ第１及び第２の半径方向表面と実質的に平行に差し向けられた剪断力を吸収する少なくとも一つの剪断力支持エレメントによって互いに対して回転に関して固定され、向き合った凹所の各々は、互いに面する開放端を有し、少なくとも一つの剪断力支持エレメントは、軸線方向で係合した状態で、凹所の各々の近くに設けられた軸線方向衝合面に当接し、第１半径方向表面と第２半径方向表面との間に間隔を提供する、カップリングが提供される。

本発明の特定的な利点は、カップリングの連結を外すこと及び再連結することを快適に実行できるということである。詳細には、カップリングの連結を外す最中に解放するのが困難な機械部品の危険を減少し、これによって、カップリングの連結を外すこと及び再度連結することを手早く行うことができるカップリングが提供される。

本発明の別の利点は、一方のシャフト部分が回転しており且つ他方のシャフト部分が静止している場合に適当なスラスト負荷を支持できるカップリングが提供されるということである。別の利点は、角度及び整合が或る程度不正であっても、推進システムの作動中に吸収できるということである。

本発明の更に別の利点は、機能上の要件を満たす、空間をとらない構造を持つカップリングが提供されるということである。更に、この空間をとらない構造により、従来技術と比較してかなり軽量のカップリングが提供される。

更に、本発明の一つの利点は、製造が有利に進められるカップリングが提供されるということである。

少なくとも一つの実施形態では、各凹所の近くの衝合面は、前記凹所の下面又はカップリングの半径方向面のいずれかによって提供される。別の態様では、衝合面は、少なくとも一つの剪断力支持エレメントの対応する特徴と軸線方向で接触するのに適した任意の他の特徴によって提供されてもよい。

少なくとも一つの好ましい実施形態によれば、軸線方向で係合した状態は、主に軸線方向負荷を支持する少なくとも一つの機械的エレメントによって達成される。少なくとも一つの機械的エレメントは、好ましくは、ボルト又は他の従来の締結手段として提供されてもよい。別の態様では、少なくとも一つの機械的エレメントは、クランプ、フック、ばね等として提供されてもよい。しかしながら、少なくとも一つの機械的エレメントの主な目的は、軸線方向負荷を支持し、第１及び第２の半径方向表面を軸線方向で連結することである。

有利には、向き合った凹所の各々は、その対応する半径方向表面の周縁を通って延びる開口部を持つように構成されている。更に、向き合った凹所の各々は、好ましくは、その対応する半径方向表面の半径方向に主延長部を有する。

本発明の好ましい実施形態では、向き合った凹所は、第１及び第２の半径方向表面の周縁を通って配置された半径方向に延びる少なくとも一つの穴として設けられている。

前記凹所を、半径方向表面の周縁を通る開放端を持つように構成することにより、剪断力支持エレメントを前記凹所に挿入したり取り外したりすることを容易に行うことができる。一実施形態では、前記凹所の各々は、対応する半径方向表面に向かって差し向けられた開放端と、前記半径方向表面から遠ざかる方向に差し向けられた閉鎖端とを有する。

好ましくは、前記少なくとも一つの剪断力支持エレメントは、ドエルピン等の細長い円筒形エレメントとして形成されている。好ましい実施形態によれば、第１及び第２の半径方向表面は、軸線方向で係合した状態で、少なくとも３個の剪断力支持エレメントによって、好ましくは少なくとも６個の剪断力支持エレメントによって、特に少なくとも１０個の剪断力支持エレメントによって互いに対して回転に関して固定されている。

好ましくは、前記少なくとも一つの剪断力支持エレメントは、軸線方向で係合した状態で、第１及び第２の半径方向表面を軸線方向に締め付けることによって、凹所に関して所定位置に維持される。剪断力支持エレメントは、これによって、向き合った表面にしっかりと装着される。本発明の一つの好ましい実施形態では、第１及び第２の半径方向表面を互いに締め付けたとき、半径方向延長部を持つ少なくとも一つの剪断力支持エレメントが第１及び第２の半径方向表面間にしっかりとクランプされる。

本発明の少なくとも一つの別の実施形態によれば、前記向き合った凹所は、第１及び第２の半径方向表面に対し、軸線方向に延びるように構成されている。従って、少なくとも一つの剪断力支持エレメントは、好ましくは、軸線方向に延びる。好ましくは、前記凹所のうちの少なくとも一方に、前記衝合面を構成するねじ山が、対応する半径方向表面の近くに設けられている。

有利には、少なくとも一つの剪断力支持エレメントが、一方の半径方向表面に配置された通し穴に螺着されており且つ他方の半径方向表面の向き合った凹所に軸線方向に当接してもよい。別の実施形態では、少なくとも一つの剪断力支持エレメントが、ねじ山を備えた通し穴を備えた他方の半径方向表面に面する半径方向表面と軸線方向で当接してもよい。

少なくとも一つの好ましい実施形態によれば、少なくとも一つの軸線方向ベアリング装置が、第１シャフト部分と第２シャフト部分との間に軸線方向力伝達インターフェースを構成する。好ましくは、軸線方向ベアリング装置をカップリングの第２の向き合った表面に押し付けるために、少なくとも一つのばねエレメントが軸線方向ベアリング装置とカップリングの第１の向き合った表面との間に設けられている。

前記少なくとも一つの軸線方向ベアリング装置は、カップリングが係合解除状態にあるとき、第１半径方向表面と第２半径方向表面との間に低摩擦相対回転運動を提供し、軸線方向力を第１シャフト部分と第２シャフト部分との間で伝達する。好ましくは、カップリングには、軸線方向力を二つの方向で伝達できる二つの軸線方向ベアリングが設けられている。

有利には、軸線方向で係合解除した状態で、第１シャフト部分と第２シャフト部分との間で軸線方向力を伝達するために、中間ハウジングが配置されている。前記中間ハウジングは、カップリングが前記軸線方向で係合解除した状態にあるとき、第１シャフト部分と第２シャフト部分とを軸線方向で連結する軸線方向力伝達エレメントを構成する。好ましくは、中間ハウジングは、係合解除状態で回転しないようになったシャフト部分の一方に取り付けられているが、逆の関係も可能であるということは理解されよう。

少なくとも一つの実施形態によれば、軸線方向で係合解除した状態で、第１シャフト部分と第２シャフト部分との間で軸線方向力を伝達するために、ディスク状部分が中間ハウジングと協働するように配置されている。ディスク状部分は、好ましくは、ハウジング、又は中間ハウジングとディスク状部分との間に配置された任意の装置の接触面と当接するように構成されている。好ましくは、上述の少なくとも一つの軸線方向ベアリングがディスク状部分と中間ハウジングとの間に設けられ、ディスク状部分と中間ハウジングとの間に低摩擦相対回転移動を達成する。一つの好ましい実施形態によれば、軸線方向力を二方向で低摩擦で伝達するために、軸線方向ベアリングがディスク状部分の各側に設けられていてもよい。ディスク状部分は、中間ハウジングとの相互作用を支持する限り、幾つかの随意の方法で形成してもよいということは当業者には明らかである。

一実施形態によれば、中間ハウジングは、通常の作動中、カップリングの駆動シャフト部分に配置され、ディスク状部分は被駆動シャフト部分に配置される。

少なくとも一つの実施形態では、軸線方向で係合解除した状態での第１シャフト部分と第２シャフト部分との間の軸線方向遊隙は、軸線方向で係合した状態での第１半径方向表面と第２半径方向表面との間の間隔よりも小さい。従って、第１及び第２の半径方向表面は、カップリングが軸線方向で係合解除した状態にあるとき、互いに接触しない状態に保持され、軸線方向力は、好ましくは、ディスク状部分及び中間ハウジングによって第１及び第２のシャフト部分間で伝達される。

追加の一つの好ましい実施形態によれば、軸線方向で係合解除した状態では、向き合った凹所に装着された少なくとも一つの剪断力支持エレメントを取り外すことによって、第１及び第２の半径方向表面のうちの少なくとも一方が他方に関して自由に回転するようになっている。更に、前記第１及び第２の半径方向表面は、少なくとも一つのボルトによって、好ましくは３本のボルトによって、特定的には６本よりも多いボルトによって軸線方向で係合した状態に連結できる。有利には、少なくとも一つのボルトは、少なくとも部分的に自由に嵌着されている。１つの好ましい実施形態では、前記少なくとも一つのボルトは、一方の半径方向表面に配置された通し穴に自由に嵌着し、他方の半径方向表面に設けられた向き合った穴と螺合する。この場合、第１及び第２の半径方向表面は、軸線方向に連結できる。本願では、「自由に嵌着した」という用語は、ボルトが剪断力を実質的に支持しておらず、主に軸線方向力を支持する状態を定義するのに使用されるということに着目されたい。これによって、剪断力は、カップリングが軸線方向で係合した状態にあるとき、実質的に、少なくとも一つの剪断力支持エレメントによって支持される。

本発明の好ましい実施形態によれば、通常の作動中、軸線方向で係合した状態では、第１及び第２のシャフト部分によって駆動される発電機として電気装置を作動でき、電気装置は、補助的作動中又は緊急作動中、軸線方向で係合解除した状態では、第１及び第２のシャフト部分を駆動するモータとして作動できる。本発明によるカップリングは、特に船舶の共通のシャフトシステムに容易に適合できる。

本発明の実施形態を添付図面を参照して以下に例として説明する。

図１ａ乃至図２に示す船舶の推進システム用のカップリング１は、プロペラシャフトの第１シャフト部分３と第２シャフト部分５との間に配置され、前記シャフト部分３、５のうちの一方に連結された第１フランジ部分７と、前記シャフト部分３、５のうちの他方に連結された第２フランジ部分９と、前記第１及び第２のフランジ部分７、９間に設けられた中間ハウジング１１とを備えている。

図１ａ及び図１ｂに示す実施形態によれば、第２シャフト部分５は、主エンジン（図示せず）に連結された駆動シャフト部分であり、第１シャフト部分３は、推進システムの通常の作動中に第２シャフト部分５によって駆動できる被駆動シャフト部分である。例えば、第１被駆動シャフト部分３は、推進システムのプロペラを作動するように構成されている。しかしながら、シャフト部分３、５間の関係は逆であってもよく、その場合、第１シャフト部分３は駆動シャフト部分であってもよく、第２シャフト部分５は被駆動シャフト部分であってもよいということは当業者に明らかである。

第１シャフト部分３には、ディスク状部分１３が設けられている。このディスク状部分１３は、第１シャフト部分３の先端の近くに配置されている。更に、第１シャフト部分３には、前記第１フランジ部分７が設けられている。この第１フランジ部分７は、ディスク状部分１３の内側に配置されている。第２シャフト部分５には前記第２フランジ部分９が設けられている。この第２フランジ部分９は、第２シャフト部分５の先端の近くに配置されている。ディスク状部分１３及びフランジ部分７、９のいずれかが、シャフト部分３、５の一体の部分として設けられていてもよく、又はシャフト部分３、５に別体の部品として取り付けられていてもよいということに留意されたい。

中間ハウジング１１が第２フランジ部分９に取り付けられている。好ましくは、中間ハウジング１１は、第２フランジ部分９に、ボルト１５又は他の従来の締結手段によって連結される。本発明の別の実施形態では、中間ハウジング１１は第２シャフト部分５の一体の部品を構成してもよい。追加として、中間ハウジング１１は１つの連続した部品として設けられていてもよいし、幾つかの組み立てられた部品で形成されていてもよい。しかしながら、ここでも、関係を逆にしてもよく、その場合、中間ハウジング１１を第１シャフト部分３に連結してもよく、ディスク状部分１３を第２シャフト部分５に連結してもよいということに留意されたい。

第１シャフト部分３に設けられた前記第１フランジ部分７は、第１半径方向表面１７を有し、中間ハウジング１１は、第２半径方向表面１９を有し、これらの第１及び第２の半径方向表面１７及び１９は、互いに向き合うように配置されている。前記第１及び第２の半径方向表面１７及び１９は、第１及び第２のシャフト部分３及び５に関してこれらのシャフト部分を横断するように配置されている。更に、第１半径方向表面１７及び第２半径方向表面１９は、ボルト又は他の従来の締結手段等の機械的エレメント２１によって、軸線方向で係合した状態に連結でき且つ軸線方向で係合解除した状態に取り外すことができる。本発明の別の実施形態では、半径方向表面１７及び１９は、クランプ、ばね、フック、等の他の機械的手段によって軸線方向に固定されていてもよいということに着目されたい。更に、フランジをイヤー(ears)等の他の手段に代えてもよい。

図１ａ及び図１ｂによれば、第１半径方向表面１７には、凹所２３が設けられており、この凹所は、第２半径方向表面１９に設けられた凹所２５と向き合って面する。向き合った凹所２３及び２５からなる各対は、カップリング１が軸線方向で係合した状態にあるとき、剪断力支持エレメント２７を受け入れるようになっている。剪断力支持エレメント２７は、凹所２３及び２５に装着されたとき、前記半径方向表面１７及び１９と実質的に平行に差し向けられた力を吸収することによって、第１及び第２の半径方向表面１７及び１９を互いに対して回転に関して固定する。剪断力支持エレメント２７の形状及び機能は、以下に更に詳細に説明する幾つかの随意の方法で提供される。

図１ａ及び図１ｂに示す本発明の例示の好ましい実施形態では、カップリング１が軸線方向で係合した状態にあるとき、凹所２３及び２５に装着された剪断力支持エレメント２７により、第１及び第２の半径方向表面１７及び１９間に間隔２９が形成される。第１及び第２の半径方向表面１７及び１９間の前記間隔２９は、凹所２３及び２５の深さが限られており、及びかくして前記剪断力支持エレメント２７を挿入したときに前記半径方向表面間が接触しないため、形成される。このため、前記間隔２９の寸法は、凹所２３、２５の形状及び剪断力支持エレメント２７の形状によって決定される。第１及び第２の半径方向表面１７及び１９間の間隔２９は、好ましくは、１ｍｍよりも大きく、詳細には、３ｍｍよりも大きく、特定的には５ｍｍよりも大きい。

軸線方向で係合した状態では、回転運動が第１シャフト部分３から第２シャフト部分５に伝達される。好ましい実施形態では、本発明によるカップリング１は、軸線方向で係合した状態では、回転トルクを、主エンジンに連結された駆動シャフト部分と、プロペラに連結された被駆動シャフト部分との間で伝達するのに使用される。

カップリング１は、ボルト２１を外すことによって、軸線方向で係合解除した状態に連結を外すことができ、この状態では、剪断力支持エレメント２７を半径方向表面１７、１９に設けられた凹所２３、２５に装着した位置から取り外すことができる。前記軸線方向で係合解除した状態では、第１シャフト部分３が第２シャフト部分５に関して自由に回転するように、及び第２シャフト部分５が第１シャフト部分３に関して自由に回転するように構成される。本発明の好ましい実施形態によれば、緊急時に、又は補助的作動で、軸線方向で係合解除した状態を使用してもよい。緊急状態又は補助的状態中の係合解除状態では、第１シャフト部分３は、モータ（図示せず）として作動する電動装置によって駆動されてもよい。この電動装置は、好ましくは、通常の作動中には、第１シャフト部分３によって駆動される発電機として作動してもよい。

カップリングが軸線方向で係合解除した状態にある場合には、図２に示すように、第１シャフト部分３及び第２シャフト部分５は軸線方向で接触したままである。軸線方向で係合解除した状態では、ディスク状部分１３と中間ハウジング１１との間の協働によって、第１シャフト部分３と第２シャフト部分５との間で軸線方向力が伝達される。ディスク状部分１３は、第１接触面３１と第２接触面３３との間で中間ハウジング１１内に収容される。従って、軸線方向力がシャフト部分３、５のうちの一方が回転しており且つ他方が静止した状態で伝達される。船舶に設置された場合には、このことは、カップリング１が係合解除状態にあるとき、プロペラからの軸線方向スラストが主エンジンのスラストベアリングに伝達されるということを意味する。

図２に示すように、好ましくは、軸線方向ベアリング装置３５がディスク状部分１３の各側に設けられる。これらの軸線方向ベアリング装置３５は、カップリング１が係合解除状態にあるとき、軸線方向力を第１シャフト部分３と第２シャフト部分５との間で伝達するための軸線方向力伝達インターフェースとして機能する。好ましくは、少なくとも一つのばねエレメント３７がディスク状部分１３と軸線方向ベアリング３５の各々との間に設けられる。軸線方向ベアリング３５は、中間ハウジング１１の第１及び第２の接触面３１、３３の夫々に押し付けられる。適当には、ばねエレメント３７、好ましくはコイルばねは、ディスク状部分１３に配置された凹所３９に装着される。更に、軸線方向ベアリング３５は、カップリングが係合解除状態にある場合、第１シャフト部分３と第２シャフト部分５との間に低摩擦相対回転状態を提供する。

半径方向遊隙は、図１ａ、図１ｂ、及び図２でわかるように、好ましくは、中間ハウジング１１と軸線方向ベアリング３５との間に形成される。軸線方向ベアリング３５は、単に、第１及び第２の接触面３１、３３を介して中間ハウジング１１と接触しているだけである。

第１接触面３１は、好ましくは、中間ハウジング１１の内周面として形成された第１シェルフによって形成される。第１接触面３１は、中間ハウジング１１の中央に向かう方向に延長部を有する。別の態様では、第１接触面３１は、一つ又は幾つかの突出部分として形成されていてもよい。更に、シェルフは、中間ハウジング１１と一体の部品として形成されていてもよいし、中間ハウジング１１の内側に嵌着されるべき別体の部品として形成されていてもよい。同様に、第２接触面３３は、好ましくは、中間ハウジング１１の内周面として形成された第２シェルフによって形成される。別の態様では、第２シャフト部分５の第２フランジ部分９によって形成されていてもよい。第１及び第２の接触面３１、３３により、第１シャフト部分３と第２シャフト部分５との間で、カップリング１の両軸線方向で軸線方向力を伝達できる。

カップリング１が係合解除状態にある場合、好ましくは、ディスク状部分１３と中間ハウジング１１との間に軸線方向遊隙４１が形成され、これによりディスク状部分１３が中間ハウジング１１に対して軸線方向に移動できる。図２に示す１つの好ましい実施形態では、ディスク状部分１３と軸線方向ベアリング３５との間に軸線方向遊隙４１が形成される。カップリング１が係合解除状態にある場合の第１シャフト部分３と第２シャフト部分５との間の軸線方向遊隙４１は、カップリング１が係合状態にある場合の第１半径方向表面１７と第２半径方向表面１９との間の間隔２９よりも小さい。従って、係合解除状態にある場合には、第１半径方向表面１７と第２半径方向表面１９との間を接触させることなく、第１シャフト部分３と第２シャフト部分５との間で力を軸線方向で伝達できる。この場合、半径方向表面１７、１９の少なくとも一方が、他方から独立して回転できる。

本発明の特に好ましい実施形態によれば、係合状態にある場合の第１及び第２の半径方向表面１７、１９間の間隔２９は５ｍｍよりも大きく、係合解除状態にある場合の第１及び第２のシャフト部分３、５間の軸線方向遊隙４１は１ｍｍよりも小さい。

図１ａ及び図１ｂによる本発明の実施形態では、剪断力支持エレメント２７は、例えばボルト２１又は上文中に言及した他の締結手段によって第１及び第２の半径方向表面１７、１９を軸線方向に締め付けることによって、半径方向表面１７、１９間の装着位置に維持される。従って、向き合った凹所２３、２５に装着された剪断力支持エレメント２７は、半径方向表面１７、１９間にクランプされる。図１ａ及び図１ｂに示す剪断力支持エレメント２７は、ドエルピン等の細長い円筒形エレメントとして形成されている。剪断力支持エレメントは、球、正方形、又は矩形のピン、テーパしたピン、等の幾つかの様々な形状を備えていてもよいということに着目されるべきである。この場合、向き合った凹所２３及び２５は、前記剪断力支持エレメント２７を適切に受け入れることができるように適当な形状を備えている。

図１ｂによれば、向き合った凹所２３及び２５の各々は、好ましくは、第１及び第２の半径方向表面１７、１９と平行な方向に延びる穴の部分として形成される。凹所２３、２５は、好ましくは、開放端が第１及び第２の半径方向表面１７、１９の周縁を通って延びるように構成されている。これによって、剪断力支持エレメント２７を第１及び第２の半径方向表面１７、１９の周縁の開口部を通して挿入できる。挿入したとき、半径方向表面１７、１９を互いに締め付けて軸線方向で係合した状態にする。有利には、半径方向表面１７、１９の周縁を越えて突出するようになった部分が剪断力支持エレメント２７に設けられる。この場合、突出部分は、剪断力支持エレメント２７を凹所２３、２５から取り外す場合又は凹所２３、２５に挿入する場合に使用される適当な保持インターフェースを提供する。

図１ａ乃至図２に示す凹所２３、２５は、好ましくは、離間エレメント（図示せず）を第１及び第２の半径方向表面１７、１９間に配置した状態で、これらの表面を軸線方向で連結することによって形成される。連結後、半径方向穴を半径方向表面１７、１９の周縁を通してカップリング１の中央に向かって半径方向に穿孔する。好ましくは、凹所２３、２５は、半径方向表面１７、１９の周縁に沿って互いから実質的に等間隔に間隔が隔てられている。

向き合った凹所２３、２５と剪断力支持エレメント２７との間で適当に嵌着する形態を得るため、好ましくは、前記穿孔穴にリーマ仕上げを施す。これは、直径の適当な許容差を得るためである。凹所２３、２５を形成した後、第１及び第２の半径方向表面１７、１９間の離間エレメントを取り外し、及び従ってこれらの半径方向表面１７、１９間に剪断力支持エレメント２７が位置決めされた状態で半径方向表面１７、１９を軸線方向で連結してもよい。

本発明の好ましい実施形態では、第１半径方向表面１７及び第２半径方向表面１９は、少なくとも３個の剪断力支持エレメント２７によって、好ましくは６個の剪断力支持エレメント２７によって、特定的には少なくとも１０個の剪断力支持エレメント２７によって、互いに対して回転しないように固定される。

図１ａ及び図１ｂを参照すると、第１及び第２の半径方向表面１７、１９を軸線方向で連結するためのボルト２１には、好ましくは、第１フランジ部分７を通る少なくとも部分的に自由に嵌着された延長部が設けられている。ボルト２１が自由に嵌着した構成は、カップリング１が軸線方向で係合した状態にある場合、ボルト２１が剪断力を実質的に吸収しないということを意味する。ボルト２１が自由に嵌着した構成には、とりわけ、対応するボルト穴の形成中の許容差に関する重要性が低いという利点がある。

ボルト２１には、好ましくは、電気抵抗ヒータ等の加熱エレメントが設けられている。例えば、軸線方向に延びる穴４３がボルト２１の各々の中央に配置されている。穴２１は、ボルト頭部の端面を通る開放端を備えていてもよい。前記加熱エレメント（図示せず）は、ボルト２１の前記穴に挿入されるようになっている。ボルト２１を緩めようとする場合、加熱エレメントを作動させ、これによるボルト２１の軸線方向熱膨張によりボルト２１の係合解除を容易にする。これは、予備張力をなくすことにより容易になるのである。これによって、ボルト２１を容易に且つ迅速に緩めることができる。

本発明の別の実施形態によれば、半径方向に延びる凹所２３、２５及び剪断力支持エレメント２７は、螺合されていてもよい。

更に別の実施形態では、半径方向に延びる剪断力支持エレメント２７の凹所２３、２５内での挿入深さを変化してもよく、その場合、剪断力支持エレメント２７はカップリング１の釣り合いをとるための釣り合い重りとして使用されてもよい。

図３に示す別の実施形態によれば、軸線方向で係合した状態にある場合の第１及び第２の半径方向表面１１７、１１９間の間隔１２９は、軸線方向に延びる剪断力支持エレメント１２７によって提供される。前記軸線方向に延びる剪断力支持エレメント１２７は、適当には、テーパした端部を持つ円筒形ドエルピンとして形成される。これらのドエルピンは、第２半径方向表面１１９に設けられた対応する形状を持つ凹所１２５に装着される。更に、軸線方向に延びる剪断力支持エレメント１２７は、好ましくは、第１半径方向表面１１７に設けられた凹所１２３のねじ山を備えた連結部に装着される。図３に示す実施形態では、剪断力支持エレメント１２７の各々にはねじ山が設けられており、第１シャフト部分１０３のフランジ部分１０７に軸線方向通し穴として設けられた凹所１２３に配置される。前記ねじ山を備えた軸線方向通し穴の係合深さが、第１半径方向表面１１７を越えて突出した前記剪断力支持エレメント１２７の部分の長さを決定し、これと対応して、軸線方向で係合した状態での第１及び第２の半径方向表面１１７、１１９間の間隔１２９を前記突出長さによって決定する。

更に、本発明の１つの別の実施形態では、剪断力支持エレメント２７；１２７は、弾性材料で形成されていてもよく、又は弾性材料で形成された表面層を備えていてもよい。弾性材料により、剪断力支持エレメント２７；１２７は、カップリング１；１０１が軸線方向で係合した状態にあり、第１及び第２の半径方向表面１７；１１７、１９；１１９間にクランプされたとき、変形する。かくして、剪断力支持エレメント２７；１２７の形態が凹所２３；１２３及び２５；１２５と良好に適合してもよく、凹所の許容差の精度が低くてもよい。

上述のように、剪断力支持エレメント２７；１２７の形状は、幾つかの随意の方法で提供されてもよい。同様に、凹所２３；１２３及び２５；１２５の形状は、幾つかの随意の方法で提供されてもよい。例えば、凹所２３；１２３及び２５；１２５は、Ｖ字溝として形成されていてもよく、球形の凹所の部分として形成されていてもよく、円形の穴として形成されていてもよく、テーパした穴として形成されていてもよい。この場合、剪断力支持エレメント２７；１２７は形態が、対応する凹所２３；１２３及び２５；１２５と適当に適合する対応する形状を備えていてもよい。

図１ａは、軸線方向で係合した状態の本発明によるカップリングの部分断面概略図である。 図１ｂは、図１ａのＩ−Ｉ線での断面図である。 図２は、軸線方向で係合解除した状態の図１によるカップリングの部分断面概略図である。 図３は、本発明によるカップリングの別の実施形態の部分断面概略図である。

Claims (19)

1. プロペラシャフトの第１シャフト部分（３）と第２シャフト部分（５）との間に配置される、船舶の推進システム用のカップリング（１）であって、第２半径方向表面（１９）に面する第１半径方向表面（１７）を含み、前記第１及び第２の半径方向表面（１７、１９）は、前記第１及び第２のシャフト部分（３、５）の延在軸線方向に対して横断方向であり、前記第１及び第２の半径方向表面（１７、１９）は、軸線方向で係合した状態に連結でき且つ軸線方向で係合解除した状態に外すことができる、カップリング（１）において、
   前記第１及び第２の半径方向表面（１７、１９）は、前記第１半径方向表面（１７）及び前記第２半径方向表面（１９）の夫々に配置された向き合った凹所（２３、２５）に装着され且つ前記第１及び第２の半径方向表面（１７、１９）に対して実質的に平行に差し向けられた剪断力を吸収する少なくとも一つの剪断力支持エレメント（２７）によって、前記軸線方向で係合した状態で、互いに対して回転に関して固定され、前記向き合った凹所（２３、２５）の各々は、互いに面する開放端を有し、前記軸線方向で係合した状態で、前記少なくとも一つの剪断力支持エレメント（２７）は、前記凹所（２３、２５）の各々の近くに設けられた軸線方向衝合面に当接して、前記第１半径方向表面（１７）と前記第２半径方向表面（１９）との間に間隔（２９）を提供し、前記軸線方向で係合解除した状態での前記第１シャフト部分（３）と前記第２シャフト部分（５）との間の軸線方向遊隙（４１）は、前記軸線方向で係合した状態での前記第１半径方向表面（１７）と前記第２半径方向表面（１９）との間の前記間隔（２９）よりも小さい、カップリング（１）。
2. 請求項１に記載のカップリング（１）において、前記軸線方向で係合した状態は、主に軸線方向負荷を支持する少なくとも一つの機械的エレメント（２１）によって達成される、カップリング（１）。
3. 請求項１又は２に記載のカップリング（１）において、前記向き合った凹所（２３、２５）の各々は、その対応する半径方向表面（１７、１９）の周縁を通って延びる開口部を持つように構成されている、カップリング（１）。
4. 請求項１、２、又は３に記載のカップリング（１）において、前記向き合った凹所（２３、２５）の各々は、その対応する半径方向表面（１７、１９）の半径方向に主延長部を有する、カップリング（１）。
5. 請求項１乃至４のうちのいずれか一項に記載のカップリング（１）において、前記向き合った凹所（２３、２５）は、前記第１及び第２の半径方向表面（１７、１９）の周縁を通って配置された少なくとも一つの半径方向に延びる穴として設けられている、カップリング（１）。
6. 請求項１乃至５のうちのいずれか一項に記載のカップリング（１）において、前記少なくとも一つの剪断力支持エレメント（２７）は、ドエルピンのような細長い円筒形エレメントとして形成されている、カップリング（１）。
7. 請求項１乃至６のうちのいずれか一項に記載のカップリング（１）において、前記第１及び第２の半径方向表面（１７、１９）は、前記軸線方向で係合した状態で、少なくとも３個の剪断力支持エレメント（２７）によって、好ましくは少なくとも６個の剪断力支持エレメント（２７）によって、特に少なくとも１０個の剪断力支持エレメント（２７）によって互いに対して回転に関して固定されている、カップリング（１）。
8. 請求項１乃至７のうちのいずれか一項に記載のカップリング（１）において、前記少なくとも一つの剪断力支持エレメント（２７）は、前記軸線方向で係合した状態で、前記第１及び第２の半径方向表面（１７、１９）を軸線方向に締め付けることによって、前記凹所（２３、２５）に関して所定位置に維持される、カップリング（１）。
9. 請求項１、２、又は３に記載のカップリング（１）において、前記向き合った凹所（２３、２５）は、前記第１及び第２の半径方向表面（１７、１９）に対して軸線方向に延びるように構成されている、カップリング（１）。
10. 請求項９に記載のカップリング（１）において、前記凹所（２３、２５）の一方に、前記衝合面を構成するねじ山が設けられている、カップリング（１）。
11. 請求項１乃至１０のうちのいずれか一項に記載のカップリング（１）において、少なくとも一つの軸線方向ベアリング装置（３５）が、前記第１シャフト部分（３）と前記第２シャフト部分（５）との間に軸線方向力伝達インターフェースを構成する、カップリング（１）。
12. 請求項１１に記載のカップリング（１）において、前記軸線方向ベアリング装置（３５）を前記カップリングの第２の向き合った表面に押し付けるために、少なくとも一つのばねエレメント（３７）が前記軸線方向ベアリング装置（３５）と前記カップリングの第１の向き合った表面との間に設けられている、カップリング（１）。
13. 請求項１乃至１２のうちのいずれか一項に記載のカップリング（１）において、前記軸線方向で係合解除した状態で前記第１シャフト部分（３）と前記第２シャフト部分（５）との間で軸線方向力を伝達するために中間ハウジング（１１）が配置されている、カップリング（１）。
14. 請求項１３に記載のカップリング（１）において、前記軸線方向で係合解除した状態で、前記第１シャフト部分（３）と前記第２シャフト部分（５）との間で軸線方向力を伝達するために、ディスク状部分（１３）が前記中間ハウジング（１１）と協働するように配置されている、カップリング（１）。
15. 請求項１４に記載のカップリング（１）において、前記中間ハウジング（１１）は駆動シャフト部分に配置され、前記ディスク状部分（１３）は被駆動シャフト部分に配置されている、カップリング（１）。
16. 請求項１乃至１５のうちのいずれか一項に記載のカップリング（１）において、前記軸線方向で係合解除した状態では、前記向き合った凹所（２３、２５）に装着された前記少なくとも一つの剪断力支持エレメント（２７）を取り外すことによって、前記第１及び第２の半径方向表面（１７、１９）のうちの少なくとも一方が他方に関して自由に回転するようになっている、カップリング（１）。
17. 請求項１乃至１６のうちのいずれか一項に記載のカップリング（１）において、前記第１及び第２の半径方向表面（１７、１９）は、少なくとも一つのボルト（２１）によって前記軸線方向で係合した状態に連結できる、カップリング（１）。
18. 請求項１７に記載のカップリング（１）において、前記少なくとも一つのボルト（２１）は、少なくとも部分的に自由に嵌着されている、カップリング（１）。
19. 請求項１乃至１８のうちのいずれか一項に記載のカップリング（１）において、通常の作動中、電気装置が、前記軸線方向で係合した状態で前記第１又は第２のシャフト部分（３、５）によって駆動される発電機として作動可能であり、前記電気装置は、補助的又は緊急作動中、前記軸線方向で係合解除した状態で前記第１又は第２のシャフト部分（３、５）を駆動するモータとして作動可能である、カップリング（１）。

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