JP4549568B2 - 管推進機の連結管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、配管等を地中に埋設施工するに際し、地面を開削せずにトンネルを築造するために使用される管推進機の連結管に関するものであって、特に、連結管の直進性を向上させた管推進機の連結管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電話線が挿入される通信用配管、下水道やガスの配管等の各種配管を地中に埋設する場合、複数の連結管本体が屈曲自在に接続された連結管を配管埋設箇所に繰り出し、管推進機を使用して連続的に推進させた後に引き戻すことにより、地面を開削せずにトンネルを築造し、その部分に配管を押し込み埋設する非開削工法が採用されている。
【0003】
そして、このような非開削工法に用いられる管推進機の連結管として、特開平11−117668号公報に開示されているようなものが知られている。この発明は、連結管本体の長手方向の両端に設けられた接続部によって連結管本体同士を屈曲自在に接続し、連結管本体上をスライドして接続部をカバーするスライドカバーで、後続する連結管本体を直線的に固定するものである。
【0004】
すなわち、管推進機は油圧ジャッキとスライドテーブルとからなっている。ここで、連結管を繰り出すには、まず、先行する連結管本体をスライドテーブル上にセットする。この時、後続する連結管本体は先行する連結管本体との接続部で屈曲し、垂直に立った状態となっている。そして、油圧ジャッキでテーブルをスライドさせ、先行の連結管本体をガイドに従って繰り出し、地中に圧入するのである。次に、油圧ジャッキを戻してテーブルを逆方向にスライドさせる際に、後続する連結管本体の角度を徐々に寝かせ、スライドテーブルが元の位置に戻った時に、後続の連結管本体がスライドテーブル上にセットされるようにする。すると今度は後続の連結管本体が先行の連結管本体となり、上記の動作を繰り返すことにより、連続的に連結管本体を繰り出すのである。
【0005】
そして、連結管本体のスライドカバーは、先行の連結管本体が地中を推進する際に土圧による摩擦抵抗を受けてその場所に留まる結果、先行する連結管本体と後続の連結管本体との接続部をカバーし、後続する連結管本体のストッパーによって係止されるまで相対的にスライドする。従って、前後の連結管本体同士はスライドカバーによって直線的に固定され、剛性が確保されるので、連結管本体は直線的に推進するのである。なお、後続する連結管本体のストッパーによって係止されたスライドカバーは、その後、後続の連結管本体と一緒に推進する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の管推進機の連結管は、地中への圧入が進むにつれて連結管が曲がってしまい、トンネルを直線的に築造できないという不具合が発生することがあった。すなわち、油圧ジャッキで先行する連結管本体を繰り出す際、地中にある連結管の先端は大きな土圧を受ける。そして、障害物の存在や土圧の変化によって連結管の直進が妨げられると、連結管の先端が圧力の低い側に逃げようとして連結管本体同士の接続部を少しづつ曲げるのである。従って、接続部が多いほど先端の曲がりが大きくなり、5m先では約1mもの曲がりが発生することもあった。
【0007】
この現象は、図4に示すように、主に連結管本体1とスライドカバー2との隙間に起因して前後の連結管本体1が角度θを生ずることによるものであるから、この隙間を小さくすれば連結管の直進性が向上する。ところがこの隙間を小さくすると、スライドカバーの先端が後続の連結管本体に接触しやすくなり、スライドカバー内面の上下部分が後続する連結管本体の外面と噛み合って、それ以上スライドできなくなってしまうという問題が生じる。また、隙間を小さくして製作すると、生産性及び経済性が悪化するという問題もある。
【0008】
そこで本発明は、スライドカバーが円滑に先行の連結管本体上をスライドし、先行する連結管本体と後続の連結管本体との接続部を確実にカバーすることを確保しつつ、連結管の直進性を大幅に向上させることができる管推進機の連結管を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたものであって、その要旨は、一方の連結管本体の接続部と他方の連結管本体の接続部とを連結材で屈曲自在に接続し、両接続部をスライドカバーでカバーすると連結管本体同士が直線的に固定されるようにした管推進機の連結管であって、両接続部に開口する連結材の挿入孔の少なくとも一方を連結管本体の長手方向に長く開口し、かつ、連結管本体同士の固定時に両接続部の端面同士が平面的に接触するようにした管推進機の連結管に係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の管推進機の連結管は複数の連結管本体を連結材で接続したものであるが、接続部は個々の連結管本体の長手方向の両端に設けられており、築造するトンネルの長さに合わせて必要なだけ連結管本体を接続できるようになっている。そして、連結管本体上のスライドカバーで接続部をカバーすることにより、連結管本体相互を直線的に固定する。なお、スライドカバーは、連結管本体に設けられたストッパーによって、スライドが所定の位置で止まるようになっている。
【0011】
ここで、連結管本体は管推進機によって順次繰り出され、地中に圧入されるものである。そのため、連結管本体は土圧による摩擦抵抗を受けながら地中を推進する。従って、連結管本体には相応の強度が要求されることから、一般的には炭素鋼が使用されている。一方、前後の連結管本体は、先行する連結管本体の推進に合わせてその都度接続されるため、作業性の観点から軽量であることが望まれる。
【0012】
そこで、連結管本体はアルミニウムとし、その表面に陽極酸化処理をしたものとすることが好ましい。アルミニウムとすることによって軽量化が図れ、作業性が大幅に向上するからであり、アルミニウムを採用することに伴う表面の強度低下は、陽極酸化処理によって補うことができるからである。
【0013】
なお、連結管本体が撓むと直進性が悪化する。そのため、連結管本体の材質はヤング率の高いものが好ましく、この点でアルミニウムよりもチタニウムやスチールが有利である。但し、チタニウムは経済面で、スチールは重量面で不利になるので、土質やトンネル長等に応じて適宜材質を選択すればよい。
【0014】
また、連結管本体の長手方向の両端には接続部が設けられている。すなわち、連結管は管推進機へのセットと繰り出しの容易性を考慮して屈曲自在となされるが、そのために前後の連結管本体を接続部で回転可能に接続するのである。ここで、連結管本体同士は、互いの接続部に設けられている挿入孔を一致させ、挿入孔に連結材を嵌め込んで接続する。連結材としては、一般的なボルト・ナット等によるネジ止めを用いることもできるが、T字状のピンを接続部に挿入し、止め輪をピンの一端に嵌め込んで接続することが好ましい。前後の連結管本体は、トンネル築造時には順次接続して繰り出され、その後は引き戻されて回収されるので、接続及び離脱作業が頻繁で、作業の容易性が求められるからである。
【0015】
このように屈曲自在となされた連結管は、スライドカバーによって直線的に固定される。すなわち、スライドカバーが連結管本体の推進に合わせて連結管本体上をスライドし、接続部をカバーする。従って、前後の連結管本体の屈曲がスライドカバーによって制限され、直線的に固定されるのである。
【0016】
ここで、スライドカバーが接続部を越えてスライドしないように、連結管本体にはストッパーが設けられる。すなわち、スライドカバーが先行する連結管本体をスライドして接続部に達すると、後続する連結管本体のストッパーに突き当たり、丁度接続部をカバーした状態で係止され、その後は後続する連結管本体と一緒に推進するのである。
【0017】
なお、スライドカバーは当初、油圧ジャッキで先行する連結管本体を繰り出す際にスライドテーブルに設けられた突起によって移動が止められ、先行する連結管本体上をスライドして後続する連結管本体との接続部に至る。また、その後は連結管本体が地中を推進する際の土圧による摩擦抵抗を受け、接続部に留まる。そのため、スライドカバーには連結管の接続部における屈曲に耐え得る強度が要求され、かつ、作業性の観点から軽量であることが要求される。そこで、スライドカバーもアルミニウムの表面に陽極酸化処理したものとすることが好ましい。なお、撓み防止の観点からヤング率の高いものが好ましい点も連結管本体の場合と同様である。
【0018】
そして本発明の最大の特徴は、連結材の挿入孔が連結管本体の長手方向に長く開口しており、かつ、連結管本体同士の固定時に接続部と接続部の端面同士が平面的に接触することにある。従って、たとえ連結管本体の接続部とスライドカバーとが隙間を有していても、接続部の端面同士が密着して前後の連結管本体が角度を有さず、連結管の直進が保持される。
【0019】
すなわち、前後の連結管本体の接続部同士が端面で平面的に接触するようになっていると、土中で先行する連結管には土圧が作用し、後続の連結管は油圧ジャッキで繰り出されるので、接続部の端面同士が密着して離れず平面接触が維持される。その結果、連結管本体とスライドカバーとの隙間にかかわらず、前後の連結管本体が角度を持たないのである。
【0020】
ただし、先行する連結管本体を管推進機のスライドテーブル上に水平にセットした際は、後続する連結管本体が垂直に立った状態となっていなければならないので、接続部の端面同士が常時平面的に接触していると後続する連結管本体を水平にする際に支障が出る。そこで、連結材の挿入孔を連結管本体の長手方向に長く開口させておく必要が生じる。
【0021】
すなわち、管推進機へのセット時は挿入孔の一端に連結材を寄せて位置させ、接続部の端面を引き離すことで屈曲を許容するのである。なお、挿入孔の開口長さは、連結材が上記の位置にある場合に前後の連結管本体が屈曲自在となる長さにしておく。
【0022】
一方、先行する連結管本体が油圧ジャッキで繰り出されると、スライドカバーはスライドテーブルに設けられた突起によって移動が止められ、後続する連結管本体との接続部までスライドする。また、先行する連結管本体は連結材が挿入孔の他端に当たってから繰り出される。そして、この状態ではじめて接続部の端面同士が平面接触することになる。従って、本発明の連結管は、前後の連結管本体同士が管推進機へのセット時にだけ屈曲し、たとえスライドカバーと接続部とに隙間があっても、地中での推進時には曲がらないのである。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面により説明する。
図1は、本発明の連結管における連結管本体の接続部の一例を示す図である。ここで、連結管は、連結管本体1及びスライドカバー2により構成されている。そして、左側の連結管本体1の右端には接続部1Bが、右側の連結管本体1の左端には接続部1Aが設けられ、両者は連結材3で屈曲自在に接続されている。ただし、図1に示す連結管の推進状態においては、接続部1Bにおける長孔の挿入孔4の左端に連結材3が位置しており、接続部1Aと1Bの端面同士が平面的に接触しているので、左右の連結管本体1の間に角度はない。なお、接続部1Aと1Bの端面同士の接触は、図1のような垂直方向に限られず、斜めであってもよい。要は、左右の連結管本体1の間に角度が発生しないような接触であればよいのである。
【0024】
図2は、個々の連結管本体1及びスライドカバー2を示す図である。ここで、連結管本体1及びスライドカバー2は、それぞれアルミニウムの表面に陽極酸化処理したものからなる。そして、連結管本体1の両端にはそれぞれ接続部1A,1Bが設けられている。ここで、図2(A)に示すように、接続部1Aは接続部1Bの間に挿入可能な形状となっており、前後の連結管本体を相互に接続できるようになっている。
【0025】
すなわち、図2(C)に断面図で示すように、一方の連結管本体の接続部1Aが他方の連結管本体の接続部1Bの間に挟み込まれ、挿入されたT字状ピンからなる連結材3の一端に止め輪5が嵌め込まれて接続されている。従って、双方の連結管本体は連結材3を中心に屈曲自在となる。なお、連結材3もアルミニウムの表面に陽極酸化処理したものからなっている。
【0026】
また、図2(B)に示すように、接続部1Aに開口する挿入孔4は真円状であるが、接続部1Bに開口する挿入孔4は長円状になっている。そして、接続部1Aは、他の連結管本体からのスライドカバーが引っ掛からないように、先細り状に縮径されている。一方、接続部1Bは、スライドカバーの引っ掛かりとは無関係であるが、円柱状の連結管本体1に対して上下面を平坦に削っている。なお、真円状の挿入孔と長円状の挿入孔の関係は上記と逆であってもよく、両者とも長手方向に長く開口していてもよい。要は、連結管本体のいずれかの接続部に他の連結管本体を接続した際に両者が相対的に横移動できればよいのである。また、接続部の縮径は、スライドカバーが被さってくる側に形成すればよく、図2に示す実施例では、連結管本体の外径が35mmであるのに対し、接続部1Aの先端側の半円の直径は31mmとなっており、当該半円の中心線上で上下に約2mmだけ小さくなっている。
【0027】
更に、図2(D)に示すように、スライドカバー2は円筒状となっており、図の例では、全長に渡り一様な径を有している。このスライドカバー2は、連結管本体1上をストッパー1Cに突き当たるまでスライドする。
【0028】
次に、連結管本体及びスライドカバーの動作関係について説明する。図3に示す連結管は、連結管本体11,12,13,14及びスライドカバー21,22,23,24により構成されている。そして、連結管本体12の長手方向の両端にはそれぞれ接続部12A,12Bが設けられ、接続部12Aは先行する連結管本体11の接続部11Bと、接続部12Bは後続する連結管本体13の接続部13Aと屈曲自在に接続されている。また、連結管本体13の接続部13Bは更に後続する連結管本体14の接続部14Aと屈曲自在に接続されている。
【0029】
ここで、接続部12A,13A,14Aには真円状の挿入孔が開口し、接続部11B,12B,13Bには長円状の挿入孔41,42,43が開口しており、挿入孔41,42,43にはそれぞれ連結材31,32,33が嵌め込まれている。
【0030】
図3において、当初、連結管本体14のスライドカバー24は、ストッパー14C側に接触している。また、連結材33は長円状の挿入孔43の右寄りに位置しており、接続部13Bの端面と14Aの端面とが離れているので、連結管本体13と14の間には角度がある。
【0031】
そして、先行する連結管本体が左向きに繰り出されると、連結管本体12と13のように、前後の連結管本体が水平状態に近づく。また、スライドカバー22が図示しないスライドテーブルに設けられた突起によってその位置に留まり、接続部12B及び13Aをカバーするようになる。
【0032】
なお、この時、接続部12Bと13Aの間に角度があっても、スライドカバー22が被さってくる接続部13Aが縮径されているので、断面図で示すスライドカバー22の右端内面の上下部分は、連結管本体13の接続部13Aの外面に接触しない。従って、スライドカバー22は接続部13Aで引っ掛かることなく、円滑に連結管本体12上をスライドする。
【0033】
また、既に土中にある連結管本体11が土圧を受けているので連結管本体12の進行が妨げられ、連結材32が長円状の挿入孔42の左側に移動する。
【0034】
最後に、連結管本体11のスライドカバー21のように接続部11B及び12Aが完全にカバーされ、スライドカバー21が連結管本体12側のストッパー12Cに突き当たって係止して、連結管本体11及び12を直線的に固定する。しかも、接続部11Bと12Aの端面同士が平面的に接触し、連結管の推進中はこの状態が維持されるので、たとえスライドカバー21と接続部11B又は12Aとに隙間があっても連結管本体11と12が曲がることはない。なお、スライドカバー21は、連結管本体12と一緒に推進する。
【0035】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、連結材の挿入孔が連結管本体の長手方向に長く開口しており、かつ、連結管本体同士の固定時に接続部の端面同士が平面的に接触するので、たとえスライドカバーと接続部とに隙間があっても連結管本体同士が曲がることはなく、直進性に優れた連結管となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の管推進機の連結管を示す図である。
【図2】図2は、図1の連結管において、連結管本体及びスライドカバーを示す図である。
【図3】図3は、図1の連結管において、連結管本体及びスライドカバーの動作を示す図である。
【図4】図4は、従来の管推進機の連結管を示す図である。
【符号の説明】
1‥連結管本体
1A,1B‥接続部
1C‥ストッパー
2‥スライドカバー
3‥連結材
4‥挿入孔
5‥止め輪
11,12,13,14‥連結管本体
11B,12A,12B,13A,13B,14A‥接続部
12C,13C,14C‥ストッパー
21,22,23,24‥スライドカバー
31,32,33‥連結材
41,42,43‥挿入孔
Claims (1)
- 一方の連結管本体(1)の接続部(1A)と他方の連結管本体(1)の接続部(1B)とが連結材(3)で屈曲自在に接続され、接続部(1A)と接続部(1B)とをスライドカバー(2)でカバーすると連結管本体(1)同士が直線的に固定される管推進機の連結管であって、接続部(1A)及び接続部(1B)に開口する連結材(3)の挿入孔(4)の少なくとも一方が連結管本体(1)の長手方向に長く開口しており、かつ、連結管本体(1)同士の固定時に接続部(1A)と接続部(1B)の端面同士が平面的に接触することを特徴とする管推進機の連結管。
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JPH03176594A (ja) * | 1989-12-05 | 1991-07-31 | Kubota Corp | 推進工法用推進体 |
JPH0460091A (ja) * | 1990-06-28 | 1992-02-26 | Yoshida Tekkosho:Kk | 曲進型ボーリング装置 |
JPH11117668A (ja) * | 1997-10-13 | 1999-04-27 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 小口径推進用パイロット管及び自動繰り出し装置 |
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2001
- 2001-04-20 JP JP2001122330A patent/JP4549568B2/ja not_active Expired - Fee Related
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