JP4547127B2 - 電子ビーム溶解炉の覗き窓部およびその運転方法 - Google Patents

電子ビーム溶解炉の覗き窓部およびその運転方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ビーム溶解炉内部の溶融状態を監視するための覗き窓部およびその運転方法に係り、特に、長時間にわたり電子ビーム溶解炉内を安定して監視できる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子ビーム溶解炉は、その運転時に溶解金属中に含まれる不純物を低減する効果や脱ガス効果等に優れていることから、Ti,Zr,Ta等の高融点金属の溶解に盛んに利用されている。
【0003】
このような電子ビーム溶解炉の炉体には、覗き窓ガラスを設置し、この覗き窓ガラスから溶解炉の内部を監視して溶解出力を調節しながら金属の溶解を進めるという例がある。また、この覗き窓ガラスの内側に放射温度計を設置して溶解部の温度を測定することも試みられている。しかしながら、従来から採用されている技術では、生成した金属蒸気が付着することにより溶解開始から短時間で覗き窓ガラスが曇ってしまい、その後の炉内溶融部の監視が不可能になるという問題があった。
【0004】
そこで、近年においては、図1に示すように、電子ビーム溶解炉の覗き窓部の構成を、チャンバの外壁1により包囲された空間において電子ビーム溶解炉内溶融部側(図の左側)から保護ガラス2および覗き窓ガラス3が並列に配置され、保護ガラス3の上記溶融部側に複数のスリットを有する高速回転可能な金属製円板4が配置された構成としている。このような構成を採用することで、上記2枚のガラス2,3と金属製円板4に設けられたスリットを介して炉内溶融部を監視することができるとともに、炉内溶融部で生成した金属蒸気の覗き窓ガラス3への蒸着量を抑制することができる。図1に示すように、覗き窓ガラス3と金属製円板4との間に保護ガラス2を配置することで、覗き窓ガラス3への金属蒸気の蒸着は相当に抑制できる。しかしながら、この場合には保護ガラス2の炉内溶融部側に金属蒸気が蒸着し、これによりその後の炉内溶融部の監視が不可能になるという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するため、図1に示すようなスリット入り金属製円板4に対向して回転可能なガラス円板を設置し、覗き窓ガラスに対向したガラス面が曇った場合には、上記ガラス円板を回転移動させて金属蒸気が蒸着していない部分のガラス面を覗き窓ガラスの視野に合わせて長時間使用する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−156437号公報(2〜4頁、図1,図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、すべてのガラス面に金属蒸気が付着した後には、覗き窓ガラスがもはやその本来の機能を果たし得なくなるという問題がある。このため、上記特許文献1に記載された技術を採用した際に、すべてのガラス面に曇りが生じた場合には、溶解作業を中断してガラス板の交換をしなければならなかった。このため、近年においては、長時間にわたり電子ビームによる金属溶解を安定して監視し得る電子ビーム溶解炉の覗き窓部およびその運転方法の技術開発が要請されていた。
【0008】
本発明は、上記要請に鑑みてなされたものであり、長時間にわたり電子ビームによる金属溶解を安定して監視し得る電子ビーム溶解炉の覗き窓部およびその運転方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子ビーム溶解炉の覗き窓部は、チャンバ内に、内側から保護ガラスおよび覗き窓ガラスが並列に配置され、前記保護ガラスの内側に複数のスリットを有する高速回転可能な円板が配置された電子ビーム溶解炉の覗き窓部において、前記チャンバの外部から前記保護ガラスに向けて不活性ガスを供給する複数の開口を有するドーナツ状の環状ノズルを、前記回転円板に対して炉内側に設けたことを特徴としている。
【0010】
本発明の電子ビーム溶解炉の覗き窓部では、覗き窓ガラス、保護ガラスおよび金属製円板に設けられたスリットを介して、外部から溶解炉の溶融部を監視することができる。特に本発明では、チャンバの外部から複数の開口を有するドーナツ状の環状ノズルを介し、保護ガラスに向けて不活性ガスを供給することにより、不活性ガスを保護ガラス自体に当てることで、保護ガラスの曇りを抑制することができるとともに、不活性ガスを保護ガラスとチャンバの外壁との間の隙間を介して覗き窓ガラス側に送って覗き窓ガラスに到達させることで、覗き窓ガラスの曇りを抑制することができる。さらに、覗き窓ガラスに達した不活性ガスを真空引きされている電子ビーム溶解炉溶融部側に送り込むことで、金属蒸気の保護ガラスへの到達を不活性ガスにより抑制することができるため、保護ガラスおよび覗き窓ガラスの曇りを十分に抑制することができる。したがって、本発明の覗き窓部によれば、長時間にわたり金属溶解炉内を安定して監視することができる。なお、上記円板を高速回転可能とすることで、この円板に送風機としての役割を担わせることができる。
【0011】
このような電子ビーム溶解炉の覗き窓部においては、上記した複数のスリットを有する高速回転可能な円板に、フィンを設けることが望ましい。例えば、フィンを円板の保護ガラス側の表面に設けた場合には、保護ガラスとチャンバの外壁との間の隙間を介して覗き窓ガラス側に不活性ガスを十分に送り込むことで、不活性ガスを覗き窓ガラスに十分に到達させることができ、これにより覗き窓ガラスの曇りをより高いレベルで抑制することができる。また、フィンを円板の炉内溶融部側の表面に設けた場合には、覗き窓ガラスに達した不活性ガスを電子ビーム溶解炉溶融部側に十分に送り込むことができ、これにより金属蒸気の保護ガラスへの到達をより高いレベルで抑制することができるため、保護ガラスおよび覗き窓ガラスの曇りをより一層抑制することができる。
【0012】
このようなフィンは、上記のとおり、高速回転可能な円板の保護ガラス側の表面と炉内溶融部側の表面との少なくとも一方に取り付けることができる。また、フィンの数および形状は覗き窓部における不活性ガスの所期した流れを実現すべく、適宜に定めることができる。なお、以上に示した電子ビーム溶解炉の覗き窓部においては、溶融部からの輻射熱を抑制するために、保護ガラスと覗き窓ガラスとの間に耐熱ガラスを設置することも、作業者の視界をさらによくすることができる点で好ましい。
【0013】
次に、本発明の電子ビーム溶解炉の覗き窓部の運転方法は、上記した覗き窓部を好適に運転する方法であり、チャンバ内に、内側から保護ガラスおよび覗き窓ガラスが並列に配置され、前記保護ガラスの内側に複数のスリットを有する円板が配置された電子ビーム溶解炉の覗き窓部の運転方法であって、前記円板を高速回転させるとともに、前記保護ガラスに向けてチャンバの外部から不活性ガスを供給し、前記不活性ガスを前記保護ガラスとチャンバの外壁との間の隙間を介して覗き窓ガラスに側に送り、覗き窓ガラスに達した不活性ガスを電子ビーム溶解炉溶融部側に送り込むことを特徴としている。
【0014】
本発明の電子ビーム溶解炉の覗き窓部の運転方法によれば、チャンバの外部から保護ガラスに向けて不活性ガスを供給することにより、不活性ガスを保護ガラス自体に当てることで、保護ガラスの曇りを抑制することができるとともに、不活性ガスを保護ガラスとチャンバの外壁との間の隙間を介して覗き窓ガラスに側に送って覗き窓ガラスに到達させることで、覗き窓ガラスの曇りを抑制することができる。さらに、覗き窓ガラスに達した不活性ガスを真空引きされている電子ビーム溶解炉溶融部側に送り込むことで、金属蒸気の保護ガラスへの到達を不活性ガスにより抑制することができるため、保護ガラスおよび覗き窓ガラスの曇りを十分に抑制することができる。したがって、本発明の電子ビーム溶解炉の覗き窓部の運転方法によれば、長時間にわたり金属溶解炉内を安定して監視することができる。なお、このような電子ビーム溶解炉の覗き窓部の運転方法においては、不活性ガスをアルゴンガスとすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の電子ビーム溶解炉の覗き窓部の一の実施形態を示す断面図であり、図中符号11は覗き窓部の空間を包囲するチャンバの外壁である。外壁11には、不活性ガスが流通可能な程度の隙間(図示せず)をもって保護ガラス12が取り付けられている。また、保護ガラス12の炉内溶融部側とは反対側(同図において右側)の外壁には、鉛ガラスからなる覗き窓ガラス13が保護ガラス12と平行に取り付けられている。
【0016】
また、図2中、保護ガラス12の炉内溶融部側には、金属製円板14が配置されている。金属製円板14は、複数のスリットを有し、モータMにより高速回転可能である。図3は、図2に示した保護ガラス12と覗き窓ガラス13とスリット入り金属製円板14との一の組み合わせを炉内溶融部側(図2の左側)から見た図である。この例では、金属製円板14には4つのスリット14aが円周方向に等間隔に形成されている。
【0017】
図4は、図2に示した保護ガラス12と覗き窓ガラス13とスリット入り金属製円板15との他の組み合わせを炉内溶融部側(図2の左側)から見た図である。この例では、金属製円板15には4つのスリット15aが円周方向に等間隔に形成されているとともに、金属製円板15の両面に4つのフィン15bが円周方向に等間隔に形成されている。
【0018】
さらに、図2において、保護ガラス12の炉内溶融部側の空間Sには、チャンバ外部から不活性ガスを供給する供給ノズル16,17が設けられている。図示していないが、供給ノズルは上記したものの他に、チャンバの外部から空間Sに連通するように、外壁11の側方(紙面の方向)において対向する2本がさらに設けられている。供給ノズル16(17)は、下方(上方)から上方(下方)に向かってアルゴンガス等の不活性ガスを供給し、図示していない2本の供給ノズルは、紙面の手前側(奥側)から奥側(手前側)に向かって不活性ガスを供給する。このような構成を採用することで、保護ガラス12の全周方向から均等に不活性ガスを供給することができる。
【0019】
次に、上記構成の電子ビーム溶解炉の覗き窓部が奏する作用効果について説明する。
図2に示す覗き窓部の運転時には、不活性ガスが上記4本の供給ノズルから空間Sを介して保護ガラス12に送られ、次に不活性ガスは保護ガラス12とチャンバの外壁11との間の隙間を介して覗き窓ガラス13まで到達する。その後、溶解炉溶融部側が真空引きされているため、覗き窓ガラス13に到達した不活性ガスは炉内溶融部側に送られ、全体として不活性ガスの流れを層流に保つことができる。このため、炉内溶融部側に不可性ガスを効率的に送り込むことができる。したがって、金属蒸気の空間Sへの侵入を低減することができるので、保護ガラス12と覗き窓ガラス13の曇りを抑制することができる。
【0020】
なお、図2に示した例によれば、供給ノズルの数は4本であるが、供給ノズルの数はこれに限られるものではなく、さらに多く設置することもできる。ただし、その数の過度な増大は、覗き窓部の構造が複雑になるので製造上有利でない。
このため、供給ノズルの数は4〜6本程度とすることが実用上好ましい。また、各供給ノズルの先端は、空間Sに隣接して配置することが好ましい。このような配置態様を採用することで、不活性ガスを保護ガラス側に十分に送ることができることから、保護ガラス12の曇りをさらに抑制することができ、また後述する金属製円板15の高速回転作用と相まって、不活性ガスの炉内溶融部側への送り込みがさらに加速されるため、炉内溶融部で発生した金属蒸気が保護ガラス12に到達することをさらに抑制することができる。
【0021】
また、電子ビーム溶解炉の覗き窓部の運転時における金属製円板14,15の回転数は、覗き窓ガラス13の外側から監視者が見得る内部の明るさと覗き窓ガラス13の曇り具合とから適宜決定する必要がある。また、金属製円板14,115は、空間Sに供給された不活性ガスを覗き窓ガラス13へ一旦送り、さらに炉内溶融部側へ送り込む送風機としての役割も担うため、その回転数は、不活性ガスの必要送風量も考慮して決定すべきである。金属製円板14,15の回転数が過度に大きい場合には、溶解炉内溶融部を確実に監視することはできるものの、保護ガラス12が炉内溶融部から飛散してくる金属蒸気に曝される時間が延びることから、覗き窓ガラス13への金属蒸気の付着速度が増加して好ましくない。一方、金属製円板14,15の回転数が過度に小さい場合には、金属蒸気の覗き窓ガラス13への蒸着速度は小さいものの、溶解炉内溶融部が監視し難いという問題がある。したがって、これらのバランスを考慮して、金属製円板14,15の回転数は適宜選択しなければならない。なお、金属製円板14,15の回転数を変化させることができる可変装置を別途設けた場合には、種々の状況に迅速かつ的確に対応することができるので好ましい。
【0022】
また、特に図4に示した金属製円板15を使用した場合には、円板15の保護ガラス側に取り付けられたフィン15bにより、保護ガラス12とチャンバの外壁11との間の隙間を介して覗き窓ガラス側に不活性ガスを十分に送り込むことで、不活性ガスを覗き窓ガラス13に十分に到達させることができ、このため覗き窓ガラス13の曇りをより高いレベルで抑制することができる。また、円板15の炉内溶融部側に取り付けられたフィン15bにより、覗き窓ガラス13に達した不活性ガスを電子ビーム溶解炉溶融部側に十分に送り込むことができ、このため金属蒸気の保護ガラス12への到達をより高いレベルで抑制することができるため、保護ガラス12および覗き窓ガラス13の曇りをより一層抑制することができる。
【0023】
さらに、金属の溶解開始時には、保護ガラス12の曇りが比較的少ないため、金属製円板14,15の回転数を視界が確保される範囲で小さくして覗き窓部の運転を行うことが望ましい。このような運転態様を採用した場合には、炉内溶融部で生成する金属蒸気と保護ガラス12との接触時間が少なく、曇り抑制に有効である。 ただし、運転時間の経過とともに保護ガラス12は曇る傾向にあるので、曇りの程度に応じて、スリット入り金属製円板14,15の回転数を増加させることで、不活性ガスの炉内溶融部側への送り込みの活性化による金属蒸気の保護ガラス12への到達をさらに抑制するとともに、監視者に対して単位時間当たりスリットの出現率を増大させて必要な視界を確保することが望ましい。
【0024】
以上に説明した図2の構造を有する覗き窓部のより好適な態様を以下に示す。
保護ガラス12は円板状とするとともに、スリット入り金属製円板14,15の回転軸の周りに回転できる構造とすることがさらに好ましい。覗き窓部の運転時には、保護ガラス12の覗き窓ガラス13に対向する面が曇って視野が確保されなくなる場合がある。このような場合には、上記構成を採用することで、外部から保護ガラス12を回転させて曇りの少ないガラス面を覗き窓ガラス13の位置に対向させることにより、より明るい視野を確保することができる。
【0025】
また、保護ガラス12と覗き窓ガラス13とで囲まれた空間を密閉状態とすることが好ましい。例えば、図2に示すように、保護ガラス12と、外壁11に装着された耐熱ゴム等からなるパッキンPとを密着させることで、金属蒸気の覗き窓ガラス13への蒸着を一層低減することができる。なお、このような電子ビーム溶解炉の覗き窓部においては、溶融部からの輻射熱を抑制するために、保護ガラス12と覗き窓ガラス13との間に耐熱ガラス(図示せず)を設置することも、作業者の視界をさらによくすることができる点で好ましい。
【0026】
さらに、覗き窓部に供給する不活性ガスは、例えばアルゴンガスとすることができる。このアルゴンガスは、水分その他の不純物ガスを予め除去しておくことが好ましい。例えば、市販のアルゴンガスを高温に加熱されたチタン材と予め接触させることで、アルゴンガス中の不純物を効率的に除去することができる。
【0027】
上記アルゴンガスは、若干加熱して空間Sに供給することが有効な場合がある。例えば、冬季に電子ビーム溶解炉を運転させる場合には、冷却されたアルゴンガスが覗き窓ガラス13に衝突した場合に覗き窓ガラス13が冷却されて覗き窓ガラス13の外側のガラス面に結露を生し、これにより炉内の監視を安定して行うことができない場合があるからである。
【0028】
また、覗き窓部の運転時には、アルゴンガスの流量を増加させることで、アルゴンガスを保護ガラス12および覗き窓ガラス13により多く送り、これによりこれらのガラス12,13の曇りをさらに抑制することができるとともに、覗き窓ガラスに一旦到達した不活性ガスをより多く炉内溶融部側に送り込み、これによって金属蒸気の保護ガラス12への到達をさらに抑制し、保護ガラス12の曇りを一層抑制することができる。ただし、アルゴンガスの流量を過度に多くした場合には、炉内溶融部の真空度を劣化させる原因となるので、炉内圧力のバランスを考慮しながら、最適なアルゴンガス流量を適宜選定することが望ましい。
【0029】
図5は、本発明の電子ビーム溶解炉の覗き窓部の他の実施形態を示す断面図であり、図2に示した覗き窓部とは不活性ガスの供給態様を異にするものである。
なお、図5においては、図2と同様の符号を付した構成要素についての説明は省略する。図5に示す態様では、図2に示すように外部から不活性ガスを供給する供給ノズルを内部空間に連通する構成を採用せず、金属製円板18の外周側でかつ幾分炉内溶融部側に配置され、複数の開口(図5においては上下2個の開口19a)を有するドーナツ状の環状ノズル19から、保護ガラス12に向けて不活性ガスを送り込むことができる構造としている。同図における態様においては、ドーナツ状の環状ノズル19の開口19aは、保護ガラス12に向かって不活性ガスを送り込むことができるように、水平方向に対して幾分傾斜した構造とされている。なお、図5においては、外部から環状ノズル19までの不活性ガスの供給路は図示していない。この供給路については、従来技術を適宜選択して適用することができる。このような構造を採用した場合には、保護ガラス12の曇りを不活性ガスにより効率的に抑制することができる。なお、開口19aの径と数は、図5に示したものに限られるものではなく、不活性ガスの必要流量等に応じて適宜設計変更することができる。以上により、図5に示す構造の覗き窓部を使用した場合にも、長時間にわたり金属溶解炉内を安定して監視することができる。
【0030】
図6は、本発明の電子ビーム溶解炉の覗き窓部の他の実施形態を示す断面図であり、図5に示した覗き窓部の変形例を示すものである。なお、図6においては、金属製円板18のスリット18a部分に対向する複数の開口(図6においては上下2個の開口20a)を有するドーナツ状の環状ノズル20から、金属製円板18のスリット20aを介して保護ガラス12に不活性ガスを送り込むことができる構造としている。図6に示す構造の覗き窓部を使用した場合には、図5に示す構造に覗き窓部を使用した場合に比して、不活性ガスを保護ガラス12に向けてより効果的に供給することができるため、さらに長時間にわたり金属溶解炉内を安定して監視することができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
比較例1
図3に示す構造の各構成部材12,13,14を備える図2に示した構造の覗き窓部を有し、出力が2000kwである電子ビーム溶解炉を運転してチタン材を溶製し、チタンインゴットを得た。このような電子ビーム溶解炉を運転するにあたり、円周方向に等間隔に配置された4本の供給ノズルからアルゴンガスを保護ガラス12に向けて供給するとともに、スリット入り金属製円板14を高速回転させてアルゴンガスを覗き窓ガラス13に一旦到達させた後、炉内溶融部側へ送り込んだ。その結果、10tのインゴットを12本溶製したところで、溶解を終了して保護ガラスを調べたところ若干の曇りはあったがその程度は再使用には問題ないレベルであった。
【0032】
実施例1
図3に示した各構成部材12,13,14を備える図5に示した構造の覗き窓部を有し、出力が2000kwである電子ビーム溶解炉を運転してチタン材を溶製し、チタンインゴットを得た。このような電子ビーム溶解炉を運転させるにあたり、環状ノズル19の開口19aから保護ガラス13に向けてアルゴンガスを供給するとともに、スリット入り金属製円板18を高速回転させて、アルゴンガスを覗き窓ガラス13に一旦到達させた後、炉内溶融部側へ送り込んだ。その結果、10tのインゴットを12本溶製したところで溶解を終了して保護ガラスを調べたところガラス面への付着は殆ど認められなかった。
【0033】
比較例2
図1に示した構造の覗き窓部を有し、出力が2000kwである電子ビーム溶解炉を運転してチタン材を溶製し、チタンインゴットを得た。なお、覗き窓部の構成部材は図3に示すものと同様の構造のものを使用した。このような電子ビーム溶解炉を運転するにあたり、外部から保護ガラス2に向かってアルゴンガスを供給しなかった。その結果、10tのインゴットを3本溶製したところで、保護ガラス2の曇りにより炉内溶融部が見えなくなったので、保護ガラス2を交換した。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、チャンバ外部から保護ガラスに向けて不活性ガスを供給するとともに、不活性ガスを覗き窓ガラスに一旦到達させた後、炉内溶融部に送り込むことで、保護ガラスおよび覗き窓ガラスの曇りを抑制することができる。したがって、本発明の電子ビーム溶解炉の覗き窓部は、長時間にわたり電子ビーム溶解炉内を監視することができるため有望である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の覗き窓部を示す図である。
【図2】 本発明の覗き窓部の一の実施形態を示す断面図である。
【図3】 図2に示した保護ガラスと覗き窓ガラスとスリット入り金属製円板との一の組み合わせを炉内溶融部側から見た図である。
【図4】 図2に示した保護ガラスと覗き窓ガラスとスリット入り金属製円板との他の組み合わせを炉内溶融部側から見た図である。
【図5】 本発明の覗き窓部の他の実施形態を示す断面図である。
【図6】 本発明の覗き窓部の他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
11…外壁、12…保護ガラス、13…覗き窓ガラス、14,15…金属製円板、16,17…供給ノズル。

Claims (4)

  1. チャンバ内に、内側から保護ガラスおよび覗き窓ガラスが並列に配置され、前記保護ガラスの内側に複数のスリットを有する高速回転可能な円板が配置された電子ビーム溶解炉の覗き窓部において、前記チャンバの外部から前記保護ガラスに向けて不活性ガスを供給する複数の開口を有するドーナツ状の環状ノズルを、前記回転円板に対して炉内側に設けたことを特徴とする電子ビーム溶解炉の覗き窓部。
  2. 前記複数のスリットを有する高速回転可能な円板に、フィンを設けたことを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム溶解炉の覗き窓部。
  3. チャンバ内に、内側から保護ガラスおよび覗き窓ガラスが並列に配置され、前記保護ガラスの内側に複数のスリットを有する円板が配置された電子ビーム溶解炉の覗き窓部の運転方法であって、前記円板を高速回転させるとともに、前記保護ガラスに向けてチャンバの外部から、前記円板に対して炉内側に設けた複数の開口を有するドーナツ状の環状ノズルより不活性ガスを供給し、前記不活性ガスを前記保護ガラスとチャンバの外壁との間の隙間を介して覗き窓ガラス側に送り、覗き窓ガラスに達した不活性ガスを電子ビーム溶解炉溶融部側に送り込むことを特徴とする電子ビーム溶解炉の覗き窓部の運転方法。
  4. 前記不活性ガスがアルゴンガスであることを特徴とする請求項3に記載の電子ビーム溶解炉の覗き窓部の運転方法。
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