JP4546779B2 - 微量液体制御装置及びそれを用いた微量液体制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微量の液体を所定量供給しうる微量液体制御装置、それを用いたグラジエン
ト装置、液体クロマトグラフ、分析検出器、マイクロチップ及び微量液体制御装置を用い
た微量液体制御方法に関する。
従来より、クロマトグラフや電気泳動を用いて、化学的に分析する方法は広く利用され
ているが、これらの方法で正確に分析するためには、サンプル等の微量液体を定量的に取
り扱うことが必要とされている。
又、最近、マイクロチップを用いて微量なサンプルを分析する方法が盛んに研究されて
いるが、マイクロチップを用いる際にも微量なサンプル等を定量的に取り扱うことが必要
であり、微量液体を定量的に制御する方法が検討されている。
例えば、それぞれ所定の方向に延長される第1の流路ならびに第2の流路と、前記第1
の流路ならびに前記第2の流路のそれぞれの流路壁において開口して前記第1の流路と前
記第2の流路とを連結する前記第1の流路ならびに前記第2の流路の太さより細い第3の
流路とを有し、前記第1の流路に導入された液体が、前記1の流路の流路壁において開口
する前記第3の流路の開口部を介して毛細管現象により前記第3の流路内に引き込まれた
後、前記第1の流路に残留する前記液体を取り除き、前記第3の流路の容積に応じた体積
の液滴を作成する微量液体制御機構が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−357616号公報
上記微量液体制御機構では簡単な操作で液体を定量的に扱うことができるが、第3の流
路の容積に応じた体積の液滴を作成するのであるから、第3の流路の容積に応じた体積の
液滴しか定量できず、任意の量の液体を定量することはできなっかった。
又、高速液体クロマトグラフを用いて、溶離液の組成を順次変化して分離カラムに供給
し、分離カラムに保持された溶質を溶出する、所謂、グラジエント溶出法を利用した分析
方法は、短時間で分離できる、類似の構造の化学物質を分離できる等の長所を有している
ので広く使用されている。
上記高速液体クロマトグラフにおいては、溶離液の組成を順次変化して分離カラムに供
給することが必要であり、そのためのグラジエント装置が種々提案されている。
例えば、第1移動相を供給するラインと第2移動相を供給するラインの間にトラッピン
グカラムとミキシング機構を設け、第1移動相はトラッピングカラム、ミキシング機構の
順に通過させ、第2移動相はミキシング機構、トラッピングカラムの順に通過させる構成
とした液体クロマトグラフのグラジエント装置が提案されている(例えば、特許文献2参
照。)。
又、異なるグラジエント装置としては、(1)一定の流量で溶離液を流す高圧送液手段
と、(2)この高圧送液手段によって搬送される溶離液の流路を分岐させて、有機溶媒比
、pH、塩濃度その他の組成が異なる溶離液をそれぞれ各分岐流路中に所定量一時格納す
る溶離液格納手段と、(3)前記分岐流路に一時格納された溶離液を順次選択して分離カ
ラム側に搬送する溶離液選択手段からなる液体クロマトグラフのグラジエント装置が提案
されている(例えば、特許文献3参照。)。
特許第3225077号 特開2002−365272号公報
一方、部材中に微小流路、反応槽、液体クロマトグラフ、分析装置等を形成したマイク
ロチップは、少量の検体で容易に検査したり測定することができるので、最近、盛んに研
究されている。
このマイクロチップにおいて、液体クロマトグラフを使用する場合は、当然、分離液の
グラジエント装置が必要であるが、マイクロチップに搭載できるような小型のグラジエン
ト装置はなかった。
前者のグラジエント装置では、トラッピングカラムとミキシング機構が必須であり、又
、後者のグラジエント装置では、溶離液格納手段と溶離液選択手段が必須なので、グラジ
エント装置を小型化するのは困難であり、マイクロ流体デバイスに搭載できるように小型
化することはできなかった。
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、マイクロチップに搭載できるような小型であって、
任意の量の液体を定量的に高精度に計量することのできる微量液体制御装置及びそれを用
いた微量液体制御方法を提供することにある。
又、他の目的は、マイクロチップに搭載できるような小型であって、高精度にグラジエ
ント変化された溶離液を安定して供給することのできるグラジエント装置を提供すること
にある。
更に異なる目的は、上記微量液体制御装置及びグラジエント装置を用いた液体クロマト
グラフ、分析検出器及びマイクロチップを提供することにある。
請求項1記載の微量液体制御装置は、一端部が液体注入口であり、他端部が液体排出口である第1の流路と、一端部が第1の流路の流路壁に開口しており、他端部がパッシブバルブを介して、それぞれの第1のガスポンプに接続されている、第1の流路より細い、n個の第2の流路よりなり(nは2以上の整数)、第2の流路を容積の小さい流路から大きい流路に順次A1 、A2 、A3 ・・・An で表し、容積の最も小さい第2の流路A1 の容積がaである場合、第2の流路A1 、A2 、A3 ・・・An の容積がa×2n-1 であることを特徴とする。
請求項1記載の微量液体制御装置を図面を参照して説明する。図1は請求項1記載の微
量液体制御装置の一例を示す平面模式図である。尚、図1に記載の微量液体制御装置はn
=4の微量液体制御装置である。
図中1は第1の流路であり、一端部が液体注入口2となされ、他端部が液体排出口3と
なされている。第1の流路1の流路壁には第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 が開口して
おり、第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 の他端部はパッシブバルブ4、4・・を介して
第1のガスポンプ5、5・・に接続されている。
上記ガスポンプは、気体を排出・吸入しうるポンプであればよく、例えば、水素ポンプ
、エアシリンダー、ピストン等が挙げられ、マイクロチップ化する場合は水素ポンプが好
適に使用される。
第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 は第1の流路1より細くなされており、第1の流路
1に液体が供給されると、毛管現象により第1の流路1内の液体が第2の流路A1 、A2
、A3 、A4 に引き込まれ、第1の流路1内の残留液体を排除しても、第2の流路A1
2 、A3 、A4 内の液体は毛管現象により排出されることはない。
又、パッシブバルブ4、4・・は第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 より更に細くなさ
れており、気体は通過するが液体は加圧しない限り、通過することはないように設計され
ている。
第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 の容積は、第2の流路A1 の容積が最も小さく、次
1 、A2 、A3 、A4 の順に大きくなされている。容積の最も小さい第2の流路A1
容積をaで表すと、
第2の流路A2 の容積は、a×22-1 =2a
第2の流路A3 の容積は、a×23-1 =4a
第2の流路A4 の容積は、a×24-1 =8a
である。
請求項2記載の微量液体制御装置は、液体注入口と、液体注入口に最も近い位置に開口
している第2の流路の間の第1の流路に、液体注入口側から第1のバルブ及び第2のバル
ブが設置され、他端部に可逆性ガスポンプが接続された第3の流路の一端部が、第1のバ
ルブと第2のバルブの間の第1の流路の流路壁に開口していると共に第2のバルブと液体
注入口に最も近い位置に開口している第2の流路の間の第1の流路に第2のガスポンプが
接続されていることを特徴とする請求項1記載の微量液体制御装置である。
請求項2記載の微量液体制御装置を図面を参照して説明する。図6は請求項2記載の微
量液体制御装置の一例を示す平面模式図である。尚、図6に記載の微量液体制御装置はn
=4の微量液体制御装置である。
図中8基板であり、2枚の基板8内に微量液体制御装置が形成されている。
上記基板の素材は、特に限定されるものではなく、例えば、従来から使用されてきてい
る、ガラス、石英、シリコン等の無機材料や高分子樹脂が挙げられる。無機材料は精度、
加工性等が優れれており、例えば、半導体微細加工技術において広く用いられている光リ
ソグラフィー技術を利用すれば、ガラスやシリコン基板上にミクロンオーダーの溝を自在
に形成することができる。
又、高分子樹脂は、マイクロチップを大量に、容易に且つ安価に生産し、かつ容易に廃
棄でき、軽い、割れない等のメリットがあり、さらには、転写金型を利用した射出成形や
ホットプレス成形を行うことにより、非常に高い生産性にて表面に溝や孔を形成すること
が可能であることから、好適に用いられる。
上記高分子樹脂の種類は、特に限定されるものではないが、加熱により簡単に表面加工
出来るという点では、熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリス
チレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げ
られ、耐酸・アルカリ性を有する樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂やポリアクリル系
樹脂がより好ましい。
一方、熱硬化性樹脂は、加熱により可塑化して簡単に表面加工するという利点は有さな
いが、予め硬化剤等を混合した前駆体液を転写金型に導入しておき、その場硬化させるこ
とにより、樹脂表面を附形することが可能である。この場合、前駆体が液状のため、転写
金型の形状をより忠実に転写するという利点がある。又、一般に、静的に硬化された樹脂
は、低い線膨張率、低い成形収縮率を示すことからも、有利に用いることができる。この
ような熱硬化樹脂としては、コストや易取扱い性の点から、エポキシ樹脂を有利に用いる
ことができる。
図中1は第1の流路であり、一端部が液体注入口2となされ、他端部が液体排出口3と
なされている。第1の流路1の流路壁には第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 が開口して
おり、第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 の他端部はパッシブバルブ4、4・・を介して
第1のガスポンプ5、5・・に接続されている。
第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 は第1の流路1より細くなされており、第1の流路
1に液体が供給されると、毛管現象により第1の流路1内の液体が第2の流路A1 、A2
、A3 、A4 に引き込まれ、第1の流路1内の残留液体を排除しても、第2の流路A1
2 、A3 、A4 内の液体は毛管現象により排出されることはない。
又、パッシブバルブ4、4・・は第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 より更に細くなさ
れており、気体は通過するが液体は加圧しない限り、通過することはないように設計され
ている。
液体注入口2と、液体注入口2に最も近い位置に開口している第2の流路A4 の間の第
1の流路1に液体注入口2側から第1のバルブV1 及び第2のバルブV2 が設置され、第
1のバルブV1 と第2のバルブV2 の間の第1の流路1の流路壁に第3の流路9の一端部
が開口している。
第3の流路9の他端部には、可逆性ガスポンプ10が接続されており、可逆性ガスポン
プ10を作動させることにより、第3の流路9内に液体を可逆的に給排水できるようにな
されている。
又、第2のバルブV2 と液体注入口2に最も近い位置に開口している第2の流路A4
間の第1の流路1に第2のガスポンプ11が接続されている。
第1のバルブV1 、第2のバルブV2 、可逆性ガスポンプ10及びガスポンプ5、5・
・は、基板8の端部に設置された電極パッド13、13・・に導体リード14、14・・
により接続されており、電極パッド13、13・・を電源、コンピュータ等に接続するこ
とにより、制御作動するようになされている。
尚、第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 の容積は、微小であり、特に、マイクロチップ
で使用する場合は、それぞれ1pl〜100μlであるのが好ましい。
又、nは2以上の整数であり、nを大きくすると、供給する液体の制御範囲はは大きく
なるが、マイクロチップ化するのは困難になるので、nは一般に2〜20であり、好まし
くは4〜10である。
次に、上記微量液体制御装置を用いて微量液体を制御方法を説明する。
請求項12記載の微量液体制御方法は、請求項1記載の微量液体制御装置において、液
体注入口から液体を第1の流路に注入する第1の工程、第1の流路から毛管現象により液
体が第2の流路に引き込まれた後、第1の流路に残留する液体を排除する第2の工程、及
び、第1のガスポンプを作動させて第2の流路内の液体の所定量を第1の流路に排出し、
液滴を作成し、次いで、この液滴を第1の流路の液体排出口から排出する第3の工程から
なることを特徴とする。
請求項12記載の微量液体制御方法を図面を参照して説明する。図2は上記微量液体制
御装置の第1の流路に液体を供給した状態を示す平面模式図であり、図3は上記微量液体
制御装置の第1の流路から毛管現象により液体が第2の流路に引き込まれた状態を示す平
面模式図である。
図4は上記微量液体制御装置の第1の流路から毛管現象により液体が第2の流路に引き
込まれた後、第1の流路に残留する液体を排除した状態を示す平面模式図であり、図5は
上記微量液体制御装置の第2の流路に残留する液体を第1のガスポンプを作動させて第1
の流路に排出し液滴を作成した状態を示す平面模式図である。
第1の工程は、図2に示したように、微量液体制御装置の第1の流路1に液体注入口2
から液体6を供給する工程である。第1の流路1に液体6を供給すると液体6は毛管現象
により第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 に引き込まれる。
第2の工程は、図2に示したように、第1の流路1から毛管現象により液体が第2の流
路A1 、A2 、A3 、A4 に引き込まれた後、第1の流路1に残留する液体6を排除する
工程である。液体6を排除する方法は公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、液体
注入口2又は液体排出口3から加圧又は減圧する方法が採用される。
第1の流路1に残留する液体6を排除すると、図4に示したように、第2の流路A1
2 、A3 、A4 に液体が残留する。第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 は第1の流路1
より細くなされているので、第1の流路1内の残留液体を排除しても、第2の流路A1
2 、A3 、A4 内の液体は毛管現象により排出されることはない。
第3の工程は、図5に示したように、第1のガスポンプ5、5・・を作動させ、ガスを
パッシブバルブ4、4・・を通って第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 に供給して、第2
の流路A1 、A2 、A3 、A4 内の液体の所定量を第1の流路1に排出し、液滴7を作成
し、次いで、この液滴7を第1の流路1の液体排出口3から排出する工程である。
前述の通り、第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 の容積は、容積の最も小さい第2の流
路A1 の容積がa、第2の流路A2 の容積が2a、第2の流路A3 の容積が4a、第2の
流路A4 の容積が8aとなされているので、第2の流路A1 、A2 、A3 及びA4 を適宜
選択して、第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 内の液体を第1の流路1に排出することに
より、a〜15aの所定量の液滴7を作成することができる。
即ち、a〜15aの所定量の液滴7を作成するための第2の流路A1 、A2 、A3 、A
4 の組合せは以下の通りである。
第2の流路A1 =a
第2の流路A2 =2a
第2の流路A1 +A2 =3a
第2の流路A3 =4a
第2の流路A1 +A3 =5a
第2の流路A2 +A3 =6a
第2の流路A1 +A2 +A3 =7a
第2の流路A4 =8a
第2の流路A1 +A4 =9a
第2の流路A2 +A4 =10a
第2の流路A1 +A2 +A4 =11a
第2の流路A3 +A4 =12a
第2の流路A1 +A3 +A4 =13a
第2の流路A2 +A3 +A4 =14a
第2の流路A1 +A2 +A3 +A4 =15a
従って、n=5の場合には、A5 の容積がa×25-1 =16aとなり、a〜31aの所
定量の液滴7を作成することができ、n=6の場合には、A6 の容積がa×26-1 =32
aとなり、a〜63aの所定量の液滴7を作成することができる。
上記液滴7を第1の流路1の液体排出口3から排出することにより、次工程に所定量の
液体を制御して供給することができる。
請求項13記載の微量液体制御方法は、請求項2記載の微量液体制御装置において、第
1のバルブを開放し、第2のバルブを閉鎖して、液体注入口から第1の流路を介して第3
の流路に液体を注入する第1の工程、第1のバルブを閉鎖し、第2のバルブを開放すると
共に、可逆性ガスポンプを作動させて第3の流路内の液体を第1の流路に供給する第2の
工程、第1の流路から毛管現象により液体が第2の流路に引き込まれた後、可逆性ガスポ
ンプを作動させて、第1の流路に残留する液体を第3流路に吸引する第3の工程、第1の
ガスポンプを作動させて第2の流路内の液体の所定量を第1の流路に排出し、液滴を作成
する第4の工程、及び、第2のガスポンプを作動させて、この液滴を第1の流路の液体排
出口から排出する第5の工程からなることを特徴とする。
請求項13記載の微量液体制御方法を図面を参照して説明する。図7は請求項2記載の
微量液体制御装置の第3の流路に液体を供給した状態を示す平面模式図であり、図8は請
求項2記載の微量液体制御装置の第3の流路から第1の流路に液体を供給し、第1の流路
から毛管現象により液体が第2の流路に引き込まれた状態を示す平面模式図である。
図9は、請求項2記載の微量液体制御装置の第1の流路から毛管現象により液体が第2
の流路に引き込まれた後、第1の流路に残留する液体を第3の流路に吸引した状態を示す
平面模式図であり、図10は、請求項2記載の微量液体制御装置の第2の流路に残留する
液体を第1のガスポンプを作動させて第1の流路に排出し液滴を作成した状態を示す平面
模式図である。
第1の工程は、第1のバルブV1 を開放し、第2のバルブV2 を閉鎖して、図7に示し
たように、液体注入口2から第1の流路1を介して第3の流路9に液体6を注入する工程
である。
第2の工程は、第1のバルブV1 を閉鎖し、第2のバルブV2 を開放すると共に、可逆
性ガスポンプ10を作動させて第3の流路9内の液体6を第1の流路1に供給する工程で
ある。
こうすることにより、第3の流路9において、第1の流路1に供給する液体6の量を計
量することができる。
又、第1の流路1に供給された液体6は、図8に示したように、第1の流路1から毛管
現象により液体6が第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 に引き込まれる。
第3の工程は、図8に示したように、第1の流路1から毛管現象により液体6が第2の
流路A1 、A2 、A3 、A4 に引き込まれた後、可逆性ガスポンプ14を作動させて、第
1の流路1に残留する液体6を第3流路9に吸引する工程である。このとき、当然のこと
ながら、第1のバルブV1 は閉鎖され、第2のバルブV2 は開放されている。
可逆性ガスポンプ14を作動させて、第1の流路1に残留する液体6を第3の流路9に
吸引すると、図9に示したように、第1の流路1に残留していた液体6は第3の流路9に
吸引されるが、第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 に毛管現象により引き込まれた液体は
、第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 は第1の流路1より細くなされているので、毛管現
象により吸引されず残留する。
第4の工程は、第1のガスポンプ5、5・・を作動させ、ガスをパッシブバルブ4、4
・・を通って第2の流路A1 、A2 、A3 、A4 に供給して、第2の流路A1 、A2 、A
3 、A4 内の液体の所定量を第1の流路1に排出し、液滴7を作成する工程である。この
とき、第2のバルブV2 は閉鎖されているのが好ましい。
第5の工程は、第2のガスポンプ11を作動させて、ガスを第1の流路1に供給し、第
1の流路1内に作成された液滴7を第1の流路1の液体排出口3から排出する工程であり
、液滴7を第1の流路1の液体排出口3から排出することにより、次工程に所定量の液体
を制御して供給することができる。
上記微量液体制御方法では、次工程へ不必要な液体を供給することなく、必要な液体だ
けを所定量制御して供給することができる。
請求項7記載の液体クロマトグラフは、請求項1〜3のいずれか1項記載の微量液体制
御装置の第1の流路の流体排出口が、液体クロマトグラフ用分離カラムに接続されている
ことを特徴とする。
請求項1〜3項記載の微量液体制御装置は、第1の流路の流体排出口から液体クロマト
グラフ用分離カラムへ、微量の所定量の検査試料、溶離液等を正確に供給することができ
るので、液体クロマトグラフ用分離カラムに接続することにより、液体クロマトグラフが
得られ、容易に且つ正確に分離できる。
上記液体クロマトグラフ用分離カラムとしては、従来より使用されている任意の分離カ
ラムが使用でき、例えば、吸着担体が装填されている分離カラムが挙げられる。
上記吸着担体は、一般に液体クロマトグラフィーで使用されている吸着担体であれば特
に限定されず、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクリレート樹脂
、ポリヒドロキシメタクリレート樹脂、シリカ、アルミナ等の微粒子;ポリオレフィン系
樹脂、オレフィン−ハロゲン化オレフィン共重合体、ハロゲン化ポリオレフィン系樹脂、
ポリスルホン樹脂、セルロース等の有機高分子からなる有機多孔質体や、シリカ、アルミ
ナ等の多孔質セラミック、多孔質ガラス等の無機多孔質体等等の開放構造の多孔質体;綿
、麻等の植物性繊維、絹、羊毛等の動物性繊維、再生繊維、ポリエステル繊維、ポリアミ
ド繊維等の合成繊維繊維状材料;パーフルオロイオン交換膜、フェノール−アルデヒドス
ルホン酸、ポリスチレン−ジビニルベンゼンスルホン酸、フェノールアルデヒドカルボン
酸等の選択透過性物質;モノリス型多孔質カラム材料等が挙げられる。
尚、上記モノリス型多孔質カラム材料とは、ポリアクリルアミドゲル、スチレン−ジビ
ニルベンゼン共重合体、シリカゲル等が微細流路内で合成され、貫通孔が形成されている
ものである(例えば、非特許文献1参照。)。
上記吸着担体は単独で使用されてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。尚、上記
吸着担体は、その表面を耐薬品性の改善、あるいは、圧力損失の低下、分離性能の改善な
どを目的として各種表面修飾剤で処理されていてもよい。
Chromatography,Vol.21 No.3(2000)195−202
上記吸着担体には、吸着担体が特定成分を分離、吸着するための分子や官能基が導入さ
れてもよい。このような化合物や官能基は、特に限定されないが、試料中の各種イオンと
結合可能な官能基、配位結合可能な官能基、キレート結合可能な官能基等の官能基や該官
能基を有する化合物が挙げられ、例えば、スルホン基、第4級アンモニウム基、オクタデ
シル基、オクチル基、ブチル基、アミノ基、トリメチル基、シアノプロピル基、アミノプ
ロピル基、ニトロフェニルエチル基、ピレニルエチル基、ジエチルアミノエチル基、スル
ホプロピル基、カルボキシル基、カルボキシメチル基、スルホキシエチル基、オルトリン
酸基、ジエチル(2−ヒドロキシプロピル)アミノエチル基、フェニル基、イミノジ酢酸
基、エチレンジアミン基、硫黄原子を含むキレート形成基(例えば、各種メルカプト基、
ジチオカルバミン酸基、チオ尿素基等)の官能基及びこれらの官能基を有する化合物が挙
げられる。これらは単独で使用されてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
請求項5記載の分析検出器は、請求項4記載の液体クロマトグラフの分離カラムが、分
析装置に接続されていることを特徴とする。
即ち、質量分析計等の分析装置を液体クロマトグラフの分離カラムに接続することによ
り、分離カラムで分離された物質が分析される。
上記分析装置としては、従来からマイクロチップに使用されている任意の分析装置であ
れば、特に限定されず、例えば、質量分析計(MS);ボルタンメトリ法、ストリッピン
グボルタンメトリ法、アンペロメトリ法、ポテンシオメトリー法、クーロンメトリ法等の
電気化学的測定装置;光学的測定装置等が挙げられる。
請求項6記載のグラジエント装置は、請求項1〜3のいずれか1項記載の微量液体制御
装置が少なくとも2個併設されていることを特徴とする。
例えば、図6に示した微量液体制御装置を2個併設し、一方の微量液体制御装置に高濃
度の溶離液を供給し、他方の微量液体制御装置に低濃度の溶離液を供給する。次いで、一
方の微量液体制御装置の液体排出口から高濃度の溶離液を一定時間ごとに排出量を増加し
ながら排出する。同時に、他方の微量液体制御装置の液体排出口から低濃度の溶離液を一
定時間ごとに排出量を減少しながら排出する。そして両方の微量液体制御装置から排出さ
れた溶離液を混合して次工程に供給することにより、高精度にグラジエント変化された溶
離液を安定して供給することのできる。
請求項7記載の液体クロマトグラフは、請求項6記載のグラジエント装置の微量液体制
御装置の第1の流路の流体排出口が、液体クロマトグラフ用分離カラムに接続されている
ことを特徴とする。
請求項6記載のグラジエント装置は、微量液体制御装置の第1の流路の流体排出口から
薄い濃度の液体から濃い濃度の液体まで、次第に濃度が高くなる液体、濃い濃度の液体か
ら薄い濃度の液体まで、次第に濃度が低くなる液体又は次第に含有している含有物の濃度
が変更される液体を供給することができるので、液体クロマトグラフ用分離カラムに接続
することにより、液体クロマトグラフが得られ、グラジエント溶離することができる。
請求項8記載の分析検出器は、請求項7記載の液体クロマトグラフの分離カラムが、分
析装置に接続されていることを特徴とする。
即ち、質量分析計等の前述の分析装置を液体クロマトグラフの分離カラムに接続するこ
とにより、分離カラムで分離された物質が分析される。
請求項9のマイクロチップは、請求項1〜3のいずれか1項記載の微量液体制御装置が
基板内に形成されていることを特徴とする。
請求項10のマイクロチップは、請求項4又は7記載の液体クロマトグラフが基板内に
形成されていることを特徴とする。
請求項11のマイクロチップは、請求項5又は8記載の分析検出器が基板内に形成され
ていることを特徴とする。
上記基板内には、微量液体制御装置やグラジエント装置や液体クロマトグラフが形成さ
れているが、微量液体制御装置やグラジエント装置や液体クロマトグラフは液体を供給可
能な微細流路で接続されている。微細流路は、その幅及び深さが1mm未満のマイクロス
ケールである流路が好ましい。
本発明の微量液体制御装置の構成は上述の通りであり、微量の液体を定量的に高精度に
計量することのでき、マイクロチップに搭載できるような小型化が可能である。
又、この微量液体制御装置を用いた液体クロマトグラフ及び分析検出器は、高精度に定
量された液体が供給され、好適に分離分析することができる。
更に、この微量液体制御装置、微量液体制御装置が接続された液体クロマトグラフ又は
分析検出器が基板内に形成されているマイクロチップは、小型であり、高精度に定量した
液体を安定して供給することができ、好適に分離分析することができる。
本発明のグラジエント装置の構成は上述の通りであり、高精度にグラジエント変化され
た液体を安定して供給することのでき、マイクロチップに搭載できるような小型化が可能
である。
又、このグラジエント装置を用いた液体クロマトグラフ及び分析検出器は、高精度にグ
ラジエント変化された溶離液を安定して供給することのでき、好適に分離分析することが
できる。
更に、このグラジエント装置、グラジエント装置が接続された液体クロマトグラフ又は
分析検出器が基板内に形成されているマイクロチップは、小型であり、高精度にグラジエ
ント変化された溶離液を安定して供給することのでき、好適に分析することができる。
請求項1記載の微量液体制御装置の一例を示す平面模式図である。 請求項1記載の微量液体制御装置の第1の流路に液体を供給した状態を示す平面模式図である。 請求項1記載の微量液体制御装置の第1の流路から毛管現象により液体が第2の流路に引き込まれた状態を示す平面模式図である。 請求項1記載の微量液体制御装置の第1の流路から毛管現象により液体が第2の流路に引き込まれた後、第1の流路に残留する液体を排除した状態を示す平面模式図である。 請求項1記載の微量液体制御装置の第2の流路に残留する液体を第1のガスポンプを作動させて第1の流路に排出し液滴を作成した状態を示す平面模式図である。 請求項2記載の微量液体制御装置の一例を示す平面模式図である。 請求項2記載の微量液体制御装置の第3の流路に液体を供給した状態を示す平面模式図である。 請求項2記載の微量液体制御装置の第3の流路から第1の流路に液体を供給し、第1の流路から毛管現象により液体が第2の流路に引き込まれた状態を示す平面模式図である。 請求項2記載の微量液体制御装置の第1の流路から毛管現象により液体が第2の流路に引き込まれた後、第1の流路に残留する液体を第3の流路に吸引した状態を示す平面模式図である。 請求項2記載の微量液体制御装置の第2の流路に残留する液体を第1のガスポンプを作動させて第1の流路に排出し液滴を作成した状態を示す平面模式図である。
符号の説明
1 第1の流路
2 液体注入口
3 液体排出口
4 パッシブバルブ
5 第1のガスポンプ
6 液体
7 液滴
8 基板
9 第3の流路
10 可逆性ガスポンプ
11 第2のガスポンプ
12 ガス流路
13 電極パッド
14 導体リード
A 第2の流路
V バルブ

Claims (13)

  1. 一端部が液体注入口であり、他端部が液体排出口である第1の流路と、一端部が第1の流路の流路壁に開口しており、他端部がパッシブバルブを介して、それぞれの第1のガスポンプに接続されている、第1の流路より細い、n個の第2の流路よりなり(nは2以上の整数)、第2の流路を容積の小さい流路から大きい流路に順次A1 、A2 、A3 ・・・An で表し、容積の最も小さい第2の流路A1 の容積がaである場合、第2の流路A1 、A2 、A3 ・・・An の容積がa×2n-1 であることを特徴とする微量液体制御装置。
  2. 液体注入口と、液体注入口に最も近い位置に開口している第2の流路の間の第1の流路
    に、液体注入口側から第1のバルブ及び第2のバルブが設置され、他端部に可逆性ガスポ
    ンプが接続された第3の流路の一端部が、第1のバルブと第2のバルブの間の第1の流路
    の流路壁に開口していると共に第2のバルブと液体注入口に最も近い位置に開口している
    第2の流路の間の第1の流路に第2のガスポンプが接続されていることを特徴とする請求
    項1記載の微量液体制御装置。
  3. 第2の流路の容積が、それぞれ1pl〜100μlであることを特徴とする請求項1又
    は2記載の微量液体制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の微量液体制御装置の第1の流路の流体排出口が、液
    体クロマトグラフ用分離カラムに接続されていることを特徴とする液体クロマトグラフ。
  5. 請求項4記載の液体クロマトグラフの分離カラムが、分析装置に接続されていることを
    特徴とする分析検出器。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項記載の微量液体制御装置が少なくとも2個併設されている
    ことを特徴とするグラジエント装置。
  7. 請求項6記載のグラジエント装置の微量液体制御装置の第1の流路の流体排出口が、液
    体クロマトグラフ用分離カラムに接続されていることを特徴とする液体クロマトグラフ。
  8. 請求項7記載の液体クロマトグラフの分離カラムが、分析装置に接続されていることを
    特徴とする分析検出器。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項記載の微量液体制御装置が基板内に形成されていることを
    特徴とするマイクロチップ。
  10. 請求項4又は7記載の液体クロマトグラフが基板内に形成されていることを特徴とする
    マイクロチップ。
  11. 請求項5又は8記載の分析検出器が基板内に形成されていることを特徴とするマイクロ
    チップ。
  12. 請求項1記載の微量液体制御装置において、
    液体注入口から液体を第1の流路に注入する第1の工程、
    第1の流路から毛管現象により液体が第2の流路に引き込まれた後、第1の流路に残留
    する液体を排除する第2の工程、及び、
    第1のガスポンプを作動させて第2の流路内の液体の所定量を第1の流路に排出し、液
    滴を作成し、次いでこの液滴を第1の流路の液体排出口から排出する第3の工程
    からなることを特徴とする微量液体制御方法。
  13. 請求項2記載の微量液体制御装置において、
    第1のバルブを開放し、第2のバルブを閉鎖して、液体注入口から第1の流路を介して
    第3の流路に液体を注入する第1の工程、
    第1のバルブを閉鎖し、第2のバルブを開放すると共に、可逆性ガスポンプを作動させ
    て第3の流路内の液体を第1の流路に供給する第2の工程、
    第1の流路から毛管現象により液体が第2の流路に引き込まれた後、可逆性ガスポンプ
    を作動させて、第1の流路に残留する液体を第3流路に吸引する第3の工程、
    第1のガスポンプを作動させて第2の流路内の液体の所定量を第1の流路に排出し、液
    滴を作成する第4の工程、及び、
    第2のガスポンプを作動させて、この液滴を第1の流路の液体排出口から排出する第5
    の工程
    からなることを特徴とする微量液体制御方法。
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