JP4546148B2 - 水処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水処理技術に係り、詳しくはリンを含む被処理水の電解処理を行う技術に関するものである。
従来、一般家庭等から排出される生活排水や、産業廃水等の汚水などに含まれるリン成分を、金属電極を用いた電解処理によって除去する水処理技術が知られている。
例えば、下記の特許文献1には、被処理水中のリン酸イオンを金属電極から溶出した金属イオンと反応させることによって凝集沈殿させ、これによりリン酸イオンを除去しようとする技術が開示されている。
ところで、この種の水処理技術においては、通常、流入する排水の水質等によって被処理水中のリン酸イオン濃度が変動する場合がある。このような場合には、被処理水中のリン酸イオン濃度に基づいて金属電極への供給電流を好適に制御し、リン酸イオン量に見合った金属イオンを金属電極から溶出させることによってリン酸イオンを適正に除去し、これにより被処理水の電解処理性能の向上を図る要請が高い。
特開平10−230271号公報
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、リンを含む被処理水の電解処理性能を向上させるのに有効な技術を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明が構成される。なお、本発明は、一般家庭等から排出される生活排水や、産業廃水等のうちリンを含む被処理水の電解処理に好適に用いられる技術である。
本発明にかかる水処理装置は、貯留領域、一対の電解処理電極、制御手段を少なくとも有する。
貯留領域は、リンを含む被処理水を貯留する領域であり、当該貯留領域に一対の電解処理電極が浸漬されるようになっている。この一対の電解処理電極は、各々の電極が互いに異なる極性を形成する構成であり、一方の電解処理電極が陽極となり他方の電解処理電極が陰極となることによって、被処理水の電解処理が行われることとなる。この一対の金属電極は、必要に応じて1または複数組設置される。
本発明において、電解処理電極に関する制御を行う制御手段は、特に、パルス制御モードを形成する構成になっている。このパルス制御モードでは、電解処理電極が不態化する基準電流値(不態化電流)を上回る不動態化防止電流を当該電解処理電極に供給する電流供給状態と、当該電流の供給を停止する電流供給停止状態とを交互に切り替える(電流を間欠的に供給する)制御が行われる。なお、電解処理電極に供給される電流は、各電流供給状態において常に一定であってもよいし、あるいは電流供給状態毎に可変とされてもよい。
また、このパルス制御モードでは、制御手段は、所定時間内に電解処理電極に供給される電気量を、リンを含む被処理水を当該所定時間内で電解処理するのに必要な電気量と合致させるように制御する。典型的には、所定時間内に電解処理電極に供給される電気量を、被処理水のリン濃度に対応した電解処理電流を当該所定時間、電解処理電極に継続して供給した場合の電気量と合致させる。なお、ここでいう「合致」とは、電解処理電極に供給する電気量を制御するうえで生じるずれや誤差等を許容する主旨であり、比較対象となる両電気量が完全に一致する態様はもちろん、当該両電気量の間に多少の変位を生じる態様も包含する。
のような構成によれば、パルス制御モードにおいて、電解処理電極が不態化する基準電流値を上回る所定電流を当該電解処理電極に供給することによって、当該電解処理電極が不態化するのを防止するとともに、所定時間内で巨視的にみると、被処理水のリン濃度に対応した電解処理電流を電解処理電極に過不足なく適正に供給することが可能となる。具体的には、電流密度が低下し電解処理電極が不態化すると、当該電解処理電極からの金属イオンの溶出量が低下するとともに、金属イオンの溶出反応にかえて水中の塩化物の分解反応が起こり、これにより塩素ガスが発生する場合がある。また、一旦、不態化した状態の電解処理電極に電流を無理に流そうとすると、当該電解処理電極に局部的な溶出が起こる場合がある。これに対し、本発明によれば、電解処理電極が不態化すること自体を防止することによって、水中の塩化物の分解反応による塩素ガスの発生や、電解処理電極の局部的な溶出を防止することができ、これによりリンを含む被処理水の電解処理性能を向上させることが可能となる。
また制御手段が、被処理水のリン濃度に対応した電解処理電流が基準電流値を下回るときにパルス制御モードを形成する構成を有する。ここで、リン濃度に見合った金属イオンを被処理水中に過不足なく適正に溶解させるためには、当該リン濃度に対応した電解処理電流を電解処理電極に供給する必要があるが、その一方で、この電解処理電流が基準電流値を下回り電流密度が低下するような場合には、電解処理電極が不態化することによって電解処理性能が低下する場合がある。そこで、本発明では、制御手段は、電解処理電流が基準電流値を下回る場合にパルス制御モードを形成し、それ以外の電解処理電流が基準電流値を上回る場合には、リン濃度に対応した電解処理電流を電解処理電極に継続的に供給するような制御を行う。すなわち、本発明では、パルス制御モードを形成するか否かを判定する基準として、電解処理電極が不態化するか否かの境界条件である基準電流値を用いている。
のような構成によれば、リンを含む被処理水の電解処理に際し、パルス制御モードを形成するに際し基準電流値を用いることによって、被処理水のリン濃度に対応したきめ細かい電解処理制御が可能となる。また、パルス制御モードを形成するか否かを判定する基準として基準電流値のみを用いるため、基準値(設定値)が少なくてすむ。
また本発明にかかる水処理装置は、制御手段が、パルス制御モードにおいて電流供給停止状態から前記電流供給状態への切替えの際に、一方の電解処理電極の極性と他方の電解処理電極の極性とを反転させる制御を行うようになっている。
のような構成によれば、一対の電解処理電極の一方のみが過度に消耗するのを防止することができ、電解処理電極の交替頻度を抑えることが可能となる。
また本発明にかかる水処理装置は、制御手段が、水処理装置の外部に配置される外部タイマを介して外部電源に接続されており、外部タイマのオン動作によって電流供給状態を形成し、外部タイマのオフ動作によって電流供給停止状態を形成する構成になっている。
のような構成によれば、外部タイマのオン動作及びオフ動作を用いることによって電流供給状態及び電流供給停止状態を形成するため、水処理装置において後からパルス制御モードを設定する場合の仕様変更が容易である。
以上のように、本発明によれば、特に、リンを含む被処理水を電解処理電極によって電解処理するに際し、電解処理電極が不態化する基準電流値を上回る所定電流を当該電解処理電極に供給する電流供給状態と、当該所定電流の供給を停止する電流供給停止状態とを交互に切り替えるように制御するとともに、所定時間内に電解処理電極に供給される電気量を、リンを含む被処理水を当該所定時間内で電解処理するのに必要な電気量と合致させることによって、リンを含む被処理水の電解処理性能を向上させることが可能とされる。
以下に、本発明における一実施の形態の排水処理装置の構成等を図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態は、一般家庭等から排出されるリン成分を含む排水(被処理水)の処理を行う排水処理装置について説明するものである。
本発明における「水処理装置」としての排水処理装置100の処理フローが図1に示される。
図1に示すように、排水処理装置100は、槽状に成形された槽本体101の内部に各種の浄化処理機構を収容している。大別すると、処理工程の順に対応して上流(図1中の左側)から第1嫌気濾床槽110、第2嫌気濾床槽130、担体流動生物濾過槽150、処理水槽170、消毒槽190が槽本体101に収容される。槽本体101の内部に流入した排水は、第1嫌気濾床槽110、第2嫌気濾床槽130、担体流動生物濾過槽150、処理水槽170、消毒槽190で順次浄化処理されたのち、槽本体101の外部へ放流される。なお、本実施の形態では、各槽において処理される汚水(被処理水)および当該汚水を処理する処理過程において流れる水を「被処理水」ないし「水」と記載する。
第1嫌気濾床槽110及び第2嫌気濾床槽130は、被処理水中の有機汚濁物質を嫌気分解(嫌気性処理)する機能を有する処理槽である。これら第1嫌気濾床槽110及び第2嫌気濾床槽130には、特に図示しないものの、各々濾床が形成され、各濾床には、被処理水中の有機汚濁物質を嫌気分解する嫌気性微生物が付着する所定量の濾材が充填されている。この嫌気性微生物の嫌気分解によって、BOD(生物化学的酸素要求量)の低減と汚泥物の減量化が図られる。
担体流動生物濾過槽150は、被処理水中の有機汚濁物質を好気分解(好気性処理)する機能を有する処理槽である。
処理水槽170は、消毒槽190へ移流する前の水を一時的に貯留する機能を有する処理槽である。
消毒槽190は、処理水槽170から流入した水を消毒処理(殺菌)する機能を有する処理槽である。典型的には、処理水槽170内へ消毒剤を注入する消毒剤注入装置を用いて被処理水の消毒処理を行う。
ここで、図1中の担体流動生物濾過槽150の構成が図2に示される。
図2に示すように、担体流動生物濾過槽150には、上部担体移動防止用部材151および下部担体移動防止用部材152によって区画される担体充填領域153が形成されている。この担体充填領域153には、有機汚濁物質を好気分解する好気性微生物が付着する所定量の担体153aが、当該領域内を流動できる程度に充填されている。この担体153aとしては、粒状の中空円筒形に形成された担体を好適に用いる。上部担体移動防止用部材151及び下部担体移動防止用部材152は、被処理水の通過は許容するが担体153aの通過は防止する多孔板によって構成される。
この担体流動生物濾過槽150には、図2に示すリン除去装置200が装着されるようになっている。
このリン除去装置200は、被処理水に含まれるリン(リン成分)を除去するための装置であり、その電極構成部201が給電用ケーブル210を用いて外部電源(外部コンセント)220に接続される構成になっている。給電用ケーブル210において、槽本体101の内部には中継ボックス212が配置されており、槽本体101の外部には制御ボックス214及び電源プラグ216が配置されている。中継ボックス212は、給電用ケーブル210を槽本体101の外部から内部へと中継する機能を有する。制御ボックス214は、制御装置215を内蔵しており、詳細については後述するが、当該制御装置215がリン除去装置200の一対の金属電極204,204に関する制御を行う機能を有する。
本実施の形態では、槽本体101の外部において、電源プラグ216と、外部電源(外部コンセント)220との間に、外部タイマ218が介在する構成になっている。この外部タイマ218は、既知の構成のコンセントタイマであり、通電開始時刻、通電停止時刻、あるいは通電時間を設定可能に構成されている。これにより、外部電源220から給電用ケーブル210への通電に関し、オン動作及びオフ動作が行われることとなる。具体的には、予め設定された通電開始時刻になると、外部タイマ218のオン動作によって予め設定された通電停止時刻まで通電が継続され、その後、当該外部タイマ218のオフ動作によって通電が停止される。
また、図2中のリン除去装置200における電極構成部201の構成を示す斜視図が図3に示される。
図3に示すように、電極構成部201(セル)は、電極保持部202(セルベース)、この電極保持部202に取り付け固定された一対の金属電極204,204等によって構成されている。
電極保持部202は、一対の金属電極204,204の上部を保持する(支持する)機能を有する。この電極保持部202は、更に、取っ手202cを有する保持部本体202a、この保持部本体202aに内蔵される端子類(図示省略)を密閉するための密閉蓋202b等によって構成されている。これら保持部本体202a及び密閉蓋202bはともに合成樹脂材料、例えば塩化ビニル樹脂などの電気絶縁性材料によって作製されており、取っ手202cへの漏電が遮断される構成になっている。電極保持部202に関する種々の点検(定期点検など)を行う際に、作業者が取っ手202cを手で掴んで当該電極保持部202の装着操作あるいは脱着操作を行うことができるようになっている。
各金属電極204は、側面視が略四角形(略長方形)の平板状に形成され、その基端において固定ボルト等によって電極保持具202側に固定され、基端から先端に向けて長尺状に延在する構成になっている。一対の金属電極204,204は、互いに概ね平行に配置された構成であり、一方の金属電極204と他方の金属電極204との間の距離、すなわち電極間距離d(電極の間隔)が両金属電極の延在方向に関しほぼ一定となるように構成されている。各金属電極204は、鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄−アルミニウム合金等によって作製される。この一対の金属電極204,204が、担体流動生物濾過槽150内の被処理水に浸漬される電解処理電極であり、本発明における「一対の電解処理電極」に対応している。また、担体流動生物濾過槽150は、一対の金属電極204,204が浸漬されるとともに、当該一対の金属電極204,204によって電解処理される被処理水が貯留される領域であり、本発明における「貯留領域」を構成する。
なお、排水処理装置100における当該一対の金属電極204,204の設置数、大きさ等は、処理する被処理水の量や性状などに応じて種々変更可能である。例えば、担体流動生物濾過槽150において、一対の金属電極204,204を必要に応じて複数組設置することもできる。
次に、上記構成のリン除去装置200の動作を説明する。この動作は、当該リン除去装置200を構成する前記の制御装置215によって制御される。この制御装置215が、本発明における「制御手段」に対応している。
図2中の外部タイマ218において予め設定された通電開始時刻になると、制御装置215はリン除去装置200に対し通電を開始する。リン除去装置200のこの通電時においては、一対の金属電極(図3中の金属電極204,204)によって陽極及び陰極が形成され、陽極側の金属電極204から被処理水中へ金属イオン(鉄イオン、アルミニウムイオン等)が供給される。すなわち、各金属電極204は、被処理水中へ金属イオンを供給する供給源となる。被処理水中へ供給されるこの金属イオンは、後述するようにリン酸イオンと反応することでリン成分の除去に用いられる。なお本実施の形態では、特に図示しないものの、制御ボックス214の制御装置215に極性反転回路が設けられており、当該制御装置215の後述するパルス制御時において、一対の金属電極204,204の極性を切り替えることが可能となっている。これにより、各金属電極204が陽極あるいは陰極となり得る。
具体的には、一対の金属電極204,204に電流が供給されると、担体流動生物濾過槽150の被処理水の電気分解によって、陽極側の金属電極204から金属イオンが溶出する。鉄製の金属電極を用いる場合には2価の鉄イオン(Fe2+)が溶出する。溶出したこの金属イオンは、被処理水中のリン成分と反応する。リン成分は一般にリン酸イオンとして水中に溶解しているので、被処理水中に溶出した金属イオンは、リン酸イオンと反応して水に難溶性の金属リン酸塩が生成される。鉄製の金属電極を用いる場合には、2価の鉄イオン(Fe2+)が溶出し、溶出したこの2価の鉄イオン(Fe2+)が水中の溶存酸素によって酸化されて3価の鉄イオン(Fe3+)となる。そして、この3価の鉄イオン(Fe3+)がリン酸イオン(PO 3−)と反応して水に難溶性のリン酸鉄(FePOなど)が生成される。なお、鉄製の金属電極にかえてアルミニウム製の金属電極を用いる場合には、溶出したアルミニウムイオンがリン酸イオンと反応して水に難溶性のリン酸アルミニウムが生成される。このように、リン除去装置200を用いてリン成分を含む被処理水を電気分解することによって、被処理水中のリン成分は水に難溶性の金属リン酸塩として析出し除去されることとなる。
ここで、制御装置215は、被処理水中に含まれるリン成分の濃度に応じて一対の金属電極204,204に供給する供給電流を制御するのが好ましい。すなわち、被処理水中に含まれるリン成分の濃度は、排水処理装置100の対象となる使用人数(排水の水質)などの影響によって変動するため、供給電流を常に一定に維持するように制御すると、被処理水のリン濃度に対し、陽極側の金属電極204から溶出する金属イオンに過不足を生じる場合がある。陽極側の金属電極204から溶出する金属イオンの溶出量は電流値に比例することが知られており、当該電流値を被処理水のリン濃度に対応させて設定することによって、リン濃度に見合った金属イオンを過不足なく適正に溶解させることが可能となる。
本実施の形態の制御装置215は、被処理水のリン濃度に応じて一対の金属電極204,204に供給する供給電流を制御する構成(以下、「基準制御」という)を基本とする。ところが、このような基準制御のみでは、電流密度が低い低電流領域において金属電極204が不態化することによって電解処理が不安定になることがある。そこで、本実施の形態の制御装置215は、電流密度が低い低電流領域において電解処理が不安定になることを勘案して、電流密度が高くなる高電流領域においては基準制御を行い、電流密度が低くなる低電流領域においてはパルス制御を行うという2種類の制御態様(以下、「基準制御+パルス制御」という)を有する。制御装置215におけるこのような制御態様(制御方法)の具体例を、図4及び図5を参照しながら説明する。
まず、図4には、被処理水のリン濃度に基づいて一対の金属電極204,204に供給する供給電流を制御する、基準制御における電流値の制御態様が示される。
図4に示すように、流入水のリン濃度が、時間t1から時間t2までがC1であり、それ以降、時間t2から時間t3までがC2(<C1)である場合を考える。この場合、リン濃度C1に見合った金属電極204への供給電流値(電解処理電流)がA3であり、リン濃度C1よりも低いリン濃度であるC2に見合った金属電極204への供給電流値(電解処理電流)がA1であるとする。この場合、電流値A3においてリン濃度C1に見合った量の金属イオンが被処理水中に溶解する。例えば、鉄製の金属電極の場合には、リン濃度C1に対しモル比1.5の鉄が溶解する。この場合、金属電極204への供給電流値が、電流値がA1と電流値A3との間の電流値A2を下回る低電流領域になると、電流密度が低くなることによって当該金属電極204が不態化することとなる。この電流値A2は、金属電極204が不態化するか否かの境界条件である基準電流値であり、本発明における「基準電流値」に対応している。
このように、被処理水のリン濃度に応じて単に供給電流を制御するという基本構成(基準制御)だけでは、供給電流値(電解処理電流)が電流値A2を上回るような高電流領域においては、リン濃度に見合った金属イオンを適正に溶解させることが可能である一方、供給電流値(電解処理電流)が電流値A2を下回るような低電流領域においては、金属電極204が不態化するような場合があり、適正な電解処理を行うのに限界がある。具体的には、電流密度が低下し金属電極204が不態化すると、当該金属電極204からの金属イオンの溶出量が低下するとともに、金属イオンの溶出反応にかえて水中の塩化物の分解反応が起こり、これにより塩素ガスが発生する場合がある。また、一旦、不態化した状態の金属電極204に電流を無理に流そうとすると、当該金属電極204に局部的な溶出が起こる場合がある。このような問題は、適正な電解処理の阻害要因となる。
そこで、本実施の形態では、図4に示す基本構成(基準制御)に加え、図5に示すような制御(基準制御+パルス制御)を行うようにしたのである。ここで、図5には、本実施の形態の(基準制御+パルス制御)における電流値の制御態様が示される。
図5に示す制御では、時間t1から時間t2までの電流密度が高くなる高電流領域では図4に示すような基準制御を行う一方、時間t2から時間t3までの電流密度が低くなる低電流領域になると、基準電流値である電流値A2を上回る一定の電流値A4での電流供給状態と、当該電流供給状態を停止した電流供給停止状態とを交互に切り替えるようなパルス制御を行う。これにより、低電流領域においても電流値A2を上回る電流値A4を選択することによって、金属電極204が不態化するのを防止し、これにより金属イオンの溶解量が低くなるのを抑えることが可能となる。具体的には、金属電極204が不態化すること自体を防止することによって、水中の塩化物の分解反応による塩素ガスの発生や、金属電極204の局部的な溶出を防止することができ、これによりリンを含む被処理水の電解処理性能を向上させることが可能となる。
また、リン濃度に見合った金属イオンを被処理水中に過不足なく適正に溶解させるためには、所定時間内に金属電極204に供給される電気量を、リンを含む被処理水を当該所定時間内で電解処理するのに必要な電気量と合致させるのが好ましい。具体的には、図5に示す処理時間Δt1(本発明における「所定時間」に対応)内での電気量、すなわち供給電流の積分値(通電積算量)を、本来必要とされる適正な電気量、すなわち図4における処理時間Δt1内での電気量(供給電流の積分値)に合致させるのが好ましい。そこで、本実施の形態では、電流値A1にかえて電流値A4を用いる分、当該電流値A4での通電時間の総和を抑えるべく、金属電極204への通電を間欠的なパルス制御としている。このパルス制御が、本発明における「パルス制御モード」に対応している。図5では、時間t2から時間t3までの処理時間Δt1のうち、電流値A4による一定電流での通電を通電時間(1/2)×Δt2で計2回行うようにパルス制御する例を記載している。これにより、パルス制御において電流値A4での通電時間の総和はΔt2となる。
なお、このときの通電開始時刻、通電停止時刻、あるいは通電時間は、前記の構成の外部タイマ218のオン動作及びオフ動作によって設定される。すなわち、このパルス制御時には、外部タイマ218のオン動作によって金属電極204の電流供給状態(本発明における「電流供給状態」)が形成され、当該外部タイマ218のオフ動作によって電流供給停止状態(本発明における「電流供給停止状態」)が形成される。この外部タイマ218が、本発明における「外部タイマ」に対応している。
当該パルス制御時における金属電極204への電気量を、リン濃度に見合った本来必要とされる適正な電気量と合致させる場合、通電時間と電流値との間に、例えば(A4/A1)=(Δt1/Δt2)という関係が成り立つ。具体的には、リン濃度C1のときの処理電流値A3が500mA、リン濃度C2のときの処理電流値A1が120mAであり、低電流領域か否かを規定する基準電流値である電流値A2が400mAである場合を想定する。この場合、処理電流値A4として電流値A2よりも高い電流値480mAを選択する場合、当該電流値480mAは電流値A1の4倍であるから、パルス制御における通電時間Δt2を、基準制御を用いた場合の通電時間Δt1の4分の1に設定することができる。このとき、通電時間Δt2の分割数は必要に応じて適宜設定することができる。また、低電流領域か否かを規定する基準電流値である電流値A2は、金属電極204の種類及び被処理水のリン濃度等に応じて適宜規定される。また、本実施の形態のパルス制御時における金属電極204への電気量を、リン濃度に見合った本来必要とされる適正な電気量と合致させる場合、比較対象となる両電気量は完全に一致してもよいし、あるいは金属電極204に供給する電気量を制御するうえで生じるずれや誤差等によっては、当該両電気量の間に多少の変位を生じる態様も許容する。
また、本実施の形態において、図5に示すパルス制御時には、電流供給停止状態から電流供給状態への切り替えの際に、一方の金属電極204の極性と他方の金属電極204の極性とを反転させるようになっている。これにより、一対の金属電極204,204の一方のみが過度に消耗するのを防止することができる。
なお、本実施の形態において、リン濃度C1に見合う電流値A3や、パルス制御時においてリン濃度C2に見合う電流値A4は、排水処理装置100へ流入する水質(被処理水のリン濃度)を想定して予め算出された値を用いてもよいし、あるいは当該水質を随時測定することによって得られる値を用いてもよい。
また、本実施の形態において、制御装置215の制御をパルス制御に切り替えるタイミングは、作業者による制御スイッチ等の切り替え動作によって行われてもよいし、あるいは被処理水のリン濃度の測定結果に基づいて制御装置215自体の判断によって行われてもよい。
以上のように、本実施の形態の排水処理装置100を用いれば、図5に示すパルス制御時において、金属電極204が不態化する基準電流値A2を上回る電流A4を当該金属電極204に供給することによって、電流密度が低くなる低電流領域においても当該金属電極204が不態化するのを防止するとともに、処理時間Δt1内で巨視的にみると、被処理水のリン濃度に対応した電解処理電流を当該金属電極204に過不足なく適正に供給することが可能となる。従って、本実施の形態によれば、リンを含む被処理水の電解処理性能を向上させることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、基準制御からパルス制御に切り替える条件として、基準電流値である電流値A2を用いることによって、被処理水のリン濃度に対応したきめ細かい電解処理制御が可能となる。また、パルス制御モードを形成するか否かを判定する基準として基準電流値のみを用いるため、基準値(設定値)が少なくてすむ。
また、本実施の形態によれば、電流供給停止状態から電流供給状態への切替えの際に、一方の金属電極204の極性と他方の金属電極204の極性とを反転させる制御を行うため、一方の金属電極のみが過度に消耗するのを防止することができ、これにより金属電極の交替頻度を抑えることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、槽本体101の外部に配置される外部タイマ218のオン動作によって電流供給状態を形成し、当該外部タイマ218のオフ動作によって電流供給停止状態を形成するようにしたため、後からパルス制御を設定する場合の仕様変更が容易である。
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上記実施の形態では、被処理水のリン濃度に対応した電解処理電流が基準電流値である電流値A2を下回るときにパルス制御を行い、当該電解処理電流が電流値A2を上回るときに当該電解処理電流を金属電極204に供給する場合について記載したが、本発明では、リン除去装置200の運転中は、図5に示すようなパルス制御を常時行うようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、電流供給停止状態から電流供給状態への切替えの際に、一方の金属電極204の極性と他方の金属電極204の極性とを反転させる制御を行う場合について記載したが、本発明では、必要に応じては一方の金属電極204の極性と他方の金属電極204の極性とを反転させないように構成することもできる。
また、上記実施の形態では、槽本体101の外部に配置される外部タイマ218のオン動作及びオフ動作を用いて、電流供給状態及び電流供給停止状態を形成する場合について記載したが、本発明では、当該外部タイマ218の切り替え機能を制御装置215自体に搭載した構成を用いることもできる。
また、上記実施の形態では、図5に示すパルス制御において、電流供給状態では金属電極204に、基準電流値である電流値A2を上回る一定の電流値A4を供給する場合について記載したが、本発明は、パルス制御において、所定時間内に金属電極204に供給される電気量が、リンを含む被処理水を当該所定時間内で電解処理するのに必要な電気量と合致すれば足り、電流値A2を上回る電流値を金属電極204に供給する態様を広く包含する。例えば、金属電極204に供給される電流を、電流供給停止状態から電流供給状態への切り替え毎に可変とするように制御してもよいし、また、金属電極204に供給する電流を、電流供給停止状態から電流供給状態への切り替え後に徐々に上昇させるように制御してもよい。
また、上記実施の形態では、担体流動生物濾過槽150にリン除去装置200を設置する場合について記載したが、リン除去装置200の設置箇所はこれに限定されない。このリン除去装置200を、例えば、接触曝気槽、活性汚泥法における曝気槽、また好気処理等の生物処理を行わない嫌気処理槽や溶出槽などに設置することもできる。
また、上記実施の形態や種々の変更の形態に鑑み、本発明では以下の態様1〜態様3に記載の構成を採り得る。
(態様1)
本発明では、「互いに異なる極性を形成する一対の電解処理電極を用いて、リンを含む被処理水の電解処理を行う水処理方法であって、
前記被処理水に浸漬される前記電解処理電極に対し、当該電解処理電極が不態化する基準電流値を上回る電流を供給する電流供給状態と、当該電流の供給を停止する電流供給停止状態とを交互に切り替えるとともに、
所定時間内に前記電解処理電極に供給する電気量を、リンを含む前記被処理水を前記所定時間内で電解処理するのに必要な電気量と合致させることを特徴とする水処理方法。」という方法(態様1)を採り得る。
態様1に記載のこの水処理方法は、請求項1に記載の制御手段が行う処理と実質的に同様の処理を行う方法として規定される。すなわち、リンを含む被処理水に浸漬される電解処理電極に対し、当該電解処理電極が不態化する基準電流値を上回る所定電流を供給する電流供給状態と、当該所定電流の供給を停止する電流供給停止状態とを交互に切り替える。また、所定時間内に電解処理電極に供給される電気量を、リンを含む被処理水を当該所定時間内で電解処理するのに必要な電気量と合致させるようにする。
従って、態様1に記載のこのような方法によれば、電解処理電極が不態化するのを防止するとともに、所定時間内で巨視的にみると、被処理水のリン濃度に対応した電解処理電流を電解処理電極に過不足なく適正に供給することが可能となり、リンを含む被処理水の電解処理性能を向上させることが可能となる。
(態様2)
また、本発明では、「態様1に記載の水処理方法であって、
前記被処理水のリン濃度に対応した電解処理電流が前記基準電流値を下回るときに、前記電流供給状態と前記電流供給停止状態とを交互に切り替え、当該電解処理電流が前記基準電流値を上回るときに当該電解処理電流を前記電解処理電極に継続して供給することを特徴とする水処理方法。」という方法(態様2)を採り得る。
態様2に記載のこの水処理方法は、請求項2に記載の制御手段が行う処理と実質的に同様の処理を行う方法として規定される。すなわち、請求項5に記載の方法において、被処理水のリン濃度に対応した電解処理電流が基準電流値を下回るときに、電流供給状態と電流供給停止状態とを交互に切り替え、当該電解処理電流が基準電流値を上回るときに当該電解処理電流を電解処理電極に継続的に供給するようにする。
態様2に記載のこのような方法によれば、リンを含む被処理水の電解処理に際し、被処理水のリン濃度に対応したきめ細かい電解処理制御が可能となる。また、パルス制御モードを形成するか否かを判定する基準として基準電流値のみを用いるため、基準値(設定値)が少なくてすむ。
(態様3)
また、本発明では、「態様1または態様2に記載の水処理方法であって、
前記電流供給停止状態から前記電流供給状態への切替えの際に、一方の電解処理電極の極性と他方の電解処理電極の極性とを反転させることを特徴とする水処理方法。」という方法(態様3)を採り得る。
態様3に記載のこの水処理方法は、請求項3に記載の制御手段が行う処理と実質的に同様の処理を行う方法として規定される。すなわち、請求項5または請求項6に記載の方法において、電流供給停止状態から電流供給状態への切替えの際に、一方の電解処理電極の極性と他方の電解処理電極の極性とを反転させる。
態様3に記載のこのような方法によれば、一対の電解処理電極の一方のみが過度に消耗するのを防止することができ、電解処理電極の交替頻度を抑えることが可能となる。
本発明における水処理装置の一実施の形態の排水処理装置100の処理フローを示す図である。 図1中の担体流動生物濾過槽150の構成を示す図である。 図2中のリン除去装置200における電極構成部201の構成を示す斜視図である。 本実施の形態の基準制御における電流値の制御態様を示す図である。 本実施の形態の(基準制御+パルス制御)における電流値の制御態様を示す図である。
100…排水処理装置
101…槽本体
110…第1嫌気濾床槽
130…第2嫌気濾床槽
150…担体流動生物濾過槽
170…処理水槽
190…消毒槽
200…リン除去装置
201…電極構成部
202…電極保持部
202a…保持部本体
202b…密閉蓋
202c…取っ手
204…金属電極
210…給電用ケーブル
212…中継ボックス
214…制御ボックス
215…制御装置
216…電源プラグ
218…外部タイマ
220…外部電源

Claims (3)

  1. リンを含む被処理水の電解処理を行う水処理装置であって、
    前記被処理水を貯留する貯留領域と、
    前記貯留領域に浸漬され、互いに異なる極性を形成する一対の電解処理電極と、
    前記電解処理電極に関する制御を行う制御手段と、
    を有し、
    前記制御手段は、前記電解処理電極が不態化する基準電流値を上回る不動態化防止電流を当該電解処理電極に供給する電流供給状態と、当該電流の供給を停止する電流供給停止状態の双方の状態のみを交互に切り替え、且つ所定時間内に前記電解処理電極に供給される電気量を、リンを含む前記被処理水を当該所定時間内で電解処理するのに必要な電気量と合致させるように制御するパルス制御モードを有し、前記被処理水のリン濃度に対応した電解処理電流が前記基準電流値を下回るときに前記パルス制御モードを形成する一方、当該電解処理電流が前記基準電流値を上回るときに当該電解処理電流を前記電解処理電極に継続して供給する構成であることを特徴とする水処理装置。
  2. 請求項1に記載の水処理装置であって、
    前記制御手段は、前記パルス制御モードにおいて電流供給停止状態から前記電流供給状態への切替えの際に、一方の電解処理電極の極性と他方の電解処理電極の極性とを反転させる制御を行う構成であることを特徴とする水処理装置。
  3. 請求項1または2に記載の水処理装置であって、
    前記制御手段は、当該水処理装置の外部に配置される外部タイマを介して外部電源に接続される構成であり、前記外部タイマのオン動作によって前記電流供給状態を形成し、前記外部タイマのオフ動作によって前記電流供給停止状態を形成する構成であることを特徴とする水処理装置。
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