JP4545862B2 - 軸流型圧縮機の静翼および静翼列 - Google Patents

軸流型圧縮機の静翼および静翼列 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービン等の軸流型圧縮機の静翼および静翼列に関し、特に遷音速領域における圧力損失を低減し得る軸流型圧縮機の静翼および静翼列に関する。
【0002】
【従来の技術】
翼型の背面(負圧面)側の略中央位置あるいは前縁寄りの位置に凹部を形成し、遷音速領域で2つの衝撃波を発生させて境界層の剥離を抑制することにより圧力損失の低減を図った軸流型圧縮機の動翼が、特開平9−256997号公報、特開平8−254156号公報により公知である。また圧縮性流体および非圧縮性流体の両方に適用できる翼型であって、腹面(正圧面)側および背面(負圧面)側の略中央位置にそれぞれ凹部を形成し、層流境界層領域を長く保って剥離を抑制することにより高迎角時の性能向上を図ったものが、米国特許第5395071号明細書により公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、軸流型圧縮機の静翼に流入する流れが臨界マッハ数に達すると、その静翼の背面側で流速が音速に達して衝撃波が発生するため、大きな造波抵抗が生じて性能を低下させる要因となる。従って、軸流型圧縮機の性能向上を図るには、静翼の背面側に発生する衝撃波を緩和して造波抵抗を低減することが必要である。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、遷音速領域において衝撃波の発生による造波抵抗を最小限に抑えることが可能な軸流型圧縮機の静翼および静翼列を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、正圧を発生する腹面および負圧を発生する背面を有して環状の流体通路に配置される軸流型圧縮機の静翼であって、この静翼の前縁および後縁の近傍の2点で前記腹面に接する翼弦線の片側に、前記腹面および前記背面が共に在るものにおいて、前記腹面の前記2点間に挟まれた領域で、該領域内の前記腹面の前縁側位置および後縁側位置に、それぞれ前記背面から離れる側に凸に湾曲した第1膨出部および第2膨出部を備えたことを特徴とする軸流型圧縮機の静翼が提案される。
【0006】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前縁から第2膨出部の前端までの距離Xaが翼弦長Cに対して、0.60<Xa/C<0.90であることを特徴とする軸流型圧縮機の静翼が提案される。
【0007】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前縁から第1膨出部の後端までの距離Xaが翼弦長Cに対して、0.05<Xa/C<0.40であることを特徴とする、請求項2に記載の軸流型圧縮機の静翼が提案される。
【0008】
上記構成によれば、環状の流体通路に配置される静翼に流体が流入する際に、翼弦線が腹面と接する2点間の領域で、該領域内の腹面の前縁側に備えられた第1膨出部によって積極的に境界層の剥離を生じさせることにより、腹面側に隣接する静翼の背面における衝撃波の発生を緩和して造波抵抗を低減することができる。第1膨出部における境界層の剥離によって若干の摩擦抵抗の増加が発生するが、それは衝撃波の発生の緩和による造波抵抗の低減に比べて遙に小さいため、全体として抵抗を大幅に低減することができる。また腹面の前縁側の第1膨出部により不安定になった境界層を、翼弦線が腹面と接する2点間の領域で、該領域内の腹面の後縁側に備えられた第2膨出部により再度安定化することができるので、腹面の境界層の剥離による摩擦抵抗の増加を最小限に抑えることができる。
【0009】
また前縁から第2膨出部の前端までの距離Xaを翼弦長Cに対して、0.60<Xa/C<0.90に設定し、前縁から第1膨出部の後端までの距離Xaを翼弦長Cに対して、0.05<Xa/C<0.40に設定することにより、上記効果を特に良好に発揮させることが可能である。
【0010】
更に請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の静翼を、軸流型圧縮機の環状の流体通路に間隔をあけて複数配置した静翼列であって、隣接する2つの静翼の一方の腹面および他方の背面間の距離の翼弦方向の分布が、前縁から後縁に向けて増加して極大値に達した後に、前記第2膨出部領域において極小値に達することを特徴とする軸流型圧縮機の静翼列が提案される。
【0011】
上記構成によれば、静翼列の腹面および背面間の距離が、前縁部から後縁部に向けて増加して極大値に達した後に、第2膨出部領域において極小値に達しているので、前記距離が極大値となる部分で腹面側の境界層を不安定化して積極的に剥離させることにより、それに対向する背面側における衝撃波の発生を抑制して造波抵抗を低減することができる。しかも、前記距離が極大値に達した後に第2膨出部領域において極小値に達するため、その極小値の部分で流れが絞られることにより腹面側の流れが再加速され、境界層が安定化されて剥離の促進が抑制される。その結果、腹面側の境界層の剥離による摩擦抵抗の増加が抑えられ、静翼全体の抵抗を更に低減することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 図1〜図12は本発明の実施例を示すもので、図1は第1実施例の翼型と、その腹面および背面の曲率の変化とを示す図、図2は第1実施例の翼型の静翼列と、その腹面および背面間の距離の変化とを示す図、図3は第2実施例の翼型と、その腹面および背面の曲率の変化とを示す図、図4は第2実施例の翼型の静翼列と、その腹面および背面間の距離の変化とを示す図、図5は第3実施例の翼型と、その腹面および背面の曲率の変化とを示す図、図6は第3実施例の翼型の静翼列と、その腹面および背面間の距離の変化とを示す図、図7は隣接する静翼の腹面および背面間の距離の翼弦方向の分布を示す図、図8はマッハ数と圧力損失係数の関係を示す図、図9は第1実施例の静翼のまわりの流れの様子を可視化した図、図10は比較例の静翼のまわりの流れの様子を可視化した図、図11は比較例の翼型と、その腹面および背面の曲率の変化とを示す図、図12は比較例の翼型の静翼列と、その腹面および背面間の距離の変化とを示す図である。
【0013】
図1に示す第1実施例の静翼は軸流型圧縮機の環状の流体通路に設けられるもので、左端が前縁で右端が後縁であり、流体の流れに伴って正圧を発生する腹面(正圧面)と、流体の流れに伴って負圧を発生する背面(負圧面)とが、前縁および後縁の近傍の2点で腹面に接する翼弦線の上側に存在している。尚、翼弦線の定義は翼型の形状により種々存在するが、本発明では腹面および背面が共に背面側に湾曲している翼型に対して一般的に適用される、上記定義の翼弦線を採用している。また翼型を示す座標の横軸および縦軸は、翼弦長Cを100%とした比率で表されている。
【0014】
実線で示す背面の曲率は翼弦長Cの全域に亘って正値であり、従って背面の形状は翼弦長Cの全域に亘って上向きに凸に湾曲している。一方、破線で示す腹面の曲率は、翼弦長Cの15%〜80%の領域R2で正値であるが、翼弦長Cの0%〜15%の領域R1と、翼弦長Cの80%〜100%の領域R3とで負値になっている。従って腹面の形状は中央の領域R2で上向きに凸に湾曲しているが、前縁側の領域R1および後縁側の領域R3で下向きに凸に湾曲している。
【0015】
背面の曲率は前縁から後縁に向かって単調に増加し、翼弦長Cの40%付近で極大値に達した後に単調に減少する。また腹面の曲率は前縁から後縁に向かって単調に増加し、翼弦長Cの53%付近で極大値に達した後に単調に減少する。
【0016】
静翼の腹面の、翼弦線と接する2点間に挟まれた領域R1〜R3において、前縁側の領域R1の下向き、即ち背面から離れる側に凸に湾曲している部分が本発明の第1膨出部を構成し、後縁側の領域R3の下向き、即ち背面から離れる側に凸に湾曲している部分が本発明の第2膨出部を構成する。
【0017】
図2は、第1実施例の静翼を軸流型圧縮機の環状の流体通路に間隔をあけて配置した静翼列の、隣接する2つの静翼の腹面および背面間の距離の前縁部(スロート部)から後縁部までの変化を示すもので、図2(a)に示すように上側の静翼の腹面から下側の静翼の背面に向かって垂線を下ろし、その垂線の長さの翼弦方向の変化を、下側の静翼の背面を直線に展開して示したものが図2(b)に示される。図2(b)を縦軸方向に拡大したものが図7に実線で示される。腹面および背面間の距離は前縁部から後縁部に向けて増加し、翼弦長Cの55%付近のa点で極大値に達した後に減少し、翼弦長Cの82%付近のa′点で極小値に達した後に再度増加している。
【0018】
図3に示す第2実施例の静翼は、実線で示す背面の曲率は翼弦長Cの全域に亘って正値であり、従って背面の形状は翼弦長Cの全域に亘って上向きに凸に湾曲している。一方、破線で示す腹面の曲率は、翼弦長Cの24%〜66%の領域R2と、翼弦長Cの86%〜100%の領域R4とで正値であるが、翼弦長Cの0%〜24%の領域R1と、翼弦長Cの66%〜86%の領域R3とで負値になっている。従って腹面の形状は2つの領域R2,R4で上向きに凸に湾曲しているが、他の2つの領域R1,R3で下向きに凸に湾曲している。
【0019】
背面の曲率は前縁から後縁に向かって増加し、翼弦長Cの22%付近で極大値に達した後に減少に転じ、翼弦長Cの45%付近で極小値に達した後に増加に転じている。また腹面の曲率は前縁から後縁に向かって減少し、翼弦長Cの22%付近で極小値に達した後に増加に転じ、翼弦長Cの45%付近で極大値に達した後に減少に転じ、翼弦長Cの73%付近で極小値に達した後に増加に転じている。
【0020】
静翼の腹面の、翼弦線と接する2点間に挟まれた領域R1〜R3において、前縁側の領域R1の下向き、即ち背面から離れる側に凸に湾曲している部分が本発明の第1膨出部を構成し、後縁側の領域R3の下向き、即ち背面から離れる側に凸に湾曲している部分が本発明の第2膨出部を構成する。
【0021】
図4(b)および図7(1点鎖線参照)に示すように、第2実施例の静翼は、腹面および背面間の距離が前縁部から後縁部に向けて増加し、翼弦長Cの50%付近のb点で極大値に達した後に減少し、翼弦長Cの80%付近のb′点で極小値に達した後に再度増加している。
【0022】
図5に示す第3実施例の静翼は、実線で示す背面の曲率は大部分の領域で正値であるが、翼弦長Cの58%〜65%の領域R3のみ負値であり、従って背面の形状は前記領域R3において下向きに凸に湾曲している。一方、破線で示す腹面の曲率は、翼弦長Cの11%〜88の領域R2,R3,R4で正値であるが、翼弦長Cの0%〜11%の領域R1と、翼弦長Cの88%〜100%の領域R5とで負値になっている。従って腹面の形状は中央の領域R2〜R4で上向きに凸に湾曲しているが、前縁側の領域R1および後縁側の領域R5で下向きに凸に湾曲している。
【0023】
背面の曲率は前縁から後縁に向かって増加し、翼弦長Cの32%付近で極大値に達した後に減少に転じ、翼弦長Cの62%付近で極小値に達した後に増加に転じ、更に翼弦長Cの90%付近で極大値に達した後に減少に転じている。また腹面の曲率は前縁から後縁に向かって増加し、翼弦長Cの28%付近で極大値に達した後に減少に転じ、翼弦長Cの56%付近で極小値に達した後に増加に転じ、翼弦長Cの75%付近で極大値に達した後に減少に転じている。
【0024】
静翼の腹面の、翼弦線と接する2点間に挟まれた領域R1〜R3において、前縁側の領域R1の下向き、即ち背面から離れる側に凸に湾曲している部分が本発明の第1膨出部を構成し、後縁側の領域R5の下向き、即ち背面から離れる側に凸に湾曲している部分が本発明の第2膨出部を構成する。
【0025】
図6(b)および図7(2点鎖線参照)に示すように、第3実施例の静翼は、腹面および背面間の距離が前縁部から後縁部に向けて増加し、翼弦長Cの70%付近のc点で極大値に達した後に減少し、翼弦長Cの93%付近のc′点で極小値に達した後に再度増加している。
【0026】
図11は静翼の比較例を示すもので、その翼型の腹面の曲率は、前縁および後縁の極一部を除く翼弦長Cの実質的に全域で正値であり、かつ背面の曲率は翼弦長Cの全域で正値である。従って腹面は、第1〜第3実施例のものの第1膨出部および第2膨出部を備えていない。また図12(b)および図7(破線参照)に示すように、比較例の静翼列の腹面および背面間の距離は、前縁部から後縁部に向けて増加率を減少させながら単調に増加しており、極大値あるいは極小値を備えていない。
【0027】
図8は第1〜第3実施例および比較例について、静翼列の入口におけるマッハ数と圧力損失係数との関係を示すものである。同図から明らかなように、設計ポイントである静翼列の入口におけるマッハ数=0.87において、第1〜第3実施例の圧力損失係数は、比較例の圧力損失係数に比べて0.05程度小さくなっている。
【0028】
第1〜第3実施例の上記効果は、主として静翼の腹面の、翼弦線と接する2点間に挟まれた領域の前縁側に設けた第1膨出部と、後縁側に設けた第2膨出部とによって得られるものである。即ち、静翼の腹面の前縁側に設けた第1膨出部で該第1膨出部よりも後方の境界層を不安定化して積極的に剥離させることにより、静翼の背面における衝撃波の発生を抑制して造波抵抗を低減することができる。腹面の第1膨出部により境界層が剥離すると摩擦抵抗が増加するが、この摩擦抵抗の増加量は衝撃波の発生の抑制による造波抵抗の低減量に比べて遙に小さいため、全体として抵抗の低減に大きく寄与することができる。
【0029】
しかも、腹面の前縁側に設けた第1膨出部により不安定化した境界層は、腹面の後縁側に設けた第2膨出部により再加速されて安定化され、境界層の剥離の促進が抑制される。これにより、腹面側の境界層の剥離による摩擦抵抗の増加を最小限に抑え、更なる抵抗の低減を可能にすることができる。
【0030】
図9および図10は、それぞれ第1実施例および比較例の静翼のまわりの流れの様子を可視化したものである。図9に示す第1実施例は、図10に示す比較例に比べて、鎖線で囲って示す部分で衝撃波の後部の圧力勾配が緩やかになっており、造波抵抗の低減効果が確認される。
【0031】
上記第1〜第3実施例の効果を静翼列の観点から説明すると、以下のようになる。
【0032】
静翼列の腹面および背面間の距離が、前縁部から後縁部に向けて増加して極大値に達した後に減少し、極小値に達した後に再度増加しているので、前記距離が極大値となる部分で腹面側の境界層を不安定化して積極的に剥離させることにより、それに対向する背面側における衝撃波の発生を抑制して造波抵抗を低減することができる。腹面側の境界層の剥離により摩擦抵抗が増加するが、この摩擦抵抗の増加量は背面側での造波抵抗の低減量に比べて遙に小さいため、全体として抵抗が大きく低減する。
【0033】
しかも、前記距離が極大値に達した後に極小値まで減少して再度増加するため、その極小値の部分で流れが絞られることにより腹面側の流れが再加速され、境界層が安定化されて剥離の促進が抑制される。その結果、腹面側の境界層の剥離による摩擦抵抗の増加が抑えられ、静翼全体の抵抗を更に低減することができる。
【0034】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0035】
例えば、第2膨出部の前端の位置Xaは、第1実施例が翼弦長Cの80%、第2実施例が翼弦長Cの65%、第3実施例が翼弦長Cの88%であるが、それを60%〜90%の範囲に設定すれば充分な効果を得ることができる。また第1膨出部の後端の位置Xbは、第1実施例が翼弦長Cの15%、第2実施例が翼弦長Cの24%、第3実施例が翼弦長Cの11%であるが、それを5%〜40%の範囲に設定すれば充分な効果を得ることができる。
【0036】
また第1〜第3実施例では、ソリディティ(隣接する静翼間の距離に対する翼弦長Cの比)が2.0であるが、それを1.5〜3.0の範囲に設定すれば充分な効果を得ることができる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、環状の流体通路に配置される静翼に流体が流入する際に、翼弦線が腹面と接する2点間の領域で、該領域内の腹面の前縁側に設けた第1膨出部によって積極的に境界層の剥離を生じさせることにより、腹面側に隣接する静翼の背面における衝撃波の発生を緩和して造波抵抗を低減することができる。第1膨出部における境界層の剥離によって若干の摩擦抵抗の増加が発生するが、それは衝撃波の発生の緩和による造波抵抗の低減に比べて遙に小さいため、全体として抵抗を大幅に低減することができる。また腹面の前縁側の第1膨出部により不安定になった境界層を、翼弦線が腹面と接する2点間の領域で、該領域内の腹面の後縁側の第2膨出部により再度安定化することができるので、腹面の境界層の剥離による摩擦抵抗の増加を最小限に抑えることができる。
【0038】
また前縁から第2膨出部の前端までの距離Xaを翼弦長Cに対して、0.60<Xa/C<0.90に設定し、前縁から第1膨出部の後端までの距離Xaを翼弦長Cに対して、0.05<Xa/C<0.40に設定することにより、上記効果を特に良好に発揮させることが可能である。
【0039】
更に、静翼列の腹面および背面間の距離が、前縁部から後縁部に向けて増加して極大値に達した後に、第2膨出部領域において極小値に達しているので、前記距離が極大値となる部分で腹面側の境界層を不安定化して積極的に剥離させることにより、それに対向する背面側における衝撃波の発生を抑制して造波抵抗を低減することができる。しかも、前記距離が極大値に達した後に第2膨出部領域において極小値に達するため、その極小値の部分で流れが絞られることにより腹面側の流れが再加速され、境界層が安定化されて剥離の促進が抑制される。その結果、腹面側の境界層の剥離による摩擦抵抗の増加が抑えられ、静翼全体の抵抗を更に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の翼型と、その腹面および背面の曲率の変化とを示す図
【図2】第1実施例の翼型の静翼列と、その腹面および背面間の距離の変化とを示す図
【図3】第2実施例の翼型と、その腹面および背面の曲率の変化とを示す図
【図4】第2実施例の翼型の静翼列と、その腹面および背面間の距離の変化とを示す図
【図5】第3実施例の翼型と、その腹面および背面の曲率の変化とを示す図
【図6】第3実施例の翼型の静翼列と、その腹面および背面間の距離の変化とを示す図
【図7】隣接する静翼の腹面および背面間の距離の翼弦方向の分布を示す図
【図8】マッハ数と圧力損失係数の関係を示す図
【図9】第1実施例の静翼のまわりの流れの様子を可視化した図
【図10】比較例の静翼のまわりの流れの様子を可視化した図
【図11】比較例の翼型と、その腹面および背面の曲率の変化とを示す図
【図12】比較例の翼型の静翼列と、その腹面および背面間の距離の変化とを示す図

Claims (4)

  1. 正圧を発生する腹面および負圧を発生する背面を有して環状の流体通路に配置される軸流型圧縮機の静翼であって、この静翼の前縁および後縁の近傍の2点で前記腹面に接する翼弦線の片側に、前記腹面および前記背面が共に在るものにおいて、
    前記腹面の前記2点間に挟まれた領域で、該領域内の前記腹面の前縁側位置および後縁側位置に、それぞれ前記背面から離れる側に凸に湾曲した第1膨出部および第2膨出部を備えたことを特徴とする軸流型圧縮機の静翼。
  2. 前縁から第2膨出部の前端までの距離Xaが翼弦長Cに対して、0.6
    0<Xa/C<0.90であることを特徴とする、請求項1に記載の軸流型圧縮機の静翼。
  3. 前縁から第1膨出部の後端までの距離Xbが翼弦長Cに対して、0.0
    5<Xb/C<0.40であることを特徴とする、請求項2に記載の軸流型圧縮機の静翼。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の静翼を、軸流型圧縮機の環状の流体通
    路に間隔をあけて複数配置した静翼列であって、隣接する2つの静翼の一方の腹面および他方の背面間の距離の翼弦方向の分布が、前縁から後縁に向けて増加して極大値に達した後に、前記第2膨出部領域において極小値に達することを特徴とする軸流型圧縮機の静翼列。
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