JP4545680B2 - 自動2輪車用カップホルダ - Google Patents

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Description

この発明は、自動2輪車の座席近傍に設けられるカップホルダに関する。
従来、2輪車のハンドル上部に設けられたメータユニットに飲み物容器を保持するための穴を形成してカップホルダとしたものがある。
特開2003−72638公報
上記背景技術のカップホルダは、車体前方のハンドル部に設けられているので、運転者には飲み物容器を扱いやすいが、運転者の後方に位置する同乗者からは距離が離れているため扱いにくかった。また、単に穴へ飲み物容器を遊嵌する構造の場合は、自動2輪車のような、車体に大きな振動が発生したり、バンク時等に車両姿勢が大きく変化する車両においては特別な固定構造が必要となるから、構造が複雑化したり部品点数が増加してしまうことが考えられる。
そこで本発明は、同乗者等の乗員が扱いやすいカップホルダを提供すること及び部品点数を増加させることなく簡単な構造で飲み物容器を固定できるようにすることを主たる目的とする。
上記課題を解決するため自動2輪車用カップホルダに係る第1の発明は、弾性変形可能な部分を有する座席の後部とこの後部に隣接する車体部品との境界部に飲み物容器保持用凹部を設け、この飲み物容器保持用凹部を囲む壁部の少なくとも一部を弾性変形させながら飲み物容器を出し入れ可能にするとともに、
前記飲み物容器保持用凹部は、前記車体部品の座席に隣接する部分に形成された切り欠き状凹部であり、前記飲み物容器は、前記車体部品と前記座席とにより挟持されることを特徴とする。
第2の発明は上記第1の発明において、前記車体部品が、リヤカウル、リヤグリップ、座席と別体の背もたれ又はキャリアの少なくとも一つであることを特徴とする。
の発明に係る自動2輪車用カップホルダは、座席の後部もしくは後部に隣接する車体部品に飲み物容器保持用凹部を設けるとともに、この飲み物容器保持用凹部は、後部座席の後方で、車体側方に突出させて飲み物容器を保持可能とする露出位置と、リヤグリップとリヤカウルの間に収納し飲み物容器を保持不能とする収納位置との間を回転移動自在であることを特徴とする。
第1の発明によれば、座席の後部もしくは後部に隣接する車体部品との境界部に飲み物容器保持用凹部を設けたので、乗員は着座状態で容易にカップホルダを使用できる。特にダブルシートの場合における同乗者のカップホルダ使用が容易になる。そのうえ、飲み物容器保持用凹部を囲む壁部の少なくとも一部を弾性変形させながら飲み物容器を出し入れ可能にしたので、各種サイズの異なる飲み物容器を弾性支持でき、部品点数を増加させることなく簡単な構造で飲み物容器を固定できる。
さらに、飲み物容器保持用凹部を車体部品の座席に隣接する部分に形成された切り欠き状凹部としたので、飲み物容器保持用凹部を容易に形成でき、飲み物容器を車体部品と座席とにより挟持するので、特別な部品を必要とせずに飲み物容器を固定できる。
第2の発明によれば、車体部品として、リヤカウル、リヤグリップ、座席と別体の背もたれ又はキャリアの少なくとも一つを使用するので、既存の車体部品によりカップホルダを形成できるため、部品点数の増加を抑えることができる。
の発明によれば、飲み物容器保持用凹部を使用しないときは収納させることができるため、座席への乗り降りを容易に行うことができる。また、同乗者からの距離が近いため、飲み物容器を容易に扱うことができる。
以下、図面に基づいて実施形態を説明する。図1は本願発明の適用される自動2輪車の側面図である。この自動2輪車は、2人乗用の大型スクータであり、前輪1はフロントフォーク2を介して車体フレーム3の前端部へ回動自在に支持され、ハンドル4にて操向される。車体フレーム3の後部にはユニットスイング式のパワーユニット5が揺動自在に支持されている。パワーユニット5の後端部には後輪6が支持されている。
車体フレーム3の後部からリヤフレーム7が斜め上がりに後方へ延び、ここにダブルシート形式のシート8が支持されている。シート8の後方にはリヤグリップ9が配置され、リヤフレーム7に支持されている。
シート8は運転者用の前席10と、同乗者用の後席11及びこれらの前席10と後席11の間を仕切る背もたれ12が一体に形成されたものであり、後席11の後方にリヤグリップ9が配置されている。前席10と後席11は段違いに形成され、この段差部を利用して背もたれ12が設けられ、背もたれ12は一段低い前席10の後部に上方へ立壁状をなして形成され、運転者13の腰部及び背中を支持する。
車体は前方からフロントカバー14,レッグシールド15,サイドカバー16,フロアパネル17,リヤカウル18で覆われている。サイドカバー16及びリヤカウル18の内側には、シート8により開閉される収納ボックスが設けられ、ヘルメット19等の大型物品が収納される。
図2は車体前部を車体後方かつ斜め上方から示す図である。レッグシールド15の上部は、略水平のメーターパネル20をなし、ここにメーター21が設けられる。22はハンドル軸穴であり、その近傍にカップホルダ23が設けられている。カップホルダ23は飲み物容器を嵌合するための縦穴状凹部である。
レッグシールド15の立壁部分で、メーターパネル20の下方かつ前席10の前方となる部分には、上部側が後方へ回動して開く開閉式の収納ケース24が設けられる。収納ケース24の側方には、起倒式のカップホルダ25が設けられている。このカップホルダ25は、リング状をなし、基部26をレッグシールド15に設けたボス27へ取付け、下方へ回動して倒すと収納状態になり、上方へ回動させて略水平まで起こせば、カップを支持できる使用状態になる。
図3は第1実施例に係るシート8を示し、Aは側面図、Bは斜視図、Cは上面視図である。シート8は、軟質フォーム等材料等を表皮で覆うことにより、着座等により適度に弾性変形可能な弾性部を備え、図示しない剛性のある底板上に支持されている。シート8の上部及び側面は弾性部であり、底板を除き、前席10,後席11及び背もたれ12からなる全体が弾性変形可能になっている。
背もたれ12は周囲部分が略アーチ状をなし、内側が車体後方へ凹入した状態になっている。背もたれ12と後席11はリヤカウル18上方に位置し、背もたれ12の左右側部から後方にかけてはリヤグリップ9により囲まれている。リヤグリップ9は金属又は樹脂等の適宜剛性材料からなり、後席乗員である同乗者が掴まる部分であり、上面視略U字状をなし、前部中央にカップホルダ28が形成されている。
カップホルダ28は、後席11の後端部11aとその後方に形成された凹部30との間に形成されている。後端部11aは後席11の後部で車幅方向中央部に位置し、最も後方へ延び出す部分である。飲み物容器用凹部30は、リヤグリップ9における左右の側部31,31の各前面部で後席11の後部を囲む後方湾曲部のうち、車幅方向中央部に設けられた切り欠き凹部状であり、上面視(図のC)で前後方向へ延びて前方が開放され、この開放部を後端部11aが入り込んで塞いでいる。リヤグリップ9における飲み物容器用凹部30の後方は後部32をなし、左右の側部31,31と連続一体化している。
図3のDは図3のCにおける4−4線断面を示す。飲み物容器用凹部30は左右の側部31,31の内側壁31a、31aと後部32の前壁34で3方を囲まれた上方及び前方へ開放された溝状部分であり、底部33を有する。但し、飲み物容器用凹部30の構造は任意であり、この実施例のような底33を有するものではなく、上下に開口する穴として形成してもよい。
この例では、飲み物容器用凹部30の前方開放部に、後席11の後端部11aが臨んでおり、後端部11aを底33の上方にて後方へ張り出させることにより、飲み物容器用凹部30の前方開放部を閉じた空間であるカップホルダ28が形成される。底部33の前後方向長さをa、後端部11aも最も後方へ張り出した部分と前壁34との間の距離bを、飲み物容器用凹部30の横幅をc(図3のC)としたとき、
a>=c>b となるように寸法関係を設定する。
bは小さめのカップ35Bの被支持部における最大外径よりも若干短い程度とし、cは大きめのカップ35Aの被支持部における最大外径程度とする。dは飲み物容器用凹部30の深さであり、大きめのカップ35Aから小さめのカップ35Bまで、それぞれ保持に十分な嵌合深さを確保できるよう任意に設定される。
カップホルダ28の上方開口部の横幅cは大きめのカップ35Aを上方から差し込む程度の大きさとし、前後方向の幅bは小さめのカップ35Bの被支持部における最大外径よりも狭くなり、小さめのカップ35Bでも後端部11aを弾性変形させながら収容させるようになっている。
すなわち、後端部11aは弾性変形可能なため、小さめのカップ35Bを押し込むと後端部11aが弾性変形してカップホルダ28内へ小さめのカップ35Bを収容するとともに、後端部11aの復元力で小さめのカップ35Bを後方の前壁34へ押し付ける。このため、小さめのカップ35Bは左右方向で若干側部31,31との間に間隙を有するにも関らず、ガタつかないように弾性保持される。
また、cと同程度の外径を有する大きめのカップ35Aをカップホルダ28へ押し込むと、後端部11aがより大きく変形して大きめのカップ35Aをカップホルダ28内へ収容し、同様に大きめのカップ35Aを弾性保持する。
したがって、大きさの異なるカップを収納しても、後端部11aの弾性変形を利用してガタつきなく弾性支持でき、各種サイズの異なる飲み物容器を弾性支持でき、部品点数を増加させることなく簡単な構造で飲み物容器を固定できる。
また、走行中の振動に対しても安定に保持できる。このため、振動が大きくかつバンク等による車両の姿勢変化が大きな自動2輪車に好適になる。しかも、カップホルダ28はリヤグリップ9を利用してリヤグリップ9の成形と同時に簡単に形成できる。そのうえ、車体部品として、既存のリヤグリップを使用するので、既存の車体部品によりカップホルダ28を形成できるため、部品点数の増加を抑えることができる。
しかも、飲み物容器保持用凹部30を後席11の後部に隣接するリヤグリップ9に形成された切り欠き状凹部としたので、飲み物容器保持用凹部30を容易に形成でき、飲み物容器をリヤグリップ9と後席11の後端部11aとにより挟持するので、特別な部品を必要とせずに飲み物容器を固定できる。
図4は第2実施例に係る図3に対応する図であり、ABCDはそれぞれ図3のABCDと対応する。この例では、リヤグリップ9を設けない形式の車両に係り、カップホルダ28は後席11の後端部11aとリヤカウル18の上部36との境界部に形成されている。リヤカウル18の上部36における前部の車幅方向中央部に前実施例同様の飲み物容器用凹部37が形成され、この飲み物容器用凹部37と後端部11aとで、前実施例同様のリヤカウル18に形成されている。すなわち、後席11より後方へ延出するリヤカウル18のカップホルダ28が構成される。
この例では、カップホルダ28がリヤグリップ9に設けられている点でのみ前実施例と異なり、カップホルダ28の構造及び後端部11aとの関係は同様である。
図5は参考例であり、この例ではカップホルダ28が背もたれ12に設けられている。すなわち、背もたれ12の頂部12aに上向きに開口する上面視丸穴状の飲み物容器用凹部38を設けることにより、この飲み物容器用凹部38によってカップホルダ28が形成されている。この場合、飲み物容器用凹部38を構成する周壁部は全て弾性変形可能部となる。但し、カップホルダ28の上面視開口形状は菱形系や長穴状等、種々可能である。
カップホルダ28の穴径は、Dに示すように、小さめのカップ35Bの外径よりも若干小さめに形成する。このようにすると、背もたれ12がシート8の一部で弾性変形可能部分であるから、小さめのカップ35Bを押し込むと背もたれ12を変形させてカップホルダ28を拡径しながら収容し、その後、背もたれ12の復元弾力でカップホルダ28を縮径して小さめのカップ35Bを弾性保持する。
また、大きめのカップ35Aを押し込んでも、カップホルダ28の拡径量を大きくするだけで、同様に大きめのカップ35Aを弾性保持できる。したがって、前席10の運転者13が後へ手を伸ばして簡単にカップを出し入れできる。また、後席11の後席乗員も前方にて手軽に使用できる。
しかも、前席10へ運転者13が着座して背もたれ12を使用することにより、背もたれ12の変形が大きくなるので、さらにカップの保持が確実になる。
頂部12aへ複数のカップホルダ28を設ければ、前後席から同時に利用できる。また、頂部12aに軟質材料のカバーを被せ、その一部がカップホルダ28内へ入るように一体に飲み物容器用凹部を形成すれば、カップホルダ28内を防水できる。
なお、シート8の弾力をカップ保持に利用しないものの、後席乗員から容易に使用できるようにしたカップホルダも種々可能であり、これを図6〜9に示す。図6は他の参考例であって、リヤグリップ9の後部32における上面中央部に上方へ開放された穴としてカップホルダ40が形成されている。カップホルダ40は内径が一定であり、弾性部材により可変となっている前各実施例図のカップホルダ28とは構造が異なっている。図中のABCは図3等のABCに相当する(以下同じ)。このようにすると、比較的大きな面積を有し飲み物容器用凹部形成の自由度が大きなリヤグリップ9の上面を利用してカップホルダ40を容易に形成できる。
図7は別の参考例であり、リヤグリップ9の側部31の外側部とリヤカウル18の間にカップホルダ28が形成されている。すなわち、側部31の外側部に形成された上面視(図のC)略半円状凹部をなす逃げ部31aと、リヤカウル18の上面に形成された同様の逃げ部18aとにより形成された穴形状の飲み物容器用凹部によってカップホルダ41が形成されている。このようにすると、カップホルダ41をリヤグリップ9とリヤカウル18の境界部を利用して容易に形成できる。
図8はさらに別の参考例であり、図7よりもリヤグリップ9の側部31からより離れたリヤカウル18の側部に上方へ開口する穴として形成されたカップホルダ42が形成されている。このようにすると、カップホルダ42をリヤグリップ9と無関係にリヤカウル18へ設けることができ、しかも比較的面積が大きく飲み物容器用凹部形成の自由度が大きなリヤカウル18を有効利用でき、リヤグリップ9を設けない形式の車両でも容易にカップホルダ42を形成できる。
図9は収納式の別体カップホルダ43を設けた第3実施例であり、別体カップホルダ43はカップを保持するリング状をなすとともに、脚部44が一体に形成され、この脚部44の他端をリヤグリップ9とリヤカウル18の間へ差し込み、軸45により回動自在とし、Cに示すように別体カップホルダ43をリヤグリップ9の下側へ入れる収納状態と、リヤグリップ9から側方へ引き出した使用状態の間で可変としてある。なお別体カップホルダ43は本願の飲み物容器保持用凹部に相当し、この凹部形状はリング状等の貫通穴をなすものの他、有底の穴状をなすものでもよい。さらに、収納時に別体カップホルダ43を覆う部材は、リヤグリップ9ではなく、シート20に隣接する他の車体部品でもよい。
このようにする、別体カップホルダ43は、カップ等の飲み物容器を保持可能な露出位置と、リヤグリップ9等の車体部品に覆われて飲み物容器を保持不能な収納位置との間を移動自在になる。したがって、別体カップホルダ43を使用しないときは収納させることができるため、シート8への乗り降りを容易に行うことができる。そのうえ、非使用時にリヤグリップ9等を利用して別体カップホルダ43を外観されないように収納できるので、非使用時の外観性を向上させることができる。また、同乗者からの距離が近いため、飲み物容器を容易に扱うことができる。
なお、本願発明は上記実施例に限定されず種々に変形や応用が可能であり、例えば、シート8はダブルシートでなく、シングルシートであってもよい。その場合には、前席10の後部の適宜位置、例えば図5に示すような背もたれ12などへカップホルダ28を設ければよい。
また、飲み物容器保持用凹部を設ける車体部品は、リヤグリップ9やリヤカウル18に限定されず、座席と別体に形成され背もたれ又はキャリア等のシート8に隣接する既存部品であってもよい。またこれらは少なくとも一つを使用するものであり、必要により複数を組合せ使用してもよい。このように既存の車体部品によりカップホルダを形成すると部品点数の増加を抑えることができる。
また、本実施例では飲み物容器の径を軸方向位置によって変化させたものを記載したが、径が一定の例えばペットボトルのようなものにも適用可能である。
自動2輪車の側面図 車体前部の斜視図 第1実施例に係るシートを示す図 第2実施例に係るシートを示す図 参考例に係るシートを示す図 シートの弾性を利用しない例に係るシート及び近傍部を示す図(参考例) 同上 同上 第3実施例にかかるシートを示す図
符号の説明
3:車体フレーム、7:リヤフレーム、8:ダブルシート、9:リヤグリップ、10:前席、11:後席、11a:後端部、12:背もたれ部、18:リヤカウル、28:カップホルダ、30:飲み物容器用凹部

Claims (3)

  1. 弾性変形可能な部分を有する座席の後部とこの後部に隣接する車体部品との境界部に飲み物容器保持用凹部を設け、この飲み物容器保持用凹部を囲む壁部の少なくとも一部を弾性変形させながら飲み物容器を出し入れ可能にするとともに、
    前記飲み物容器保持用凹部は、前記車体部品の座席に隣接する部分に形成された切り欠き状凹部であり、前記飲み物容器は、前記車体部品と前記座席とにより挟持されることを特徴とする自動2輪車用カップホルダ。
  2. 前記車体部品は、リヤカウル、リヤグリップ、座席と別体の背もたれ又はキャリアの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1の自動2輪車用カップホルダ。
  3. 座席の後部もしくは後部に隣接する車体部品に飲み物容器保持用凹部を設けるとともに、この飲み物容器保持用凹部は、後部座席の後方で、車体側方に突出させて飲み物容器を保持可能とする露出位置と、リヤグリップとリヤカウルの間に収納し飲み物容器を保持不能とする収納位置との間を回転移動自在であることを特徴とする自動2輸車用カップホルダ
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