JP4544715B2 - ラットbcl−x遺伝子の改変型cDNAと改変型タンパク質 - Google Patents

ラットbcl−x遺伝子の改変型cDNAと改変型タンパク質 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、ラットbcl-x遺伝子の改変型cDNAと改変型タンパク質に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、ラットのアポトーシス抑制遺伝子bcl-xが発現するタンパク質Bcl-xLよりもさらに高いアポトーシス抑制活性、細胞死抑制活性を有する改変型タンパク質Bcl-xLを発現する新規なcDNAと、このcDNAの遺伝子工学的利用のための材料、さらにはこのcDNAが発現する改変型タンパク質Bcl-xLに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アポトーシス(apoptosis)は、プログラムされた細胞死の一種であり、周囲の細胞との接触の欠乏、細胞質の濃縮化、エンドヌクレアーゼの活性に関連したクロマチンの凝縮および核凝縮、核の断片化、膜被包性球状小体化、隣接するマクロファージもしくは上皮細胞などによる球状小体の貪食、またはエンドヌクレアーゼ活性によりDNAのヌクレオソーム単位が180〜200塩基長のDNAに断片化するといった現象が観察され、このような現象が認められるアポトーシス小体の最終断片が隣接する細胞により貪食される機構として論じられている(例えば、Immunology Today 7:115-119, 1986;Science 245:301-305, 1989)。
【0003】
このアポトーシスを制御する遺伝子としてしては、例えば、ヒト濾胞性B細胞腫から発見されたガン遺伝子のひとつであるbcl-2遺伝子(Science 226(4678):1097-1099, 1984; Pro. Natl. Acad. Sci. USA 81(22):7166-7170, 1984)が知られており、その遺伝子構造や転写産物の解析あるいはcDNAクローンが報告されている(Pro. Natl. Acad. Sci. USA 83(14):5214-5218, 1986; Cell 47(1):19-28, 1886)。このbcl-2遺伝子は、免疫系や神経性の細胞で高頻度に発現しており、この遺伝子の発現産物はこれら細胞のアポトーシスを抑制することによって、ヒトの免疫機能や神経系機能の恒常性を維持していると考えられている。また、このbcl-2遺伝子は、胎児では特に広範囲には発現していることから、個体発生の際の形態形成にも重要な役割を果たしていると考えられてもいる。
【0004】
その後、このヒトbcl-2遺伝子のホモログがウシ、ラット、ニワトリ等で見いだされ、bcl-2ファミリーと総称されている。
【0005】
この出願の発明者らも、bcl-2ファミリーに属するヒトbcl-x遺伝子(Cell 74(4):597-608, 1993)のホモログとしてラットbcl-x遺伝子をクローニングし(J. Biol. Chem. 271(22):13258-13265, 1996)、またこのラットbcl-x遺伝子が発現するタンパク質Bcl-xLの立体構造をX線解析により決定している(J. Biol. Chem. 272(44):27886-27892, 1997)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この出願の発明者らは、ラットBcl-xLのアポトーシス抑制効果をさらに増強することを目的として、その立体構造を変化させうるアミノ酸置換について検討した結果、特定のアミノ酸を他のアミノ酸に置換するようにbcl-x遺伝子のcDNAを改変させ、この改変型cDNAを細胞内で発現させると、細胞アポトーシスを含む細胞死が顕著に抑制されることを見出した。
【0007】
この出願の発明は、発明者らによるこのような新規な知見に基づいてなされたものであり、この新規な改変型ラットBcl-xLタンパク質を細胞内で発現することのできる改変型cDNAを提供することを課題としている。
【0008】
またこの出願は、この改変型cDNAを保有する組換えベクターと、この組換えベクターによる形質転換細胞を提供することを課題としてもいる。
【0009】
さらにこの出願は、前記改変型cDNAが発現する改変型タンパク質を提供することを課題といている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この出願は、前記の課題を解決するため、次の(1)から(8)の発明を提供する。
(1) 配列番号1に塩基配列を示したラットbcl-x遺伝子のcDNA配列において、コード領域の第22番目TyrをPheに変換する塩基置換、第26番目GlnをAsnに変換する塩基置換および165番目ArgをLysに変換する塩基置換のうち、少なくとも一つの塩基置換を有することを特徴とするラットbcl-x遺伝子の改変型cDNA。
(2) 5'側に、細胞膜通過ペプチドをコードするオリゴヌクレオチドを連結している前記発明(1)の改変型cDNA。
(3) オリゴヌクレオチドが、配列番号12または13のアミノ酸配列をコードするオリゴヌクレオチドである前記発明(2)の改変型cDNA。
(4) 前記発明(1)から(3)のいずれかの改変型cDNAを保有する組換えベクター。
(5) 前記発明(4)の組換えベクターが導入された形質転換細胞。
(6) 前記発明(1)記載の改変型cDNAが発現するタンパク質であって、配列番号2における第22番目TyrをPheに変換するアミノ酸置換、第26番目GlnをAsnに変換するアミノ酸置換、および165番目ArgをLysに変換するアミノ酸置換のうち、少なくとも一つのアミノ酸置換を有することを特徴とする改変型タンパク質。
(7) N末端側に細胞膜通過ペプチドを連結している前記発明(6)の改変型タンパク質。
(8) 細胞膜通過ペプチドが、配列番号12または配列番号13のアミノ酸配列を有するオリゴペプチドである前記発明(7)の改変型タンパク質。
【0011】
以下、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
この出願の前記発明(1)の改変型cDNAは、配列番号1に塩基配列を示したラットbcl-x遺伝子のcDNA配列において、第22番目のTyrコドン(tac)をPheコドン(ttt/ttc)に変換する塩基置換、第26番目Gln(cag)をAsnコドン(aat/aac)に変換する塩基置換、165番目Argコドン(cgg)をLysコドン(aaa/aag)に変換する塩基置換のうち、少なくとも一つの塩基置換を有するcDNAである。そして、この発明(1)の改変型cDNAにおいては、以上の3カ所全ての塩基置換を有することを好ましい態様としている。3カ所の塩基置換を有する改変型cDNAの場合、配列番号3にアミノ酸配列を示した改変型タンパク質Bcl-xFNKを発現する。この改変型タンパク質Bcl-xFNKは、図1に構造模式図を示した野生型ラットBcl-xLにおける第22番目Tyrと第156番目Asp、第26番目Glnと第164番目Ser、第165番目Argと第116番目Proのそれぞれの水素結合が、前記の塩基置換によって生じるアミノ酸置換(Tyr22Phe:Gln26Asn:Arg165Lys)の結果、消失している。
【0013】
この改変型cDNAは、ラットbcl-x遺伝子cDNAを鋳型として、ミューテーション・キット等を使用する公知の方法や、あるいは後記の実施例に示したPCR法などにより作成することができる。ラットbcl-x遺伝子のcDNAはプラスミッドpEF1-BOSbcl-x(J. Biol. Chem. 271(22): 13258-13265, 1996)を使用することができる。あるいはまた、配列番号1の任意部分の塩基配列に基づいてオリゴヌクレオチドを合成し、これをプローブとして用いてラットcDNAライブラリーをスクリーニングする方法や、目的とするcDNA断片の両末端にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを合成し、これをプライマーとして用いてラット細胞から単離したmRNAからRT-PCR法により調製することもできる。
【0014】
この出願の前記発明(2)および(3)は、前記発明(1)の改変型cDNAの5'側に細胞膜通過ペプチドをコードするオリゴヌクレオチドを連結したDNA断片(ポリヌクレオチド)であって、これらのDNA断片は後述する改変型タンパク質Bcl-xLを作成するために使用することができる。
【0015】
この出願の前記発明(4)の組換えベクターは、導入する細胞の種類(例えば、大腸菌、枯草菌等の原核細胞や、酵母、昆虫細胞、哺乳動物細胞、植物細胞等の真核細胞など)に応じて適宜な発現ベクターを選択し、これに発明(1)から(3)の改変型cDNAを組み込むことによって作成することができる。例えば、大腸菌などの微生物を対象とする場合には、微生物中で複製可能なオリジン、プロモーター、リボソーム結合部位、ターミネーター等を有する発現ベクターのDNAクローニング部位に前記(1)〜(3)のいずれかの改変型cDNAを組み込むことによって作成することができる。また、哺乳動物細胞等の真核細胞を対象とする場合には、プロモーター、スプライシング領域、ポリ(A)付加部位等を有する真核細胞用発現ベクターを用いて発明(4)の組換えベクターを作成することができる。
【0016】
この出願の前記発明(5)の形質転換細胞は、発明(4)の組換えベクターが導入され、改変型タンパク質Bcl-xLを発現する細胞である。細胞の種類は特に制限はなく、例えば、大腸菌、枯草菌等の原核細胞や、酵母、昆虫細胞、哺乳動物細胞、植物細胞等の真核細胞など前記(4)の組換えベクターによって形質転換可能な全ての細胞が含まれる。組換えベクターを細胞に導入するには公知の方法を用いることができる。例えば、哺乳動物細胞に組換えベクターを導入するには、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法などを用いることができる。
【0017】
なお、この発明(5)の形質転換細胞のうち、特に哺乳動物細胞は、後記の実施例にデータを示すように、無血清培地でも増殖可能である。すなわち、一般に培養細胞を一定の期間生存させるには、増殖因子を含む血清(ウシ胎児血清など)を培地に添加する必要がある。増殖因子によって細胞のアポトーシスが抑制され、生存期間を延長することができるからである。しかしながら、例えば生理活性物質やモノクローナル抗体などの細胞生成物を動物細胞から回収して精製する場合には、培地中に血清のような不純物が含まれていないことが望ましい。目的の物質を精製するための費用や工程が増加することや、血清中にウイルス等の危険因子が混入している危険性も存在するからである。そこで、培養液に血清を用いない無血清無蛋白培地が用いられてもいるが、実際には無血清無蛋白培地では細胞の増殖の程度は低く、死細胞も多い。そして、死細胞が多いと細胞の内容物が流出して培地を汚染するという問題も存在する。
【0018】
一方、増殖因子を使用することなく細胞を増殖させる方法として、癌遺伝子の導入によって細胞を形質転換する方法も知られている。しかしながら、癌遺伝子産物が多量に発現すると、むしろアポトーシスが促進されることが明らかにされている。
【0019】
発明(5)の形質転換哺乳動物細胞は、改変型タンパク質Bcl-xLの発現によって、血清等の増殖因子が存在せずともアポトーシスを生じることなく、長期間にわたって培養することが可能である。また、このような優れた増殖能により、セルライン化が可能でもある。
【0020】
発明(6)の改変型タンパク質Bcl-xLは、発明(1)の改変型cDNAが発現するタンパク質であり、配列番号2にアミノ酸配列を示したBcl-xLにおける第22番目TyrをPheに変換するアミノ酸置換、第26番目GlnをAsnに変換するアミノ酸置換、および165番目ArgをLysに変換するアミノ酸置換のうち、少なくとも一つのアミノ酸置換を有することを特徴としている。そして、これらのアミノ酸置換の全てを有する配列番号3のアミノ酸配列からなるBcl-xFNKを最も好ましい態様としている。
【0021】
この改変型タンパク質は発明(5)の形質転換細胞を培養し、その培養物から公知の分離操作を組み合わることによって単離精製することができる。例えば、尿素などの変性剤や界面活性剤による処理、超音波処理、酵素消化、塩析や溶媒沈殿法、透析、遠心分離、限外濾過、ゲル濾過、SDS-PAGE、等電点電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等である。
【0022】
この改変型タンパク質は、例えば、アポトーシス抑制剤の有効成分またはそのリード化合物等として使用することができるが、さらには、この改変型Bcl-xLのN末端側に細胞膜通過ペプチドを連結させることが好ましい。この細胞膜通過ペプチドを備えることによって、改変型タンパク質Bcl-xLは細胞膜を通過して細胞内に取り込まれ、細胞内において一過性にアポトーシスや細胞死を抑制する機能を発揮することができる。そして、このような細胞膜通過機能を有することによって、例えば以下の用途に使用することができる。
(a) 組織移植において使用する細胞を長期間に渡って正常な状態に維持する。
(b) 臓器移植において使用する臓器を長期間に渡って正常な状態に維持する。
(c) 外科手術において、止血状態の臓器を安定に維持する。
(d) 脳血栓等による脳虚血による細胞死の治療薬として使用する。
(e) 劇症肝炎の治療薬として使用する。
(f) ステロイドホルモンの過剰投与による細胞死の防止薬として使用する。
(g) 筋細胞の死等により筋萎縮を呈する疾患(例えば、筋ジストロフィー、筋無力症、筋症等)の治療薬として使用する。
(h) 外傷、火傷等による皮膚上皮細胞の細胞死の防止薬として使用する。
【0023】
なお、細胞膜通過ペプチドとしては、配列番号12や配列番号13にアミノ酸配列を示したオリゴペプチドを使用することができる。配列番号12のオリゴペプチドはHIV-1・TATのPTD(protein transduction domain)であり、配列番号13のオリゴペプチドはショウジョウバエのホメオボックスタンパク質アンテナペディアのPTDである。
【0024】
これらの細胞膜通過ペプチドは、例えばHIV-1・TATの場合にはそのアミノ酸配列およびそのcDNAの塩基配列が公知であり(Science, 285:1569-1572, 1999; GenBank Accession NO. U39362 M96155)、そのPTDに相当する領域(HIV・TATの47〜57番アミノ酸配列)をコードするDNA断片を前記発明(1)の改変型cDNAと連結して融合DNA断片(発明(3))を作成し、この融合DNA断片を大腸菌等の宿主細胞で発現させることによって、N末端側にPTDペプチドを連結した改変型タンパク質Bcl-xLを作成することができる。また、アンティペディアのPTDも公知であり(例えば、GenBank Accession No. AE001573)、同様にしてPTDを融合した改変型タンパク質を作成することができる。あるいはまた、2価の架橋剤(例えば、EDCやβ−アラニン等を介して、改変型Bcl-xLとPTDペプチドを結合させる方法によって細胞膜通過ペプチドを連結した改変型Bcl-xLを作成することもできる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を示してこの出願の発明についてさらに詳細かつ具体的に説明するが、この出願の発明は以下の例によって限定されるものではない。
実施例1:改変型cDNAの作成
ラットBcl-xLのcDNAクローンpEF1-BOSbcl-x(J. Biol. Chem. 271:13258-13265, 1996)をテンプレート(鋳型)にして2段階PCR法により2つのDNA断片(bcl-xR165K、bcl-xY22F/Q26N)を合成し、最終的にこれらのDNA断片の所定領域を結合することにより、3カ所のアミノ酸置換(Tyr22Phe:Gln26Asn:Arg165Lys)を導入した改変型cDNAbcl-xFNKを作成した。
【0026】
先ず、Arg165Lysの置換導入したbcl-xR165Kを作製するために、2つのDNA断片(A、B)をPCR合成した。DNA断片(A)は、5'側プライマーとして配列番号4に示したプライマー1を、3'側プライマーとして配列番号5に示したプライマー2を用いた。プライマー1は、bcl-x cDNAの翻訳領域の上流で、ベクターの塩基配列を一部含む。また制限酵素Bam HI切断部位を含んでいる。プライマー2は、bcl-x cDNAのアンチセンス配列で、Arg165のコドンをLysをコードするように置換している。
【0027】
DNA断片(B)は、5'側プライマーとして配列番号6に示したプライマー3を、3'側プライマーとして配列番号7に示したプライマー4を用いた。プライマー3はbcl-x cDNAのセンス配列で、Arg165のコドンをLysをコードするように塩基置換しており、5'側半分の塩基配列はプライマー2の5'側半分の塩基配列と相補的である。プライマー4はbcl-x cDNAのアンチセンス配列で、その翻訳領域アミノ酸残基178から184に対応する。また、制限酵素Bam HIの切断部位を含んでいる。
【0028】
PCR反応の詳細は以下のとおりである。
・ 反応溶液(溶液量100 μl):10 mM Tris-HCl, pH8.3, 50 mM KCl, 1.5 mM M gCl2, 0.001% gelatin, dATP, dCTP, dTTP, dGTP 各0.2 mM
・ AmpliTaqGOLD:2.5 U
・ 一対のプライマー:プライマー1とプライマー2の組み合わせ、プライマー3とプライマー4の組み合わせ(各プライマー1 μM)
・ テンプレートDNA:50 ng
・ 反応条件1:94℃/10分;(94℃/30秒;53℃/30秒;72℃/1分)×15
反応後、増幅された2つのDNA断片(A、B)はポリアクリルアミドゲル電気泳動で精製した。次いで、上記PCR反応溶液(25 μl)にDNA断片A、B(それぞれ6ng)を混合し、AmpliTaqGOLDを使って各々の相補鎖を合成した。合成条件は以下の反応条件2のとおりとした。
・ 反応条件2:94℃/10分;(94℃/30秒;41℃−47℃/30秒;72℃/1分)×4
反応後、プライマー1とプライマー4(最終濃度各1 μM)とAmpliTaqGOLD (2.5 U)を含むPCR反応溶液75μlを加え、前記の反応条件1によりPCRを実行した。650 bpのPCR産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動で精製し、制限酵素Bam HIで処理した。一方、pEF1-BOSbcl-x(2ケ所のBam HI部位をもつ)をBam HIで処理して2本のDNA断片(5650 bpと650 bp)を調製し、長いDNA断片(5650 bp)に前記PCR産物を順方向に結合させ、Arg165Lysの変異を有するクローンpEF1-BOSbcl-xR165Kを得た。
【0029】
bcl-xY22F/Q26Nは、先ずGln26Asnのアミノ酸置換を導入し、次いでTyr22Pheのアミノ酸置換を付加した。PCRは、pEF1-BOSbcl-x(50 ng)をテンプレートとして、前記プライマー1およびプライマー5(配列番号8)の組み合わせと、前記プライマー4およびプライマー6(配列番号9)の組み合わせでふたつのPCRを別々に行った。反応溶液(100 μl)の組成は前記と同様であり、反応条件は前記の条件1とした。なお、プライマー5はbcl-xcDNAのアンチセンス配列であり、Gln26のコドンをAsnをコードするように塩基置換してある。また、プライマー6はbcl-xcDNAのセンス配列で、Gln26のコドンをAsnをコードするように塩基置換しており、5'側半分の塩基配列はプライマー5の5'側半分の塩基配列と相補的である。
【0030】
PCRで増幅されたふたつのPCR産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動で精製し、2つのDNA断片(それぞれ6ng)を混合し、AmpliTaqGOLDを使って相補鎖を合成した。合成の条件は前記反応条件2と同一とした。
【0031】
反応後、プライマー1とプライマー4(最終濃度各1 μM)とAmpliTaqGOLD (2.5 U)を含むPCR反応溶液(75 μl)を加え、反応条件1によりPCRを行った。650 bpのPCR産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動で精製し、制限酵素Bam HIで処理した。一方、pEF1-BOSbcl-xをBam HIで処理して2本のDNA断片(5650 bpと650 bp)を調製し、長いDNA断片(5650 bp)に前記PCR産物を順方向に結合させ、Gln26Asnの変異を有するクローンpEF1-BOSbcl-xQ26Nを得た。
【0032】
次に、このpEF1-BOSbcl-xQ26Nをテンプレートとして、前記プライマー1およびプライマー7(配列番号10)の組み合わせと、前記プライマー4およびプライマー8(配列番号11)の組み合わせでふたつのPCRを別々に行った。反応溶液(100 μl)の組成は前記と同様であり、反応条件は前記の条件1とした。なお、プライマー7はbcl-x cDNAのアンチセンス配列で、Tyr22のコドンをPheをコードするように塩基置換されている。また、プライマー8はbcl-x cDNAのセンス配列で、Tyr22のコドンをPheをコードするように塩基置換されており、5'側半分の塩基配列はプライマー7の5'側半分の塩基配列と相補的である。
【0033】
このPCRで増幅された2つのPCR産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動で精製し、2つのDNA断片(それぞれ6ng)を混合し、AmpliTaqGOLDを使って相補鎖を合成した。合成条件は前記の反応条件2と同一とした。反応後、プライマー1とプライマー4(最終濃度各1 μM)とAmpliTaqGOLD (2.5 U)を含むPCR反応溶液(75 μl)、前記の反応条件1によりPCRを行った。
【0034】
このPCRにより得られた650 bpのPCR産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動で精製し、制限酵素Bam HIで処理した。一方、pEF1-BOSbcl-xをBam HIで処理して2本のDNA断片(5650 bpと650 bp)を調製し、長いDNA断片(5650 bp)に前記PCR産物を順方向に結合させ、Tyr22PheおよびGln26Asnの変異を有するクローンpEF1-BOSbcl-xY22F/Q26Nを得た。
【0035】
最後に、pEF1-BOSbcl-xR165KとpEF1-BOSbcl-xY22F/Q26Nをそれぞれ2種類の制限酵素(Bgl IIとKpn I)で切断し、pEF1-BOSbcl-xY22F/Q26N由来の約1000 bpのBgl II/Kpn IDNA断片(Tyr22PheとGln26Asnの変異を持つ)と、pEF1-BOSbcl-xR165K由来の約5300 bpのBgl II/Kpn IDNA断片(Arg165Lysの変異を持つ)を結合させて改変型タンパク質Bcl-xFNKをコードする改変型cDNAの組換えベクターpEF1-BOSbcl-xY22F/Q26N/R165Kを得た。
実施例2:形質転換細胞の作成
マウス前骨髄芽球細胞FDC-P1を、RPMI1640培地に牛胎児血清(10%)とサイトカインIL-3(WEHI細胞培養液上清)を添加して培養した。ヒト白血病細胞Jurkat細胞は、RPMI1640培地に牛胎児血清(10%)を添加して培養した。培養はCO2インキュベーター(5%CO2/95%空気、37℃)で行った。
【0036】
実施例1で作成した組換えベクターpEF1-BOSbcl-xY22F/Q26N/R165Kは大腸菌DH5αMCR(GIBCO BRL社)内で増幅させ、Qiagen Plasmid midi Kit(Qiagen社)で調製した。制限酵素Sca I(切断部位は1つ)で切断し、開環して直鎖状になったDNAを1 mM EDTA溶液に溶かした。
【0037】
増殖期の細胞(FDC-P1,あるいはJurkat)を氷冷K-PBS溶液(30.8 mM NaCl, 120.7 mM KCl, 8.1 mM Na2HPO4, 1.46 mM KH2PO4)で3回洗浄し、5 mM MgCl2を含むK-PBS(Mg-K-PBS)に107細胞/mlになるように懸濁した。氷冷したキュベット(Electroporation Cuvettes Plus, 4 mm Gap, BTX, A Division of Genetronics)に細胞懸濁液0.4 mlとMg-K-PBS溶液0.4 mlを混合し、導入する直鎖状pEF1-BOSbcl-xY22F/Q26N/R165K(10 μg)と薬剤geneticin耐性遺伝子を持つ直鎖状DNA pST-neoB(0.5 μg)を加えた。DNA添加による体積の変化は1%以下とした。10分間氷冷した後、Gene Pulser (BioRad社)を用いて250 μF、330 Vの条件でエレクトロポレーションを行い、組換えベクターを導入した。10分間氷冷した後、100-mmディシュの中で39 mlの培地に穏やかに懸濁し、CO2インキュベーターで培養した。1日後、細胞を96穴プレートに分注した。FDC-P1細胞ではgeneticin(GIBCO BRL)を200 μg/ml加え、またJurkat細胞ではgeneticinを1 mg/ml加え、geneticin耐性細胞を選別した。
実施例3:改変型Bcl-xFNK発現量の解析
実施例2で作成した形質転換細胞が発現している改変型Bcl-xFNKの発現量をウェスタンブロットにより解析した。細胞をPBS(pH7.4; NaCl 137 mM, Na2HPO4 8.1 mM, KCl 2.68 mM, KH2PO4 1.47 mM)で1回洗浄後、2%SDS(sodium dodecyl sulfate)水溶液を加え超音波によって全タンパク質を可溶化した。BCA Protein Assay (PIERCE社)で蛋白質定量を行い、20 μgのタンパク質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(レムリの系)で分画した。泳動後、PVDFメンブレン(Amersham Pharmacia Biotec社)にブロッティングした。メンブレンを牛胎児血清(10%)でブロッキングし、ラットBcl-xLのC末端の領域を認識するマウス由来モノクローナル抗体105-1(0.5 μg/ml)を含むTBS溶液(Tris-Hcl pH7.4 20 mM, NaCl 136 mM, Tween80 0.2%)に浸け、37℃で1時間保温した。TBSで十分に洗浄したのち、HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)あるいはAP(アルカリフォスファターゼ)が結合した2次抗体を含むTBS溶液に浸けて37℃で1時間保温した。HRPが結合した2次抗体ではRENAISSANCEキット(NEN Life Science Product社)を用いてX線フィルムに、APが結合した2次抗体ではATTOPHOSキット(ベーリンガー社)を用いてフルオロイメージアナライザーFLA-2000(Fujifilm社)でBcl-xLおよびBcl-xFNKを可視化して定量した。
【0038】
結果は図2に示したとおりである。組換えベクターpEF1-BOSbcl-xFNKを導入した細胞は、野生型bcl-xLのクローンpEF1-BOSbcl-xLを導入した細胞と同一分子量(約30kDa)のタンパク質を発現していることが確認された。
実施例4:形質転換細胞Jurkatbcl-xFNKの細胞死に対する抵抗性の確認
実施例2で作成した形質転換細胞Jurkatbcl-xFNKについて、各種のアポトーシス誘因に対する抵抗性(非感受性)を試験した。結果は図3〜図13に示す。これらの図において、白抜き丸印(○)は改変型Bcl-xFNKを発現しているトランスフェクタントJurkatbcl-xFNK、黒丸印(●)は同程度の蛋白量の正常Bcl-xLを発現しているトランスフェクタントJurkatbcl-x、白抜き四角印(□)はベクタープラスミッドDNAのみを導入したJurkatvec、白抜き菱印(◇)は遺伝子導入に用いた親株Jurkatを示す。
(a) 血清除去によって誘導されるアポトーシスに対する抵抗性
各細胞をPBSで3回洗浄した後、1×105個/mlになるように血清を含まない培地RPMI1640に懸濁した。CO2インキュベーターで保温し、トリパンブルーで染色されない細胞(生細胞)の数を日をおって測定した。生細胞数が5×105/mlを超えないように注意し、超えそうな時は培地を2倍に希釈した。3日目ごとに血清を含まない培地の半分を新鮮なものと入れ替えた。
【0039】
結果は図3に示したとおりであり、コントロールの親株やベクター導入細胞に比較して、野生型Bcl-xLを発現する形質転換細胞は血清除去に対して抵抗性を示し、長期間にわたって生存した。そして、改変型Bcl-xFNKを発現する形質転換細胞は、野生型Bcl-xL発現細胞よりもさらに長期間にわたって生存することから、その優れたアポトーシス抑制効果が確認された。また、この形質転換細胞は、無血清培地でも培養可能であることが確認された。
(b) 抗Fas抗体(anti-Fas)に対する抵抗性
各細胞を1×105個/mlになるように培地RPMI1640に懸濁し、抗Fas抗体(クローンCH-11:MBL社)を1、10、100、1000 ng/mlの濃度で加えた。1日培養したのち、トリパンブルーで染色されない細胞(生細胞)の数を測定した。
【0040】
結果は、抗Fas抗体未処理の生細胞数を100%として図4に示した。この図4から明らかなように、改変型Bcl-xFNKを発現する形質転換細胞は高濃度の抗Fas抗体に対して高い抵抗性を示した。
(c) 抗癌剤を含む各種の細胞毒性因子に対する抵抗性
各細胞を1×105個/mlになるように培地RPMI1640に懸濁し、スタウロスポリン(staurosporine:20 nM)、TN-16(10 μM)、カンプトテシン(camptothecin:10 μM)、ヒドロキシウレア(hydroxyurea:1 mM)、トリコスタチンA(trichostatin A:0.25 μg/ml)、過酸化水素(hydrogen peroxide:0.05 mM)、パラコート(paraquat:1 mM)を加え、培養した。トリパンブルーで染色されない細胞(生細胞)の数を日をおって測定した。
【0041】
結果は図5〜11に示したとおりであり、改変型Bcl-xFNKを発現する形質転換細胞は、試験した全ての細胞毒性因子に対して高い抵抗性を示した。
(d) 熱に対する抵抗性
各細胞を1×105個/mlになるように培地RPMI1640に懸濁し、45℃で10分間処理した。遠心して等量の新鮮な培地に細胞を懸濁し、37℃で培養した。トリパンブルーで染色されない細胞(生細胞)の数を日をおって測定し、図12に示した。また、培養1日目でWST-1を基質にしたCell Counting Kit(同仁化学)で細胞(培養液100 μl)が持つ脱水素酵素の活性を調べ(WST-1 Assay)、加熱未処理の細胞が持つ酵素活性を100%として図13に示した。
【0042】
これらの結果から明らかなように、改変型Bcl-xFNKを発現する形質転換細胞は熱に対して高い抵抗性を示すとともに、熱処理によっても脱水素酵素活性を高いレベルで維持することが確認された。
実施例5:形質転換細胞FDC-P1bcl-xFNKの細胞死に対する抵抗性の確認
実施例2で作成した形質転換細胞FDC-P1bcl-xFNKについて、各種のアポトーシス誘因に対する抵抗性を試験した。結果は図14〜図16に示す。これらの図において、白抜きの◇、□、△、▽、○は、クローン化された5種類のトランスフェクタントFDC-P1bcl-xFNK-1、-2、-3、-4、-5を示す。また、●は、同程度の蛋白量の正常Bcl-xLを発現しているトランスフェクタントFDC-P1bcl-xを、黒四角印はベクタープラスミッドDNAだけを導入したFDC-P1vecを示す。
(a) TN-16とスタウロスポリン(staurosporine)に対する抵抗性
各細胞を2×105個/mlになるように培地に懸濁し、TN-16(50 μM)とスタウロスポリン(10 nM)を加えて培養した。日をおってEST-1を基質にしたCell Counting Kit (同仁化学)で細胞(培養液100 μl)が持つ脱水素酵素の活性を調べた(WST-1 Assay)。酵素活性は薬剤を加える直前の活性を100%とした。
【0043】
結果は図14および15に示すとおりである。改変型Bcl-xFNKを発現する形質転換細胞のクローンはいずれも、TN-16およびスタウロスポリン処理に対して、脱水素酵素活性を高いレベルで維持することが確認された。
(b) サイトカインIL-3除去により誘導されるアポトーシスに対する抵抗性
各細胞を3回PBSで洗浄後、IL-3を含まない培地(血清は含む)に約5×104個/mlになるように懸濁し、トリパンブルーで生細胞数を測定した。日をおって同様に生細胞数を測定し、IL-3を除去した直後の生細胞数を100%として図16に示した。なお、FDC-P1vecを除いた他の細胞について3日目にIL-3を含まない新鮮な培地で5倍希釈した。
【0044】
図16から明らかなように、改変型Bcl-xFNKを発現する形質転換細胞のクローンはいずれも、IL-3除去によって誘導されるアポトーシスに対して、野生型Bcl-xL発現細胞よりも高い抵抗性を示し、IL-3非存在下でも細胞が増殖することが確認された。
実施例6:形質転換CHO細胞の作成
チャイニーズハムスター卵巣細胞CHOを、実施例1で作成した組換えベクター組換えベクターpEF1-BOSbcl-xY22F/Q26N/R165Kによって形質転換した。
【0045】
CHO細胞1×105個を10%牛胎児血清を含む培養液DMEM/F-12(GIBCO BRL社)に懸濁し、60-mmディッシュで一晩培養した。SuperFect Transfection Reagentキット(Qiagen社)を用いて直鎖状pEF1-BOSbcl-xY22F/Q26N/R165K(10μg)と薬剤Geneticin耐性遺伝子を持つ直鎖状pST-neoB(0.5μg)をCHO細胞にコトランスフェクションした。コントロールとして、直鎖状ベクターpEF1-BOSおよび直鎖状pEF1-BOSbcl-xもそれぞれ直鎖状pST-neoBとともにCHO細胞に導入した。遺伝子導入処理後、10%牛胎児血清を含む培養液DMEM/F-12で一晩培養した。Geneticin(700μg/ml)を加えて培養し、形質転換細胞を得た。それぞれの形質転換細胞について、実施例3と同様にして、改変型タンパク質Bcl-xFNKと野生型Bcl-xLを多量かつ同程度に発現している細胞を選択し、CHObcl-x、CHObcl-xFNK、およびベクターのみが導入されたCHOvecを得た。
実施例7:形質転換CHO細胞の無血清培地での培養
実施例6で作成した3種類の形質転換細胞CHObcl-xFNK、CHObcl-xおよびCHOvecを10%牛胎児血清を含む培養液DMEM/F-12で培養した。増殖期の細胞1×103個を100-mmディッシュに植え継ぎ、3%牛胎児血清を含む培養液DMEM/F-12で培養した。1日ごとに培養液の2/3を牛胎児血清を含まない培養液DMEM/F-12で入れ替え、5日目からは完全に牛胎児血清を含まない培養液DMEM/F-12で培養し、さらに6日間培養した。
【0046】
結果は図17の写真に示したとおりである。改変型Bcl-xFNKを発現するCHObcl-xFNK(図17右上)は、ベクターのみを導入したCHOvec(図17左上)よりもはるかに良好に増殖した。また、Bcl-xL発現細胞(図17左下)に比べて死細胞が少なく、かつ細胞間の接触が維持されているコロニーを形成した。
【0047】
以上の結果から、この発明の形質転換細胞は、無血清培地でも正常な形態で良好に増殖することが確認された。
実施例8:TAT-Bcl-xFNKタンパク質発現ベクターの構築
実施例1で作成されたBcl-xFNKcDNAをコードする改変型cDNAに2段階PCR法でHIVウィルスのTATタンパク質の細胞膜通過ペプチド(PTD: Protein Transduction Domain)をコードするcDNAを融合させた。Bcl-xFNKcDNAをコードする組み換えベクターpEF1-BOSbcl-xY22F/Q26N/R165Kを鋳型にして、5'側プライマーとしてプライマー9(配列番号14)を、3'側プライマーとしてプライマー10(配列番号15)を使用した。プライマー9はTAT-PTDcDNAの3'端とBcl-xFNKcDNAの開始コドンを含む5'端のセンス配列を持っている。プライマー10はBcl-xFNKcDNAの終始コドンを含む3'端のアンチセンス配列で制限酵素Hind IIIの切断部位を持っている。PCR反応の詳細は以下のとおりである。
・ 反応溶液(溶液量100 ml): 10 mM Tris-HCl, pH 8.3, 50 mMKCl, 1.5 mM Mg Cl2,0.001% gelatin, dATP, dCTP, dTTP, dGTP 各0.2 mM, AmpliTaqGOLD: 2.5 U
・ プライマー:プライマー9とプライマー10の組合せ (各プライマー1 μM)
・ テンプレートDNA: 50 ng
・ 反応条件3;94℃/ 10分; (94℃/ 30秒;49℃/ 30秒; 72℃/ 1分) × 15
反応後、増幅されたDNA断片をポリアクリルアミドゲル電気泳動で精製した。上記PCR反応液(25 μl)に精製されたDNA断片(25 ng)とプライマー11(配列番号16)を混合し、AmpliTaqGOLDを使って相補鎖の合成を行った。プライマー16は配列番号12に示されたTAT-PTDのアミノ酸配列をはさんで、5'端にMet(開始コドン)-Glyを、3'端にGlyをコードし、さらにBcl-xFNKcDNAの開始コドンを含む5'端のセンス配列を含む。合成条件は以下のようにした。
・ 反応条件4;94℃/10分;(94℃/30 秒;53℃─59℃/30秒;72℃/1分) × 5
反応後、塩基配列プライマー12(配列番号17)とプライマー10(最終濃度各1 μM)とAmpliTaqGOLD(2.5 U)を含むPCR反応溶液75 mlを加え、前記の反応条件3によりPCRを実行した。プライマー12はMet-Glyに続きTAT-PTDのN末端の3個のアミノ酸を含むセンス配列で、5'端には制限酵素Nde Iの切断部位を持つ。増幅されたDNA断片をポリアクリルアミドゲル電気泳動で精製した。Nde Iで切断後、その切断面をT4DNAポリメラーゼで平滑化し、さらにHind IIIで切断処理を行った。大腸菌発現ベクターpROEX1(Life Technologies社)をNco Iで切断し、ヌクレアーゼS1でその切断断面を平滑化した後、Hind IIIで切断処理をした。ふたつのDNAを結合させて、TATタンパク質の細胞膜通過ペプチドがN末に融合したTAT-Bcl-xFNKをコードする組換えベクターpROEX1-bcl-xY22F/Q26N/R165Kを得た。
実施例9:TAT-Bcl-xFNKタンパク質の調製
TAT-Bcl-xFNKタンパク質は以下に示すように大腸菌内で発現させ、部分精製した。すなわち、pROEX1-bcl-xY22F/Q26N/R165Kを保持した大腸菌DH5αMCR株をアンピシリン(50 μg/ml)を含むLB液体培地1000 ml(酵母エキス 5 g, バクトトリプトン 10 g, NaCl 5 g)で振とう培養(37℃)した。対数増殖期(O.D.600=0.5)に達したところでIPTG(イソプロピル-1-チオ-β-ガラクトシド;最終濃度 1 mM)を加え、2時間培養を続けた。TAT-Bcl-xFNKタンパク質は細胞破壊後の可溶性画分と不溶性画分(封入体)からそれぞれ調製した。可溶性画分からは次のように調製した。集菌後、PBSで3回洗浄し緩衝液A(50 mM Tris-HCl, pH 8.0, 150 mM NaCl, 1 mM EDTA, 1 mM PMSF) 40 mlに縣濁し、大腸菌細胞を超音波破壊した。遠心後の上清からTAT-Bcl-xFNKをラットBcl-xLのN末端領域を認識するマウス由来のモノクローナル抗体35-32を担体に結合させて充填したカラムを使った抗体アフィニティークロマトグラフィーで精製した。TAT-Bcl-xFNKを抗体に結合させて、洗浄した後、溶出液 (50 mM Glycine-Hcl, pH 2.7, 50 mMNaCl)でTAT-Bcl-xFNKを溶出させた。2 M Tris-HCl (pH 9.0)溶液で中和した後、セントリコン(Amicon社)で濃縮した。PBSで透析して、タンパク質標品とした。不溶性画分(封入体)からの調製は次のようにした。集菌後、PBSで3回洗浄し、PMSFのかわりにDTTを含む緩衝液A(50 mM Tris-HCl, pH 8.0, 150 mM NaCl, 1 mM EDTA, 0.1 mM DTT) 36 mlに縣濁し、超音波にて大腸菌細胞を破壊した。トリトンX-100 (最終濃度1 %)を加えて、10分氷上に置いた。遠心にてTAT-Bcl-xFNK蛋白を含む封入体 (inclusion body)を沈殿させた。トリトンX-100を含む緩衝液Aで封入体を2回洗浄した。最後に封入体を7M Ureaと1mM DTTを含むPBSに可溶化した。SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動にての純度70%のTAT-Bcl-xFNKタンパク質標品であることを確認し、以下の実験に用いた。
実施例10:TAT-Bcl-xFNKタンパク質の細胞内への取り込み
Slide Chamber (Lab-Tek社)上で培養されているHeLa細胞の培地10%FBS(牛胎児血清)を含むDMEM/F-12(Life Technologies社)にTAT-Bcl-xFNKタンパク質(1 μM)を加え、24時間CO2インキュベター内で細胞を培養した。PBSで2回洗浄した。細胞をPBSに溶かしたパラホルムアルデヒド(4%)で45分間、室温で固定した。PBSで3回(5分/回)洗浄し、10%FBSを含むPBSで20分ブロッキングした。PBSで3回(5分/回)洗浄し,ラットBcl-xLに対するモノクローナル抗体35-32(マウス由来)を含む1.5%FBS-PBS溶液で30分間細胞を処理した。PBSで3回(5分/回)洗浄し、FITCが結合している抗マウスIgG抗体を含む1.5%FBS-PBS溶液で30分間細胞を処理した。PBSで3回(5分/回)洗浄し後、PBS溶液で細胞を封入し、蛍光顕微鏡で観察した。
【0048】
結果は図18に示したとおりであり、細胞内に点状にFITC特有の蛍光が認められた。この蛍光シグナルはTAT-Bcl-xFNKタンパク質未添加の細胞には認められず、TAT-Bcl-xFNK 蛋白を加えても一次抗体(35-32)で処理しない細胞には認められなっかた。このことは、培地に加えられたTAT-Bcl-xFNKタンパク質が細胞質膜を通過して細胞内に取り込まれたことを示している。
実施例11:TAT-Bcl-xFNKの軟骨組織培養細胞への導入と細胞死抑制効果の確認
変形性股関節症患者の骨頭置換手術で摘出された大腿骨頭から無菌的に片刃かみそりにて軟骨下骨の上にある軟骨組織をスライス状(10×10mm厚さ1-2mm)に切り取った。24穴プレート内に挿入し、20%FBS (ウシ胎児血清)を含むDMEM/Ham F-12混合培地(Life Technologies社) にて37℃, CO2インキュベーター内で培養した。比較検討のためにTAT-Bcl-xFNKと同じ方法で、TAT-Bcl-xLの発現ベクターを作成し、TAT-Bcl-xLタンパク質を大腸菌より部分精製した(タンパク質標品の純度は同じ)。TAT-Bcl-xFNK(封入体より調製)とTAT-Bcl-xL(封入体より調製)をそれぞれを0.2μMとなるように培地に添加した。コントロールとして、7 M Ureaと1mM DTTを含むPBS(タンパク質標品に用いた溶媒)を同量加えた。培地および添加したタンパク質標品は4日目と7日目に交換した。4日および9日間培養した軟骨組織を凍結し、順次クリオスタットにて薄切しヘマトキシリン・エオシン染色にて軟骨細胞死の評価を行った。結果は図19〜21に示したように、TAT-Bcl-xFNKはTAT-Bcl-xLより軟骨細胞死を抑制し、その差は9日間培養の軟骨組織で顕著であった。培地中のTAT-Bcl-xFNKタンパク質が軟骨組織の中に埋もれている軟骨細胞に取り込まれてその強力な細胞死抑制活性が発揮されることが示された。
実施例12:TAT-Bcl-xFNKのマウスへの投与とステロイドホルモンによる肝臓細胞死抑制効果の確認
8週令のマウス(体重20 gのC56BL種のメス)3匹を3群(A,B,C)に分けた。A群のマウスには100 μgのTAT-Bcl-xFNKタンパク質(可溶性画分から調製)が溶けているPBS溶液(0.8ml)を腹腔内に投与した。B群とC群(コントロール)のマウスにはPBS溶液(0.8 ml)を同じように腹腔内に投与した。ゲージに戻して3時間後にA群とB群のマウスにステロイドホルモン(デキサメタゾン)0.5 mgが溶けている25%エタノール/PBS溶液0.5 mlを腹腔内に投与した。C群のマウスには25%エタノール/PBS溶液0.5 mlを腹腔内に投与した。ゲージに戻して3時間後に屠殺し、肝臓を摘出して凍結し、クリオスタットにて薄切しヘマトキシリン・エオシン染色にて実質細胞死を評価した。図23に示したようなB群におけるデキサメタゾンによる肝臓組織の変性と細胞死、TAT-Bcl-xFNKの前投与によって著しく抑制され(A群:図22)、その程度はコントロール(C群:図24)より良いことが確認された。
【0049】
以上の結果は、腹腔内に投与されたTAT-Bcl-xFNKタンパク質が肝臓の実質細胞に取り込まれ、デキサメタゾンによる細胞死を強力に抑制していることを示すものである。
【0050】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、細胞死抑制作用がさらに増強された改変型ラットBcl-xLタンパク質を細胞内で発現することのできる改変型cDNAと、この改変型cDNAを保有する組換えベクター、この組換えベクターによる形質転換細胞が提供される。この形質転換細胞は、無血清培地でも増殖可能であり、例えば、生理活性物質やモノクローナル抗体等の有用物質を効率よく生産するための細胞培養系等として有用である。さらに、この出願の発明によって細胞死抑制作用がさらに増強された改変型ラットBcl-xLタンパク質が提供される。この改変型タンパク質は、細胞膜通過ペプチドを備えることによって、細胞内に取り込まれ、細胞内で一過性にアポトーシス・細胞死抑制作用を発揮するため、たとえば各種の細胞死による疾患の治療薬や、移植細胞・臓器等を安定に維持するための添加剤等の成分として有効である。
【0051】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】野生型ラットBcl-xLの構造模式図である。
【図2】形質転換細胞における改変型Bcl-xLFNK発現量のウエスタンブロット解析の結果である。
【図3】血清除去によって誘導されるアポトーシスに対する形質転換細胞の抵抗性試験の結果である。
【図4】抗Fas抗体(anti-Fas)に対する形質転換細胞の抵抗性試験の結果である。
【図5】スタウロスポリンに対する形質転換細胞の抵抗性試験の結果である。
【図6】TN-16に対する形質転換細胞の抵抗性試験の結果である。
【図7】カンプトテシンに対する形質転換細胞の抵抗性試験の結果である。
【図8】ハイドロキシウレアに対する形質転換細胞の抵抗性試験の結果である。
【図9】トリコスタチンAに対する形質転換細胞の抵抗性試験の結果である。
【図10】過酸化水素に対する形質転換細胞の抵抗性試験の結果である。
【図11】パラコートに対する形質転換細胞の抵抗性試験の結果である。
【図12】熱に対する形質転換細胞の抵抗性試験の結果である。
【図13】熱処理後の形質転換細胞の脱水素酵素活性を調べたWST-1 Assayの結果である。
【図14】TN-16処理後の形質転換細胞の脱水素酵素活性を調べたWST-1 Assayの結果である。
【図15】スタウロスポリン処理後の形質転換細胞の脱水素酵素活性を調べたWST-1 Assayの結果である。
【図16】サイトカインIL-3除去により誘導されるアポトーシスに対する形質転換細胞の抵抗性試験の結果である。
【図17】形質転換CHO細胞の無血清培地での増殖状態を示す顕微鏡写真である。
【図18】 TAT-Bcl-xFNKタンパク質がHeLa細胞中に取り込まれた状態を示す顕微鏡写真である。
【図19】 TAT-Bcl-xFNKタンパク質を含む培地で培養した軟骨組織培養細胞の顕微鏡写真であり、上段は培養5日目、下段は培養9日目の状態を示す。
【図20】 Bcl-xFNKタンパク質を含む培地で培養した軟骨組織培養細胞の顕微鏡写真であり、上段は培養5日目、下段は培養9日目の状態を示す。
【図21】溶媒(PBS)を含む培地で培養した軟骨組織培養細胞の顕微鏡写真であり、上段は培養5日目、下段は培養9日目の状態を示す。
【図22】 TAT-Bcl-xFNKタンパク質を全身性投与した後、デキサメタゾンを投与したマウスの肝臓切片の顕微鏡写真である。
【図23】溶媒(PBS)を全身性投与した後、デキサメタゾンを投与したマウスの肝臓切片の顕微鏡写真である。
【図24】溶媒(PBS)のみを全身性投与したマウスの肝臓切片の顕微鏡写真である。

Claims (8)

  1. 配列番号1に塩基配列を示したラットbcl-x遺伝子のcDNA配列において、コード領域の第22番目TyrをPheに変換する塩基置換、第26番目GlnをAsnに変換する塩基置換および165番目ArgをLysに変換する塩基置換有することを特徴とするラットbcl-x遺伝子の改変型cDNA。
  2. 5'側に、細胞膜通過ペプチドをコードするオリゴヌクレオチドを連結している請求項1の改変型cDNA。
  3. オリゴヌクレオチドが、配列番号12または13のアミノ酸配列をコードするオリゴヌクレオチドである請求項2の改変型cDNA。
  4. 請求項1から3のいずれかの改変型cDNAを保有する組換えベクター。
  5. 請求項4の組換えベクターが導入された形質転換細胞。
  6. 請求項1記載の改変型cDNAが発現するタンパク質であって、配列番号2における第22番目TyrをPheに変換するアミノ酸置換、第26番目GlnをAsnに変換するアミノ酸置換、および165番目ArgをLysに変換するアミノ酸置換有することを特徴とする改変型タンパク質。
  7. N末端側に細胞膜通過ペプチドを連結している請求項6の改変型タンパク質。
  8. 細胞膜通過ペプチドが、配列番号12または配列番号13のアミノ酸配列を有するオリゴペプチドである請求項7の改変型タンパク質。
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