JP4541783B2 - 半導体集積回路の設計方法、設計装置及び論理設計プログラム - Google Patents
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Description
LSI設計では、その上流の工程で論理設計を行った後、この論理設計で得られたデータをもとに物理設計(レイアウト設計)を行う。その後、このレイアウトデータを検証して設計条件を満足しない場合には、レイアウト設計若しくは論理設計に戻っての再設計が必要となる。こうした再設計(設計フローの出戻り)は設計期間を増大させることから、LSIの設計では、この出戻りを如何に少なくするかが重要となっている。
図4は、LSI設計装置の概略構成を示すブロック図である。
図1は、LSI設計の全体の流れを示すフローチャートである。LSIの設計工程は、大別すると、論理設計(ステップ100)と物理設計(レイアウト設計:ステップ200)との2つの工程に分けられる。なお、本発明におけるLSI設計方法は、このうち論理設計の設計方法に特徴を有するものであり、設計装置11には、該設計方法に準じた処理を実行するためのプログラム(論理設計プログラム)が格納されている。
同工程では、設計装置11は、まずLSIの仕様(仕様データ)を入力する入力処理を行う(ステップ110)。
なお、図1では省略しているが、この論理合成処理では、こうしたネットリストF1とともに、そのネットリストF1の回路動作を保証し得るタイミング情報を規定したタイミング制約F2(図2参照)も作成される。
ここで、初期見積もりとは、先の論理合成処理で得られたネットリストF1が後述するレイアウト設計を行うにあたって妥当な回路情報であるかどうかを事前に検討するための処理である。即ち、論理設計後に実施するレイアウト設計では、このネットリストF1をもとに処理が進められる。従って、レイアウト設計後の出戻り(再設計)の発生を抑制するといった観点からは、ネットリストF1の回路情報をレイアウト設計に適したものとするよう作成する必要がある。
消費電力は、例えば、ネットリストF1を構成する各セルの消費電力データ(ライブラリに記載された値)をもとに、それら各セルの動作の割合から見積もることができる。
電源ドロップ量は、例えば、コア部の内部電源配線の抵抗網と電流源とをパワーユニットと呼ばれる各々電気的に等価な単位回路モデルを用いて簡略化し、それら各パワーユニットの抵抗値を各種の電源特性に基づいて目標とする電源ドロップ値となるよう算出することで見積もることができる。
タイミング情報は、上記消費電力や電源ドロップ量の算出値をもとに見積もることができる。
コアサイズと配線層数は、例えば、ネットリストF1の回路情報(セル数、ネット数、平均ファンアウトなど)をもとにコア部の総配線長を予想し、この総配線長を収容可能な各配線層での配線チャネル数を算出することで見積もることができる。又、チップサイズは、こうして求めたコアサイズの面積に、電源I/O領域の面積を加えることで見積もることができる。
同時スイッチングノイズ量は、例えば、同時スイッチングする出力I/Oや入出力I/Oに対して、それらが同時に出力スイッチングしたときの電源電圧変化量を算出することで見積もることができる。
電源I/O本数は、上記消費電力の見積もり値と内部電源配線網とに基づいてコア部の電源網解析を行い、各ノードの電圧値とそれら各ノード間の抵抗値とから求められる電流値から、電源I/Oに流れる電流値が許容電流値を満たすように電源I/O本数を算出することで見積もることができる。
電源配線量は、例えば、上記電源ドロップ量を見積もる際に使用するパワーユニット(単位回路モデル)の抵抗値と等価な電源配線量となるよう、電源配線を割り当て可能とする配線層数に応じて電源物量(単位面積当りの電源配線量)を算出することで見積もることができる。
デカップリングセル量は、例えば、上記消費電力の算出値から見積もることができる。
以上記述したこれらの初期見積もり項目は、いずれもレイアウト設計を行う上でそれと高い相関性を有する項目である。なお、各項目を見積もる際にあたっては、ここに例述した見積もり手法に限られず、その他任意の手法を用いることができる。
ここで、フィードバック項目とは、初期見積もり結果を論理設計工程(上述したステップ110〜130のいずれかの工程)に反映させてネットリストF1の回路情報を最適化するべく該論理設計を行う上でそれと相関性を有する項目をいう。なお、本実施の形態においては、例えば、以下のような(B1)〜(B5)に示す項目を「フィードバック項目(図3参照)」として定め、これらの項目を上記見積もり結果やLSI仕様をもとに算定し直すようにしている。
サインオフ条件は、回路の動作スピードに影響を与えるPTV条件(P:プロセス,T:温度,V:電圧の3項目に関しそれらのベスト条件とワースト条件とを定めた動作条件)、電源ドロップ量、消費電力、配線PTばらつき、クロックサイクル、及びクロックサイクルのタイミングマージン量などについて規定した条件である。設計装置11は、初期見積もりによって得られた消費電力F11、電源ドロップ量F12、タイミングF13の各値がターゲット値と異なる場合は、このサインオフ条件F21を変更して論理設計工程にフィードバックする。
論理合成条件は、サインオフ条件とほぼ同じ内容であり、該サインオフ条件との違いは、タイミングマージン量の設定が異なる点である。即ち、サインオフ条件は、レイアウト設計の終了時点における条件を規定したものであるのに対して、論理合成条件は、論理合成段階での条件を規定したものとなっている。タイミングマージン量の設定は、論理設計とレイアウト設計とのギャップ(クロックスキュー、或いは仮配線容量と実配線容量との差など)を予想して、それをマージンとして論理合成条件に反映させることで行う。設計装置11は、初期見積もりによって得られた電源ドロップ量F12、タイミングF13の各値がターゲット値と異なる場合は、この論理合成条件F22を変更して論理設計工程にフィードバックする。
タイミング制約情報は、回路の動作タイミングについて規定したものであり、これには後述する仮配線モデルを用いて計算された遅延情報等が含まれる。設計装置11は、初期見積もりによって得られたタイミングF13に関する値がターゲット値と異なる場合は、このタイミング制約F23を変更して論理設計工程にフィードバックする。
仮配線モデルは、論理合成処理や上記遅延計算に使用するものであって、設計装置11は、初期見積もりによって得られたコアサイズF14、チップサイズF15、配線層数F16の各値がターゲット値と異なる場合は、この仮配線モデルF24を変更して論理設計工程にフィードバックする。
チップサイズについては、初期見積もりによって得られた結果がそのまま論理設計工程にフィードバックされるようになっている。具体的には、設計装置11は、初期見積もりによって得られたコアサイズF14、チップサイズF15、配線層数F16、同時スイッチングノイズ量F17、電源I/O本数F18、電源配線量F19、デカップリングセル量F20の各値がターゲット値と異なる場合は、それに応じてチップサイズF25を変更して論理設計工程にフィードバックする。
図2に示すように、レイアウト設計(ステップ200)は、論理設計によって得られたデータ、具体的にはネットリストF1及びタイミング制約F2に基づいてチップレイアウトを行う設計工程(物理設計工程:ステップ210)と、そのレイアウトデータの検証を行う検証工程(ステップ220)とからなる。なお、本実施の形態では、ここでのレイアウト設計(設計及び検証)をその処理に対応するプログラムが格納された上記設計装置11を用いて行うようにしているが、それとは別途異なる装置を用いて行うようにしてもよい。
図5は、初期見積もり(図1:ステップ140)の入力例を示したものである。なお、ここではLSIの仕様として与えられる値を初期見積もりの入力として用いており、このうち、初期見積もりを行うにあたって入力となる要素は、配線層数、ゲート数、動作周波数、動作電圧、動作温度、電源ドロップ量である。
ここでは、チップサイズと消費電力とで仕様を満たしていない結果となった例を示している(同図において下線で示す)。
ここでは、達成周波数(動作周波数)、電源ドロップ量、同時スイッチングノイズ量について仕様を満たしていない結果となった例を示している(同図において下線で示す)。
(1)論理設計工程において、論理合成の結果得られたネットリストF1がレイアウト設計での使用に妥当な回路情報であるかどうかを見積もり、この見積もり結果を論理設計工程にフィードバックしてネットリストF1の回路情報に反映させるようにした。これにより、論理設計ではレイアウト設計を意識した設計が行われ、その結果ネットリストF1をレイアウト設計に適したものとすることができる。従って、レイアウト設計後の出戻りの発生を好適に抑制することができ、設計期間の増大、ひいては設計コストの上昇を抑えられる。
・初期見積もり項目としては上記した(A1)〜(A8)に示すものに限らず、その他の項目であってもよい。
・上記実施の形態では、論理合成処理後に見積もり処理を行うようにしたが、必ずしもそのタイミングとする必要はない。例えば、LSI仕様データの入力後にそのデータをもとに行うようにしてもよいし、或いは、RTL設計データの作成後にそのデータをもとに行うようにしてもよい。
11 設計装置
ステップ100 論理設計
ステップ110 LSI仕様
ステップ120 RTL設計
ステップ130 論理合成処理
ステップ140 初期見積もり処理
ステップ150 フィードバック項目の算定処理
ステップ200 レイアウト設計
Claims (8)
- 論理設計工程と物理設計工程とを含む設計装置による半導体集積回路の設計方法において、
前記設計装置の備える中央処理装置が、前記論理設計工程で作成したデータが前記物理設計工程での使用に妥当なデータであるかどうかを前記物理設計工程の開始に先立って前記物理設計工程に関連する項目に基づいて見積もり、該見積もり結果を前記論理設計工程に対応する項目にフィードバックして論理設計工程で作成するデータに反映させ、
前記論理設計工程に対応する項目は、前記論理設計工程で入力データとして与えられる半導体集積回路の仕様データに対応する制約条件を含むことを特徴とする半導体集積回路の設計方法。 - 前記中央処理装置が、前記論理設計工程で作成したデータが前記物理設計工程での使用に妥当なデータであるかどうかを物理設計工程と相関性を有する複数の項目について見積もり、該見積もり結果を前記論理設計工程と相関性を有する複数の項目について同論理設計工程にフィードバックするようにした、
請求項1記載の半導体集積回路の設計方法。 - 前記中央処理装置が、前記物理設計工程に関連する項目である前記物理設計工程と相関性を有する複数の項目を、前記仕様データ、該仕様データをもとに作成されるRTL設計データ及び該RTL設計データをもとに論理合成を行って作成されるネットリストのうちの少なくともいずれかから見積もるようにした、
請求項1又は2記載の半導体集積回路の設計方法。 - 前記物理設計工程に関連する項目である前記物理設計工程と相関性を有する複数の項目は、消費電力、電源ドロップ量、タイミング情報、コアサイズ、チップサイズ、配線層数、同時スイッチングノイズ量、電源I/O本数、電源配線量、デカップリングセル量を見積もり項目として含む、
請求項1乃至3のいずれか一項記載の半導体集積回路の設計方法。 - 前記論理設計工程に対応する項目である前記論理設計工程と相関性を有する複数の項目は、サインオフ条件、論理合成条件、タイミング制約、仮配線モデル、チップサイズをフィードバック項目として含む、
請求項1乃至4のいずれか一項記載の半導体集積回路の設計方法。 - 前記見積もり結果を前記論理設計工程にフィードバックするフィードバック先は、前記仕様データを入力処理する工程、前記仕様データをもとに作成されるRTL設計データを作成する工程及び前記RTL設計データをもとに論理合成を行ってネットリストを作成する工程のうちのいずれかである、
請求項1乃至5のいずれか一項記載の半導体集積回路の設計方法。 - 半導体集積回路の物理設計工程で使用するネットリストを作成する設計装置において、
前記半導体集積回路の仕様データに基づいてRTL設計データを作成し、該RTL設計データをもとに論理合成処理を行って前記ネットリストを作成するデータ作成手段と、
前記ネットリストが前記物理設計工程での使用に妥当なデータであるかどうかを前記物理設計工程の開始に先立って前記物理設計工程に関連する項目に基づいて見積もる見積もり手段と、
前記見積もり手段による見積もり結果を、論理設計工程に対応する項目にフィードバックして前記データ作成手段による前記ネットリストの作成処理に反映させるフィードバック手段と、
を備え、
前記論理設計工程に対応する項目は、前記論理設計工程で入力データとして与えられる半導体集積回路の仕様データに対応する制約条件を含む設計装置。 - 半導体集積回路の物理設計工程で使用するネットリストを作成する論理設計処理を設計装置が実行するための論理設計プログラムであって、
前記設計装置が、
前記半導体集積回路の仕様データに基づいてRTL設計データを作成し、該RTL設計データをもとに論理合成処理を行って前記ネットリストを作成するステップと、
前記ネットリストが前記物理設計工程での使用に妥当なデータであるかどうかを前記物理設計工程の開始に先立って前記物理設計工程に関連する項目に基づいて見積もるステップと、
前記見積もり結果を論理設計工程に対応し前記論理設計工程で入力データとして与えられる半導体集積回路の仕様データに対応する制約条件を含む項目にフィードバックして前記ネットリストの作成処理に反映させるステップと、
を実行するための論理設計プログラム。
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