JP4541486B2 - 直動転がり軸受エレメント - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガイドレールの走行面に沿って支承するための直動転がり軸受エレメントであって、転動体循環のために支持体内に支持区域および戻し通路が設けられているガイドキャリッジが設けられており、この支持区域と戻し通路とは、端面側で支持体に隣接する２つの変向通路を介して互いに接続されており、支持区域、戻し管路および変向通路内には、重合材料から成る、転動体のためのガイド手段が配置されていて、これらの支持区域、戻し管路および変向通路のうち、支持区域および戻し管路のガイド手段は層の形状で形成されていて、該層は支持体において１作業工程で射出成形によって取り付けられており、変向通路は少なくとも部分的に変向体によって形成しており、該変向体は支持体の両端面の領域において着脱可能に固定されている形式のものに関する。
【０００２】
【従来の技術】
ボール循環ガイド、ニードル循環ガイド（Nadelumlauffuehrung）またはころ循環ガイドのような、循環する転動体を備えた標準的な直動軸受もしくは循環シュー（Umlaufschuh）では、支持体の外側に位置する転動体変向部の領域が、ヘッド（Kopfstueck）と呼ばれる別個の構成部材によって保護される。この構成部材は取り付け時には、支持体に対して相対的に整列されて、その位置で固定される。これによってたとえば後潤滑装置の液密性が保証されている。
【０００３】
ドイツ連邦共和国特許第４３３１０１４号明細書によって、前述の形式の直動転がり軸受エレメントは公知であり、この形式の直動転がり軸受エレメントは、変向体が配置されているヘッドを有している。その場合取り付け時に以下の作業工程が必要である。先ずヘッドを支持体に対して整列する必要があり、これは手動でまたはある装置で行われる。次いで、支持体におけるヘッドの正確なセットが得られたかを確認するために、目視またはケージによる検査が必要であり、これによって軸受エレメントを加工する手間がかなりかかるようになる。さらに支持体の両端部に取り付けられた、軸受エレメントのヘッドによって、軸受エレメントの構成部分の重量が増加する。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の課題は、製造のために、取り付けおよび保管コストが削減されていて、ならびに取り付けおよび検査の手間が軽減されている直動転がり軸受エレメントを提供することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の構成では、各変向体が、支持体内に形成されていて端部側からアプローチ可能な受容室内に挿入されている。
【０００６】
【発明の効果】
本発明によれば、このような形式で端面側のヘッドを省略することができる。変向体のために必要な受容室は、鋼製構成部材であってよい支持体を延長するか、または支持の端面を相応に加工することによって得られる。射出技術を用いることによって、支持体の構造スペース内で、転動体のための変向区域をプラスチックで形成することができる。転動体循環は完全に支持体内で行われる。受容室は支持体に直接当接するスクレーパによって閉鎖され得る。この場合スクレーパはそれぞれ内側保持プレート、外側保持プレート、シールストリップおよび支持プレートによって形成することが可能であり、これらは共にねじによって支持体に固定されていて、この場合内側保持プレートは支持体の端面に直接当接して配置されているか、または支持体内に埋め込まれて配置されている。埋め込まれて配置されている場合には、支持体と同一平面を成す終端部が得られる。
【０００７】
支持区域および戻し通路のガイド手段を形成する層の重合材料によって、変向体のための受容室を取り囲んでいる、端面側の支持体付加部を付加的に成形することができる。この場合スクレーパの内側保持プレートは、支持体付加部に形成された当接面に支持され得る。
【０００８】
従来の技術に対する、本発明によるさらなる利点として、ガイドキャリッジの衝突安全性を高めること、ガイドキャリッジの破壊強さを高めること、ヘッドと支持体との間に従来設けられていた分割継ぎ目を省略すること（これは汚れに対する抵抗力も高める）、および構造上の剛性を高めることが得られる。この場合ガイドキャリッジの全構造スペースは変化しない。
【０００９】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図示の実施例を用いて詳しく説明する。
【００１０】
図１〜図４に示した、本発明の軸受エレメントは端面側の受容室２を備えた支持体１を有している。各受容室２内に変向体３が挿入されており、この変向体３は、転動体４を軸受エレメントの支持領域から戻し領域へ、もしくは戻し領域から支持領域へ変向させる。軸受エレメントはガイドレール５に沿って直線的に走行可能である。支持体１の各端面で、各受容室２は変向体３を組み込んだ後、スクレーパ６によって閉鎖される。このスクレーパ６はガイドレール５の走行面７から、汚れ、たとえば金属屑を拭い取るために働き、この走行面７上で円筒形ローラとして形成された転動体４が転がる。さらにスクレーパ６は、潤滑剤を備えた、軸受エレメントの内室を外側に向かってシールするために用いられ、内側保持プレート８、外側保持プレート９およびシールストリップ１０を有している。本実施例ではこれらの部分は重合材料から製造されている。
【００１１】
スクレーパ６内において、両方の保持体８と９との間には潤滑剤通路１１が設けられており、この潤滑剤通路１１を介して潤滑剤は軸受エレメントの転動体４の領域内に供給される。両方の保持体８および９は、支持プレート１２によって所定位置で保持され、この支持プレート１２は、各端面側でスクレーパ６と共に軸受エレメントの支持体１に装着されていて、複数のねじ１３で固定されている。これらのねじ１３のうちの１本によって同時に、潤滑ニップルを備えた潤滑ニップル支持体１４は支持プレート１２に固定されている。
【００１２】
潤滑ニップルを介して供給された潤滑剤は、潤滑剤通路１１、内側保持プレート８の貫通孔１５ならびに変向体３の貫通路１６を介して転動体４に到達する。内側保持プレート８と変向体３との間における、貫通孔１５および貫通路１６のシールはシールリング１７によって行われ、このシールリング１７は貫通路１６を有している管片を取り囲んでいる。
【００１３】
転動体４のための支持領域および戻し領域は、軸受エレメントの支持体１内で、それぞれ直線的な支持区域１８、およびこの支持区域１８に対して平行な戻し通路１９として形成されている。これらの支持区域１８および戻し通路１９は、保持体１の金属材料を取り囲んでいて重合材料から成る連続する層２０によって制限される。この層２０は転動体４に関連して半径方向のガイド面２１および２２、ならびに軸方向のガイド面を有している。層２０内には潤滑剤通路２３および２４が、転動体４に向かって開放している溝の形状で設けられている。潤滑剤通路２３および２４は、転動体４のための、支持体１の戻し通路１９内と、変向体３の変向通路２５内とに設けられていて、変向体３の変向軌道内に成形されている。
【００１４】
ガイドレール５をＵ字形に取り囲む支持体１において、層２０は、戻し通路１９に対してだけではなく支持区域１８に対しても延びている。ここでは層２０は転動体４のためのガイドウェブの形状で形成されている。この実施例では転動体循環のために上部ガイドウェブ２６、中央ガイドウェブ２７および下部ガイドウェブ２８が存在する。変向領域内において、上部ガイドウェブ２６は上部戻し通路１９内に存在する層２０の一部に、かつ下部ガイドウェブ２８は下部戻し通路１９内に存在する層２０の一部に、それぞれ変向領域内において支持体１を取り囲む変向ウェブ２９を介して結合されている。図４の右側から判るように、中央ガイドウェブ２７は、このような形式で、上下に配置された両方の戻し通路１９内の層２０の一部に結合されている。
【００１５】
図５に示した直動転がり軸受エレメントは基本的に同様に構成されているので、同じ構成要素には同じ符号を使用した。この直動転がり軸受エレメントは、図１〜図４の軸受エレメントとの違いは、支持体３１が端面側の支持体付加部３０を備えている点である。支持体付加部３０は重合材料から成形されており、この重合材料は同時に支持区域１８、戻し通路１９および変向通路２５内における層３２をも形成している。各支持体付加部３０は変向体３４のための受容室３３を取り囲んでいる。内側保持体８、外側保持体９、シールストリップ１０および支持プレート１２を備えたスクレーパ６は、完全に受容室３３内に配置されており、ねじで支持体３１に固定されている。この場合内側保持体８は当接面３５に支持されており、この当接面３５は受容室３３内部で支持体付加部３０に形成されている。
【図面の簡単な説明】
【図１】ガイドレール上を長手方向摺動可能に配置された、本発明による軸受エレメントを示す端面図である。
【図２】図１の軸受エレメントを示す平面図である。
【図３】図１および図４のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿った、本発明による軸受エレメントを示す拡大断面図である。
【図４】軸受エレメントの支持体を端面側から見て、部分的に断面図で示した図１の拡大図である。
【図５】重合材料から一体成形された支持体付加部を有している支持体を備えた、本発明による軸受エレメントを示す、図３の変化図である。
【符号の説明】
１ 支持体、 ２ 受容室、 ３ 変向体、 ４ 転動体、 ５ ガイドレール、 ６ スクレーパ、 ７ 走行面、 ８ 内側保持プレート、 ９ 外側保持プレート、 １０ シールストリッパ、 １１ 潤滑剤通路、 １２ 支持プレート、 １３ ねじ、 １４ 潤滑ニップル支持体、 １５ 貫通孔、 １６貫通路、 １７ シールリング、 １８ 支持区域、 １９ 戻し通路、 ２０ 層、 ２１，２２ ガイド面 ２３，２４ 潤滑剤通路 ２５ 変向通路、２６ 上部ガイドウェブ、 ２７ 中央ガイドウェブ、 ２８ 下部ガイドウェブ、 ２９ 変向ウェブ、 ３０ 支持体付加部、 ３１ 支持体、 ３２ 層、 ３３ 受容室、 ３４ 変向体、 ３５ 当接面

Claims (2)

1. ガイドレール（５）の走行面に沿って支承するための直動転がり軸受エレメントであって、転動体循環のために支持体（１）内に支持区域（１８）および戻し通路（１９）を有しているガイドキャリッジが設けられており、この支持区域（１８）と戻し通路（１９）とは、端面側で支持体（１）に隣接する２つの変向通路（２５）を介して互いに接続されており、支持区域（１８）、戻し管路（１９）および変向通路（２５）内には、重合材料から成る、転動体（４）のためのガイド手段が配置されていて、これらの支持区域（１８）、戻し管路（１９）および変向通路（２５）のうち、支持区域（１８）および戻し管路（１９）のガイド手段は層（２０）の形状で形成されていて、該層（２０，３２）は支持体（１）において１作業工程で射出成形によって取り付けられており、変向通路（２５）は少なくとも部分的に変向体（３）によって形成されており、該変向体（３）は支持体（１）の両端面の領域において着脱可能に固定されている形式のものにおいて、
   各変向体（３）は完全に、支持体（１）内に形成されていて端面側からアプローチ可能な受容室（２）内に挿入されており、支持区域（１８）および戻し通路（１９）のガイド手段を形成する層（２０）の重合材料によって、付加的にそれぞれ端面側の支持体付加部が成形されており、該支持体付加部は変向体のための受容室（２）を取り囲んでおり、受容室（２）は支持体（１）に直接当接するスクレーパ（６）によって外側に向かって閉鎖されており、スクレーパ（６）がそれぞれ内側保持プレート（８）、外側保持プレート（９）、シールストリッパ（１０）および支持プレート（１２）から形成されており、これらは共にねじ（１３）によって支持体（１）に固定されていて、内側保持プレート（８）は支持体（１）の端面に直接当接するように配置されていることを特徴とする、直動転がり軸受エレメント。
2. ガイドレール（５）の走行面に沿って支承するための直動転がり軸受エレメントであって、転動体循環のために支持体（３１）内に支持区域（１８）および戻し通路（１９）を有しているガイドキャリッジが設けられており、この支持区域（１８）と戻し通路（１９）とは、端面側で支持体（３１）に隣接する２つの変向通路（２５）を介して互いに接続されており、支持区域（１８）、戻し管路（１９）および変向通路（２５）内には、重合材料から成る、転動体（４）のためのガイド手段が配置されていて、これらの支持区域（１８）、戻し管路（１９）および変向通路（２５）のうち、支持区域（１８）および戻し管路（１９）のガイド手段は層（３２）の形状で形成されていて、該層（３２）は支持体（３１）において１作業工程で射出成形によって取り付けられており、変向通路（２５）は少なくとも部分的に変向体（３４）によって形成されており、該変向体（３４）は支持体（３１）の両端面の領域において着脱可能に固定されている形式のものにおいて、
   各変向体（３４）は完全に、支持体（３１）内に形成されていて端面側からアプローチ可能な受容室（３３）内に挿入されており、支持区域（１８）および戻し通路（１９）のガイド手段を形成する層（３２）の重合材料によって、付加的にそれぞれ端面側の支持体付加部（３０）が成形されており、該支持体付加部（３０）は変向体（３４）のための受容室（３３）を取り囲んでおり、受容室（３３）内にスクレーパ（６）が配置されており、該スクレーパ（６）によって受容室（３３）が外側に向かって閉鎖されており、スクレーパ（６）がそれぞれ内側保持プレート（８）、外側保持プレート（９）、シールストリッパ（１０）および支持プレート（１２）から形成されており、これらは共にねじ（１３）によって支持体（３１）に固定されていて、内側保持プレート（８）は支持体付加部（３０）内に形成された当接面（３５）に支持されていることを特徴とする、直動転がり軸受エレメント。

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