JP4541202B2 - 取付部材、圧力調整部材及び水密筐体 - Google Patents
取付部材、圧力調整部材及び水密筐体 Download PDFInfo
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そこで、従来より、防水性を維持しつつ筐体内外の圧力を調整する試みがなされている。例えば、特許文献1には、筐体の底部にボスを立て、その中央に空けた孔を通気性の膜等で塞いだ圧力調整機構が記載されている。
もし、特許文献1の圧力調整機構で無理にIP6Xの等級を満たそうとすると、ボス内の孔に1.0mm未満という非常に細く絞った部分を形成しなければならない。また、通気性膜の面積も小さいものとせざるを得ない。そのため、圧力調整に必要な気体の透過量を確保することが困難となり、実用的でなかった。
また、特許文献1の圧力調整機構は、通気性膜を筐体に取り付けるために、ボスを立てる等、筐体自体に特別な加工を施さなければならない。そのため、汎用性があり、かつ安価な筐体の製造が困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡便な手段でIP6Xの等級に適合する水密筐体を提供することを課題とする。また、この水密筐体に使用するための圧力調整部材と気体透過膜の取付部材を提供することを課題とする。
[1]水密筐体に気体透過膜を取り付けるための取付部材であって、水密筐体の内側に配置され気体透過膜が取り付けられる頭部と、周面に雄ねじが形成されて水密筐体の壁面に挿入される足部とを有し、該足部の周面と頭部とに開口する貫通路が形成されていることを特徴とする取付部材。
[2][1]に記載の取付部材と、該取付部材の頭部の開口を塞ぐ気体透過膜とを備えることを特徴とする水密筐体の圧力調整部材。
[3][2]に記載の圧力調整部材が取り付けられたことを特徴とする水密筐体。
図1に示すように、本実施形態の取付部材1は、頭部10と足部20とを有しており、足部20の周面には、雄ねじ21が形成されている。
また、足部20の周面と頭部10とに開口する貫通路30が形成されている。貫通路30は、頭部10側から、皿モミ形状のザグリ部31、ザグリ部31の下部中央から下に延びる縦穴部32、縦穴部32の下端と交叉する横穴部33とから構成されている。横穴部33は、交叉部から図面左に延びる左横穴部33aと、右へ延びる右横穴部33bとからなり、各々足部20の周面に開口している。すなわち、貫通路30は、頭部10のザグリ部31における開口30aと、足部20の周面における2カ所の開口30b、30bとを有している。
気体透過膜40は、気体透過性の膜であることはもちろんであるが、透湿・防水性膜であることが防水の観点で好ましい。このような膜としては、例えば、スリーエム社製のマイクロポーラスフィルムや、ゴアテックス社製のゴアテックス(登録商標)等が挙げられる。
圧力調整部材2は、取付部材1の頭部10が足部20よりも大径とされているため、気体透過膜40として、充分な面積のものを用いることができる。そのため、充分な気体透過量を確保でき、確実に水密筐体内外の圧力調整が可能である。
また、貫通路30の頭部10における開口30aの近傍が皿モミ形状のザグリ部31とされているため、水密筐体内部の圧力が上昇し、気体透過膜40がザクリ部31方向に膨らみを生じた場合にも、気体透過膜40が取付部材1に密着してしまうことがない。そのため、気体透過膜40の有効面積が損なわれることがなく、必要な気体通路を維持しやすい。
まず、図3の貫通路は、頭部10側から、皿モミ形状のザグリ部31、ザグリ部31の下部中央から下に延びる縦穴部32、縦穴部32の下端と連絡する横穴部33とから構成されている。横穴部33は、縦穴部32との連絡部から図面右へ延びる右横穴部33bのみからなり、左に延びる左横穴部33aは存在しない。右横穴部33bは、足部20の周面に開口している。すなわち、図3の貫通路は、頭部10のザグリ部31における開口30aと、足部20の周面における1カ所の開口30bとを有している。
なお、これら各実施形態においては、いずれも、雄ねじ21が足部20の周面ほぼ全体に形成されているものとした。また、開口30bは、この雄ねじ21が形成されている部分にあるものとした。しかしながら、雄ねじ21は、水密筐体に取り付けるために必要な程度に形成されていれば良く、例えば開口30bよりも下側のみに形成されていてもよい。
また、足部20の断面は完全な円形である必要はなく、例えば、円形の一部を切り欠いた断面形状であってもよい。
図7に示すように、水密筐体50は、本体51と蓋体52とを有し、屋外に設置されたポール60に取付金具61にて取り付けられている。本体51と蓋体52との間にはゴムパッキン等のシール材が使用されており水密が保たれている。
本体51の底部壁面51aには、複数のケーブル配線口53が設けられている。これら各ケーブル配線口53にも、ゴムパッキン等のシール材が用いられており、各種ケーブルを本体51に格納された電子機器に対して、水密を保ったまま配線できるようになっている。これにより、水密筐体50内に格納する電子機器に対して、電源を供給したり、信号を授受したりできるようになっている。
ここで、雄ねじ21のネジ山とワッシャ71との隙間は、非直線状の非常に狭い隙間であるため、1.0mm径の針金を侵入させることはできない。すなわち、IP6Xの等級に適合するものである。また、非常に狭い隙間でありながら無数の経路をとりうるので、必要な通気量も確保できる。
また、本実施形態では、水密筐体50に設ける取付孔55は、ネジ山等を設けない単純な孔でよい。そのため、水密筐体50に特別な加工を施す必要がなく、安価かつ簡便に圧力調整部材2を取り付けることができる。
本実施形態で用いる圧力調整部材2aは、取付部材1aの足部20が、取付部材1の足部20よりも短くされている他は、図8の圧力調整部材2と同じである。図9に示すように、圧力調整部材2aが、底部壁面51aに取り付けられている。なお、図9においても、図示上側が水密筐体50の内側、図示下側が水密筐体50の外側である。
ここで、雄ねじ21のネジ山と雌ねじ孔56との隙間は、非直線状の非常に狭い隙間であるため、1.0mm径の針金を侵入させることはできない。すなわち、IP6Xの等級に適合するものである。また、非常に狭い隙間でありながら無数の経路をとりうるので、必要な通気量も確保できる。
なお、本実施形態においては、取付部材1aの材質と底部壁面51aの材質とを硬度が同等であるものとすることが好ましい。仮に一方のみが柔らかい材質であると、螺合時に一方のネジ山がつぶれ、螺合部の通気性が損なわれやすくなる。
例えば、図8におけるナット72との螺合部分に開口していてもよい。ただし、この場合、足部20とナット72との螺合部分が通気路となるので、取付部材1aの材質とナット72の材質とを硬度が同等であるものとすることが好ましい。仮に一方のみが柔らかい材質であると、螺合時に一方のネジ山がつぶれ、螺合部の通気性が損なわれやすくなる。
また、図8において、ワッシャ71は必須ではない。この場合も、足部20とナット72との螺合部分が通気路となるので、取付部材1aの材質とナット72の材質とを硬度が同等であるものとすることが好ましい。
また、図8、図9において、Oリング73は、平パッキン、シールテープ等、他の適宜のシール手段に代替可能である。
さらに、図8、図9の取付部材1、取付部材1aに代えて、図3〜図6に示した種々の取付部材を使用してもよい。
30…貫通路、40…気体透過膜、50…水密筐体、51a…底部壁面、
71…ワッシャ、72…ナット、73…Oリング
Claims (3)
- 水密筐体に気体透過膜を取り付けるための取付部材であって、
水密筐体の内側に配置され気体透過膜が取り付けられる頭部と、周面に雄ねじが形成されて水密筐体の壁面に挿入される足部とを有し、
該足部の周面と頭部とに開口する貫通路が形成されていることを特徴とする取付部材。 - 請求項1に記載の取付部材と、
該取付部材の頭部の開口を塞ぐ気体透過膜とを備えることを特徴とする水密筐体の圧力調整部材。 - 請求項2に記載の圧力調整部材が取り付けられたことを特徴とする水密筐体。
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