JP4540930B2 - プレス機械のクッション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプレス機械のクッション装置に係り、特に、金型交換後などにクッションパッドを上昇させる際にクッションシリンダに流体が一気に流れ込んでクッションパッドが急上昇することを防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(a) しわ押え型を支持しているクッションパッドに流体の圧力に基づいてしわ押え荷重を付与するクッションシリンダと、(b) 連通路を介して前記クッションシリンダに連結されているとともに、前記流体が前記しわ押え荷重に対応する所定の圧力で充填されているタンクと、(c) 前記連通路に配設され、前記クッションシリンダと前記タンクとを連通する連通状態とその連通を遮断する遮断状態とに切り換えられる連通路開閉装置と、を有し、(d) その連通路開閉装置を連通状態にして前記タンクと前記クッションシリンダとを連通させた状態でプレス加工を行なうプレス機械のクッション装置が知られている。特許文献1に記載のプレス機械はその一例で、流体として圧力エアが用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−85849号公報
【0004】
図2のプレス機械8は一例で、ポンチ型10が取り付けられるボルスタ12はプレスキャリア14を介してベース16上に配設されている一方、ダイス型18が取り付けられるプレススライド20は図示しない駆動機構により上下方向へ駆動されるようになっている。ボルスタ12には、クッションピン22を配設するために多数の貫通孔24が碁盤目状に設けられており、ボルスタ12の下方には、それ等のクッションピン22を支持するクッションパッド26が略水平な姿勢で配設されている。クッションピン22は、上記ポンチ型10と共に配設されるしわ押え型(しわ押えリング)28を支持するもので、そのしわ押え型28の形状に応じて予め定められた所定の位置に任意の数だけ配設されるとともに、クッションパッド26には、上記貫通孔24に対応して複数の均圧用シリンダ30が設けられており、クッションピン22の下端部はそれぞれその均圧用シリンダ30に当接させられている。複数の均圧用シリンダ30の圧力室は互いに連通させられているとともに、所定の均圧油圧に調圧されており、クッションピン22の長さ寸法のばらつきやクッションパッド26の傾斜などに拘らず、総てのクッションピン22からしわ押え型28にしわ押え荷重が均等に伝達される。均圧用シリンダ30としては油圧シリンダが好適に用いられるが、他の流体圧シリンダを用いることもできる。なお、各部の寸法精度が高くて、総てのクッションピン22を介してしわ押え型28にしわ押え荷重が略均等に伝達される場合には、必ずしも均圧用シリンダ30を用いる必要はなく、クッションパッド26の上面に直接クッションピン22を当接させるようにしても良い。
【0005】
上記クッションパッド26は、前記プレスキャリア14内に上下方向の移動可能に配設されており、並列に設けられた複数のクッションシリンダ32により上方へ付勢されている。クッションシリンダ32はエアシリンダで、図3に示すように圧力室32pには配管34が接続され、開閉切換弁36を介してエアタンク38から所定の圧力エアが供給されるようになっている。エアタンク38には、電動式エアポンプなどを備えている圧力エア供給源40から圧力エアが供給されるとともに、図示しない開閉弁や圧力調整弁、エア圧センサなどが接続されており、エアタンク38内の圧力がしわ押え荷重に応じて予め調圧される。すなわち、前記ダイス型18がプレススライド20と共に下降させられると、クッションシリンダ32のエア圧Paに基づく付勢力に従ってダイス型18としわ押え型28との間でプレス素材42の周縁部が挟圧されてしわ押えされ、その状態でしわ押え型28およびダイス型18がクッションパッド26と共にクッションシリンダ32の付勢力に抗して更に下降させられると、ポンチ型10の成形面に沿ってプレス素材42に絞り加工が施されるのである。上記クッションパッド26、クッションシリンダ32,エアタンク38等を含んでクッション装置44が構成されており、配管34は連通路に相当し、開閉切換弁36は連通路開閉装置に相当する。なお、クッションシリンダ32は必ずしもエアシリンダである必要はなく、空気以外の気体や他の圧縮性流体を用いることもできるし、タンクとしてアキュムレータなど圧力に応じて容積が可変なものを用いる場合には、作動油等の非圧縮性流体を用いることも可能である。また、単一のクッションシリンダ32でクッションパッド26を付勢してしわ押え荷重を付与することもできる。
【0006】
図4は、上記開閉切換弁36を開閉する開閉回路46の一例を示す図で、開閉切換弁36はパイロットシリンダ48を備えているとともに、圧力エア供給源54から減圧弁50によって減圧されたパイロット圧が供給されるようになっており、その供給状態が開閉用電磁切換弁52によって切り換えられることにより、配管34をエアタンク38に連通させる連通状態と、配管34を消音器を介して大気に解放してエアタンク34との連通を遮断する遮断状態とに切り換えられる。この開閉切換弁36は、プレス加工時を含めて通常は連通状態に保持されるが、金型交換や点検時など一定の場合に遮断状態とされて、クッションパッド26が下降端に保持される。なお、前記圧力エア供給源40が圧力エア供給源54を兼ねていても良いが、パイロット圧は低圧でも差し支えないため、ここでは工業用等の別の圧力エア供給源54を用いている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のプレス機械8において、金型交換後などにクッションパッド26を上昇させるため、開閉切換弁36を遮断状態から連通状態に切り換え、エアタンク38内の圧力エアをクッションシリンダ32に供給すると、しわ押え荷重に対応する高圧の圧力エアによりクッションパッド26が一気に上昇させられ、上昇端で衝撃が発生してプレス機械の各部が損傷したり、しわ押え型28が跳ね上げられて破損したりする恐れがあった。
【0008】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、金型交換後などにクッションパッドを上昇させる際にクッションシリンダに流体が一気に流れ込んでクッションパッドが急上昇することを防止することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は、(a) しわ押え型の形状に応じて所定の位置に任意の数だけ配設されるクッションピンを介してそのしわ押え型を支持しているクッションパッドに流体の圧力に基づいてしわ押え荷重を付与するクッションシリンダと、(b) 連通路を介して前記クッションシリンダに連結されているとともに、前記流体が前記しわ押え荷重に対応する所定の圧力で充填されているタンクと、(c) 前記連通路に配設され、前記クッションシリンダと前記タンクとを連通する連通状態とその連通を遮断する遮断状態とに切り換えられる連通路開閉装置と、を有し、(d) その連通路開閉装置を連通状態にして前記タンクと前記クッションシリンダとを連通させた状態でプレス加工を行なうプレス機械のクッション装置において、(e) 前記連通路開閉装置は、前記クッションシリンダと前記タンクとの連通を遮断する遮断状態として、そのクッションシリンダ内の流体が流出することを阻止する閉塞状態を備えている一方、(f) 前記連通路開閉装置を介することなく前記クッションシリンダに前記流体を供給する上昇用流体通路と、(g) その上昇用流体通路を経て前記クッションシリンダに供給される前記流体の供給速度を調整するために、少なくともその流体の圧力を前記タンク内の流体圧よりも低圧の所定圧力まで減圧する圧力調整弁を備えている供給速度調整装置と、を有し、(h) 前記連通路開閉装置が前記閉塞状態とされた状態で、前記圧力調整弁により前記タンク内の流体圧よりも低圧の所定圧力まで減圧された流体が前記クッションシリンダに供給されることによって前記クッションパッドが上昇端まで上昇させられ、その上昇端に達した後に前記連通路開閉装置が前記連通状態に切り換えられることにより前記タンクと前記クッションシリンダとが連通させられるように用いられるとともに、(i) 前記上昇用流体通路において前記供給速度調整装置よりも上流側に設けられ、前記クッションシリンダに前記流体を供給する供給状態と該供給を遮断する遮断状態とに切り換えられる上昇用通路開閉装置と、(j) その上昇用通路開閉装置と前記供給速度調整装置との間の流体圧を、前記連通路開閉装置を連通状態に切り換えるためのパイロット圧として取り出す分岐通路と、(k) その分岐通路に設けられ、前記パイロット圧を前記連通路開閉装置に出力する出力状態とその出力を停止する停止状態とに切り換えられるパイロット切換装置と、を備えており、且つ、(l) 前記上昇用流体通路には、前記タンク内の圧力値以上の高圧流体が供給されるようになっており、(m) その上昇用流体通路において前記供給速度調整装置と直列に設けられ、上流側への流体の流通を阻止する上昇用通路逆止弁と、(n) 前記供給速度調整装置および前記上昇用通路逆止弁と並列に設けられ、前記クッションシリンダ内の流体を流出させるための排出用通路と、(o) その排出用通路に設けられ、前記上昇用通路開閉装置が供給状態とされた場合には、その上昇用通路開閉装置を経て供給される前記高圧流体の下流側への流通を阻止するとともに、その高圧流体の流体圧に基づいて前記クッションシリンダ内の流体の流出を阻止する一方、その上昇用通路開閉装置が遮断状態とされて前記高圧流体の供給が遮断されると、そのクッションシリンダ内の流体がその排出用通路を経て流出することを許容する排出制御弁と、を有することを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
本発明のプレス機械のクッション装置においては、例えば金型交換後など所定の条件下でクッションシリンダに流体を供給してクッションパッドを上昇させる際に、連通路開閉装置を閉塞状態とした状態で上昇用流体通路からクッションシリンダに流体が供給されるとともに、クッションパッドが所定の速度で上昇するように供給速度調整装置により少なくともその流体の圧力がタンク内の流体圧よりも低圧とされて供給速度が調整されることにより、クッションパッドの急上昇に起因するプレス機械や金型の破損などを回避しつつ、クッションシリンダ内に流体を供給してクッションパッドを穏やかに上昇させることができる。
また、供給速度調整装置は、流体の圧力をタンク内の流体圧よりも低圧の所定圧力まで減圧する圧力調整弁を備えているため、クッションシリンダに対する流体の供給速度、更にはクッションパッドの上昇速度を簡単に調整することができる。
【0011】
また、上昇用通路開閉装置と供給速度調整装置との間に分岐通路が接続され、その流体圧が連通路開閉装置のパイロット圧として取り出されるとともに、パイロット切換装置によって連通路開閉装置への出力状態が切り換えられるようになっているため、パイロット切換装置を停止状態とし且つ上昇用通路開閉装置を供給状態にすれば、上昇用流体通路からクッションシリンダに流体を供給することができ、クッションパッドが上昇端に達した後にパイロット切換装置を出力状態に切り換えれば、タンク内の流体圧力をクッションシリンダに作用させて所定のしわ押え荷重を付与することができる。
【0012】
このように、上昇用通路開閉装置から出力される流体圧を連通路開閉装置のパイロット圧として利用しているため、全体の回路構成が簡単になって安価に構成される。
【0013】
また、クッションパッドを上昇させるため或いは所定のしわ押え荷重を付与するために上昇用通路開閉装置が供給状態とされた場合には、その上昇用通路開閉装置を経て排出制御弁に高圧流体が供給されることにより、排出用通路が閉じられてクッションシリンダ内の流体の流出が阻止されるが、上昇用通路開閉装置が遮断状態にされると、クッションシリンダ内の流体が排出用通路を経て流出することが許容されるため、クッションシリンダ内の流体を排出するための回路が簡単に構成されるとともに制御が容易である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のプレス機械のクッション装置は、例えば前記図2のように、ダイス型18が位置固定のポンチ型10に対して下方へ向かって上下駆動されるとともに、クッションパッド26上に均圧用シリンダ30が設けられ、そのピストンロッド上にそれぞれクッションピン22が配置されてしわ押え型28を支持しているプレス機械8のクッション装置44に好適に適用されるが、均圧用シリンダ30を備えていないプレス機械や、単一のクッションシリンダ32でしわ押え荷重を付与するものなど、種々のプレス機械のクッション装置に適用され得る。
【0015】
クッションシリンダとしては、エア(空気)等の圧縮性流体を用いた流体シリンダが好適に用いられるが、タンクとしてアキュムレータなど圧力に応じて容積が可変なものを用いる場合には、作動油等の非圧縮性流体を使用するクッションシリンダを採用することもできる。
【0016】
流体の供給速度を調整する供給速度調整装置は、圧力を制御する圧力調整弁などで、クッションパッドが所定の速度で上昇するように、例えばクッションパッドを見ながら作業者が手作業で調整するように構成されるが、予め一定の調整値に設定しておいても良い。供給速度調整装置は、必ずしも圧力を調整可能なものである必要はなく、予め定められた一定の圧力に制限するだけでも良い。また、供給速度調整装置が、リニアソレノイド弁等の電気的に制御可能なものであれば、クッションシリンダやクッションパッドの実際の移動速度を検出装置により検出して、供給速度調整装置を電子制御装置などで電気的にフィードバック制御することもできるなど、種々の態様が可能である。移動速度は圧力に依存するため、クッションシリンダの圧力が所定の目標値となるように流量調整弁や圧力制御弁をフィードバック制御するようにしても良い。
【0017】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例では、本発明が前記図2のプレス機械8のクッション装置に適用された場合について説明し、実質的に同一の部材については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0018】
図1のクッション装置120は、連通路開閉装置としてパイロット圧式の開閉切換弁122が設けられており、パイロット切換装置124からパイロット圧が供給されることにより、配管34をエアタンク38に連通してエアタンク38からクッションシリンダ32に圧力エアを供給する連通状態とされ、パイロット圧の供給が遮断されると、配管34とエアタンク38との連通を遮断するとともにクッションシリンダ32、エアタンク38内の各圧力エアが流出することを阻止する閉塞状態とされる。パイロット切換装置124は電磁切換弁で、パイロット圧を開閉切換弁122に出力する出力状態とその出力を停止する停止状態との2つの切換位置を備えており、図示しない電子制御装置によって切換制御される。
【0019】
一方、上記開閉切換弁122およびエアタンク38と並列に上昇用流体通路126が設けられ、前記圧力エア供給源40からエアタンク38内の圧力値と同程度の高圧の圧力エアが供給されるようになっている。上昇用流体通路126には、流量調整弁、圧力調整弁等の供給速度調整装置128が設けられ、エアタンク38内のエア圧よりも低圧の所定圧力まで減圧されることにより、クッションパッド26が所定速度で上昇するようにクッションシリンダ32に対する圧力エアの供給速度(流量や圧力など)が調整されるようになっているとともに、その下流側には上流方向の圧力エアの流通を阻止する上昇用通路逆止弁130が直列に設けられ、上流側には上昇用通路開閉装置として電磁切換弁132が直列に配設されている。電磁切換弁132は、圧力エア供給源40からクッションシリンダ32に圧力エアを供給する供給状態と、その供給を遮断するとともに供給速度調整装置128側の圧力エアが消音器を介して流出することを許容する遮断状態との2つの切換位置を備えており、図示しない電子制御装置によって切換制御される。
【0020】
上記電磁切換弁132と供給速度調整装置128との間の上昇用流体通路126aには、前記パイロット切換装置124に連結された分岐通路134が接続され、その上昇用流体通路126aからパイロット圧が取り出されるようになっている。すなわち、電磁切換弁132が供給状態とされて、圧力エア供給源40から上昇用流体通路126を経てクッションシリンダ32に圧力エアが供給される場合に、パイロット切換装置124が出力状態に切り換えられると、流体通路126aから分岐通路134を経てパイロット切換装置124からパイロット圧が出力され、開閉切換弁122が連通状態となってエアタンク38内の高圧の圧力エアがクッションシリンダ32に作用させられるようになるのである。パイロット切換装置124は、上昇用流体通路126からクッションシリンダ32に圧力エアが供給され、クッションパッド26が上昇端に達した後に、停止状態から出力状態に切り換えられる。
【0021】
上昇用流体通路126にはまた、クッションシリンダ32内の圧力エアを流出させるための排出用通路136が、前記供給速度調整装置128および上昇用通路逆止弁130と並列に設けられており、その排出用通路136には排出制御弁138が設けられている。排出制御弁138は、前記電磁切換弁132が供給状態とされた場合には、その電磁切換弁132を経て供給される高圧の圧力エアがクッションシリンダ32側へ流通することを阻止するとともに、その高圧の圧力エアのエア圧に基づいてクッションシリンダ32内の圧力エアの流出を阻止する流出阻止状態とされる一方、電磁切換弁132が遮断状態とされて圧力エアの供給が遮断され、下流側よりも上流側のエア圧が低くなると、下流側すなわちクッションシリンダ32側の圧力エアが消音器を経て流出することを許容するもので、逆止弁等を備えて構成されている。
【0022】
このようなクッション装置120においては、電磁切換弁132と供給速度調整装置128との間の上昇用流体通路126aに分岐通路134が接続され、圧力エア供給源40から電磁切換弁132を経て供給される圧力エアのエア圧が、開閉切換弁122を切り換えるためのパイロット圧として取り出されるとともに、パイロット切換装置124によって開閉切換弁122に対する出力状態と停止状態とが切り換えられるため、パイロット切換装置124を停止状態として電磁切換弁132を供給状態にすることにより、上昇用流体通路126からクッションシリンダ32に圧力エアを供給することができ、クッションパッド26が供給速度調整装置128によって調整される所定速度で上昇させられる。
【0023】
そして、クッションパッド26が上昇端に達した後にパイロット切換装置124を出力状態に切り換えれば、開閉切換弁122が連通状態に切り換えられてエアタンク38内の高圧のエア圧がクッションシリンダ32に作用させられるようになり、所定のしわ押え荷重が付与される。この時、排出制御弁138は、電磁切換弁132を経て供給される圧力エアのエア圧に基づいて、クッションシリンダ32側の圧力エアの流出を阻止する流出阻止状態とされるため、クッションシリンダ32内の圧力エアが流出してしわ押えが損なわれる恐れはない。
【0024】
また、電磁切換弁132が遮断状態に切り換えられると、パイロット圧の出力が停止して開閉切換弁122が閉塞状態とされ、エアタンク38と配管34との連通が遮断されるとともに、クッションシリンダ32内の圧力エアが排出制御弁138から流出させられ、クッションパッド26が自重で下降端まで下降させられる。
【0025】
このように、本実施例ではパイロット切換装置124を停止状態として電磁切換弁132を供給状態にすることにより、供給速度調整装置128によって定められる所定の供給速度(流量や圧力など)で圧力エアが上昇用流体通路126からクッションシリンダ32に供給されるため、クッションパッド26の急上昇に起因するプレス機械8やしわ押え型28の破損などを回避しつつ、クッションシリンダ32内に圧力エアを供給してクッションパッド26を穏やかに上昇させることができる。
【0026】
また、本実施例では電磁切換弁132から上昇用流体通路126aに供給される圧力エアのエア圧を、開閉切換弁122を切り換えるためのパイロット圧として利用しているため、全体の回路構成が簡単になって安価に構成される。
【0027】
また、クッションパッド26を上昇させるため或いは所定のしわ押え荷重を付与するために電磁切換弁132が供給状態とされた場合には、その電磁切換弁132を経て排出制御弁138に高圧の圧力エアが供給されることにより、排出用通路136が閉じられてクッションシリンダ32内の圧力エアの流出が阻止されるが、電磁切換弁132が遮断状態にされると、クッションシリンダ32内の圧力エアが排出用通路136を経て流出することが許容されるため、クッションシリンダ32内の流体を排出するための回路が簡単に構成されるとともに制御が容易である。
【0028】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略回路図である。
【図2】本発明が好適に適用されるプレス機械の概略構成図である。
【図3】従来のクッション装置のエア回路の概略回路図である。
【図4】図3における連通路開閉装置に関連する部分の回路図である。
【符号の説明】
8:プレス機械 22:クッションピン 26:クッションパッド 28:しわ押え型 32:クッションシリンダ 34:配管(連通路) 38:エアタンク(タンク) 120:クッション装置 122:開閉切換弁(連通路開閉装置) 124:パイロット切換装置 126、126a:上昇用流体通路 128:供給速度調整装置 130:上昇用通路逆止弁 132:電磁切換弁(上昇用通路開閉装置) 134:分岐通路 136:排出用通路 138:排出制御弁
Claims (1)
- しわ押え型の形状に応じて所定の位置に任意の数だけ配設されるクッションピンを介して該しわ押え型を支持しているクッションパッドに流体の圧力に基づいてしわ押え荷重を付与するクッションシリンダと、
連通路を介して前記クッションシリンダに連結されているとともに、前記流体が前記しわ押え荷重に対応する所定の圧力で充填されているタンクと、
前記連通路に配設され、前記クッションシリンダと前記タンクとを連通する連通状態と該連通を遮断する遮断状態とに切り換えられる連通路開閉装置と、
を有し、該連通路開閉装置を連通状態にして前記タンクと前記クッションシリンダとを連通させた状態でプレス加工を行なうプレス機械のクッション装置において、
前記連通路開閉装置は、前記クッションシリンダと前記タンクとの連通を遮断する遮断状態として、該クッションシリンダ内の流体が流出することを阻止する閉塞状態を備えている一方、
前記連通路開閉装置を介することなく前記クッションシリンダに前記流体を供給する上昇用流体通路と、
該上昇用流体通路を経て前記クッションシリンダに供給される前記流体の供給速度を調整するために、少なくとも該流体の圧力を前記タンク内の流体圧よりも低圧の所定圧力まで減圧する圧力調整弁を備えている供給速度調整装置と、
を有し、前記連通路開閉装置が前記閉塞状態とされた状態で、前記圧力調整弁により前記タンク内の流体圧よりも低圧の所定圧力まで減圧された流体が前記クッションシリンダに供給されることによって前記クッションパッドが上昇端まで上昇させられ、該上昇端に達した後に前記連通路開閉装置が前記連通状態に切り換えられることにより前記タンクと前記クッションシリンダとが連通させられるように用いられるとともに、
前記上昇用流体通路において前記供給速度調整装置よりも上流側に設けられ、前記クッションシリンダに前記流体を供給する供給状態と該供給を遮断する遮断状態とに切り換えられる上昇用通路開閉装置と、
該上昇用通路開閉装置と前記供給速度調整装置との間の流体圧を、前記連通路開閉装置を連通状態に切り換えるためのパイロット圧として取り出す分岐通路と、
該分岐通路に設けられ、前記パイロット圧を前記連通路開閉装置に出力する出力状態と該出力を停止する停止状態とに切り換えられるパイロット切換装置と、
を備えており、且つ、前記上昇用流体通路には、前記タンク内の圧力値以上の高圧流体が供給されるようになっており、
該上昇用流体通路において前記供給速度調整装置と直列に設けられ、上流側への流体の流通を阻止する上昇用通路逆止弁と、
前記供給速度調整装置および前記上昇用通路逆止弁と並列に設けられ、前記クッションシリンダ内の流体を流出させるための排出用通路と、
該排出用通路に設けられ、前記上昇用通路開閉装置が供給状態とされた場合には、該上昇用通路開閉装置を経て供給される前記高圧流体の下流側への流通を阻止するとともに、該高圧流体の流体圧に基づいて前記クッションシリンダ内の流体の流出を阻止する一方、該上昇用通路開閉装置が遮断状態とされて前記高圧流体の供給が遮断されると、該クッションシリンダ内の流体が該排出用通路を経て流出することを許容する排出制御弁と、
を有することを特徴とするプレス機械のクッション装置。
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