JP4540876B2 - 硬化性組成物、塗料組成物、その塗膜およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、硬化性組成物、塗料組成物、その塗膜およびその用途に関し、さらに詳しくは撥水性、撥油性に優れ、耐汚染性に優れ、汚染除去性に優れ、低温硬化性と基材への密着性に優れた塗膜などを形成できる硬化性組成物、塗料組成物、その塗膜およびその用途に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
近年、駅、公園、道路、電車等の整備が進み、また建築物の高層化・高機能化、衛生設備の整備が進むなど社会環境の整備が進んでいる。それに伴い、駅や公園のトイレや各種建造物、電車、それらの内装材などには美的・衛生的配慮などが求められ、土木・建築工事などの際にも安全性は元より周囲環境への美的・衛生的配慮なども求められるようになっている。
【0003】
しかしながら、現実には、公衆トイレの壁面、電車の内外壁面、ガラス面、土木・建築現場の周囲に張り巡らされる防護用パネル、あるいは室内パーテイションなどには、しばしば心ない者により落書きがされ、一旦これらパネル等の表面にされた落書きは、洗浄・清拭等を行っても容易に除去できず、公衆トイレや土木・建築現場の防御壁などの美観が損なわれるという問題点がある。
【0004】
また、近年では、自宅で容易にカラーリングができるヘアカラー、ヘアマニキュアなどが沢山市場に出回るようになってきており、それに伴い、カラーリングが自宅の浴室や洗面所などでも行われるようになってきている。
しかしながら、カラーリングを行う浴室、洗面所などの水回りの無機質建築資材の表面にもヘアカラー等は簡単に付着し、一旦付着したヘアカラー等による汚れは、洗浄・清拭などを行っても容易に汚染除去できず、浴室等水回りの美観が損なわれるという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明者らは、このような問題点を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、特定の成分単位を含有するフッ素含有共重合体(A)と、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、上記(A)以外のフッ素樹脂およびエポキシ樹脂のうちから選択される1種以上の樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、多価イソシアネート類のうちから選択される1種以上の硬化剤とを含有する硬化性組成物(塗料)から形成された塗膜で被覆されたパネル、パーテイション等にて、例えば、土木・建築現場の周囲に仮設防護壁を張り巡らし、あるいは室内パーテイション、トイレ壁面、洗面所壁面などを構成すると、それらの表面に落書き、カラーリング等による汚れが付きにくく耐汚染性に優れ、又一旦付着した汚れも容易に除去でき汚染除去性にも優れ、基材表面に塗布し加熱硬化(焼き付け乾燥)させる場合、従来より低い加熱温度で従来と同様の加熱保持時間で加熱硬化させることができるなど低温硬化性に優れ、また基材表面への密着性に優れ、これら特性バランスも良いことなどを見出して本発明を完成するに至った。
【0006】
なお、▲1▼:特開平11−171933号公報には、(A)一般式CF2=CXY(i)(式中、XはFまたはH、YはH、Cl、F、CF3である)で表されるフルオロオレフィン40〜90モル%、(B)一般式CH2=C(R1)COOC6H5(ii)(式中、R1は水素またはメチル基である)で表されるアクリル酸シクロヘキシルエステル1〜30モル%、及び(C)一般式CH2=C(H)O−R2OH(iii)(式中、R2は炭素数2〜5のアルキレン基、又はシクロヘキシル基を示す)で表される水酸基含有ビニルエーテル1〜30モル%を必須の構成成分とし、他の共重合性単量体0〜20モル%からなる数平均分子量1,000〜50,000の含フッ素共重合体が開示されている。また、該含フッ素共重合体は、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド樹脂などと共に、メラミン硬化剤、尿素樹脂硬化剤、長鎖脂肪族ジカルボン酸などの多基塩基硬化剤などを用いて加熱硬化させ、あるいは多価イソシアネート類を用いて常温硬化させることができ、その結果、得られる硬化塗膜は、耐アルカリ性、耐酸性などに優れ、耐マジック除去性に優れていることが記載されている。
【0007】
しかしながら、この公報▲1▼に記載の共重合体を用いてなる塗膜では、金属部材に対する付着性が若干乏しく、また塗装後、比較的低温で焼き付け硬化を行った場合、得られた塗膜は、飛散した汚染物質をはじきやすいものの、若干痕跡が残るなど耐汚染性、耐汚染除去性などの点でさらなる改良の余地があった。
また、▲2▼:特開2000−313725号公報には、
重合単位として、フルオロオレフィンを15〜85モル%、下記一般式(1)、(2)、(3)及び(4)の内から選択される1種以上の有機珪素化合物を0.001〜50モル%の量でそれぞれ含む含フッ素共重合体が開示されている。また、該含フッ素共重合体は、多価イソシアネート類を用いた常温硬化あるいは、メラミン硬化剤、尿素樹脂硬化剤等を用いた加熱硬化が可能であり、該含フッ素共重合体を主成分とするフッ素樹脂塗料には、溶剤や必要に応じてアクリル樹脂、エポキシ樹脂などを添加できる旨記載されている。また、該共重合体は、塗料原料として適切な溶解特性を示すと共に塗膜として長期耐久性を示す旨記載されている。
【0008】
【化5】
【0009】
(ここで、R1〜R3は、同一でも異なっていてもよく、H、メチル基、エチル基、ブチル基、フェニル基、−CF3、−C2H4CF3、−C(CH3)3または−OSi(CH3)3を示す。)
【0010】
【化6】
【0011】
【化7】
【0012】
(ここで、R4は、Hまたはメチル基、R5はエステル基、エーテル基またはO、R6は、Hまたは炭素数1〜6のアルキル基、nは0〜10の整数、mは0〜160の整数。)
【0013】
【化8】
【0014】
(ここで、R7は、Hまたはメチル基、R8〜R10は、H、メチル基、エチル基、ブチル基または−OSi(CH3)3、pは0〜10の整数。)
さらにこの公報▲2▼では、具体的には、その実施例に、該公報▲2▼に記載の含フッ素共重合体の1種である水酸基含有含フッ素共重合体にイソシアネート系硬化剤のみを添加し、鋼板に塗布し常温硬化させてなる塗膜、あるいは、含フッ素共重合体(エポキシ基含有含フッ素共重合体)にカルボキル基含有硬化剤のみを添加して鋼板に塗布し加熱硬化してなる塗膜が示され、これら塗膜では、鋼板との密着性、鉛筆硬度、油性マジック繰り返し除去性などが良好である旨記載されている。
【0015】
しかしながら、この公報▲2▼の実施例に具体的に示されているような、含フッ素共重合体に硬化剤のみを添加し硬化してなる塗膜では、基材鋼板との付着性、耐汚染性、耐薬品性(耐酸性、耐アルカリ性など)、汚染除去性、耐候性、耐溶剤性、低温硬化性、基材表面への密着性、あるいはこれら特性のバランスなどの点でさらなる改良の余地があった。
【0016】
【発明の目的】
本発明は上記のような問題点を解決しようとするものであって、撥水性、撥油性に優れ、汚染物質が付きにくいなど耐汚染性に優れ、また、一旦生じた汚れは容易に除去できるなど汚染除去性にも優れ、低温硬化性と基材表面への密着性に優れ、これら特性バランスの良好な塗膜を形成可能な硬化性組成物、塗料組成物、その塗膜およびその用途を提供することを目的としている。
【0017】
【発明の概要】
本発明に係る硬化性組成物は、
(A)フッ素含有オレフィン成分単位(a1)、
少なくとも1個の重合性不飽和結合を含有する有機珪素化合物から誘導 される有機珪素化合物成分単位(a2)、および
水酸基またはエポキシ基を含有していてもよいビニルエーテル成分単位 (a3)を含有するフッ素含有共重合体と、
(B)(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、上記(A)以外のフッ素樹脂およびエポキシ樹脂のうちから選択される1種または2種以上の樹脂と、
(C)メラミン樹脂、尿素樹脂、多塩基性有機酸および多価イソシアネート類のうちから選択される1種または2種以上の硬化剤と、
を含有することを特徴としている。
【0018】
本発明においては、上記有機珪素化合物成分単位(a2)が、少なくとも1個の重合性のビニル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機珪素化合物であって、かつ、オルガノシラン、オルガノ(ポリ)シロキサンおよびシリコーンからなる群から選ばれた少なくとも1種の重合性有機珪素化合物から誘導されたものであることが好ましい。
【0019】
本発明においては、上記有機珪素化合物が、下記式(1)または(2)で表されることが好ましい。
【0020】
【化9】
【0021】
{式(1)中、R11は、CH2=CH−またはCH2=C(R12)−COO−(CH2)p−[R12は、水素原子またはメチル基を示し、pは0〜10の整数を示す。]を示し、
R1、R2、R3は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、
炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基に含まれる水素原子の一部がフッ素置換されていてもよい。)、
フェニル基または
−OSi(CH3)3を示す。}
【0022】
【化10】
【0023】
{式(2)中、R11は、水素原子、
炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、分岐を有していてもよく、含まれる水素原子の一部がフッ素置換されていてもよい。)、
−OSi(CH3)3、
CH2=CH−または
CH2=C(R7)−R8−(CH2)p−[R7は、水素原子またはメチル基を示し、R8は、エステル結合、エーテル結合または酸素原子(O)を示し、pは0〜10の整数を示す。]を示し、
R12は、
CH2=CH−または
CH2=C(R7)−R8−(CH2)p−[R7は、水素原子またはメチル基を示し、R8は、エステル結合、エーテル結合または酸素原子(O)を示し、pは0〜10の整数を示す。]を示し、
nは1〜420の整数を示す。}
本発明においては、上記重合性有機珪素化合物が、上記式(1)で表されるもののうちでも、特に、下記式(1a)で示される重合性有機珪素化合物であることが好ましい。また上記式(2)で表されるもののうちでも、下記式(2a)で示される重合性有機珪素化合物(反応性シリコーンオイル)であることが好ましい。
【0024】
【化11】
【0025】
{式(1a)中、R11は、CH2=CH−またはCH2=C(R12)−COO−(CH2)p−[R12は、水素原子またはメチル基を示し、pは1〜6の整数を示す。]を示し、R1、R2、R3は、−OSi(CH3)3を示す。}
【0026】
【化12】
【0027】
{式(2a)中、R11は、
炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、分岐を有していてもよく、含まれる水素原子の一部がフッ素置換されていてもよい。)、
CH2=CH−または
CH2=C(CH3)−COO−(CH2)p−(pは1〜6の整数)を示し、
R12は、
CH2=CH−または
CH2=C(CH3)−COO−(CH2)p−(pは1〜6の整数)を示し、
nは1〜420の整数を示す。}
本発明においては、上記フッ素含有共重合体(A)が、さらに、重合性不飽和カルボン酸から誘導される重合性不飽和カルボン酸成分単位(a4)を含有することが好ましい。
【0028】
本発明においては、上記フッ素含有共重合体(A)が、さらに、鎖状アルキル(メタ)アクリレートまたはシクロアルキル(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a5)を含有することが好ましい。
本発明においては、上記硬化性組成物中に含まれる上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100重量部に対して、(A)成分が5〜80重量部、(B)成分が5〜80重量部、および(C)成分が5〜40重量部の範囲にあることが好ましい。
【0029】
本発明においては、上記フッ素含有共重合体(A)が、
フッ素含有オレフィン成分単位(a1)を15〜85モル%、好ましくは30〜80モル%の量で、
上記少なくとも1個の重合性不飽和結合を含有する有機珪素化合物(マクロモノマーを含む)から誘導される有機珪素化合物成分単位(a2)を0.1〜50モル%、好ましくは0.5〜25モル%の量で
上記水酸基またはエポキシ基を含有していてもよいビニルエーテル成分単位(a3)を1〜50モル%、好ましくは10〜40モル%の量で、
必要により用いられる上記重合性不飽和カルボン酸から誘導される重合性不飽和カルボン酸成分単位(a4)を0〜30モル%、好ましくは0〜20モル%の量で、および
必要により用いられる、上記鎖状アルキル(メタ)アクリレートまたはシクロアルキル(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a5)を0〜30モル%、好ましくは0〜20モル%(共重合体中に含まれる全成分単位の合計を100モル%とする。)の量で含有することが望ましい。
【0030】
本発明においては、上記硬化性組成物が、さらに硬化触媒を含有することも可能で、上記硬化触媒は、金属化合物または酸であることが望ましい。
本発明に係る塗料組成物は、上記何れかに記載の硬化性組成物からなることを特徴としている。
本発明に係る塗膜は、上記の塗料組成物から形成されている。
【0031】
本発明に係る塗膜付き基材は、基材の表面が、上記の塗膜で被覆されていることを特徴としている。
本発明に係る塗膜付き土木建築資材、塗膜付き建築パネルは、何れも、土木建築資材、建築パネルなどの基材の表面が、上記の塗膜で被覆されていることを特徴としている。
【0032】
本発明に係る塗膜付き基材は、基材の表面上に、エポキシ樹脂プライマー層と、上記のいずれかに記載された硬化性組成物からなる層とが順次積層してなっていてもよい。
本発明によれば、撥水性、撥油性に優れ、耐汚染性に優れ、汚染除去性に優れ、基材鋼板等との付着性、耐薬品性(耐酸性、耐アルカリ性など)、耐候性、耐溶剤性に優れ、さらにはこれら特性のバランスなどの点でも優れた塗膜を形成可能な硬化性組成物、塗料組成物が提供される。
【0033】
本発明によれば、特に、公衆トイレの壁面、公共建造物の内部壁面、土木・建築現場の周囲に張り巡らされる防護用パネルや室内パーテイションなどに塗装すれば、落書きなどで汚染され難く耐汚染性に優れ、また仮に落書きなどがされても容易に落とすことができるなど汚染除去性にも優れた塗膜を形成でき、また、浴室などの水回り用の無機質建築資材等に塗装すると、ヘアカラー、ヘアマニキュア、口紅等が付きにくく低汚染性(耐汚染性)に優れ、しかも、一旦付着してしまったヘアカラーなどの汚れは容易に洗浄除去でき汚染除去性にも優れ、低温硬化性と基材表面への密着性に優れ、しかもこれら特性バランスの良好な塗膜を形成できる硬化性組成物、塗料組成物を提供できる。
【0034】
また、本発明によれば、このような優れた性能の塗膜を基材表面に有する土木資材、建築パネル、パーテイションなどが提供される。
【0035】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る硬化性組成物、塗料組成物(塗料)について、具体的に説明する。
<硬化性組成物、塗料組成物>
本発明に係る硬化性組成物、塗料組成物(以下、両者を併せて硬化性組成物、とも言う。)は、何れも、
(A)フッ素含有オレフィン成分単位(a1)、
少なくとも1個の重合性不飽和結合を含有する有機珪素化合物から誘導 される有機珪素化合物成分単位(a2)、および
水酸基またはエポキシ基を含有していてもよいビニルエーテル成分単位 (a3)を含有するフッ素含有共重合体と、
(B)(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、上記(A)以外のフッ素樹脂およびエポキシ樹脂のうちから選択される1種または2種以上の樹脂と、
(C)メラミン樹脂、尿素樹脂、多塩基性有機酸および多価イソシアネート類のうちから選択される1種または2種以上の硬化剤と、
を含有している。
【0036】
本発明においては、上記硬化性組成物中に含まれる上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100重量部[カッコ内は(A)+(B)+(C)の固形分合計100重量部ベースで表示]に対して、
(A)成分が5〜80重量部[固形分換算では2〜60重量部]、好ましくは10〜60重量部[同5〜50重量部]の量で、
(B)成分が5〜80重量部[同2〜90重量部]、好ましくは10〜60重量部[同5〜70重量部]の量で、および
(C)成分が5〜40重量部[同5〜60重量部]、好ましくは10〜25重量部[同10〜40重量部]の範囲にあることが望ましい。
【0037】
また、上記硬化性組成物には、溶剤などを含む該組成物全量を100重量%とするとき、(A)成分(固形分)は、1〜35重量%、好ましくは2〜20重量%、(B)成分(固形分)は、2〜50重量%、好ましくは6〜40重量%、(C)成分(固形分)は、4〜35重量%、好ましくは8〜20重量%の量でそれぞれ含まれていることが望ましい。
【0038】
この(A)成分が上記範囲にあると、耐汚染性が良好となる傾向があり、(B)成分が上記範囲にあると、耐薬品性および耐溶剤性が良好となる傾向があり、また、上記(C)成分が上記範囲にあると、付着性および耐薬品性が良好となる傾向がある。
<フッ素含有共重合体(A)>
上記硬化性組成物中に含まれる上記フッ素含有共重合体(A)について、はじめに詳述する。
【0039】
このフッ素含有共重合体(A)には、フッ素含有オレフィン成分単位(a1)、少なくとも1個の重合性不飽和結合を含有する有機珪素化合物(マクロモノマーを含む)から誘導される有機珪素化合物成分単位(a2)、および
水酸基またはエポキシ基を含有していてもよいビニルエーテル成分単位(a3)が含有されるが、これらの成分単位のうちで、
上記成分単位(a1)、(a2)、(a3)としては、それぞれ特開2000−313725号公報のフルオロオレフィン、有機珪素化合物、アルキルビニルエーテルから誘導されるものを含めて下記のようなものが挙げられる。
<フッ素含有オレフィン成分単位(a1)>
すなわち、フッ素含有オレフィン成分単位(a1)は、
式[I]:−[CF2−C(X)(Y)]−・・・・・[I]
(式[I]中、Xは、FまたはHを示し、Yは、H、Cl、F、CF3の何れかを示す。)で表され、このようなフッ素含有オレフィン成分単位(a1)は、
式[Ia]:CF2=CXY・・・・・[Ia]
(式[Ia]中、X、Yは式[I]の場合と同様。)で表されるフルオロオレフィンから誘導される。
【0040】
このフルオロオレフィン[Ia]としては、分子中に少なくとも2個のフッ素原子を有するオレフィンであって、例えばフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン等が挙げられる。これらのフルオロオレフィンは、1種単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<有機珪素化合物成分単位(a2)>
有機珪素化合物成分単位(a2)は、少なくとも1個の重合性不飽和結合を含有する有機珪素化合物(マクロモノマーを含む)から誘導されたものであって、上記有機珪素化合物としては、少なくとも1個の重合性のビニル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を有し、さらに他の置換基を有していてもよい、オルガノシラン、オルガノ(ポリ)シロキサン、あるいはシリコーンなどの重合性有機珪素化合物が挙げられる。
【0041】
このような少なくとも1個の重合性不飽和結合を含有する有機珪素化合物(重合性有機珪素化合物)としては、下記式(1)〜(2)で表されるものが挙げられ、これらのうちの何れか1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
【化13】
【0043】
式(1)中、R11は、CH2=CH−またはCH2=C(R12)−COO−(CH2)p [R12は、水素原子またはメチル基、好ましくはメチル基を示し、pは0〜10、好ましくは1〜6の整数を示す。]を示す。
またR1、R2、R3は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子(H)、炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、脂環状、鎖状、好ましくは鎖状のものであり、鎖状アルキル基では、分岐を有していてもよい。また該アルキル基に含まれる水素原子の一部がフッ素置換されていてもよい。)、フェニル基または−OSi(CH3)3を示し、これらのうちでは、R1、R2、R3は何れも−OSi(CH3)3であることが好ましい。
【0044】
上記アルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−,i−プロピル基、n−,i−,t−ブチル基、ペンチル基、n−ヘキシル基、−CF3、−C2H4CF3等が挙げられ、これらのうちでは、メチル基、エチル基、n−,t−ブチル基、−CF3、−C2H4CF3等が好ましい。
式(1)中、好ましい態様の有機珪素化合物は、下記式(1a)、換言すれば下記式(1a-3)、(1a-4)で示される重合性有機珪素化合物である。
【0045】
上記式(1)で表される重合性有機珪素化合物としては、特開2000−313725号公報[0005]〜[0008]段に記載の有機珪素化合物を含めて、より具体的には、下記式(1a-1)、(1a-2)で示すようなものが挙げられる。
【0046】
【化14】
【0047】
{式(1a-1)、(1a-2)中、R12は、水素原子またはメチル基を示し、pは1〜6の整数を示す。]を示し、R1、R2、R3は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基、フェニル基、−CF3、−C2H4CF3、−C(CH3)3または−OSi(CH3)3を示す。}
これらのうちで、さらに好ましくは、式(1a):
【0048】
【化15】
【0049】
{式(1a)中、R11は、CH2=CH−またはCH2=C(R12)−COO−(CH2)p−[R12は、水素原子またはメチル基を示し、pは1〜6の整数を示す。]を示し、R1、R2、R3は、−OSi(CH3)3を示す。}
が挙げられる。
この重合性有機珪素化合物(1a)は、すなわち、下記式(1a-3)、(1a-4)で示される。
【0050】
【化16】
【0051】
(式(1a-3)、(1a-4)中、pは1〜6の整数を示す。)
このような重合性有機珪素化合物のうちでも、上記式(1)、特に上記式(1a-1)で表されるものとして、具体的には、例えば、
(3−アクリロキシプロピル)メチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、
3−メタクリロキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、
(3−アクリロキシプルピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、
メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、
メタクリロキシメチルトリメチルシラン等が挙げられる。
【0052】
また、上記式(1a-2)で表されるものとしては、具体的には、例えば、ビニルペンタメチルジシロキサン、ビニルフェニルジメチルシラン、ビニルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルトリエチルシラン、ビニル(トリフルオロメチル)ジメチルシラン、ビニル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルシラン、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニル−t−ブチルジメチルシラン、ビニルジエチルメチルシラン等が挙げられる。
【0053】
また、上記少なくとも1個の重合性不飽和結合を含有する有機珪素化合物(重合性有機珪素化合物)としては、上記式(1)で表されるものの他に、下記式(2)で表されるものが挙げられる。
【0054】
【化17】
【0055】
式(2)中、R11は、水素原子、
炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、分岐を有していてもよく、含まれる水素原子の一部がフッ素置換されていてもよい。)、「−OSi(CH3)3」、
「CH2=CH−」または
「CH2=C(R7)−R8−(CH2)p−」[R7は、水素原子またはメチル基、好ましくはメチル基を示し、R8は、エステル結合、エーテル結合または酸素原子(O)、好ましくはエステル結合を示し、pは0〜10、好ましくは1〜6の整数を示す。]を示す。
【0056】
上記式(2)中のR11がアルキル基の場合、このようなアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−,i−プロピル基、n−,i−,t−ブチル基、ペンチル基、n−ヘキシル基、−CF3、−C2H4CF3等が挙げられ、これらのうちでは、メチル基、エチル基、n−,t−ブチル基、−CF3、−C2H4CF3等が好ましい。
【0057】
また上記式(2)中、R12は、「CH2=CH−」または「CH2=C(R7)−R8−(CH2)p−」[R7は、水素原子またはメチル基、好ましくはメチル基を示し、R8は、エステル結合、エーテル結合または酸素原子(O)、好ましくはエステル結合を示し、pは0〜10、好ましくは1〜6の整数を示す。]を示す。
【0058】
nは1〜420の整数を示す。
上記式(2)で表される重合性有機珪素化合物としては、特開2000−313725号公報[0005]〜[0008]段に記載の有機珪素化合物を含めて、下記式(2a)、(2b)で示すようなものが挙げられる。
【0059】
【化18】
【0060】
式(2a)中、R11は、炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、分岐鎖状、直鎖状、脂環状のうちで鎖状のものが好ましく、また含まれる水素原子の一部がフッ素置換されていてもよい。)、CH2=CH−または
「CH2=C(CH3)−COO−(CH2)p−(pは1〜6の整数)」を示し、R12は、CH2=CH−または「CH2=C(CH3)−COO−(CH2)p−(pは1〜6の整数)」を示し、nは1〜420の整数を示す。
【0061】
【化19】
【0062】
上記式(2b)中、R7は、水素原子またはメチル基、好ましくはメチル基を示し、R8は、エステル結合、エーテル結合または酸素原子(O)、好ましくはエステル結合を示し、pは0〜10の整数を示し、nは0〜160の整数を示す。
但し、式(2b)中で前記式(2a)と重複するもの、すなわち、R7がメチル基を示し、R8が、エステル結合を示し、pは0〜10の整数を示し、nは0〜160の整数を示すものは、式(2a)に含める。
【0063】
これらの重合性有機珪素化合物(2)のうちでは下記式(2a-1)〜(2a-3)で示すもの、あるいは下記式(2b-1)で示すもののうちの何れか1種または2種以上が好ましい。なお、式(2b-1)全体は、特開2000−313725号公報の式(2)、(3)に相当する。
すなわち、上記式(2)で表される重合性有機珪素化合物としては、片末端あるいは両末端が(メタ)アクリル変性された反応性シリコーンオイル等が挙げられる。片末端あるいは両末端が(メタ)アクリル変性された反応性シリコーンオイルのうちでは、下記式(2a-1)〜(2a-3)、(2b-1)で示すような反応性シリコーンオイルが好ましく、特に下記式(2a-1)〜(2a-2)で示すような反応性シリコーンオイルが好ましい。
【0064】
【化20】
【0065】
上記式(2a-1)中、R11は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、nは1〜250、好ましくは5〜100、特に10〜80の整数を示す。
【0066】
【化21】
【0067】
上記式(2a-2)中、R11は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、nは1〜250、好ましくは1〜100、特に10〜80の整数を示す。
【0068】
【化22】
【0069】
上記式(2a-3)中、R11は、-OOC-C(CH3)=CH2 を示し、nは1〜250、好ましくは5〜100、特に10〜80の整数を示す。
【0070】
【化23】
【0071】
上記式(2b-1)中、R7は、水素原子またはメチル基、好ましくはメチル基を示し、R11は、水素原子(H)または上記と同様の炭素数1〜6のアルキル基を示し、pは0〜10の整数を示し、nは0〜160の整数を示す。
但し、式(2b-1)中で、前記式(2a-1)〜(2a-3)と重複するものは、前記式(2a-1)〜(2a-3)に含める。
【0072】
本発明では、上記のような重合性有機珪素化合物(1)、(2)を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの有機珪素化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合せてもよい。
これらの有機珪素化合物の分子量は、100〜6000が好ましく、さらには1000〜4000が望ましい。
【0073】
このような有機珪素化合物(2)は、特開2000−313725号公報等に記載の方法を適宜利用することにより製造できる。
<水酸基またはエポキシ基を含有していてもよいビニルエーテル成分単位(a3)>
水酸基またはエポキシ基を含有していてもよいビニルエーテル成分単位(a3)としては、アルキルビニルエーテル、アルキルアリルエーテル等のビニルエーテルから誘導され、特開2000−313725号公報[0011]〜[0012]段等に記載のものが挙げられる。
【0074】
これらのビニルエーテルに含まれるアルキル基は、その炭素数が1〜20で、該アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状あるいは脂環状でもよく、該アルキル基中の水素原子の一部は、炭素数1〜10のアルキル基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、ヒドロキシ基等の置換基で、置換されていてもよい。
上記アルキルビニルエーテルとして、具体的には、例えば、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、グリシジルオキシメチルビニルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテル、グリシジルオキシブチルビニルエーテル、グリシジルオキシぺンチルビニルエーテル、グリシジルオキシシクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシメチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
【0075】
アルキルアリルエーテルとして、具体的には、例えば、エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、n−プロピルアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、グリセロール−α−モノアリルエーテル等が挙げられる。
【0076】
これらのビニルエーテルは、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
これらのビニルエーテルのうちでは、水酸基またはエポキシ基を含有しているビニルエーテルを含む組み合わせが好ましく、さらには水酸基および/またはエポキシ基を含有したビニルエーテルを用いることが好ましい。
<重合性不飽和カルボン酸成分単位(a4)>
本発明においては、上記フッ素含有共重合体(A)は、さらに、重合性不飽和カルボン酸から誘導される成分単位(a4)を含有していてもよい。
【0077】
このような重合性不飽和カルボン酸成分単位(a4)を誘導しうる重合性不飽和カルボン酸としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、イタコン酸、2−ヘキセン酸、3−ヘキセン酸、5−ヘキセン酸等が挙げられる。
これらの重合性不飽和カルボン酸は1種または2種以上組み合わせて用いられる。
【0078】
<鎖状アルキル(メタ)アクリレートまたはシクロアルキル(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a5)>
本発明においては、上記フッ素含有共重合体(A)は、さらに、重合性不飽和カルボン酸エステルの1種である、鎖状アルキル(メタ)アクリレートまたはシクロアルキル(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a5)を含有していてもよい。
【0079】
但し、該鎖状アルキル基は、その炭素数が1〜20、好ましくは1〜10で、該アルキル基は、直鎖状あるいは、分岐鎖状でもよく、該鎖状アルキル基中の水素原子の一部は、炭素数1〜10のアルキル基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、ヒドロキシ基等の置換基で、置換されていてもよい。
このような成分単位(a5)を誘導しうる鎖状アルキル(メタ)アクリレートまたはシクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
【0080】
これらのアルキル(メタ)アクリレートまたはシクロアルキル(メタ)アクリレートは、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
なお、本発明においては、フッ素含有共重合体(A)中に含まれる各成分単位には、用いられた共重合性モノマーに複数個の共重合可能な炭素−炭素二重結合部位(C=C)がある場合には、炭素−炭素二重結合が全て解裂し、他の成分単位と結合していてもよいが、本発明では、1つの成分単位に複数個の共重合可能な炭素−炭素二重結合部位がある場合には、その一部二重結合は残存していてもよい。
<その他の成分単位(a6)>
本発明においては、上記フッ素含有共重合体(A)には、必要によりさらに、他の重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(a6)が、本発明の目的に反しない範囲で少量含有されていてもよい。
【0081】
このようなその他の成分単位(a6)を誘導しうる他の不飽和単量体としては、例えばエチレン、プロピレン等のオレフィン類;
塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン類;
酢酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のアルカンカルボン酸とビニルアルコールとのエステル類(ビニルエステル類);
等が挙げられる。
【0082】
このようなフッ素含有共重合体(A)中には、フッ素含有オレフィン成分単位(a1)が15〜85モル%、好ましくは30〜80モル%の量で、
上記少なくとも1個の重合性不飽和結合を含有する有機珪素化合物(マクロモノマーを含む)から誘導される有機珪素化合物成分単位(a2)が0.1〜50モル%、好ましくは0.5〜25モル%の量で、
上記水酸基またはエポキシ基を含有していてもよいビニルエーテル成分単位(a3)が1〜50モル%、好ましくは10〜40モル%の量で、
必要により用いられる上記重合性不飽和カルボン酸から誘導される重合性不飽和カルボン酸成分単位(a4)が0〜30モル%、好ましくは0〜20モル%の量で、および
必要により用いられる、上記アルキル(メタ)アクリレートまたはシクロアルキル(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a5)が0〜30モル%、好ましくは0〜20モル%(但し、共重合体(A)中に含まれるこれら全成分単位の合計を100モル%とする。)の量で含有されていることが望ましい。
【0083】
換言すれば、フッ素含有共重合体(A)中には、フッ素含有オレフィン成分単位(a1)が20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%の量で、
上記少なくとも1個の重合性不飽和結合を含有する有機珪素化合物(マクロモノマーを含む)から誘導される有機珪素化合物成分単位(a2)が1〜40重量%、好ましくは2〜20重量%の量で、
上記水酸基またはエポキシ基を含有していてもよいビニルエーテル成分単位(a3)が1〜40重量%、好ましくは5〜25重量%の量で、
必要により用いられる上記重合性不飽和カルボン酸から誘導される重合性不飽和カルボン酸成分単位(a4)が0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%の量で、および
必要により用いられる、上記アルキル(メタ)アクリレートまたはシクロアルキル(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a5)が0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%(但し、該共重合体(A)中に含まれるこれら全成分単位の合計を100重量%とする。)の量で含有されていることが望ましい。
【0084】
このフッ素含有共重合体(A)中に、フッ素含有オレフィン成分単位(a1)が上記量で含まれていると、耐汚染性に優れた塗膜が得られ、また各種溶剤に対する溶解性にも優れる傾向があり、また、有機珪素化合物成分単位(a2)が上記量で含まれていると、耐汚染性がさらに優れる傾向があり、上記ビニルエーテル成分単位(a3)が上記量で含まれていると、耐薬品性および耐溶剤性が優れる傾向があり、上記重合性不飽和カルボン酸成分単位(a4)が上記量で含まれていると、硬化剤との反応性が速くなる傾向がある。
【0085】
なお、上記フッ素含有共重合体(A)に含まれる各成分単位(a1)〜(a6)などは、該フッ素含有共重合体(A)中において、各成分単位毎にそれぞれブロックを形成して任意の順序で配列していてもよく、ブロックを形成した各成分単位がランダムに配列していてもよく、また各成分単位が1個ずつランダムに配列していてもよいが、通常、ランダムに配列している。
【0086】
このようなフッ素含有共重合体(A)の数平均分子量(GPCにて測定)は、通常、1,000〜70,000、好ましくは10,000〜50,000である。
<フッ素含有共重合体(A)の合成>
このようなフッ素含有共重合体(A)を合成するには、上記各成分単位(a1)〜(a3)形成用の上記モノマー、さらには必要により上記成分単位(a4)〜(a6)形成用の上記モノマーなどを、上記共重合体中における各成分単位量に対応する量でそれぞれ用いて、重合開始剤および、必要により溶剤などの存在下に、ランダムあるいはブロック共重合させればよい。
【0087】
重合条件としては、特開平11−171933号公報の第[0014]〜[0020]段に記載の方法、特開2000−313725号公報等に記載の方法等を採用でき、重合開始剤としては、重合形式、溶媒の種類等により、水溶性あるいは油溶性のものが適宜用いられる。
すなわち、水溶性重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、あるいはこれらと亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどの還元剤との組み合わせからなるレドックス還元剤、さらには、これらに少量の鉄、第一鉄塩、硝酸銀、等を共存させた無機系開始剤やコハク酸パーオキサイド、ジグルタル酸パーオキサイド、モノコハク酸パーオキサイドなどの二塩基酸塩などの有機系開始剤等が用いられる。
【0088】
また油溶性開始剤としては、例えばt−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル型過酸化物、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート、などのジアルキルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどが用いられる。
【0089】
これらの重合開始剤の使用量は、その種類、共重合反応条件などに応じて適宜選択でき、単量体全量に対して、通常、0.005〜5重量%、好ましくは0.1〜1%の量で用いられる。
また、重合方法については特に制限はなく、例えば塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等を採用できる。例えば、溶液重合法では、溶媒としてメチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、t−ブタノール等のアルコール類、フッ素原子1個以上有する飽和ハロゲン化炭化水素類等を用いて行うことが望ましく、さらには、アルコール類、特に1価アルコールを全溶媒中5重量%以上の量で含有した有機溶媒を使用することがゲル化を防止して所望の含フッ素共重合体を得る上で望ましい。また乳化重合法では、水性媒体中で行うことが望ましい。
【0090】
一価アルコールとしては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−,i−プロパノール、n−,i−,t−ブタノール、n−ペンチルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n−ヘキサノール、2−ヘプタノール等が挙げられる。これらのアルコールは、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
【0091】
水性媒体中で共重合させる場合には、通常分散安定剤として懸濁剤や乳化剤を用い、かつ塩基性緩衝剤を添加して、重合中の反応液のpH値を4以上、好ましくは6以上に設定することが望ましい。
該共重合反応における反応温度は、通常−30℃〜150℃での範囲内で、重合開始剤、重合用媒体の種類に応じて適宜設定でき、例えば水性媒体等の溶媒中で共重合を行う場合には、通常0〜100℃、好ましくは10〜90℃の温度範囲で行えばよい。また、反応圧力については特に制限はないが、通常1〜100kg/cm2、好ましくは1〜60kg/cm2の範囲で選択される。
【0092】
さらに、該共重合反応は、適当な連鎖移動剤を添加して行うことができる。
<樹脂成分(B)>
樹脂成分(B)としては、得られる硬化性組成物の常温硬化または焼き付け硬化に寄与できる(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、上記フッ素含有共重合体(A)以外のフッ素樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。なかでも(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂が、付着性の点からは好ましい。本発明では、これら樹脂成分(B)は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
【0093】
これら樹脂成分(B)としては、特開平11−171933号公報の第[0021]〜[0023]段に記載のものなどを使用できる。
この(メタ)アクリル系樹脂について詳述すると、(メタ)アクリル樹脂としては、従来より塗料用に使用されているものが挙げられるが、側鎖および/または主鎖末端に水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基などの硬化性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル成分単位含有共重合体が好ましい。このような(メタ)アクリル酸エステル成分単位含有共重合体としては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−アミノエチルプロピ(メタ)アクリレートなどから誘導される成分単位を含む共重合体が挙げられる。
【0094】
このような(メタ)アクリル酸エステル成分単位含有共重合体として市販されているものでは、「アクリディックA−430、アクリディックA−810−45」(大日本インキ化学工業(株)製)、「テスロイド4211−46、テスロイド4212−46」(日立化成ポリマー(株)製)、「ダイヤナールLR−620、ダイヤナールHR−656」(三菱レイヨン(株)製)、「ヒタロイド3046C、ヒタロイド3018」(日立化成工業(株)製)などがある。
【0095】
(メタ)アクリル樹脂の数平均分子量は、GPCにて測定して1,000〜15,000好ましくは5,000〜10,000であり、それより大きくなると溶剤への溶解性が低下する傾向にあり、小さくなると得られる塗膜の耐候性が低下する傾向にある。
<硬化剤(C)>
硬化剤(C)としては、樹脂(A)および樹脂(B)の硬化に寄与するメラミン樹脂(メラミン硬化剤)、尿素樹脂(尿素樹脂硬化剤)、多塩基性有機酸および多価イソシアネート類等が挙げられる。本発明では、これら硬化剤は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
【0096】
これら硬化剤(C)としては、特開平11−171933号公報の第[0023]〜[0027]段に記載のものなどを使用できる。
すなわち、メラミン樹脂(メラミン硬化剤)としては、例えばブチル化メラミン、メチル化メラミン、エポキシ変性メラミンなどが挙げられ、用途に応じて各種変成度のものが適宜用いられ、また自己縮合度も適宜選ぶことができる。
【0097】
尿素樹脂(尿素樹脂硬化剤)としては、例えばメチル化尿素樹脂やブチル化尿素樹脂等が挙げられる。
多塩基性有機酸としては、例えば、長鎖脂肪族ジカルボン酸類、芳香族多価カルボン酸類およびこれらの酸無水物などが挙げられる。
該多価イソシアネート類としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの無黄変性ジイソシアネートやその付加物、イソシアヌレート類から導かれる基を有する多価イソシアネートなどが挙げられ、これらの中でイソシアヌレート類から導かれる基を有する多価イソシアネートが特に好ましい。これら多価イソシアネート類は、常温硬化により好適であり、例えば、フッ素含有共重合体(A)中に水酸基が存在する場合などでは、イソシアネート基とのウレタン反応などによる常温硬化により好適である。
【0098】
その他、ブロック化多価イソシアネート類も硬化剤、主として加熱硬化型用の硬化剤として好ましく使用できる。
<硬化触媒(D)>
本発明においては、上記硬化性組成物が、さらに硬化触媒(D)を含有することも可能であり、上記硬化触媒(D)は、金属化合物または酸であることが望ましい。
【0099】
該金属化合物としては、例えば、錫化合物等が挙げられ、酸としては、例えば、リン酸、スルホン酸等が挙げられる。
多価イソシアネート類を用いて常温硬化を行わせる場合には、金属化合物例えば、ジブチル錫ジラウレート等の公知触媒の添加によって硬化を促進させることも可能である。
【0100】
またメラミン硬化剤または尿素樹脂硬化剤の使用に際しては、リン酸系またはスルホン酸系の酸性触媒の添加によって硬化を促進することもできる。
<その他の配合成分>
本発明で用いられる硬化性組成物には、上記成分(A)〜(C)などの他にさらに、下記のような「その他の成分」が含まれていてもよい。
【0101】
このようなその他の成分としては、例えば、溶媒の他に、可塑剤、安定剤、タレ止め・沈降防止剤、酸化チタン(チタン白)等の着色料、粘度調節剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、上記以外の塗膜形成成分などの各種成分が挙げられる。
<溶媒>
硬化性組成物を調製する場合には、種々の溶媒を使用でき、キシレン、トルエンなどの芳香族炭化水素類;n−ブタノールなどのアルコール類;酢酸ブチル、酢酸エチルなどのエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;エチルセロソルブなどのグリコールエーテル類;市販の各種シンナー類;等が使用可能であるが、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、n−ブタノール等が好ましい。
【0102】
このような溶媒は、硬化性組成物(塗料)中に含まれるフッ素含有共重合体(A)量が5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%となるような量で用いることが望ましい。
<タレ止め・沈降防止剤(搖変剤)>
タレ止め・沈降防止剤(搖変剤)としては、有機粘度系Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩などの塩類、ポリエチレンワックス、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス系、ポリアマイドワックス系および両者の混合物、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス等が挙げられ、好ましくは、ポリアマイドワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス、有機粘度系が用いられる。このようなタレ止め・沈降防止剤としては、楠本化成(株)製の「ディスパロン305」、「ディスパロン4200-20」等の他、「ディスパロンA630-20X」等の商品名で上市されているものが挙げられる。
【0103】
<着色剤>
着色剤には、顔料、染料などが挙げられる。顔料としては、従来公知の有機系、無機系の各種顔料を用いることができる。有機系顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニンブルー等が挙げられる。無機系顔料としては、例えば、チタン白、ベンガラ、バライト粉、シリカ、タンカル、タルク、白亜、酸化鉄粉等のように中性で非反応性のもの;亜鉛華(ZnO、酸化亜鉛)、鉛白、鉛丹、亜鉛末、亜酸化鉛粉等のように塩基性で塗料中の酸性物質と反応性のもの(活性顔料)等があげられる。
【0104】
<硬化性組成物の製造>
上記のような硬化性組成物を製造するには、上記フッ素含有共重合体(A)と、樹脂成分(B)と、硬化剤成分(C)とに加えて、硬化触媒(D)、溶媒、可塑剤、無機脱水剤(安定剤)、タレ止め・沈降防止剤、酸化チタン(チタン白)等の着色剤、粘度調節剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、上記以外の塗膜形成成分、充填剤、難燃剤、チクソトロピー性付与剤、熱伝導改良剤、接着成分、香剤などを所定の割合で一度にあるいは任意の順序で加えて撹拌・混合し、溶媒に溶解・分散等すればよい。
【0105】
この際には、ボールミル、ペイントシェーカー、サンドミル 3本ロールミル、ニーダー等の通常の塗料化に用いられる種々の混合・攪拌装置を用いることができる。
硬化剤成分(C)として非ブロック多価イソシアナート類を用いると、常温硬化型の硬化性組成物を得ることができる。このような硬化性組成物では、硬化剤成分は別個に調合され、二液型の硬化性塗料組成物とされる。
【0106】
この場合、イソシアネートおよび触媒の種類および添加量、さらには共重合体(A)の濃度、共重合体(A)中のビニルエーテル成分単位(a3)に含まれるヒドロキシアルキルまたはヒドロキシシクロアルキルビニルエーテル成分単位等のヒドロキシル基を有する成分単位の含有率を調節することによって、1〜10時間程度の可使時間を有し、数時間〜数日で室温硬化して良好な物性を有する塗膜を形成可能な硬化性組成物(塗料)とすることができる。
【0107】
なお、硬化剤成分(C)としてメラミン樹脂、尿素樹脂、ブロック多価イソシアネート類を用いると、加熱硬化型で、しかも一液型の硬化性組成物(塗料)を得ることができる。
このような硬化性組成物は、例えば、型内に流し込みあるいは剥離可能な基板に塗布し常温・加熱下などにて(半)硬化させ、箱状、フィルム状、板状など種々の形状の成形体として用いることもできるが、例えば、土木資材、建材(例:パネル、パーテイション、ドア、車輌内装部材等)、電気部品、電子部品、工芸用品、服飾産業用品、医療用品、文具用品などの各種基材の表面被覆用のコーティング材(コーティング用組成物)として、また、基材の表面防汚用の塗料として好適に用いられる。その他、着氷防止塗料、撥水剤などとしても用いられる。このように本発明の硬化性組成物は、電気・電子、建材・工芸、服飾産業、医療、農林・水産業、発電、港湾・土木建設、造船あるいは船舶の修理特に船舶塗装などの広範な産業分野で用いられる。
【0108】
以下、このような硬化性組成物にて、基材表面が被覆されてなる各種塗膜付き基材について例を挙げて述べる。
<塗膜付き基材>
本発明に係る塗膜付き基材は、基材表面が、上記した特定の硬化性組成物から形成された塗膜にて被覆されてなっている。
【0109】
上記基材としては、主に材質面、構造面から分類すると、(アルミ板、鉄板、ステンレス板、ブリキ板等の各種金属板;ケイ酸カルシウム板(珪カル板);等が挙げられる。
また、基材を主に用途面から分類すると、土木資材、建材パネル、パーテイション特にトイレ用パーテイション、ドア、キッチンパネル、車輌内装部材等が挙げられる。
【0110】
本発明においては、これら基材の表面には、直接、上記硬化性組成物からなる塗膜が形成されていてもよいが、該基材の表面に、必要により下塗り層などとして、予めエポキシ系プライマー層あるいは、紫外線硬化型層などを適宜形成し、その表面に硬化性組成物からなる塗膜が積層形成されていてもよい。基材の表面に紫外線硬化型層、硬化性組成物層を順次積層形成してなる無機質化粧板では、前述したような効果(低汚染性、耐汚染除去性など)に加えて、肉持ち感、高級感も生ずる。
【0111】
特に、この際用いられる基材が金属製であり、この硬化性組成物からなる塗料が相手金属部材に直接焼付塗装等がされて硬化性組成物層が形成されている場合や、相手金属部材に予め形成されたエポキシ樹脂系プライマー層、あるいは各種樹脂系粉体塗料からなる層の表面に、この硬化性組成物からなる塗料が焼き付け塗装されて硬化性組成物層が形成されている場合には、該硬化性組成物層は、相手金属部材などとの付着性が良好であり、かつ、水や油を主成分とする各種汚染物質ははじきやすくすなわち撥水性、撥油性を有し、従って耐汚染性に優れ、またこれら汚染物質が仮に付着しても拭き取りが容易であり耐汚染除去性に優れている。
【0112】
また、該基材の表面に、予め、シーラー、下塗り層(下塗塗膜)、中塗り層(中塗塗膜)、上塗り層(上塗塗膜)等が必要により設けられ、その表面すなわち上塗り層などの表面に、この硬化性組成物からなる層が設けられていてもよい。この場合、硬化性組成物層の下にある、上塗り層を紫外線硬化型層などとすることができる。
【0113】
例えば、基材がケイ酸カルシウム板製のボードの場合には、ボード面の上に、シーラー、中塗り層、上記硬化性組成物層が順次設けられていてもよい。この場合、中塗り層を紫外線硬化型層としてもよい。
例えば、基材が鉄の場合には、鉄面の上に、防錆性下塗り層、接着性向上用上塗り層、上記特定の硬化性組成物からなる塗膜(以下、硬化性組成物塗膜、硬化性組成物層とも言う。)が順次設けられていてもよく、また、
これら各層の厚さは、基材の種類、その用途などに応じて適宜設定され、一概に決定されないが、下塗り層、中塗り層、上塗り層、硬化性組成物層では、それぞれ、例えば、10〜50μm厚程度であり、基材表面に設けられる各種塗膜の厚さは、全体で、50〜150μm厚程度である。
【0114】
このような塗膜を有する本発明に係る塗膜付き基材は、撥水性、撥油性に優れ、耐汚染性に優れ、汚染除去性に優れている。
特に、本発明の硬化性組成物(塗料)を、車輌ドア、車輌ボディー等の金属部材の表面に塗装してなる塗膜付き基材では、金属製基材と塗膜との密着性に優れ、水や油をはじきやすく、落書きなど各種汚れで汚染し難く、また仮に落書きなどがされても容易に拭き取り落とすことができるなど汚染除去性に優れている。
【0115】
特に、本発明の硬化性組成物(塗料)を、公衆トイレの壁面、公共建造物の内部壁面、土木・建築現場の周囲に張り巡らされる防護用パネルや室内パーテイションなどの基材表面に塗装してなる塗膜付き基材では、落書きなどで汚染し難く、また仮に落書きなどがされても容易に拭き取り落とすことができるなど汚染除去性に優れている。
【0116】
また、本発明の硬化性組成物(塗料)は、低温硬化性と基材表面への密着性に優れているが、このような本発明の硬化性組成物を、浴室などの水回りの無機質建築資材等に塗装してなる塗膜付き基材では、ヘアカラー、ヘアマニキュア、口紅等が付きにくく低汚染性(耐汚染性)に優れ、しかも、一旦付着してしまったヘアカラーなどの汚れは容易に洗浄除去でき汚染除去性に優れている。
【0117】
<塗膜付き基材の製造>
本発明に係る塗膜付き基材を得るには、前記金属板、合板、珪カル板など、土木建築用資材、建材用パネル等として用いられる各種基材の表面にこの硬化性組成物からなる塗膜(層)を形成すればよい。あるいは基材表面に、必要により、予め、紫外線硬化型塗料を塗布、硬化させ塗膜を形成した後、上記の硬化性組成物を塗布硬化させてもよい。あるいは、建材パネル等の基材表面に、必要により、予め、エポキシ樹脂プライマー、各種樹脂系粉体塗料などを塗布、硬化させ塗膜を形成した後、上記の硬化性組成物を塗布硬化させてもよい。
【0118】
あるいは基材表面に、その材質に応じて、必要により、予め、ケイ酸カルシウム板用のシーラー、鉄面防錆用の下塗り層(下塗塗膜)等を設け、さらに必要によりそれらの表面に中塗り層(中塗塗膜)、上塗り層(上塗塗膜)等を塗設した後、その表面に、上記硬化性組成物を塗布、硬化させて、この硬化性組成物からなる塗膜を形成してもよい。
【0119】
また、既存の各種塗装面に、適宜下塗りなどを施した後、補修用として上記硬化性組成物を上塗りしてもよい。
このような各種塗料の塗装の際には、刷毛、ローラー、ロールコーター、スプレー(例:エアスプレー、エア霧化型またはベル型静電スプレー)、浸漬、電着など、公知の塗装手段を採用すればよい。特に、基材表面に、上記各種塗装を施した後、その表面に硬化性組成物をロールコータを用いて塗装すれば、速乾性に優れ、薄膜化でき、低コストの仕上げが可能となる。
【0120】
また、基材表面に上記各層用の各種塗料を塗布した後、硬化させるには、例えば、焼き付け、加熱乾燥法、常温乾燥法など、配合成分に応じて従来より公知の種々の硬化方法を採用しうるが、加熱乾燥、常温乾燥では、含まれる溶剤を蒸発させ、乾燥させればよく、このように溶剤を揮散・除去することにより実用に供することができる。
【0121】
このようにして得られる無機質化粧板等の塗膜付き基材では、塗膜全体の厚さは、例えば、50〜150μm程度であり、特に上記硬化性組成物からなる塗膜(層)の厚さは、5〜20μm程度であることが多い。
このようにして得られた本発明の塗膜付き基材は、撥水性、撥油性に優れ、耐汚染性、汚染除去性にバランス良く優れている。
【0122】
【発明の効果】
本発明に係る硬化性組成物は、基材、特にケイカル板等の金属以外の無機質基材の表面に、従来の加熱乾燥条件より低い温度(例:120〜140℃)で、従来と同様の時間(例:10〜20分間)の加熱で硬化させることができるなど、低温硬化性に優れ、しかもこの硬化性組成物を塗布硬化等すれば、撥水性、撥油性に優れるなど耐汚染性に優れ、しかも汚染除去性に優れ、鋼板等の基材との密着性、耐薬品性(特に耐酸性、耐アルカリ性など)、耐候性、耐溶剤性に優れこれら特性バランスの良好な塗膜、その他の成形体を形成できる。
【0123】
特に本発明に係る塗膜付き基材が、硬化性組成物を、車輌ドア、車輌ボディー等の金属製基材の表面に塗装し焼付け硬化してなる塗膜付き金属部材である場合には、金属製基材と塗膜との密着性に優れ、水や油をはじきやすく、落書きなど各種汚れで汚染し難く、また仮に落書きなどがされても容易に拭き取り落とすことができるなど汚染除去性に優れている。
【0124】
特に、本発明に係る塗膜付き基材が塗膜付き土木建築資材、塗膜付き建材パネルである場合には、これら部材を使用して公衆トイレの壁面、電車の内外壁面、ガラス面、土木・建築現場の周囲に張り巡らされる防護用パネル、あるいは室内パーテイションを形成すると、落書き防止性、落書き除去性に優れ、洗浄・清拭等を行うことにより容易に汚染除去で、公衆トイレや土木・建築現場の防御壁などの美観がいつまでも良好に保持できる。
【0125】
また、本発明に係る塗膜付き基材が無機質化粧板である場合には、該無機質化粧板を、浴室、洗面所などの水回りの無機質建築資材に使用すると、ヘアカラー、ヘアマニキュア、口紅、ヨードチンキ等が付きにくく低汚染性(耐汚染性)に優れ、しかも、一旦付着してしまったヘアカラー、ヨードチンキなどの汚れは容易に洗浄除去でき汚染除去性に優れている。
【0126】
【実施例】
以下、本発明に係る硬化性組成物、塗料組成物、その塗膜、塗膜付き基材について、実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこのような実施例により何ら限定されるものではない。
<試験方法>
1.付着性:「JIS K 5400 8.5.2」碁盤目テープ法にて、1mm間隔で縦(10個)×横(10個)合計100桝目配置して、テープ剥離試験を行い、その残存数(X)で評価(X/100)。
2.耐汚染性:「JIS K 5400 8.10」にて、マジックインキを塗布して24時間後、ウエスで拭取性を評価。
【0127】
<汚染性評価基準>
5:完全に汚染除去できる。
3:わずかに跡が残る。
1:跡が残る。
3.耐酸性:「JIS K 5400 8.22」にて、3%塩酸に浸漬して48時間後、外観を評価。
【0128】
<耐酸性評価基準>
5:異常なし。
3:フクレが少ない。
1:フクレが多い。
4.耐アルカリ性:「JIS K 5400 8.21」にて、5%水酸化ナトリウムに浸漬して48時間後、外観を評価。
【0129】
<耐アルカリ性評価基準>
5:異常なし。
3:フクレが少ない。
1:フクレが多い。
5.耐候性:「JIS K 5400 9.8.1」にて、試験時間500時間後の光沢保持率を評価。
【0130】
<耐候性評価基準>
100〜90:非常に良好。
89〜80:良好。
79〜70:やや劣る。
69以下 :劣る。
6.耐溶剤性:「JIS K 5400 8.19」に準じて、トルエンに浸漬して24時間後、外観を評価。
【0131】
<耐溶剤性評価基準>
5:異常なし。
3:少し溶解する。
1:溶解する。
下記の実施例、比較例で用いられる原材料は以下の通り。
※1:「KD−270C」
フッ素樹脂ワニス、関東電化工業(株)製、
▲1▼共重合体成分組成:フルオロオレフィン単位50モル%、反応性シリコーンオイル単位10モル%、水酸基含有ビニルエーテル単位30モル%、不飽和カルボン酸単位10モル%。
▲2▼燃焼法によるフッ素含量:50%、
▲3▼GPCで測定した数平均分子量:40,000(4万)、
▲4▼固形分濃度:25%、
▲5▼溶剤:75%。
※2:「KD−270」
フッ素樹脂ワニス、関東電化工業(株)製、
▲1▼共重合体成分組成:フルオロオレフィン単位50モル%、反応性シリコーンオイル単位10モル%、水酸基含有ビニルエーテル単位30モル%、シクロヘキシル基含有アクリル酸エステル単位10モル%。
▲2▼燃焼法によるフッ素含量:50%、
▲3▼GPCで測定した数平均分子量:28,000(2.8万)、
▲4▼固形分濃度:40%、
▲5▼溶剤:60%。
※3:「KD−215」
フッ素樹脂ワニス、関東電化工業(株)製、
▲1▼共重合体成分組成:フルオロオレフィン単位40モル%、水酸基含有ビニルエーテル単位40モル%、シクロヘキシル基含有アクリル酸エステル単位20モル%。
▲2▼燃焼法によるフッ素含量:40%、
▲3▼GPCで測定した数平均分子量:20,000(2万)、
▲4▼固形分濃度:50%、
▲5▼溶剤:50%。
※4:「エピコート1001−70」
エポキシ樹脂ワニス、油化シェル(株)製、
▲1▼GPCで測定した数平均分子量:900、
▲2▼固形分濃度:70%、
▲3▼溶剤:30%。
※5:「アクリディックA−430」
アクリル樹脂ワニス、大日本インキ化学工業(株)製、
▲1▼GPCで測定した数平均分子量:7,500、
▲2▼固形分濃度:60%、
▲3▼溶剤:40%。
※6:「ダイヤナールHR−656」
アクリル樹脂ワニス、三菱レーヨン(株)製、
▲1▼GPCで測定した数平均分子量:10,000(1万)、
▲2▼固形分濃度:50%、
▲3▼溶剤:50%。
※7:「ユーバン20SE−60」
メラミン樹脂ワニス、三井サイテック(株)製、
▲1▼GPCで測定した数平均分子量:600、
▲2▼固形分濃度:60%、
▲3▼溶剤:40%。
※8:「サイメル325」
メラミン樹脂ワニス、三井サイテック(株)製、
▲1▼GPCで測定した数平均分子量:200、
▲2▼固形分濃度:80%、
▲3▼溶剤:20。
※9:「バーノックB3−867」
ブロックイソシアネート樹脂ワニス、大日本インキ化学工業(株)製、
▲1▼固形分濃度:70%、
▲3▼溶剤:30%。
※10:「コロネートHX」
イソシアネート樹脂ワニス、日本ポリウレタン工業(株)製、
▲1▼固形分濃度:100%。
※11:「チタンR−960」
着色顔料、デュポン社製。
【0132】
【実施例1】
材質がケイ酸カルシウムのフレキシブルボード板の表面に下記要領にて塗装を行った。
<工程−1:シーラー塗装>
1液ウレタン塗料(商品名:「アルカリシーラーNY−2」、中国塗料(株)製)1に対して、シンナー1の重量比で混合したものを、スポンジロールコーターで30〜40g/m2厚で塗装したのち、80℃の温度の熱風を当てて10分間加熱乾燥を行った(乾燥膜厚:5μm)。
【0133】
<工程−2:下塗塗装>
2液ウレタン塗料(商品名「EP−コート100K−2」、中国塗料(株)製)を用いて下塗塗装を行った。
下塗塗装に際しては、2液ウレタン塗料の主剤と、硬化剤と、シンナーとを、主剤/硬化剤/シンナー=16/1/8(重量比)で混合したものを、ロールコーターとフローコーターとを用いて、150g/m2厚で塗装した後、80℃の温度の熱風を当てて30分間加熱乾燥を行った(乾燥膜厚:25μm)。
【0134】
<工程−3:中塗塗装>
紫外線硬化型塗料(商品名「オーレックスNo.230−5」、中国塗料(株)製)を、ロールコーターとフローコーターとを用いて、100g/m2厚で塗装した後、80W/cm高圧水銀ランプを2灯を移動速度5m/分で照射し、紫外線硬化させた(乾燥膜厚:30μm)。
【0135】
<工程−4:上塗塗装>
表1に示す配合組成の硬化性組成物(上塗塗料)を、エアースプレーにて、乾燥膜厚が30μm厚となるように塗装した後、鋼板温度140℃の温度で20分間で熱風を当てて20分間焼付け乾燥を行った。
この塗膜付き基材について、上記基材鋼板との付着性、耐汚染性、耐酸性、耐アルカリ性、耐候性、耐溶剤性などの各試験を行ったところ、基材鋼板との付着性は「5」(良好)、耐汚染性は「5」(良好)、耐酸性は「5」(良好)、耐アルカリ性は「5」(良好)、耐候性は光沢保持率で評価して92%(良好)、耐溶剤性は「5」(良好)となるなど、各性能がバランス良く優れた塗膜が得られた。
【0136】
配合組成、試験結果を併せて表1〜2に示す。
【0137】
【実施例2〜7】
実施例1において、用いた硬化性組成物の配合組成をそれぞれ表1〜2に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして基材表面に塗膜を形成し、上記各試験を行った。
配合組成および試験結果を併せて表1〜2に示す。
【0138】
【実施例8】
材質がリン酸亜鉛、クロメート等の表面処理鋼板について、下記要領で塗装を行った。
<工程−1:上塗塗装>
表1〜2に示す配合組成の硬化性組成物(上塗塗料)に、シンナー20〜30%加えてエアスプレー、静電スプレー等により、その乾燥膜厚が20〜30μm厚となるように塗装し、140℃で20分間、加熱乾燥を行った。
【0139】
この塗膜付き基材について、上記基材鋼板との付着性、耐汚染性、耐酸性、耐アルカリ性、耐候性、耐溶剤性などの試験を行ったところ、基材鋼板の付着性は「5」(良好)、耐汚染性は「5」(良好)、耐酸性は「5」(良好)、耐アルカリ性は「5」(良好)、耐候性は光沢保持率で評価して90%(良好)、耐溶剤性は「5」(良好)となるなど、各性能がバランス良く優れた塗膜が得られた。
【0140】
【実施例9】
材質が非鉄金属のアルミニウム板、ステンレス板等の表面に、より良い付着性を考慮して下記要領で塗装を行った。
<工程−1:下塗塗装>
1液型エポキシ系塗料(商品名:「EG#7100プライマー」ヒヨコペイント社製)にシンナー20〜30%加えてエアスプレー、静電スプレー等により、その乾燥膜厚が10〜30μm厚となるように塗装し、140℃で20分間、加熱乾燥を行った。
<工程−2:上塗塗装>
表1〜2に示す配合組成の硬化性組成物(上塗塗料)に、シンナー20〜30%加えてエアスプレー、静電スプレー等により、その乾燥膜厚が20〜30μm厚となるように塗装し、140℃で20分間、加熱乾燥を行った。
【0141】
この塗膜付き基材について、上記基材との付着性、耐汚染性、耐酸性、耐アルカリ性、耐候性、耐溶剤性などの試験を行ったところ、基材との付着性は「5」(良好)、耐汚染性は「5」(良好)、耐酸性は「5」(良好)、耐アルカリ性は「5」(良好)、耐候性は光沢保持率で評価して95%(良好)、耐溶剤性は「5」(良好)となるなど、各性能がバランス良く優れた塗膜が得られた。
【0142】
【実施例10〜13,比較例1〜4】
実施例8において、用いた硬化性組成物の配合組成をそれぞれ表1〜2に示すように変えた以外は、実施例8と同様にして基材表面に塗膜を形成し、上記各試験を行った。
配合組成および試験結果を併せて表1〜2に示す。
【0143】
【表1】
【0144】
【表2】
Claims (18)
- (A)フッ素含有オレフィン成分単位(a1)、少なくとも1個の重合性のビニル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を有する、オルガノシラン、オルガノ(ポリ)シロキサンおよびシリコーンからなる群から選ばれた少なくとも1種の重合性有機珪素化合物から誘導される成分単位(a2)、水酸基および/またはエポキシ基を含有したビニルエーテル成分単位(a3)、ならびに重合性不飽和カルボン酸から誘導される重合性不飽和カルボン酸成分単位(a4)を含有するフッ素含有共重合体と、
(B)(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、上記(A)以外のフッ素樹脂およびエポキシ樹脂のうちから選択される1種または2種以上の樹脂と、
(C)メラミン樹脂、尿素樹脂、多塩基性有機酸および多価イソシアネート類のうちから選択される1種または2種以上の硬化剤と、
を含有することを特徴とする硬化性組成物。 - 上記重合性有機珪素化合物が、下記式(1)または(2)で表されることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物:
- 上記重合性有機珪素化合物が、下記式(1a)で示される重合性有機珪素化合物および、下記式(2a)で示される重合性有機珪素化合物のうちの何れか1種または2種以上である請求項1に記載の硬化性組成物:
- 硬化性組成物中に含まれる上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100重量部に対して、(A)成分が5〜80重量部、(B)成分が5〜80重量部、および(C)成分が5〜40重量部の範囲にある請求項1〜3の何れかに記載の硬化性組成物。
- 上記フッ素含有共重合体(A)が、
フッ素含有オレフィン成分単位(a1)を15〜85モル%、
上記重合性有機珪素化合物から誘導される成分単位(a2)を0.1〜50モル%、
上記水酸基および/またはエポキシ基を含有したビニルエーテル成分単位(a3)を1〜50モル%、ならびに
上記重合性不飽和カルボン酸から誘導される重合性不飽和カルボン酸成分単位(a4)を10〜30モル%(共重合体中に含まれる全成分単位の合計を100モル%とする。)
の量で含有する請求項1〜4の何れかに記載の硬化性組成物。 - 上記フッ素含有共重合体(A)が、
フッ素含有オレフィン成分単位(a1)を30〜80モル%、
上記重合性有機珪素化合物から誘導される成分単位(a2)を0.5〜25モル%、
上記水酸基および/またはエポキシ基を含有したビニルエーテル成分単位(a3)を1〜50モル%、ならびに
上記重合性不飽和カルボン酸から誘導される重合性不飽和カルボン酸成分単位(a4)を10〜20モル%(共重合体中に含まれる全成分単位の合計を100モル%とする。)
の量でそれぞれ含有する請求項1〜4の何れかに記載の硬化性組成物。 - 請求項1〜6の何れかに記載の硬化性組成物からなることを特徴とする塗料組成物。
- 請求項7に記載の塗料組成物から形成されていることを特徴とする塗膜。
- 基材の表面が、請求項8に記載の塗膜で被覆されていることを特徴とする塗膜付き基材。
- 基材の表面が、
(A)フッ素含有オレフィン成分単位(a1)、少なくとも1個の重合性のビニル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を有する、オルガノシラン、オルガノ(ポリ)シロキサンおよびシリコーンからなる群から選ばれた少なくとも1種の重合性有機珪素化合物から誘導される成分単位(a2)、水酸基および/またはエポキシ基を含有したビニルエーテル成分単位(a3)、ならびに重合性不飽和カルボン酸から誘導される重合性不飽和カルボン酸成分単位(a4)またはシクロアルキル(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a5)を含有するフッ素含有共重合体と、
(B)(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、上記(A)以外のフッ素樹脂およびエポキシ樹脂のうちから選択される1種または2種以上の樹脂と、
(C)メラミン樹脂、尿素樹脂、多塩基性有機酸および多価イソシアネート類のうちから選択される1種または2種以上の硬化剤と、
を含有する硬化性組成物
からなる塗料組成物から形成された塗膜
で被覆されていることを特徴とする塗膜付き土木建築資材。 - 基材の表面が、
(A)フッ素含有オレフィン成分単位(a1)、少なくとも1個の重合性のビニル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を有する、オルガノシラン、オルガノ(ポリ)シロキサンおよびシリコーンからなる群から選ばれた少なくとも1種の重合性有機珪素化合物から誘導される成分単位(a2)、水酸基および/またはエポキシ基を含有したビニルエーテル成分単位(a3)、ならびに重合性不飽和カルボン酸から誘導される重合性不飽和カルボン酸成分単位(a4)またはシクロアルキル(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a5)を含有するフッ素含有共重合体と、
(B)(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、上記(A)以外のフッ素樹脂およびエポキシ樹脂のうちから選択される1種または2種以上の樹脂と、
(C)メラミン樹脂、尿素樹脂、多塩基性有機酸および多価イソシアネート類のうちから選択される1種または2種以上の硬化剤と、
を含有する硬化性組成物
からなる塗料組成物から形成された塗膜
で被覆されていることを特徴とする塗膜付き建材パネル。 - 基材の表面上に、
エポキシ樹脂プライマー層と、
(A)フッ素含有オレフィン成分単位(a1)、少なくとも1個の重合性のビニル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を有する、オルガノシラン、オルガノ(ポリ)シロキサンおよびシリコーンからなる群から選ばれた少なくとも1種の重合性有機珪素化合物から誘導される成分単位(a2)、水酸基および/またはエポキシ基を含有したビニルエーテル成分単位(a3)、ならびに重合性不飽和カルボン酸から誘導される重合性不飽和カルボン酸成分単位(a4)またはシクロアルキル(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a5)を含有するフッ素含有共重合体と、
(B)(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、上記(A)以外のフッ素樹脂およびエポキシ樹脂のうちから選択される1種または2種以上の樹脂と、
(C)メラミン樹脂、尿素樹脂、多塩基性有機酸および多価イソシアネート類のうちから選択される1種または2種以上の硬化剤と、
を含有する硬化性組成物からなる層と
が順次積層してなる塗膜付き基材。 - 前記基材が、金属板あるいは表面処理鋼板であることを特徴とする請求項9または12に記載の塗膜付き基材。
- 前記基材が、金属板あるいは表面処理鋼板であることを特徴とする請求項10に記載の塗膜付き土木建築資材。
- 前記基材が、金属板あるいは表面処理鋼板であることを特徴とする請求項11に記載の塗膜付き建材パネル。
- 前記基材が、ケイ酸カルシウム板であることを特徴とする請求項9または12に記載の塗膜付き基材。
- 前記基材が、ケイ酸カルシウム板であることを特徴とする請求項10に記載の塗膜付き土木建築資材。
- 前記基材が、ケイ酸カルシウム板であることを特徴とする請求項11に記載の塗膜付き建材パネル。
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