JP4539303B2 - 液滴着弾観測システムおよび液滴着弾観測方法 - Google Patents
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Description
このような液滴吐出装置では、各液滴をワーク上の正確な位置に着弾させる必要があるので、液滴吐出装置の制御を行う場合、あるいは液滴吐出装置の開発・設計を行う場合などには、液滴吐出ヘッドのノズル孔から吐出される液滴のワーク上への飛行・着弾状態(例えば、飛行方向、飛行速度、着弾位置、着弾挙動等)を観測する必要がある。
また、高速度カメラにより前記着弾挙動を計測するという方法も考えられるが、高速度カメラ自体が高価である。
この液滴着弾観測システムによれば、パルスレーザ光によって瞬間的な静止画として液滴を撮像でき、そのタイミングは、吐出タイミングからの遅延時間を変えることで変化させることができるので、任意のタイミングにおける液滴の状態を静止画として撮像することができる。
この際、液滴受容物が静止したままであると、着弾した液滴は撮像視野内に留まることになるので、次に吐出されてくる液滴については、液滴受容物に対する着弾挙動を観察することはできない。そこで本発明の液滴着弾観測システムは、移動手段によって液滴受容物が相対移動可能とすることで、液滴が常に液滴受容物の新規なエリア(先に吐出された液滴が着弾していないエリア)に着弾するような構成とし、上述のような着弾挙動の撮像を、連続して行うことができるようになっている。これにより、例えば、上述の遅延時間を吐出毎に変えるなどして、複数のタイミングにおける着弾挙動を撮像することができる。
また、パルスレーザ光を用いているので、白色光のような色収差の影響を受けることがなく、また、鋭敏な明暗変化により液滴の像のブレが低減されて、より鮮明な画像を得ることができる。
この液滴着弾観測システムによれば、撮像する方向が前記液滴受容物における前記液滴の着弾面に沿った方向であるので、液滴が液滴受容物の表面に衝突する様子や、着弾後における液滴の液面形状などが認識しやすい。
この液滴着弾観測システムによれば、液滴にバックライトを照射して撮像するバックライティング法によって撮像を行うことにより、液滴の像の輪郭をより鮮明にとらえることができる。
この液滴着弾観測システムによれば、光ファイバにより狭い範囲に光線を集中して照射することができる。また、光ファイバを通る過程でパルスレーザ光の位相が分散されて可干渉性が低下するので、液滴の輪郭(エッジ)における回折の影響を低減することができる。
この液滴着弾観測システムによれば、着弾タイミングを違えて撮像された複数の画像を得ることができ、これらを遅延時間の小さい順で撮像された画像の順に並べて、あたかも単一の液滴の連続挙動を表すかのように扱うことができる。また、遅延時間が吐出毎に順次遅れるように撮像を行えば、また、前記吐出毎における遅延時間の差が等間隔であれば、撮像画像を時系列的に扱う際の処理が容易となる。
この液滴着弾観測方法によれば、パルスレーザ光によって瞬間的な静止画として液滴を撮像でき、そのタイミングは、吐出タイミングからの遅延時間を変えることで変化させることができるので、任意のタイミングにおける液滴の状態を静止画として撮像することができる。また、吐出ヘッドから順次吐出されてくる液滴が常に液滴受容物の新規なエリア(先に吐出された液滴が着弾していないエリア)に着弾するようになっているので、上述の撮像を連続して行うことが可能である。また、パルスレーザ光を用いているので、白色光のような色収差の影響を受けることがなく、鋭敏な明暗変化により液滴の像のブレが低減されて、より鮮明な画像を得ることができる。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
先ずは、図1、図2、図3、図4を参照して、液滴吐出装置の全体構成について説明する。図1は、本実施形態における液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように液滴吐出装置100は、支持脚106に支えられた定盤107の上に、液滴を吐出する吐出ヘッド116を有するヘッド機構部102と、液滴受容物としての基板120を吐出ヘッド116に対して移動可能に載置する基板機構部103と、吐出ヘッド116に液状体133を供給する液状体供給部104とを備えている。また、液滴吐出装置100は、定盤107の下側に、ヘッド機構部102、基板機構部103の駆動制御および、吐出ヘッド116の吐出制御を制御する描画制御部105を備えている。
ここで、基板120としては、ガラス基板、金属基板、合成樹脂基板など、平板状のものであればたいていのものが利用できる。また、液状体としては、例えば、カラーフィルタのフィルタ材料、有機EL装置におけるEL発光層を形成するための発光材料、PDP装置における蛍光体を形成するための蛍光材料、電気泳動表示装置における泳動体を形成する泳動体材料、基板の表面にバンクを形成するためのバンク材料、各種コーティング材料、電極を形成するための液状電極材料、2枚の基板間に微小なセルギャップを構成するためのスペーサを構成する粒子材料、金属配線を形成するための液状金属材料、マイクロレンズを形成するためのレンズ材料、レジスト材料、光拡散体を形成するための光拡散材料などを、溶媒中に溶解ないし分散させた溶液が、描画の目的に応じて用意される。
光チョッパなどによって発生されるパルスレーザ光は、撮像部22におけるCCDの撮像感度の高い波長域のものを選択することが好ましい。本実施形態では、レーザ光発生部31として、Oxford Lasers社製:HSI1000を用い、近赤外域の半導体パルスレーザ光を得ている。出射部32は、パルスレーザ光の出射軸が鏡筒21の光軸とほぼ一致するように固定されており、カメラ20は、液滴をバックライティング法によって撮像することができる。
図2に示すように、吐出ヘッド116は、隔壁141…に仕切られて形成された複数のキャビティ140…を備え、1つのキャビティ140に対して1つのノズル孔117が設けられている。ノズル孔117は、隔壁141…を構成する部材の下面に接着固定されたノズルプレート144に形成されている。キャビティ140には、1対の隔壁141間に位置する供給口146を介して、リザーバ145から液状体が供給されるようになっている。リザーバ145は一定量の液状体を貯留するための液溜めの役割を果たしており、リザーバ145へは、タンク130(図1参照)から孔147を介して液状体が供給される。
キャビティ140…の上部は振動板143となっていて、振動板143上には、それぞれのキャビティ140に対応して、振動子142…が位置する。振動子142は、ピエゾ素子と、ピエゾ素子を挟む1対の電極(図示せず)とから成る。この1対の電極に駆動電圧(駆動信号)を印加することで、振動子142に対応する箇所の振動板143が変形し、キャビティ140の内圧が変化して、液状体がノズル孔117から液滴150となって吐出される。
図3において、制御信号発生回路220、駆動信号発生回路230は、描画制御部105(図1参照)に備えられている。また、フリップフロップ226…、フリップフロップ227…、トランジスタ229…は、吐出ヘッド116の圧電振動子142…(図2参照)の各々に対応して設けられていて、制御信号発生回路220、駆動信号発生回路230と各信号線223,224,225,231で接続されている。
尚、駆動信号発生回路230が生成する駆動信号の形状や、データ信号のデータ、印字タイミング信号の印加タイミング、周波数などは、制御用コンピュータ160からの命令により、自由に設定することが可能である。かくして、吐出ヘッド116の任意のノズル孔から、任意のタイミングで、任意の駆動信号によって液滴150を吐出させることが可能となる。
次に、図1、図5、図6、図7を参照して、液滴着弾観測システムの構成および動作について説明する。図5は、本発明に係る液滴着弾観測システムの概略構成を示す機能構成図である。図6は、駆動信号、ラッチ信号、トリガ信号、パルスレーザ光出力のタイミングを示す図である。
本実施形態における液滴着弾観測システムは、図1に示す液滴吐出装置100に一体となっていて、制御用コンピュータ160(モニタ161含む)と合わせて全体が構成されている。すなわち、図5に示す液滴着弾観測システム10は、吐出ヘッド116から吐出された液滴150が基板120に着弾する様子を、レーザ光源30からパルスレーザ光をバックライトとして照射して、カメラ20で撮像する。吐出ヘッド116のノズル面148と基板上面120aとは、一定の距離hが保たれるように構成されており、基板120は移動手段としての基板機構部103によってX方向に移動可能となっている。尚、レーザ光源30、カメラ20の詳細な構成については、既に図1を参照して説明したので、ここでは説明を省略する。
このような液滴着弾観測システム10は、パルスレーザ光を用いているので、白色光のような色収差の影響を受けることがなく、また、鋭敏な明暗変化により液滴150の像のブレが低減されて、鮮明な静止画像を得ることができる。また、基板上面120aに沿った方向から液滴150を撮像するようになっているので、液滴が基板120の表面に衝突する様子や、着弾後における液滴の液面形状などが認識しやすい。また、液滴150にバックライトを照射して撮像するバックライティング法によって撮像を行っているので、液滴の像の輪郭をより鮮明にとらえることができる。また、パルスレーザ光は、光ファイバ33を介して照射されるので、パルスレーザ光の位相が分散されて可干渉性が低下し、液滴150のエッジにおける回折の影響を低減することができる。また、光ファイバ33でパルスレーザ光を収束して照射することにより、ノズル面148と基板上面120aとの間隔hが狭い場合においても液滴150を有効に照射することができる。
ここで、トリガ信号は、制御信号発生回路220から送られてくるラッチ信号を同期信号として生成される。すなわち、図6において、ラッチタイミングTlに所定の時間=Ti+Tdを加えたタイミングTf(以下、撮像タイミングTfとする)でトリガ信号を発生させる。ここで、Tiは、先にも説明したように、ラッチタイミングTlと吐出タイミングTeとの時間差であり、つまりは、Tdは、吐出タイミングTeに対する撮像タイミングTfの遅延時間を表している。
このように、ラッチ信号を同期信号としてTi+Tdの時間差でトリガ信号を発生させることで、吐出タイミングTeに遅延時間Tdを加えたタイミングで、パルスレーザ光の照射および撮像が行われる。そして、遅延時間Tdを変化させることにより、吐出タイミングTeを基準とする任意のタイミングで液滴150を撮像することができる。
図7に示すように、本実施形態においては、吐出ヘッド116(図5参照)から順次吐出される液滴150−1,150−2,150−3,150−4について、吐出毎に遅延時間Tdを2μsずつ遅らせて撮像を行っている。このように、擬似フレーム画像における液滴150−1,150−2,150−3,150−4はそれぞれ別個体であるが、あたかも単一の液滴の連続挙動であるかのように扱うことができる。尚、このとき、液滴150−1,150−2,150−3,150−4がそれぞれ着弾する基板上面120aにおけるエリアもまた、各擬似フレーム画像ごとに異なることになる。このため、着弾条件をそろえるために、基板上面120aは、撮像が行われる範囲においてなるべく一様な形状、濡れ性となるように処理されていることが望ましい。
また、トリガ信号を生成するための同期信号は、ラッチ信号に限定されるものではなく、印字タイミング信号(図6参照)など、吐出タイミングTeと同期して発信されている各種制御信号を用いることができる。また、駆動信号そのものを同期信号としてもよい。
また、本発明の液滴着弾観測システムは、上述の実施形態のように液滴吐出装置と一体に構成してもよいが、着弾観測のための専用の装置に供する態様で用いることもできる。
また、移動手段は、上述の実施形態のように基板120を移動させる態様とするものに限定されず、基板120を固定して、吐出ヘッド116、カメラ20、レーザ光源30を同期して移動する態様としてもよい。
各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略したり、図示しない他の構成と組み合わせたりすることができる。
Claims (7)
- 液滴吐出ヘッドのノズル孔から順次吐出される液滴が液滴受容物に着弾する様子を観測する液滴着弾観測システムであって、
前記液滴に向けてパルスレーザ光を照射する照射手段と、
前記照射手段によって照射された当該液滴を撮像する撮像手段と、
前記液滴受容物を前記吐出ヘッドに対して相対移動させる移動手段と、を備え、
前記照射手段は、前記液滴の吐出毎に違えた遅延時間を加えたタイミングで前記パルスレーザ光を照射することを特徴とする液滴着弾観測システム。 - 前記撮像手段は、前記液滴受容物における前記液滴の着弾面に沿った方向から当該液滴を撮像することを特徴とする請求項1に記載の液滴着弾観測システム。
- 前記撮像手段は、前記照射手段を用いたバックライティング法によって前記液滴を撮影することを特徴とする請求項1または2に記載の液滴着弾観測システム。
- 前記照射手段は、前記パルスレーザ光を誘導して一端から出射する光ファイバを備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の液滴着弾観測システム。
ステム。 - 前記照射手段は、前記液滴の吐出毎に、順次、前記遅延時間を遅らせて、前記パルスレーザ光を照射することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の液滴着弾観測システム。
- 前記吐出毎における遅延時間の差が等間隔であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の液滴着弾観測システム。
- 液滴吐出ヘッドのノズル孔から順次吐出される液滴が液滴受容物に着弾する様子を観測する液滴着弾観測方法であって、
前記液滴受容物を前記吐出ヘッドに対して相対移動させると共に、前記液滴の吐出毎に違えた遅延時間を加えたタイミングで当該液滴にパルスレーザ光を照射して、当該液滴を撮像することを特徴とする液滴着弾観測方法。
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