JP4539183B2 - カルバゾール化合物およびその製造方法 - Google Patents
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しかしながら、この有機EL素子を構成する機能性有機材料は低分子量のものであることから、物理的耐久性および熱的耐久性が小さい、という問題がある。
本発明の他の目的は、以上のような新規なカルバゾール化合物の製造方法を提供することにある。
下記一般式(2)で示されるカルバゾール化合物および下記一般式(3−1)または一般式(3−2)で示されるピリジン化合物を反応させて中間体を得、
この中間体と、下記一般式(4)で示される金属錯体化合物とを反応させることを特徴とする。
<カルバゾール化合物>
本発明のカルバゾール化合物は、上記一般式(1−1)で示される構造を有する化合物であって、2つの反応性置換基および特定の金属錯体部位を有するカルバゾールに由来する骨格構造を有するものである。
ここで、上記一般式(1−1)において、X1 およびX2 は、それぞれ位置番号3および6の炭素原子に結合されていることが好ましい。
一般式(1−2)および一般式(1−3)において、R6 およびR7 は、それぞれ独立にフッ素原子、アルキル基またはアリール基(環構造を形成する場合には、これらに由来する基)を示し、置換されていてもいなくてもよく、環構造を形成していてもよく、互いに同一のものであっても異なるものであってもよいが、R6 およびR7 は、共に置換されておらず、環構造を形成せず、また、互いに同一のものであることが好ましい。
ここで、R6 およびR7 が、各々、ベンゼン環またはピリジン環を形成する炭素原子の複数に結合して多環構造が形成されていてもよい。
アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
また、Lは有機配位子である。この有機配位子は、上記Mである金属原子に対して配位性を有する有機化合物によって形成されてなるものである。有機配位子の数wは1〜3の整数であり、用いられている金属原子の原子価および当該金属原子による中性錯体の安定配位数などを考慮して選択される。
ここに、「オルトメタル化錯体」とは、例えば山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」150頁、232頁、裳華房社(1982年発行)や、H. Yersin著「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」71〜77頁、135〜146頁、Springer−Verlag社(1987年発行)等に記載されている化合物群の総称である。
すなわち、本発明のカルバゾール化合物の製造方法においては、上記一般式(2)で示されるカルバゾール化合物(以下、単に「特定のカルバゾール化合物」ともいう。)と、上記一般式(3−1)または一般式(3−2)で示されるピリジン化合物(以下、単に「特定のピリジン化合物」ともいう。)とを反応させることにより、下記一般式(5−1)または一般式(5−2)で示される中間体を得(以下、この反応工程を「第1次反応工程」という。)、次いで、得られた中間体と、上記一般式(4)で示される金属錯体化合物(以下、単に「特定の金属錯体化合物」ともいう。)とを反応させることにより、目的とする、上記一般式(1−1)で示されるカルバゾール化合物を合成(以下、この反応工程を「第2次反応工程」という。)する。
第1次反応工程に用いられる特定のカルバゾール化合物を示す一般式(2)において、R8 は、二価の有機基を示し、具体的には、例えば炭素原子数1〜8のアルキレン基および、置換基を有するまたは有さない1〜3環の2価の芳香族基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基またはキシリレン基等)が挙げられ、好ましくは、炭素原子数3〜6のアルキレン基である。
また、X3 は、例えば臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子であって、好ましくは臭素原子を挙げることができる。
これらの中では、炭酸カリウムなどを用いることが好ましい。
また、反応時間は、5〜30時間、好ましくは10〜20時間とされる。
第2次反応工程に用いられる特定の金属錯体化合物を示す一般式(4)において、R9 は、2個の配位原子を有すると共に、当該配位原子によって中心金属に結合する、二座の特定の反応性キレート配位子を示す。このような特定の反応性キレート配位子としては、具体的には、アセチルアセトナト配位子を好ましく挙げることができる。
これらの中では、特にグリセリンを好ましく用いることができる。
また、反応時間は、10〜50時間、好ましくは15〜30時間とされる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(カルバゾール化合物(1)の合成)
3,6−ジブロモカルバゾール3.3g(20mmol) および炭酸カリウム2.8g(20mmol) をジメチルスルホキシド50mlに溶解した系を50℃に加熱し、30分間攪拌した。その後、当該系にジブロモブタン12ml(100mmol) を滴下し、その後、24時間攪拌した。次いで、得られた反応スラリーに酢酸エチルを添加すると共に、当該スラリーを水および飽和食塩水で洗浄した。その後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧蒸留した。
ブロモテトラヒドロピラニルオキシベンゼン10g(38.9mmol)をテトラヒドロフラン80mlに溶解した系をアセトン−ドライアイスバスを用いて−78℃に冷却した後、当該系にn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)26mlを滴下し、その後、2時間撹拌した。次いで、トリメトキシボラン5ml(44.6mmol) を滴下した後、アセトン−ドライアイスバスを外して系を室温にまで上昇させ、その後、8時間撹拌した。得られた反応溶液を水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、更に、溶媒を減圧蒸留することにより、中間生成物(1)6.9g(28mmol)を得た。
上述のようにして得られたカルバゾール化合物(1)4.6g(10mmol) およびピリジン化合物(1)1.7g(10mmol)と、炭酸カリウム6.9g(50mmol) とをジメチルスルホキシド100mlに溶解した系を80℃に加熱し、12時間攪拌した。その後、当該系をクロロホルムによって抽出処理し、得られたクロロホルム溶液を水および飽和食塩水で洗浄した。その後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧蒸留した。
中間体(1)1.1g(2mmol)および上記構造式(5)で示される特定の金属錯体化合物(ビス(2−フェニルピリジン)イリジウムアセチルアセトナート)1.3g( 2.2mmol) をグリセリン5mlに溶解した系を200℃に加熱し、3時間撹拌した。その後、室温に冷却した当該系をクロロホルムによって抽出処理し、得られたクロロホルム溶液を飽和食塩水で洗浄した。その後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧蒸留で溶媒を除去した。
Claims (2)
- 下記一般式(1−1)で表される構造を有することを特徴とするカルバゾール化合物。
- 請求項1に記載のカルバゾール化合物の製造方法であって、
下記一般式(2)で示されるカルバゾール化合物および、下記一般式(3−1)または一般式(3−2)で示されるピリジン化合物を反応させて中間体を得、
この中間体と、下記一般式(4)で示される金属錯体化合物とを反応させることを特徴とするカルバゾール化合物の製造方法。
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